説明

振動音響減衰の中間層を選択するための方法、振動音響減衰のための中間層、およびそのような中間層を備えるグレージングユニット

本発明は、2つの外側層および中心層を備え、グレージングユニットの2つのガラスシートの間に組み込まれるように意図された粘弾性のプラスチック製中間層を選択するための方法に関し、方法は、
それぞれ中心層および外側層を構成するよう意図された第1および第2構成部品が提供されるステップと、
第1および第2構成部品のせん断係数G’が測定されるステップと、
第2構成部品の材料が、20℃で、そして100Hzと240Hzの間で、G’≧3×10Paの場合にのみ選択されるステップと、
第1の構成部品の厚さhが、hが0.3mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間で、g=G’/hが8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間になるように設定されるステップとを含んでいる。
本発明は、フロントガラスに負担をかけることなく、車両のフロントガラスの第2および第3の自然周波数の減衰を最適化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に移動の車両、詳細には動力車を対象にして、積層グレージングユニットに組み込まれるため、音響減衰特性を有する中間層を選択するための方法に関する。
【0002】
列車および動力車などの現代の輸送の手段での快適さに貢献するすべての特性の中で、静けさは決定的な要素になってきている。
【背景技術】
【0003】
現在、音響的な快適さは、エンジン、タイヤ、またはサスペンションからの雑音などの騒音、および吸収性のコーティングまたはエラストマー接続構成部品などにより、音源または空気もしくは固体を通じた伝播における騒音を処理することにより、数年にわたり改善されてきている。
【0004】
車両の形状も、空気中の貫通を改善し、それ自体が騒音の音源である乱流を低減化するために改良されてきている。
【0005】
数年間、グレージングユニット、特に、プラスチック製の中間層フィルムを備えた積層グレージングユニットが音響的な快適さを改善する上で、役割を果たすことができることが強調されてきている。さらに、積層グレージングユニットには、突然の破損の場合の破片の飛散のリスクの解消、および慣らし運転を不要にするなどの他の利点もある。
【0006】
積層グレージングユニットに標準的なプラスチック製フィルムを使用することは、音響的な快適さの改善に適していないということが実証されてきている。このような訳で、音響的な快適さを可能にする減衰特性が改善されている特定のプラスチック製フィルムが開発されてきている。
【0007】
次の説明において、減衰フィルムに言及する場合には、グレージングユニットに騒音低減の機能を付与するための振動の改善された減衰を提供する粘弾性プラスチックフィルムに関するものである。
【0008】
グレージングユニットの音響性能は、中間層フィルムを構成する材料の消散係数tanδの値によって異なることが示されてきている。消散係数は熱の形で消散するエネルギーと弾性歪みエネルギーとの比率で、エネルギーを消散する材料の能力を特徴付ける。消散係数が大きくなればなるほど、エネルギー消散も多くなり、その結果、材料が果たす減衰の役割も多くなる。
【0009】
この消散係数は、温度および周波数に応じて変化する。指定の周波数では、消散係数はガラス転移温度として知られている温度で最大値に達する。
【0010】
積層グレージングユニットの中間層として使用される材料は、例えば、指定の温度範囲および指定の周波数範囲で、消散係数が少なくとも0.6より大きい、非常に高い消散係数を有する、アクリルポリマーまたはアセタール樹脂またはさらにポリウレタンタイプの粘弾性プラスチックフィルムである。
【0011】
消散係数tanδは、接着力分析装置を使用して評価される。接着力分析装置は正確な温度および周波数の条件下で、材料のサンプルを歪ませ、そのようにして、材料を特徴付けるレオロジーの大きさのすべてを取得および処理できる装置である。
【0012】
さらに、積層グレージングユニットの減衰中間層の組み込みに関して、消散係数tanδは単独で考慮されるべきではなく、せん断係数G’が、中間層の減衰特性で考慮に入れられる別の特性を構成することも説明されてきている。欧州特許出願公開第844075号明細書では、振動を減衰させるために積層グレージングユニットの中間層が、せん断係数G’および消散係数tanδに関して、特定の値と一致している必要があることを教示している。せん断係数G’は材料の剛性の特性を表し、G’が高いと材料はより剛性が高く、G’が低いと材料はより柔軟であることが思い起こされる。せん断係数は温度および周波数によって異なる。また、せん断係数G’も接着力分析装置を使用して評価される。この文献では、とりわけ特に、固体が発生源の騒音を減衰させるためには、10℃と60℃の間の温度および50Hzと10000Hzの間の周波数で、中間層の消散係数tanδは0.6より大きく、中間層のせん断係数G’は2×10Paより少ないことが説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第844075号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第495305号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第151855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
その上、積層グレージングユニットがフロントガラスとして使用される場合、特有の音響振動にさらされる。このような訳で、フロントガラスの第1の4つの自然周波数、特に、100Hzと240Hzの間のフロントガラスの第2および第3の自然周波数が特に音響的に会話をする上で邪魔になる。欧州特許出願公開第844075号明細書の中間層は、固体から発生する騒音の減衰に適切であるが、フロントガラスの第1の自然周波数、特に、第2および第3の自然周波数の振動音響の減衰には適切ではない。
【0015】
したがって、フロントガラスに負担をかけることなく、フロントガラスの第1の自然周波数、特に、フロントガラスの第2および第3の自然周波数の減衰を最適化することができる中間層を選択するための方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明は、2つの外側層および1つの中心層を備え、グレージングユニットのガラスの2つのシート間に組み込まれるよう意図された粘弾性のプラスチック製中間層を選択するための方法を提案しており、方法は次のステップ:
中心層を構成するよう意図された粘弾性のプラスチック製材料からできている第1構成部品および外側層を構成するよう意図された粘弾性のプラスチック製材料からできている第2構成部品が提供されるステップ、
第1構成部品および第2構成部品のせん断係数G’が接着力分析装置により測定されるステップ、
20℃で、100Hzと240Hzの間の周波数範囲であり、せん断係数G’が3×10Pa以上の場合には、第2構成部品の材料のみが選択されるステップ、
第1の構成部品の厚さhが、hが0.3mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、せん断パラメータg=G’/h、ここでG’はせん断係数であり、それが8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間になるように設定されるステップ、を含む。
【0017】
別の特徴によると、第1構成部品の厚さhは、hが0.1mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、G’/hが1.33×10Pa/mと2×10Pa/mの間になるように設定される。
【0018】
別の特徴によると、方法は、厚さhを設定するステップの前に、さらに次のステップ:
第1構成部品の消散係数tanδが接着力分析装置で測定されるステップと、
消散係数tanδが0.6より大きい場合にのみ、第1構成部品が選択されるステップ、とを含む。
【0019】
別の特徴によると、方法はさらに次のステップ:
第2構成部品の材料は、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、せん断係数G’が10Paと2×10Paの間の場合にのみ選択されるステップ、を含む。
【0020】
別の特徴によると、方法はさらに次のステップ:
第2構成部品の材料の接着力が、2つのガラスシートに接合された第2構成部品の材料から構成される中間層のサンプルをねじることにより、ガラスシートに対して第2構成部品の材料から構成される中間層の分離が始まるねじり力を測定することにより、そしてこの力から対応する接着せん断強度を計算することにより規格R43の要件に適合していることが検証され、接着強度のこの値が、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるような許容値の範囲と比較されるステップと、
第2構成部品の厚さeが:
規格R43に対応する応力に耐える参照積層グレージングユニットが識別され、それはガラスの2つのシートおよび第2構成部品の材料から構成される中間層を備え、
参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度、参照積層グレージングユニットの中間層の厚さ、および参照積層グレージングユニットのガラスシートの厚さが決定され、
いずれかの積層グレージングユニットの中間層の厚さに応じて、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるのに必要な最小の中間層引裂強度の表示グラフを使用し、このグラフは参照積層グレージングユニットの基板厚さに等しい、いずれかの積層グレージングユニットの基板厚さに対して確立されており、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度に等しい、必要な最小の中間層の引裂強度値に対応する必要な最小の中間層の厚さが推定され、
第2構成部品の厚さeは、eが前記最適な中間層の厚さ値以上になるように設定される、方式で設定されるステップとを含む。
【0021】
また、フロントガラスに負担をかけることなく、フロントガラスの第1の自然周波数、特に、フロントガラスの第2および第3の自然周波数の減衰を最適化することができる中間層の必要性もある。
【0022】
このために、本発明は、振動音響減衰特性を付与するために、グレージングユニットの2つのガラスシート間に組み込まれるよう意図された粘弾性のプラスチック製中間層を提案しており、中間層は:
粘弾性のプラスチック材料からできている2つの外側層であって、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、そのせん断係数G’が3×10Pa以上である外側層、
厚さhが0.3mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、中心層のせん断パラメータg=G’/h、ここでG’はせん断係数であり、それが8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間になるような厚さhの振動音響減衰特性を有する中心層を備え、
中心層は2つの外側層の間にある。
【0023】
別の特徴によると、中心層の厚さhは、hが0.1mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、G’/hが1.33×10Pa/mと2×10Pa/mの間になるようになっている。
【0024】
本発明の別の特徴によると、中心層は0.6より大きな消散係数tanδを有している。
【0025】
本発明の別の特徴によると、外側層は、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、10Paと2×10Paの間のせん断係数G’を有している。
【0026】
本発明の別の特徴によると、外側層のそれぞれは:
外側層の材料の接着力は規格R43の要件に適合しており、接着力は2つのガラスシートに接合された外側層の材料から構成される中間層のサンプルをねじることにより、ガラスシートからの外側層の材料から構成される中間層の分離が始まるねじり力を測定することにより、そしてこの力から、対応する接着せん断強度を計算することにより、それから、接着強度のこの値を、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるような許容値の範囲と比較することにより決定され、
外側層のそれぞれの厚さeは規格R43の要件を満たすように設定される厚さeを有し、厚さeは:
規格R43に対応する応力に耐える参照積層グレージングユニットが識別され、それは2つのガラスシートおよび外側層の材料から構成される中間層を備え、
参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度、参照積層グレージングユニットの中間層の厚さ、および参照積層グレージングユニットのガラスシートの厚さが決定され、
いずれかの積層グレージングユニットの中間層の厚さに応じて、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるのに必要な最小の中間層引裂強度の表示グラフを使用し、このグラフは参照積層グレージングユニットの基板厚さに等しい、いずれかの積層グレージングユニットの基板厚さに対して確立されており、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度に等しい、必要な最小の中間層の引裂強度値に対応する必要な最小の中間層の厚さが推定され、
それぞれの外側層の厚さeは、eが前記最適な中間層の厚さ値以上になるように設定されるような方法で決定される。
【0027】
本発明の別の特徴によると、中心層は:
厚さhの粘弾性のプラスチック製材料Aからできており、せん断パラメータgを有する減衰フィルム、
厚さhの粘弾性のプラスチック製材料Bからできており、せん断パラメータgを有する減衰フィルムを備え、
材料AおよびBのそれぞれは、それぞれの温度範囲tとtにわたり、そして100Hzと240Hzの間の周波数で、0.6より大きな消散係数および8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間のせん断パラメータを有し、温度範囲tまたはtそれぞれ内に含まれる温度の指定範囲で、最大の消散係数を有するフィルムは同等のせん断パラメータgAorB eq=gAorB×hを有し、gAorBはフィルムを構成する材料のせん断パラメータで、hは中心層の厚さで、それは前記温度範囲の他方のフィルムの同等のせん断パラメータ未満である。
【0028】
本発明はまた:
1.4mmと2.1mmの間の厚さを有するガラスシート、
1.1mmと1.6mmの間の厚さを有するガラスシート、および
上述の中間層で、中間層がガラスシートの間にある中間層、を備えるグレージングユニットにも関する。
【0029】
別の特徴によると、外側層のそれぞれの厚さeおよびガラスシートの総厚は:
外側層の材料の接着力は規格R43の要件に適合しており、接着力は2つのガラスシートに接合された外側層の材料から構成される中間層のサンプルをねじることにより、ガラスシートからの外側層の材料から構成される中間層の分離が始まるねじり力を測定することにより、そしてこの力から、対応する接着せん断強度を計算することにより、それから、接着強度のこの値を、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるような許容値の範囲と比較することにより決定され、
外側層のそれぞれの厚さeおよびガラスシートの総厚は規格R43の要件を満たすように設定され、それらは次の方法:
規格R43に対応する応力に耐える参照積層グレージングユニットが識別され、それは2つのガラスシートおよび外側層の材料から構成される中間層を備え、
参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度、参照積層グレージングユニットの中間層の厚さ、および参照積層グレージングユニットのガラスシートの厚さが決定され、
いずれかの積層グレージングユニットの中間層の厚さに応じて、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるのに必要な最小の中間層引裂強度、およびいずれかの積層グレージングユニットのガラスシートの厚さの表示グラフを使用し、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度に等しい、必要な最小の中間層の引裂強度値に対応する、中間層の厚さおよびガラスシートの厚さの最適値の組み合わせが推測され、
それぞれの外側層の厚さeは、eが前記最適な中間層の厚さ値以上になり、ガラスシートの厚さが前記ガラスシートの厚さ値以上に設定されるように、決定される。
【0030】
本発明はまた、上述のようなグレージングユニットを備え、1.4mmと2.1mmの間の厚さを有するガラスシートが車両の外側向きに向けられおり、および1.1mmと1.6mmの間の厚さを有するガラスシートが車両の内側向きに向けられている車両にも関する。
【0031】
本発明はまた、2つのガラスシートおよびガラスシート間に組み込まれた中間層から構成されるフロントガラスの第2および第3自然周波数の振動音響減衰のための、上述のような中間層の使用にも関する。
【0032】
本発明はまた、上述のグレージングユニットの車両のフロントガラスとしての使用にも関する。
【0033】
本発明の他の特徴および利点は、次に図面に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】20℃の100Hzと240Hzの間の周波数で積層フロントガラスの中間層の中心層のせん断パラメータに応じて、積層フロントガラスのモード減衰の曲線を示す図である。
【図2】本発明によるグレージングユニットの断面図を示す図である。
【図3】別の実施形態による、本発明のグレージングユニットの断面図を示す図である。
【図4】2.1mの厚さを有する2つのガラス基板および2Mpaと5MPaの間の接着強度を有する中間層を備える積層グレージングユニットならびに4mの落下高さに対して確立され、積層グレージングユニットの中間層の厚さに応じて、積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるために必要な最小の中間層の引裂強度を示すグラフを表す図である。
【図5】2Mpaと5MPaの間の接着強度を有する中間層を備える積層グレージングユニットおよび4mの落下高さに対して確立され、中間層の厚さと積層グレージングユニットのガラスの厚さの両方に応じて、積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるために必要な最小の中間層の引裂強度を示す、3次元グラフを表す図である。
【図6】中間層が組み合わされたガラスシートに関して、中間層の接着力を評価するための試験用装置の略正面図である。
【図7】中間層が組み合わされたガラスシートに関して、中間層の接着力を評価するための装置の変形形態の斜視図である。
【図8】中間層の引裂強度を評価するための試験用装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
各種図面で同一である参照符号は同一または類似の構成部品を表す。
【0036】
また、この適用例で与えられている間隔の限界値が間隔内に含まれることにも留意すべきである。
【0037】
本発明は、2つの外側層および1つの中心層を備え、グレージングユニットの2つのガラスシート間に組み込まれるよう意図された粘弾性のプラスチック製中間層を選択するための方法を提案している。
【0038】
方法は:
中心層を構成するよう意図された粘弾性のプラスチック製材料からできている第1構成部品および外側層を構成するよう意図された粘弾性のプラスチック製材料からできている第2構成部品が提供されるステップ、
第1構成部品および第2構成部品のせん断係数G’が接着力分析装置により測定されるステップ、
20℃で、100Hzと240Hzの間の周波数範囲であり、せん断係数G’が3×10Pa以上の場合には、第2構成部品の材料のみが選択されるステップ、
第1の構成部品の厚さhが、hが0.3mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、せん断パラメータg=G’/h、ここでG’はせん断係数であり、それが8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間になるように設定されるステップ、を含む。
【0039】
100Hzと240Hzの間の周波数範囲には、発明者らが車両テストにより測定することができているように、積層フロントガラスの4つの第1の自然周波数、特に第2および第3の自然周波数が含まれる。
【0040】
その上、発明者らは、上述のhとgの条件を満たす材料が、積層フロントガラスの第1の自然周波数、特に、上述の通りに選択された2つのガラスシートおよび中間層を備えるフロントガラスの第2および第3の自然周波数の減衰を最適化することができることを実証してきた。
【0041】
詳細には、これから理解されるように、特に図1の検討の間に、発明者らは、0.3mm以下のhの値と組み合わされた、100Hzと240Hzの間の周波数範囲での8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間のgのこれらの値により、100Hzと240Hzの間の周波数の音響減衰を最適化することができることを示している。
【0042】
第1構成部品の材料のせん断パラメータgが0.3mm以下の厚さに対して8.00×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間であることが不可能な場合、材料は中間層の製造には選択されない。
【0043】
その上、粘弾性のプラスチック製材料の層の厚さを0.3mmに限定することで、中間層の製造に使用される材料を限定することができ、それによって、フロントガラスを形成するために、中間層が組み込まれることを意図されるグレージングユニットの重さを限定することができる。これによって、フロントガラスの取り扱いがより簡単になり、そのようなフロントガラスを装備した車両の燃料消費量を低減化することができる。
【0044】
最後に、中心層が正しく振動するために、外側層が中心層よりもより剛性が高いものである必要があり、これは定義された弾性条件で達成される。
【0045】
本発明はまた、振動音響減衰特性を付与するために、グレージングユニットの2つのガラスシート間に組み込まれるよう意図された粘弾性のプラスチック製中間層にも関し、中間層は:
粘弾性のプラスチック材料からできている2つの外側層であって、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、そのせん断係数G’が3×10Pa以上である外側層、
hが0.3mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、中心層のせん断パラメータg=G’/h、ここでG’はせん断係数であり、それが8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間になるような厚さhの、改善された振動音響減衰特性を有する中心層、を備える。
【0046】
中間層は上述の選択方法から取得される。
【0047】
中間層によって、上述の通り、フロントガラスに負担をかけることなく、積層フロントガラスの第1の自然周波数、特にフロントガラスの第2および第3の自然周波数の減衰を最適化することができ、積層フロントガラスは2つのガラスシートおよびガラスシート間に組み込まれた中間層を備えている。
【0048】
中間層はグレージングユニットに組み込まれることが意図されている。グレージングユニットは車両で、特にフロントガラスとして使用されることが意図されている。
【0049】
本発明はまた、そのような中間層を備えるグレージングユニットにも関する。本発明はまた、そのようなグレージングユニットを備える車両にも関する。
【0050】
図2は、本発明によるグレージングユニットの断面図を示している。
【0051】
グレージングユニットは、中間層が挿入された2つのガラスシート1、2を備えている。ガラスシートへの中間層への接合は知られている方法、例えば、ガラスシートおよび中間層を積み重ね、組み立てたものをオートクレーブに通すことによって実行される。
【0052】
グレージングユニットのガラスシート1は車両の外側向きに向くように意図されているが、ガラスシート2は車両の内側向きに向くように意図されている。ガラスシート1は、グレージングユニットが外部の攻撃(不利な気象条件、砂利の跳びはねなど)に対してより良い保護が得られるように、ガラスシート2より厚くなっている。実際のところ、ガラスが厚くなると、機械的な強度はより強くなる。しかしながら、ガラスが厚くなると、それだけ重くなる。したがって、グレージングユニットの機械的な強度と重量の間で妥協点を見つける必要がある。このような訳で、ガラスシート1の厚さは、例えば1.4mmと2.1mmの間で、ガラスシート2の厚さは、例えば1.1mmと2.1mmの間である。
【0053】
既存のグレージングユニットでは、ガラスシート1の厚さは、通常2.1mmで、ガラスシート2の厚さは、通常1,6mmである。
【0054】
本発明によると、フロントガラスの重量を制限するために、ガラスシート1の厚さが1.8mmで、ガラスシート2の厚さが1.4mmであることが好適であり、それによって、取り扱いをより簡単にして、材料を節約することができる。また、これによって、そのようなフロントガラスを装備する車両の燃料消費量も減らすことができる。ガラスシートの低減化されたこれらの厚さは、これから理解されるように、既存のグレージングユニットと比較しても音響的また機械的性能を損なうことなく実現可能である。
【0055】
本発明はまた、ガラスシート1の厚さが1.6mmで、ガラスシート2の厚さが1.2mmのフロントガラス、またさらにガラスシート1の厚さが1.4mmで、ガラスシート2の厚さが1.1mmのフロントガラスにも適用することができる。
【0056】
中間層は、中心層3が挿入された2つの外側層4、5から構成される。
【0057】
外側層4、5には、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、3×10Pa以上のせん断係数G’がある。外側層のせん断係数G’は、中心層の振動音響減衰をさらに改善するために、10Paと2×10Paの間であることが好適である。外側層は、例えばポリビニルブチラール(PVB)からできている。
【0058】
中心層3は、その厚さhが0.3mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、中心層のせん断パラメータg=G’/h、ここでG’はせん断係数であり、それが8.00×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間になるように選択される。こうして中心層3は、100Hzと240Hzの間の周波数で、最適化された音響性能を有している。こうして中心層3は、例えばホットメルト感圧接着剤(ホットメルトPSA)、例えばSika社のSikaMelt 9285HTからできている。
【0059】
できるだけグレージングユニットの重量を軽減化するために、中心層3の厚さが0.1mm以下であることは好適である。
【0060】
次いで中心層は、hが0.1mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、G’/hが1.33×10Pa/mと2.00×10Pa/mの間になるように選択され、それによって、振動音響減衰をさらにもっと最適化することが可能になる。
【0061】
また中心層3の音響特性は、消散係数tanδによって定義される。中心層3は、満足のゆく減衰を可能にするために、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、消散係数が0.6より大きくなるように選択される。
【0062】
せん断係数G’および消散係数tanδは接着力分析装置を使用して測定される。
【0063】
ガラスシートはグレージングユニットの振動音響特性に寄与している。ガラスシートが厚くなると、励振もそれだけ高くなるにちがいなく、その結果、グレージングユニットを振動させる。しかしながら、100Hzと240Hzの間の周波数の中間層の音響性能の最適化によって、ガラスシートの厚さを、車両の外側向きに向くように意図されているガラスシートの場合は1.8mm、さらに1.6mm、またはさらに1.4mm、車両の内側向きに向くように意図されているガラスシートの場合は1.4mm、さらに、1.2mm、またさらに1.1mmと既存のグレージングユニットに比べても音響的消散なしに低減化することができる。通常、既存のフロントガラスグレージングユニットはそれぞれ2.1mmと1.6mmのガラスシートを有し、その間には、10と2.10Paの間のせん断係数G’および20℃の温度と50Hzの周波数で0.6より大きな消散係数である0.1mmの厚さを有する粘弾性のプラスチック材料を備える中間層が挿入されている。ガラスシートの厚さの低減化でグレージングユニットの重量の低減化が可能になり、その結果、取り扱いのしやすさが向上し、さらに材料の削減やそのようなフロントガラスが装備された車両の燃料消費量の削減も可能になる。
【0064】
2つの外側層4、5は同じ厚さeを有している。各外側層4、5の厚さは中間層の厚さ合計(2e+h)が最大でも0.86mm、つまり、既存の吸音フロントガラスの中間層の厚さになるように、かつ外側層の機械的特性が、強い衝撃に対する強度の標準規格に関係する、動力車に定義された機械的強度の標準規格、特に、United Nations Regulation No.43(規格R43と呼ぶ)を満たすために十分なものであるように決定される。United Nations Regulation R43は、安全なグレージングおよび路上走行車へのこのグレージングの導入の承認に関連した統一技術仕様の採用に関係している。詳細には、中間層の厚さ合計は、一方では、そのようなフロントガラスが装備された車両の燃料消費量の削減が可能であるフロントガラスの重量の理由で、他方では材料の削減の理由で、可能な限り薄くすることが望ましい。
【0065】
これを行うために、厚さeは2つのガラスシートに対する外側層の材料から構成される中間層の接着力と外側層の材料の引裂強度の両方を考慮に入れて最小化される。
【0066】
接着力は、欧州特許出願公開第1495305号明細書で述べられているテストおよび計算方法に基づき評価され、それは本明細書の以下で繰り返されている。
【0067】
最初に、ねじり応力が、2つのガラスシートおよび外側層の材料から構成される中間層から構成されている積層グレージングユニットのサンプルに作用され、それは、少なくとも1つのガラスシートに対して、外側層の材料から構成される中間層の剥離が開始するまでである。実際のテストは、図6で図示している、例えば、知られているタイプのねじり装置500を使用し、10mmに等しい半径rを有するグレージングの円形サンプル50で実行される。
【0068】
装置500は、3つ爪あご部51、52、53、垂直軸の駆動チェーン55に接続された100mmに等しい半径Rの滑車54を備えている。あご部それぞれは、サンプル全体をとらえるために120°の円弧の形である。あご部の表面コーティングはガラス、例えば、アルミニウム、Teflon(R)、またはポリエチレンに機械的に適合する材料からできている。
【0069】
あご部の1つは、フレームに対して固定された状態であるが、一方、別のあご部は、サンプル上でねじりを作用するために、回転するよう意図されている滑車54にしっかり留められている。滑車54は、滑車に接続されたチェーン55の動きによって回転するように作られている。チェーンは、最低35から50mm/分の一定速度で引かれる。
【0070】
サンプルがねじられるにつれ、外側層の材料から構成される中間層の剥離の開始が始まるのに必要な力Fを測定するには、力センサーが使用される。これから次に、知られている公式:
【数1】

を使用して接着せん断強度を計算することによって、推定することができる。ここで、Fは外側層の材料から構成される中間層の剥離の開始の始まりに必要な力で、Rは滑車54の半径で、rはサンプルの半径である。
【0071】
しかしながら、欧州特許出願公開第1495305号明細書で説明されているように、装置500はかさばり、それは、テストは研究所で実行される必要があることを意味している。そのような訳で、装置500は積層グレージング製造ライン上での「処理標識」タイプの測定には不適切である。しかしながら、積層グレージングユニットの製造の場合、高分子中間層の構成は本発明により設定された強度値を満たすように設計されているが、それにもかかわらず中間層の接合不足が、粘着の品質に影響する、中間層の保存条件、ガラスの洗浄品質、またはさらに、ガラスおよび中間層の組み立て中のカレンダ加工ステップの過程での温度および圧力など、グレージングユニットの製造の方法に関連付けられたパラメータにより完成製品にも発生する場合がある。
【0072】
測定された不十分な強度値に対応してプロセスに直ぐに介入することが可能となるように、製造ラインに近接した製造モニタリングの際に測定を実行するために、変形形態として、より小型で容易に移送可能な、別の測定装置600を使用することができることは利点となる。図7で表示されているこの装置600は、周囲が60cm×20cmに小型化され、2つの3つ爪あご部システム60および61、回転シャフト62、シャフトの回転用モータ63、トルク計64、ならびに計算構成素子を収納するボックス65を備えている。
【0073】
2つのガラスシートおよび外側層の材料から構成される中間層から構成される、積層グレージングユニットの円形サンプルは、2つの爪部システム60および61の間に挟み込まれることを意図されており、システム60の一方は固定され、他方はシャフト62への接続によって移動および回転されることができる。トルク計はモータと移動可能なあご部システム61の間に配置される。シャフトの回転速度は中間層の厚さに左右される。例示的な目的で、0.76mmの厚さを有する外側層の材料から構成される中間層の場合、回転は、0.08rpm程度である。
【0074】
システム61が回転し、測定されたトルクが反転する場合、外側層の材料から構成される中間層の剥離の開始が発生する。トルク計はボックス65の計算構成素子に接続され、それには接着強度の値τが直接、読み取ることが可能な表示部が含まれる。
【0075】
どちらの装置が使用されても、接着強度の値τのバラツキの詳細な理解を持つことを視野に入れて、例えば、最低でも5つのサンプルなど、いくつかのサンプルでテストを繰り返し、標準偏差とともに強度τの平均を計算することが好適である。
【0076】
取得された接着強度の値τが、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43(強い衝撃に対する強度)に対応する応力に耐えるための許容値の範囲内であることが検証される。この許容値の範囲は、さまざまな構成の積層グレージングユニットで実行され、規格R43で定義される、標準化された機械的強度テストから実験的に決定される。
【0077】
接着強度の任意の値τが接着力の基準を満たすのに適切である範囲内である、規格R43の許容値の範囲は、すべて5MPa未満の値である。好適には、規格R43の接着強度τの許容値の範囲は2MPaと5MPaの間で、値のこの範囲の低い方の限度は、グレージングユニットの機械的強度の考慮とは無関係に、グレージングユニットの優れた透明性を確保するために決定されている。
【0078】
外側層の材料から構成される中間層の接着強度τが許容値の前述の範囲内にあることが検証されると、中間層の外側層の実際のサイズの調整が実行される。
【0079】
図4と図5のグラフでは、外側層が強い衝撃に対する強度に関する規格R43の要件を満たすように、これらの外側層のサイズ調整のための可能な2つのアプローチが図示されている。
【0080】
図4に対応する第1のアプローチによると、グレージングユニットは、固定され、4.2mmに等しい、積層グレージングユニットのガラスシートの厚さ合計eg−dimにサイズ調整され、それは例えば、それぞれが2.1mmのガラスシートの厚さ、および外側層の材料、つまり特定の化学合成物c、例えば、PVBベースの中間層から構成される中間層に対応している。外側層の厚さの決定の場合には、中心層は無視される。
【0081】
この場合、外側層の材料から構成される中間層のサイズ調整を視野に入れ、最初に、図4で見られる、ならびに、少なくとも1つのガラス基板および規格R43に対応する応力に耐えるために、製造されるグレージングユニットの外側層4、5に比べ、同じ化学合成物cを含む中間層を備える、いずれかの積層グレージングユニットに必要な最小の中間層の引裂強度Jc−minを表わす曲線Cがいずれかの積層グレージングユニットの中間層の厚さeに応じてプロットされ、この曲線は4.2mmに等しいガラスシートの厚さeのために確立される。実際のところ、曲線Cは規格R43で定義され、積層グレージングユニットで実行される機械的強度の標準化されたテストから得られ、その積層グレージングユニットのそれぞれは少なくとも1つのガラス基板および化学合成物cを含む中間層を備え、中間層の厚さという点では互いに異なる。
【0082】
次に、規格R43に対応する応力に耐え、4.2mmに等しいガラス基板の厚さを含み、特定の化学合成物cを有する中間層を備える参照積層グレージングユニットが識別される。そのような参照積層グレージングユニットの例は知られているグレージングユニット2.1/0.76/2.1で、それは、それぞれが2.1mmの厚さを有する2つのガラス基板、および0.38mmの標準的な厚さを有し、化学合成物cを有する2つの中間層を備え、0.76mmに等しい参照積層グレージングユニットの中間層の厚さei−refに対応している。規格R43に対応する応力に対するこの参照グレージングユニットの抵抗力は、この例では衝撃落下の高さが4mである、標準化された機械的強度テストにより検証される。
【0083】
次いで、参照積層グレージングユニット2.1/0.76/2.1の中間層の引裂強度Jc−refがTielking手法により決定される。
【0084】
この手法は、M.Tielkingにより開発され、亀裂ルートのエネルギーJの計算方法に基づき、材料の引裂強度を計算することである。Tielking手法は、詳細には、欧州特許出願公開第1151855号明細書と欧州特許出願公開第1495305号明細書で説明されており、以下でその一部が繰り返されている。
【0085】
中間層の引裂強度は構成する材料に固有の特性である。材料で生じ始める亀裂が広がるのに必要なエネルギーを表すエネルギー値により特徴付けられる。このエネルギーは、臨界エネルギーJとして知られており、各タイプの材料で異なり、中間層フィルムの厚さには無関係である。
【0086】
引裂強度または臨界エネルギーJは、Riceの積分Jに基づくエネルギー手法により知られている方法で与えられ、それは亀裂の場所で非常に大きな応力にさらされるフィルムの亀裂のルートに局所化されるエネルギーを定義する。それは、これ以降、変位dと呼ばれる、テストされるサンプルの指定の伸張dに対して、簡略化された数学的形式:
【数2】

で書かれ、ここで
はサンプルの厚さで、
aは亀裂の長さで、
Uはサンプルのポテンシャルエネルギーである。
【0087】
引裂強度を判定するための実験装置が図8に図示されている。張力圧縮装置700を使用した引張試験がいくつかのサンプルEx、例えば、同じ材料で表面積が100mm(長さ50mm×幅20mm)に等しい4つのサンプルで実行される。それぞれのサンプルは側面に刻み目が付けられ、引張力方向に垂直で、それぞれ5mm、8mm、12mm、および15mmに対応する各サンプルExで異なる亀裂の長さを有している。
【0088】
それぞれのサンプルExは、温度20℃の環境で、亀裂20に垂直に、100mm/分の伸張レートで、指定の伸張長さまたは距離dにわたり伸張される。
【0089】
欧州特許出願公開第1495305号で詳細が説明された方法によると、亀裂ルートのエネルギーJの変化の曲線をサンプル(表示せず)にかけられる伸張dに応じて確立することが可能である。亀裂70の広がりを表示するビデオカメラを使用し、次にサンプルの亀裂の広がりが始まる変位dが検出される。次いで、曲線J(d)から、変位dに対応する、サンプルの引裂の開始の臨界エネルギーJの値が推定される。材料が引裂かれ、その結果、必要な機械的機能に対して機械的な損傷が発生するのは、この臨界値Jである。
【0090】
参照積層グレージングユニット2.1/0.76/2.1の合成物cの中間層に対して測定された引裂強度Jc−refの値は、31000J/mである。
【0091】
次に図4の曲線Cを使用して、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度Jc−refに等しい必要な最小の中間層引裂強度値Jc−minに対応する必要な最小の中間層の厚さei−minが推定される。曲線C3で示されているように、必要な最小の中間層の厚さei−minは0.45mmに等しい。
【0092】
こうして、それぞれ2.1mmの厚さを有する2つのガラスシート、および必要な最小の中間層の厚さei−min=0.45mm以上の中間層の厚さei−dimである外側層の材料から構成される中間層から構成される積層グレージングユニットをサイズ調整することができる。好適には、積層グレージングユニットの中間層の厚さei−dimはこの値よりも20%大きい限度内でのみ必要な最小の中間層の厚さei−minより大きく、つまり先行例では、ei−dimが0.45mm≦ei−dim≦0.55mmであることが好適である。
【0093】
こうして、規格R43の要件を満たし、2.1mmの厚さを有する2つのガラスシート1、2、ならびに中心層3、および外側層のそれぞれが0.225mmと0.275mmの間の厚さ有する2つの外側層4、5を含む中間層を備える積層グレージングユニットが得られる。
【0094】
曲線Cは、例えば1.8mmと1.4mmなど、他のガラスシートの値に対してもプロットされることができる。次いで、外側層のそれぞれは0.2mmと0.37mmの間の厚さを有している。
【0095】
図5に対応する、中間層の外側層のサイズ調整のための可能な第2のアプローチによれば、積層グレージングユニットは、ガラスシートの厚さを任意に設定することなく、積層グレージングユニットがサイズ調整され、グレージングユニットは外側層の材料から構成される中間層を備えている。
【0096】
いずれかの積層グレージングユニットの外側層の材料から構成される中間層の厚さeといずれかの積層グレージングユニットのガラスシートの厚さeの両方に応じて、規格R43に対応する応力に耐えるため、少なくとも1つのガラス基板および製造されるグレージングユニットの外側層4、5に比べて同じ化学合成物cを含む中間層を備える、いずれかの積層グレージングユニットが製造されるために必要な最小の中間層引裂強度Jc−minを表す、3次元グラフCがプロットされ、図5で表示されている。図5のグラフCは、規格R43で定義され、積層グレージングユニットで実行される標準化された機械的強度のテストから得られ、その積層グレージングユニットのそれぞれは少なくとも1つのガラス基板および化学合成物cを含む中間層を備え、中間層の厚さおよび基板の厚さという点では互いに異なる。
【0097】
次に、規格R43に対応する応力に耐え、特定の化学合成物cを有する中間層を備える、参照積層グレージングユニットの引裂強度Jc−refが判定される。
【0098】
上述の知られている積層グレージングユニット2.1/0.76/2.1は、例えば参照積層グレージングユニットとして機能する場合があり、やはり知られており、それぞれ2.1mmと1.8mmの厚さを有する2つのガラスシートおよび化学合成物cを有する標準的な厚さ0.38mmの外側層の材料から構成される中間層の2つの層を備え、0.76mmに等しい中間層の厚さei−refに対応する、積層グレージングユニット2.1/0.76/1.8も同様なものとすることができる。規格R43に対応する応力の下での1つまたは他の参照積層グレージングユニットの引裂強度Jc−refは、前と同様にTielking手法により評価される。
【0099】
次にグラフCを使用して、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度Jc−refに等しい必要な最小の中間層引裂強度値Jc−minに対応する、外側層の材料から構成される中間層の厚さおよびガラスシートの厚さの最適な値ei−opt、eg−optの組み合わせが推定される。例えば、31000J/mの引裂強度の値Jc−refに対応する、参照グレージング2.1/0.76/2.1から開始する場合、最適な値ei−opt、eg−optの組み合わせを提供する点は、31000J/mの引裂強度の値Jc−minに対応するグラフCの領域、または表面の点である。この点について、最適な値ei−optまたはeg−optのそれぞれが必ずしも必要ではなく、個別に、外側層の材料から構成される中間層の厚さの最小値およびガラスシートの厚さの最小値であることに留意されたい。積層グレージングユニットの厚さ全体の最小値という結果になるのは、値ei−optと値eg−optの組み合わせである。
【0100】
グラフCで表示されているように、値e=0.5mmおよびe=1.8mm/1.4mmの組み合わせは、最適値の組み合わせ以上の値の組み合わせである。
【0101】
したがって、0.5mm以上の外側層の材料から構成される中間層の厚さei−dimおよびそれぞれ1.8mmと1.4mmのガラスシートの厚さeg−dimで積層グレージングユニットをサイズ調整することは可能であり、この積層グレージングユニットは規格R43の要件を満たしている。
【0102】
上記例で考慮した合成物cの中間層は、引裂強度の観点からすれば標準的な性能を有しており、現在知られているより優れた性能の中間層の合成物の引裂強度レベルにより、以前与えられた値に比べ、さらに少ない最適な値ei−opt、eg−optの組み合わせを予測することが可能になる。
【0103】
特に、規格R43に対応する応力に耐えるのに適し、それぞれ1.8mmと1.4mmの厚さを有する2つのガラス基板を備える積層グレージングユニットの場合、必要な最小の中間層の厚さei−minが0.4mm位に低下する場合がある。したがって、規格R43の要件に対応し、それぞれ1.8mmと1.4mmの厚さを有する2つのガラス基板を備える積層グレージングユニットの最適化された中間層厚さei−dimは通常、0.4mm≦ei−dim≦0.74mmであり、この間隔の低い方の限界は、引裂強度の観点から高い性能を有する中間層の合成物に対応する。
【0104】
こうして、規格R43の要件を満たし、それぞれ1.8mmと1.4mmの厚さを有する2つのガラスシート1、2、ならびに中心層3および2つの外側層4、5で、外側層のそれぞれが0.2mmと0.37mmの間の厚さを有する外側層を含む中間層を備える積層グレージングユニットが取得される。
【0105】
こうして、各外側層4、5の厚さeは、グレージングユニットに十分な機械的特性、つまり、規格R43を満たす機械的特性を提供するように設定される。これは次の方法で実行される:
外側層の材料の接着力が、2つのガラスシートに接合された外側層の材料から構成される中間層のサンプルをねじることにより、ガラスシートから外側層の材料から構成される中間層の分離が始まるねじり力(F)を測定することにより、そしてこの力(F)から対応する接着せん断強度(τ)を計算することにより規格R43の要件に適合していることが検証され、接着強度(τ)のこの値が、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるような許容値の範囲と比較され、
規格R43の要件を満たせるような外側層のそれぞれの厚さeは、次の方法で設定される:
規格R43に対応する応力に耐える参照積層グレージングユニットが識別され、それはガラスの2つのシートおよび外側層の材料から構成される中間層を備え、
参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度(Jc−ref)、参照積層グレージングユニットの中間層の厚さ(ei−ref)、および参照積層グレージングユニットのガラスシートの厚さ(eg−ref)が決定され、
いずれかの積層グレージングユニットの中間層の厚さ(e)に応じて、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるのに必要な最小の中間層引裂強度(Jc−min)の表示グラフ(C)を使用し、このグラフは参照積層グレージングユニットの基板厚さに等しい(e=eg−ref)、いずれかの積層グレージングユニットの基板厚さに対して確立されており、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度に等しい(Jc−min=Jc−ref)必要な最小の中間層の引裂強度値に対応する必要な最小の中間層の厚さ(ei−min)が推定され、
外側層の厚さeは、eが前記最適な中間層の厚さ値(ei−opt)以上になるように設定される。
【0106】
変形形態として、それぞれの外側層4、5の厚さeとガラスシートの厚さの両方が、組み立てたものがグレージングユニットに十分な機械的特性、つまり、規格R43を満たす機械的特性を提供するように設定される。これは次の方法で実行される:
外側層の材料の接着力が、2つのガラスシートに接合された外側層の材料から構成される中間層のサンプルをねじることにより、ガラスシートから外側層の材料から構成される中間層の分離が始まるねじり力(F)を測定することにより、そしてこの力(F)から対応する接着せん断強度(τ)を計算することにより規格R43の要件に適合していることが検証され、接着強度(τ)のこの値が、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるような許容値の範囲と比較され、
規格R43の要件を満たせるような外側層のそれぞれの厚さeおよびガラスシートの総厚は、次の方法で設定される:
規格R43に対応する応力に耐える参照積層グレージングユニットが識別され、それはガラスの2つのシートおよび外側層の材料から構成される中間層を備え、
参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度(Jc−ref)、参照積層グレージングユニットの中間層の厚さ(2e−ref)、および参照積層グレージングユニットのガラスシートの厚さ(eg−ref)が決定され、
いずれかの積層グレージングユニットの中間層の厚さ(e)およびいずれかの積層グレージングユニットのガラスシートの厚さ(e)に応じて、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるのに必要な最小の中間層引裂強度(Jc−min)の表示グラフ(C)を使用し、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度に等しい(Jc−min=Jc−ref)、必要な最小の中間層の引裂強度値に対応する中間層の厚さおよびガラスシートの厚さの最適値(ei−opt、eg−opt)の組み合わせが推定され、
それぞれの外側層の厚さeは、eが前記最適な中間層の厚さ値(ei−opt)以上になるように設定され、ガラスシートの厚さ(eg−dim)は前記最適なガラスシートの厚さ値(eg−opt)以上になるように設定される。
【0107】
中間層の厚さ合計は0.86mm以下になることが好適である。
【0108】
図3は、別の実施形態に従う、本発明によるグレージングユニットの断面図を示している。
【0109】
ガラスシート1、2および中間層の外側層4、5は、図2のそれらに対して同一である。
【0110】
中心層3は、2つの減衰フィルム6、7を備えている。減衰フィルム6は粘弾性のプラスチック材料Aから構成されており、それは減衰フィルム7が構成される粘弾性の材料Bとは異なる。一実施形態によると、材料A、Bは共押出されている。変形形態では、材料A、Bは積層化されている。
【0111】
中心層3を構成する減衰フィルム6、7により、さまざまな温度範囲にわたり音響振動の減衰の最適化が可能である。このような訳で、フィルム6は第1の温度範囲での音響振動の減衰に最適化されており、フィルム7は第2の温度範囲での音響振動の減衰に最適化されている。第1および第2の温度範囲は重複していない。これによって、より広い温度範囲にわたり、100Hzと240Hzの間の周波数の減衰の最適化ができるようになる。
【0112】
これを行うために、材料Aは温度範囲tおよび100Hzと240Hzの間の周波数で、0.6より大きな消散係数および8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間のせん断パラメータを有するように選択される。同様に、材料Bも温度範囲tおよび100Hzと240Hzの間の周波数で、0.6より大きな消散係数および8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間のせん断パラメータを有するように選択される。
【0113】
その上、それぞれの温度範囲tまたはt内に含まれる指定の温度範囲に対する最高の消散係数を有するフィルム6または7は、同等のせん断パラメータgAorB eq=h×gAorBを有しており、gAorBはそれぞれフィルム6または7を構成する材料それぞれAまたはBのせん断パラメータで、hは中心層の厚さであり、それは前記指定の温度範囲で他方のフィルム7または6それぞれの同等のせん断パラメータよりかなり低いものである。
【0114】
指定の温度範囲は、フィルム6または7がそれぞれ、100Hzと240Hzの間の周波数での音響振動を最適に減衰する第1の温度または第2の温度範囲である。
【0115】
こうして、対応する温度範囲内で、フィルム6、7のそれぞれの消散係数が0.6より大きく、フィルムのそれぞれの材料のせん断パラメータが8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間であるだけではなく、対応する温度範囲の最も大きな減衰のフィルム(最高のtanδ)が、他方のフィルムよりかなり低い同等のせん断係数を有することも必要である。このようにして、中間層はそれぞれの温度範囲で最も減衰されたフィルムと同様の動作を有することになる。このような訳で中間層は、中間層を構成するフィルムのそれぞれが最適な減衰の役割を果たす温度範囲のそれぞれで最適な減衰を提供する。
【0116】
次に、100Hzと240Hzの間の周波数の減衰が上述のgの範囲で実際に最適であることの証拠が提供される。
【0117】
図1は、20℃の100Hzと240Hzの間の周波数で積層フロントガラスの中間層の中心層のせん断パラメータに応じて積層フロントガラスのモード減衰の曲線を示している。この曲線は有限要素法により計算されている。
【0118】
計算は、それぞれ1.4mmと1.8mmの厚さを有する2つのガラスシートから構成されるフロントガラスに対して実行され、その間には粘弾性のプラスチック材料からできている中間層が組み込まれている。中間層は、2つの外側層の間に組み込まれた1つの中心層の3つの層を備えており、中間層の厚さ合計は0.76mmに設定される。図1の曲線は0.05mmと0.3mmの間の、中心層のさまざまな厚さに対してプロットされている。
【0119】
図1で示されているように、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、0.3mm以下の厚さhを有する中心層3の8.00×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間のせん断パラメータgの範囲20では、0.34以上のモード減衰が可能であり、したがって中心層の厚さが0.3mmの場合に曲線の最大値が0.37なので、非常に優れている。
【0120】
20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、0.1mm以下の厚さhを有する中心層3の1.33×10Pa/mと2.00×10Pa/mの間のせん断パラメータgの範囲10では、0.34以上のモード減衰が可能であり、したがって最適化された減衰である。詳細には、モード減衰曲線は、0.1mmの厚さの中心層では0.345でピークに達し、0.05mmの中心層の厚さでは0.34で達する。
【0121】
したがって、本発明は実際のところ、上述の中間層を備えるフロントガラスの第1の自然周波数の振動音響減衰を最適化することを可能にする。
【0122】
また、本発明による中間層は、最適化された周波数範囲の外側でも優れた振動音響を実現することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの外側層(4、5)および1つの中心層(5)を備え、グレージングユニットのガラスの2つのシート(1、2)間に組み込まれるよう意図された粘弾性のプラスチック製中間層を選択するための方法であって、
中心層(3)を構成するよう意図された粘弾性のプラスチック製材料からできている第1構成部品および外側層(4、5)を構成するよう意図された粘弾性のプラスチック製材料からできている第2構成部品が提供されるステップと、
第1構成部品および第2構成部品のせん断係数G’が接着力分析装置により測定されるステップと、
20℃で、100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、せん断係数G’が3×10Pa以上の場合には、第2構成部品の材料のみが選択されるステップと、
第1の構成部品の厚さhが、hが0.3mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、せん断パラメータg=G’/h、ここでG’がせん断係数であり、それが8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間になるように設定されるステップとを含む、方法。
【請求項2】
第1構成部品の厚さhが、hが0.1mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、G’/hが1.33×10Pa/mと2×10Pa/mの間になるように設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
厚さhを設定するステップの前に、
第1構成部品の消散係数tanδが接着力分析装置で測定されるステップと、
消散係数tanδが0.6より大きい場合にのみ、第1構成部品が選択されるステップとをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第2構成部品の材料が、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、せん断係数G’が10Paと2×10Paの間の場合にのみ選択されるステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第2構成部品の材料の接着力が、2つのガラスシートに接合された第2構成部品の材料から構成される中間層のサンプルをねじることにより、ガラスシートから第2構成部品の材料から構成される中間層の分離が始まるねじり力(F)を測定することにより、そしてこの力(F)から対応する接着せん断強度(τ)を計算することにより規格R43の要件に適合していることが検証され、接着強度(τ)のこの値が、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるような許容値の範囲と比較されるステップと、
第2構成部品の厚さeが設定されるステップであって、その方法は、
規格R43に対応する応力に耐える参照積層グレージングユニットが識別され、それがガラスの2つのシートおよび第2構成部品の材料から構成される中間層を備え、
参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度(Jc−ref)、参照積層グレージングユニットの中間層の厚さ(ei−ref)、および参照積層グレージングユニットのガラスシートの厚さ(eg−ref)が決定され、
いずれかの積層グレージングユニットの中間層の厚さ(e)に応じて、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるのに必要な最小の中間層引裂強度(Jc−min)の表示グラフ(C)を使用し、このグラフが参照積層グレージングユニットの基板厚さに等しい、いずれかの積層グレージングユニットの基板厚さ(e=eg−ref)に対して確立されており、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度に等しい、必要な最小の中間層の引裂強度値(Jc−min=Jc−ref)に対応する必要な最小の中間層の厚さ(ei−min)が推定され、
第2構成部品の厚さeが、eが前記最適な中間層の厚さ値(ei−opt)以上になるように設定される方法を含む第2構成部品の厚さeが設定される、ステップとをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
振動音響減衰特性を付与するために、グレージングユニットの2つのガラスシート間に組み込まれるよう意図された粘弾性のプラスチック製中間層であって、中間層が、
粘弾性のプラスチック材料からできている2つの外側層(4、5)であって、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、そのせん断係数G’が3×10Pa以上である外側層と、
hが0.3mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、中心層のせん断パラメータg=G’/h、ここでG’がせん断係数であり、それが8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間になるような厚さhの振動音響減衰特性を有する中心層(3)とを備え、
中心層(3)が2つの外側層(4、5)の間にある、中間層。
【請求項7】
中心層(3)の厚さhが、hが0.1mm以下になり、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、G’/hが1.33×10Pa/mと2×10Pa/mの間になるような、請求項6に記載の中間層。
【請求項8】
中心層(3)が0.6より大きな消散係数tanδを有する、請求項6または7に記載の中間層。
【請求項9】
外側層(4、5)が、20℃で、そして100Hzと240Hzの間の周波数範囲で、10Paと2×10Paの間のせん断係数G’を有している、請求項6から8のいずれか一項に記載の中間層。
【請求項10】
外側層(4、5)のそれぞれが、
外側層の材料の接着力が規格R43の要件に適合しており、接着力が2つのガラスシートに接合された外側層の材料から構成される中間層のサンプルをねじることにより、ガラスシートからの外側層の材料から構成される中間層の分離が始まるねじり力(F)を測定することにより、そしてこの力(F)から、対応する接着せん断強度(τ)を計算することにより、それから、接着強度(τ)のこの値を、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるような許容値の範囲と比較することにより決定され、
外側層のそれぞれの厚さeが規格R43の要件を満たすように設定される厚さeを有しており、厚さeが、
規格R43に対応する応力に耐える参照積層グレージングユニットが識別され、それが2つのガラスシートおよび外側層の材料から構成される中間層を備え、
参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度(Jc−ref)、参照積層グレージングユニットの中間層の厚さ(ei−ref)、および参照積層グレージングユニットのガラスシートの厚さ(eg−ref)が決定され、
いずれかの積層グレージングユニットの中間層の厚さ(e)に応じて、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるのに必要な最小の中間層引裂強度(Jc−min)の表示グラフ(C)を使用し、このグラフが参照積層グレージングユニットの基板厚さに等しい、いずれかの積層グレージングユニットの基板厚さ(e=eg−ref)に対して確立されており、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度に等しい、必要な最小の中間層の引裂強度値(Jc−min=Jc−ref)に対応する必要な最小の中間層の厚さ(ei−min)が推定され、
それぞれの外側層の厚さeが、eが前記最適な中間層の厚さ値(ei−opt)以上になるように設定される方法で決定される、請求項6から9のいずれか一項に記載の中間層。
【請求項11】
中心層が、
厚さhの粘弾性のプラスチック製材料Aからできており、せん断パラメータgを有する減衰フィルム(6)と、
厚さhの粘弾性のプラスチック製材料Bからできており、せん断パラメータgを有する減衰フィルム(7)とを備え、
材料AおよびBのそれぞれが、それぞれの温度範囲tとtにわたり、そして100Hzと240Hzの間の周波数で、0.6より大きな消散係数および8×10Pa/mと2.67×10Pa/mの間のせん断パラメータを有し、温度範囲tまたはtそれぞれ内に含まれる温度の指定範囲で、最大の消散係数を有するフィルム(6または7)が同等のせん断パラメータgAorB eq=gAorB×hを有し、gAorBがフィルム(それぞれ6または7)を構成する材料のせん断パラメータで、hが中心層の厚さで、それが前記温度範囲の他方のフィルム(それぞれ7または6)の同等のせん断パラメータ未満である、請求項6から10のいずれか一項に記載の中間層。
【請求項12】
1.4mmと2.1mmの間の厚さを有するガラスシート(1)と、
1.1mmと1.6mmの間の厚さを有するガラスシート(2)と、
請求項6から11のいずれか一項に記載の中間層(3、4、5)であって、中間層がガラスシート(1、2)の間にある中間層とを備えるグレージングユニット。
【請求項13】
外側層(4、5)のそれぞれの厚さeおよびガラスシートの総厚は、
外側層の材料の接着力が規格R43の要件に適合しており、接着力が2つのガラスシートに接合された外側層の材料から構成される中間層のサンプルをねじることにより、ガラスシートからの外側層の材料から構成される中間層の分離が始まるねじり力(F)を測定することにより、そしてこの力(F)から、対応する接着せん断強度(τ)を計算することにより、それから、接着強度(τ)のこの値を、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるような許容値の範囲と比較することにより決定され、
外側層のそれぞれの厚さeおよびガラスシートの総厚が規格R43の要件を満たすように設定され、それらは
規格R43に対応する応力に耐える参照積層グレージングユニットが識別され、それが2つのガラスシートおよび外側層の材料から構成される中間層を備え、
参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度(Jc−ref)、参照積層グレージングユニットの中間層の厚さ(ei−ref)、および参照積層グレージングユニットのガラスシートの厚さ(eg−ref)が決定され、
いずれかの積層グレージングユニットの中間層の厚さ(e)およびいずれかの積層グレージングユニットのガラスシートの厚さ(e)に応じて、いずれかの積層グレージングユニットが規格R43に対応する応力に耐えるのに必要な最小の中間層引裂強度(Jc−min)の表示グラフ(C)を使用し、参照積層グレージングユニットの中間層の引裂強度に等しい(Jc−min=Jc−ref)、必要な最小の中間層の引裂強度値に対応する中間層の厚さおよびガラスシートの厚さの最適値(ei−opt、eg−opt)の組み合わせが推定され、
それぞれの外側層の厚さeが、eが前記最適な中間層の厚さ値(ei−opt)以上になるように設定され、ガラスシートの厚さ(eg−dim)が前記最適なガラスシートの厚さ値(eg−opt)以上になるように設定される方法で決定される、請求項12に記載のグレージングユニット。
【請求項14】
1.4mmと2.1mmの間の厚さを有するガラスシート(1)が車両の外側向きに向けられており、1.1mmと1.6mmの間の厚さを有するガラスシート(2)が車両の内側向きに向けられている、請求項12または13に記載のグレージングユニットを備える車両。
【請求項15】
2つのガラスシートおよびガラスシート間に組み込まれた中間層から構成されるフロントガラスの第2および第3自然周波数の振動音響減衰のための、請求項6から11のいずれか一項に記載の中間層の使用。
【請求項16】
請求項12または13に記載されたグレージングユニットの車両のフロントガラスとしての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−527392(P2012−527392A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511321(P2012−511321)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050944
【国際公開番号】WO2010/133790
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】