説明

捕虫システム

【課題】捕虫装置における捕虫効果に優れた捕虫システムを提供する。
【解決手段】捕虫システムは、貯蔵物に対する屋内の害虫を、捕虫装置を用いて捕らえる捕虫システムであって、捕虫装置は、害虫を誘引する光を発する光源3と、該光源3からの光に誘引された害虫を捕獲する捕獲部6とを有しており、天井から80cm以内の高さ位置に設置されている構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫システムに関し、詳細には、光により誘引される害虫を捕獲する捕虫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タバコ、生薬および食品等の工場および貯蔵庫等では、原料および製品の品質管理を行うために、これらに対する害虫を駆除する必要がある。そのため、工場および貯蔵庫等の屋内において害虫を捕獲するための捕虫装置が開発されてきている。例えば、特許文献1には、捕虫装置のハウジングの形態を工夫することで捕獲率を向上させた捕虫装置について記載がある。また、特許文献2には、上方へ向かう光を遮蔽する遮蔽部を設けて、室内の下方を飛翔する虫を効果的に誘引する害虫防除装置について記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平10−509045号(1998年9月8日公表)
【特許文献2】特開2008−154519号(2008年7月10日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のとおり、これまでの開発は、捕虫効率の優れた捕虫装置自体の開発に終始している。そのため、工場および貯蔵庫等における害虫駆除効果を高めるためには、これらの装置を別途入手する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の捕虫装置を利用しても捕虫効果を向上させることができる捕虫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る捕虫システムは、上記課題を解決するために、貯蔵物に対する屋内の害虫を、捕虫装置を用いて捕らえる捕虫システムであって、上記捕虫装置は、上記害虫を誘引する光を発する光源と、該光源からの光に誘引された上記害虫を捕獲する捕獲部とを有しており、天井から80cm以内の高さ位置に設置されている構成である。
【0007】
また、本発明に係る捕虫システムにおいて、上記屋内に照明が設置されている場合には、該照明は、天井から1m以上離されて設置されていることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る捕虫システムにおいて、上記照明から出射される光は、紫外光が低減されているか、または紫外光を含んでいないことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る捕虫システムにおいて、上記捕虫装置は、壁から2m以内の位置に設置されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る捕虫システムにおいて、上記害虫は、甲虫類であることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る捕虫システムにおいて、上記害虫は、シバンムシ科に属する昆虫であることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る捕虫システムにおいて、上記害虫は、タバコシバンムシであることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る捕虫システムにおいて、上記貯蔵物は、植物または植物加工品であることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る捕虫システムにおいて、上記貯蔵物は、乾燥葉たばこであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上述のとおり、本発明に係る捕虫システムでは、捕虫装置が天井から80cm以内の高さ位置に設置されている。これにより、従来の捕虫装置を用いても、効率よく害虫を捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】試験室内におけるライトトラップの設置位置と平均捕虫数との関係を示す図である。
【図2】倉庫内におけるライトトラップの設置位置と平均捕虫数との関係を示す図である。
【図3】試験室内におけるUVカット照明による誘虫阻止効果を試験する方法の概要を示す図である。
【図4】試験室内におけるUVカット照明による誘虫阻止効果を示す図である。
【図5】試験室内におけるライトトラップの設置位置の壁からの距離と平均捕虫数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る捕虫システムの一実施形態について、以下に説明する。
【0018】
本発明に係る捕虫システムは、捕虫装置を天井から80cm以内の高さ位置に設置することによって構成される捕虫システムである。
【0019】
〔捕虫装置〕
捕虫装置は、貯蔵物に対する害虫を誘引する光を発する光源と、光源からの光に誘引された害虫を捕獲する捕獲部とを有している、いわゆるライトトラップ型の捕虫装置である。
【0020】
捕虫装置の光源は、誘虫効果のある波長の光(紫外線)を発するものであれば特に制限はなく、波長340nm〜400nmの光を主波長とする光源が意図される。このような光源としては、例えば、ブラックライト(BL)またはブラックライトブルー(BLB)などの捕虫用蛍光灯、およびUV−LEDなどの従来公知の誘虫光源を用いることができる。
【0021】
捕虫装置の捕獲部は、害虫を捕獲する手段によって形成されているのみならず、害虫を殺す手段をも含み得ることを意図している。捕獲部の様式に制限はなく、粘着式、吸引式、電撃式、毒殺式、熱殺虫式、水に捕獲する方式、および泡に捕獲する方式など、従来公知の様式を利用できる。しかしながら、本捕虫システムにおいて捕虫装置は高所(天井から80cm以内)に設置されるため、安全性の観点から、粘着式または吸引式であることが好ましい。
【0022】
本発明に係る捕虫システムにおいて、捕虫装置は屋内に設置され、屋内の天井から80cm以内の高さ位置に設置されるものである。捕虫装置の設置位置は、天井から80cm以内の高さ位置であればよく、例えば天井から50cmの高さ位置であり得、特に好ましくは、天井に接触させる位置(天井から0cmの高さ位置)である。捕虫装置を天井から80cm以内の高さ位置に設置することによって、害虫の捕虫率を向上させることができる。
【0023】
なお、捕虫装置を設置する壁からの距離は、特に制限されるものではなく、例えば、壁から2m以内の位置に設置することができる。壁から設置位置までの距離が2m以内の場合、本捕虫システムにおいて優れた捕虫効率を実現することができる。なお、捕虫装置の設置位置が壁から2mを越えた場所、例えば壁から3m離れた場所であっても、捕虫装置を壁に直接設置した場合と比較して、約70%の捕虫効率を実現できる。そのため、壁から2mを越えた場所に捕虫装置を設置する場合も本発明の範疇に含まれる。
【0024】
ある屋内において使用する捕虫装置の数に制限はなく、本発明の捕虫システムを適用する屋内の広さまたは容積に応じて適宜決定すればよい。また、ある屋内において捕虫装置を複数箇所に設置する場合に、それぞれの設置位置の高さは同一であっても異なっていてもよい。それぞれの設置位置の高さが異なっている場合には、少なくとも何れか一つが、天井から80cm以内の高さ位置であればよい。また、複数ある捕虫装置の捕虫様式は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
さらに、本発明に係る捕虫システムにおいては、ライトトラップ型の捕虫装置が含まれていればよく、他の様式の捕虫装置の併用を排除するものではない。例えば、誘虫効果のあるフェロモンによって害虫を誘引して捕獲する、いわゆるフェロモントラップ型の捕虫装置を、ライトトラップ型の捕虫装置とともに用いてもよい。
【0026】
〔貯蔵物〕
本明細書において、貯蔵物は、害虫の標的となり得るものを意図している。貯蔵物は、例えば、植物、植物加工品(乾燥植物を含む)、食料品、動植物乾燥標本、動物用飼料、および油粕などが挙げられる。より具体的には、小麦粉およびトウモロコシ粉などの穀物加工物、香辛料、ならびに生薬、乾燥果物および乾燥葉たばこなどの乾燥物が挙げられる。これらの貯蔵物に対する害虫を捕獲するためであれば、これら貯蔵物の製造を行っている屋内において本捕虫システムを用いることもまた、本発明の範疇に含まれる。
【0027】
〔害虫〕
本発明に係る捕虫システムの捕獲対象となる害虫は、貯蔵物に対する害虫であれば特に制限されず、例えば、ヒメカツオブシムシ、ハラジロカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシ、コクヌストモドキ、コメノゴミムシダマシ、ガイマイゴミムシダマシ、カクムネヒラタムシ、タバコヒラタムシ、ノコギリコクヌスト、アカアシホシカムシ、クリヤケシキスイ、ニセマルヒョウホンムシ、ムナビロヒメマキムシ、タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシ、コナナガシンクイ、チビタケナガシンクイ、チースバエ、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、ツヅリガおよびバクガなどが挙げられる。これら害虫の中でも甲虫類が好ましく、甲虫類の中でも、タバコシバンムシおよびジンサンシバンムシなどシバンムシ科に属する昆虫がより好ましく、乾燥葉たばこの害虫であるタバコシバンムシが特に好ましい。タバコシバンムシであれば、本発明に係るシステムにおける捕虫効果がより向上する。
【0028】
〔照明〕
本発明に係る捕虫システムは屋内で実施するものであるため、本捕虫システムは、屋内を照らすための照明をさらに備えていてもよい。照明は、捕虫装置よりも低い位置に設置されることが好ましく、天井から1m以上離されて設置されることがより好ましい。照明の設置位置を上記位置にすることにより、照明に誘引される害虫の数を減少させ、その結果、捕虫装置による害虫の捕獲率を向上させることができる。
【0029】
照明は、蛍光灯、水銀灯、メタルハライドランプおよび白色LEDなど、一般的な市販の照明器具を用いることができる。捕虫装置における捕虫率を向上させるために、照明に誘引される害虫の数をより少なくすることが好ましい。このような観点から、照明から出射される光は、紫外光が低減されているか、または紫外光を含んでいないことが好ましいい。害虫を含め、昆虫は紫外光をよりよく認識するため紫外光に誘引される。したがって、紫外光が低減されているか、または紫外光を含んでいない光を出射する照明を用いることによって、照明に誘引される害虫をさらに減らし、これにより、捕虫装置での捕虫率を向上させることができる。
【0030】
照明から出射される光において紫外光を低減させたり、紫外光を含めないようにしたりする方法は特に制限されるものではない。例えば、紫外線反射剤または紫外線吸収剤を利用して紫外線放出を低減、抑制または遮断する紫外線カットフィルムまたは紫外線カットスリーブなどを従来の照明に適用する方法、あるいは、可視光のみを放出するLEDランプを用いる方法などが挙げられる。
【0031】
照明による誘虫の低減とともに演色性の面からは、410nm以下の波長の光をカットすることがより好ましい。例えば、富士フィルム製のUVカットスリーブ(商品名:UV Gurad)を用いることにより、従来の蛍光灯において、410nm以下の波長の光をカットすることができる。
【0032】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
【実施例】
【0033】
〔実施例1:試験室内における捕虫試験〕
施設内の試験室内において、ライトトラップによる放飼タバコシバンムシの捕虫試験を行った。試験条件は以下のとおりである。
−実施場所:5m(間口)×7m(奥行き)×3m(高さ)の試験室(室温:28〜30℃)。
−供試虫:タバコ粉末を餌に累代飼育しているタバコシバンムシ。飼育条件は、27℃、60%RH、明期:14時間/暗期:10時間。1回の試験では、餌から脱出して1週間後のタバコシバンムシ成虫を雌雄混合で100頭供試。
−使用ライトトラップ:ムシポンMP−2200(製品名、ベンハー芙蓉(株)製、20WBLランプ一灯型)。
−ライトトラップ設置位置:壁掛けで、天井からの距離が0.0m、0.5m、または1.0mの高さに設置。
−試験方法:ライトトラップを上記何れかの高さ位置に1台設置。設置した壁から約5m離れた地点の床から17時に供試虫を放飼。暗黒条件下、ライトトラップの光源のみを点灯させ、16時間後(翌朝9時)にライトトラップにおける捕虫数を計測。同一条件の試験を3回反復実施した。
【0034】
結果を図1に示す。図1は3回の試験の平均捕虫数(±SE)を示している。
【0035】
図1に示されるように、ライトトラップを天井から0.0mの高さ位置に設置した場合に、最も多くの供試虫が捕獲された。また、ライトトラップを天井から0.5mの高さ位置に設置した場合であっても、天井から0.0mの高さ位置に設置した場合と比較して、7割程度の数の供試虫を捕獲することができ、十分に効果のあることが示された。一方、ライトトラップの設置位置を、天井から1.0mの高さ位置まで下げた場合には、その捕獲数は、天井から0.0mの高さ位置に設置した場合の4割程度にまで減少していた。
【0036】
〔実施例2:倉庫内における捕虫試験〕
実施例1の試験室よりも大きな倉庫内において、ライトトラップによる放飼タバコシバンムシの捕虫試験を行った。試験条件は以下のとおりである。
−実施場所:床面積が750m、天井高さが4.8mの倉庫(室温:28〜30℃)。
−供試虫:供試数を400頭に増加させた以外は、実施例1に同じ。
−使用ライトトラップ:実施例1に同じ。
−ライトトラップ設置位置:壁掛けで、天井からの距離が0.0m、または0.8mの高さに設置。
−試験方法:ライトトラップを上記何れかの高さ位置に4台設置。各ライトトラップは、互いに異なる壁面に設置した。1回の試験においては、4台とも同一の高さ位置に設置されている。倉庫の床の互いに離れた8地点から17時に供試虫を放飼(1点あたり50頭)。暗黒条件下、ライトトラップの光源のみを点灯させ、16時間後(翌朝9時)にライトトラップにおける捕虫数を計測。同一条件の試験を3回反復実施した。なお、反復試験は、天井からの距離0.0mに設置した場合と距離0.8mに設置した場合とを交互に行った。
【0037】
結果を図2に示す。図2は3回の試験の平均捕虫数(±SE)を示している。
【0038】
図2に示されるように、ライトトラップを天井から0.0mの高さ位置に設置した場合に、最も多くの供試虫が捕獲された。また、ライトトラップを天井から0.8mの高さ位置に設置した場合であっても、天井から0.0mの高さ位置に設置した場合と比較して、7割程度の数の供試虫を捕獲することができ、十分に効果のあることが示された。
【0039】
〔実施例3:UVカット照明を用いた誘虫阻止〕
照明を点灯させた試験室内における、照明のUVカットの有無による、照明における誘虫阻止の効果について試験を行った。試験条件は以下のとおりである。
−実施場所、供試虫および使用ライトトラップ:実施例1の条件に同じ。
−ライトトラップ設置位置:壁掛けで、天井からの距離が0.0mの高さに設置。
−使用照明:葉たばこ用鑑定用蛍光灯(東芝ライテック製:40W形)×3本。
−UVカットスリーブ:UV Guard(製品名、富士フィルム製:40W形)×3本。
−試験方法:本試験方法におけるシステムの概要を図3に示す。ライトトラップ2を天井に1台設置。試験室天井の中央部から1m下に、照明3として葉たばこ鑑定用蛍光灯(40W)(以下、単に、鑑定用蛍光灯という)を3本吊るした。照明3の鑑定用蛍光灯に誘引された供試虫4を捕獲するため、照明3直下にポリ塩化ビニル製の滑落板5(高さ:1m、幅:1.8m)を垂直に吊るし、滑落板5直下に水平に粘着板6(0.6×1.8m)を机7(床からの高さ:1m)の上に設置した。床の4地点(部屋の中心から奥行き方向手前側2mおよび奥側2mの位置、ならびに部屋の中心から間口に沿った方向右側1.5mおよび左側1.5mの位置)から供試虫を放飼(1地点あたり50頭)。放飼から3時間後に粘着板6に捕獲された供試虫の数(捕虫数)を計測。なお、屋内の明かりは、照明3およびライトトラップ2の明かりのみである。以下の各試験句について、同一条件の試験を3回反復実施した。
−試験区:(i)鑑定用蛍光灯にUVカットスリーブを装着せずに点灯(ライトトラップは非点灯)、(ii)鑑定用蛍光灯にUVカットスリーブを装着して点灯(ライトトラップは非点灯)、(iii)(i)の条件で、ライトトラップを点灯、(iv)(ii)の条件で、ライトトラップを点灯。
【0040】
結果を図4に示す。図4は3回の試験の平均捕虫数(±SE)を示している。
【0041】
図4に示すように、鑑定用蛍光灯にUVカットスリーブを装着した場合(試験区ii)には、コントロール(試験区i)と比較し、照明に誘引される供試虫の数が60%程度に減少していた。同様に、鑑定用蛍光灯にUVカットスリーブを装着せずに、ライトトラップを点灯させた場合(試験区iii)には、コントロールと比較し、照明に誘引される供試虫の数が50%程度に減少していた。さらに、鑑定用蛍光灯にUVカットスリーブを装着し、かつライトトラップを点灯させた場合(試験区iv)には、コントロールと比較し、照明に誘引される供試虫の数が30%程度に減少しており、UVカットスリーブおよびライトトラップそれぞれの単独使用よりも、減少していた。
【0042】
以上の結果から、天井から1m下方に設置した屋内照明にUVカットスリーブを装着するとともに、ライトトラップを併用することによって、屋内の照明(鑑定用蛍光灯)へのタバコシバンムシの誘引が阻害されることが確認された。換言すれば、ライトトラップによる害虫の捕獲において、屋内照明による捕虫阻害が低減されていることが確認された。
【0043】
〔実施例4:ライトトラップの設置位置の壁からの距離〕
ライトトラップの設置位置に関し、壁からの距離の影響を確認するために、ライトトラップ設置位置の壁からの距離を変化させて、放飼タバコシバンムシの捕虫試験を行った。試験条件は以下のとおりである。
−実施場所および使用ライトトラップ:実施例1に同じ。
−供試虫:供試数を200頭に増加させた以外は、実施例1に同じ。
−ライトトラップ設置位置:天井からの距離はすべて0.0m(天井直付け)で、壁からの距離が、0.0m、0.5m、0.75m、1.0m、または2.0mとなるように設置。
−試験方法:ライトトラップを上記何れかの位置に1台設置。壁から約3.0m離れた地点の床から17時に供試虫を放飼。暗黒条件下、ライトトラップの光源のみを点灯させ、16時間後(翌朝9時)にライトトラップにおける捕虫数を計測。同一条件の試験を3回反復実施した。
【0044】
結果を図4に示す。図4は3回の試験の平均捕虫数(±SE)を示している。
【0045】
図4に示されるように、ライトトラップを壁から離して設置した場合であっても、壁に設置した場合と比較して、平均捕虫数に差は見られなかった(p<0.05、Tukey−HSD法による多重比較)。以上の結果から、ライトトラップの設置位置が少なくとも壁からの距離が2m以内であれば、どの位置であっても高い捕虫効率が得られることが示された。なお、本実施例における試験を実施した場所よりも広い倉庫において、ライトトラップの設置位置の壁からの距離を3.0mにして同様の試験を行った結果、壁からの距離が0.0mの場合と比較して7割程度の数の供試虫を捕獲することができた。すなわち、ライトトラップの設置位置の壁からの距離が3.0m以上であっても、十分に効果のあることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、貯蔵物に対する害虫を防除する必要がある工場、倉庫等の屋内において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
2 ライトトラップ(捕虫装置)
3 照明
4 供試虫(害虫)
5 滑落板
6 粘着板
7 机


【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵物に対する屋内の害虫を、捕虫装置を用いて捕らえる捕虫システムであって、
上記捕虫装置は、上記害虫を誘引する光を発する光源と、該光源からの光に誘引された上記害虫を捕獲する捕獲部とを有しており、天井から80cm以内の高さ位置に設置されていることを特徴とする捕虫システム。
【請求項2】
上記屋内に照明が設置されており、該照明は、天井から1m以上離されて設置されていることを特徴とする請求項1に記載の捕虫システム。
【請求項3】
上記照明から出射される光は、紫外光が低減されているか、または紫外光を含んでいないことを特徴とする請求項2に記載の捕虫システム。
【請求項4】
上記捕虫装置は、壁から2m以内の位置に設置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の捕虫システム。
【請求項5】
上記害虫は、甲虫類であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の捕虫システム。
【請求項6】
上記害虫は、シバンムシ科に属する昆虫であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の捕虫システム。
【請求項7】
上記害虫は、タバコシバンムシであることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の捕虫システム。
【請求項8】
上記貯蔵物は、植物または植物加工品であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の捕虫システム。
【請求項9】
上記貯蔵物は、乾燥葉たばこであることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の捕虫システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−152125(P2012−152125A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12957(P2011−12957)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】