説明

振幅及び位相検出装置

【課題】アレーアンテナを構成する各素子の電界ベクトルの振幅及び位相を、放送または通信サービスを休止することなく、精度高く検出する。
【解決手段】合成器12は、変調波信号に無変調波信号を合成する。方向性結合器13は、減衰器114、移相器115及び増幅器116の処理後の合成信号から、所定の低レベル信号を取り出す。切替器14は、方向性結合器13により取り出された全ての合成信号のうち2つの合成信号を選択し、1つを検出対象の信号とする。フィルタ15は、2つの合成信号から無変調波信号を抽出する。検出用移相器16は、検出対象の系統の無変調波信号の位相を離散的に360度回転させる。合成器17は、位相が離散的に変化する無変調波信号と振幅及び位相が固定の無変調波信号を加算して合成する。振幅及び位相検出器18は、合成された無変調波信号の電力に基づいて、REV法により検出対象素子の振幅及び位相を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレーアンテナの素子により形成される電界の振幅及び位相を検出し、所望のアンテナ指向性を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アレーアンテナで使用される素子により形成される電界の振幅及び位相を検出する代表的な手法として、素子電界ベクトル回転法(以下、REV(Rotating element electric field vector)法という。)が広く利用されている(非特許文献1,2を参照)。
【0003】
アレーアンテナの合成電界ベクトルは、アレーアンテナを構成する(アレーアンテナで使用する)各素子に形成された電界を合成することにより得られ、移相器を用いて1つの素子の位相を変化させると、その素子の電界ベクトルが回転し、合成電界ベクトルが変化する。REV法では、1つの素子の位相を変化させることで、合成電界ベクトルの振幅の変化を測定し、その測定結果に基づいて、その素子により形成される電界の振幅及び位相を検出する。
【0004】
具体的には、REV法を用いる振幅及び位相検出装置は、以下の手順(a)〜(e)によって、アレーアンテナを構成する各素子の電界の振幅及び位相を検出する。
(a)無変調の搬送波(無変調波)を伝送信号として入力し、アレーアンテナから放射された出力電力を測定する。
(b)アレーアンテナを構成する全素子のうちの所定の1つの素子(検出対象素子)に対し、その電界ベクトルの位相を変化させ、離散的に360度回転させる。この間、検出対象素子以外の素子に対しては、振幅及び位相共に変化させずに固定とする。
(c)全ての素子により構成されたアレーアンテナから放射された出力電力を測定する。
(d)検出対象素子の電界ベクトルの位相を360度回転させた離散的な測定点から、出力電力の正弦特性または余弦特性の近似曲線を算出し、検出対象素子の相対振幅及び相対位相を検出する。
(e)全ての素子に対して、素子毎に前記(a)〜(d)の処理を繰り返し、全ての素子の相対振幅及び相対位相を検出する。
【0005】
図8は、REV法による振幅及び位相の検出例を説明する図である。検出対象素子の電界ベクトルの位相を360度回転させた離散的な測定点から得られた出力電力の近似曲線が図8に示す曲線の場合、検出対象素子については、他の素子の合成出力に対して相対出力が1/4(−6dB)であり、同相となる相対位相が60度であると検出される。
【0006】
このように、所定の1つの検出対象素子における電界ベクトルの位相を変化させたときに、アレーアンテナの出力電力の変化を測定し、出力電力の最大値または最小値を与える位相、並びに出力電力の最大値及び最小値を求めることにより、検出対象素子の相対振幅及び相対位相を検出することができる。
【0007】
図7は、従来のREV法による振幅及び位相検出機能を有する放送/通信(放送または通信)衛星システムの概略構成を示す図である。この放送/通信衛星システム101は、アップリンク局102、放送衛星(または通信衛星)に設置された衛星中継器103、及びダウンリンク局104を備えて構成される。
【0008】
アップリンク局102は、通常運用時、所定周波数の衛星放送波を用いて、放送衛星へ向けて放送波信号である変調波信号(放送または通信の情報が重畳された変調波信号)のアップリンクを行う。また、アップリンク局102は、アレーアンテナを構成する各素子の電界ベクトルの振幅及び位相を検出する場合(振幅及び位相検出時)、振幅及び位相を検出するための無変調波信号を放送衛星へ向けて送信する。
【0009】
衛星中継器103は、通常運用時、アップリンク局102から変調波信号を受信し、電力増幅等の処理を行い、変調波信号をダウンリンク局104へ向けて送信する。また、衛星中継器103は、振幅及び位相検出時、アップリンク局102から無変調波信号を受信し、アレーアンテナを構成する全素子のうちの所定の1つの検出対象素子に対し、その電界ベクトルの位相を変化させ、離散的に360度回転させ、他の素子に対し、振幅及び位相共に変化させずに固定とする。そして、衛星中継器103は、無変調波信号をダウンリンク局104へ向けて送信する。
【0010】
衛星中継器103は、受信用のアンテナ111、周波数変換器112、分配器113、所定数の減衰器114、所定数の移相器115、所定数の増幅器116、所定数の出力フィルタ117、所定数の放射素子118及び反射鏡119を備えている。減衰器114、移相器115、増幅器116、出力フィルタ117及び放射素子118における所定数は、送信用のアレーアンテナにおける構成部の系統数である。
【0011】
周波数変換器112は、アンテナ111を介して受信した信号(変調波信号または無変調波信号)の周波数を所定の周波数に変換する。分配器113は、周波数変換器112により周波数が変換された信号を、送信用のアレーアンテナにおける系統へそれぞれ分配する。減衰器114は、分配器113により分配された信号のレベルが所定のレベルになるように、その電力を減衰する。
【0012】
移相器115は、通常運用時、減衰器114によりレベルが減衰した変調波信号を入力し、所望のアンテナ指向性を得るための設計値に合わせるために、入力した変調波信号の振幅及び位相を調整する。一方、振幅及び位相検出時には、所定数の移相器115のうち、検出対象素子の系統の移相器115が、例えばアップリンク局102から送信されたコマンド信号に従って特定される。そして、特定された移相器115は、入力した無変調波信号の位相を変化させ、離散的に360度回転させる。この間、その他の素子における系統の移相器115は、入力した無変調波信号に対して振幅及び位相共に変化させずに固定とする。このような処理を、全ての系統の移相器115に対して順番に行う。
【0013】
増幅器116は、通常運用時、移相器115から変調波信号を入力し、入力した変調波信号を増幅する。また、増幅器116は、振幅及び位相検出時、特定された1つの(検出対象素子の系統の)移相器115から、位相が離散的に変化した無変調波信号を入力し、入力した無変調波信号を増幅すると共に、その他の移相器115から、振幅及び位相が固定の無変調波信号を入力し、入力した無変調波信号を増幅する。ここで、振幅及び位相検出時には、単位帯域あたりの送信電力の上限値が決められているため、伝送する無変調波信号の出力レベルを低下させる必要があり、後述する図9に示す増幅器116の非線形特性において、出力が低いレベル(例えば、相対出力−30dB付近)に制限されてしまうことから、通常運用時と同様の増幅処理は行われず、位相も変化してしまう。詳細については後述する。
【0014】
出力フィルタ117は、通常運用時、所定の変調波信号のみを通過させ、振幅及び位相検出時、無変調波信号のみを通過させる。放射素子118は、通常運用時、変調波信号による電界ベクトルの電波を放射し、振幅及び位相検出時、無変調波信号による電界ベクトルの電波を放射する。このようにして、衛星中継器103から、通常運用時、変調波信号がダウンリンク局104へ向けて送信され、振幅及び位相検出時、無変調波信号がダウンリンク局104へ向けて送信される。
【0015】
ダウンリンク局104は、通常運用時、衛星中継器103から変調波信号の受信を行う。また、ダウンリンク局104は、振幅及び位相検出時、衛星中継器103から無変調波信号を受信し、送信用のアレーアンテナを構成する検出対象素子について位相を360度回転させた離散的な測定点から出力電力を測定し、その出力電力の正弦特性または余弦特性の近似曲線を算出し、検出対象素子の相対振幅及び相対位相を検出する。送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子に対し、素子毎に前記処理を行い、全ての素子の相対振幅及び相対位相を検出する。このようにして、REV法により、送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子の振幅及び位相が検出される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】田中、松本、その他、“素子電界ベクトル回転法による衛星軌道上のフェーズドアレーの測定”、社団法人電子情報通信学会、電子情報通信学会論文誌、B−II、Vol.J80−B−II、No.1、pp.63−72、1997年1月
【非特許文献2】織笠、佐藤、その他、“REV法による技術試験衛星VIII型搭載大型アンテナの電気性能評価実験”、社団法人電子情報通信学会、信学技法、IEICE Technical Report、A・P2010-55,SAT2010-16(2010-07)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、従来のREV法により振幅及び位相を検出する場合には、無変調波信号を伝送する必要があるため、以下の課題(1)(2)が生じる。
【0018】
(1)振幅及び位相の検出時には、通常運用時に使用する放送または通信の情報を重畳する変調波信号を伝送することができないため、放送または通信サービスを休止しなければならない。特に、地上放送及び衛星放送では、基本的に24時間365日の運用が必要となるため、サービスを休止することができず、大きな制限となる。
【0019】
(2)無線伝送システムにおける周波数の有効利用の観点から、隣接及び近接する周波数を利用する他の無線システムへの不要発射を適切に抑制するため、出力レベルが制限されており、一般的には単位帯域あたりの送信電力または電力束密度の上限が決められている。振幅及び位相検出時に無変調波信号を伝送する場合、狭い帯域に送信電力が集中する。一方、通常運用時に使用する変調波信号は、アプリケーションに応じた帯域幅を有している。このため、無変調波信号を伝送する場合には、単位帯域あたりの送信電力または電力束密度の制限を維持するため、変調波信号を伝送する場合に比べて、出力レベルを大幅に低減しなければならない。
【0020】
しかしながら、アレーアンテナを備えた伝送装置の増幅器は、非線形特性を有するため、出力レベルに応じて位相も変化する。図9は、放送衛星または通信衛星に一般的に使用されている進行波管増幅器の特性例を示す図である。図9に示すように、進行波管増幅器は、非線形特性を有している。従来のREV法では、振幅及び位相検出時において、出力を低いレベル(例えば、相対出力−30dB)に制限しなければならないため、相対出力0dBのレベルで動作する通常運用時と同じ状況の下で、進行波管増幅器の非線形特性を考慮した振幅及び位相を検出することができない。
【0021】
また、従来のREV法では、アレーアンテナから放射される出力電力を測定することから、以下の課題(3)(4)が生じる。
【0022】
(3)出力レベルの低い素子について、その電界ベクトルの振幅及び位相を検出する場合、他の素子の合成出力に対する相対出力のレベルが著しく低下するため、測定点の変化が小さくなり、出力電力の正弦特性または余弦特性の近似曲線を特定するのが困難となる(前述の非特許文献2の第35頁左欄及び図14を参照)。図10は、出力レベルの低い素子に対するREV法による振幅及び位相の検出例を説明する図である。図10の近似曲線が示すように、他の素子の合成出力に対する相対出力が1/100(−20dB)の素子に対し、その電界ベクトルの振幅及び位相を検出する場合、測定点の変化が少なく、測定精度によっては測定誤差を含んでしまう可能性がある。
【0023】
(4)出力電力の測定結果は、伝搬環境の影響を受けてしまうから、伝搬損失の生じない測定環境が必要となる。例えば、図7に示した放送/通信衛星システム101の場合、ダウンリンクにおいて、降雨等による伝搬損失が発生している間は測定誤差が生じるため、振幅及び位相の検出が実施できないという制限につながる。
【0024】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、アレーアンテナを構成する各素子の電界ベクトルの振幅及び位相を、放送等のサービスを休止することなく、精度高く検出可能な振幅及び位相検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記課題を解決するため、本発明による振幅及び位相検出装置は、放送または通信の情報が重畳した変調波信号の振幅及び位相を減衰器及び移相器にて調整し、前記減衰器及び移相器により調整された変調波信号を増幅器にて増幅することにより、所望のアンテナ指向性を形成したアレーアンテナから変調波信号を伝送する伝送装置に対し、前記アレーアンテナを構成する複数の素子のそれぞれにより形成される電界ベクトルの振幅及び位相を検出する振幅及び位相検出装置において、無変調波信号を生成する無変調波信号生成器と、前記無変調波信号生成器により生成された無変調波信号を前記変調波信号に合成し、合成信号を生成する合成器と、前記合成器により生成された合成信号が、前記アレーアンテナを構成する複数の素子の数に相当する複数の系統に分配され、前記減衰器及び移相器による調整処理及び前記増幅器による増幅処理を含む系統毎の処理にて生成された系統毎の合成信号を入力し、前記系統毎の合成信号のうち所定の2つの合成信号を選択して切り替えると共に、前記選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を検出対象の信号に設定する切替器と、前記切替器により選択された2つの合成信号のそれぞれから、前記変調波信号を遮断して無変調波信号を抽出するフィルタと、前記フィルタにより抽出された2つの無変調波信号のうち前記切替器により設定された検出対象の信号に対応する無変調波信号に対し、その位相を離散的に360度回転させる検出用移相器と、前記フィルタにより抽出された2つの無変調波信号のうち前記検出対象でない信号に対応する無変調波信号と、前記検出用移相器により位相が回転した無変調波信号とを加算して合成する合成器と、前記合成器により合成された無変調波信号の電力に基づいて、前記検出対象の信号に対応する素子の前記振幅及び位相を検出する振幅及び位相検出器と、を備えたことを特徴とする
【0026】
また、本発明による振幅及び位相検出装置は、放送または通信の情報が重畳した変調波信号の振幅及び位相を減衰器及び移相器にて調整し、前記減衰器及び移相器により調整された変調波信号を増幅器にて増幅することにより、所望のアンテナ指向性を形成したアレーアンテナから変調波信号を伝送する伝送装置に対し、前記アレーアンテナを構成する複数の素子のそれぞれにより形成される電界ベクトルの振幅及び位相を検出する振幅及び位相検出装置において、無変調波信号を生成する無変調波信号生成器と、前記無変調波信号生成器により生成された無変調波信号を前記変調波信号に合成し、合成信号を生成する合成器と、前記合成器により生成された合成信号が、前記アレーアンテナを構成する複数の素子の数に相当する複数の系統に分配された際に、前記全ての系統の合成信号のうち検出対象の合成信号に対し、その振幅を調整しその位相を離散的に360度回転させると共に、前記検出対象でない合成信号に対し、その振幅及び位相を調整する減衰器及び位相器と、前記減衰器及び位相器による回転及び調整処理並びに前記増幅器による増幅処理を含む系統毎の処理にて生成された系統毎の合成信号を入力し、前記系統毎の合成信号のうち所定の2つの合成信号を選択して切り替えると共に、前記選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を前記検出対象の信号に設定する切替器と、前記切替器により選択された2つの合成信号のそれぞれから、前記変調波信号を遮断して無変調波信号を抽出するフィルタと、前記フィルタにより抽出された2つの無変調波信号を加算して合成する合成器と、前記合成器により合成された無変調波信号の電力に基づいて、前記検出対象の信号に対応する素子の前記振幅及び位相を検出する振幅及び位相検出器と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
また、本発明による振幅及び位相検出装置は、前記切替器が、前記入力した系統毎の合成信号のうち所定の1つの合成信号を基準信号とし、前記基準信号を含む2つの合成信号を選択すると共に、前記選択した2つの合成信号のうち、基準信号でない他の合成信号を検出対象の信号に設定する、ことを特徴とする。
【0028】
また、本発明による振幅及び位相検出装置は、前記切替器が、前記入力した系統毎の合成信号のうち、前記合成信号の信号レベルが最も近い2つの合成信号を選択すると共に、前記選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を検出対象の信号に設定する、ことを特徴とする。
【0029】
また、本発明による振幅及び位相検出装置は、前記減衰器及び移相器が、振幅、位相、または振幅及び位相を制御することにより、前記振幅及び位相を調整する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明によれば、アレーアンテナを構成する各素子の電界ベクトルの振幅及び位相を、放送等のサービスを休止することなく検出することが可能となる。また、各素子の電界ベクトルの振幅及び位相を精度高く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態(実施例1)による放送/通信衛星システムの概略構成を示す図である。
【図2】実施例1の振幅及び位相検出処理の例を示すフローチャートである。
【図3】衛星中継器に備えた切替器が使用するテーブルの例を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施形態(実施例2)による放送/通信衛星システムの概略構成を示す図である。
【図5】実施例2の振幅及び位相検出処理の例を示すフローチャートである。
【図6】従来技術及び実施例1,2にて伝送する信号を説明する図である。
【図7】従来のREV法による振幅及び位相検出機能を有する放送/通信衛星システムの概略構成を示す図である。
【図8】REV法による振幅及び位相の検出例を説明する図である。
【図9】放送衛星または通信衛星に一般的に使用されている進行波管増幅器の特性例を示す図である。
【図10】出力レベルの低い素子に対するREV法による振幅及び位相の検出例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。実施例1は、放送または通信の情報が重畳した変調波信号に、振幅及び位相を検出するために用いる無変調波信号を合成し、アレーアンテナを構成する全ての素子のうち2つの素子の系統における2つの合成信号を選択し、2つの合成信号から無変調波信号をそれぞれ抽出し、検出用移相器において検出対象素子の系統における無変調波信号の位相を離散的に360度回転させ、2つの無変調波信号を合成し、REV法を適用することで、アレーアンテナを構成する各素子に形成される電界ベクトルの振幅及び位相を検出する。実施例2は、検出用移相器を用いることなく、通常運用時に使用する複数の移相器のうちの1つの移相器を用いて、合成信号の位相を離散的に360度回転させ、位相を回転させた合成信号を含む2つの合成信号を選択し、2つの合成信号から無変調波信号をそれぞれ抽出し、2つの無変調波信号を合成し、REV法を適用することで、アレーアンテナを構成する各素子に形成される電界ベクトルの振幅及び位相を検出する。
【0033】
図6は、従来技術及び実施例1,2にて伝送する信号を説明する図である。従来技術では、振幅及び位相検出時に、振幅及び位相を検出するために用いる無変調波信号が、アップリンク局102から衛星中継器103へ送信され、衛星中継器103からダウンリンク局104へ送信される。また、通常運用時に、放送または通信の情報が重畳した変調波信号が、アップリンク局102から衛星中継器103へ送信され、衛星中継器103からダウンリンク局104へ送信される。これに対し、実施例1,2では、振幅及び位相検出時においても、無変調波信号が、アップリンク局から衛星中継器へ、及び衛星中継器からダウンリンク局へ送信されない。通常運用時及び振幅及び位相検出時に、変調波信号が、アップリンク局から衛星中継器へ送信され、衛星中継器からダウンリンク局へ送信される。つまり、振幅及び位相の検出は、通常運用時に行われる。振幅及び位相検出時には、衛星中継器において、変調波信号に無変調波信号が合成され、合成信号から無変調波信号を遮断して変調波信号のみが抽出され、変調波信号がダウンリンク局へ送信される。また、合成信号から変調波信号を遮断して無変調波信号のみが抽出され、アレーアンテナを構成する各素子に形成される電界ベクトルの振幅及び位相が検出される。
【0034】
これにより、アレーアンテナを構成する各素子の電界ベクトルの振幅及び位相の検出を、無変調波信号を送受信することなく通常運用時に実施するようにしたから、放送等のサービスを休止する必要がない。また、衛星中継器内部において変調波信号に無変調波信号を合成し、2つの素子に対する合成信号を選択して電力を算出し、振幅及び位相を検出するようにしたから、相対的な出力レベルが低下することがなく、測定点の変化も小さくならないから、測定誤差を低減することができ、伝搬環境の影響を受けることもない。したがって、振幅及び位相を精度高く検出することが可能となる。
【0035】
〔実施例1〕
まず、実施例1について説明する。実施例1は、前述のとおり、変調波信号に無変調波信号を合成し、アレーアンテナを構成する全ての素子のうち2つの素子の系統における2つの合成信号を選択し、2つの合成信号から無変調波信号をそれぞれ抽出し、検出用移相器において検出対象素子の系統における無変調波信号の位相を離散的に360度回転させ、2つの無変調波信号を合成し、REV法を適用することで、アレーアンテナを構成する各素子に形成される電界ベクトルの振幅及び位相を検出する。
【0036】
図1は、実施例1による振幅及び位相検出機能を有する放送/通信衛星システムの概略構成を示す図である。この放送/通信衛星システム1−1は、アップリンク局2、放送衛星(または通信衛星)に設置された衛星中継器(伝送装置)3−1、及びダウンリンク局4を備えて構成される。
【0037】
アップリンク局2は、通常運用時、所定周波数の衛星放送波を用いて、放送衛星へ向けて放送波信号である変調波信号のアップリンクを行い、振幅及び位相検出時も同様に、変調波信号を送信する。図7に示した従来のアップリンク局102と図1のアップリンク局2とを比較すると、振幅及び位相検出時において、従来のアップリンク局102は、無変調波信号を送信するのに対し、アップリンク局2は、無変調波信号を送信することなく、通常運用時と同じ変調波信号を送信する点で相違する。
【0038】
また、ダウンリンク局4は、通常運用時、衛星中継器3−1から放送波信号である変調波信号のダウンリンクを行い、振幅及び位相検出時も同様に、変調波信号を受信する。図7に示した従来のダウンリンク局104と図1のダウンリンク局4とを比較すると、振幅及び位相検出時において、従来のダウンリンク局104は、無変調波信号を受信するのに対し、ダウンリンク局4は、無変調波信号を受信することなく、通常運用時と同じ変調波信号を受信する点で相違する。振幅及び位相の検出が通常運用時に行われるからである。
【0039】
衛星中継器3−1は、受信用のアンテナ111、周波数変換器112、無変調波信号生成器11、合成器12、分配器113、所定数の減衰器114、所定数の移相器115、所定数の増幅器116、所定数の方向性結合器13、所定数の出力フィルタ117、所定数の放射素子118、反射鏡119、切替器14、フィルタ15、検出用移相器16、合成器17及び振幅及び位相検出器18を備えている。実施例1による振幅及び位相検出装置は、衛星中継器3−1の構成部のうち、送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子における電界ベクトルの振幅及び位相を検出する機能を有する構成部からなり、具体的には、無変調波信号生成器11、合成器12、方向性結合器13、切替器14、フィルタ15、検出用移相器16、合成器17及び振幅及び位相検出器18に相当する。減衰器114、移相器115、増幅器116、方向性結合器13、出力フィルタ117及び放射素子118における所定数は、送信用のアレーアンテナにおける構成部の系統数である。図1に示す衛星中継器3−1の構成において、図7に示した従来の衛星中継器103の構成と共通する部分には図7と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0040】
図7に示した従来の衛星中継器103と図1に示す衛星中継器3−1とを比較すると、両衛星中継器103,3−1共に、アンテナ111、周波数変換器112、分配器113、所定数の減衰器114、所定数の移相器115、所定数の増幅器116、所定数の出力フィルタ117、所定数の放射素子118及び反射鏡119を備えている点で同一である。これに対し、衛星中継器3−1は、従来の衛星中継器103の構成に加え、無変調波信号生成器11、合成器12、所定数の方向性結合器13、切替器14、フィルタ15、検出用移相器16、合成器17及び振幅及び位相検出器18を備えている点で相違する。
【0041】
以下、振幅及び位相検出時の処理について説明する。図2は、実施例1の振幅及び位相検出処理の例を示すフローチャートである。無変調波信号生成器11は、送信用のアレーアンテナを構成する各素子(放射素子118)により形成される電界ベクトルの振幅及び位相を検出するために、例えばアップリンク局2から送信されるコマンド信号に従って無変調波信号を生成し、生成した無変調波信号を合成器12に出力する。
【0042】
合成器12は、周波数変換器112から周波数が変換された変調波信号を入力すると共に、無変調波信号生成器11から無変調波信号を入力し、変調波信号に無変調波信号を合成する(ステップS201)。これにより、変調波信号の帯域外に無変調波信号が生成される。合成器12により変調波信号に無変調波信号が合成された信号(合成信号)は、分配器113により、送信用のアレーアンテナを構成する素子の数に応じた系統毎に分配され、系統毎の減衰器114、移相器115及び増幅器116を介して方向性結合器13へ入力される。
【0043】
ここで、合成信号は、減衰器114及び移相器115により、所望のアンテナ指向性を得るための設計値に合わせるために、振幅及び位相が調整される。また、合成信号は、非線形特性を有する増幅器116により、単位帯域あたりの送信電力の上限値を超えない範囲で増幅され、高出力化される。一般的に、増幅器116としては、変調波信号の帯域より広い帯域で平坦な電気特性を有するものが使用されるため、変調波信号の帯域外に生成された無変調波信号も、変調波信号と同様の非線形特性にて出力される。
【0044】
尚、通常運用時には、無変調波信号生成器11から無変調波信号が出力されず、合成器12は、周波数変換器112から入力した変調波信号をそのまま分配器113に出力する。
【0045】
方向性結合器13は、増幅器116により増幅された合成信号を入力し、合成信号から所定の低レベルの信号を取り出し、低レベルの合成信号を切替器14に出力する(ステップS202)。これにより、送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子に対応する低レベルの合成信号が取り出され、切替器14に出力される。また、方向性結合器13は、増幅器116から入力した合成信号をほとんど減衰させることなく、出力フィルタ117に出力する。
【0046】
尚、後述する切替器14、フィルタ15、検出用移相器16、合成器17及び振幅及び位相検出器18は、通常運用時には動作せず、振幅及び位相検出時には、例えばアップリンク局2から送信されるコマンド信号に従って、振幅及び位相を検出するために動作する。また、増幅器116により出力された合成信号を方向性結合器13にて取り出し、この合成信号を用いて振幅及び位相を検出するのは、増幅器116が動特性を有し、様々な要因によってその特性が変動し、増幅器116よりも後段の出力フィルタ117等の構成部が静特性を有し、基本的にはその特性が変動しないからである。つまり、方向性結合器13により取り出された合成信号を用いることにより、動特性を有する構成部の特性変化に応じた振幅及び位相を検出することができるからである。
【0047】
切替器14は、方向性結合器13から、全素子数分(全系統)の合成信号をそれぞれ入力し、例えば図示しないテーブルを用いて、全ての合成信号のうち予め設定された2つの合成信号を選択して切り替え、切り替えた2つの信号をフィルタ15に出力する(ステップS203)。また、切替器14は、選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を検出対象の信号として設定する(ステップS204)。尚、切替器14は、全ての合成信号のうち、信号レベル(電力または振幅)が最も近い2つの合成信号を選択して切り替えるようにしてもよい。
【0048】
ここで、2つの合成信号のうち、後述するフィルタ15を介して検出用移相器16へ出力される合成信号(検出用移相器16により位相が変化する無変調波信号)に対応する素子が、振幅及び位相の検出対象となる。
【0049】
図3は、切替器14が使用するテーブルの例を説明する図である。(a)は、所定の素子を基準として2つの合成信号を選択する、基準番号に基づいたテーブルの例を示し、(b)は、信号レベルの近い素子を選択する、信号レベルに基づいたテーブルの例を示す。(a)(b)のテーブルには、1つの検出対象素子について振幅及び位相を検出する毎に、2つの選択番号及び1つの検出対象番号が格納されている。選択番号は、切替器14により全ての合成信号のうち2つの合成信号を選択するための素子番号である。検出対象番号は、選択番号により選択される2つの合成信号のうち、振幅及び位相の検出対象となる1つの合成信号を設定するための素子番号である。nは素子の数、すなわち送信用のアレーアンテナを構成する全要素の系統数を示す。
【0050】
図3(a)のテーブルは、素子番号1を基準となる合成信号の素子番号とし、素子番号1を除く素子番号1〜nを、検出対象の素子番号としたものである。最初に(1)により、素子番号1,2の合成信号が選択され、素子番号2の合成信号が検出対象の信号となり、次に(2)により、素子番号1,3の合成信号が選択され、素子番号3の合成信号が検出対象の信号となる。同様にして、(n−1)により、素子番号1,nの合成信号が選択され、素子番号nの合成信号が検出対象の信号となる。
【0051】
図3(b)のテーブルは、各合成信号の信号レベルが低い順の素子番号が「2,20,11,13,・・・,4,25」の場合に、信号レベルが低い順番に2つの素子番号を選択番号とし、そのうちの一方(信号レベルが高い方)の素子番号を検出対象番号としたものである。最初に(1)により、最も信号レベルの低い組合せの素子番号2,20の合成信号が選択され、素子番号20の合成信号が検出対象の信号となり、次に(2)により、信号レベルが素子番号2,20より低い組合せの素子番号20,11の合成信号が選択され、素子番号11の合成信号が検出対象の信号となる。同様にして、(n−1)により、最も信号レベルの高い組合せの素子番号4,25の合成信号が選択され、素子番号25の合成信号が検出対象の信号となる。ここで、各合成信号の信号レベルは、減衰器114及び移相器115により調整される振幅及び位相に応じて一義的に決定される。したがって、設計時点で決定される各合成信号の信号レベルに従って、図3(b)のテーブルが予め設定される。
【0052】
切替器14は、図3(a)または(b)に示したテーブルから選択番号及び検出対象番号を読み出し、選択番号に従って、全ての合成信号のうち2つの合成信号を選択して切り替え、検出対象番号に従って、選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を検出対象の信号として設定し、選択した2つの合成信号をフィルタ15に出力する。例えば、切替器14は、図3(a)のテーブルから(1)の選択番号1,2及び検出対象番号2を読み出し、後述する振幅及び位相検出器18により、検出対象番号2の素子に対する振幅及び位相の検出が完了した後、テーブルから(2)の選択番号1,3及び検出対象番号3を読み出し、後述する振幅及び位相検出器18により、検出対象番号3の素子に対する振幅及び位相の検出が完了した後、テーブルから(3)の選択番号1,4及び検出対象番号4を読み出す。このように、切替器14は、テーブルから(1)〜(n−1)の選択番号及び検出対象番号を順番に読み出し、後述する振幅及び位相検出器18は、検出対象番号の素子の振幅及び位相の検出を行うことにより、全ての素子における電界ベクトルの振幅及び位相が検出される。
【0053】
尚、図3(a)(b)はテーブルの一例であり、(a)では、基準となる合成信号の素子番号は1以外でもよく、(b)では、信号レベルの高い順に(1)〜(n−1)の素子番号を設定するようにしてもよい。また、(b)では、2つの選択番号(素子番号)のうち、信号レベルが低い方の素子番号を検出対象番号に設定するようにしてもよい。また、これらのテーブルは、衛星中継器3−1の記憶手段に予め格納しておくようにしてもよいし、例えばアップリンク局2からのコマンド信号によって衛星中継器3−1へ送信し、記憶手段に格納するようにしてもよい。また、衛星中継器3−1の記憶手段に格納されたテーブル内の選択番号及び検出対象番号は、例えばアップリンク局2からのコマンド信号によって設定変更するようにしてもよい。
【0054】
図1及び図2に戻って、フィルタ15は、切替器14から2つの合成信号を入力し、変調波信号を遮断するフィルタ処理をそれぞれ施して無変調波信号のみを抽出し、検出対象の合成信号から抽出した無変調波信号(検出対象素子の系統における無変調波信号)を検出用移相器16に出力すると共に、他方の無変調波信号(検出対象素子以外の系統における無変調波信号)を合成器17に出力する(ステップS205)。
【0055】
検出用移相器16は、フィルタ15から一方の無変調波信号(検出対象素子の系統における無変調波信号)を入力し、その位相を離散的に360度回転させながら、位相が離散的に変化する無変調波信号を合成器17に出力する(ステップS206)。
【0056】
合成器17は、検出用移相器16から位相が離散的に変化する無変調波信号を入力すると共に、フィルタ15から振幅及び位相が固定の無変調波信号を入力し、2つの無変調波信号を加算して合成し、合成した無変調波信号を振幅及び位相検出器18に出力する(ステップS207)。
【0057】
振幅及び位相検出器18は、合成器17から合成した無変調波信号を入力し、REV法を適用する。すなわち、振幅及び位相検出器18は、入力した無変調波信号の電力に基づいて、正弦特性または余弦特性の近似曲線を算出し、検出対象素子の相対振幅及び相対位相を検出する(ステップS208)。
【0058】
このようにして、切替器14において選択される合成信号の組合せを変えることで(ステップS209)、送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子における電界ベクトルの相対的な振幅及び位相が検出される。そして、例えばアップリンク局2は、衛星中継器3−1へコマンド信号を送信し、その応答として、振幅及び位相検出器18から全ての素子における電界ベクトルの相対的な振幅及び位相を受信し、受信した振幅及び位相に基づいて、各素子の誤差を特定し、この誤差を吸収するように、衛星中継器3−1へコマンド信号を送信して減衰器114及び移相器115を制御する。これにより、アンテナ指向性を、所望の指向性に一層近づくよう改善することが可能となる。尚、振幅及び位相検出器18は、検出した振幅及び位相に基づいて、各素子の誤差を特定し、この誤差を吸収するように、減衰器114及び移相器115を直接制御するようにしてもよい。
【0059】
一方、方向性結合器13によりほとんど減衰することなく出力された合成信号は、出力フィルタ117において、無変調波信号が遮断され、変調波信号のみが通過する。変調波信号は、放射素子118及び反射鏡119を介して、ダウンリンク局4へ無線伝送される。
【0060】
以上のように、実施例1によれば、衛星中継器3−1の合成器12は、変調波信号に無変調波信号を合成して合成信号を生成し、分配器113は、送信用のアレーアンテナを構成する素子の数に応じた系統毎に合成信号を分配し、方向性結合器13は、減衰器114、移相器115及び増幅器116による処理後の合成信号から所定の低レベルの信号を取り出すようにした。そして、切替器14は、図3(a)または(b)に示したテーブルを用いて、方向性結合器13により取り出された合成信号のうち2つの合成信号を選択して切り替え、選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を検出対象の信号として設定するようにした。そして、フィルタ15は、2つの合成信号に対して変調波信号を遮断し、無変調波信号のみを抽出し、検出用移相器16は、フィルタ15により検出対象の合成信号から抽出された無変調波信号の位相を離散的に360度回転させ、合成器17は、検出用移相器16により位相が離散的に変化する無変調波信号と、フィルタ15により抽出された、検出対象の信号でない無変調波信号とを加算して合成し、振幅及び位相検出器18は、合成器17により合成された無変調波信号の電力に基づいてREV法を適用し、その電力の正弦特性または余弦特性の近似曲線を算出し、検出対象素子の相対振幅及び相対位相を検出するようにした。そして、切替器14において選択される2つの合成信号の組合せを変えることで、送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子における電界ベクトルの相対的な振幅及び位相を検出するようにした。
【0061】
すなわち、衛星中継器3−1において、送信信号を生成する途中段階で、合成器12が、無変調波信号を変調波信号の帯域外に生成し、変調波信号に無変調波信号を合成する。そして、合成信号に対し、振幅及び位相を検出するために、フィルタ15が、変調波信号を遮断して無変調波信号のみを通過させる。一方、アレーアンテナにより無線伝送するために、出力フィルタ117が、無変調波信号を遮断して変調波信号のみを通過させる。これにより、通常運用時の変調波信号を伝送しながら、振幅及び位相を検出することができるから、振幅及び位相検出時に、放送等のサービスを休止する必要がない。したがって、発明が解決しようとする課題に示した(1)を解決することができる。
【0062】
また、従来技術では、振幅及び位相検出時に、無変調波信号の出力レベルを低減する必要があり、増幅器116の出力が低いレベルに制限されてしまうことから、通常運用時と比べて位相が変化してしまう。これに対し、衛星中継器3−1では、出力レベルを低減する必要がないから、増幅器116の出力も制限されることがなく、通常運用時の位相と同じになり、位相が変化しない。これにより、通常運用時と同じ状況の下で、増幅器116における非線形特性を考慮した振幅及び位相を検出することができる。したがって、発明が解決しようとする課題に示した(2)を解決することができる。
【0063】
また、従来技術では、アレーアンテナを構成する複数の素子のうち、1つの検出対象素子の系統における無変調波信号とその他の全ての素子の系統における無変調波信号とを合成する。これに対し、衛星中継器3−1では、1つの検出対象素子の系統における無変調波信号と他の1つの素子の系統における無変調波信号とを合成する。これにより、検出対象素子の他の素子に対する相対出力のレベルが低下することがなく、測定点の変化も小さくならないから、出力電力の正弦特性または余弦特性の近似曲線を的確に特定することができ、振幅及び位相を精度高く検出することができる。したがって、発明が解決しようとする課題に示した(3)を解決することができる。
【0064】
また、従来技術では、振幅及び位相検出時に、アレーアンテナから放射される出力電力を測定する。これに対し、衛星中継器3−1では、アレーアンテナから放射される出力電力を測定することなく、衛星中継器3−1内部で2つの無変調波信号を合成して電力を測定する。これにより、降雨等にて伝搬損失が発生している伝搬環境等の影響を受けることなく、振幅及び位相を検出することができる。したがって、発明が解決しようとする課題に示した(4)を解決することができる。
【0065】
さらに、実施例1によれば、切替器14が、図3(b)に示したテーブルを用いて、方向性結合器13により取り出された合成信号のうち信号レベル(電力または振幅)が最も近い2つの合成信号を選択して切り替えるようにした場合、合成器17により合成された無変調波信号の電力は、2つの無変調波信号が同じ位相のときに最大値となり、位相が逆のときに0に近くなる。これにより、信号レベルが最も近い2つの合成信号が選択された場合の電力は、信号レベルとは関係なく2つの合成信号が選択された場合(例えば図3(a)に示したテーブルを用いた場合)の電力よりも、測定点の変化が大きくなるから、振幅及び位相を一層精度高く検出することができる。
【0066】
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。実施例2は、前述のとおり、検出用移相器を用いることなく、通常運用時に使用する複数の移相器のうちの1つの移相器を用いて、合成信号の位相を離散的に360度回転させ、位相を回転させた合成信号を含む2つの合成信号を選択し、2つの合成信号から無変調波信号をそれぞれ抽出し、2つの無変調波信号を合成し、REV法を適用することで、アレーアンテナを構成する各素子に形成される電界ベクトルの振幅及び位相を検出する。
【0067】
図4は、実施例2による振幅及び位相検出機能を有する放送/通信衛星システムの概略構成を示す図である。この放送/通信衛星システム1−2は、アップリンク局2、放送衛星(または通信衛星)に設置された衛星中継器(伝送装置)3−2、及びダウンリンク局4を備えて構成される。
【0068】
図1に示した実施例1の放送/通信衛星システム1−1と図4に示す実施例2の放送/通信衛星システム1−2とを比較すると、両放送/通信衛星システム1−1,1−2共に、無変調波信号を送信しないで変調波信号のみを送信するアップリンク局2を備え、無変調波信号を受信しないで変調波信号のみを受信するダウンリンク局4を備えている点で同一である。一方、実施例2の放送/通信衛星システム1−2は、実施例1の放送/通信衛星システム1−1における衛星中継器3−1とは異なる衛星中継器3−2を備えている点で相違する。アップリンク局2及びダウンリンク局4については実施例1にて説明済みであるから、説明を省略する。
【0069】
衛星中継器3−2は、受信用のアンテナ111、周波数変換器112、無変調波信号生成器11、合成器12、分配器113、所定数の減衰器114、所定数の移相器19、所定数の増幅器116、所定数の方向性結合器13、所定数の出力フィルタ117、所定数の放射素子118、反射鏡119、切替器14、フィルタ15、合成器17及び振幅及び位相検出器18を備えている。実施例2による振幅及び位相検出装置は、衛星中継器3−2の構成部のうち、送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子における電界ベクトルの振幅及び位相を検出する機能を有する構成部からなり、具体的には、無変調波信号生成器11、合成器12、移相器19、方向性結合器13、切替器14、フィルタ15、合成器17及び振幅及び位相検出器18に相当する。減衰器114、移相器19、増幅器116、方向性結合器13、出力フィルタ117及び放射素子118における所定数は、送信用のアレーアンテナにおける構成部の系統数である。図4に示す実施例2の衛星中継器3−2の構成において、図1に示した実施例1の衛星中継器3−1の構成と共通する部分には図1と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0070】
実施例1の衛星中継器3−1と実施例2の衛星中継器3−2とを比較すると、両衛星中継器3−1,3−2共に、アンテナ111、周波数変換器112、分配器113、減衰器114、増幅器116、出力フィルタ117、放射素子118、反射鏡119、無変調波信号生成器11、合成器12、方向性結合器13、切替器14、フィルタ15、合成器17及び振幅及び位相検出器18を備えている点で同一である。一方、衛星中継器3−1は、通常運用時並びに振幅及び位相決定時において振幅及び位相を調整する所定数の移相器115、及び検出対象素子の系統における無変調波信号の位相を離散的に360度回転させる検出用移相器16を備えているのに対し、衛星中継器3−2は、通常運用時において振幅及び位相を調整する所定数の移相器19を備え、振幅及び位相検出時において所定数の移相器19のうちの1つの移相器が、合成信号の位相を離散的に360度回転させる点で相違する。
【0071】
実施例1の衛星中継器3−1では、通常運用時に使用する移相器115とは別に、振幅及び位相検出時に使用する検出用移相器16を備えることにより、検出対象素子の系統における無変調波信号の位相を離散的に360度回転させ、検出対象素子の電界ベクトルの振幅及び位相を検出するのに対し、実施例2の衛星中継器3−2では、通常運用時に使用する移相器19を振幅及び位相検出時にも使用することにより、検出対象素子の系統における合成信号の位相を離散的に360度回転させ、検出対象素子の電界ベクトルの振幅及び位相を検出する。実施例2の衛星中継器3−2では、例えば、数百から数千の素子を使用するアレーアンテナ等において、1つの素子がアンテナ指向性の形成に寄与する割合が小さい場合に適用があり、実施例1の衛星中継器3−1に備えた検出用移相器16を省略することができる。
【0072】
以下、振幅及び位相検出時の処理について説明する。図5は、実施例2の振幅及び位相検出処理を示すフローチャートである。実施例1と同様に、無変調波信号生成器11は、例えばアップリンク局2から送信されるコマンド信号に従って、無変調波信号を生成して合成器12に出力し、合成器12は、周波数変換器112から周波数が変換された変調波信号を入力すると共に、無変調波信号生成器11から無変調波信号を入力し、変調波信号に無変調波信号を合成し、合成信号を生成する(ステップS501)。これは、図2に示した実施例1の振幅及び位相検出処理のフローチャートにおけるステップS201と同様である。
【0073】
尚、実施例1と同様に、通常運用時には、無変調波信号生成器11から無変調波信号が出力されず、合成器12は、周波数変換器112から入力した変調波信号をそのまま分配器113に出力する。
【0074】
切替器14は、例えば図3(a)または(b)に示したテーブルから検出対象番号を読み出し、所定数の移相器19のうちの検出対象番号が示す移相器を、検出対象の合成信号を処理する移相器として特定する(ステップS502)。そして、切替器14は、特定した移相器に対して位相回転指令を出力し、特定された移相器は、切替器14から位相回転指令を入力し、減衰器114から入力した合成信号の位相を離散的に360度回転させながら、位相が変化する合成信号を同じ系統の増幅器116に出力する(ステップS503)。その他の移相器19では、通常運用時において所望のアンテナ指向性が得られる設計値に合わせるように、入力した合成信号の振幅及び位相が調整される。また、合成信号は、増幅器116により高出力化される。
【0075】
尚、切替器14、フィルタ15、合成器17及び振幅及び位相検出器18は、通常運用時には動作せず、振幅及び位相検出時には、例えばアップリンク局2から送信されるコマンド信号に従って振幅及び位相を検出するために動作する。
【0076】
方向性結合器13は、図2のステップS202と同様に、増幅器116により増幅された合成信号を入力し、合成信号から所定の低レベルの信号を取り出し、低レベルの合成信号を切替器14に出力する(ステップS504)。これにより、送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子に対応する低レベルの合成信号が取り出され、切替器14に出力される。また、方向性結合器13は、増幅器116から入力した合成信号をほとんど減衰させることなく、出力フィルタ117に出力する。
【0077】
切替器14は、図2のステップS203と同様に、方向性結合器13から、全素子数分の合成信号を入力し、例えば図3(a)または(b)のテーブルから選択番号を読み出し、全ての合成信号のうちの選択番号が示す2つの合成信号を選択して切り替え、選択した2つの信号をフィルタ15に出力する(ステップS505)。また、切替器14は、図2のステップS204と同様に、テーブルから検出対象番号を読み出し、選択した2つの合成信号のうちの検出対象番号が示す1つの合成信号を検出対象の信号として設定する(ステップS506)。
【0078】
フィルタ15は、図2のステップS205と同様に、切替器14から2つの合成信号を入力し、変調波信号を遮断するフィルタ処理をそれぞれ施して無変調波信号のみを抽出し、2つの無変調波信号(検出対象素子の系統における位相が離散的に変化する無変調波信号、及び検出対象素子以外の素子の系統における振幅及び位相が固定の無変調波信号)を合成器17に出力する(ステップS507)。
【0079】
合成器17は、図2のステップS207と同様に、フィルタ15から2つの無変調波信号を入力し、2つの無変調波信号を加算して合成し、振幅及び位相検出器18に出力する(ステップS508)。
【0080】
振幅及び位相検出器18は、図2のステップS208と同様に、合成器17により合成された無変調波信号の電力に基づいて、REV法を適用して電力の正弦特性または余弦特性の近似曲線を算出し、検出対象素子の相対振幅及び相対位相を検出する(ステップS509)。
【0081】
このようにして、図2のステップS209と同様に、切替器14において選択される合成信号の組合せを変えることで(ステップS510)、送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子における電界ベクトルの相対的な振幅及び位相が検出される。そして、実施例1と同様に、ダウンリンク局4が、コマンド信号の応答として、全ての素子における電界ベクトルの相対的な振幅及び位相を受信し、受信した振幅及び位相に基づいて、各素子の誤差を特定する。この誤差を吸収するように、アップリンク局2が、衛星中継器3−2へコマンド信号を送信して減衰器114及び移相器19を制御する。これにより、アンテナ指向性を、所望の指向性に一層近づくよう改善することが可能となる。尚、振幅及び位相検出器18が、検出した振幅及び位相に基づいて、各素子の誤差を特定し、この誤差を吸収するように、減衰器114及び移相器19を直接制御するようにしてもよい。
【0082】
以上のように、実施例2によれば、衛星中継器3−2の合成器12は、変調波信号に無変調波信号を合成して合成信号を生成し、分配器113は、送信用のアレーアンテナを構成する素子の数に応じた系統毎に合成信号を分配し、所定数の移相器19のうち、図3(a)または(b)に示したテーブルを用いて特定された、検出対象素子の系統における1つの移相器は、合成信号の位相を離散的に360度回転させ、方向性結合器13は、減衰器114、移相器19及び増幅器116による処理後の合成信号から所定の低レベルの信号を取り出すようにした。そして、切替器14は、図3(a)または(b)に示したテーブルを用いて、方向性結合器13により取り出された合成信号のうち2つの合成信号を選択して切り替え、選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を検出対象の信号として設定するようにした。そして、フィルタ15は、2つの合成信号に対して変調波信号を遮断し、無変調波信号のみを抽出し、合成器17は、2つの無変調波信号を加算して合成し、振幅及び位相検出器18は、合成器17により合成された無変調波信号の電力に基づいてREV法を適用し、その電力の正弦特性または余弦特性の近似曲線を算出し、検出対象素子の相対振幅及び相対位相を検出するようにした。そして、切替器14において選択される2つの合成信号の組合せを変えることで、送信用のアレーアンテナを構成する全ての素子における電界ベクトルの相対的な振幅及び位相を検出するようにした。これにより、実施例1と同様の効果を奏する。また、振幅及び位相を検出するための検出用移相器を、通常運用時に使用する移相器19とは別に設ける必要がないから、実施例1に比べて簡易な構成を実現することができる。
【0083】
近年、電力の有効利用、周波数資源の有効活用等の観点から、アレーアンテナを活用するシステムが研究開発されている。例えば、2006年に打ち上げられた技術試験衛星「ETS−VIII(きく8号)」及び2008年に打ち上げられた超高速インターネット衛星「WINDS(きずな)」では、アレーアンテナを搭載し、実証実験が行われている。また、本出願人である日本放送協会にて検討している21GHz帯を使用する放送衛星では、降雨による電波減衰に応じて適応的にアンテナ指向特性を変化させるためのアレーアンテナを搭載する研究開発を行っている。
【0084】
今後、アレーアンテナを搭載した放送衛星または通信衛星等において、情報伝送を行うサービスを展開する場合、信頼度の高い振幅及び位相の検出を基にしたアンテナ指向性の改善、振幅及び位相の検出に伴うサービス休止期間の回避は重要な課題となる。前述の実施例1,2によって、このような課題を解決することができる。
【0085】
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、移相器115,19は、所望のアンテナ指向性を得ることが可能な所定の設計値に合わせるために、入力した信号の振幅及び位相を調整するようにしたが、入力した信号の振幅及び位相を制御することにより、振幅及び位相を調整する場合に限らず、振幅のみを制御することにより、または、位相のみを制御することにより、振幅及び位相を調整する場合にも適用がある。また、前記実施例1,2では、衛星中継器3−1,3−2の例を挙げて説明したが、本発明は、伝送装置の対象として、放送衛星に設置された衛星中継器3−1,3−2に限定されるものではなく、アレーアンテナを備えた伝送装置であればよい。例えば、地上に設置された伝送装置にも適用がある。
【符号の説明】
【0086】
1−1,1−2 101 放送/通信衛星システム
2,102 アップリンク局
3−1,3−2,103 衛星中継器
4,104 ダウンリンク局
11 無変調波信号生成器
12 合成器
13 方向性結合器
14 切替器
15 フィルタ
16 検出用移相器
17 合成器
18 振幅及び位相検出器
19,115 移相器
111 アンテナ
112 周波数変換器
113 分配器
114 減衰器
116 増幅器
117 出力フィルタ
118 放射素子
119 反射鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送または通信の情報が重畳した変調波信号の振幅及び位相を減衰器及び移相器にて調整し、前記減衰器及び移相器により調整された変調波信号を増幅器にて増幅することにより、所望のアンテナ指向性を形成したアレーアンテナから変調波信号を伝送する伝送装置に対し、前記アレーアンテナを構成する複数の素子のそれぞれにより形成される電界ベクトルの振幅及び位相を検出する振幅及び位相検出装置において、
無変調波信号を生成する無変調波信号生成器と、
前記無変調波信号生成器により生成された無変調波信号を前記変調波信号に合成し、合成信号を生成する合成器と、
前記合成器により生成された合成信号が、前記アレーアンテナを構成する複数の素子の数に相当する複数の系統に分配され、前記減衰器及び移相器による調整処理及び前記増幅器による増幅処理を含む系統毎の処理にて生成された系統毎の合成信号を入力し、前記系統毎の合成信号のうち所定の2つの合成信号を選択して切り替えると共に、前記選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を検出対象の信号に設定する切替器と、
前記切替器により選択された2つの合成信号のそれぞれから、前記変調波信号を遮断して無変調波信号を抽出するフィルタと、
前記フィルタにより抽出された2つの無変調波信号のうち前記切替器により設定された検出対象の信号に対応する無変調波信号に対し、その位相を離散的に360度回転させる検出用移相器と、
前記フィルタにより抽出された2つの無変調波信号のうち前記検出対象でない信号に対応する無変調波信号と、前記検出用移相器により位相が回転した無変調波信号とを加算して合成する合成器と、
前記合成器により合成された無変調波信号の電力に基づいて、前記検出対象の信号に対応する素子の前記振幅及び位相を検出する振幅及び位相検出器と、
を備えたことを特徴とする振幅及び位相検出装置。
【請求項2】
放送または通信の情報が重畳した変調波信号の振幅及び位相を減衰器及び移相器にて調整し、前記減衰器及び移相器により調整された変調波信号を増幅器にて増幅することにより、所望のアンテナ指向性を形成したアレーアンテナから変調波信号を伝送する伝送装置に対し、前記アレーアンテナを構成する複数の素子のそれぞれにより形成される電界ベクトルの振幅及び位相を検出する振幅及び位相検出装置において、
無変調波信号を生成する無変調波信号生成器と、
前記無変調波信号生成器により生成された無変調波信号を前記変調波信号に合成し、合成信号を生成する合成器と、
前記合成器により生成された合成信号が、前記アレーアンテナを構成する複数の素子の数に相当する複数の系統に分配された際に、前記全ての系統の合成信号のうち検出対象の合成信号に対し、その振幅を調整しその位相を離散的に360度回転させると共に、前記検出対象でない合成信号に対し、その振幅及び位相を調整する減衰器及び位相器と、
前記減衰器及び位相器による回転及び調整処理並びに前記増幅器による増幅処理を含む系統毎の処理にて生成された系統毎の合成信号を入力し、前記系統毎の合成信号のうち所定の2つの合成信号を選択して切り替えると共に、前記選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を前記検出対象の信号に設定する切替器と、
前記切替器により選択された2つの合成信号のそれぞれから、前記変調波信号を遮断して無変調波信号を抽出するフィルタと、
前記フィルタにより抽出された2つの無変調波信号を加算して合成する合成器と、
前記合成器により合成された無変調波信号の電力に基づいて、前記検出対象の信号に対応する素子の前記振幅及び位相を検出する振幅及び位相検出器と、
を備えたことを特徴とする振幅及び位相検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振幅及び位相検出装置において、
前記切替器は、前記入力した系統毎の合成信号のうち所定の1つの合成信号を基準信号とし、前記基準信号を含む2つの合成信号を選択すると共に、前記選択した2つの合成信号のうち、基準信号でない他の合成信号を検出対象の信号に設定する、ことを特徴とする振幅及び位相検出装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の振幅及び位相検出装置において、
前記切替器は、前記入力した系統毎の合成信号のうち、前記合成信号の信号レベルが最も近い2つの合成信号を選択すると共に、前記選択した2つの合成信号のうち1つの合成信号を検出対象の信号に設定する、ことを特徴とする振幅及び位相検出装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の振幅及び位相検出装置において、
前記減衰器及び移相器は、振幅、位相、または振幅及び位相を制御することにより、前記振幅及び位相を調整する、ことを特徴とする振幅及び位相検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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