説明

捕虫器

【課題】効率良く捕虫することができる上、容易に着脱可能なカートリッジタイプの捕虫器を提供すること。
【解決手段】捕虫器10は、虫を誘引する誘引手段14と、この誘引手段14を支持する第1支持手段15と、この第1支持手段15に着脱可能に設けられるとともに、帯状をなす基材シート26Aの一方の面に接着剤層26Bが積層された捕虫シート26を誘引手段14の近傍に繰り出し可能に支持する第2支持手段27と、この第2支持手段27に設けられて捕虫シート26を巻き取る巻取手段28とを備えて構成されている。第2支持手段27は、誘引手段14を囲む少なくとも3面に接着剤層26Bを表出するように捕虫シート26を繰り出し可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫器に係り、更に詳しくは、捕虫シートの接着剤層に虫を接着して捕獲することができる捕虫器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、食品や粘着シート、精密機械等の製品に虫が混入することを防止するために捕虫器が利用され、かかる捕虫器としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1の捕虫器は、誘虫装置と、これに着脱可能に設けられた捕虫装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−74908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の捕虫器にあっては、光源から光が放射状に発せられているものの、光源を囲む1面でしか捕虫を行えないため、捕虫効率が悪いという不都合を招来する。
また、巻取軸に巻き取り力を付与すべく巻取手段にモータを設けた場合、捕虫装置の重量が増大することとなる。このため、誘虫装置に捕虫装置を着脱する作業負担が増大する他、着脱時の振動によってモータが故障し易くなったり、着脱の度にモータへ電力供給するためのプラグ等を接続しなければならなくなり、作業が増える、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、効率良く捕虫することができる上、容易に着脱可能なカートリッジタイプの捕虫器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、虫を誘引する誘引手段と、この誘引手段を支持する第1支持手段と、この第1支持手段に着脱可能に設けられるとともに、帯状をなす基材シートの一方の面に接着剤層が積層された捕虫シートを前記誘引手段の近傍に繰り出し可能に支持する第2支持手段と、この第2支持手段に設けられて前記捕虫シートを巻き取る巻取手段と備えた捕虫器であって、
前記第2支持手段は、前記誘引手段を囲む少なくとも3面に前記接着剤層を表出するように捕虫シートを繰り出し可能に設けられる、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記第1支持手段には、巻取手段に巻き取り力を付与する駆動手段が設けられ、この駆動手段の出力部に、前記巻取手段の巻取中心部に連結可能な連結手段を設けた、という構成を採ることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誘引手段を囲む少なくとも3面に捕虫シートの接着剤層を表出可能となるので、捕虫シートに効率良く虫を誘引して捕虫することが可能となる。
【0009】
また、第1支持手段側に駆動手段を設けたので、第2支持手段側に駆動手段を設ける必要性をなくすことができ、第2支持手段側の構造の簡略化を図り、軽量化を通じて当該第2支持手段の着脱を容易に行うことができる上、駆動手段の故障の原因をも払拭することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る捕虫器の概略正面図。
【図2】(A)は図1の図1の側方断面図。(B)は、(A)の分解図。
【図3】図1の断面図。
【図4】図1の平面図。
【図5】連結手段の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」は、図1を基準として用いられ、「前」とは同図中手前側、「後」とは、同奥行き側について用いられる。
【0012】
図1〜図5において、捕虫器10は、壁面Wに取り付け可能な第1ユニット11と、この第1ユニット11に着脱可能に取り付けられるカートリッジタイプの第2ユニット12とを備えて構成されている。
【0013】
前記第1ユニット11は、虫を誘引する誘引手段14と、この誘引手段14を支持する第1支持手段15とを備えて構成されている。
【0014】
前記誘引手段14は、図示しない電力源に接続される蛍光灯により構成されている。なお、蛍光灯は、虫を誘引可能な波長の光、例えば紫外線を発光するものが好ましい。
【0015】
前記第1支持手段15は、壁面Wに沿って位置するとともに、誘引手段14が装着されるベースフレーム16と、このベースフレーム16の上端側に設けられた上部フレーム17とを備えている。図4に示されるように、上部フレーム17には、開口18が設けられている。
【0016】
前記ベースフレーム16の下方位置には、駆動手段としてのモータ20が設けられ、このモータ20の出力部としての出力軸20Aに、連結手段21が設けられている。連結手段21は、円錐台形状に形成された挿入体23と、この挿入体23の円錐面に突設された複数のリブ24とを備えている。各リブ24の頂部は尖った形状とされ、後述する紙管に噛み合って連結可能となっている。
【0017】
前記第2ユニット12は、誘引手段14の近傍に繰り出される帯状の捕虫シート26と、この捕虫シート26を誘引手段14の近傍に繰り出し可能に支持する第2支持手段27と、この第2支持手段27に設けられて捕虫シート26を巻き取る巻取手段28とを備えて構成されている。
【0018】
前記捕虫シート26は、帯状をなす基材シート26Aと、この基材シート26Aの一方の面に積層された接着剤層26Bとからなる2層構造になっており、この接着剤層26B側に剥離シート26Cが仮着され、紙管26Dに巻回されている。
【0019】
前記第2支持手段27は、捕虫シート26の後方において前記ベースフレーム16の前面に沿って配置され、開口30Aが形成された後部フレーム30と、捕虫シート26の前方をカバーする前部フレーム31と、これら後部フレーム30及び前部フレーム31の下端側に設けられた底部フレーム32と、後部フレーム30及び前部フレーム31の間に設けられ基材シート26A側に接して捕虫シート26を掛け回す複数のガイドローラ34と、捕虫シート26を支持する支持体35と、この支持体35の近傍に設けられた剥離手段36とを備えている。前部フレーム31の上部前面には、開口18に係合可能なフック部38が設けられている。
【0020】
前記支持体35は、回転軸43によって前部フレーム31に回転可能に支持され、紙管26Dの内周面に圧接する支持軸41と、この支持軸41の前端に設けられた当て板42とを備えている。
【0021】
前記剥離手段36は、支持体35から繰り出された捕虫シート26を上方向に導くガイドローラ45と、剥離シート26Cを下方向へ導く剥離用ローラ46とを備えている。剥離用ローラ46により剥離された剥離シート26Cは、複数のガイドローラ34に掛け回されて巻取手段28へ案内され、捕虫シート26は、各ガイドローラ34に掛け回されて巻取手段28へ案内される。これにより、捕虫シート26は、誘引手段14を囲む右面、上面、左面の3面に繰り出されることとなる。
【0022】
前記巻取手段28は、捕虫シート26及び剥離シート26Cの両方が巻回される紙管26Eの内周面に圧接する巻取軸51と、この巻取軸51の前端に設けられた当て板52と、巻取軸51の当て板52側に設けられて前部フレーム31に回転可能に支持された回転軸53と、この回転軸53に連結された操作ハンドル55とを備え、この操作ハンドル55を回すことで捕虫シート26及び剥離シート26Cの巻き取りを同時に行えるようになっている。巻取手段28は、紙管26E内に連結手段21の挿入体23が挿入される位置に設けられている。なお、巻取軸51と支持軸41とは同径に設けられ、使用済みになった紙管26Dを巻取軸51に取り付けて当該紙管26Dを再利用可能に設けられている。
【0023】
前記捕虫器10を使用するときは、先ず、第1ユニット11から第2ユニット12を取り外した状態で、捕虫シート26を支持体35から所定長さ引き出す。そして、ガイドローラ45の位置で剥離シート26Cを剥離し、各ガイドローラ34に捕虫シート26を掛け回した後、当該捕虫シート26のリード端を紙管26Eに固定する。また、剥離シート26Cも剥離用ローラ46に掛け回した後、そのリード端を紙管26Eに固定する。
【0024】
次いで、図2(B)の二点鎖線で示されるように、第2ユニット12の上部が後方に傾くようにしながらフック部38を開口18に引っ掛け、この引っ掛けた部分を中心として、第2ユニット12の下部を第1ユニット11方向へ回動させる。これにより、第1ユニット11に第2ユニット12が装着されるとともに、同時に巻取手段28の紙管26Eに連結手段21の挿入体23が挿入され、当該紙管26Eに各リブ24が連結される。なお、第2ユニット12は、磁石やプランジャ等の図示しない固定手段によって第1ユニット11に着脱可能に固定される。
【0025】
この装着によって、誘引手段14を囲う左右両面及び上面、すなわち誘引手段14を囲む3面に接着剤層26Bを表出するように捕虫シート26を繰り出し可能に配置することができる。
【0026】
そして、捕虫器10に電源が供給されると、誘引手段14が発光し、その光は、捕虫シート26を透過して外部に発せられ、誘引手段14に誘引されて飛来して来た虫は、接着剤層26Bに接着して捕獲される。
【0027】
そして、一定期間の捕虫が完了すると、操作ハンドル55若しくはモータ20を図1中矢印R1方向に回転させる。これにより、支持軸41に支持された捕虫シート26が図3中矢印R2方向に回転して繰り出され、未使用の捕虫シート26が繰り出される。なお、操作ハンドル55を回転操作するタイミングでモータ20も同時に駆動させるように構成すれば、操作ハンドル55の回転操作に要する力が軽減されるアシスト機能として使用することができる。また、操作ハンドル55はなくてもよい。
【0028】
なお、紙管26Eに巻き取られた捕虫シート26の回収や新しい捕虫シート26をセットする場合、装着の逆の手順で第1ユニット11から第2ユニット12を取り外す。
【0029】
従って、このような実施形態によれば、誘引手段14を囲う左右の各面と上面との3面に捕虫シート26の接着剤層26Bを表出して効率良く捕虫を行うことが可能となる。
また、壁面Wに取り付けられる第1ユニット11にモータ20を設け、連結手段21を介してモータ20の駆動力を巻取手段28に付与できるようにしたので、第2ユニット12の簡略化を図り、第2ユニット12の着脱を容易に行うことができるようになる上、着脱によるモータ20の振動を回避して当該モータ20が故障することを防止することが可能となる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0031】
例えば、誘引手段14は、虫を誘引する作用を奏する限りにおいて種々の変更が可能であり、匂いや音等で誘引可能なものであってもよく、蛍光灯に代替、若しくは、蛍光灯と併用することができる。また、前記蛍光灯に替え、環状の蛍光灯や電球、LED(発光ダイオード)等の他の発光源によって誘引手段14を構成してもよい。
【0032】
更に、巻取手段28を2体設け、使用済みの捕虫シート26と、剥離シート26Cとを別々の巻取手段28で巻き取りしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 捕虫器
14 誘引手段
15 第1支持手段
20 モータ(駆動手段)
21 連結手段
26 捕虫シート
26A 基材シート
26B 接着剤層
27 第2支持手段
28 巻取手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
虫を誘引する誘引手段と、この誘引手段を支持する第1支持手段と、この第1支持手段に着脱可能に設けられるとともに、帯状をなす基材シートの一方の面に接着剤層が積層された捕虫シートを前記誘引手段の近傍に繰り出し可能に支持する第2支持手段と、この第2支持手段に設けられて前記捕虫シートを巻き取る巻取手段と備えた捕虫器であって、
前記第2支持手段は、前記誘引手段を囲む少なくとも3面に前記接着剤層を表出するように捕虫シートを繰り出し可能に設けられていることを特徴とする捕虫器。
【請求項2】
前記第1支持手段には、巻取手段に巻き取り力を付与する駆動手段が設けられ、この駆動手段の出力部に、前記巻取手段の巻取中心部に連結可能な連結手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の捕虫器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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