説明

振動部材およびそれを使用したマッサージ装置

【課題】人体表面に存在する任意のツボに個別的に使用でき、しかもいつでも気軽にマッサージできると共に、マッサージしていることを他人に気づかれにくいものとすること。
【解決手段】振動部材2aは、固定部材によって人体の表面へ固定された状態で振動可能であり、人体に対向する平面図面積が0.25cm以上9cm以下とされ、人体表面の任意のツボ領域を個別に振動可能な大きさである。またマッサージ装置1は、人体の表面へ固定する固定部材によって固定した状態で振動可能であると共に人体に対向する平面図面積が0.25cm以上9cm以下とされ、人体表面の任意のツボ領域を個別に振動可能な大きさの振動部材2aと、振動部材2aへの電力を供給する電力供給部14を有し、電力供給部14と振動部材2aとが、電力の供給経路となる電線8にて接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動部材およびその振動部材を使用したマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から振動によってマッサージ効果を得る装置は存在する。たとえば、振動モータを用いて振動を発生させ、足裏全体をマッサージする装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−235372号公報(要約書参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般にマッサージ装置に用いられる振動部材は、人体表面に存在する特定のツボ(たとえば特許文献1に示される足裏の複数のツボ)をマッサージするためのもので用途が限定される。また、一般にマッサージ装置は大きく、かさばるため、人知れずマッサージすることはできない。
【0005】
そこで本発明が解決しようとする課題は、人体表面に存在する任意のツボに個別に使用でき、しかもいつでも気軽にマッサージできると共に、マッサージしていることを他人に気づかれにくい振動部材、およびそれを用いたマッサージ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の、固定部材によって人体の表面へ固定された状態で振動可能であり、人体に対向する平面図面積が0.25cm以上9cm以下とされ、人体表面の任意のツボ領域を個別に振動可能な大きさである。
【0007】
この発明によれば、この振動部材が人体の表面へ固定する固定部材によって固定された状態で振動可能であり、極めて小さいため、この振動部材をマッサージ装置に使用した場合、手を使わずにマッサージでき、また使用をしていることを他人に知られ難いため、いつでも気軽に使用できる。また、振動部材の平面図面積が極めて小さく、人体表面の任意のツボ領域を個別に振動可能な大きさであることから、人体表面に存在する任意のツボに個別に使用できるものとなる。
【0008】
他の発明は、上述の発明に加え、振動部材は、表面に突起を有している。この突起が人体表面のツボへの押圧力を集中させ、マッサージ効果を高める。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のマッサージ装置は、人体の表面へ固定する固定部材によって固定した状態で振動可能であると共に人体に対向する平面図面積が0.25cm以上9cm以下とされ、人体表面の任意のツボ領域を個別に振動可能な大きさの振動部材と、振動部材への電力を供給する電力供給部を有し、電力供給部と振動部材とが、電力の供給経路となる電線にて接続されている。
【0010】
この発明によれば、人体の表面へ固定する固定部材によって固定した状態で振動可能であり、また極めて小さいため、手を使わずにマッサージでき、また使用をしていることを他人に知られ難いため、いつでも気軽にこのマッサージ装置を使用できる。また、振動部材の平面図面積が極めて小さく、人体表面の任意のツボ領域を個別に振動可能な大きさであることから、人体表面に存在する任意のツボに個別に使用できるものとなる。
【0011】
他の発明は、上述の発明に加え、振動部材は、着衣と当該着衣を身につける人体表面の間に挿入され易くするための扁平かつ外周が中心に比べ薄くとされている。この構成を採用することで、着衣に覆われた人体表面へも、着衣を外さずに振動部材を固定させることができることに加え、マッサージをしていることを他人に知られ難くなる。
【0012】
他の発明は、上述の発明に加え、電線には、電線よりも引っ張り強度の強い電線補強用の紐が、電線に沿って配置され、電線および紐を共に振動部材とは逆側に引っ張ると、紐の張力が電線よりも優先して高められる。この構成を採用することにより、電線を振動部材とは逆側に引っ張る力が加えられた場合でも、電線の断線および電線と振動部材との電気接続部分の破壊に伴う断線が抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、人体表面に存在する任意のツボに個別に使用でき、しかもいつでも気軽にマッサージできると共に、マッサージしていることを他人に気づかれにくい振動部材、およびはそれを用いたマッサージ装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態の振動部材およびマッサージ装置について説明する。まず、図1から図5を参照しながら、本実施の形態に係るマッサージ装置および振動部材について説明する。図1(A)は、マッサージ装置1の一部を構成する、振動部材2aの縦断面概要図で、図1(B)は、マッサージ装置1の振動部材2aの斜視図の一例である。振動部材2aは、いわゆる扁平状のボタン型の振動モータ3と、この振動モータ3を被覆し、人体表面を傷付け難い柔らかい材質(ゴム系)の樹脂部4を有する。この振動部材2aは、全体として扁平かつ外周が中心に比べ薄くで、その平面部における外形で囲まれる面積(この本願では、「平面図面積」という。)が、1.5cmとされている。
【0015】
また、振動モータ3と樹脂部4との間には、隙間5が設けられている。この隙間5は、樹脂部4の内、振動モータ3の上下面となる大きな平面と対向する部分にのみ存在し、外側面および振動モータ3の側面と対向する部分には存在しない。この隙間5は、振動モータ3が樹脂部4の中に封止された状態でも、樹脂部4が振動モータ3の振動を過剰に抑えることなく、十分な振動量が得られるように機能する。この隙間5を設けるために、樹脂部4と振動モータ3の2つの対向する平面との接触は、樹脂部4の内面壁に設けられた任意の第1の突起6のみによりなされている。この第1の突起6の形状および配置は、任意とすることができる。また、樹脂部4の外面壁には、人体表面のツボ領域への押圧力を集中させてマッサージ効果を強めるための第2の突起7が外面壁全体に渡って設けられている。振動部材2aの大きさは、その平面図面積が1.5cmとされ、ちょうど人の指でツボを押圧するときの、人の指の人体への接触面積と略同じとされている。
【0016】
振動モータ3は、たとえば厚み3mm、径が10mm程度の小型の円盤状のものである。振動モータ3を扁平状かつ小型とすることにより、振動部材2aを扁平かつ外周が中心に比べ薄くすることができ、着衣と当該着衣を身につける人体表面の間に挿入可能な大きさにできる。また、挿入をより容易とするために、外周が中心に比べ薄くされている。このため、人体表面の任意のツボ領域(たとえば、足裏、肩、首筋、背骨に沿った領域、腰等の表面に点在する個別のツボ領域)への振動付与が可能となる。なお、隙間5は、たとえば第1の突起6の高さを約1mmとして、その分の距離(1mm)の隙間5としている。
【0017】
図1(A)に示す電線8は、後述する電力供給部からの電力を伝達し、振動モータ3を動作させる。この電線8は、銅線の側面を樹脂で被覆した広く流通しているものを用いることができる。振動モータ3と電線8との電気接続は、はんだ付けまたは導電性接着剤の固着力等により実現され、その接続部は第1の接着剤9により保護・固定されている。また、電線8と振動部材2aとの固着力を高めるべく、電線8の側面を被覆する樹脂と、振動モータ3の2つの対向する平面をつなぐ側面とを、第2の接着剤10にてさらに固着している。この第2の接着剤10で形成される部分の外周面には、たとえば第3の突起11が全周に渡って、または間隔をおいて複数箇所に設けられている。この第3の突起11は、振動モータ3が樹脂部4の中に封止された状態を維持することで、両者間の位置が振動によりずれて、樹脂部4が可塑変形して劣化するのを防止する。
【0018】
図2は、第1の実施の形態に係るマッサージ装置1の全体像を示す図である。マッサージ装置1は、振動部材2a、電線8、カバー13および電力供給部14から構成されている。なお、図2では、電力供給部14の電池15の収容部と、後述するコネクタ18の部分については、電池15やコネクタ18が表れるような一部切り欠き図としている。この実施の形態の電力供給部14は、携帯に適したペン型の形状としている。電源スイッチ兼用フック16は、そのフックを使用者が身に付けている着衣の一部に引っ掛けておき、マッサージ装置1を着衣に固定することができる。また、ストラップ用フック17に掛けたストラップを、使用者の首や手首に掛けて、マッサージ装置1を携帯することもできる。
【0019】
また、電源スイッチ兼用フック16は、たとえばそのフック部分を電力供給部14側に押し込むことでマッサージ装置1の電源をオン・オフできる。すなわち、一度押し込むとオンになり、再度押し込むとオフになるというように、押し込むたびにオン・オフを繰り返すものとなっている。ここで、ストラップ用フック17は、後述の図10に示すように、電源スイッチ兼用フック16の一部に穴を設けることで形成でき、そのときは電源スイッチ兼用フック16とストラップ用フック17とを一部材として扱うことができる。
【0020】
図2に示す電力供給部14と電線8との接続は、チャック式の取り外し自由なコネクタ18にてなされている。なお、コネクタ18は、他の部材との区別を図るため、黒塗り状態としている。図3(A)は、図2におけるコネクタ18の部分を示しており、図3(B)は、電力供給部14からコネクタ18の部分を矢印方向に外した状態を示している。コネクタ18を取り外し自由としたのは、異なる形状の振動部材2aへと取り替えるのに便利なためである。また、長時間の使用により振動部材2aが劣化した場合等に、新しい振動部材2aへと交換する際に便利なためである。また、所定のツボ専用の振動部材2aの場合、他のツボに対して他のツボ専用の振動部材2aに取り替えるのに便利なためである。
【0021】
また、図2に示すコネクタ18と電池15の間には、電力供給が行われている事を知らせるための、ランプ19および音声発生部20が配置されている。これらの一方または両方を使用することにより、たとえば振動部材2aを使用しないにもかかわらず、長時間電源がオンになっている場合に、目または耳の不自由な方に対して無駄な電力供給がされていることを知らせることができる。ランプ19および音声発生部20への電力供給は、たとえば電池15と振動部材2aとの電気接続経路に直列または並列に、ランプ19および音声発生部20への電力供給経路を設ける。すると、振動部材2aへ電力供給すると同時にランプ19および音声発生部20への電力供給がなされ、振動部材2a、2bへ電力供給を停止すると同時にランプ19および音声発生部20への電力供給が停止する機構となる。
【0022】
図2に示す電力供給部14の電池15の下部には、収容部21を設けている。収容部21には、たとえば振動部材2aを洗浄するための、アルコール系等の液体を収容し、液滴状またはスプレー状に、その液体を吐出させる機構を設けることができる。この場合、収容部21に収容したアルコール系の液体は、洗浄ばかりでなく消臭作用を有するため、振動部材2aの洗浄剤として好適である。このような洗浄および消臭を行うことで、振動部材2aを他人へ貸し渡すことに抵抗を感じ難くなる。また、収容部21には、たとえば振動部材2aを人体の表面に固定するための接着テープ12を収容し、必要に応じてその接着テープ12を取り出し、使用することができるようにしても良い。
【0023】
図2に示すカバー13は、振動部材2aを収容する。ここで、カバー13は、振動部材2aを使用しない時には振動部材2aを覆い(収容し)、使用時には振動部材2aを露出させるよう、回転軸22により上蓋13aと下の容器13bとが開閉自由な構造となっている。カバー13の一部には、電線8が通過可能で、かつ振動部材2aを通過させない大きさの穴23が設けられている。この穴23に電線8を通過させ、たとえばその通過させた後に穴23の径よりも大きなストッパー24を、カバー13と電力供給部14との間の電線8に取り付け固定することで、マッサージ装置1の使用時に、カバー13を振動部材2aと電力供給部14との間の電線8で保持でき、カバー13の紛失を効果的に防止できると共に、振動部材2aを誤って紛失してしまうのを防止できる。また、電力供給部14とカバー13の間の電線8を引っ張ることで、振動部材2aを容易にカバー13内に収容できる。
【0024】
上蓋13aに設けられている貫通孔となる空気穴25は、水洗い後等の湿った状態の振動部材2aがカバー13内に収容されたとしても、水分を容易にカバー13の外に排出できるようにするものである。また、この空気穴25によって湿った状態の振動部材2aをカバー13に収容した場合であっても自然乾燥でき、人体から発せられる汗等の水分の存在に起因するカビ等の発生および、ばい菌の増殖等を抑制できる。
【0025】
図4は、図2に示したカバー13の構造および、カバー13内に振動部材2aを収容した状態を示している。図4(A)は、カバー13の側面図で、穴23が円形の形状をしていることを示している。図4(B)は、カバー13の平面図で、空気穴25が円形の形状をしていることを示している。穴23および空気穴25の形状は、円形ではなく三角形、四角形、楕円形等の、その他の形状としても良いが、穴の形成または成形のし易さを考慮すると、円形であることが好ましい。図4(C)は、内部を透視した状態のカバー13の側面図で、振動部材2aが収容されている状態を示している。
【0026】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るマッサージ装置1の使用状態の一例を示す図である。振動部材2aは、接着テープ12によって人体48の表面(たとえば、足裏、肩、首筋、背骨に沿った領域、腰等)に固定されている。なお、この振動部材2aは、外周部が中心部と同じ厚さとされているが、図2に示すように外周部が中心部に比べ薄くなる形状としても良い。このような形状とすると、接着テープ12による接着強度が高くなる。固定する際は、振動部材2aが一つのツボに当たるように設置するのが好ましい。こりや張りを解消したいとする場合、こっている部分や張りが生じている部分に固定しても良い。またツボに対応させる場合は、1つのツボではなく、2つのツボに渡るようにしたり、3つ以上のツボに同時に接触したりするようにしても良い。接着テープ12の種類は、特に限定されない。しかし、好適に用いることができる接着テープ12の接着剤は、皮膚低刺激性のものである。皮膚低刺激性の接着剤には、たとえば天然ゴム系の接着剤、または刺激性の強い酸成分モノマーを含まないアクリル酸エステル等が挙げられる。また、外用鎮痛湿布薬等の貼り薬を接着テープ12として用いても良い。
【0027】
使用者は、電力供給部14が有するストラップ用フック17に掛けたストラップを使用者の首に掛けて、マッサージ装置1を携帯することができる。さらに電力供給部14を固定するため、電源スイッチ兼用フック16を使用者が身に着けている着衣の胸ポケットに引っ掛けても良い。このようなマッサージ装置1の使用状態では、振動部材2aが極めて小さいことに相まって、使用していることを他人に気づかれにくいため、いつでも気軽に使用できる。また、使用時でも両手を別のことに使えることから、仕事中、読書中等、時間帯を選ばずに使用できる。
【0028】
以上、本実施の形態におけるマッサージ装置1または振動部材2aについて説明したが、本発明の要旨を逸脱しない限り種々変更実施可能である。たとえば、隙間5、第1の突起6、第2の突起7および第3の突起11、カバー13のいずれか1つまたは複数は、必須のものではない。よって、これらの部材を含ませることで振動部材2aの構造を徒に複雑にする場合には省略することができる。但し、隙間5を設けないと、振動モータ3からの振動伝達が若干弱まることが多いため、隙間5は設けた方が良い。
【0029】
また振動モータ3としては、外形が円柱のいわゆる円筒型のものを用いることができる。円筒型の振動モータ3の場合、第1の突起6は、振動モータ3の外周面全体に分散されて配置されたり、外周面に沿って連続して形成される、らせん状または円環状のものとして配置されることとなる。さらに第1の突起6に代替できる部材として、スポンジまたは板ばね等のばね材のような伸縮可能な部材を、振動モータ3の平板面と樹脂部4との間に設けることができる。また、カバー13および電力供給部14の形状、機能および動作等は、適宜変更可能である。
【0030】
また、振動部材2aの表面には、チタン、ゲルマニウムまたは磁石等、血流促進等のマッサージに類似した効果が期待できる物質を1種類以上設けることが、マッサージ効果を高める意味で好ましい。また、振動部材2aを人体48の表面に固定する固定部材には、固定部材によって固定した状態で振動部材2aが振動可能であれば、接着テープ12以外のものを用いても良い。たとえば、帯状のゴム等の伸縮部材の締め付け力を利用した固定部材等である。
【0031】
さらに、電力供給部14を主として構成する電池15、電源スイッチ兼用フック16、ストラップ用フック17、コネクタ18、ランプ19、音声発生部20、収容部21のうち、電池15を除いては省略することができる。ここで電池15についても、電力の供給を直接コンセントから得る構成、または振動部材2aの中にコイン型等の小型の電池を装着する構成とすれば、省略することができる。振動部材2aの中にコイン型等の電池を装着する構成とする場合は、電線8も省略できる。このように、振動部材としては電線8を有しないものも説明したが、振動部材としては、電線8、カバー13またはコネクタ18等の一部または全てを有するものとしても良い。一方、マッサージ装置1としては、振動部材と電池手段が必須の構成要件であり、この2つの構成要素のみとしたり、これらの構成に1つまたは複数の部材が加わったものとしても良い。
【0032】
本実施の形態に係る樹脂部4の材質は、ゴム系材料または発泡樹脂などの弾力性を有するものを選択することにより、人体48の表面への接触によっても人体48の表面を傷付け難いことから好ましい。但し、マッサージ効果を高めたい場合等には、他の硬い樹脂(発泡による空隙の少ない樹脂または発泡させない樹脂等)を用いることができる。そして、樹脂部4の硬さを段階的に数種類用意し、使用者に選択させることもできる。また、樹脂部4に相当する部材は、必ずしも樹脂で構成される必要は無く、織布、不織布等を適宜選択して用いることができる。
【0033】
また、本実施の形態に係る振動モータ3を樹脂部4で被覆する方法は、振動部材2aの製造を容易にできる観点からは、振動モータ3を溶融樹脂で被覆して、その溶融樹脂を硬化させる一体成形が好ましい。しかし、樹脂部4の内面壁に設けられる第1の突起6を形成し難しい場合がある。また、溶融樹脂の溶融状態を維持するための温度に振動モータ3が耐えられない場合がある。これらの場合に対応するためには、予め振動モータ3を収容可能な凹部を有する樹脂成形体を2つ製造し、この凹部に振動モータ3を挿入した後に、双方の凹部の開口部同士を固着する方法となる第1変形例を採用することができる。この第1変形例を図6に基づいて説明する。
【0034】
図6(A)は、六方体の凹部28aを有する第1の樹脂成形体4aと、貫通孔28bを有する第2の樹脂成形体4bの断面図を示している。第1の樹脂成形体4aと、第2の樹脂成形体4bのそれぞれは、凹部28aと貫通孔28bの開口部同士を固着するための接合部29a,29bを有している。第1の樹脂成形体4aの接合部29aの凸部が、第2の樹脂成形体4bの接合部29bの凹部と嵌合するようになっている。図6(B)は、図6(A)に示す第1の樹脂成形体4aおよび第2の樹脂成形体4bを用いた場合の、図1(A)の振動部材2aを示す図に相当する、振動部材2a’を示す図である。よって、図1(A)に示した振動部材2aと同一となる部材には、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0035】
振動部材2a’は、振動モータ3に電線8が接続され、その接続部が第1の接着剤9および第2の接着剤10で固定された接続部付き振動モータ3を、第2の樹脂成形体4bの貫通孔28bに挿入する。その後、樹脂成形体4aの凹部28aに振動モータ3の他端側を差し入れ、接合部29aと接合部29bとを嵌合して接着剤にて固定することで、振動部材2a’が製造される。必要に応じ、第2の接着剤10と第2の樹脂成形体4bとの接触部にも接着剤を用いて封止する。この封止は、何らかの原因で水分等が振動モータ3等に接触するのを避けることにも寄与する。
【0036】
また各実施の形態において使用される振動モータ3の寸法は、厚みが3mm、径が10mm程度のものを用いている。これは、振動部材2a,2a’を着衣と当該着衣を身につける人体48の表面の間に挿入可能な大きさとすることを企図したものである。この観点からは、振動モータ3が扁平型振動モータの場合は、概ね厚みが1mmから5mmまでの間、径が8mmから20mmまでの間の寸法、円筒型振動モータの場合は、概ね長さが3mmから10mmまでの間、径が1mmから5mmまでの間の寸法のものを用いることが好ましい。そして、平面図面積としては、0.25cm〜9cmがツボに個別的に接触させるに好ましく、0.75cm〜3cmとするのがさらに好ましい。また、平面形状としては、真円形または楕円形が好ましいが、四角形状、三角形状としても良い。
【0037】
また、樹脂部4や第1、第2の樹脂成形体4a,4bの露出面から振動モータ3表面までの距離、すなわち隙間5を含めた樹脂部4や第1、第2の樹脂成形体4a,4bの厚み(片面側の厚み)が、0.5mmから6mmまでの間の寸法とすることが、上述の観点から好ましい。ここで、この樹脂部4の厚みを0.5mm以下とすると、マッサージ装置1の繰り返しの使用または長時間に渡る使用により、樹脂部4が塑性変形により劣化し難くなる。また、この樹脂部4や第1、第2の樹脂成形体4a,4bの厚みを6mm以下とすると、振動モータ3の振動を樹脂部4や第1、第2の樹脂成形体4a,4bが吸収しなくなり、十分なマッサージが可能となる。
【0038】
また各実施の形態に係る第1の突起6は、振動モータ3が樹脂部4や第1、第2の樹脂成形体4a,4bの内部で振動する自由度を高め、振動部材2a,2a’が後述する振動部材2cの振動の強さを強めるために設けられている。このため、その配置の状態は、マッサージ装置1の仕様等によって適宜変更できる。たとえば図7,図8に示す物としても良い。この図7、図8は、振動部材の第2変形例を示す図で、図1に示す第1の突起6の配置の変形例を示している。図7は図8のc−c断面図で、図8は図7のA−A’断面図である。図7および図8に示す第1の突起6aは、扁平型の振動モータ3の対向する2つの平板面それぞれに3箇所(3点)ずつ、また2つの平板面を結ぶ周面に5箇所(5点)に当接している。その当接位置は、平板面に対しては、3箇所(3点)の点間距離が相互に略等しくなるよう、周面に対しては、5箇所(5点)および第1の接着剤9の位置との隣接する点間距離が略等しくなるよう配置されている。このように、第1の突起6aが平板面に等間隔に配置されることにより、振動モータ3を安定的に保持でき、安定した振動を付与することができる。また、扁平型の振動モータ3の周面にも第1の突起6aを配置することにより、振動モータ3の径方向にも大きな振動を許容できる。
【0039】
図7および図8に示す第1の突起6aは、たとえばゴム系材料から構成される。図1に示す樹脂部4に相当する部分(樹脂部4c)には、第1の突起6aが貫通する貫通穴30を設けている。第1の突起6aは、図7および図8に示すように第1の鍔部31および第2の鍔部32を有している。第1の突起6aは、鍔部31,32を含めると貫通穴30の径よりも大きいが、ゴム系材料の有する弾性変形により、その貫通穴30へ通過させることができる。そして、その通過後は第1の突起6aの形状が復元し、図7および図8に示すように、鍔部31,32が貫通穴30の双方の開口部周辺に密着して、樹脂部4cに対して一定の位置に固定できる。
【0040】
樹脂部4cは、PET(ポリエチレンテレフタレート)系等を主成分とする成形性に優れた樹脂を成形したものから構成される。図9(A)に、図7におけるB−B’断面において、樹脂部4cのみを表したものを図示する。樹脂部4cの成形の際には、図9(B)に示すように、図7に示す樹脂部4cの上部4c1と下部4c2とを別々に成形する。その成形の際には、第1の突起6aが貫通する貫通穴30を形成する。
【0041】
樹脂部4cの上部4c1と下部4c2の成形後、樹脂部4cの上部4c1と下部4c2の開口部の間に形成される空間に振動モータ3を収容し、樹脂部4cの上部4c1と下部4c2の開口部の接触部を接着剤または熱溶着で接着することで、図7に示す振動部材2cを得る。図7に示す第1の突起6aの鍔部31,32は、貫通穴30を覆うこととなるが、必要に応じて第1の突起6aと樹脂部4cとの接触部を接着剤で封止しても良い。
【0042】
図7に示す、振動モータ3と電気接続し、電力供給部からの電力を伝達する電線8は、樹脂部4cの中では撓んだ状態の電線8aとして収容されている。すなわち、電線8は、その一部が振動部材2cを構成する樹脂部4cの中に収容され、その収容部分の電線8aは、その張力が緩和された状態とされている。これにより、電線8を振動部材2cから離れる方向に引っ張ったとしても、振動モータ3と電線8aとの電気接続部への衝撃を和らげることができ、断線等を抑制できる。また、振動モータ3の振動を、張力が緩和された状態の電線8aが吸収し、振動モータ3の振動に起因する振動モータ3と電線8aとの電気接続部の断線を抑制できる。さらに、電線8aが振動部材2cから離れる方向に移動するのを阻止する、ゴム系材料等からなる摩擦付与部材33を、電線8が樹脂部4cを通過する通過穴34の周囲に設けることで、電線8を振動部材2cから離れる方向に引っ張ったとしても、振動モータ3と電線8aとの電気接続部への衝撃をより和らげることができる。また、摩擦付与部材33は、電線8の振動部材2cから離れる方向への繰り返しの引っ張り等により、電線8aが樹脂部4cの外に引き出されても、電線8aの撓みが無くなるのを遅くして、振動部材2cの寿命を延ばすことに寄与する。
【0043】
また図7および図9(B)に示す、樹脂部4cの円錐の一部分の形状を有するテーパー部35は、振動モータ3側に向かうに従い広がるテーパーとなっている。これは、振動モータ3と電線8aとの接続部を補強する第1の接着剤9が、概ね振動モータ3側からその外側に向かうに従い、高さ位置が低くなることにかんがみ、第1の接着剤9および電線8aをより効果的に樹脂部4cによって押さえつけて、振動モータ3と電線8aとの接続部を補強することを企図したものである。
【0044】
図10は、図2に示した本発明の実施の形態に係る電力供給部14の変形例を示している。この電力供給部14の説明にあたり、図2に示した電力供給部14と同一となる部材には、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。また、電力供給部14の電池15の収容部については、電池15が表れるような一部切り欠き図としている。電源スイッチ兼用フック16は穴を有しており、その穴をストラップ用フック17に用いている。また電源スイッチ兼用フック16はスライド式の電源スイッチ40を有している。この電源スイッチ40は、黒く示した部分を指などで白く示した方向(図10において向かって右方向)にスライドさせ、また元に戻すスライド動作により、本実施の形態に係るマッサージ装置1の電源をオン・オフするものである。また、コネクタ18も電源スイッチ兼用フック16と一体化している。
【0045】
図11は、図10に示した本発明の実施の形態に係る電力供給部14の収容部21と電池15の収容部の部分断面図であって、収容部21の内部および電池15が表れるような一部切り欠き図としている。電池15の収容部の外周には凹み41が形成されており、収容部21を形成する筒状体の開港端が凹み41に嵌め込まれることで、収容部21と電池15の収容部とが結合する。収容部21と電池15収容部の外壁は、樹脂等の弾性変形可能な材料からなるため、収容部21の開口端が凹み41に嵌め込まれる動作が許容される。また、その動作を繰り返し行っても収容部21と電池15の収容部との結合の強度が急激には劣化することが無い。
【0046】
また、接着テープ12等が収容される容器42は、電池15の収容部の内壁面に形成されたねじ溝と、容器42の外周面に形成されたねじ山43とでねじ結合により電池15収容部に隣接して固定されている。この固定はねじを外す動作により解くことができるため、容器42の交換および、容器42の内容物の取り出しが容易である。さらに、電池15の端子である板ばね44は、ランプ19、音声発生器20、およびコネクタ18への接続のため、導電板45と一体化している。
【0047】
図12は、各実施の形態において使用される電線8の強化を図る構成を説明するための図で、電線8に、電線8よりも引っ張り強度の強い電線補強用の紐46が、電線8に沿って配置される状態の一例を示している。図12(A)には、リング状部46aおよびそのリング状部46aから導出する線状部46bを有する紐46が示されている。そのリング状部46aで、振動部材2a,2a’(図12では、代表例として振動部材2aを示す)の周面を、締め付けながら振動部材2a,2a’に固定する(図12(B)参照)。そして、紐46の線状部46bを電線8に沿って配置し、固定具47によって固定している。この固定は、電線8を紐46の線状部よりも撓ませた状態で行う(図12(B)。こうすることで、電線8および紐46を共に振動部材2aから遠ざかる方向に引っ張っても、紐46の張力が電線8よりも優先して高められる。すなわち、引っ張り力は、電線8には伝わらない。よって、電線8を振動部材2aとは逆側に引っ張る力が加えられた場合でも、電線8の断線および電線8と振動部材2aとの電気接続部分の破壊に伴う断線が抑制される。この紐46の材質は、特に限定されないが、金属等が好適である。ただし、マッサージ装置1の使用者が、人体48の表面に金属が接触するのを嫌う場合には、その金属の線側面を樹脂で被覆したり、引っ張り強度の強い樹脂繊維である、アラミド繊維等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係るマッサージ装置に使用される振動部材を示す図で、(A)はその断面概要図で、(B)はその斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るマッサージ装置の外観を示す図である。
【図3】図2に示すマッサージ装置のコネクタとその周囲を示す図で、(A)は、コネクタが接続された状態を示す図であり、(B)は、電力供給部からコネクタを矢印方向に外した状態を示す図である。
【図4】図2に示すマッサージ装置のカバーを示す図で、(A)は側面図で(B)は平面図で、(C)はカバー内に振動部材を収容した状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るマッサージ装置の使用状態の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るマッサージ装置に使用される振動部材の第1変形例を示す図で、樹脂成形体を2つ製造し、樹脂成形体に振動モータを組み入れ、双方を固着する方法を説明する図で、(A)は2つの樹脂成形体を示す図で、(B)は2つの樹脂成形体の固着が完了した状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るマッサージ装置に使用される振動部材の他の例を示す図で、第1の突起の配置が変形された例を示す図である。
【図8】図7におけるA−A’断面を示す図である。
【図9】図7に示される振動部材の樹脂部を示す図で、(A)は図7におけるB−B’断面を示す図で、(B)は、図7に示す樹脂部の上部と下部とを切り離した(接合する前の)状態を示す図である。
【図10】図2に示した本発明の実施の形態に係る電力供給部の変形例を示す図である。
【図11】図10に示した本発明の実施の形態に係る電力供給部の収容部と電池の収容部の断面図であって、電力供給部の収容部の内部および電池が表れるようにした一部切り欠き図である。
【図12】本発明の各実施の形態において使用される電線の強化を図る構成を説明するための図で、(A)は電線よりも引っ張り強度の強い電線補強用の紐を、電線に沿って配置する前の状態を示す図であり、(B)は、電線補強用の紐が電線に沿って配置された状態を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 マッサージ装置
2a,2a’ 振動部材
3 振動モータ
4 樹脂部
4a 第1の樹脂成形体
4b 第2の樹脂成形体
5 隙間
6,6a 第1の突起
7 第2の突起(突起)
8,8a 電線
12 接着テープ(固定部材)
13 カバー
14 電力供給部
46 電線補強用の紐
48 人体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材によって人体の表面へ固定された状態で振動可能であり、上記人体に対向する平面図面積が0.25cm以上9cm以下とされ、上記人体表面の任意のツボ領域を個別に振動可能な大きさであることを特徴とする振動部材。
【請求項2】
表面に突起を有することを特徴とする請求項1記載の振動部材。
【請求項3】
人体の表面へ固定する固定部材によって固定した状態で振動可能であると共に上記人体に対向する平面図面積が0.25cm以上9cm以下とされ、人体表面の任意のツボ領域を個別に振動可能な大きさの振動部材と、上記振動部材への電力を供給する電力供給部を有し、上記電力供給部と上記振動部材とが、上記電力の供給経路となる電線にて接続されていることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項4】
前記振動部材は、着衣と当該着衣を身につける人体表面の間に挿入され易くするため扁平かつ外周が中心に比べ薄くされていることを特徴とする請求項3記載のマッサージ装置。
【請求項5】
前記電線には、前記電線よりも引っ張り強度の強い電線補強用の紐が、前記電線に沿って配置され、前記電線および上記紐を共に前記振動部材とは逆側に引っ張ると、上記紐の張力が前記電線よりも優先して高められることを特徴とする請求項3記載のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−99724(P2008−99724A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282370(P2006−282370)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(506197587)有限会社あいの企画 (2)
【Fターム(参考)】