説明

振動発生器

【課題】省スペースにて複数方向の振動を発生させる。
【解決手段】磁極を対向させた永久磁石21及び22と重量体23にて可動子を形成し、磁性体(36、37等)にコイル31及び32を互いに直交する方向に巻きことで固定子を形成する。可動子の側面には、X軸方向振動用の板バネ(41X及び42X)とZ軸方向振動用の板バネ(41Z1、41Z2、42Z1、42Z2)とが配置される。コイル31に電流を供給することで発生する磁界と永久磁石21及び22との磁気作用、並びに、X軸方向振動用の板バネの推力により、可動子がX軸方向に振動する。コイル32に電流を供給することで発生する磁界と永久磁石21及び22との磁気作用、並びに、Z軸方向振動用の板バネの推力により、可動子がZ軸方向に振動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型の端末装置などに搭載される振動発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の端末装置には、着信を呼び出し音で知らせる代わりに、端末装置内の振動発生器を振動させることで人体に着信を感知させるものがある。他方、音声通話用のスピーカにて音を発生させるためにも振動発生器(スピーカの振動板を振動させるための振動発生器)が用いられている。特許文献1及び2には、コイルと永久磁石を利用して可動子を単軸振動させる振動発生器が開示されている。
【0003】
人体に着信を感知させることに適した振動の方向は端末装置の構造等に依存する一方で、音声通話用の振動の方向は端末装置の形状やスピーカの位置等に依存しており、前者の方向と後者の方向は互いに異なることが多いし、前者及び後者の方向間で必要な振動量や振動周波数も異なる。故に、従来の端末装置(携帯電話機)には、着信報知用の振動発生器と音声通話用の振動発生器が別個に搭載されている。
【0004】
着信報知の用途及び音声通話の用途以外にも、端末装置にて複数の方向の振動を発生させる必要がある場合、振動方向分の振動発生器が必要となる。
【0005】
尚、特許文献3には、2つのコイルを用いて、対物レンズを2軸方向に駆動するようにした対物レンズ駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−168869号公報
【特許文献2】特開平11−155274号公報
【特許文献3】特開昭58−64648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、携帯電話機等の端末装置の小型化に対するニーズが強い。振動発生器の個数を削減することができれば、振動発生器を組み込んだ端末装置の小型化が促進されることは言うまでもない。尚、特許文献3に開示された技術は対物レンズ駆動装置用の技術であるため、その技術をそのまま振動発生器に利用することはできない。
【0008】
そこで本発明は、省スペースにて複数方向の振動を発生させることのできる振動発生器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る振動発生器は、磁極を対向させた磁石の対を1組以上有する磁石部と、前記磁石部を形成する複数の磁石間に配置された磁性体と、巻き方向が互いに異なるように、前記磁性体に巻かれた複数のコイルと、前記磁石部及び前記磁性体間の相対位置関係が可変となるように弾性体を用いて前記磁石部を支持する弾性支持部と、を備え、前記複数のコイルに独立に電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用を用いて、互いに異なる複数の方向の振動を発生させることを特徴とする。
【0010】
これにより、複数方向の振動発生用の部材を1つの振動発生器に集約し、1つの振動発生器において複数方向の振動を発生させることができる。これにより、省スペースにて複数方向の振動を発生させることが可能となる。
【0011】
具体的には例えば、前記磁性体と前記複数のコイルは、当該振動発生器の主筐体に固定された固定子を形成する一方で、前記磁石部は、前記固定子の位置を基準に振動する可動子を形成する。
【0012】
コイルを固定子側に配置することで振動による配線損傷がおきにくくなる。
【0013】
また具体的には例えば、前記可動子は、前記固定子の外側に配置される。
【0014】
可動子を固定子の外側に配置する構成を採用することで可動子のサイズを大きくすることができ、結果、定められたサイズの制約の下で、より大きな振動量を得ることが可能となる。
【0015】
また具体的には例えば、前記弾性支持部は、第1方向に伸縮する第1弾性体と、前記第1方向とは異なる第2方向に伸縮する第2弾性体と、を備え、当該振動発生器は、前記磁気作用と前記第1弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第1方向に振動させ、前記磁気作用と前記第2弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第2方向に振動させる。
【0016】
これにより、第1及び第2方向の振動が実現される。
【0017】
そして例えば、前記弾性支持部は、前記第1弾性体の一端及び前記第2弾性体の一端に結合された弾性体固定部を更に備え、前記第1弾性体の他端は前記可動子に結合されるとともに前記第2弾性体の他端は前記主筐体に結合される。
【0018】
これにより、複数方向の振動を実現する弾性支持部を省スペースにて実現することができ、結果、振動発生器全体の省スペース化も実現される。
【0019】
また具体的には例えば、前記複数のコイルには、前記第1方向に平行な中心軸を有する第1コイルと、前記第2方向に平行な中心軸を有する第2コイルが含まれ、当該振動発生器は、前記第1コイルに電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用及び前記第1弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第1方向に振動させ、前記第2コイルに電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用及び前記第2弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第2方向に振動させる。
【0020】
また例えば、前記複数のコイルに同時に電流を供給することで、各コイルの中心軸方向と異なる方向に前記可動子を振動させるようにしても良い。
【0021】
これにより、様々な方向の振動を発生させることが可能となる。
【0022】
また例えば、磁極を対向させた磁石の対として、前記磁石部には第1及び第2の対が含まれ、前記第1の対において対向し合う磁極は同一極であるとともに前記第2の対において対向し合う磁極も同一極であり、前記第1の対において対向し合う磁極及び前記第2の対において対向し合う磁極の内、一方はN極であって他方はS極である。
【0023】
上述の如く、磁石の対を複数組分設けることにより、その対が1組である場合よりも大きな振動量を得やすくなる。
【0024】
より具体的には例えば、前記弾性支持部は、第1方向に伸縮する第1弾性体と、前記第1方向とは異なる第2方向に伸縮する第2弾性体と、を備え、前記複数のコイルには、前記第1方向に平行な中心軸を有する第1コイルと、前記第2方向に平行な中心軸を有する第2コイルが含まれ、前記第1の対では、前記第1方向において磁極が対向し合い、前記第2の対では、前記第2方向において磁極が対向し合い、当該振動発生器は、前記第1コイルに電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用及び前記第1弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第1方向に振動させ、前記第2コイルに電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用及び前記第2弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第2方向に振動させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、省スペースにて複数方向の振動を発生させることのできる振動発生器を提供することが可能となる。
【0026】
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る振動システムの全体構成図である
【図2】本発明の第1実施形態に係る振動発生器の分解図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係り、上ケースを下ケースから分離した状態における振動発生器の外観斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係り、上ケースを除いた状態における振動発生器1の外観斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係り、Z軸方向から見た可動子及び固定子の平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係り、固定子の構造及び形成方法を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係り、XY座標面上における固定子の平面図(a)及びYZ座標面上における固定子の平面図(b)である。
【図8】本発明の第1実施形態に係り、弾性支持部内の各部材と可動子と上ケースと下ケースとの関係を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る板バネの外観斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係り、XY座標面に沿った可動子及び固定子の断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係り、YZ座標面に沿った可動子及び固定子の断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係り、第1のコイルに印加する交流電圧の周波数とX軸方向における可動子の変位量との関係を示す図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係り、第2のコイルに印加する交流電圧の周波数とZ軸方向における可動子の変位量との関係を示す。
【図14】本発明の第2実施形態に係る振動システムの全体構成図である
【図15】本発明の第2実施形態に係る振動発生器の構成の概略ブロック図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係り、主筐体を取り除いた振動発生器の外観斜視図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係り、Z軸方向から見た可動子及び固定子の平面図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係り、XY座標面に沿った可動子及び固定子の断面図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係り、XY座標面に沿った可動子及び固定子の断面図である。
【図20】本発明の第3実施形態に係る振動システムの全体構成図である
【図21】本発明の第3実施形態に係る振動発生器の構成の概略ブロック図である。
【図22】本発明の第3実施形態に係り、主筐体を取り除いた振動発生器の外観斜視図である。
【図23】本発明の第4実施形態に係る端末装置の外観図である。
【図24】本発明の第4実施形態に係る端末装置の概略構成ブロック図である。
【図25】本発明の実施形態の変形例に係り、XY座標面に沿った可動子及び固定子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態の幾つかを、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。また、以下に示す各実施形態において、矛盾なき限り、或る実施形態に記載した事項を他の実施形態に適用することも可能である。
【0029】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1は、第1実施形態に係る振動システムの全体構成図である。第1実施形態に係る振動システムは、振動発生器1、電流供給部2及び振動制御部3を備える。図2は振動発生器1の分解図である。本実施形態及び後述の他の実施形態において、固定された三次元直交座標系であるXYZ座標系を想定し、XYZ座標系の座標軸がX軸、Y軸及びZ軸であるとする。X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交する。以下の説明において、XY座標面とはX軸及びY軸に平行な座標面を指し、YZ座標面とはY軸及びZ軸に平行な座標面を指し、ZX座標面とはZ軸及びX軸に平行な座標面を指す。
【0030】
通常使用状態においては、上ケース11は下ケース12に固定される。図3は、上ケース11を下ケース12から分離した状態における振動発生器1の外観斜視図である。図4は、上ケース11を除いた状態における振動発生器1の外観斜視図が示されている。但し、図4にはケース連結部材13及び14が示されているが、図2及び図3では、ケース連結部材13及び14の図示が省略されている。上ケース11と下ケース12は、ケース連結部材13及び14を介して結合される。図3及び図4では、永久磁石21及び22の部分に斜線が付されている。
【0031】
尚、図2及び図3においては、Y軸方向における下ケース12の長さがY軸方向における重量体23の長さよりも長くなっているが、図4においては、図示の便宜上、それらの長さの長短関係が逆転しているかのように下ケース12が示されている。実際には、Y軸方向において、下ケース12の長さを重量体23の長さよりも長くしても良いし、下ケース12の長さを重量体23の長さよりも短くしても良い。
【0032】
振動発生器1には、上ケース11、下ケース12、ケース連結部材13及び14に加え、スペーサ15、可動子20、固定子30及び弾性支持部40が設けられている(図2参照)。振動発生器1の主筐体は、上ケース11及び下ケース12を構成要素として少なくとも含み、更にケース連結部材13及び14をも含みうる。振動発生器1の主筐体(内部が空洞になっている主筐体)内に、可動子20、固定子30及び弾性支持部40が設置される。
【0033】
固定子30を形成するコイル31及び32に電流を供給していなければ、可動子20は基準位置にて静止する。可動子20が基準位置にて静止している状態を基準静止状態と呼ぶ。
【0034】
可動子20は、2つの永久磁石21及び22と重量体23とから成る。重量体23は、可動子20の質量を所望の質量に設定するための重りである。直方体形状(長方形の板状)の重りに、永久磁石21及び22並びに固定子30を配置するための穴部24を設けること重量体23が形成される(図2参照)。図5は、Z軸方向から見た、基準静止状態における可動子20及び固定子30の平面図である。基準静止状態において、Z軸は、可動子20の中心を通ると共に固定子30の中心をも通る。可動子20及び固定子30の中心は、夫々、可動子20及び固定子30の重心と一致しているものとする。基準静止状態における可動子20の中心位置を原点Oと呼ぶ。X軸、Y軸及びZ軸は、原点Oにて互いに交差する。固定子30の中心を原点Oに配置することができる。
【0035】
永久磁石21、固定子30及び永久磁石22が、この順番でY軸方向に沿って穴部24内に配置される。このように、振動発生器1では、可動子20が固定子30の外側に配置されることとなる(換言すれば、固定子30が可動子20の内側に配置されることとなる)。原点Oから永久磁石21に向かう方向がY軸の正側方向であり、原点Oから永久磁石22に向かう方向がY軸の負側方向であるとする。従って、XY座標面において、永久磁石21は第1及び第2象限内に位置し、永久磁石22は第3及び第4象限内に位置する。永久磁石21及び22の夫々は、概ね直方体の永久磁石である。
【0036】
永久磁石21において、S極が存在するS極面からN極が存在するN極面に向かう方向は、Y軸に沿ってY軸の正側から原点Oに向かう方向と一致する。永久磁石22において、S極が存在するS極面からN極が存在するN極面に向かう方向は、Y軸に沿ってY軸の負側から原点Oに向かう方向と一致する。このように、永久磁石21及び22のN極同士が対向するように、永久磁石21及び22が重量体23に固定される。尚、永久磁石21及び22の夫々において、N極とS極の位置関係を反対にすることも可能である。
【0037】
また、図3及び図4に示す如く、X軸方向における可動子20の両端に、1つずつ、弾性支持部40を形成する板バネ固定部41及び42が配置される。X軸に沿って原点Oから板バネ固定部41に向かう方向がX軸の正側方向であり、X軸に沿って原点Oから板バネ固定部42に向かう方向がX軸の負側方向であるとする。
【0038】
図2に示す如く、固定子30は、コイル31及び32と、X軸方向に長手方向を有する直方体の中央ヨーク33と、隙間用ヨーク34及び35と、各々が直方体形状を有するヨーク36〜39とから形成される。中央ヨーク33、隙間用ヨーク34及び35並びにヨーク36〜39を含む本明細書で述べられる任意のヨークは、十分に大きな比透磁率(例えば、数百〜数万)を持つ磁性体である。中央ヨーク33、隙間用ヨーク34及び35並びにヨーク36〜39から成る部材を固定子ヨークと呼ぶこともできる。
【0039】
図6(a)〜(d)を参照して、固定子30の構造及び形成方法を説明する。まず、断面が長方形の部材の外周に沿って巻いたコイルと同等のコイルになるように、コイル31及び32を予め形成しておき、図6(a)に示す如く、コイル31の内周側に中央ヨーク33を配置する。コイル31の中心軸の方向がX軸と平行となるように、固定子30は振動発生器1内に配置される(図2等参照)。即ち、コイル31は、X軸周りに巻かれた巻き線である。コイル31の内周側に中央ヨーク33を配置した際、コイル31と中央ヨーク33との間に隙間が生じる。この隙間が磁性体で埋まるように、図6(b)に示す如く、この隙間に隙間用ヨーク34及び35を挿入して固定する。
【0040】
更に、コイル31、中央ヨーク33、隙間用ヨーク34及び35を結合した部材に、図6(c)に示す如く、予め形成したコイル32をはめ込む。この際、コイル31の中心軸とコイル32の中心軸とが互いに直交するようにコイル32は配置される。より具体的には、コイル32の中心軸の方向はZ軸と平行とされ、コイル32はZ軸周りに巻かれた巻き線となる。コイル32の内周側になるだけ隙間なく中央ヨーク33が配置されるように、コイル32及び中央ヨーク33が形成されると共にコイル32の配置位置が決定される。
【0041】
最後に、コイル31、中央ヨーク33、隙間用ヨーク34及び35並びにコイル32を結合した部材に対して、図6(d)に示す如くヨーク36〜39を結合して固定することで、固定子30が完成する。
【0042】
尚、本実施形態では、予め形成したコイル31及び32を中央ヨーク33等に結合するようにしているが、ヨークの形状に合わせて巻き線を巻くことでコイル31及び32を形成するようにしても良い。即ち例えば、直方体形状のヨーク部材にコイル31及び32を配置するための溝を設けることで固定子30の固定子ヨークと同等の溝付ヨーク(不図示)を形成し、溝付ヨークにヨーク31及び32を巻くことで得た固定子を固定子30として用いるようにしても良い。
【0043】
図7(a)は、Z軸の正側から見た、XY座標面上における固定子30の平面図である。Z軸の負側から固定子30を見たならば、ヨーク36及び37の代わりにヨーク38及び39が観測される。図7(b)は、X軸の正側から見た、YZ座標面上における固定子30の平面図である。X軸の負側から固定子30を見たならば、ヨーク37及び39の代わりにヨーク36及び38が観測される。
【0044】
図7(a)に示す如く、XY座標面において、コイル31の中心は原点Oに位置し、コイル31をX軸の正側と負側から挟み込むようにヨーク36〜39が配置される。ヨーク36及び38の夫々は、XY座標面の第2及び第3象限に配置され、ヨーク37及び39の夫々は、XY座標面の第1及び第4象限に配置される。図7(b)に示す如く、YZ座標面において、コイル32の中心は原点Oに位置し、コイル32をZ軸の正側と負側から挟み込むようにヨーク36〜39が配置される。ヨーク36及び37の夫々は、YZ座標面の第1及び第2象限に配置され、ヨーク38及び39の夫々は、YZ座標面の第3及び第4象限に配置される。
【0045】
固定子30は、図2のスペーサ15を介して下ケース12に固定される。上述したように、上ケース11と下ケース12はケース連結部材13及び14(図4参照)を介して結合されるため、固定子30は、振動発生器1の主筐体に固定されることとなる。一方で、可動子20は、固定子30の位置を基準として振動する。この振動は、弾性支持部40を利用して実現される。
【0046】
弾性支持部40は、図2等に示されるように、板バネ固定部41及び42と、6つの板バネ41X、41Z1、41Z2、42X、42Z1及び41Z2とから成り、可動子20及び固定子30の相対位置関係が可変となるように弾性体を用いて可動子20を支持する。各板バネは、板状の金属体を折り曲げ加工等することにより形成された弾性体である。
【0047】
図8には、ZX座標面上における、弾性支持部40内の各部材と可動子20と上ケース11と下ケース12との関係が示されている。図8では、各板バネが簡略的なバネ記号にて示されている。板バネ固定部41は棒状の金属等から成る剛体であり、板バネ41X、41Z1及び41Z2の夫々の一端は板バネ固定部41に固定される。一方で、板バネ41Xの他端は可動子20の側面25に結合され(例えば接触し)、板バネ41Z1の他端は上ケース11に固定され、板バネ41Z2の他端は下ケース12に固定される。同様に、板バネ固定部42は棒状の金属等から成る剛体であり、板バネ42X、42Z1及び42Z2の夫々の一端は板バネ固定部42に固定される。一方で、板バネ42Xの他端は可動子20の側面26に結合され(例えば接触し)、板バネ42Z1の他端は上ケース11に固定され、板バネ42Z2の他端は下ケース12に固定される。
【0048】
ここで、側面25は、YZ座標面に平行であって且つX軸の正側に位置する面であり、側面26は、YZ座標面に平行であって且つX軸の負側に位置する面である。実際には、側面25及び26は重量体23の側面である。Z軸方向における可動子20と板バネ41X及び42Xとの位置関係が可動子20の振動状態においても変化しないように、その位置関係を固定する爪(不図示)等を板バネ41X及び42Xに設けるようにすると良い。或いは例えば、側面25及び26の夫々に位置決め用の溝(不図示)を設け、側面25の溝において側面25と板バネ41Xを接触させると共に側面26の溝において側面26と板バネ42Xを接触させるようにしても良い。
【0049】
板バネ41X及び42Xの伸縮方向はX軸方向である。板バネ41Xが縮むときには板バネ42Xが伸びて可動子20がX軸の正方向に移動する。逆に、板バネ41Xが伸びるときには板バネ42Xが縮んで可動子20がX軸の負方向に移動する。板バネ41X及び42Xの伸縮時において、板バネ固定部41及び42の位置は不変である(若干移動することもあるが、実質的に不変である)。
【0050】
板バネ41Z1、41Z2、42Z1及び42Z2の伸縮方向はZ軸方向である。Z軸に沿って下ケース12から上ケース11へと向かう方向がZ軸の正方向であるとする。板バネ41Z1及び42Z1が縮むときには、板バネ41Z2及び42Z2が伸びて、板バネ固定部41及び42並びに板バネ41X及び42Xと共に可動子20がZ軸の正方向に移動する。逆に、板バネ41Z1及び42Z1が伸びるときには、板バネ41Z2及び42Z2が縮んで、板バネ固定部41及び42並びに板バネ41X及び42Xと共に可動子20がZ軸の負方向に移動する。
【0051】
図9(a)及び(b)の夫々は、1つの板バネの外観斜視図である。図9(a)又は図9(b)に示されるような板バネを弾性支持部40内の各板バネとして利用することができる。尚、弾性支持部40内の弾性体は任意の弾性体であっても良い。但し、弾性体として、螺旋状の金属線から成るスプリング(不図示)ではなく板バネを用いることで弾性支持部40の大きさ、ひいては振動発生器1全体の大きさを小さくすることができる。
【0052】
次に、振動発生器1における振動発生方法を説明する。図1の電流供給部2は、コイル31及び32に個別に正弦波又は矩形波状の交流電圧を印加することで、コイル31及び32に個別に励磁電流を供給する。図1の振動制御部3は、電流供給部2を制御することで、コイル31及び32に交流電圧を印加するか否か、コイル31及び32に印加すべき交流電圧の大きさ及び周波数などを、コイルごとに制御することができる。
【0053】
図1及び図2等を含む各図面には示されていないが、下ケース12に設けられた穴などを介してコイル31の両端に電気的に接続された一対のリード線が下ケース12の外側に引き出されている。電流供給部2は、この一対のリード線に交流電圧を印加することでコイル31に交流の励磁電流を流し、これによって該励磁電流に応じた磁極が固定子30に現れる(コイル32についても同様)。後述の他の実施形態においても同様である。
【0054】
コイル31及び32に励磁電流を流しておらず可動子20の振動が停止している時(即ち、上記基準静止状態において)、板バネ41X及び42XによるX軸方向の推力(以下、X軸機械推力又はX軸方向の機械推力という)が均衡すると共に板バネ41Z1、41Z2、42Z1及び42Z2によるZ軸方向の推力(以下、Z軸機械推力又はZ軸方向の機械推力という)が均衡して、可動子20の中心は原点Oに位置する。
【0055】
コイル31に交流の励磁電流を流すことで、可動子20をX軸方向に振動させる磁気による推力(以下、X軸磁気推力又はX軸方向の磁気推力という)が発生し、X軸磁気推力とX軸機械推力に従って可動子20がX軸方向に振動する。X軸磁気推力は、コイル31に励磁電流を流すことで固定子30にて発生した磁界と、永久磁石21及び22との磁気作用によって生じる推力である。可動子20がX軸方向に振動しているとき、振動発生器1の主筐体もX軸方向に振動する。
同様に、コイル32に交流の励磁電流を流すことで、可動子20をZ軸方向に振動させる磁気による推力(以下、Z軸磁気推力又はZ軸方向の磁気推力という)が発生し、Z軸磁気推力とZ軸機械推力に従って可動子20がZ軸方向に振動する。Z軸磁気推力は、コイル32に励磁電流を流すことで固定子30にて発生した磁界と、永久磁石21及び22との磁気作用によって生じる推力である。可動子20がZ軸方向に振動しているとき、振動発生器1の主筐体もZ軸方向に振動する。
【0056】
以下、板バネ41X及び42Xの夫々を、又は、それらを総称したものをX軸用バネと呼ぶことがある。同様に、板バネ41Z1、41Z2、42Z1及び42Z2の夫々を、又は、それらを総称したものをZ軸用バネと呼ぶことがある。
【0057】
図10は、XY座標面に沿った可動子20及び固定子30の断面図である。図10において、符号YOKEが付された部分は、固定子30の固定子ヨークを形成するヨーク部分を表している。図10において、B1及びB2は、X軸用バネの機能に対応するバネ記号である。コイル31に第1方向の電流を流した時には、図10に示す如く、固定子30においてX軸の負側にN極が発生すると共にX軸の正側にS極が発生する。この時、永久磁石21及び22のN極と固定子30のN極とが反発しあう一方で永久磁石21及び22のN極と固定子30のS極とが吸引しあうため、可動子20をX軸の正方向に向かわせるX軸磁気推力が発生する。逆に、コイル31に第1方向とは逆の第2方向の電流を流した時には、固定子30においてX軸の負側にS極が発生すると共にX軸の正側にN極が発生するため、可動子20をX軸の負方向に向かわせるX軸磁気推力が発生する。従って、コイル31に交流の励磁電流を供給することで可動子20をX軸方向に振動させることができる。
【0058】
図11は、YZ座標面に沿った可動子20及び固定子30の断面図である。図11において、符号YOKEが付された部分は、固定子30の固定子ヨークを形成するヨーク部分を表している。図11において、B3〜B6はZ軸用バネの機能に対応するバネ記号である。コイル32に第1方向の電流を流した時には、図11に示す如く、固定子30においてZ軸の負側にN極が発生すると共にZ軸の正側にS極が発生する。この時、永久磁石21及び22のN極と固定子30のN極とが反発しあう一方で永久磁石21及び22のN極と固定子30のS極とが吸引しあうため、可動子20をZ軸の正方向に向かわせるZ軸磁気推力が発生する。逆に、コイル32に第1方向とは逆の第2方向の電流を流した時には、固定子30においてZ軸の負側にS極が発生すると共にZ軸の正側にN極が発生するため、可動子20をZ軸の負方向に向かわせるZ軸磁気推力が発生する。従って、コイル32に交流の励磁電流を供給することで可動子20をZ軸方向に振動させることができる。
【0059】
図12に、コイル31に印加する交流電圧の周波数とX軸方向における可動子20の変位量との関係を示す。図12の関係を調べる際、コイル31に振幅0.5V(ボルト)の正弦波交流電圧を印加した。可動子20は、X軸用バネの共振を利用してX軸方向に振動し、振動発生器1の機構特性(X軸用バネの機械的特性や重量体23の重さ等を含む)からX軸方向の共振周波数は定まる。コイル31に印加する交流電圧の周波数がX軸方向の共振周波数と一致するとき、X軸方向において大きな変位量が得られる。
図13に、コイル32に印加する交流電圧の周波数とZ軸方向における可動子20の変位量との関係を示す。図13の関係を調べる際、コイル32に振幅0.5V(ボルト)の正弦波交流電圧を印加した。可動子20は、Z軸用バネの共振を利用してZ軸方向に振動し、振動発生器1の機構特性(Z軸用バネの機械的特性や重量体23の重さ等を含む)からZ軸方向の共振周波数は定まる。コイル32に印加する交流電圧の周波数がZ軸方向の共振周波数と一致するとき、Z軸方向において大きな変位量が得られる。
X軸又はZ軸方向における共振周波数を、例えば、人体が感知しやすい周波数(150Hz程度)に設定することができる。
【0060】
上述したように、コイル31及び32の内、コイル31にのみ或いはコイル32にのみ励磁電流を供給することで可動子20をX軸又はZ軸方向に振動させることができる。但し、図1の電流供給部2は、コイル31及び32の双方に同時に励磁電流を供給することもできる。コイル31及び32の双方に励磁電流を供給すれば、X軸及びZ軸方向の機械推力とX軸及びZ軸方向の磁気推力とにより、可動子20をW軸方向に沿って振動させることできる。可動子20がW軸方向に振動しているとき、振動発生器1の主筐体もW軸方向に振動する。ここで、W軸とは、X軸及びZ軸と異なる軸である。但し、W軸は、X軸とZ軸との合成軸であるため、ZX座標面上に位置している。
【0061】
上述したように、従来の振動発生器を用いて複数の方向の振動を発生させる際、振動方向の個数分の振動発生器を用意する必要があり、システム全体のサイズが大きくなっていた。これに対し、本実施形態では、磁極を対向させた磁石対(本実施形態において永久磁石21及び22の対)の間に、巻き方向の異なる複数のコイルを持つ固定子を配置する一方で、その磁石対を有する可動子を弾性支持部にて支持するようにしている。これにより、非常に小さなサイズにて、複数の方向の振動を発生させることが可能となる。また、各方向における振動量を独立に制御することができる。尚、複数方向の振動の応用例については後述される。
【0062】
また、コイルを可動子側に配置すると振動による配線損傷が懸念されるが、コイルを固定子側に配置することで振動による配線損傷はおきにくくなる。また、可動子を固定子の外側に配置する構成を採用することで可動子のサイズを大きくすることができ、結果、定められたサイズの制約の下で、より大きな振動量を得ることが可能となる。また、図8を参照して説明したような構造を弾性支持部40に採用することで、X軸用バネ及びZ軸用バネを内包する弾性支持部40を小さなサイズにて実現することができる。
【0063】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。図14は、第2実施形態に係る振動システムの全体構成図である。第2実施形態に係る振動システムは、振動発生器101、電流供給部2及び振動制御部3を備える。
【0064】
図15は、振動発生器101の構成の概略ブロック図である。振動発生器101は、主筐体110、可動子120、固定子130及び弾性支持部140を備え、内部が空洞となっている箱状の主筐体110内に可動子120、固定子130及び弾性支持部140を設置することで振動発生器101が形成される。
【0065】
図16は、主筐体110を取り除いた振動発生器101の外観斜視図(即ち、可動子120、固定子130及び弾性支持部140の外観斜視図)である。但し、図16では、弾性支持部140を形成するバネ141〜144が、簡略的なバネ記号にて示されている。
【0066】
可動子120は、4つの永久磁石121〜124と、重量体125及び127と、可動子ヨーク126とから成る。重量体125及び127は、可動子120の質量を所望の質量に設定するための重りである。直方体形状(長方形の板状)の重りに、永久磁石121〜124並びに固定子130を配置するための穴部を設けることで重量体125が形成される。重量体125に設けられた穴部の所定位置に永久磁石121〜124が配置される。図16において、ドットで満たされた領域が可動子ヨーク126に相当する。可動子ヨーク126は、XY座標面に沿って重量体125の外周を取り囲むように重量体125に接合された、ロの字状の磁性体である。重量体127は、XY座標面に沿って可動子ヨーク126の外周を取り囲むように可動子ヨーク126に接合された、ロの字状の重りである。尚、可動子120から重量体127を削除することも可能である。
【0067】
固定子130は、概ね直方体形状を有する固定子ヨーク133と2つのコイル131及び132から成る。コイル131の中心軸がX軸に平行となり且つコイル132の中心軸がY軸と平行となるように、コイル131及び132が固定子ヨーク133に巻かれている。即ち、コイル131はX軸周りに巻かれた巻き線であり、コイル132はY軸周りに巻かれた巻き線である。固定子130として、第1実施形態に係る固定子30を用いることができる。この場合、固定子30のコイル31及び32が固定子130のコイル131及び132として機能し、固定子30の固定子ヨークが固定子130の固定子ヨーク133として機能する。但し、固定子30を固定子130として用いる場合、第1実施形態と異なり、コイル31及び32の中心軸が夫々X軸及びY軸と平行になるように、固定子130としての固定子30を可動子120の内側に配置する。
【0068】
コイル131及び132に電流を供給していなければ、可動子120は基準位置にて静止する。可動子120が基準位置にて静止している状態を基準静止状態と呼ぶ。
【0069】
図17は、Z軸方向から見た、基準静止状態における可動子120及び固定子130の平面図である。図17において、ドットで満たされた領域が可動子ヨーク126に相当し、斜線で満たされた領域が重量体125に相当する。基準静止状態において、Z軸は、可動子120の中心を通ると共に固定子130の中心をも通る。可動子120及び固定子130の中心は、夫々、可動子120及び固定子130の重心と一致しているものとする。固定子130の中心を原点Oに配置することができる。基準静止状態において可動子120の中心は原点Oに位置している。
【0070】
永久磁石121、固定子130及び永久磁石122が、この順番でX軸方向に沿って重量体125の穴部内に配置され、且つ、永久磁石123、固定子130及び永久磁石124が、この順番でY軸方向に沿って重量体125の穴部内に配置される。このように、振動発生器101では、可動子120が固定子130の外側に配置されることとなる(換言すれば、固定子130が可動子120の内側に配置されることとなる)。原点Oから永久磁石121に向かう方向がX軸の正側方向であり、原点Oから永久磁石122に向かう方向がX軸の負側方向であるとする。原点Oから永久磁石123に向かう方向がY軸の正側方向であり、原点Oから永久磁石124に向かう方向がY軸の負側方向であるとする。永久磁石121〜124の夫々は、概ね直方体の永久磁石である。
【0071】
永久磁石121において、S極が存在するS極面からN極が存在するN極面に向かう方向は、X軸に沿ってX軸の正側から原点Oに向かう方向と一致する。永久磁石122において、S極が存在するS極面からN極が存在するN極面に向かう方向は、X軸に沿ってX軸の負側から原点Oに向かう方向と一致する。
永久磁石123において、S極が存在するS極面からN極が存在するN極面に向かう方向は、Y軸に沿って原点OからY軸の正側へ向かう方向と一致する。永久磁石124において、S極が存在するS極面からN極が存在するN極面に向かう方向は、Y軸に沿って原点OからY軸の負側へ向かう方向と一致する。
このように、永久磁石121及び122のN極同士が対向するように且つ永久磁石123及び124のS極同士が対向するように、永久磁石121〜124が重量体125及び可動子ヨーク126に固定される。
【0072】
永久磁石121のS極面、永久磁石122のS極面、永久磁石123のN極面及び永久磁石124のN極面は、互いに異なる位置にて可動子ヨーク126と接しているため、可動子ヨーク126を経由した磁気回路が形成される。尚、永久磁石121〜124の夫々において、N極とS極の位置関係を反対にすることも可能である。
【0073】
固定子130は、図示されないスペーサ等を介して主筐体110に固定される。一方で、可動子120は、固定子130の位置を基準として振動する。この振動は、弾性支持部140を利用して実現される。
【0074】
弾性支持部140は、可動子120及び固定子130の相対位置関係が可変となるように弾性体を用いて可動子120を支持する部位であり、弾性体としてのバネ141〜144から形成される(図16参照)。バネ141〜144の形状及び特性は任意である。バネ141〜144の夫々は、第1実施形態で述べたような板バネであっても良いし、螺旋状の金属線から成るスプリングであっても良い。
【0075】
図16に示す如く、バネ141〜144の各一端は可動子120(より具体的には重量体127)の側面に結合されている。可動子120の側面の内、YZ座標面に平行であって且つX軸の正側に位置する側面、YZ座標面に平行であって且つX軸の負側に位置する側面、ZX座標面に平行であって且つY軸の正側に位置する側面、ZX座標面に平行であって且つY軸の負側に位置する側面に、夫々、バネ141、142、143、144の一端が結合されている。他方、バネ141及び142の伸縮方向がX軸方向となるようにバネ141の他端及びバネ142の他端は主筐体110の対向する内壁(不図示)に固定され、バネ143及び144の伸縮方向がY軸方向となるようにバネ143の他端及びバネ144の他端は主筐体110の対向する内壁(不図示)に固定されている。
【0076】
バネ141が縮むときにはバネ142が伸びて可動子120がX軸の正方向に移動する。逆に、バネ141が伸びるときにはバネ142が縮んで可動子120がX軸の負方向に移動する。バネ143が縮むときにはバネ144が伸びて可動子120がY軸の正方向に移動する。逆に、バネ143が伸びるときにはバネ144が縮んで可動子120がY軸の負方向に移動する。
【0077】
図14の電流供給部2は、コイル131及び132に個別に正弦波又は矩形波状の交流電圧を印加することで、コイル131及び132に個別に励磁電流を供給する。図14の振動制御部3は、電流供給部2を制御することで、コイル131及び132に交流電圧を印加するか否か、コイル131及び132に印加すべき交流電圧の大きさ及び周波数などを、コイルごとに制御することができる。
【0078】
コイル131及び132に励磁電流を流しておらず可動子120の振動が停止している時(即ち、上記基準静止状態において)、バネ141及び142によるX軸方向の推力(以下、X軸機械推力又はX軸方向の機械推力という)が均衡すると共にバネ143及び144によるY軸方向の推力(以下、Y軸機械推力又はY軸方向の機械推力という)が均衡して、可動子120の中心は原点Oに位置する。
【0079】
コイル131に交流の励磁電流を流すことで、可動子120をX軸方向に振動させる磁気による推力(以下、X軸磁気推力又はX軸方向の磁気推力という)が発生し、X軸磁気推力とX軸機械推力に従って可動子120がX軸方向に振動する。X軸磁気推力は、コイル131に励磁電流を流すことで固定子130にて発生した磁界と、永久磁石121〜124との磁気作用によって生じる推力である。可動子120がX軸方向に振動しているとき、振動発生器101の主筐体110もX軸方向に振動する。
コイル132に交流の励磁電流を流すことで、可動子120をY軸方向に振動させる磁気による推力(以下、Y軸磁気推力又はY軸方向の磁気推力という)が発生し、Y軸磁気推力とY軸機械推力に従って可動子120がY軸方向に振動する。Y軸磁気推力は、コイル132に励磁電流を流すことで固定子130にて発生した磁界と、永久磁石121〜124との磁気作用によって生じる推力である。可動子120がY軸方向に振動しているとき、振動発生器101の主筐体110もY軸方向に振動する。
【0080】
図18は、XY座標面に沿った可動子120及び固定子130の断面図である。コイル131に第1方向の電流を流した時には、図18に示す如く、固定子130においてX軸の正側にN極が発生すると共にX軸の負側にS極が発生する。この時、永久磁石123及び124のS極と固定子130のS極とが反発しあう一方で永久磁石123及び124のS極と固定子130のN極とが吸引しあうため、且つ、永久磁石121のN極と固定子130のN極とが反発しあう一方で永久磁石122のN極と固定子130のS極とが吸引しあうため、可動子120をX軸の正方向に向かわせるX軸磁気推力が発生する。逆に、コイル131に第1方向とは逆の第2方向の電流を流した時には、固定子130においてX軸の正側にS極が発生すると共にX軸の負側にN極が発生するため、可動子120をX軸の負方向に向かわせるX軸磁気推力が発生する。従って、コイル131に交流の励磁電流を供給することで可動子120をX軸方向に振動させることができる。
【0081】
図19も、XY座標面に沿った可動子120及び固定子130の断面図である。コイル132に第1方向の電流を流した時には、図19に示す如く、固定子130においてY軸の正側にS極が発生すると共にY軸の負側にN極が発生する。この時、永久磁石121及び122のN極と固定子130のN極とが反発しあう一方で永久磁石121及び122のN極と固定子130のS極とが吸引しあうため、且つ、永久磁石123のS極と固定子130のS極とが反発しあう一方で永久磁石124のS極と固定子130のN極とが吸引しあうため、可動子120をY軸の正方向に向かわせるY軸磁気推力が発生する。逆に、コイル132に第1方向とは逆の第2方向の電流を流した時には、固定子130においてY軸の正側にN極が発生すると共にY軸の負側にS極が発生するため、可動子120をY軸の負方向に向かわせるY軸磁気推力が発生する。従って、コイル132に交流の励磁電流を供給することで可動子120をY軸方向に振動させることができる。
【0082】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。即ち、非常に小さなサイズにて、複数の方向の振動を発生させることが可能となる。また、振動発生器101では、可動子の振動に寄与する永久磁石の数が振動発生器1のそれよりも多いため、振動発生器1よりも大きな振動量を得ることが可能となる。
【0083】
尚、可動子ヨーク126を設けた方が、可動子ヨーク126を利用した磁気回路が形成される分、大きな磁気推力を得やすくなるが、可動子120から可動子ヨーク126を削除することも可能である。この場合、可動子ヨーク126の部分を重量体に置き換えればよい。
【0084】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。図20は、第3実施形態に係る振動システムの全体構成図である。第3実施形態に係る振動システムは、振動発生器201、電流供給部2及び振動制御部3を備える。
【0085】
図21は、振動発生器201の構成の概略ブロック図である。振動発生器201は、主筐体210、可動子220、固定子230及び弾性支持部240を備え、内部が空洞となっている箱状の主筐体210内に可動子220、固定子230及び弾性支持部240を設置することで振動発生器201が形成される。
【0086】
図22は、主筐体210を取り除いた振動発生器201の外観斜視図(即ち、可動子220、固定子230及び弾性支持部240の外観斜視図)である。但し、図22では、弾性支持部240を形成するバネが、簡略的なバネ記号にて示されている。
【0087】
可動子220に設けられた永久磁石121〜124及び可動子ヨーク126は、第2実施形態の可動子120に設けられたそれらと同じものである。更に、可動子220におけるXYZ座標系と永久磁石121〜124及び可動子ヨーク126との位置関係も、可動子120におけるそれらと同じである。但し、可動子220には可動子ヨーク125(図16参照)に相当するヨークが存在せず、一方で重量体127’が設けられている。図22において、斜線が付された領域が重量体127’に相当する。重量体127’は、可動子ヨーク126の外周の一部を覆うように可動子ヨーク126に結合される。更に、図22に示す如く、可動子ヨーク126の外周が存在しない部分にも重量体127’の一部が配置されうる。
【0088】
固定子230は、第2実施形態の固定子130と同じものであり、固定子130と同様、コイル131及び132と固定子ヨーク133から成る。コイル131、コイル132及び固定子ヨーク133とXYZ座標系との位置関係は固定子130及び230で同じである。故に、固定子230のコイル131及び132の中心軸は、夫々、X軸及びY軸と平行である。更に、可動子220及び固定子230間の位置関係は、第2実施形態の可動子120及び固定子130間の位置関係と同じである。故に、第2実施形態と同様、振動発生器201では、可動子220が固定子230の外側に配置されることとなる(換言すれば、固定子230が可動子220の内側に配置されることとなる)。
【0089】
また、第2実施形態と同様、コイル131及び132に電流を供給していなければ、可動子220は基準位置にて静止する。可動子220が基準位置にて静止している状態を基準静止状態と呼ぶ。基準静止状態において、Z軸は、可動子220の中心を通ると共に固定子230の中心をも通る。可動子220及び固定子230の中心は、夫々、可動子220及び固定子230の重心と一致しているものとする。固定子230の中心を原点Oに配置することができる。基準静止状態において可動子220の中心は原点Oに位置している。振動発生器201において、永久磁石121〜124の磁極の決定方法も第2実施形態で述べたとおりである。
【0090】
固定子230は、図示されないスペーサ等を介して主筐体210に固定される。一方で、可動子220は、固定子230の位置を基準として振動する。この振動は、弾性支持部240を利用して実現される。
【0091】
弾性支持部240は、可動子220及び固定子230の相対位置関係が可変となるように弾性体を用いて可動子220を支持する部位であり、第2実施形態の弾性支持部140と同様(図16参照)、弾性体としてのバネ141〜144から形成される。第3実施形態における電流供給部2及び振動制御部3は、第2実施形態のそれらと同じものである。従って、振動発生器201においても、振動発生器101と同様、X軸方向の振動とY軸方向の振動を発生させることができる。
【0092】
この他、矛盾なき限り、第2実施形態における説明(バネ141〜144に対する説明、コイル131及び132に励磁電流を供給することによる振動発生の説明(図18及び図19)を含む)が本実施形態にも適用される。この適用の際、第2実施形態における説明文中の振動発生器101、主筐体110、可動子120、固定子130、弾性支持部140及び重量体127を、夫々、振動発生器201、主筐体210、可動子220、固定子230、弾性支持部240及び重量体127’に読み替えればよい。
【0093】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。即ち、非常に小さなサイズにて、複数の方向の振動を発生させることが可能となる。また、振動発生器201では、可動子の振動に寄与する永久磁石の数が振動発生器1のそれよりも多いため、振動発生器1よりも大きな振動量を得ることが可能となる。
【0094】
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態では、振動システムの応用例について説明する。図23は、第4実施形態に係る端末装置(携帯端末)400の外観図である。端末装置400は、携帯電話機、携帯情報端末などの電子機器である。以下では、端末装置400が携帯電話機であることを想定する(以下の携帯電話機を、端末装置又は電子機器と読み替えることも可能である)。
【0095】
図24に示す如く、携帯電話機400には、少なくとも振動システム401、スピーカ402及び主制御部403が搭載される。符号410は、携帯電話機400の筐体を表している。振動システム401は、第1、第2又は第3実施形態に係る振動システムである。以下では、説明の具体化のため、振動システムが第1実施形態の振動システムであることを想定する。そうすると、振動システム401は、振動発生器1、電流供給部2及び振動制御部3から成る(図1参照)。スピーカ402の振動板(不図示)を振動させることでスピーカ402から音を出力させることができる。主制御部403は、振動システム401及びスピーカ402を含む、携帯電話機400内の各部位の動作を統括的に制御する。振動システム401内の振動発生器1の主筐体は携帯電話機400の筐体410に固定されている。従って、振動システム401内の振動発生器1にて振動が発生した際、その振動は筐体410に伝わって筐体410を振動させる。ユーザが携帯電話機400の筐体410を手で持っているとき、筐体410の振動は該手に伝わる。振動システム401内の振動発生器1におけるX軸方向の振動は筐体410及びユーザの手にX軸方向の振動として伝わり、振動システム401内の振動発生器1におけるZ軸方向の振動は筐体410及びユーザの手にZ軸方向の振動として伝わる。
【0096】
主制御部403は、着信時や電子メールの受信時などにおいて、携帯電話機400の筐体410を振動させるべく振動システム401内の振動発生器1を振動させることができる。一方で、主制御部403は、スピーカ402の振動板(不図示)を振動させるために振動システム401を利用することができる。具体的には例えば、X軸方向における振動発生器1の振動によって携帯電話機400の筐体410を振動させ、Z軸方向における振動発生器1の振動によって上記振動板(不図示)を振動させてスピーカ402から音を出力させることができる。この場合、Z軸方向における振動発生器1の振動によっては、携帯電話機400の筐体410が振動しない程度に(Z軸方向における振動発生器1の振動がユーザに感知されない程度に)、Z軸方向における振動発生器1の振動量を決定すると良い。
【0097】
従来の携帯電話機では、筐体振動用の振動発生器とスピーカ用の振動発生器を別個に用意する必要があったが、上述のような携帯電話機400を形成するようにすれば、筐体振動用の振動発生器とスピーカ用の振動発生器を1つにまとめることができる。これが、携帯電話機の小型化、低コスト化に寄与することは言うまでもない。
【0098】
また、携帯電話機400に力学ナビゲーション機能を搭載するようにしても良い。力学ナビゲーション機能は、携帯電話機400を所持するユーザを目的地に導く際に利用される。
【0099】
具体的な使用例を説明する。力学ナビゲーション機能を利用するユーザは、目的地を携帯電話機400に入力する。そして、振動発生器1に対して定義されたZX座標面が水平面と一致し且つZ軸の正側がユーザの前方と一致し且つX軸の正側がユーザの右側と一致するように、ユーザは携帯電話機400を手で持つ。携帯電話機400は、GPS(Global Positioning System)衛星から送られてくるGPS信号を受信することにより携帯電話機400の現在地を認識することができ、また、GPS信号又は予め記録されている情報から、現在地周辺の地図情報を取得する。
【0100】
今、携帯電話機400の現在地がA地点であって、携帯電話機400に入力された目標地がB地点であるとする。主制御部403は、現在地に関する情報及び地図情報から、ユーザをB地点に到達させるために必要な進行方向を決定する。単純には例えば、A及びB地点間に障害物がまったく存在しない場合において、A地点にいるユーザから見てB地点がZ軸の正側に位置するならば進行方向はユーザの前方向であると決定し、A地点にいるユーザから見てB地点がW軸の正側に位置するならば進行方向はユーザの右斜め前方向であると決定する。ここにおけるW軸は、X軸とZ軸の中間の軸であるとする。そして、進行方向がユーザの前方向である場合、主制御部403は振動発生器1をZ軸方向に振動させ、進行方向がユーザの右斜め前方向である場合、主制御部403は振動発生器1をW軸方向に振動させる。
【0101】
振動発生器1の振動は携帯電話機400の筐体410に伝達される。従って例えば、振動発生器1がX軸方向に振動すれば、携帯電話機400の筐体410もX軸方向に振動し、振動発生器1がW軸方向に振動すれば、携帯電話機400の筐体410もW軸方向に振動する。
【0102】
ユーザは、筐体410の振動方向を手で感知し、感知した方向へ進む。携帯電話機400の表示画面を見ながら歩行することは安全面において望ましくないが、力学ナビゲーション機能を利用するユーザは、携帯電話機400の表示画面を見ることなく、直感的に且つ安全に目的地に到達することができる。また、目が不自由なユーザにとっても、力学ナビゲーション機能は有益である。
【0103】
<<変形等>>
上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈4を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
【0104】
[注釈1]
上述の各実施形態において、固定子に設けられた複数のコイルの巻き方向は互いに直交しているが、その複数のコイルの巻き方向は互いに直交していなくても良い(換言すれば、複数のコイルの中心軸は互いに直交していなくても良い)。即ち例えば、振動発生器1のコイル31の中心軸がX軸であるとき、振動発生器1のコイル32の中心軸は必ずしもZ軸である必要はなく、X軸とZ軸の中間の軸などであっても良い。振動発生器1のコイル32の中心軸がZ軸と異なる場合、コイル32の中心軸方向に応じた方向に弾性支持部40内の弾性体が伸縮するように、弾性支持部40を上述したものから変形すればよい。振動発生器101及び201についても同様である。
【0105】
[注釈2]
第1実施形態の振動発生器1では、磁極を対向させた磁石対が1組設けられ、第2又は第3実施形態の振動発生器101又は201では、磁極を対向させた磁石対が2組設けられているが、本発明はこれに限定されない。即ち、振動発生器に、磁極を対向させた磁石対を3組以上設けるようにしても良い。振動発生器に磁極を対向させた磁石対を3組以上設ける場合、その組数に合わせて、固定子に設けられるコイルの個数(巻き方向が互いに異なるコイルの個数)を3以上にするようにしても良い。
【0106】
[注釈3]
上述の振動発生器101では(図16及び図18等参照)、バネ141〜144の伸縮方向がコイル131又は132の中心軸の方向と平行となっているが、前者の方向と後者の方向が平行とならないようにバネ141〜144の取り付け位置及び取り付け方向を変形しても良い。取り付け位置及び取り付け方向の変更が成されたバネ141〜144を、便宜上、夫々符号141a〜144aにて表す。バネ141a〜144aの例を図25に示す。図25は、バネ141a〜144aを有する振動発生器101の可動子120及び固定子130の断面図(XY座標面に沿った断面図)である。
【0107】
図25では、XY座標面上の第1、第2、第3、第4象限に夫々バネ141a、143a、142a、144aが配置されている。バネ141a及び142aの伸縮方向がU軸の方向と平行となるように、バネ141a及び142aの各一端が可動子120の側面(図25において可動子120の側面の角部)に結合されていると共にバネ141a及び142aの各他端が主筐体110(図15参照)の対向する内壁(不図示)に固定されている。一方で、バネ143a及び144aの伸縮方向がV軸の方向と平行となるように、バネ143a及び144aの各一端が可動子120の側面(図25において可動子120の側面の角部)に結合されていると共にバネ143a及び143aの各他端が主筐体110(図15参照)の対向する内壁(不図示)に固定されている。U軸はX軸とY軸の中間の軸であり、V軸はU軸及びZ軸の夫々に直交する軸である。但し、原点OからXY座標面の第1象限に向かう方向がU軸の正側の方向であって、且つ、原点OからXY座標面の第2象限に向かう方向がV軸の正側の方向であるとする。
【0108】
バネ141aが縮むときにはバネ142aが伸びて可動子120がU軸の正方向に移動する。逆に、バネ141aが伸びるときにはバネ142aが縮んで可動子120がU軸の負方向に移動する。バネ143aが縮むときにはバネ144aが伸びて可動子120がV軸の正方向に移動する。逆に、バネ143aが伸びるときにはバネ144aが縮んで可動子120がV軸の負方向に移動する。
【0109】
コイル131及び132に励磁電流を流しておらず可動子120の振動が停止している時(即ち、上記基準静止状態において)、バネ141a及び142aによるU軸方向の推力(以下、U軸機械推力又はU軸方向の機械推力という)が均衡すると共にバネ143a及び144aによるV軸方向の推力(以下、V軸機械推力又はV軸方向の機械推力という)が均衡して、可動子120の中心は原点Oに位置する。
【0110】
上述したように、コイル131に励磁電流を流すことでX軸方向の磁気推力を発生させることができ、コイル132に励磁電流を流すことでY軸方向の磁気推力を発生させることができる。従って、コイル131及び132に供給されるべき励磁電流の向き及び大きさを適切に設定した上でコイル131及び132に同時に励磁電流を供給すれば、可動子120をU軸方向に振動させる磁気による推力(以下、U軸磁気推力又はU軸方向の磁気推力という)又は可動子120をV軸方向に振動させる磁気による推力(以下、V軸磁気推力又はV軸方向の磁気推力という)を発生させることが可能である。U軸磁気推力及びV軸磁気推力の夫々は、コイル131及び132に励磁電流を流すことで固定子130にて発生した磁界と、永久磁石121〜124との磁気作用によって生じる推力である。図25の構成では、コイル131及び132に同時に適切な励磁電流を流すことで発生したU軸磁気推力とU軸機械推力とにより可動子120をU軸方向に振動させることができ、コイル131及び132に同時に適切な励磁電流を流すことで発生したV軸磁気推力とV軸機械推力とにより可動子120をV軸方向に振動させることができる。
【0111】
可動子120の振動方向をU軸又はV軸方向とするためのバネ141a〜144aの取り付け位置及び取り付け方向を説明したが、バネ141a〜144aの取り付け位置及び取り付け方向を更に変形することで、可動子120の振動方向をU軸又はV軸方向と異ならせることも可能である。また、バネ141a〜144aについての上記説明は、第3実施形態(図22参照)にも適用可能である。
【0112】
[注釈4]
本発明に係る振動発生器を携帯電話機等の端末装置400(図23及び図24参照)に搭載する実施形態を上述したが、本発明に係る振動発生器は、端末装置400に限らず、任意の機器に搭載されうる。
【符号の説明】
【0113】
1、101、201 振動発生器
2 電流供給部
3 振動制御部
11 上ケース
12 下ケース
13、14 ケース連結部材
15 スペーサ
20、120、220 可動子
21、22、121〜124 永久磁石
23、125、127 重量体
126 可動子ヨーク
30、130、230 固定子
31、32、131、132 コイル
33 中央ヨーク
34、35 隙間用ヨーク
36〜39 ヨーク
133 固定子ヨーク
40、140、240 弾性支持部
41、42 板バネ固定部
41X、41Z1、41Z2、42X、42Z1、42Z2 板バネ
141〜144 バネ
400 端末装置
410 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁極を対向させた磁石の対を1組以上有する磁石部と、
前記磁石部を形成する複数の磁石間に配置された磁性体と、
巻き方向が互いに異なるように、前記磁性体に巻かれた複数のコイルと、
前記磁石部及び前記磁性体間の相対位置関係が可変となるように弾性体を用いて前記磁石部を支持する弾性支持部と、を備え、
前記複数のコイルに独立に電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用を用いて、互いに異なる複数の方向の振動を発生させる
ことを特徴とする振動発生器。
【請求項2】
前記磁性体と前記複数のコイルは、当該振動発生器の主筐体に固定された固定子を形成する一方で、
前記磁石部は、前記固定子の位置を基準に振動する可動子を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の振動発生器。
【請求項3】
前記可動子は、前記固定子の外側に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の振動発生器。
【請求項4】
前記弾性支持部は、第1方向に伸縮する第1弾性体と、前記第1方向とは異なる第2方向に伸縮する第2弾性体と、を備え、
当該振動発生器は、前記磁気作用と前記第1弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第1方向に振動させ、前記磁気作用と前記第2弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第2方向に振動させる
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の振動発生器。
【請求項5】
前記弾性支持部は、前記第1弾性体の一端及び前記第2弾性体の一端に結合された弾性体固定部を更に備え、
前記第1弾性体の他端は前記可動子に結合されるとともに前記第2弾性体の他端は前記主筐体に結合される
ことを特徴とする請求項4に記載の振動発生器。
【請求項6】
前記複数のコイルには、前記第1方向に平行な中心軸を有する第1コイルと、前記第2方向に平行な中心軸を有する第2コイルが含まれ、
当該振動発生器は、前記第1コイルに電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用及び前記第1弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第1方向に振動させ、前記第2コイルに電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用及び前記第2弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第2方向に振動させる
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の振動発生器。
【請求項7】
前記複数のコイルに同時に電流を供給することで、各コイルの中心軸方向と異なる方向に前記可動子を振動させる
ことを特徴とする請求項2〜請求項6の何れかに記載の振動発生器。
【請求項8】
磁極を対向させた磁石の対として、前記磁石部には第1及び第2の対が含まれ、
前記第1の対において対向し合う磁極は同一極であるとともに前記第2の対において対向し合う磁極も同一極であり、
前記第1の対において対向し合う磁極及び前記第2の対において対向し合う磁極の内、一方はN極であって他方はS極である
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の振動発生器。
【請求項9】
前記弾性支持部は、第1方向に伸縮する第1弾性体と、前記第1方向とは異なる第2方向に伸縮する第2弾性体と、を備え、
前記複数のコイルには、前記第1方向に平行な中心軸を有する第1コイルと、前記第2方向に平行な中心軸を有する第2コイルが含まれ、
前記第1の対では、前記第1方向において磁極が対向し合い、
前記第2の対では、前記第2方向において磁極が対向し合い、
当該振動発生器は、前記第1コイルに電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用及び前記第1弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第1方向に振動させ、前記第2コイルに電流を供給することで発生する磁界と前記磁石部との磁気作用及び前記第2弾性体の推力を用いて前記可動子を前記第2方向に振動させる
ことを特徴とする請求項8に記載の振動発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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