説明

捏和および成形可能な骨代替材料

【課題】成形および適用の時間コストを克服した、捏和可能な骨代替材料を提供する。
【解決手段】捏和および成形可能な骨代替材料が、カルシウムを含有したセラミック粒子と、ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な物質とからなる混合物を含んでいる。セラミック粒子は完全合成によって作られ、個々のセラミック粒子は少なくとも一部連続した多孔性構造を有している。さらに多数のセラミック粒子が丸くない形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部記載の捏和および成形可能な骨代替材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術より、合成的に生成されたリン酸カルシウムからなるブロックまたは顆粒を骨欠損の充填に使用することが知られている。この材料の欠点は、ブロックを供給しようとする骨欠損に合わせて裁断しなければならないか、あるいはばらの顆粒を適用する場合には時間コストが最適でない点である。
さらに、注入可能であるが、ほぼ球状の粒子(小球)からなる材料が知られている。球状の小球からなるこのような材料は、互いに滑り合って移動しやすいので、骨内に注入することがより簡単になる。しかしこのことは捏和および成形可能な骨代替材料にとっては短所である。捏和および成形可能な骨代替材料は注入されるためのものではなく、捏和されるためのものである。それゆえこの材料はむしろ密着しているべきであるが、この点は球状粒子によっては促進されない。
以下に「粒子」という概念は、その寸法にかかわりなくあらゆる三次元の物体を意味する。特に「顆粒」または「細粒」などの概念で知られている微片も意味する。
上記の従来技術の検討は、本発明の周辺を説明する目的のために行ったものにすぎず、引用した従来技術が本出願またはその優先権の時点で実際に公表されていたとか、公知であったとかいうことを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで本発明は上記の欠点を除去する。本発明の基礎をなす問題は、上記の欠点、特に成形および適用の時間コストを克服した、捏和可能な骨代替材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記の課題を、請求項1の特徴を有する捏和および成形可能な骨代替材料によって解決する。
【0005】
これにより、天然起源の骨代替製品に比べて、病気を誘発する可能性のあるタンパク、細菌、ヴィールスまたはバクテリアなどがないため、病気感染の危険がないという利点を達成できる。
別の利点は、ばらのセラミック粒子を所望の使用場所に次々と入れる必要がなくなる点である。それに代えて、捏和可能な骨代替材料を用いて迅速かつ簡単に、必要な総量のセラミック粒子を使用場所にもたらすことができるようになる。さらに丸くない、特に角張った粒子が、セラミックの吸収を促進し、組織の発育と骨治癒を加速する。ほぼ球状の粒子からなる材料に比べて、丸くない、特に角張った粒子は、捏和可能な材料の密着を促進するという長所が得られる。
【0006】
球状の形状と本質的に異なるすべての粒子の形状は「丸くない」と見なされる。本発明の実施の形態において、セラミック粒子は角張った形状を有している。若干の縁、特に裸眼で見ることができる、すなわち少なくとも0.1mmの寸法を持った縁を有する粒子は「角張っている」と見なされる。
丸い粒子に比べて、平均粒径が均一の場合は粒子表面積が大きくなり、それによって粒子とハイドロゲルの間の相互付着作用が高まる。そうすることによって骨代替材料の成形性が保証され、しかもハイドロゲルの量比や濃度を高める必要はない。
【0007】
特別の実施の形態において、個々の粒子の最大直径Dmaxと最小直径Dminとの間の球形度S=Dmax/Dminが1.2より大きく、好ましくは1.5より大きい。Sの値が3より大きく、好ましくは5より大きいと有利である。
セラミック粒子の少なくとも60重量パーセント、好ましくは少なくとも80重量パーセントが丸くない形状を有している。
セラミック粒子の孔径が1〜500マイクロメートルの範囲内にあることが好ましい。典型的にはセラミック粒子の一部は孔径100〜500マイクロメートルの微孔を有し、一部は孔径1〜100マイクロメートルの微孔を有している。その長所は、孔径分布が最適であり、孔に自原性組織が繁殖することが保証されている点である。セラミック粒子の多孔性が60〜90パーセントの範囲内にあると好都合である。これは、セラミック粒子のできるだけ大きい容積割合に自原性組織が繁殖し得るという利点がある。
【0008】
セラミック粒子のかさ密度が0.2g/cm〜2.0g/cmの範囲内にあることが好ましい。典型的には、セラミック粒子のかさ密度は0.6g/cm〜1.0g/cm、好ましくは0.7g/cm〜0.9g/cmの範囲内にある。ある実施の形態において、セラミック粒子のかさ密度は1.0g/cm〜2.0g/cm、好ましくは0.2g/cm〜1.8g/cmの範囲内にある。
かさ密度の範囲がより高い利点は、機械的安定性がより高いことである。しかし、吸収および骨の成長がより遅いことが欠点である。逆にかさ密度の範囲が低い利点は、吸収がより速く、骨の成長がより良好なことである。
セラミック粒子の見掛け密度が0.5g/cm〜2.5g/cmの範囲内にあることが好都合である。セラミック粒子の見掛け密度が0.7g/cm〜1.1g/cmまたは1.1g/cm〜2.5g/cmの範囲内にあると好都合である。
捏和材のかさ密度は、種々の粒度のセラミック粒子を使用することによってさらに高めることができる。より大きい粒子の間の間隙空間(死容積)は、より小さい粒子によって充填される。セラミック粒子が介在することによって、捏和材の機械的性質がさらに改善される。
【0009】
セラミック粒子の平均直径は100〜250マイクロメートルの範囲内にあると合理的である。この長所は、捏和材がコンパクトであるという点である。さらに、粒子の直径が100マイクロメートルより小さいと、粒子を取り囲む組織が刺激反応を起こすリスクは実用的に存在しない。
セラミック粒子の平均直径は150〜500マイクロメートルの範囲内、もしくは0.5〜5.6mmの範囲内にあってもよい。そうすると、中位の大きさの欠損およびより大きい欠損の充填をより効率的に解決できる。
平均直径が100〜250マイクロメートルのセラミック粒子を、平均直径250〜500マイクロメートルのセラミック粒子もしくは平均直径0.5〜5.6mmのセラミック粒子と混合してもよい。これは、骨代替材料のコンパクト性が保証されるという長所がある。これにより、粗粒材料の使用下で発生する間隙の孔容積(孔死容積)を最小限に減らすことができる。さらに、種々の大きさのセラミック粒子を使用することにより、硬化した骨代替材料の劣化時間に影響を与える可能性がある。
セラミック粒子は、リン酸カルシウム、典型的にはベータ第3リン酸カルシウムからなることが好ましい。これは、化学量論的組成がほぼ人間の骨に相応しているセラミックが使用されるという長所がある。ベータ第3リン酸カルシウムの劣化時間も、劣化の経過において空腔やインプラント残滓が発生するほど速すぎもしなければ、遅すぎもしない。リン酸カルシウムからなるセラミック粒子は、Ca/Pモル比が1.0〜2.0の範囲内、好ましくは1.45〜1.52の範囲内にあることを特徴とする。1.45〜1.49の範囲が特に優先される。
【0010】
リン酸カルシウムは次の群、すなわち第2リン酸カルシウム二水和物(CaHPO×2HO)、第2リン酸カルシウム(CaHPO)、アルファ三リン酸カルシウム(alpha−Ca(PO)、ベータ第3リン酸カルシウム(beta−Ca(PO)、カルシウム欠損ヒドロキシルアパタイト(Ca(PO(HPO)OH)、ヒドロキシアパタイト(Ca10(POOH))、カーボン添加アパタイト(Ca10(PO(CO(OH))、フルオルアパタイト(Ca10(PO(F,OH))、クロルアパタイト(Ca10(PO(Cl,OH))、ウィトロキット((Ca,Mg)(PO)、第4リン酸カルシウム(Ca(POO)、オキシアパタイト(Ca10(POO)、ベータピロリン酸カルシウム(beta−Ca(P)、アルファリン酸カルシウム、ガンマリン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム(Ca(PO×5HO)から選択できる。
セラミック粒子は種々のリン酸カルシウムの混合物からなることもできる。そのような混合物の長所は、吸収時間を制御できることにある。混合物構成要素の吸収特性が異なることにより、より速く吸収可能な構成要素の腔内に骨をより速く成長させることが可能となる。
セラミック粒子が硫酸カルシウムまたは炭酸カルシウムからなってもよい。
【0011】
特別の実施の形態において、セラミック粒子は次の群、すなわちアルファ硫酸カルシウム半水和物、ベータ硫酸カルシウム半水和物および硫酸カルシウム二水和物から選択できる。
別の実施の形態において、セラミック粒子は種々のリン酸カルシウム、硫酸カルシウムおよび/または炭酸カルシウムからなることができる。このような混合物の利点は、吸収時間を制御できる点である。混合物構成要素の吸収特性が異なることにより、より速く吸収可能な構成要素の腔内に骨をより速く成長させることが可能となる。
丸くない粒子は、所望の材料の比較的大きい多孔性ブロックを折るか、粉砕することによって製造でき、適当なふるい分けにより所望の粒度を得ることができる。
【0012】
特別の実施の形態において、セラミック粒子はさらに金属イオン成分または亜金属イオン成分を含むことができる。そのようなイオン成分の長所は、セラミックの吸収特性に影響を与える点であり、それによって骨の鉱物的組成の最適な代替を達成できる。
ハイドロゲルを生成する基質またはハイドロゲルに膨潤可能な物質は、次の物質群から選択できる。
a)純粋な合成物質
b)植物起源の天然の生物学的物質および/または
c)バイオテクノロジーによって生成された物質。
ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な物質、純粋な合成物質、天然の生物学的物質またはバイオテクノロジーによって生成された物質の混合からなってもよい。
ハイドロゲルとは、固体を水相によって水和し、しかも水相の粘性を変化させて高める場合、すなわち水相をゲル化または凝固させる場合にいう。
ハイドロゲル基質はオリゴマー成分またはポリマー成分または両者の組み合わせからなることができる。所定の適応に対して、骨代替材料にさらに薬剤を添加物として配合できる。ハイドロゲルのためのゲル化液は水、特に脱イオン化水および/または体に適合した有機溶媒であることができる。
【0013】
特別の実施の形態において、ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な物質は次の構成要素、すなわちa)ポリアミノ酸およびそれらの誘導体、好ましくはポリリシンまたはゼラチン、b)多糖およびそれらの誘導体、好ましくはグリコースアミノグリカンまたはアルギン酸、c)多脂質、脂肪酸およびそれらの誘導体、d)ヌクレオチドおよびそれらの誘導体、のいずれか1つ、あるいは前記a)からd)に記載の構成要素の組み合わせを含んでいる。
別の実施の形態において、ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な物質は次の構成要素、すなわちa)酸化ポリメチレンまたはその誘導体、b)ポリエチレン、酸化ポリエチレンまたはその誘導体、c)ポリプロピレン、酸化ポリプロピレンまたはその誘導体、d)ポリアクリレートまたはその誘導体、のいずれか1つ、あるいは前記a)からd)に記載の構成要素の組み合わせを含んでいる。
【0014】
特別の実施の形態において、ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な物質は、グリコースアミノグリカンまたはプロテオグリカンまたはこれら両物質の混合からなる。グリコースアミノグリカンは、ヒアルロン酸、コンドルイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸またはケラタン硫酸であってよい。
即時使用可能な水和ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な即時使用可能な水和物質の濃度は、0.1〜20.0パーセントの範囲内にあることが好ましい。ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な物質の分子量は300,000ドルトン以上、好ましくは500,000ドルトン以上であると有利である。別の実施の形態において、ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な物質の分子量が1,000,000ドルトン以上、好ましくは1,500,000ドルトン以上である。分子量が大きいと、所定の粘性を達成するために必要なハイドロゲルの量は少なくなる。それゆえ、比較的少ないハイドロゲル含量で、非常に粘性の高いゲルを作ることができる。
【0015】
特別の実施の形態において、ハイドロゲルはヒアルロン酸の水溶液である。ヒアルロン酸は、二糖ヒアルロン酸を構成するグルクロン酸とアセチルグルコースアミンからなる。ヒアルロン酸は、枝分かれしていない糸状の分子構造のため、高粘性の水溶液である。
ハイドロゲルの水溶液は、典型的には水分99パーセント以下、好ましくは水分98パーセント以下を含んでいる。特殊な場合に、この水溶液は水分96.5パーセント以下、好ましくは水分95パーセント以下を含むことができる。これらの濃度の利点は、骨代替材料の卓越した成形性が保証されることである。
使用するヒアルロン酸の分子量は、1.5×10ドルトン以上であることが合理的である。特別の実施の形態において、使用するヒアルロン酸の分子量は0.5×10〜1.0×10ドルトンの範囲内にある。別の実施の形態において、使用するヒアルロン酸の分子量は1×10ドルトンより小さく、好ましくは0.5×10ドルトンより小さい。
特別の実施の形態において、カルシウムを含有した多孔性セラミック粒子の比重は0.5〜1.0g/cmの範囲内にある。
【0016】
別の実施の形態において、水和ハイドロゲルとカルシウム含有セラミック粒子との間の重量比A/Bは0.2より大きい。重量比A/Bは0.2〜0.5の範囲内にあることが好ましい。別の実施の形態において、重量比A/Bは0.5〜0.9または0.9〜1.3または1.3〜2.0または2〜5範囲内にあるか、または5より大きい。重量比A/Bの範囲が種々異なる利点は、捏和性および吸収時間が種々異なることである。Aの割合が高いと材料は捏和性がより大きく、その代わりより速く吸収できる。Bの割合が高いと材料は捏和性がより小さく、その代わり吸収はより遅い。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明と本発明の構成を、幾つかの実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
粒度約500マイクロメートルおよび球形度S=3.1のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.2gを、バイオテクノロジーで生成した分子量500kDのヒアルロン酸ナトリウムの5%水溶液2.0gと混ぜた。得られた捏和可能な材料は、塑性骨代替材料として極めて適している。この材料は指で自由に捏和して所望の形状にもたらし、次いで充填すべき骨欠損に直接詰めることができる。変形可能性により、骨欠損の最適な充填が可能となる。
【実施例2】
【0019】
粒度約100マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒0.6gと、粒度約500ミクロンおよび球形度S=2.7のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒0.6gとの混合物を、バイオテクノロジーで生成した分子量900kDのヒアルロン酸ナトリウムの5%水溶液2.0gと混ぜた。得られた捏和可能な材料は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例3】
【0020】
粒度約100マイクロメートルおよび球形度S=2.4のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒0.3gと、粒度約500ミクロンおよび球形度S=2.3のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒0.3gとの混合物を、バイオテクノロジーで生成した分子量900kDのヒアルロン酸ナトリウムの10%水溶液1.0gと混ぜた。得られた捏和可能な材料は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例4】
【0021】
粒度約100マイクロメートルおよび球形度S=1.8のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒0.3gと、粒度約500ミクロンおよび球形度S=2.7のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒0.3gとの混合物を、バイオテクノロジーで生成した分子量900kDのヒアルロン酸ナトリウム50mgと混ぜた。その後、脱イオン化水0.9gを添加し、10分間よく混ぜた。得られた捏和可能な材料は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例5】
【0022】
粒度約500〜700マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.65gと、粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.65gとの混合物を、無菌の6%ヒアルロン酸ナトリウム水溶液3.0g(ヒアルロン酸ナトリウムの分子量=900kD)と、無菌条件下にてへらで混ぜ合せた。30分後に材料を無菌のチューブ状包装に注入した。この無菌の捏和材は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例6】
【0023】
粒度約500〜700マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gと、粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒2.5gとの混合物を、無菌の8%チトサン水溶液3.0gと、無菌条件下にてへらで混ぜ合せた。30分後、材料を無菌の注射状包装に注入した。得られた無菌の捏和材は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例7】
【0024】
粒度約500〜700マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gと、粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gとの混合物を、無菌の5%rhコラーゲン水溶液3.0gと、無菌条件下にてへらで混ぜ合せた。得られた無菌の捏和材は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例8】
【0025】
粒度約500〜700マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gと、粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gとの混合物を、無菌の5%アルギン酸ナトリウム水溶液2.5gと混ぜ合せた。得られた捏和材は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例9】
【0026】
粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒3.0gを、6.5%ポリエチレングリコール水溶液2.5g(分子量=35kD)とへらで混ぜ合せた。得られた捏和材は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例10】
【0027】
粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒3.0gを、4%酸化ポリエチレン水溶液2.0g(分子量=511kD)とへらで混ぜ合せた。得られた捏和材は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例11】
【0028】
粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒3.0gを、10%ヒドロキシメチルセルロース水溶液2.2gとへらで混ぜ合せた。得られた捏和材は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例12】
【0029】
粒度約500〜700マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gと、粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gとの混合物を、7%プロロニック407水溶液2.5gと混ぜ合せた。プロロニック407とは化学的組成HO(CO)(CO)(CO)Hの物質であり、ここにa=101およびb=56である。得られた捏和材は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例13】
【0030】
粒度約500〜700マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gと、粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gとの混合物を、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液0.18g(分子量=140万ドルトン)と酸化ポリエチレン0.09g(分子量=511kD)とからなる水溶液2.5gと混ぜ合わせた。得られた捏和材は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例14】
【0031】
アルギン酸ナトリウム(分子量=50−500kD)と、粒度約500〜700マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.0gと、粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gとを、乾燥状態でよく混ぜた。次いでこの混合物を貯蔵水2.0gとかきまぜた。それによって生成した捏和材は塑性骨代替材料として使用することができた。
【実施例15】
【0032】
ヒアルロン酸ナトリウム0.18g(分子量=110万−130万ドルトン)と、粒度約500〜700マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.0gと、粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gとを、乾燥状態でよく混ぜた。次いでこの混合物を、血小板を多く含んだ血漿0.5mlおよび無菌の貯蔵水1.5mlとかきまぜた。よく混和した後、卓越した塑性捏和材が生成し、塑性骨代替材料として使用することができた。
【実施例16】
【0033】
ヒアルロン酸ナトリウム0.18g(分子量=110万−130万ドルトン)と、粒度約500〜700マイクロメートルおよび球形度S=2.9のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.0gと、粒度約125〜500マイクロメートルおよび球形度S=2.5のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒1.5gとを、乾燥状態でよく混ぜた。次いでこの混合物を新鮮な血液2mlとかきまぜた。よく混和した後、卓越した塑性捏和材が生成し、塑性骨代替材料として使用することができた。
【実施例17】
【0034】
粒度約100マイクロメートルおよび球形度S=2.9の第2リン酸カルシウム二水和物(CaHPO×2HO)の角張った多孔性顆粒0.6gと、粒度約500マイクロメートルおよび球形度S=2.7のベータ第3リン酸カルシウム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒0.6gとを、バイオテクノロジーで生成した分子量900kDのヒアルロン酸ナトリウムの5%水溶液2.0gと混ぜた。得られた捏和可能な材料は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例18】
【0035】
粒度約100マイクロメートルおよび球形度S=1.5の第2リン酸カルシウム(CaHPO)の角張った多孔性顆粒0.6gと、粒度約500マイクロメートルおよび球形度S=2.7の第2リン酸カルシウム(CaHPO)の角張った多孔性顆粒0.6gとを、バイオテクノロジーで生成した分子量900kDのヒアルロン酸ナトリウムの5%水溶液2.0gと混ぜた。得られた捏和可能な材料は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例19】
【0036】
比表面積55m/g、粒度約125マイクロメートルおよび球形度S=1.8のカルシウム欠損ヒドロキシルアパタイト(CDHA;Ca(PO(HPO)OH)0.3gと、比表面積55m/g、粒度約500マイクロメートルおよび球形度S=2.3のカルシウム欠損ヒドロキシルアパタイト(CDHA;Ca(PO(HPO)OH)0.3gとを、バイオテクノロジーで生成した分子量120万ドルトンのヒアルロン酸ナトリウムの10%水溶液2.7gと混ぜた。得られた捏和可能な材料は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例20】
【0037】
比表面積102m/g、粒度約125マイクロメートルおよび球形度S=1.8のカルシウム欠損ヒドロキシルアパタイト(CDHA;Ca(PO(HPO)OH)0.3gと、比表面積102m/g、粒度約500マイクロメートルおよび球形度S=2.3のカルシウム欠損ヒドロキシルアパタイト(CDHA;Ca(PO(HPO)OH)0.3gとを、バイオテクノロジーで生成した分子量120万ドルトンのヒアルロン酸ナトリウムの10%水溶液2.7gと混ぜた。得られた捏和可能な材料は、塑性骨代替材料として極めて適した。
【実施例21】
【0038】
粒度約125マイクロメートルおよび球形度S=1.8の硫酸カルシウム半水和物の角張った多孔性顆粒0.3gと、粒度約500マイクロメートルおよび球形度S=2.3のベータ第3リン酸カルシム(β−TCP)の角張った多孔性顆粒0.3gとを、バイオテクノロジーで生成した分子量140万ドルトンのヒアルロン酸ナトリウムの7%水溶液2.7gと混ぜた。得られた捏和可能な材料は、塑性骨代替材料として極めて適した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捏和および成形可能な骨代替材料であって、
A)カルシウムを含有したセラミック粒子と、
B)ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な物質とを含んでなるものにおいて、
C)前記セラミック粒子が完全合成によって作られ、
D)個々のセラミック粒子が少なくとも一部連続した多孔性構造を有しており、
E)多数のセラミック粒子が丸くない形状を有していることを特徴とする骨代替材料。
【請求項2】
前記セラミック粒子が角張った形状を特徴とする請求項1記載の骨代替材料。
【請求項3】
前記セラミック粒子の最大直径Dmaxと最小直径Dminとの間の球形度S=Dmax/Dminが1.2より大きいことを特徴とする請求項1または2記載の骨代替材料。
【請求項4】
前記セラミック粒子の球形度Sが3より大きいことを特徴とする請求項3記載の骨代替材料。
【請求項5】
前記セラミック粒子の少なくとも50重量パーセントが丸くない形状を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項6】
前記セラミック粒子の孔径が1〜500マイクロメートルの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項7】
前記セラミック粒子の少なくとも50パーセントの孔径が100〜500マイクロメートルの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項8】
前記孔径が1〜100マイクロメートルの範囲内にあることを特徴とする請求項7記載の骨代替材料。
【請求項9】
前記孔径が340〜450マイクロメートルの範囲内にあることを特徴とする請求項8記載の骨代替材料。
【請求項10】
前記セラミック粒子の多孔性が60〜90パーセントの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項11】
前記セラミック粒子のかさ密度が0.2g/cm〜2.0g/cmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項12】
前記セラミック粒子の見掛け密度が0.5g/cm〜2.5g/cmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項13】
丸くない形状のセラミック粒子の割合が少なくとも60重量パーセントであることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項14】
前記セラミック粒子の平均直径が100〜250マイクロメートルの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項15】
前記セラミック粒子の前記平均直径が250〜500マイクロメートルの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項16】
前記セラミック粒子の平均直径が0.5〜5.6mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項17】
平均直径が100〜250マイクロメートルのセラミック粒子を、前記平均直径が250〜500マイクロメートルのセラミック粒子および/または前記平均直径が0.5〜5.6mmのセラミック粒子と一緒に使用することを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項18】
前記セラミック粒子は、Ca/Pモル比が1.0〜2.0の範囲内にあることを特徴とするリン酸カルシウムからなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項19】
リン酸カルシウムが次の群、すなわち第2リン酸カルシウム二水和物(CaHPO×2HO)、第2リン酸カルシウム(CaHPO)、アルファ三リン酸カルシウム(alpha−Ca(PO)、ベータ第3リン酸カルシウム(beta−Ca(PO)、カルシウム欠損ヒドロキシルアパタイト(Ca(PO(HPO)OH)、ヒドロキシアパタイト(Ca10(POOH))、カーボン添加アパタイト(Ca10(PO(CO(OH))、フルオルアパタイト(Ca10(PO(F,OH))、クロルアパタイト(Ca10(PO(Cl,OH))、ウィトロキット((Ca,Mg)(PO)、第4リン酸カルシウム(Ca(POO)、オキシアパタイト(Ca10(POO)、ベータピロリン酸カルシウム(beta−Ca(P))、アルファリン酸カルシウム、ガンマリン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム(Ca(PO×5HO)から選択されていることを特徴とする請求項18に記載の骨代替材料。
【請求項20】
前記セラミック粒子が種々のリン酸カルシウムの混合物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項21】
前記セラミック粒子が硫酸カルシウムからなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項22】
前記セラミック粒子が炭酸カルシウムからなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項23】
前記セラミック粒子が次の群、すなわちアルファ硫酸カルシウム半水和物、ベータ硫酸カルシウム半水和物および硫酸カルシウム二水和物から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項24】
前記セラミック粒子が種々のリン酸カルシウム、硫酸カルシウムおよび/または炭酸カルシウムからなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項25】
前記セラミック粒子がさらに金属イオン成分または半金属イオン成分を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項26】
前記ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲルに膨潤可能な前記物質が、純粋な合成物質からなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項27】
前記ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲルに膨潤可能な前記物質が、天然の生物学的物質からなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項28】
前記ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲルに膨潤可能な前記物質が、バイオテクノロジーによって生成された物質からなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項29】
前記ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲルに膨潤可能な前記物質が、純粋な合成物質、天然の生物学的物質またはバイオテクノロジーによって生成された物質の混合からなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項30】
前記ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲルに膨潤可能な前記物質が次の構成要素、すなわちa)ポリリシンまたはゼラチン、b)グリコースアミノグリカンまたはアルギン酸、c)多脂質または脂肪酸、d)ヌクレオチド、のいずれか1つ、あるいは前記a)からd)に記載の構成要素の組み合わせを含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項31】
前記ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲルに膨潤可能な前記物質が次の構成要素、すなわちa)酸化ポリメチレン、b)ポリエチレンまたは酸化ポリエチレン、c)ポリプロピレンまたは酸化ポリプロピレン、d)ポリアクリレート、のいずれか1つ、あるいは前記a)からd)に記載の構成要素の組み合わせを含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項32】
前記ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲルに膨潤可能な前記物質が、グリコースアミノグリカンまたはプロテオグリカンまたはこれら両物質の混合からなることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項33】
前記ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲルに膨潤可能な前記物質が、グリコースアミノグリカンがヒアルロン酸、コンドルイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸またはケラタン硫酸であることを特徴とする請求項32記載の骨代替材料。
【請求項34】
即時使用可能な水和ハイドロゲルまたはハイドロゲルに膨潤可能な即時使用可能な水和物質の濃度が、0.1〜20.0パーセントの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項35】
前記ハイドロゲルまたは前記ハイドロゲルに膨潤可能な前記物質の分子量が300,000ドルトン以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項36】
前記ハイドロゲルがヒアルロン酸の水溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項37】
前記ハイドロゲルの水溶液が水分99パーセント以下を含んでいることを特徴とする請求項36記載の骨代替材料。
【請求項38】
使用するヒアルロン酸の分子量が1.5×10ドルトン以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項39】
使用するヒアルロン酸の分子量が0.5×10〜1.0×10ドルトンの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項40】
使用するヒアルロン酸の分子量が1×10ドルトンより小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項41】
カルシウムを含有した多孔性セラミック粒子の比重が0.5〜1.0g/cmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項42】
水和ハイドロゲルとカルシウム含有セラミック粒子との間の重量比A/Bが0.2より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の骨代替材料。
【請求項43】
前記重量比A/Bが0.2〜0.5の範囲内にあることを特徴とする請求項42記載の骨代替材料。
【請求項44】
前記重量比A/Bが0.5〜0.9の範囲内にあることを特徴とする請求項42記載の骨代替材料。
【請求項45】
前記重量比A/Bが0.9〜1.3の範囲内にあることを特徴とする請求項42記載の骨代替材料。
【請求項46】
前記重量比A/Bが1.3〜2.0の範囲内にあることを特徴とする請求項42記載の骨代替材料。
【請求項47】
前記重量比A/Bが2〜5の範囲内にあることを特徴とする請求項42記載の骨代替材料。
【請求項48】
前記重量比A/Bが5より大きいことを特徴とする請求項42記載の骨代替材料。

【公開番号】特開2012−66124(P2012−66124A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−301(P2012−301)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2003−579897(P2003−579897)の分割
【原出願日】平成15年4月2日(2003.4.2)
【出願人】(500156069)ジンテーズ ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング (34)
【住所又は居所原語表記】Eimattstrasse 3, CH−4436 Oberdorf, Swizerland
【Fターム(参考)】