説明

捕虫器

【課題】誘引した虫が吸引力のとどかない部分へ止まったり飛来し続けることを防ぎ、確実に吸引、捕獲することのできる捕虫器を提供する。
【解決手段】吸引口1h、31hを通して本体1外部へ誘引光を発して捕獲対象の虫を誘引する発光誘引手段と、発光誘引手段によって吸引口付近1h、31hの吸引領域に誘引された捕獲対象虫を吸引する吸引手段と、吸引手段によって吸引された捕獲対象虫を捕獲する捕獲網5とを具備する。本体1のうち、吸引領域と重なる範囲が誘引色領域A3となっており、吸引領域と重ならない範囲が非誘引色領域A1となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
植物栽培ハウス内等に設置して、羽アブラムシ、コナジラミ、ヤガ、アザミウマ、ハエなどの飛翔性の小虫を捕らえる捕虫器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昆虫に対して誘引させる光を発生する光源と、この光源によって誘引されてきた昆虫を反射し滑落させる反射板と、該反射板の下方に設けた昆虫殺傷捕獲手段とを具備する防虫器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ただし、この反射板は、忌避光を周囲に反射すると共に吸引されてきた昆虫を下方の昆虫殺傷捕獲手段へ滑落させるように傾斜させている。
【特許文献1】特開2005−229997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上記従来の捕虫器では、裏側が光源の光が届かずに死角部分となり、裏側面付近を飛来したり裏側面に止まってしまっていた。このため、確実に誘引した虫を確実に捕獲することができなかった。
【0004】
また同様に、本体の下部においても吸引の効果が届かずに、誘引されてきた虫が止まってしまい、確実に誘引した虫を確実に捕獲することができなかった。
【0005】
そこで本発明は、誘引した虫が吸引の効果の届かない部分へ止まったり、吸引の効果の届かない領域へ飛来し続けることを防ぎ、誘引虫を確実に吸引、捕獲することのできる捕虫器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明では下記(1)〜(6)の手段を講じている。
(1)本発明の捕虫器は、誘引した捕獲対象の虫を吸引して捕獲する捕虫器であって、
捕獲対象虫を内部へ吸引するための吸引口(具体的には端部吸引口1h及び側部吸引口31h)を上端側に設けた縦型筒状の本体1と、
前記本体1の上端の内部に固定され、吸引口を通して本体1外部へ誘引光を発することで捕獲対象の虫を吸引口付近へ誘引する誘引光源21と、
本体1の内部に固定され、誘引光源21によって吸引口付近の吸引領域A4に誘引されてきた捕獲対象虫を本体1の下端側へ吸引する吸引手段4と、
前記本体1の下端側の先部に固定され、捕獲対象虫を捕獲する捕獲網5とを具備してなる。そして、
本体1のうち、吸引口周りであって吸引手段による吸引領域A4と重なる範囲が、捕獲対象虫を誘引しうる誘引色に塗布された誘引色領域A3となっており、かつ、吸引口周りであって吸引手段による吸引領域A4と重ならない範囲が、誘引色と異なる非誘引色に塗布された非誘引色領域A1となっていることを特徴とする。
【0007】
吸引手段による吸引領域A4と重なる範囲とは、少なくとも図2の正面視ないし側面視において外部視認される吸引領域A4と重なる本体1上部の範囲、及び図3の平面視において外部視認される吸引領域A4と重なる本体1上部の捕虫器の範囲であって、下部の捕獲網5を除く上部の範囲を言う。正面視ないし側面視にわたる周面視位置から平面視位置にかけて連続的に吸引領域A4と重なる本体1上部の範囲は、すべて吸引領域A4となる。この領域を誘引色領域A3として、例えば黄色に有色塗布すると共に、これ以外の領域を非誘引色領域A1として、例えば黄色以外の色に有色塗布することで、光誘引領域A2と吸引領域A4とを重ねることができ、さらにこれらの領域それぞれに誘引色領域A3を重ねることができる。
【0008】
(2)前記記載の捕虫器において、非誘引色が、捕獲対象虫の誘引作用及び捕獲対象虫の忌避作用のいずれも有さない中間色であることが好ましい。
【0009】
中間色とは忌避作用をも有さない色であって、例えば黒、白色等の無彩色が挙げられる。
【0010】
(3)前記記載の捕虫器において、誘引色及び非誘引色は共に、捕獲対象虫以外の他の忌避対象虫を忌避する忌避作用を有することが好ましい。
【0011】
つまり誘引色領域は、捕獲対象虫に対して誘引効果を有すると共に、忌避対象虫に対して忌避効果を有する。また非誘引色領域は、捕獲対象虫に対して誘引効果を有さないものであると共に、少なくとも忌避対象虫に対して忌避効果を有する。
【0012】
(4)前記(1)、(2)または(3)のいずれか記載の捕虫器において、本体を上端側へ延長する円筒板からなる側囲板31を具備し、
前記吸引孔が、側囲板31の上端側の先部に設けられた端部吸引孔1hと、側囲板31の周面に沿って等間隔に設けられた複数の側部吸引孔31hとから構成され、
誘引光源21は、この側囲板31の内部に固定されることで側方を囲われるとともに、平面視及び正面視にてそれぞれ端部吸引孔1h及び側部吸引孔31hを窓として外部へ露出し、誘引光を露光するものであることが好ましい。
【0013】
(5)前記(4)記載の捕虫器において、側囲板31の上端側の先部であって誘引光源21の上方に、筒状の内側面内を横断して固定された上覆板32を具備してなり、
誘引光源21は、この上覆板32によって上方を覆われることが好ましい。
【0014】
上覆板32は発光体の上側を覆って保護する保護具であると共に、本体1或いは側囲板31の上側の形状を保持して変形を防ぐ補強具である。上覆板32は例えば、外形よりも一回り小さな多角形孔を有した多角形板からなり、筒内側面を対角線状に亘ることで、本体1の上側の形状を効率的に補強する。
【0015】
(6)前記(3)または(4)記載の捕虫器において、本体の上端側かつ側囲板31の下端側であって誘引光源21の下方に、筒状の側囲板31内部または筒状の本体1内部を塞ぐように固定された上部保護網61を具備してなり、
上部保護網61は、捕獲対象虫が通過しかつ捕獲対象虫よりも大きな非捕獲対象虫が遮られる大きさの網目からなることが好ましい。
【0016】
このような上部保護網61により、非捕獲対象虫が本体内部へ誤って侵入するのを防ぐことができる(後述の実施例2(図7)、実施例3(図8)参照)。非捕獲対象虫よりも大きい非捕獲対象虫が飛来する状況で使用するとき、誤侵入を防ぐことで本体吸引部等の保護をすることができる。また特にこの非捕獲対象虫がミツバチのような農業栽培に必要な益虫であるときに有用である。
【0017】
また誘引光源や上覆板の取り付け/取り外しの際に、上部保護網が内部侵入を保護することで、誤ってこれらが本体内に落下することを防ぐことができる。特に上部保護網が、弾性機能を有する網線で構成されたものであれば、落下衝突時にその弾性機能によって落下の衝撃を緩衝することができる。
【発明の効果】
【0018】
上記手段により、誘引した虫が吸引の効果の届かない部分へ止まったり、吸引の効果の届かない領域へ飛来し続けることを防ぎ、誘引虫を確実に吸引、捕獲することのできる捕虫器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の最良の形態例を本発明の実施例として示す各図と共に説明する。図1〜図6は実施例1の、図7は実施例2の、そして図8は実施例3の捕虫器である。本発明の捕虫器は、基本的に、従来の上方のすり鉢状滑落反射板(部分円錐体)を取り除いたものであり、少なくとも下記各構成を具備する。
・端部吸引孔1hを有する本体1
・捕獲対象虫に対して誘引光を発する誘引光源21を有する発光誘引手段2
・誘引光源21(蛍光管)の側周を円筒状に取り囲む、複数の側部吸引孔31h付きの側囲板31
・蛍光管上方を覆う上覆板32
・本体上方の吸引孔付近から本体内部へかけて吸引領域を有し、吸引領域内の捕獲対象虫を本体内部へ、さらに本体下方へと吸引する吸引手段4
・進入防止機能を有する下部保護網62
・吸引した捕獲対象虫を捕虫する捕獲網5
本発明の主な特徴として、下記A1〜A4の領域を観念し、正面、側面及び平面視における本体とA4との重畳範囲をA3とし、かつA4との非重畳範囲をA1としたこと、及び、正面、側面及び平面視における本体とA2との重畳範囲をA3とし、かつA2との非重畳範囲をA1としたことの2点が挙げられる。これら2点のうち少なくともいずれか1点以上を具備するものであれば相当の捕虫効果を有し、また両方具備するものであればさらに優れた捕虫効果を有する。なお従来は全ての外面をA3としており、A1が無かった。
A1非誘引色に塗布した非誘引色領域A1
A2発光手段2の誘引光が届く誘引光領域A2/それ以外
A3誘引色に塗布した誘引色領域A3
A4吸引手段4の吸引力が届く吸引領域A4/それ以外の領域
具体的には、吸引領域A4内にある、上部の黄色蛍光灯周辺具(円筒側板、上方板、蛍光管保持枠、安定器)を誘引色(黄色)に塗布すると共に、吸引領域以外の下部構造(本体円筒板、モーター、プロペラ、捕獲網、返し網等)を非誘引色、好ましくは忌避作用のない中間色(白或いは黒色)に塗布した。これにより、下記手順によって捕虫することができる。
【0020】
最も効果距離の長い発光手段で光誘引を行なう。この際に、光誘引領域及びの周辺を除いた本体面を、非誘引色に塗布しており、光誘引領域の周囲への誘引による誘引の失敗を回避できる。
【0021】
また本体面のうち、吸引領域が正面ないし側面の垂直面視で本体と重なる部分のみを誘引色に塗布し、吸引領域ではない部分を非誘引色に塗布している。これにより、吸引領域以外への誘引による吸引捕獲の失敗を回避できる。このように、光誘引、吸引という2段階でそれぞれ誘引色塗布領域と非誘引色塗布領域との区別が意義を発揮して、誤誘引による本体への虫の回避溜着或いは回避漂溜を防ぎ、もって、誘引した捕獲対象虫を確実に吸引捕獲する。以下、実施例とともに各部を詳述する。
【実施例1】
【0022】
実施例1の捕虫器は従来の上部すり鉢状滑落反射板(部分円錐体)を取り除いたものであり、発光誘引手段2、側囲板31、及び上覆板32が、少なくとも外部に面した外表面をそれぞれ誘引色領域とすると共に、残りの本体1、吸引手段4、捕獲網5、下部保護網62、および吊り下げ機構7が、少なくとも外部に面した外表面をそれぞれ非誘引色領域とする。これらはそれぞれ別部品、別塗装されることで、塗り分け塗装の手間が省け、修理、交換、清掃といったメンテナンスの作業性に富むものとなる。
【0023】
(本体1)
端部吸引孔1hを有する本体1は、縦型筒体からなり、図1のような吊り下げフック71、吊り下げ紐72によって吊り下げ設置される。内部には発光誘引手段の少なくとも一部と吸引手段を有する。また上部には側囲板が連結固定され、下部には下部保護網及び捕獲網が取り外し可能に連結固定される。筒体は実施例1のような円筒からなるものでもよく、また四角形、五角形をはじめとする略多角形の筒外形、筒内形を有するものでも良い。また設置状態を図1のような鉛直縦方向の設置にするほか、使用状態に応じて吸引領域を斜めに向けた傾斜設置としても良い。
【0024】
(発光誘引手段2)
発光誘引手段2は、少なくとも捕獲対象虫に対して誘引光を発する誘引光源21を、本体又は側囲板のいずれかの内部に固定されたものとして有する。実施例では誘引光源21たる円形の蛍光管と、この蛍光管を着脱可能に保持する保持枠21aと、円形蛍光管の下方に配置された、蛍光管用の円柱状の安定器22と、安定器22を本体上部ないし側囲板下部の高さに保持固定する安定器保持アーム22aとから構成される。安定器は安定器本体及びグローランプを内部収容すると共に、電源コード9が外部へ接続される。
【0025】
(誘引光源21)
誘引光源21は、管部分の表面が誘引色に塗装された円形の蛍光管からなり、水平管軸として、一本が一段、或いは異径の複数本が複数段設置される。
【0026】
蛍光管保持枠21aは円柱状の安定器22の上部の複数箇所からそれぞれ複数本が上方へ延出し、それぞれ先端に弯曲部分を有した板状体である。先端の弯曲部分が蛍光管に着脱可能に外嵌する。安定器保持アーム22aは円柱状の安定器22の下部から放射状に延出した略水平板であり、固定具22pによって本体1又は側囲板31の内側面へリベット固定される。
【0027】
(側囲板31)
側囲板31は、本体1の上端から先方向へ延長するようにして本体1上部へ連結固定された円筒側板からなる。側囲板31の固定高さは、誘引光源21の設置高さと同一であり、誘引光源2の側周を取り囲んで誘引光源2の外部接触による破損を保護するものとなっている。実施例では下部が連結具によって本体1上部へリベット固定され、高さ方向中央に複数個の側周吸引孔31hを有し、上端に三角形上の上覆板が水平固定されて補強される。
【0028】
(側部吸引孔31h)
側部吸引孔31hは、側部囲板の円筒側面に沿って等間隔にかつ同一高さに形成された、複数の横長の長円形孔からなる。この長円形孔の高さ方向中央位置に誘引光源が設置固定される。側部吸引孔31hはこのほか、鉛直に伸びる棒状の縦桟で区切られて形成された複数の略矩形孔など、任意の形状として得ることができる。また同一高さではなく、側囲板の上部寄り、下部寄りへと互い違いに高さを変えて形成されたものとしても良い。
【0029】
(側部吸引孔31h(誘引光を遮る部分の吸引領域A4化について)
側部吸引孔31hにより、側囲板31の側周を囲うようにして吸引領域A4が形成される(図2、3)とともに、側部吸引孔31hを窓として部分露出する誘引光源21により、光誘引領域A2が形成される。このため、吸引領域A4と光誘引領域A2とが、正面ないし側面視にて重なった状態となる。
【0030】
すなわち、従来のようなすり鉢状の(部分錐体の)反射板を取り外し、かわりに略垂直の円筒側面を有する側囲板31を、誘引光源21の側方を囲うように設けた。この側囲板31は本体1と略同一内径の円筒板からなり、本体1の円筒側面を上方へ延長させるように固定される。また側囲板31には側部吸引孔31hを設け、吸引力が届かない遮光領域を無くすこととした。つまり、誘引光源21の側方を囲う側囲板31によって遮光されると、理論上は誘引光の届かない非誘引領域が誘引光領域A2の直近に発生するのであるが、この誘引光領域A2の直近の非誘引領域を、側部吸引孔31hによってすべて吸引力が届く領域とした。特に実施例の側部吸引孔は、長円状の横長扁平形状をしているため、側囲板31外面のうち、側部吸引孔の周りには、吸引力の巻き込みの気流が生じて、側囲板で覆われた外面部分を確実に吸引領域A4とすることができる。
【0031】
(上覆板32)
上覆板32は、側囲板31の上端にて上覆板固定具によって側囲板31の内側面に水平固定される。ただし実施例1の上覆板32は、吊り下げフック71を上覆板固定具としている。
【0032】
実施例1の上覆板32は、平面視略三角形の外形の水平板からなり、外形よりひと周り小さい平面視三角形の孔を有する。板面が略水平となるように側囲板31の上端に沿って固定される。この上覆板32が側囲板31の内側を亘って蛍光管の上方に固定されることで、蛍光管の上部を保護すると共に、側囲板の形状を保持する補強具としてなる。上覆板32の他の形態として、複数本の棒/板状体を、側囲板の内部へ多角形状/対角線状に組み込んでなるものとしても良い。
【0033】
(吸引手段4)
吸引手段4は、安定器ボックスの下部に接して吊設固定されたモーター43と、本体の中央軸に沿って伸びるモーター43の回転軸42と、回転軸に固定された回転羽根41とによって構成される。モーター電源は上部の安定器ボックス内から供給され、安定器ボックス内へは外部接続された電源コード9から電源供給される。
【0034】
回転羽根41の下端は本体の下端よりも高い位置に固定され、回転羽根が本体よりも下方へ突出しないようになっている。また回転羽根の下方であって本体の下端付近には本体内部を下方から覆うようにして下部保護網62が固設される。
【0035】
(捕獲網5)
捕獲網5は、捕集用の外網を構成する外網袋51と、その内側に固定されて返し内網を構成する内網筒52と、これらの上端の内外にそれぞれ設けられた着脱構造53とから構成される。
【0036】
外網袋51は捕獲対象虫を捕虫しうる小網目の方形網袋である。具体的には、2枚の矩形網板の三方同士を縫合固定して、上端口部が本体1を覆囲する大きさに形成された角型の袋からなり、複数個たる2つの下角部分と2つの下角部分で結ばれた下辺部分とを有する。この下角部分側或いは下辺部分は、編み板同士で比較的小さな狭角を形成するため、捕虫が集まりやすいものとなっている。これら下角部分側或いは下辺部分によって捕虫による大きな目詰まりの発生を抑止している。また外網袋51の少なくとも表面が、捕獲対象虫に対して誘引作用も忌避作用も有さない中間色に塗布されている。下方へ向かって内傾斜した外網袋を通して吸引風が本体1下方から外部へ拡散排出される。
【0037】
内網筒52は捕獲対象虫が通過しうる中網目の部分円錐状の網筒であり、外網袋51内に下方傾斜の返し面を形成することで、一旦捕獲された捕獲対象虫が上部へ上がって本体内へ逃げないようにするものである。具体的には、上端口部が本体1を覆囲する大きさでかつ外網袋51の上端口部の内側に沿う大きさに形成されると共に、下端に向かって小径となると共に、下端に筒孔を有する。筒孔の径は上端口部の径の三分の一ないし二分の一であり、吸引手段による吸引空気が排出される際に、最も風量の大きい中心部分となっている。下方へ向かって内傾斜した内網筒52を通して吸引風の中心を除く周部が、本体1下方から外部放射方向へ拡散排出される。
【0038】
着脱構造53として、外網袋51の上部内面と内網筒52の上部外面、及び、内網筒52の上部内面と本体1の下部外面、或いは、外網袋51の上部内面と本体1の下部外面、及び、外網袋51の上部内面と内網筒52の上部外面は、いずれもそれぞれ第一構造53aと第二構造53bを有する。第一構造53aの面と第二構造53bの面とが互いに対向して着脱可能に面接着或いは掛止接着される。着脱構造53は第一構造53aと第二構造53bとからなる面ファスナーのほか、基材に固定形成された接着層の接着面と被着面とからなる接着構造、掛止構造と被掛止構造とからなる掛止構造、係着具を介して互いに係着される一対の係着構造からなるラインファスナー構造等、任意の着脱機構を採用することができる。
【0039】
(下部保護網62)
本体下部であって吸引手段たる回転羽根及び回転軸の下方には、回転羽根及び回転軸といった高速回転部品との接触を防ぐ下部保護網を備える。具体的には、本体筒内と同じ円形外形の網体を、筒状の本体下端であって保護網との境界付近に貼り付けて水平に固定する。
【0040】
下部保護網は、捕獲対象虫よりも大きな格子状の網目を有する。すなわち、捕獲の対象虫が通過しうると共に、保護網の交換者の手指等が入らないだけの大きさの網目を有し、保護網の取り外し時ないし取り付け時の怪我や事故を予防する。
【0041】
また下部保護網自体を非誘引色或いは中間色に塗布することで、非吸引領域の非誘引色化を効果的に果たすことができる。
【0042】
なお実施例1は上部保護網を有さない。
【0043】
(吊り下げ機構について)
本発明の捕虫器は、吊り下げ機構によって吊り下げて設置される。吊り下げ機構は、吊り下げフック状のピン及び吊り下げ紐からなる。
【0044】
(使用方法)
実施例1の捕虫器は、本体上部に取り付けた誘引光源21によって虫を誘引し、誘引した虫を本体1内部の回転羽根41の回転によって吸い込んで、本体1下方から外部へ吸引空気を排出し、本体下部に取り付けた捕獲網5の外網袋51内に捕集する(図2の太矢印参照)。外網袋51及び逃避防止用としてその内側に取り付けられる円錐型の内網筒52は、着脱構造53によって本体1から取り外して、捕獲した虫の除去や洗浄を行なうことができる。
【実施例2】
【0045】
図7に示す実施例2の捕虫器は、実施例1の上覆板32と異なる形状の上覆板32が設けられる。また実施例1の構成に加えて、上部保護網6が設けられる。具体的には、上覆板32が、三枚の厚手の細板を組み合わせ、三つの長辺を一つ置きに有した平面視略五角形の垂直板からなる。垂直板の短辺部は側囲板31の内周面に接して吊り下げフック71によって固定される。
【0046】
また発光体の下方であって安定器の周側部に、ドーナツ盤状の上部保護網が水平固定される。その他の主な構成は実施例1と同様である。
【0047】
(上部保護網について)
端部吸引孔、側部吸引孔の付近には、捕獲の対象虫よりも大きな捕獲対象外の虫(益虫)の進入を防ぐ上部保護網61を備える。具体的には例えば、本体筒内と同じ円形外形の網体を、測囲板の内側面及び安定器の上面に貼り付けることで、側部吸引孔の下端に沿って水平に固定する。
【0048】
上部保護網は、捕獲対象虫よりも大きな格子状の網目を有する。すなわち、捕獲の対象虫が通過しうると共に、捕獲対象外である益虫が通過しえないだけの大きさの網目を有し、これによって本体上部へ飛来した益虫の通過を遮ることで、益虫を保護する。また上部保護網自体を誘引色に塗布することで、平面視における吸引領域の誘引色化を効果的に果たすことができる。
【実施例3】
【0049】
図8に示す実施例8の捕虫器は、吊り下げ機構に変えて支架機構を有する。支架機構は、本体1の下部にてそれぞれ放射状に突出固定された複数の架台係止部81と、架台掛止部81に上部掛止されて本体1を支える架台82とからなる。
【0050】
また発光体の下方であって安定器の周側部に、円盤状の上部保護網61が固定される。上覆板32は実施例2と同様、三長辺を有した平面視略五角形の垂直板からなる。垂直板の短辺部は側囲板31の内周面に接して固定具32pによってリベット固定される。その他の主な構成は実施例2と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1の捕虫器の使用状態を示す斜視説明図である。
【図2】実施例1の捕虫器およびその吸引領域を示す正面視説明図である。
【図3】実施例1の捕虫器およびその吸引領域を示す平面視説明図である。
【図4】実施例1の捕虫器を示す底面視説明図である。
【図5】図3に示す実施例1の捕虫器の一部詳細構造を省略した側面視A−A線断面説明図である。
【図6】実施例1の捕虫器の捕獲網、下部保護網等を分解した状態を示す斜視分解説明図である。
【図7】本発明の実施例2の捕虫器の使用状態を示す斜視説明図である。
【図8】本発明の実施例3の捕虫器の使用状態を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 本体
1h 端部吸引孔
2 発光誘引手段
21 誘引光源
21a 蛍光管保持枠
22 安定器
22a 安定器保持アーム
22p 安定器固定具
31 側囲板
31h 側周吸引孔
31p 側囲板固定具
32 上覆板
32p 上覆板固定具
4 吸引手段
41 回転羽根
42 回転軸
43 モーター
5 捕獲網
51 外網袋
52 内網筒
53 着脱構造
61 上部保護網
62 下部保護網
71 吊り下げフック
72 吊り下げ紐
81 架台係止部
82 架台
9 電源コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘引した捕獲対象の虫を吸引して捕獲する捕虫器であって、
捕獲対象虫を内部へ吸引するための吸引口を上端側に設けた縦型筒状の本体と、
前記本体の上端の内部に固定され、吸引口を通して本体外部へ誘引光を発することで捕獲対象の虫を吸引口付近へ誘引する発光誘引手段と、
本体の内部に固定され、発光誘引手段によって吸引口付近の吸引領域に誘引されてきた捕獲対象虫を本体の下端側へ吸引する吸引手段と、
前記本体の下端側の先部に固定され、捕獲対象虫を捕獲する捕獲網とを具備してなり、
本体のうち、吸引口周りであって吸引手段による吸引領域と重なる範囲が、捕獲対象虫を誘引しうる誘引色に塗布された誘引色領域となっており、かつ、吸引口周りであって吸引手段による吸引領域と重ならない範囲が、誘引色と異なる非誘引色に塗布された非誘引色領域となっていることを特徴とする捕虫器。
【請求項2】
非誘引色が、捕獲対象虫の誘引作用及び忌避作用のいずれも有さない中間色である請求項1記載の捕虫器。
【請求項3】
誘引色及び非誘引色は共に、捕獲対象虫以外の他の忌避対象虫を忌避する忌避作用を有する請求項1または2記載の捕虫器。
【請求項4】
本体を上端側へ延長する円筒板からなる側囲板を具備し、
前記吸引孔が、側囲板の上端側の先部に設けられた端部吸引孔と、側囲板の周面に沿って等間隔に設けられた複数の側部吸引孔とから構成され、
誘引光源は、この側囲板の内部に固定されることで側方を囲われるとともに、平面視及び正面視にてそれぞれ端部吸引孔及び側部吸引孔から外部に露出してなる請求項1、2または3のいずれか記載の捕虫器。
【請求項5】
側囲板31の上端側の先部であって誘引光源21の上方に、筒状の内側面内を横断して固定された上覆板32を具備してなり、
誘引光源21は、この上覆板32によって上方を覆われる請求項3記載の捕虫器。
【請求項6】
本体の上端側かつ側囲板31の下端側であって誘引光源21の下方に、筒状の側囲板31内部または筒状の本体1内部を塞ぐように固定された上部保護網61を具備してなり、上部保護網61は、捕獲対象虫が通過しかつ捕獲対象虫よりも大きな非捕獲対象虫が遮られる大きさの網目からなる請求項3または4記載の捕虫器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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