説明

捻れを防止するステント送達システム、およびそれを装填する方法

【課題】身体管腔への導入に際し捻れることなくステントを正しく展開する新規なステント送達システムを提供する。
【解決手段】ステント送達システムは、圧縮ステントを収容し、そしてブッシャーおよびカテーテル先端を含み、該カテーテル先端は、該プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されている。該プッシャー遠位末端およびカテーテル先端近位末端の少なくとも1個は、ドッキング部分を含み、該ドッキング部分は、該圧縮ステントの一端の限定長に解除可能に係合する。該ドッキング部分は、ポケットを含み得、該ポケットは、張り出し末端リムを有し、該張り出し末端リムは、該ドッキング部分を該外装に装填したとき、放射状に外向きに曲がっており、そして内向きに圧縮されて該ステント末端を握る。
【選択図】図3

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、1999年5月20日に出願された米国特許暫定出願第60/134,971号に基づいて優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、腔内移植片または「ステント」に関し、さらに具体的には、ステント送達システムまたは「導入器」に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ステントとは、腔内壁を支持するのに使用される細長い装置である。狭窄症の場合には、ステントは、狭窄領域において、血液に対して、遮断されていない導管を提供する。このようなステントはまた、その内側または外側において、織物または被覆ライニングの補綴移植層を有し、このような被覆ステントは、一般的に、当該技術分野では、腔内補綴物、腔内または血管内移植片(EVG)、またはステント移植片と呼ばれている。しかしながら、本明細書中で使用する「ステント」との用語は、被覆したまたは被覆していないこのようなステントを意味する略記指示内容である。
【0004】
ステントは、例えば、動脈の弱い部分にかかる圧力を取り除いて破裂の危険を少なくすることにより、血管の動脈瘤を治療するのに使用され得る。典型的には、腔内ステントは、すなわち、いわゆる「侵襲性を最小にした技術」によって、狭窄部または動脈瘤の部位において、腔内的に血管に移植され、ここで、このステントは、外装またはカテーテルにより、放射状に圧縮された形状で拘束され、ステント展開システムまたは「導入器」によって、それが必要な部位に送達される。この導入器は、患者の皮膚を通って、または「切開」術により、身体に入り得、ここで、その入口血管は、僅かな外科的手段により、露出される。この導入器がそのステント展開位置まで身体管腔内に通されるとき、この導入器は、このステントがそれを取り囲む外装またはカテーテルから排出されるように操縦され、ここで、それは、拘束されるか(あるいは、取り囲む外装またはカテーテルは、このステントから後退され)、それから、このステントは、血管内にて、所定直径まで拡大して、この展開位置になり、この導入器が引き出される。ステントの拡大は、バネ弾性、バルーン膨張、または形状記憶材料が熱的または応力誘導で調節前拡大形状に戻る自己拡大により、行われ得る。
【0005】
いまここで、図1Aおよび1Bを参照すると、圧縮ステント14を収容し展開するための従来の予備装着(pre−loaded)ステント送達システム10が示されている。ステント送達システム10は、外装12および従来のプッシャーまたは安定器16(これは、このステントの近位に装填された)を含む。本明細書中で使用する「近位」との用語は、身体の外側のアクセス位置に近い末端を意味するのに対して、「遠位」とは、このアクセス位置から遠いことを意味する。送達システム10はまた、典型的には、その遠位末端でカテーテル先端20を含み、また、身体管腔の外側の近位末端に位置しているプッシャーハンドル25を含む。このカテーテル先端は、中心コア23に装着され、これは、プッシャー16内の中心管腔22を通って延びている。中心コア23は、身体管腔を通ってガイドワイヤ(図示せず)の上で修復領域までこの送達システムを案内し得るか、またはバルーン(もし、適用できるなら)を膨張しおよび/またはこのシステムをフラッシュするように適合されている。この送達システムは、さらに、このシステムを身体管腔を通って蛍光案内するのに使用するために、その中の選択位置で、放射線不透過性マーカーを有し得る。
【0006】
ステント14を展開するために、送達システム10は、身体管腔に通され、ステント展開用の所望位置にされる。次いで、外装12が後退され、そしてプッシャー16は、安定器として作用して、ステント14が外装と共に後退しないようにされる。外装12が後退するにつれて、ステント14は、露出されて、修復する身体管腔に対して、適当な位置に拡大する。このステントは、自己拡大性ステント(例えば、当該技術分野で周知の形状記憶ニチノール(ニッケル−チタン)から製造したステント)であり得、または、これもまた当該技術分野で周知であるように、身体管腔の壁に対して拡大するために、バルーンの膨張が必要であり得る。
【0007】
ステントまたは送達システムの種類にかかわらず、送達システム10のうち圧縮ステント14を収容する部分は、代表的に送達システム10の残りの部分と比較して、大きな質量および剛直性を有する。それゆえ、今ここで、図2を参照すると、蛇行した身体構造に送達システム10を導入するとき、この送達システムの捻れは、このステントおよびプッシャーの両方の剛直性のために、このシステムの領域17(ここでは、プッシャー16およびステント14が境界をなす)で起こり得る。捻れ角「a」に沿った捻れは、圧縮ステント14の剛直性の結果として発生し得るのに対して、捻れ角「b」に沿った捻れは、プッシャー16の剛直性の結果として発生し得る。得られる捻れ角a+bは、従って、圧縮ステント14およびプッシャー16の両方の材料特性に依存している。類似の捻れもまた、ステント14および先端20が境界をなす領域18で起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような捻れは、外装12が曲がる場所で発生する皺15が外装の後退を防止し得るので、ステント14の正しい展開を妨害し得る。このような皺15は、身体管腔の蛇行部分でステント14を展開する場合に問題があるだけでなく、送達システム10を最終的に操縦して管腔の蛇行部分を過ぎ遠隔展開部位に至った後でも、存続し得る。また、ステント14とプッシャー16の間の接触面が断絶すると、このステントの不適当または不正確な展開が起こり得る。捻れが外装12で展開を妨げるような皺15を生じる場合、送達システム10は、身体から後退されて捨てられなければならず、この導入工程は、新しい導入器を使って、再度、開始されなければならない。それゆえ、当該技術分野では、これらのステント送達システムにおいて、このような捻れを防止する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、ステント送達システムを提供し、該ステント送達システムは、圧縮ステントを、身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するように適合されている。該ステント送達システムは、少なくとも1個のドッキング部分を含み、該ドッキング部分は、ポケットを規定しており、該ポケットは、該圧縮ステントの一端の限定長を解除可能に含むように適合されている。1実施形態では、該ステント送達システムは、圧縮ステントを収容し、そしてブッシャーおよびカテーテル先端を含み、該圧縮ステントは、近位末端および遠位末端を有し、そして該プッシャーは、該ステント近位末端に隣接して位置している遠位末端を有し、また、該カテーテル先端は、該ステント遠位末端に隣接して位置している近位末端を有し、そして該プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されている。該プッシャー遠位末端およびカテーテル先端近位末端の少なくとも1個は、ドッキング部分を含み、該ドッキング部分は、該圧縮ステントの一端の限定長に解除可能に係合するように適合されている。該ステント送達システムは、さらに、外装を含み、該外装は、各ドッキング部分、該プッシャーおよび該圧縮ステントの上に横たわっている。
【0010】
前記ドッキング部分は、ポケットを含み、該ポケットは、内壁および外壁を有する環状ポケットを含めて、その中に挿入された前記ステント末端を含むように適合されているか、または軸方向に伸長している係合面であり得、該係合面は、前記ステントの短軸長の内側に伸長している。該ドッキング部分は、一組のフィンガー(例えば、前記ステントの短軸長の内側に伸長している内部セットのフィンガー、該ステントの短軸長の上に伸長している外部セットのフィンガー、またはそれらの組合せであって、該組合せは、該内部および外部セットのフィンガー間で、環状領域を形成する)を含み得る。前記送達システムは、プッシャーおよびカテーテル先端を含み得、該プッシャーは、ドッキング部分を有し、該ドッキング部分は、外向きに放射状に曲がっており、そして該カテーテル先端は、非放射状に外向きに曲がったドッキング部分を有する。
【0011】
1実施形態では、前記ドッキング部分ポケットは、張り出し末端リムを有し、該張り出し末端リムは、該ドッキング部分を前記外装に装填したとき、放射状に外向きに曲がっており、そして放射状に内向きに圧縮されて該ステント末端を握るように適合されている。このようなドッキング部分は、一般に、該張り出し末端リムを圧縮したとき、隘路形状を有し、そして圧縮状態において前記中心コアに対して、該張り出し末端リムにより、内向きに締め付けられ得る。
【0012】
本発明はまた、プッシャーを含み、該プッシャーは、遠位末端を含み、該遠位末端は、ドッキング部分を有し、該ドッキング部分は、その中にポケットを有し、該ポケットは、その中に挿入された圧縮ステントの遠位末端の限定長を解除可能に含むように適合されている。該ドッキング部分は、該プッシャーと一体化されているか、または該プッシャーの付属品であり得る。本発明は、さらに、プッシャーを含み、該プッシャーは、遠位末端を含み、遠位末端は、ドッキング部分を有し、該ドッキング部分は、該圧縮ステントに対して放射状に外向きに曲がっており、それと押し係合で該ステントの近位末端の限定長と解除可能に係合するように適合されている。このような放射状に外向きに曲がったドッキング部分は、ポケットまたはインサートを含み、該ポケットは、その中に前記ステントの近位末端を含むように適合されており、そして該インサートは、前記ステント近位末端内に挿入されるように適合されている。
【0013】
本発明は、さらに、カテーテル先端を含み、該カテーテル先端は、近位末端を有し、該近位末端は、ドッキング部分を含み、該ドッキング部分は、圧縮ステントの遠位末端の限定長を解除可能に係合するように適合されている。該ドッキング部分は、該カテーテル先端またはそれへの付属品と一体化され得る。該カテーテル先端の前記ドッキング部分は、張り出し末端リムを有し、該張り出し末端リムは、該ドッキング部分を前記外装内に装填したとき、放射状に外向きに曲がっており、そして内向きに圧縮されて隘路形状になり中心コアに対して該圧縮ステントを内向きに締め付けるように適合されている。
【0014】
本発明は、さらに、上記ステント送達システムを予備装着する方法を含む。該方法は、以下の工程を包含する:前記ステント近位末端の一部を前記プッシャー遠位末端でプッシャードッキング部分と解除可能に係合することを含めて、少なくとも、該圧縮ステントおよび該プッシャーを外装内に装填する工程、または該ステント遠位末端を前記カテーテル先端近位末端でカテーテル先端ドッキング部分と解除可能に係合する工程、または両方。該プッシャードッキング部分は、放射状に外向きに曲がっているか、またはポケットを規定しているかのいずれかであり、該ポケットでは、該ステント近位末端の該部分が入れられている。該システムが、単に、少なくとも1つのドッキング部分を含み、該ドッキング部分が、ポケットを規定しており、該ポケットが、該圧縮ステントの一端の限定長を解除可能に含むように適合されている場合、該方法は、以下の工程を包含する:該カテーテル先端と該プッシャーとの間で、該中心コアの周りで、該圧縮コアを装填する工程;該ステントの該末端の一方を該ポケットに挿入する工程;および少なくとも、該ステント、中心コア、プッシャーおよび各ドッキング部分を、該外装内に封入する工程。
【0015】
本発明は、さらに、身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置でステントを展開する方法を包含する。該方法は、以下の工程を包含する:予備装着ステント送達システムを上記のように身体管腔に導入する工程;該ステントを展開する所望位置へと該ステント送達システムを操縦する工程;および該外装を後退させて、該ステントを該外装から該所望位置へと展開し、そして該ステントを各ドッキング部分から解除する工程。前記カテーテル先端がドッキング部分を有する場合、該方法は、さらに、前記中心コアおよびそこに装着された該カテーテル先端を遠位に前進させて、該カテーテル先端ドッキング部分からの前記ステントの解除をさらに容易にする工程を包含し得る。
【0016】
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)ステント送達システムであって、上記ステント送達システムは、近位末端および遠位末端を有する圧縮ステントを、身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するように適合されており、上記ステント送達システムは、以下の部分を含む:プッシャーであって、上記プッシャーは、上記ステント近位末端に隣接して位置している遠位末端を有する;およびカテーテル先端であって、上記カテーテル先端は、上記ステント遠位末端に隣接して位置している近位末端を有し、そして上記プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されている;
ここで、上記プッシャー遠位末端およびカテーテル先端近位末端の少なくとも1個は、ドッキング部分を含み、上記ドッキング部分は、上記圧縮ステントの一端の限定長に解除可能に係合するように適合されている、システム。
(項目2)さらに、外装を含み、上記外装が、上記圧縮ステント、上記プッシャーおよび各ドッキング部分の上に横たわっている、項目1に記載のステント送達システム。
(項目3)上記ドッキング部分が、ポケットを含み、上記ポケットが、その中に挿入された上記ステント末端を含むように適合されている、項目2に記載のステント送達システム。
(項目4)上記ポケットが、内壁および外壁を有する環状ポケットである、項目3に記載のステント送達システム。
(項目5)上記ドッキング部分にある上記ポケットが、張り出し末端リムを有し、上記張り出し末端リムが、上記ドッキング部分を上記外装に装填したとき、放射状に外向きに曲がっており、そして内向きに圧縮されて上記ステント末端を握るように適合されている、項目3に記載のステント送達システム。
(項目6)上記ドッキング部分が、上記張り出し末端リムを圧縮したとき、隘路形状を有する、項目5に記載のステント送達システム。
(項目7)上記圧縮ステントが、上記中心コアに対して、上記張り出し末端リムにより、内向きに締め付けられている、項目5に記載のステント送達システム。
(項目8)上記ドッキング部分が、軸方向に配置された係合面を含み、上記係合面が、上記ステントの短軸長の内側に伸長している、項目1に記載のステント送達システム。
(項目9)上記ドッキング部分が、一組のフィンガーを含む、項目1に記載のステント送達システム。
(項目10)以下の少なくとも1個を含む、項目9に記載のステント送達システム:上記ステントの短軸長の内側に伸長している内部セットのフィンガー;上記ステントの短軸長を覆って伸長している外部セットのフィンガー;またはそれらの組合せであって、上記組合せは、上記内部および外部セットのフィンガー間で、環状領域を形成する、システム。
(項目11)上記ドッキング部分が、放射線不透過性マーカーを含む、項目1に記載のステント送達システム。
(項目12)上記ステントが、自己拡大性ステントである、項目1に記載のステント送達システム。
(項目13)
プッシャードッキング部分およびカテーテル先端ドッキング部分を含み、上記プッシャードッキング部分が、放射状に外向きに曲がっており、そして上記カテーテル先端ドッキング部分が、放射状に外向きに曲がっていない、項目1に記載のステント送達システム。
(項目14)プッシャーであって、上記プッシャーは、圧縮ステントが身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するのを容易にするように適合されており、上記プッシャーは、遠位末端を含み、上記遠位末端は、ドッキング部分を含み、上記ドッキング部分は、ポケットを有し、上記ポケットは、その中に挿入された圧縮ステントの近位末端の限定長を解除可能に含むように適合されている、プッシャー。
(項目15)上記ドッキング部分が、上記プッシャーと一体化されている、項目14に記載のプッシャー。
(項目16)上記ドッキング部分が、上記プッシャーの付属品である、項目14に記載のプッシャー。
(項目17)プッシャーであって、上記プッシャーは、圧縮ステントが身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するのを容易にするように適合されており、上記プッシャーは、遠位末端を有し、上記遠位末端は、ドッキング部分を含み、上記ドッキング部分は、上記圧縮ステントに対して放射状に外向きに曲がっており、それと押し係合で上記ステントの近位末端の限定長と解除可能に係合するように適合されている、プッシャー。
(項目18)上記ドッキング部分が、送達外装内に挿入するために、内向きに圧縮されるように適合されている、項目17に記載のプッシャー。
(項目19)上記ドッキング部分が、ポケットを含み、上記ポケットが、その中に挿入された上記ステント近位末端を含むように適合されている、項目17に記載のプッシャー。
(項目20)上記ドッキング部分が、インサートを含み、上記インサートが、上記ステント近位末端内に挿入されるように適合されている、項目17に記載のプッシャー。
(項目21)上記ドッキング部分が、上記プッシャーと一体化されている、項目17に記載のプッシャー。
(項目22)上記ドッキング部分が、上記プッシャーの付属品である、項目17に記載のプッシャー。
(項目23)カテーテル先端であって、上記カテーテル先端は、ドッキング部分を含む近位末端を有し、上記ドッキング部分は、圧縮ステントが身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達している間に、上記ステントの遠位末端の限定長に解除可能に係合するように適合されている、カテーテル先端。
(項目24)上記ドッキング部分が、軸方向に伸長している係合面を含み、上記係合面が、上記カテーテル先端の低減直径部分を含み、上記低減直径部分が、上記ステントの短軸長の内側に伸長している、項目23に記載のカテーテル先端。
(項目25)上記ドッキング部分が、ポケットを含み、上記ポケットが、その中に挿入された上記ステント遠位末端を含むように適合されている、項目23に記載のカテーテル先端。
(項目26)上記ドッキング部分が、上記カテーテル先端と一体化されている、項目23に記載のカテーテル先端。
(項目27)上記ドッキング部分が、上記カテーテル先端の付属品である、項目23に記載のカテーテル先端。
(項目28)上記ドッキング部分が、放射状に外向きに曲がっており、そして送達外装内に挿入するために内向きに圧縮されるように適合されている、項目23に記載のカテーテル先端。
(項目29)ステント送達システムを装填する方法であって、上記ステント送達システムは、近位末端および遠位末端を有する圧縮ステントを身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するように適合されており、上記ステント送達システムは、プッシャーおよびカテーテル先端を含み、上記プッシャーは、上記ステント近位末端に隣接して位置している遠位末端を有し、そして上記カテーテル先端は、上記ステント遠位末端に隣接して位置している近位末端を有し、そして上記プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されており;上記方法は、以下の工程を包含する:以下の少なくとも1個の一部を解除可能に係合することを含めて、少なくとも、上記圧縮ステントおよび上記プッシャーを外装内に装填する工程:上記ステント近位末端であって、上記ステント近位末端は、プッシャードッキング部分を備え、上記ドッキング部分は、上記プッシャー遠位末端にポケットを有し、上記ポケットは、その中に挿入された圧縮ステントの近位末端の限定長を解除可能に含むように適合されている;および上記ステント遠位末端であって、上記ステント遠位末端は、上記カテーテル先端の近位末端において、カテーテル先端ドッキング部分を備えている;またはそれらの組合せ。
(項目30)上記カテーテル先端ドッキング部分を備えた上記ステント遠位末端の上記部分を解除可能に係合する工程が、上記カテーテル先端ドッキング部分を上記ステント遠位末端の内側に挿入する工程を包含する、項目29に記載の方法。
(項目31)ステント送達システムを装填する方法であって、上記ステント送達システムは、近位末端および遠位末端を有する圧縮ステントを身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するように適合されており、上記ステント送達システムは、プッシャーおよびカテーテル先端を含み、上記プッシャーは、上記ステント近位末端に隣接して位置している遠位末端を有し、そして上記カテーテル先端は、上記ステント遠位末端に隣接して位置している近位末端を有し、そして上記プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されており;上記方法は、以下の工程を包含する:以下の少なくとも1個の一部を解除可能に係合することを含めて、少なくとも、上記圧縮ステントおよび上記プッシャーを外装内に装填する工程:上記ステント近位末端であって、上記ステント近位末端は、プッシャードッキング部分を備え、上記ドッキング部分は、上記プッシャー遠位末端において、上記圧縮ステントに対して放射状に外向きに曲がっている;上記ステント遠位末端であって、上記ステント遠位末端は、カテーテル先端ドッキング部分を備えている;またはそれらの組合せ。
(項目32)上記プッシャーに上記ドッキング部分を備えた上記ステント近位末端の上記部分を解除可能に係合する工程が、上記ステント近位末端を、上記プッシャーの上記ドッキング部分にあるポケット内に挿入する工程を包含する、項目31に記載の方法。
(項目33)上記カテーテル先端ドッキング部分を備えた上記ステント遠位末端の上記部分を解除可能に係合する工程が、上記カテーテル先端ドッキング部分を上記ステント遠位末端の内側に挿入する工程を包含する、項目32に記載の方法。
(項目34)身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置でステントを展開する方法であって、上記方法は、以下の工程を包含する:a)予備装着ステント送達システムを身体管腔に導入する工程であって、上記ステント送達システムは、近位末端および遠位末端を有する圧縮ステントを収容し、そしてプッシャーおよびカテーテル先端を含み、上記プッシャーは、上記ステント近位末端に隣接して位置している遠位末端を有し、そして上記カテーテル先端は、上記ステント遠位末端に隣接して位置している近位末端を有し、そして上記プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されており、上記プッシャー遠位末端およびカテーテル先端近位末端の一方または両方は、ドッキング部分を含み、上記ドッキング部分は、上記圧縮ステントの一端の限定長と解除可能に係合し、上記ステント送達システムは、さらに、外装を含み、上記外装は、上記圧縮ステント、上記プッシャーおよび各ドッキング部分の上に横たわっている;
b)上記ステントを展開する所望位置へと上記ステント送達システムを操縦する工程;およびc)上記外装を後退させて、上記ステントを上記外装から上記所望位置へと展開し、そして上記ステントを各ドッキング部分から解除する工程。
(項目35)上記少なくとも1個のドッキング部分が、上記ステント末端を受容するポケットを含み、そして上記工程(c)が、上記ポケットから上記ステントを排出する工程を包含する、項目34に記載の方法。
(項目36)上記ステント末端を受容する上記少なくとも1個のドッキング部分ポケットが、末端リムを有し、上記末端リムが、上記ドッキング部分を上記外装に装填したとき、放射状に外向きに曲がっており、そして内向きに圧縮されて上記ステント末端を握るように適合されており、ここで、上記工程(c)が、さらに、上記ポケットからの上記ステントの排出中に、外向きに拡大している上記末端リムを含む、項目35に記載の方法。
(項目37)上記少なくとも1個のドッキング部分が、直径低減部分を含み、上記直径低減部分が、上記ステント末端内で挿入するように適合されており、そして上記工程(c)が、上記直径低減部分から離れて拡大している上記ステントを含む、項目34に記載の方法。
(項目38)上記カテーテル先端が、上記ドッキング部分の1個を含み、そして上記工程(c)が、さらに、上記中心コアおよびそこに装着された上記カテーテル先端を遠位に前進させて、上記カテーテル先端ドッキング部分からの上記ステントの解除をさらに容易にする工程を包含する、項目34に記載の方法。
(項目39)ステント送達システムであって、上記ステント送達システムは、圧縮ステントを、身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するように適合されており、上記圧縮ステントは、近位末端および遠位末端を有し、上記ステント送達システムは、少なくとも1個のドッキング部分を含み、上記ドッキング部分は、ポケットを規定しており、上記ポケットは、上記圧縮ステントの一端の限定長を解除可能に含むように適合されている、システム。
(項目40)ステント送達システムを装填する方法であって、上記ステント送達システムは、圧縮ステントを、身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するように適合されており、上記ステントは、遠位末端および近位末端を有し、上記ステント送達システムは、プッシャー、カテーテル先端、少なくとも1個のドッキング部分、および外装を含み、上記カテーテル先端は、上記プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されており、上記ドッキング部分は、ポケットを規定しており、上記ポケットは、上記圧縮ステントの一端の限定長を解除可能に含むように適合されており;上記方法は、以下の工程を包含する:上記カテーテル先端と上記プッシャーとの間で、上記中心コアの周りで、上記圧縮ステントを装填する工程;上記ステントの上記末端の一方を上記ポケットに挿入する工程;および少なくとも、上記ステント、中心コアプッシャー、および各ドッキング部分を、上記外装内に封入する工程。
(項目41)身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置でステントを展開する方法であって、上記ステントは、遠位末端、近位末端、圧縮形状、および拡大形状を有し、上記方法は、以下の工程を包含する:a)予備装着ステント送達システムを身体管腔に導入する工程であって、上記ステント送達システムは、上記圧縮形状で上記ステントを収容し、そしてプッシャー、カテーテル先端、少なくとも1個のドッキング部分、および外装を含み、上記カテーテル先端は、上記プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されており、上記ドッキング部分は、ポケットを規定しており、上記ポケットは、上記圧縮ステントの一端を解除可能に含み、そして上記外装は、上記圧縮ステント、上記プッシャーおよび各ドッキング部分の上に横たわっている;
b)上記ステントを展開する所望位置へと上記ステント送達システムを操縦する工程;
c)上記外装を後退させて、上記ステントの少なくとも一部を上記展開位置で上記拡大形状で展開する工程;およびd)各ポケットから、上記ポケットに含まれる上記ステントの上記末端を解除する工程。
上述の一般的な記述および以下の詳細な説明の両方は、代表的なものであり、本発明を限定するものではないことが理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、従来技術の代表的なステント送達システムの長手軸方向の断面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの拡大部分である。
【図2】図2は、そのシステムに沿って剛性が変わるために捻れた状態での従来技術の代表的なステント送達システムの長手軸方向の断面図である。
【図3】図3は、本発明の代表的なステント送達システムの一部の縦断面図であり、これは、このステントを、そのカテーテル先端およびプッシャーの両方のドッキング部分ポケットに挟んだ圧縮状態で示している。
【図4】図4は、図3のプッシャーの長手軸方向の断面図であり、これは、その外装を後退した後、展開状態で示されている。
【図5】図5は、本発明に従ってステントを展開する代表的な方法を描写しているフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の代表的なドッキング部分の縦断面図であり、これは、このステントを圧縮状態で示しており、プッシャードッキング部分およびカテーテルドッキング部分は、それらの末端に挿入されている。
【図7A】図7Aは、一組のフィンガーを含む本発明の代表的なドッキング部分の末端図である。
【図7B】図7Bは、一組のフィンガーを含む本発明の代表的なドッキング部分の側面図である。
【図8A】図8Aは、環状ポケットを含む本発明の代表的なドッキング部分の末端図である。
【図8B】図8Bは、環状ポケットを含む本発明の代表的なドッキング部分の側面図である。
【図8C】図8Cは、本発明の代表的なドッキング部分の末端図であり、これは、複数のフィンガーにより規定される環状ポケットを含むドッキング部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
いまここで、図面(ここで、同じ参照番号は、初めから終わりまで、同じ要素を意味する)を参照すると、図3〜4は、本発明の代表的なステント送達システム10’を図示しており、これは、代表的なドッキングプッシャー16’およびドッキングカテーテル先端20’を有する。図3で示すように、ステント送達システム10’は、外装12、中心管腔22、および中心コア23を含み、これは、当該技術分野で公知の送達システムと類似している。本明細書中で使用する「システム」との用語は、完成アセンブリ(これは、ステントを展開できる)またはサブアセンブリ(これは、他の部品と組み合わせたとき、ステントを展開できる)の両方を包含すべきである。ドッキングプッシャー16’およびカテーテル先端20’は、しかしながら、それぞれ、ドッキング部分42および42’を含み、各ドッキング部分は、それぞれ、ポケット40および40’を有する。プッシャー遠位末端28に位置しているドッキング部分42は、圧縮ステント14の近位末端30を保持するように適合されているのに対して、カテーテル先端近位末端29に位置しているドッキング部分42は、圧縮ステント14の遠位末端31を保持するように適合されている。ドッキング部分42または42’は、プッシャー16’に関して図3および4で示すように、それぞれ、プッシャー16’またはカテーテル先端20’に接続された別個の部分であり得るか、またはカテーテル先端20’に関してこれらの図面で示すように、このプッシャーまたはカテーテル先端の残りと一体化された中空部分であり得る。他のドッキング部分の形状またはこの圧縮ステント末端をプッシャーまたはカテーテル先端に係合する手段もまた、以下で記述するように、使用され得る。
【0019】
「プッシャー」との用語は、本明細書中では、至る所で使用されているが、このような装置はまた、当該技術分野では、「安定器」を意味する。何故なら、このステントを展開する方法は、実際には、その外装からステントを「押し出す」のではなく、この外装を後退させている間に、ステントを「安定化」させる(それが移動するのを防止する)ことを包含するからである。それゆえ、本明細書中での「プッシャー」との用語の使用は、当該技術分野で公知の任意の展開方法に適合されたこのような装置(安定器としてを含めて)を意味し、また、「プッシャー」との用語は、その限定として解釈されない。
【0020】
ドッキングプッシャー16’およびドッキングカテーテル先端20’は、一定量の圧縮ステント14がポケット40または40’の内側で実際にドッキングまたは支えられてステントとプッシャーまたはカテーテル先端との間での滑らかな移行を作り出すので、身体管腔での捻れを克服する。このプッシャーおよびステントおよび/またはカテーテル先端およびステントは、このようなドッキングされた形状では、それゆえ、剛直性が弱い任意の領域をできるだけ少なくして捻れを防止することにより、身体管腔での蛇行した身体構造で操縦しつつ、それらの各境界点で共に移動する。
【0021】
それに加えて、プッシャー16’にあるドッキング部分42のリム44がステント14を握る限り、このステントは、一旦、部分的に展開されても、「再捕捉」または「回収」され得る。例えば、もし、医学専門家が、部分的に展開したステント14を再配置する必要があると決定するなら、プッシャー16’は、外装12内で引き戻され得るか、または外装は、前進されて、部分的に展開されたステントを回収し得る。次いで、この展開工程は、初めからやり直すことができる。このステントを解除可能に係合する他の手段を有する他の実施形態は、類似の再捕捉性能を与え得る。
【0022】
また、ステント14とプッシャー16’との間でドッキングした配置のために、このステントは、プッシャーが押出方向で力を伝達できるにすぎない従来の展開システムとは異なり、展開前および展開中の両方で、回転され、押され、または引かれ得る。例えば、このステントの構造が身体管腔の特定部分(例えば、身体管腔の蛇行部分と整列するステントの特に可撓性の部分)と整列するように向けた特定の特徴を有する場合、このステントは、この整列を生じるように、回転され、押され、または引かれ得る。それに加えて、図3で示す構造(この場合、ドッキング部分42は、中心コア23に対して、ステント14を締め付ける)では、摩擦を生じ、ドッキングしていない従来の構造と比較して、この送達システムの内側でのステントの不要な運動が少ない。それに加えて、このカテーテル先端でドッキング部分を使用すると、このステントの遠位末端を所定位置で設置し易くなり得る。
【0023】
図3で示すように、ステント14は、プッシャー16’のドッキング部分42のポケット40内で保持され、そして末端リム44により、内向きに締め付けられる。外装12内で圧縮されるとき、ドッキング部分42は、リム44の内向き突出部48(これは、図3で示すように、ポケット40の残りの部分よりも直径が小さい頸部を規定する)により作られる隘路形状を有する。ドッキング部分42の末端リム44は、それゆえ、規定の放射状外向きバイアスを有し、これは、身体に導入している間、圧縮されて、外装12の壁内に拘束されている。図4で示すように、一旦、その標的ゾーンに達すると、外装12は、後退される。外装12がドッキング部分42の末端リム44を超えて後退されるとき、リム44は、跳ね返って開き、外向きに張り出した形状になり、ステント14の近位末端30を解除する。従って、ドッキング部分42は、任意の材料(例えば、ステンレス鋼)から構成され得、これは、圧縮されたときに内向きに締め付けられ外装を後退したときに跳ね返って開くのに必要な「跳ね返り性」を備えた張り出し末端リム44を提供する。図4では、プッシャードッキング部分42に関して図示しているものの、この外向きに張り出した形状はまた、カテーテル先端ドッキング部分42’に適用できる;しかしながら、図3で示すように、以下で記述するように、外向きに張り出していない円筒形状が好ましい。
【0024】
外装12内で圧縮したときに隘路形状を有し外装内に収容していないときに放射状に張り出して外向きに曲がっている代わりに、カテーテル先端20’におけるドッキング部分42’の末端リム44’は、円筒形状であり、単に摩擦係合で、ポケット40’内でステント14を保持できる。外装12を後退してステント14を展開する前に、中心コア23およびそこに装着した先端20’は、ある場合には、このステントがポケット40’から外れるように、遠位に前進される必要があり得る。このような放射状に曲がっていないポケットはまた、プッシャー16’のドッキング部分42に設けられ得る。このような場合には、ステント14は、部分的に展開されて、身体管腔の壁に係留され得るが、このステントは、ステントの場所を変えることなく、ステントを非張り出しポケット内から外すようにプッシャー16’を後退できるのに十分な摩擦抵抗を身体管腔に対して有する。
【0025】
外装12の後退前にカテーテル先端20’を前進させる工程はまた、ドッキング部分42’が放射状に曲がった末端リム(図示せず)を含む場合、ステントの送達を容易にするように実行され得る。カテーテル先端20’上のこのような放射状に曲がった末端リムは、しかしながら、外装12の内側で末端リムを再圧縮する何らかの機構がないなら、展開後に身体管腔から後退させるように送達システム10’を作製するのが困難となる。この放射状に曲がった末端リムを外装の内側でこのように再圧縮すること(例えば、これは、単に、このプッシャーを後退させて末端リム44を外装12の内側に引き戻すことにより、プッシャー16’に関して、可能である)なしでは、この放射状に曲がった末端リムは、後退中において、このカテーテル末端で、この送達システムの流線形状から突出し得、そして身体管腔に損傷を与え得る捕獲点を生じ得る。それゆえ、放射状に曲がっていない末端リム44’が、カテーテル先端20’に好ましい。
【0026】
ドッキング部分42は、このプッシャーの末端の放射線撮影の「視覚」を高めるために、また、ステント44の近位末端上での類似のマーカー(図示せず)と組み合わせるとき、ステント14がプッシャー16’から外れるにつれてプッシャーおよびステントの相対的な移動を視覚化するために、放射線不透過性マーカー46を含み得る。カテーテル先端ドッキング部分42’およびステント遠位末端(図示せず)においても、類似の目的のために、類似のマーカー46が設けられ得る。本明細書中で使用する「放射線不透過性マーカー」は、周囲の領域と比較して、異なる放射線不透過性の任意の別個の領域を包含する。
【0027】
プッシャードッキング部分、カテーテル先端ドッキング部分、ステント送達システム、およびこのようなプッシャーおよび/またはカテーテル先端を組み込む方法は、上で具体的に記述した以外の多種多様な形態をとり得る。特定のステント送達システムは、プッシャードッキング部分だけ、カテーテル先端ドッキング部分だけ、または両方を含み得る。任意のこのようなドッキング部分の本質は、それが、一定様式で、一定の軸長にわたって、このステントの末端を解除可能に係合することにあり、それにより、その係合は、ステントを展開すると、解除可能となる。「解除可能に係合する」との用語は、このドッキング部分とステントとの間の係合が永久的ではなく、むしろ、このステントがその外装を後退させたときかプッシャーまたはカテーテル先端をステントから離れて前進または後退したときにドッキング部分から解除可能でありという意味で、解除可能であることを意味する。このプッシャードッキング部分は、放射状に外向きに曲げられているか、またはステント近位末端の一部が入っているポケットを規定する。
【0028】
本発明のドッキング部分で係合されたステントの長さは、このステントが設計された蛇行性にもかかわらず、押し係合を維持するために、そのステントの直径および可撓性だけでなく、その展開中に横切る管腔の蛇行性を考慮して、十分に長くするべきである。このような押し係合により、例えば、このプッシャーからステントへとまたはステントからカテーテル先端へと加えられる押圧力の伝達が可能になる。このドッキング部分で係合されるステントの長さは、十分に短いが、そして/または放射状張り出し角α(図4で示すように)は、外装12を後退したとき、ステント14の確実な解除を容易にするために、十分に大きい。個々のドッキング部分の設計の寸法的および機械的な特徴は、当業者により、容易に決定し得る。
【0029】
特に、このドッキング部分は、軸方向に伸長している係合面を含み得、これは、その内面または外面のいずれかにおいて、ステントの短軸長にわたって伸長している。このような面は、先に記述し図3および4で示したポケット40の内部を規定し得るか、または図6で示すように、そのステント末端を係合するためにステント末端内に挿入するように適合されたインサートを規定し得る。
【0030】
図6で示すように、カテーテル先端120のドッキング部分142’は、カテーテル120の直径低減部分(すなわち、インサート)であり、これは、圧縮ステント14の遠位末端31内に嵌る。プッシャー116のドッキング部分142は、圧縮ステント14の近位末端30内に嵌り、そして放射状に外向きに曲がって、外装12に対してステント14を堅く保持する。展開外装12の内面に対してステント近位末端29を放射状に押し付ける外向きのこのような曲がりにより、プッシャー116およびステント14は、一方を他方から引き離すことなく、さらに容易に移動できるようになる。単に直径低減部分だけを有するドッキング部分142’は、カテーテル先端120に関して図6で図示されているのに対して、放射状に外向きに曲がったドッキング部分142は、プッシャー116に関して図示されているものの、いずれかの形状は、このカテーテル先端およびプッシャーの両方に適用できる。しかしながら、上記のように、曲がっていない形状は、一般に、送達システムの後退を容易にするために、このカテーテル先端において、好ましい。
【0031】
図7Aおよび7Bで示す他の代表的な実施形態では、プッシャー216のドッキング部分242は、一組のフィンガー244の形状で、係合手段を含み得る。フィンガー244は、図7Aおよび7Bで示すように、このステントを取り囲むように適合されたポケットを規定し得る。今ここで、図8Aおよび8Bを参照すると、さらに他の実施形態では、プッシャー316のドッキング部分342は、内壁341と外壁343との間の環状ポケット(これは、このステント近位末端(図示せず)を挿入するように適合されている)の形状で、ポケット340を含有し得る。内壁341は、中空または中実シリンダーを規定し得るか、またはこのステント内に挿入するフィンガーの形状であり得る。外壁343は、図8Aおよび8Bで示すように、中実であり得るか、または外部フィンガーの形状であり得る。図8Cで示すように、他の実施形態は、複数の内部フィンガー441および外部フィンガー443を含み得、これらは、それぞれ、この内壁および外壁を規定している。他の実施形態(図示せず)は、内部フィンガー441だけを含み得る。このような内部フィンガー、外部フィンガー、またはそれらの組み合わせは、放射状に外向きに曲げられ得る。ドッキング部分242、342および442は、プッシャーに関して、図7A〜8Bで記述され示されているものの、類似のドッキング部分形状は、カテーテル先端に対して設けられ得る。
【0032】
本発明はまた、図3および4に関連して以下で記述するように、ステント送達システムを予備装着する方法を含む。この方法は、少なくとも、圧縮ステント14およびプッシャー16’を外装12内に装填する工程を包含し、これは、ステント近位末端30の一部をプッシャー16’の遠位末端28でドッキング部分42と解除可能に係合する工程、ステント遠位末端31をカテーテル先端20’近位末端29でドッキング部分42’と解除可能に係合する工程、またはそれらの組合せを含む。この方法は、対応しているステント末端30または31の一部をドッキング部分42または42’のポケット40内に配置する工程を含み得る。
【0033】
本発明は、さらに、図5で描写したフローチャートならびに図3および4で示した図面に従ってステントを展開する方法を包含する。この方法は、工程100において、予備装着ステント送達システム10’を身体管腔に導入する工程を包含する。送達システム10’は、圧縮ステント14(これは、近位末端30および遠位末端31を有する)、プッシャー16’(これは、遠位末端28を有する)、カテーテル先端20’(これは、近位末端29を有し、プッシャー16’内に滑り可能に配置された中心コア23に装着されている)を含む。プッシャー16’またはカテーテル先端20’の少なくとも1個は、ドッキング部分42または42’を有し、これには、このステント末端をその一定長にわたって、例えば、ステント末端がその中に配置されたポケット40および/または40’と解除可能に係合するように、適合されている。外装12は、圧縮ステント14、プッシャー16’、および各ドッキング部分42および/または42’の上に横たわっている。次に、工程105では、このステント送達システムは、ステント14を展開する所望位置まで操縦され、最終的に、工程110にて、外装12は、後退されて、このステントは、この外装から、ならびにドッキング部分42および/または42’から展開されて、所望位置に入る。カテーテル先端20’がドッキング部分42’を有する場合、この方法は、さらに、外装12を後退させる前に、中心コア23およびそこに装着されたカテーテル先端20’を前進させて、このドッキング部分からのステント14の解除をさらに容易にする工程を包含し得る。ポケット40が、図3および4で示すように、末端リム44(これは、外装12内に装填したとき、放射状に外向きに曲がっており、そして内向きに圧縮されてステント末端を握るように適合されている)を有する場合、この方法は、さらに、このステントをポケットから排出している間、外向きに拡大する末端リムを含み得る。図6で示すように、ドッキング部分142および/または142’が、ステント14の末端内に挿入するように適合された直径低減ドッキング部分を含む場合、この方法は、さらに、この直径低減部分から離れて拡大しているステントを含み得る。
【0034】
本発明は、その特定の実施形態に関連して記述されているものの、それは、それらに限定されない。従って、前記特許請求の範囲は、記述した特定の実施形態だけでなく、それらの本質的な教示を具体化するそれらの種々の改良および変更を含むと解釈される。
【0035】
本発明は、添付の図面と関連して読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解できる。通例の慣行に従って、この図面の種々の特徴は、縮尺どおりではないことを強調しておく。これに反して、種々の特徴の寸法は、明瞭にするために、任意に拡大または縮小されている。この図面には、以下の図が含まれている。
【符号の説明】
【0036】
10’ ステント送達システム
12 外装
14 ステント
16’ ドッキングプッシャー
20’ ドッキングカテーテル先端
22 中心管腔
23 中心コア
28 プッシャー遠位末端
29 カテーテル先端の近位末端
30 ステント近位末端
40、40’ ポケット
42、42’ ドッキング部分
44、44’ リム
46 放射線不透過性マーカー
48 リムの内向き突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステント送達システムであって、該ステント送達システムは、近位末端および遠位末端を有する圧縮ステントを、身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するように適合されており、該ステント送達システムは、以下の部分を含む:
プッシャーであって、該プッシャーは、該ステント近位末端に隣接して位置している遠位末端を有する;
カテーテル先端であって、該カテーテル先端は、該ステント遠位末端に隣接して位置している近位末端を有し、そして該プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されている;ここで、該プッシャー遠位末端およびカテーテル先端近位末端の少なくとも1個は、ドッキング部分を含み、該ドッキング部分は、該圧縮ステントの一端の限定長に解除可能に係合するように適合されており、
該ドッキング部分が内壁および外壁を有する環状ポケットを備える、ステント送達システム。
【請求項2】
ステント送達システムであって、該ステント送達システムは、近位末端および遠位末端を有する圧縮ステントを、身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するように適合されており、該ステント送達システムは、以下の部分を含む:
プッシャーであって、該プッシャーは、該ステント近位末端に隣接して位置している遠位末端を有する;
カテーテル先端であって、該カテーテル先端は、該ステント遠位末端に隣接して位置している近位末端を有し、そして該プッシャー内に滑り可能に配置された中心コアに装着されている;
ここで、該プッシャー遠位末端およびカテーテル先端近位末端の少なくとも1個は、ドッキング部分を含み、該ドッキング部分は、該圧縮ステントの一端の限定長に解除可能に係合するように適合されており、
外装を含み、該外装が、該圧縮ステント、該プッシャーおよび各ドッキング部分の上に横たわっており、
該ドッキング部分が、ポケットを含み、該ポケットが、その中に挿入された該ステント末端を含むように適合されており、
前記ドッキング部分が、一組のフィンガーを含む、ステント送達システム。
【請求項3】
以下の少なくとも1個を含む、請求項に記載のステント送達システム:前記ステントの短軸長の内側に伸長している内部セットのフィンガー;該ステントの短軸長を覆って伸長している外部セットのフィンガー;またはそれらの組合せであって、該組合せは、該内部および外部セットのフィンガー間で、環状領域を形成する、ステント送達システム。
【請求項4】
プッシャードッキング部分およびカテーテル先端ドッキング部分を含み、該プッシャードッキング部分が、放射状に外向きに曲がっており、そして該カテーテル先端ドッキング部分が、放射状に外向きに曲がっていない、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項5】
ステント送達システムであって、該ステント送達システムは、圧縮ステントを、身体管腔の外側の近位アクセス位置から身体管腔の内側の遠位展開位置へと送達するように適合されており、該圧縮ステントは、近位末端および遠位末端を有し、該ステント送達システムは、少なくとも1個のドッキング部分を含み、該ドッキング部分は、ポケットを規定しており、該ポケットは、該圧縮ステントの一端の限定長を解除可能に含むように適合されている、ステント送達システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2009−66453(P2009−66453A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2040(P2009−2040)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【分割の表示】特願2000−619372(P2000−619372)の分割
【原出願日】平成12年5月19日(2000.5.19)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】