挿入補助具、カテーテル組立体及びカテーテルセット
【課題】カテーテルに対する進退がし易く、カテーテルに先行させてもガイドワイヤを交換することができる挿入補助具、並びにこれを備えたカテーテル組立体及びカテーテルセットを提供する。
【解決手段】挿入補助具1は、ガイドワイヤルーメン10を有する先端部2と、先端部2に連続するシャフト4とを備える。挿入補助具1をカテーテル31と組み合わせた状態において、挿入補助具1の先端部2と、カテーテル31の基端との間のカテーテル31のルーメン32から挿入補助具1のシャフト4によって占められる部分を除いた残余の空間である残余ルーメンにガイドワイヤGを挿入可能である。挿入補助具1の先端部2のガイドワイヤルーメン10が残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤGを受入可能なように挿入補助具1の先端部2の後端側の開口がカテーテル31の基端に向かって開口する。
【解決手段】挿入補助具1は、ガイドワイヤルーメン10を有する先端部2と、先端部2に連続するシャフト4とを備える。挿入補助具1をカテーテル31と組み合わせた状態において、挿入補助具1の先端部2と、カテーテル31の基端との間のカテーテル31のルーメン32から挿入補助具1のシャフト4によって占められる部分を除いた残余の空間である残余ルーメンにガイドワイヤGを挿入可能である。挿入補助具1の先端部2のガイドワイヤルーメン10が残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤGを受入可能なように挿入補助具1の先端部2の後端側の開口がカテーテル31の基端に向かって開口する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに先行してその挿入を補助する挿入補助具、並びにこれを有するカテーテル組立体及びカテーテルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の挿入補助具として、下記特許文献1に記載のものが知られている。この挿入補助具は、当該文献の0009段落に記載されるように、カテーテル内腔の全長にわたってカテーテルを補強するために挿入され、ガイドワイヤ用の側孔が設けられるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−224313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような挿入補助具では、カテーテルの全長にわたり補強のため挿入されるので、挿入補助具はカテーテルの内面全体に接触することとなり、材質の組合せによっては挿入補助具のカテーテルに対する進退がしづらい。又、挿入補助具にガイドワイヤ用の側孔が設けられ、挿入補助具に挿入されたガイドワイヤがカテーテルの軸と交差する方向に向かって挿入補助具の側孔から突出する。ガイドワイヤを挿入補助具に挿入した状態で挿入補助具をカテーテルに対して先行させた後、ガイドワイヤを側孔から引き出そうとしても、側孔から突出するガイドワイヤがカテーテルに引っ掛かってしまうためにガイドワイヤの引き出しが困難である。更にガイドワイヤを引き出した後、新たにガイドワイヤを挿入補助具に挿入する場合は、側孔にガイドワイヤを挿入する必要があり、ガイドワイヤの挿入補助具への挿入が困難である。このような挿入補助具の構成では、挿入補助具をカテーテルに先行させたままガイドワイヤを交換することが困難である。
【0005】
そこで、請求項1に記載の発明は、カテーテルに対する進退がし易く、カテーテルに先行させてもガイドワイヤを交換することができる挿入補助具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、カテーテル内を通された上でそのカテーテルに先行することで、当該カテーテルの挿入を補助する挿入補助具であって、先後に開口するガイドワイヤルーメンを有する先細の先端部と、先端部に連続するシャフトとを備え、前記カテーテルにカテーテルの先端開口部が前記挿入補助具の先端部の基端縁を包む状態で組み合わせ、前記挿入補助具の先端部が前記カテーテルに先行し、前記シャフトがカテーテルのルーメンを通り、前記シャフトの基端縁が前記カテーテルの基端側開口より出る状態において、前記挿入補助具の先端部と、前記カテーテルの基端との間のカテーテルのルーメンから前記挿入補助具のシャフトによって占められる部分を除いた残余の空間である残余ルーメンにガイドワイヤを挿入可能であり、前記挿入補助具の先端部のガイドワイヤルーメンが前記残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤを受入可能なように前記挿入補助具の先端部の後端側の開口が前記カテーテルの基端に向かって開口することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記目的に加えて、脈管内を進行する際に脈管を傷つける事態を防止すると共に、ガイドワイヤを所定位置に導くことで通過性、追従性を高める目的を達成するため、上記発明にあって、先端部の先端に、引き続きガイドワイヤルーメンを有し、先端部より柔軟であるソフトチップを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記目的に加えて、カテーテルを挿入補助具によって脈管を傷つけず容易に挿入でき、必要に応じて挿入補助具をスムースに出し入れすることができ、挿入時におけるガイドワイヤの交換も容易であるカテーテル組立体を提供する目的を達成するため、上記挿入補助具と、当該挿入補助具における先端部の基端縁を包含可能な先端開口部を有するカテーテルとを備えたカテーテル組立体であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記目的に加えて、カテーテルの通過性と脈管への影響の度合との双方に配慮する目的を達成するため、上記発明にあって、挿入補助具の先端部が、カテーテルの先端開口部よりも硬いことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、上記目的に加えて、挿入補助具と組み合わせていても血液の灌流を得られるようにする目的を達成するため、上記発明にあって、カテーテルの先端縁よりも基端側の先端部に、サイドホールを設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、上記目的に加えて、中枢脈管に外管としてのガイディングカテーテルを留置し、末梢脈管に内管としてのカテーテルを留置できるようにし、更に内管の通過性を高めながら挿入時のガイドワイヤの交換も可能であるようにする目的を達成するため、上記カテーテル組立体と、このカテーテル組立体を受容するガイディングカテーテルとを備えたカテーテルセットであることを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、ガイドワイヤルーメンを有する先細の先端部、及びこれに連続するシャフトを備えた挿入補助具、並びにこれを有するカテーテル組立体及びカテーテルセットであるため、カテーテルの挿入を補助しながら、カテーテル内での進退を滑らかにすることができ、更にガイドワイヤの交換を容易にすることができ、カテーテルとガイドワイヤとの段差を小さくすることもできてカテーテルの先端を安全かつ容易に目的部位に導入することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る(a)挿入補助具、(b)カテーテルの説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る(a)挿入補助具、(b)カテーテルの先端縁断面図である。
【図3】(a)は図1における挿入補助具の先端部の拡大断面図であり、(b)は図1における挿入補助具から延びるシャフトの拡大断面図である。
【図4】図3(a)のA−A線断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るカテーテルの(a)説明図、(b)一部断面図、(c)変更例の説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るカテーテル組立体の説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係るカテーテルセットの使用模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る挿入補助具につき、適宜図面に基づいて説明する。図1(a)は当該挿入補助具1の説明図であって、挿入補助具1は、先端側に先端部2を有すると共に、これより基端側に、長さとしては大部分を占めるシャフト4を有する。挿入補助具1は、後述するカテーテル31の先端側開口から先細部12の一部が突出し、かつシャフト4の基端がカテーテル31の基端側開口から突出する状態で、カテーテル31に挿入することができる長さであれば良く、具体的には、先端部2の長さは200ミリメートル(mm)程であり、シャフト4(先端部2との重複部分を除く)の長さは1300mm程度である。
【0015】
図2(a)は先端部2の中央断面図であって、先端部2は、管状体とされており、先後に開口するガイドワイヤGのためのルーメン10を有する。又、先端部2は、先端側にテーパ状の先細部12を有する。先細部12のすぐ後には、放射線(X線)を透過しない筒状のマーカ14が設けられている。マーカ14の外面は、マーカ14より基端側の先端部2外面と連続する。マーカ14の外面やこれより後側の先端部2外面における外径は、後述するカテーテル31の先端側開口の径とほぼ同一の径であれば良く、具体的には、5Fr(フレンチ)のカテーテルの内径と同等であり、即ちマーカ14の外面やこれより後側(基端側)の先端部2外面における外径は、1.40〜1.50mmである。
【0016】
先細部12の先端側には、先端部2より柔軟な管状のソフトチップ20が接続される。この接続は、先端部2にソフトチップ20を溶着することでなされる。ソフトチップ20も、ガイドワイヤGのためのルーメン22を有する。ルーメン22は、ルーメン10における先細部12先端の開口と同径であり、ルーメン10と連続している。ルーメン22は、ルーメン10と共通の中心軸を有している。ルーメン22あるいは先細部12の先端開口の大きさは、ガイドワイヤGより若干大きい程度で、ガイドワイヤGを摺動可能に保持することができる大きさである。具体的にはルーメン22あるいは先端部12の先端開口の大きさは、0.40〜0.42mmである。なお、中心軸は、先後方向を向く。
【0017】
又、ソフトチップ20には、放射線(X線)を透過しない筒状のマーカ(図示せず)を設ける。このマーカは、ソフトチップ20に被覆される。この被覆は、ソフトチップ20に対してマーカをかしめることでなされる。
【0018】
先端部2の材質は、ポリエーテルブロックアミド共重合体(Pebax)であり、ショア硬度は63デュロメータ(D)である。又、ソフトチップ20の材質はPebaxであり、ショア硬度は先端部2より柔らかい59Dである。Pebaxを用いることによって、先端部2やソフトチップ20を容易に形成することができる。なお、先端部2には、湿潤時に潤滑性を有するメチルビニルエーテル(VEMA)等のコーティングが施され、ここでは親水性のポリエチレンオキシド(PEO)によるコーティングが施されている。
【0019】
一方、先端部2の後端にも、ルーメン10の開口が位置する。当該開口のすぐ外側は、先端部2の壁の端面(が作るO字状の部分)である後面24となっている。後面24は、先端部2の中心軸に対し傾いている。そして、後面24の最後端部分に連設されるシャフト4が、基端まで延びている。すなわち、シャフト4は、先端部2の後面24の一部から基端まで延びている。
【0020】
図3(a)は、挿入補助具1の先端部2を拡大して示す断面図であり、図3(b)は、挿入補助具1の先端部2に連設されるシャフト4を拡大して示す断面図であり、図4は、図3(a)のA―A線断面図である。シャフト4は、線状であり、先端部2の側壁に連続する。又、シャフト4は、基端から先端に向かって柔軟になるように構成される。
【0021】
具体的には、シャフト4は、基端側に配され、先細部12から基端側の先端部2の内径D1よりも小さい外径を有する管であるステンレス製のハイポ管91と、ハイポ管91に接続され先端側に向かって延びる樹脂製のチューブ92とを有する。チューブ92の材質は、ポリアミドである。チューブ92の外径は、ハイポ管91の外径とほぼ等しく、ハイポ管91の先端部であるハイポ管先端部93がチューブ92に挿嵌され溶着されることによってハイポ管91とチューブ92とが接続される。又、ハイポ管先端部93は、ハイポ管先端部93より基端側のハイポ管91よりも柔軟になるよう構成される。具体的には、ハイポ管先端部93にらせん状の切れ込みを形成することによって基端側のハイポ管91よりも柔軟に構成される。
【0022】
シャフト4は、チューブ92の先端縁94を先端部2の壁部分に対して溶接されることで、先端部2と一体となっている。又、挿入補助具1は、一端101が先端部2に設けられ、他端102がシャフト4に設けられ、先端部2とシャフト4との間に跨設される芯材100を有する。具体的には、芯材100は、シャフト4のチューブ92内に挿入され、一端101が先端部2に設けられ、他端102がハイポ管91に設けられる。より具体的には芯材100の一端101は、先端部2に形成され先端部2の先細部12の後端13から先端部2の後端開口まで延びる芯材挿入孔110を形成する挿入孔形成体111に遊挿される。挿入孔形成体111は、具体的には樹脂製の細管であり、先端部2の内壁21に溶着されることによって先端部2内に芯材挿入孔110を形成する。芯材100の他端101は、ハイポ管91内に挿入されハイポ管91の内壁95に溶接される。芯材100は、他端102から一端101に向かって径が細くなるステンレス製のワイヤを用いる。
【0023】
又、シャフト4には、フッ素樹脂によるコーティングが施されている。なお、後面24の最後端部分(溶接部分の最後端周辺)には、図示しないマーカを付する。
【0024】
次に、本発明の一実施形態としての、挿入補助具1と組み合わせて用いられるカテーテル31について説明する。図1(b)及び図5(a)はカテーテル31の説明図、図2(b)は挿入補助具1と組み合わせたカテーテル31の中央断面図であって、カテーテル31は、管状体であり、5Frのサイズを有し、先後に開口するルーメン32を有する。ルーメン32は、ガイドワイヤG、あるいはバルーンカテーテル等の他の治療用デバイスを挿通可能である。
【0025】
カテーテル31は、2.25〜3.50mmの拡張後内径を有するステントの内部を通過することができる。又、6Frのガイディングカテーテルのルーメンを通過することができる。
【0026】
又、カテーテル31の先端縁は、これより基端側の部分より柔軟なソフトチップ34とされている。ソフトチップ34の材質もPebaxであるが、ソフトチップ34は挿入補助具1の先端部2よりも柔軟であり、具体的にはショア硬度が33Dである。ソフトチップ34の先端縁は、これより基端側より若干縮径させ、すぼみ形状となっている。カテーテル31の先端開口部、即ちソフトチップ34の縮径部分は、挿入補助具1の先端部2の基端縁の外周に接触して、先端部2の基端縁を包含する。なお、ソフトチップ34にはタングステンや酸化ビスマス等のX線不透過材料を混入させ、X線不透過として、マーカの役目も担わせる。
【0027】
更に、カテーテル31は、ソフトチップ34以外の部分について、柔軟性を保ちつつも、先端側より段階的にショア硬度が増す構造を持つ。具体的には、先端側より段階的にショア硬度が増す3種の構造を持つようになっている。まず、ソフトチップ34のすぐ基端側は、ショア硬度40DであるPebax製のチューブ40となっている。次に、チューブ40のすぐ基端側は、図5(b)に示すように、ステンレス製のらせん体42を、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)製の内筒44とPebax製の外筒46とで挟んだチューブ構造体48となっている。続いて、その基端側は、ナイロン製の管に網状体を入れ込んだ、ショア硬度74Dのチューブ構造体50となっている。なお、チューブ40及びチューブ構造体48、並びにチューブ構造体48,50は、溶着により接合されている。又、チューブ構造体50の基端側は、各種器具との接続部52となっている。接続部52を除くカテーテル31の長さは、およそ1260mmである。
【0028】
加えて、カテーテル31の内面には、フッ素樹脂加工(例えばポリテトラフルオロエチレンのコーティング)が施されている。又、カテーテル31の外面には、PEOのコーティングが施されている。
【0029】
そして、図2(b)や図6に示すように、挿入補助具1及びカテーテル31を、カテーテル31の先端開口部(先端縁)が挿入補助具1の先端部2の基端縁を包む状態で組み合わせれば、挿入補助具1の先細部12がカテーテル31に先行し、シャフト4がカテーテル31のルーメンを通り、シャフト4の基端縁がカテーテル31の接続部52より出る、カテーテル組立体61の標準状態(挿入時の状態)となる。
【0030】
カテーテル組立体61は、標準状態において、先端部2の後面と、カテーテル31の基端との間のカテーテル31のルーメン32からシャフト4によって占められる部分を除いた残余の空間である残余ルーメンにガイドワイヤGを挿入可能であり、先端部2のルーメン10が残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤGを受け入れ可能なように先端部2の後端側の開口がカテーテル31の基端に向かって開口する。またカテーテル組立体61は、標準状態において残余ルーメンと先端部2のルーメン10とが同軸的に連通する。
【0031】
続いて、本発明の一実施形態としてのカテーテルセットについて説明すると、このカテーテルセットは、カテーテル組立体61(挿入補助具1及びカテーテル31)と、カテーテル31を受容する6Frのガイディングカテーテル71(図7)とを含む。
【0032】
以上のような挿入補助具1、カテーテル組立体61、カテーテルセットの使用例を2例、図7等を参照して説明する。各例共に、大動脈弓Aから上行大動脈Uを経た冠動脈Cの末梢狭窄病変部へのアプローチに関するものである。
【0033】
第一に、ガイドワイヤGの素早い交換を可能とする場合(rapid exchange,Rx)であるが、まず、使用者は、カテーテルセットのガイディングカテーテル71を、先端が冠動脈Cの口に達するまで挿入し、留置する。次に、使用者は、カテーテル31を、ガイディングカテーテル71のルーメン内において挿入していく。
【0034】
このとき、カテーテル31の外面にコーティングが施されているので、使用者は、カテーテル31を、ガイディングカテーテル71の内面内を滑るようにして挿入することができる。
【0035】
続いて、使用者は、カテーテル31の先端がガイディングカテーテル71の先端付近に達したら、カテーテル31の挿入を止め、カテーテル31のルーメン内にガイドワイヤGを通し、その先端が冠動脈Cの病変部Sの付近に達するまで挿入する。
【0036】
そして、使用者は、挿入補助具1のルーメン10,22にガイドワイヤGの基端縁を入れ、挿入補助具1を、ガイドワイヤGに沿わせ、カテーテル31のルーメン内において挿入していく。使用者は、挿入補助具1を、シャフト4の操作により、ガイドワイヤG上で、かつカテーテル31のルーメン32内で挿入していく。
【0037】
このとき、カテーテル31の内面にコーティングが施されているので、使用者は、ガイドワイヤGや挿入補助具1を、滑るようにして挿入することができる。
【0038】
加えて、挿入補助具1の先端部2に、ガイドワイヤGより僅かに大きい開口を有する先細部12が備えられ、あるいはガイドワイヤGより僅かに大きいルーメン22を有するソフトチップ20が接続されているため、使用者は、挿入補助具1を、ガイドワイヤGを中心としてカテーテル31のルーメン32内で先端部2が偏ることなくスムースに挿入することができる。加えて、挿入補助具1の外面にコーティングが施されているので、使用者は、挿入補助具1を、カテーテル31のルーメン32内を滑るようにして挿入することができる。又、挿入補助具1のルーメン10にもコーティングが施されているので、使用者は、挿入補助具1を、ガイドワイヤG上を滑るようにして挿入することができる。
【0039】
更に、挿入補助具1は、先端部2の基端側の開口における後面24の一部に連設されるシャフト4を有するので、挿入補助具1としてカテーテル31の内面に接触する部分をほぼ先端部2基端側あるいはこれとシャフト4の一部分のみとすることができ、挿入補助具1をカテーテル31のルーメン32内で極めて挿入しやすいものとすることができるし、挿入補助具1内でガイドワイヤGの通過部分を先端部2に係るルーメン10,22のみとし、かつ先端部2の後の開口からガイドワイヤGを出し入れ可能とすることができ、挿入補助具1を用いていてもガイドワイヤGの素早い交換をすることができる。
【0040】
こうして、挿入補助具1の先細部12がカテーテル31に先行して先端開口部から露出し、挿入補助具1及びカテーテル31がカテーテル組立体61の上記標準状態となったら、使用者は、カテーテル組立体61を、ガイドワイヤGに沿わせて、先端が病変部Sの手前に達するまで挿入していく。
【0041】
このとき、挿入補助具1の先端部2は先細となっているので、カテーテル31とガイドワイヤGとの間の段差を小さくすることができ、カテーテル31の先端を安全かつ容易に導入することができる。又、挿入補助具1先端に、先端部2より柔軟なソフトチップ20が接合されるので、カテーテル組立体61がガイディングカテーテル71より先行する場合でも、血管を傷つけにくくなっている。又、カテーテル31の先端開口部に、基端側より柔軟なソフトチップ34が存在するので、同様に血管を傷つけにくい。
【0042】
加えて、挿入補助具1のソフトチップ20にマーカが設けられるので、操作者は挿入補助具1の最先端を把握することができ、挿入補助具1やカテーテル組立体61の操作を行い易い。又、先端部2における先細部12のすぐ後にマーカ14が設けられるため、マーカ14にカテーテル31の先端縁が乗るようにして、カテーテル組立体61が上記標準状態となることを把握し易く、又カテーテル31の先端がマーカ14に先行して先細部12より突出することで段差を生じ、血管を傷つける事態を防止することができる。更に、先端部2の後面24におけるシャフト4接続部にマーカを付するので、ガイドワイヤGの交換時に、カテーテル31の内面から挿入補助具1の先端部2の肉厚分だけ僅かに立ち上がる段差に注意することができるし、先端部2とシャフト4とに僅かな段差がある場合にはこの段差にも注意することができ、ガイドワイヤGの交換が容易になる。
【0043】
そして、図5に表されるように、カテーテル組立体61の先端が病変部S手前に達したら、使用者はカテーテル組立体61を操作して、挿入補助具1の先細部12によって病変部Sを押し開き、カテーテル31の先端が病変部Sの中心付近に達するまでのカテーテル31の挿入を確保する。
【0044】
このとき、挿入補助具1の先端部2には先細部12が存在し、先端部2が先細となっているので、病変部Sを徐々に押し開くことができ、カテーテル31の病変部Sへの進行を無理なく確保することができる。又、病変部Sが石灰化等により硬化していても、カテーテル31の病変部Sへの進行を確保することができる。更に、病変部Sの手前に硬化部分やステント留置部分が存在しても、まず先細部12を入れていけば良いし、必要であれば押し開くこともできるので、カテーテル31を病変部Sに導き易い。加えて、挿入補助具1によりカテーテル31が末梢部へ近づくと、カテーテル31がガイドワイヤGをより一層バックアップすることができるようになり、ガイドワイヤGを更に末梢へ進めることができるようになる。
【0045】
又、先細の先端部2を有する挿入補助具1によってカテーテル31を進行させるため、カテーテル31の先端を冠動脈Cの深くに配置(Deep Engage)することができ、カテーテル31を冠動脈Cに深く挿入することで発生するカテーテル31と冠動脈Cの内膜の摩擦力を利用して、カテーテル31ないしはガイディングカテーテル71をしっかり固定することができる。更に、このような挿入補助具1によって、カテーテル31の先端を病変部S直近まで進行可能であり、選択的に先端造影をすることができ、造影剤が少量で済む。しかも、挿入補助具1は、先細の先端部2を有しており、又先端部2より柔軟なソフトチップ20を有するので、Deep Engageをする際にも内膜の解離を防止することができる。
【0046】
なお、ソフトチップ20は、カテーテル31のソフトチップ34より硬くされ、病変部Sでの通過を確保することにも配慮されており、逆にいえば病変部Sの通過に配慮する必要のないソフトチップ34にあっては、カテーテル組立体61のどの部分よりも柔軟にされ、挿入補助具1に対して僅かに発生する開口部による段差が傷を生じる事態を防止している。
【0047】
このように、カテーテル31先端の病変部Sへの挿入が確保されたら、使用者は、シャフト4を操作して挿入補助具1をカテーテル31から引き抜く。この挿入補助具1の引き抜きは挿入と同様に容易である。
【0048】
そして、使用者は、カテーテル31に図示しないバルーンカテーテルを入れ、病変部Sの診断ないしは治療を行う。なお、仮にガイディングカテーテル71のみを用い、カテーテル31を用いないとすると、バルーンカテーテル等を冠動脈Cに挿入する際、ガイディングカテーテル71が冠動脈Cの口から外れてしまうことがある。そこで、上記のように冠動脈C内でも適切な大きさのカテーテル31を導入して、カテーテル31からもバルーンカテーテル等にバックアップ力を施せるようにし、ガイディングカテーテル71の離脱を防止するようにしている。このような二重のガイディングカテーテルを用いる施術で、外管が6Frであり、内管が5Frであるものを特に「5 in 6 Technique」という。本発明は、「5 in 6 Technique」を始めとする二重のガイディングカテーテルを用いる施術にあって、内管の進行性能を向上し、ガイドワイヤGの交換機能を確保することも目的の一つとする。又、プルバックしてカテーテル31の先端圧を測定することもできる。
【0049】
使用者は、病変部Sの診断ないし治療の後、適宜上記バルーンカテーテル、カテーテル31、ガイドワイヤG、ガイディングカテーテル71を引き抜く。挿入補助具1を用いると、通常1本のガイドワイヤGを1回挿入するのみで、カテーテル31の挿入から治療までを行える。
【0050】
第二に、ガイドワイヤG上での操作を目的とする場合(over-the-wire)であるが、まずガイディングカテーテル71の留置までは、Rxの場合と同様である。そして、この留置後、使用者は上記標準状態のカテーテル組立体61を、ガイディングカテーテル71内において、ガイドワイヤG上で挿入し、そのまま病変部Sまで持っていく。カテーテル31が病変部Sの中心付近に達し、挿入補助具1をカテーテル31から抜き出す以降は、Rxの場合と同様である。なお、カテーテル組立体61の挿入時にガイドワイヤGが進行するようであれば、使用者はガイドワイヤGを抑えておく。
【0051】
このover-the-wireの場合でも、カテーテル31の病変部Sの中心へ達するまでの通過性が良くなり、挿入補助具1を用いていてもガイドワイヤGの素早い交換が可能であり、挿入補助具1をカテーテル31に対し滑らかに出し入れすることができる点につき、Rxの場合と同じである。
【0052】
カテーテル組立体61は、標準状態において、先端部2の後面と、カテーテル31の基端との間のカテーテル31のルーメン32からシャフト4によって占められる部分を除いた空間である残余ルーメンにガイドワイヤGを挿入可能であり、先端部2のルーメン10が残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤGを受け入れ可能なように先端部2の後端側の開口がカテーテル31の基端に向かって開口する。これによって標準状態においてガイドワイヤGを交換するとき、ガイドワイヤGがカテーテル31に引っ掛かることを防ぐことができ、容易にガイドワイヤGを交換することができる。
【0053】
又、カテーテル組立体61では、標準状態において残余ルーメンと先端部2のルーメン10とが同軸的に連通する。これによって、標準状態においてガイドワイヤGをカテーテル組立体61に挿入したとき、ガイドワイヤGが残余ルーメンおよび先端部2のルーメン10で撓むことを防ぐことができるので、円滑にガイドワイヤGを抜去、挿入することが可能となり、容易にガイドワイヤGを交換することができる。
【0054】
更に、シャフト4は、基端から先端側に向かって柔軟になるように構成される。これによってシャフト4と、先端部2との可撓性の違いから生じる応力集中を小さくすることができ、挿入補助具の折れ(キンク)の発生を防ぐことができる。加えて、挿入補助具1は、一端が先端部2に設けられ、他端がシャフト4に設けられ、先端部2と、シャフト4との間に跨設される芯材を有するので、挿入補助具がキンクする可能性をより一層低減することができる。
【0055】
なお、主に上記実施形態を変更して成る、本発明の他の実施形態を例示する。カテーテル31のショア硬度を、図5(a)のチューブ構造体50において70Dとしたり、図5(c)に示すように、4つのチューブ80ないしチューブ構造体81〜83を含むようにし、ソフトチップ側から順にショア硬度40D、40D、63D、74Dとしたりする。
【0056】
カテーテル31の先端縁より基端側の先端部に、サイドホールを設ける。例えば、標準状態で挿入補助具1の先端部2を包含する先端縁以外の先端部に設け、あるいはカテーテル31の先端から30〜150mm離れた位置に設ける。サイドホールを設けることにより、血液の灌流を得ることができる。
【0057】
カテーテル全体をチューブとし、又はらせん体若しくは網状体の入ったチューブ構造体のみとする。挿入補助具、カテーテル、ガイディングカテーテルの材質、硬度、ソフトチップの有無、マーカの有無、大きさ、長さ、用途等を上記以外のものとする。カテーテルを留置し、ガイドワイヤをその中に通し、挿入補助具をカテーテル内に入れカテーテルに先行させる等して、ガイディングカテーテルを用いず、カテーテル組立体のみを使用する。
【0058】
挿入補助具のシャフトを、先端部における中心軸に対し傾いた後面の最先端部分から延ばしたり、中心軸に対し直交する後面における半周部分あるいは四半周部分から延ばしたりする。シャフトを、先端部と一体に、成形あるいは切り出し形成する。シャフトの断面形状を、後面の一部分の断面形状と同じになるようにする。カテーテル先端を縮径させない。
【0059】
上記Rxにおける手順につき、ガイディングカテーテルを留置してからガイドワイヤを病変部付近まで挿入し、その後カテーテルをガイドワイヤに沿わせて先端がガイディングカテーテル先端に至るまで導入し、更に挿入補助具をカテーテルのルーメン内でガイドワイヤに沿わせて導入し、カテーテル組立体の標準状態が形成されたらカテーテル組立体を病変部まで導入するといったように適宜順序を入れ替え、あるいは内容を一部変更し、一部を省き、別の操作を追加する等する。その他の手順についても、順序を入れ替え、あるいは内容を一部変更し、一部を省き、別の操作を追加する等する。
【0060】
又、上記実施形態と同様の挿入補助具、カテーテル組立体、あるいはカテーテルセットを、「5 in 6
Technique」以外の施術において用い、あるいは頸動脈を始めとする冠動脈以外の生体管路に対して用いる。上記実施形態と同様の挿入補助具を、超音波診断用カテーテルを始めとする診断用デバイスが挿通されるデリバリ用カテーテルに先行するものとしたり、血栓等を吸引する吸引用カテーテルに先行するものとしたりする。
【符号の説明】
【0061】
1挿入補助具
2先端部
4シャフト
12先細部
20ソフトチップ
31カテーテル
61カテーテル組立体
71ガイディングカテーテル
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに先行してその挿入を補助する挿入補助具、並びにこれを有するカテーテル組立体及びカテーテルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の挿入補助具として、下記特許文献1に記載のものが知られている。この挿入補助具は、当該文献の0009段落に記載されるように、カテーテル内腔の全長にわたってカテーテルを補強するために挿入され、ガイドワイヤ用の側孔が設けられるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−224313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような挿入補助具では、カテーテルの全長にわたり補強のため挿入されるので、挿入補助具はカテーテルの内面全体に接触することとなり、材質の組合せによっては挿入補助具のカテーテルに対する進退がしづらい。又、挿入補助具にガイドワイヤ用の側孔が設けられ、挿入補助具に挿入されたガイドワイヤがカテーテルの軸と交差する方向に向かって挿入補助具の側孔から突出する。ガイドワイヤを挿入補助具に挿入した状態で挿入補助具をカテーテルに対して先行させた後、ガイドワイヤを側孔から引き出そうとしても、側孔から突出するガイドワイヤがカテーテルに引っ掛かってしまうためにガイドワイヤの引き出しが困難である。更にガイドワイヤを引き出した後、新たにガイドワイヤを挿入補助具に挿入する場合は、側孔にガイドワイヤを挿入する必要があり、ガイドワイヤの挿入補助具への挿入が困難である。このような挿入補助具の構成では、挿入補助具をカテーテルに先行させたままガイドワイヤを交換することが困難である。
【0005】
そこで、請求項1に記載の発明は、カテーテルに対する進退がし易く、カテーテルに先行させてもガイドワイヤを交換することができる挿入補助具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、カテーテル内を通された上でそのカテーテルに先行することで、当該カテーテルの挿入を補助する挿入補助具であって、先後に開口するガイドワイヤルーメンを有する先細の先端部と、先端部に連続するシャフトとを備え、前記カテーテルにカテーテルの先端開口部が前記挿入補助具の先端部の基端縁を包む状態で組み合わせ、前記挿入補助具の先端部が前記カテーテルに先行し、前記シャフトがカテーテルのルーメンを通り、前記シャフトの基端縁が前記カテーテルの基端側開口より出る状態において、前記挿入補助具の先端部と、前記カテーテルの基端との間のカテーテルのルーメンから前記挿入補助具のシャフトによって占められる部分を除いた残余の空間である残余ルーメンにガイドワイヤを挿入可能であり、前記挿入補助具の先端部のガイドワイヤルーメンが前記残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤを受入可能なように前記挿入補助具の先端部の後端側の開口が前記カテーテルの基端に向かって開口することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記目的に加えて、脈管内を進行する際に脈管を傷つける事態を防止すると共に、ガイドワイヤを所定位置に導くことで通過性、追従性を高める目的を達成するため、上記発明にあって、先端部の先端に、引き続きガイドワイヤルーメンを有し、先端部より柔軟であるソフトチップを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記目的に加えて、カテーテルを挿入補助具によって脈管を傷つけず容易に挿入でき、必要に応じて挿入補助具をスムースに出し入れすることができ、挿入時におけるガイドワイヤの交換も容易であるカテーテル組立体を提供する目的を達成するため、上記挿入補助具と、当該挿入補助具における先端部の基端縁を包含可能な先端開口部を有するカテーテルとを備えたカテーテル組立体であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記目的に加えて、カテーテルの通過性と脈管への影響の度合との双方に配慮する目的を達成するため、上記発明にあって、挿入補助具の先端部が、カテーテルの先端開口部よりも硬いことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、上記目的に加えて、挿入補助具と組み合わせていても血液の灌流を得られるようにする目的を達成するため、上記発明にあって、カテーテルの先端縁よりも基端側の先端部に、サイドホールを設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、上記目的に加えて、中枢脈管に外管としてのガイディングカテーテルを留置し、末梢脈管に内管としてのカテーテルを留置できるようにし、更に内管の通過性を高めながら挿入時のガイドワイヤの交換も可能であるようにする目的を達成するため、上記カテーテル組立体と、このカテーテル組立体を受容するガイディングカテーテルとを備えたカテーテルセットであることを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、ガイドワイヤルーメンを有する先細の先端部、及びこれに連続するシャフトを備えた挿入補助具、並びにこれを有するカテーテル組立体及びカテーテルセットであるため、カテーテルの挿入を補助しながら、カテーテル内での進退を滑らかにすることができ、更にガイドワイヤの交換を容易にすることができ、カテーテルとガイドワイヤとの段差を小さくすることもできてカテーテルの先端を安全かつ容易に目的部位に導入することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る(a)挿入補助具、(b)カテーテルの説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る(a)挿入補助具、(b)カテーテルの先端縁断面図である。
【図3】(a)は図1における挿入補助具の先端部の拡大断面図であり、(b)は図1における挿入補助具から延びるシャフトの拡大断面図である。
【図4】図3(a)のA−A線断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るカテーテルの(a)説明図、(b)一部断面図、(c)変更例の説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るカテーテル組立体の説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係るカテーテルセットの使用模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る挿入補助具につき、適宜図面に基づいて説明する。図1(a)は当該挿入補助具1の説明図であって、挿入補助具1は、先端側に先端部2を有すると共に、これより基端側に、長さとしては大部分を占めるシャフト4を有する。挿入補助具1は、後述するカテーテル31の先端側開口から先細部12の一部が突出し、かつシャフト4の基端がカテーテル31の基端側開口から突出する状態で、カテーテル31に挿入することができる長さであれば良く、具体的には、先端部2の長さは200ミリメートル(mm)程であり、シャフト4(先端部2との重複部分を除く)の長さは1300mm程度である。
【0015】
図2(a)は先端部2の中央断面図であって、先端部2は、管状体とされており、先後に開口するガイドワイヤGのためのルーメン10を有する。又、先端部2は、先端側にテーパ状の先細部12を有する。先細部12のすぐ後には、放射線(X線)を透過しない筒状のマーカ14が設けられている。マーカ14の外面は、マーカ14より基端側の先端部2外面と連続する。マーカ14の外面やこれより後側の先端部2外面における外径は、後述するカテーテル31の先端側開口の径とほぼ同一の径であれば良く、具体的には、5Fr(フレンチ)のカテーテルの内径と同等であり、即ちマーカ14の外面やこれより後側(基端側)の先端部2外面における外径は、1.40〜1.50mmである。
【0016】
先細部12の先端側には、先端部2より柔軟な管状のソフトチップ20が接続される。この接続は、先端部2にソフトチップ20を溶着することでなされる。ソフトチップ20も、ガイドワイヤGのためのルーメン22を有する。ルーメン22は、ルーメン10における先細部12先端の開口と同径であり、ルーメン10と連続している。ルーメン22は、ルーメン10と共通の中心軸を有している。ルーメン22あるいは先細部12の先端開口の大きさは、ガイドワイヤGより若干大きい程度で、ガイドワイヤGを摺動可能に保持することができる大きさである。具体的にはルーメン22あるいは先端部12の先端開口の大きさは、0.40〜0.42mmである。なお、中心軸は、先後方向を向く。
【0017】
又、ソフトチップ20には、放射線(X線)を透過しない筒状のマーカ(図示せず)を設ける。このマーカは、ソフトチップ20に被覆される。この被覆は、ソフトチップ20に対してマーカをかしめることでなされる。
【0018】
先端部2の材質は、ポリエーテルブロックアミド共重合体(Pebax)であり、ショア硬度は63デュロメータ(D)である。又、ソフトチップ20の材質はPebaxであり、ショア硬度は先端部2より柔らかい59Dである。Pebaxを用いることによって、先端部2やソフトチップ20を容易に形成することができる。なお、先端部2には、湿潤時に潤滑性を有するメチルビニルエーテル(VEMA)等のコーティングが施され、ここでは親水性のポリエチレンオキシド(PEO)によるコーティングが施されている。
【0019】
一方、先端部2の後端にも、ルーメン10の開口が位置する。当該開口のすぐ外側は、先端部2の壁の端面(が作るO字状の部分)である後面24となっている。後面24は、先端部2の中心軸に対し傾いている。そして、後面24の最後端部分に連設されるシャフト4が、基端まで延びている。すなわち、シャフト4は、先端部2の後面24の一部から基端まで延びている。
【0020】
図3(a)は、挿入補助具1の先端部2を拡大して示す断面図であり、図3(b)は、挿入補助具1の先端部2に連設されるシャフト4を拡大して示す断面図であり、図4は、図3(a)のA―A線断面図である。シャフト4は、線状であり、先端部2の側壁に連続する。又、シャフト4は、基端から先端に向かって柔軟になるように構成される。
【0021】
具体的には、シャフト4は、基端側に配され、先細部12から基端側の先端部2の内径D1よりも小さい外径を有する管であるステンレス製のハイポ管91と、ハイポ管91に接続され先端側に向かって延びる樹脂製のチューブ92とを有する。チューブ92の材質は、ポリアミドである。チューブ92の外径は、ハイポ管91の外径とほぼ等しく、ハイポ管91の先端部であるハイポ管先端部93がチューブ92に挿嵌され溶着されることによってハイポ管91とチューブ92とが接続される。又、ハイポ管先端部93は、ハイポ管先端部93より基端側のハイポ管91よりも柔軟になるよう構成される。具体的には、ハイポ管先端部93にらせん状の切れ込みを形成することによって基端側のハイポ管91よりも柔軟に構成される。
【0022】
シャフト4は、チューブ92の先端縁94を先端部2の壁部分に対して溶接されることで、先端部2と一体となっている。又、挿入補助具1は、一端101が先端部2に設けられ、他端102がシャフト4に設けられ、先端部2とシャフト4との間に跨設される芯材100を有する。具体的には、芯材100は、シャフト4のチューブ92内に挿入され、一端101が先端部2に設けられ、他端102がハイポ管91に設けられる。より具体的には芯材100の一端101は、先端部2に形成され先端部2の先細部12の後端13から先端部2の後端開口まで延びる芯材挿入孔110を形成する挿入孔形成体111に遊挿される。挿入孔形成体111は、具体的には樹脂製の細管であり、先端部2の内壁21に溶着されることによって先端部2内に芯材挿入孔110を形成する。芯材100の他端101は、ハイポ管91内に挿入されハイポ管91の内壁95に溶接される。芯材100は、他端102から一端101に向かって径が細くなるステンレス製のワイヤを用いる。
【0023】
又、シャフト4には、フッ素樹脂によるコーティングが施されている。なお、後面24の最後端部分(溶接部分の最後端周辺)には、図示しないマーカを付する。
【0024】
次に、本発明の一実施形態としての、挿入補助具1と組み合わせて用いられるカテーテル31について説明する。図1(b)及び図5(a)はカテーテル31の説明図、図2(b)は挿入補助具1と組み合わせたカテーテル31の中央断面図であって、カテーテル31は、管状体であり、5Frのサイズを有し、先後に開口するルーメン32を有する。ルーメン32は、ガイドワイヤG、あるいはバルーンカテーテル等の他の治療用デバイスを挿通可能である。
【0025】
カテーテル31は、2.25〜3.50mmの拡張後内径を有するステントの内部を通過することができる。又、6Frのガイディングカテーテルのルーメンを通過することができる。
【0026】
又、カテーテル31の先端縁は、これより基端側の部分より柔軟なソフトチップ34とされている。ソフトチップ34の材質もPebaxであるが、ソフトチップ34は挿入補助具1の先端部2よりも柔軟であり、具体的にはショア硬度が33Dである。ソフトチップ34の先端縁は、これより基端側より若干縮径させ、すぼみ形状となっている。カテーテル31の先端開口部、即ちソフトチップ34の縮径部分は、挿入補助具1の先端部2の基端縁の外周に接触して、先端部2の基端縁を包含する。なお、ソフトチップ34にはタングステンや酸化ビスマス等のX線不透過材料を混入させ、X線不透過として、マーカの役目も担わせる。
【0027】
更に、カテーテル31は、ソフトチップ34以外の部分について、柔軟性を保ちつつも、先端側より段階的にショア硬度が増す構造を持つ。具体的には、先端側より段階的にショア硬度が増す3種の構造を持つようになっている。まず、ソフトチップ34のすぐ基端側は、ショア硬度40DであるPebax製のチューブ40となっている。次に、チューブ40のすぐ基端側は、図5(b)に示すように、ステンレス製のらせん体42を、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)製の内筒44とPebax製の外筒46とで挟んだチューブ構造体48となっている。続いて、その基端側は、ナイロン製の管に網状体を入れ込んだ、ショア硬度74Dのチューブ構造体50となっている。なお、チューブ40及びチューブ構造体48、並びにチューブ構造体48,50は、溶着により接合されている。又、チューブ構造体50の基端側は、各種器具との接続部52となっている。接続部52を除くカテーテル31の長さは、およそ1260mmである。
【0028】
加えて、カテーテル31の内面には、フッ素樹脂加工(例えばポリテトラフルオロエチレンのコーティング)が施されている。又、カテーテル31の外面には、PEOのコーティングが施されている。
【0029】
そして、図2(b)や図6に示すように、挿入補助具1及びカテーテル31を、カテーテル31の先端開口部(先端縁)が挿入補助具1の先端部2の基端縁を包む状態で組み合わせれば、挿入補助具1の先細部12がカテーテル31に先行し、シャフト4がカテーテル31のルーメンを通り、シャフト4の基端縁がカテーテル31の接続部52より出る、カテーテル組立体61の標準状態(挿入時の状態)となる。
【0030】
カテーテル組立体61は、標準状態において、先端部2の後面と、カテーテル31の基端との間のカテーテル31のルーメン32からシャフト4によって占められる部分を除いた残余の空間である残余ルーメンにガイドワイヤGを挿入可能であり、先端部2のルーメン10が残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤGを受け入れ可能なように先端部2の後端側の開口がカテーテル31の基端に向かって開口する。またカテーテル組立体61は、標準状態において残余ルーメンと先端部2のルーメン10とが同軸的に連通する。
【0031】
続いて、本発明の一実施形態としてのカテーテルセットについて説明すると、このカテーテルセットは、カテーテル組立体61(挿入補助具1及びカテーテル31)と、カテーテル31を受容する6Frのガイディングカテーテル71(図7)とを含む。
【0032】
以上のような挿入補助具1、カテーテル組立体61、カテーテルセットの使用例を2例、図7等を参照して説明する。各例共に、大動脈弓Aから上行大動脈Uを経た冠動脈Cの末梢狭窄病変部へのアプローチに関するものである。
【0033】
第一に、ガイドワイヤGの素早い交換を可能とする場合(rapid exchange,Rx)であるが、まず、使用者は、カテーテルセットのガイディングカテーテル71を、先端が冠動脈Cの口に達するまで挿入し、留置する。次に、使用者は、カテーテル31を、ガイディングカテーテル71のルーメン内において挿入していく。
【0034】
このとき、カテーテル31の外面にコーティングが施されているので、使用者は、カテーテル31を、ガイディングカテーテル71の内面内を滑るようにして挿入することができる。
【0035】
続いて、使用者は、カテーテル31の先端がガイディングカテーテル71の先端付近に達したら、カテーテル31の挿入を止め、カテーテル31のルーメン内にガイドワイヤGを通し、その先端が冠動脈Cの病変部Sの付近に達するまで挿入する。
【0036】
そして、使用者は、挿入補助具1のルーメン10,22にガイドワイヤGの基端縁を入れ、挿入補助具1を、ガイドワイヤGに沿わせ、カテーテル31のルーメン内において挿入していく。使用者は、挿入補助具1を、シャフト4の操作により、ガイドワイヤG上で、かつカテーテル31のルーメン32内で挿入していく。
【0037】
このとき、カテーテル31の内面にコーティングが施されているので、使用者は、ガイドワイヤGや挿入補助具1を、滑るようにして挿入することができる。
【0038】
加えて、挿入補助具1の先端部2に、ガイドワイヤGより僅かに大きい開口を有する先細部12が備えられ、あるいはガイドワイヤGより僅かに大きいルーメン22を有するソフトチップ20が接続されているため、使用者は、挿入補助具1を、ガイドワイヤGを中心としてカテーテル31のルーメン32内で先端部2が偏ることなくスムースに挿入することができる。加えて、挿入補助具1の外面にコーティングが施されているので、使用者は、挿入補助具1を、カテーテル31のルーメン32内を滑るようにして挿入することができる。又、挿入補助具1のルーメン10にもコーティングが施されているので、使用者は、挿入補助具1を、ガイドワイヤG上を滑るようにして挿入することができる。
【0039】
更に、挿入補助具1は、先端部2の基端側の開口における後面24の一部に連設されるシャフト4を有するので、挿入補助具1としてカテーテル31の内面に接触する部分をほぼ先端部2基端側あるいはこれとシャフト4の一部分のみとすることができ、挿入補助具1をカテーテル31のルーメン32内で極めて挿入しやすいものとすることができるし、挿入補助具1内でガイドワイヤGの通過部分を先端部2に係るルーメン10,22のみとし、かつ先端部2の後の開口からガイドワイヤGを出し入れ可能とすることができ、挿入補助具1を用いていてもガイドワイヤGの素早い交換をすることができる。
【0040】
こうして、挿入補助具1の先細部12がカテーテル31に先行して先端開口部から露出し、挿入補助具1及びカテーテル31がカテーテル組立体61の上記標準状態となったら、使用者は、カテーテル組立体61を、ガイドワイヤGに沿わせて、先端が病変部Sの手前に達するまで挿入していく。
【0041】
このとき、挿入補助具1の先端部2は先細となっているので、カテーテル31とガイドワイヤGとの間の段差を小さくすることができ、カテーテル31の先端を安全かつ容易に導入することができる。又、挿入補助具1先端に、先端部2より柔軟なソフトチップ20が接合されるので、カテーテル組立体61がガイディングカテーテル71より先行する場合でも、血管を傷つけにくくなっている。又、カテーテル31の先端開口部に、基端側より柔軟なソフトチップ34が存在するので、同様に血管を傷つけにくい。
【0042】
加えて、挿入補助具1のソフトチップ20にマーカが設けられるので、操作者は挿入補助具1の最先端を把握することができ、挿入補助具1やカテーテル組立体61の操作を行い易い。又、先端部2における先細部12のすぐ後にマーカ14が設けられるため、マーカ14にカテーテル31の先端縁が乗るようにして、カテーテル組立体61が上記標準状態となることを把握し易く、又カテーテル31の先端がマーカ14に先行して先細部12より突出することで段差を生じ、血管を傷つける事態を防止することができる。更に、先端部2の後面24におけるシャフト4接続部にマーカを付するので、ガイドワイヤGの交換時に、カテーテル31の内面から挿入補助具1の先端部2の肉厚分だけ僅かに立ち上がる段差に注意することができるし、先端部2とシャフト4とに僅かな段差がある場合にはこの段差にも注意することができ、ガイドワイヤGの交換が容易になる。
【0043】
そして、図5に表されるように、カテーテル組立体61の先端が病変部S手前に達したら、使用者はカテーテル組立体61を操作して、挿入補助具1の先細部12によって病変部Sを押し開き、カテーテル31の先端が病変部Sの中心付近に達するまでのカテーテル31の挿入を確保する。
【0044】
このとき、挿入補助具1の先端部2には先細部12が存在し、先端部2が先細となっているので、病変部Sを徐々に押し開くことができ、カテーテル31の病変部Sへの進行を無理なく確保することができる。又、病変部Sが石灰化等により硬化していても、カテーテル31の病変部Sへの進行を確保することができる。更に、病変部Sの手前に硬化部分やステント留置部分が存在しても、まず先細部12を入れていけば良いし、必要であれば押し開くこともできるので、カテーテル31を病変部Sに導き易い。加えて、挿入補助具1によりカテーテル31が末梢部へ近づくと、カテーテル31がガイドワイヤGをより一層バックアップすることができるようになり、ガイドワイヤGを更に末梢へ進めることができるようになる。
【0045】
又、先細の先端部2を有する挿入補助具1によってカテーテル31を進行させるため、カテーテル31の先端を冠動脈Cの深くに配置(Deep Engage)することができ、カテーテル31を冠動脈Cに深く挿入することで発生するカテーテル31と冠動脈Cの内膜の摩擦力を利用して、カテーテル31ないしはガイディングカテーテル71をしっかり固定することができる。更に、このような挿入補助具1によって、カテーテル31の先端を病変部S直近まで進行可能であり、選択的に先端造影をすることができ、造影剤が少量で済む。しかも、挿入補助具1は、先細の先端部2を有しており、又先端部2より柔軟なソフトチップ20を有するので、Deep Engageをする際にも内膜の解離を防止することができる。
【0046】
なお、ソフトチップ20は、カテーテル31のソフトチップ34より硬くされ、病変部Sでの通過を確保することにも配慮されており、逆にいえば病変部Sの通過に配慮する必要のないソフトチップ34にあっては、カテーテル組立体61のどの部分よりも柔軟にされ、挿入補助具1に対して僅かに発生する開口部による段差が傷を生じる事態を防止している。
【0047】
このように、カテーテル31先端の病変部Sへの挿入が確保されたら、使用者は、シャフト4を操作して挿入補助具1をカテーテル31から引き抜く。この挿入補助具1の引き抜きは挿入と同様に容易である。
【0048】
そして、使用者は、カテーテル31に図示しないバルーンカテーテルを入れ、病変部Sの診断ないしは治療を行う。なお、仮にガイディングカテーテル71のみを用い、カテーテル31を用いないとすると、バルーンカテーテル等を冠動脈Cに挿入する際、ガイディングカテーテル71が冠動脈Cの口から外れてしまうことがある。そこで、上記のように冠動脈C内でも適切な大きさのカテーテル31を導入して、カテーテル31からもバルーンカテーテル等にバックアップ力を施せるようにし、ガイディングカテーテル71の離脱を防止するようにしている。このような二重のガイディングカテーテルを用いる施術で、外管が6Frであり、内管が5Frであるものを特に「5 in 6 Technique」という。本発明は、「5 in 6 Technique」を始めとする二重のガイディングカテーテルを用いる施術にあって、内管の進行性能を向上し、ガイドワイヤGの交換機能を確保することも目的の一つとする。又、プルバックしてカテーテル31の先端圧を測定することもできる。
【0049】
使用者は、病変部Sの診断ないし治療の後、適宜上記バルーンカテーテル、カテーテル31、ガイドワイヤG、ガイディングカテーテル71を引き抜く。挿入補助具1を用いると、通常1本のガイドワイヤGを1回挿入するのみで、カテーテル31の挿入から治療までを行える。
【0050】
第二に、ガイドワイヤG上での操作を目的とする場合(over-the-wire)であるが、まずガイディングカテーテル71の留置までは、Rxの場合と同様である。そして、この留置後、使用者は上記標準状態のカテーテル組立体61を、ガイディングカテーテル71内において、ガイドワイヤG上で挿入し、そのまま病変部Sまで持っていく。カテーテル31が病変部Sの中心付近に達し、挿入補助具1をカテーテル31から抜き出す以降は、Rxの場合と同様である。なお、カテーテル組立体61の挿入時にガイドワイヤGが進行するようであれば、使用者はガイドワイヤGを抑えておく。
【0051】
このover-the-wireの場合でも、カテーテル31の病変部Sの中心へ達するまでの通過性が良くなり、挿入補助具1を用いていてもガイドワイヤGの素早い交換が可能であり、挿入補助具1をカテーテル31に対し滑らかに出し入れすることができる点につき、Rxの場合と同じである。
【0052】
カテーテル組立体61は、標準状態において、先端部2の後面と、カテーテル31の基端との間のカテーテル31のルーメン32からシャフト4によって占められる部分を除いた空間である残余ルーメンにガイドワイヤGを挿入可能であり、先端部2のルーメン10が残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤGを受け入れ可能なように先端部2の後端側の開口がカテーテル31の基端に向かって開口する。これによって標準状態においてガイドワイヤGを交換するとき、ガイドワイヤGがカテーテル31に引っ掛かることを防ぐことができ、容易にガイドワイヤGを交換することができる。
【0053】
又、カテーテル組立体61では、標準状態において残余ルーメンと先端部2のルーメン10とが同軸的に連通する。これによって、標準状態においてガイドワイヤGをカテーテル組立体61に挿入したとき、ガイドワイヤGが残余ルーメンおよび先端部2のルーメン10で撓むことを防ぐことができるので、円滑にガイドワイヤGを抜去、挿入することが可能となり、容易にガイドワイヤGを交換することができる。
【0054】
更に、シャフト4は、基端から先端側に向かって柔軟になるように構成される。これによってシャフト4と、先端部2との可撓性の違いから生じる応力集中を小さくすることができ、挿入補助具の折れ(キンク)の発生を防ぐことができる。加えて、挿入補助具1は、一端が先端部2に設けられ、他端がシャフト4に設けられ、先端部2と、シャフト4との間に跨設される芯材を有するので、挿入補助具がキンクする可能性をより一層低減することができる。
【0055】
なお、主に上記実施形態を変更して成る、本発明の他の実施形態を例示する。カテーテル31のショア硬度を、図5(a)のチューブ構造体50において70Dとしたり、図5(c)に示すように、4つのチューブ80ないしチューブ構造体81〜83を含むようにし、ソフトチップ側から順にショア硬度40D、40D、63D、74Dとしたりする。
【0056】
カテーテル31の先端縁より基端側の先端部に、サイドホールを設ける。例えば、標準状態で挿入補助具1の先端部2を包含する先端縁以外の先端部に設け、あるいはカテーテル31の先端から30〜150mm離れた位置に設ける。サイドホールを設けることにより、血液の灌流を得ることができる。
【0057】
カテーテル全体をチューブとし、又はらせん体若しくは網状体の入ったチューブ構造体のみとする。挿入補助具、カテーテル、ガイディングカテーテルの材質、硬度、ソフトチップの有無、マーカの有無、大きさ、長さ、用途等を上記以外のものとする。カテーテルを留置し、ガイドワイヤをその中に通し、挿入補助具をカテーテル内に入れカテーテルに先行させる等して、ガイディングカテーテルを用いず、カテーテル組立体のみを使用する。
【0058】
挿入補助具のシャフトを、先端部における中心軸に対し傾いた後面の最先端部分から延ばしたり、中心軸に対し直交する後面における半周部分あるいは四半周部分から延ばしたりする。シャフトを、先端部と一体に、成形あるいは切り出し形成する。シャフトの断面形状を、後面の一部分の断面形状と同じになるようにする。カテーテル先端を縮径させない。
【0059】
上記Rxにおける手順につき、ガイディングカテーテルを留置してからガイドワイヤを病変部付近まで挿入し、その後カテーテルをガイドワイヤに沿わせて先端がガイディングカテーテル先端に至るまで導入し、更に挿入補助具をカテーテルのルーメン内でガイドワイヤに沿わせて導入し、カテーテル組立体の標準状態が形成されたらカテーテル組立体を病変部まで導入するといったように適宜順序を入れ替え、あるいは内容を一部変更し、一部を省き、別の操作を追加する等する。その他の手順についても、順序を入れ替え、あるいは内容を一部変更し、一部を省き、別の操作を追加する等する。
【0060】
又、上記実施形態と同様の挿入補助具、カテーテル組立体、あるいはカテーテルセットを、「5 in 6
Technique」以外の施術において用い、あるいは頸動脈を始めとする冠動脈以外の生体管路に対して用いる。上記実施形態と同様の挿入補助具を、超音波診断用カテーテルを始めとする診断用デバイスが挿通されるデリバリ用カテーテルに先行するものとしたり、血栓等を吸引する吸引用カテーテルに先行するものとしたりする。
【符号の説明】
【0061】
1挿入補助具
2先端部
4シャフト
12先細部
20ソフトチップ
31カテーテル
61カテーテル組立体
71ガイディングカテーテル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル内を通された上でそのカテーテルに先行することで、当該カテーテルの挿入を補助する挿入補助具であって、
先後に開口するガイドワイヤルーメンを有する先細の先端部と、
先端部に連続するシャフトと
を備え、
前記カテーテルにカテーテルの先端開口部が前記挿入補助具の先端部の基端縁を包む状態で組み合わせ、前記挿入補助具の先端部が前記カテーテルに先行し、前記シャフトがカテーテルのルーメンを通り、前記シャフトの基端縁が前記カテーテルの基端側開口より出る状態において、前記挿入補助具の先端部と、前記カテーテルの基端との間のカテーテルのルーメンから前記挿入補助具のシャフトによって占められる部分を除いた残余の空間である残余ルーメンにガイドワイヤを挿入可能であり、前記挿入補助具の先端部のガイドワイヤルーメンが前記残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤを受入可能なように前記挿入補助具の先端部の後端側の開口が前記カテーテルの基端に向かって開口することを特徴とする挿入補助具。
【請求項2】
先端部の先端に、引き続きガイドワイヤルーメンを有し、先端部より柔軟であるソフトチップを設けたことを特徴とする請求項1に記載の挿入補助具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の挿入補助具と、
当該挿入補助具における先端部の基端縁を包含可能な先端開口部を有するカテーテルと
を備えたことを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項4】
挿入補助具の先端部が、カテーテルの先端開口部よりも硬い
ことを特徴とする請求項3に記載のカテーテル組立体。
【請求項5】
カテーテルの先端縁より基端側の先端部に、サイドホールを設けた
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の挿入補助具。
【請求項6】
請求項3ないしは請求項5のいずれかに記載のカテーテル組立体と、
このカテーテル組立体を受容するガイディングカテーテルと
を備えたことを特徴とするカテーテルセット。
【請求項1】
カテーテル内を通された上でそのカテーテルに先行することで、当該カテーテルの挿入を補助する挿入補助具であって、
先後に開口するガイドワイヤルーメンを有する先細の先端部と、
先端部に連続するシャフトと
を備え、
前記カテーテルにカテーテルの先端開口部が前記挿入補助具の先端部の基端縁を包む状態で組み合わせ、前記挿入補助具の先端部が前記カテーテルに先行し、前記シャフトがカテーテルのルーメンを通り、前記シャフトの基端縁が前記カテーテルの基端側開口より出る状態において、前記挿入補助具の先端部と、前記カテーテルの基端との間のカテーテルのルーメンから前記挿入補助具のシャフトによって占められる部分を除いた残余の空間である残余ルーメンにガイドワイヤを挿入可能であり、前記挿入補助具の先端部のガイドワイヤルーメンが前記残余ルーメンに挿入されるガイドワイヤを受入可能なように前記挿入補助具の先端部の後端側の開口が前記カテーテルの基端に向かって開口することを特徴とする挿入補助具。
【請求項2】
先端部の先端に、引き続きガイドワイヤルーメンを有し、先端部より柔軟であるソフトチップを設けたことを特徴とする請求項1に記載の挿入補助具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の挿入補助具と、
当該挿入補助具における先端部の基端縁を包含可能な先端開口部を有するカテーテルと
を備えたことを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項4】
挿入補助具の先端部が、カテーテルの先端開口部よりも硬い
ことを特徴とする請求項3に記載のカテーテル組立体。
【請求項5】
カテーテルの先端縁より基端側の先端部に、サイドホールを設けた
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の挿入補助具。
【請求項6】
請求項3ないしは請求項5のいずれかに記載のカテーテル組立体と、
このカテーテル組立体を受容するガイディングカテーテルと
を備えたことを特徴とするカテーテルセット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−106099(P2012−106099A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−51115(P2012−51115)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2006−333762(P2006−333762)の分割
【原出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(393015324)株式会社グツドマン (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2006−333762(P2006−333762)の分割
【原出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(393015324)株式会社グツドマン (56)
【Fターム(参考)】
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