説明

振動締固め機

【課題】 この発明は、出力軸を傾けても転圧板が路面などの振動伝達面と常に面接触を保持した状態を維持して不慮の作業中断を防止すると共に、作業者が立った姿勢のままで、オーバーハング部分の締固めを行うことのできる手持ち式の締固め機を得ることを課題とするものである。
【解決手段】 この発明の振動締固め機は、転圧板1の上面に振動発生体4を水平軸を中心として回動可能に取り付け、前記振動発生体4の入力軸にモーター12の出力軸13を接続し、前記モーターには把持部15を設けて構成する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート表面仕上げ及び路面の締固めなどに使用される手持ち式の振動締固め機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の振動締固め機として、転圧板の上面に振動体のケーシングを固着し、このケーシング内の回転軸にモーターの出力軸を接続したものは存在するが、転圧板とモータ−の出力軸との角度を変化させることができるものは存在しない。
また、転圧板の上面に振動発生体とエンジンが登載され操作ハンドルを有する手押し式の振動締固め機においては、操作ハンドルが回動できる構造となっている。
【特許文献1】特開平11−350417号
【0003】
上記特許文献に開示された発明は、転圧板の上面に旋回テーブルを取り付け、この旋回テーブルに振動発生体とエンジンを搭載すると共に、旋回テーブルに操作ハンドルを回動可能に取り付けたものである。
この発明においては操作ハンドルと転圧板との角度を任意に変化させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、手持ち式の締固め機においては、転圧板とモーターの出力軸との角度を変化させられるものは存在しない。そして、手押し式の締固め機では操作ハンドルと転圧板との角度を変化できるものが存在するが、手押し式の締固め機は転圧板にエンジンが搭載されているので上下寸法が大きい。そのために、オーバーハング部分で上下寸法が小さい場合、手押し式の締固め機で作業することができない。
そこで、手持ち式の締固め機で上下寸法を小さくしたものを用いてオーバーハング部分の締固めを行わざるを得ないが、上下寸法が小さいので作業者がかがみ込んで作業をしなければならず、作業性が悪い。
また、手持ち式の締固め機においては、作業者がモーターの出力軸を作業中に傾けてしまうことがあるが、その際に転圧板と出力軸との角度が固定されていると、出力軸を傾けたとき転圧板も傾いてしまい、転圧作業が事実上中断する。
【0005】
この発明は、出力軸を傾けても転圧板が路面などの振動伝達面と常に面接触を保持した状態を維持して不慮の作業中断を防止すると共に、作業者が立った姿勢のままで、オーバーハング部分の締固めを行うことのできる手持ち式の締固め機を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の振動締固め機は、転圧板の上面に振動発生体を水平軸を中心として回動可能に取り付け、前記振動発生体の入力軸にモーターの出力軸を接続し、前記モーターには把持部を設けて構成する
請求項2は前記振動発生体の好ましい構成であって、ケーシング内に偏心ウエイトを取り付けた横軸を配設し、この横軸に1組のベベルギヤを介して縦軸を配設し、この縦軸にモーターの出力軸を接続して構成したものである。
前記出力軸の長さは、モーターの把持部が立ち姿勢の作業者の手の位置となる程度のものが好ましい。そして、出力軸と振動発生体とは着脱自在としておくと、同一のモーターなど出力部分を振動発生体以外の他の機能の作動部材(例えばくい打ち装置など)に連結して使用することが可能である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、振動体が水平軸を中心として回動可能である。したがって、従来のこの種の締固め機においてはモーターの出力軸は転圧板と垂直に固定されていたところ、この発明においてはモーターの出力軸を転圧板に対して傾いた状態として締固め作業を行うことができる。
そのために、出力軸の角度に係わらず転圧板は振動伝達面に面接触状態を維持するので、不慮の作業中断が回避される。また、上下の間隔が小さなオーバーハング部分においても上下寸法の大きな締固め機を用いて、作業者は立ち姿勢のままで締固め作業を行うことができ、作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下この発明の実施形態を説明する。
図において、転圧板1の上面に振動発生体を保持する1対のブラケット2が対向して設置してある。この各ブラケット2の内側面に凸設した円柱状凸部3に振動発生体4のケーシング5の両側に形成した断面円形の凹部6をが嵌装することにより、振動発生体4を転圧板1の上面に水平軸を中心に回動可能な状態に取り付けてある。
【0009】
前記振動発生体4のケーシング5内には、前記ブラケットへの取付用の凹部6間に横軸7を配設し、この横軸7の両側に偏心ウエイト8を取り付けてある。またこの横軸7の中央部にはベベルギヤ9が取り付けてある。
前記ケーシング5の上部にはベアリング10を有する軸受部11が形成してあり、この軸受部11をモーター12の出力軸13が挿通し、その先端部に取り付けたベベルギヤ14を前記横軸7の前記ベベルギヤ9に螺合させてある。
【0010】
前記モーター12の出力軸13は、モーター12の把持部15が立ち姿勢の作業者の手の位置に位置する程度の長さ(50センチ程度)としてあり、その基部はモーター12の回転軸(図示しない)に連結してある。
【0011】
図4、5は振動発生体4の転圧板1への別の取り付け構造を示すものである。
振動発生体4のケーシング4の両側下部に取り付け用の突片21を設け、これらの突片を転圧板1の上面に取り付けた1対のブラケット22に回動可能に軸止してある。前記ブラケット22はそれぞれ平行な2枚の板で構成し、2枚の板の間に前記突片21が挟み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0012】
この発明は、手持ち式の締固め装置における回転軸を回動可能とするものであって、作業性の向上に資するものであり産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明実施形態の形動状態を示す正面図
【図2】同じく振動発生体を断面で示した側面図
【図3】同じく振動発生体の断面図
【図4】振動発生体の転圧板への別の取り付け態様を示す側面図
【図5】同じく形動状態を示す一部を省略した正面図
【符号の説明】
【0014】
1 転圧板
2 ブラケット
3 凸部
4 振動発生体
5 ケーシング
6 凹部
7 横軸
8 偏心ウエイト
9 ベベルギア
10 ベアリング
11 軸受部
12 モーター
13 出力軸
14 ベベルギア
15 把持部
21 突片
22 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転圧板の上面に振動発生体が水平軸を中心として回動可能に取り付けられ、前記振動発生体の入力軸にモーターの出力軸が接続され、前記モーターには把持部が設けられた、振動締固め機
【請求項2】
振動発生体は、ケーシング内に偏心ウエイトを取り付けた横軸が配設され、この横軸に1組のベベルギヤを介して縦軸が配設され、この縦軸にモーターの出力軸が接続された、請求項1記載の振動締固め機

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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