説明

掃除具及び掃除方法

【課題】 調理器具等の被掃除体に固着した油分を含んだ汚れを容易に取り除くことができる掃除具を提供する。
【解決手段】 掃除具1は、シート状の不織布3と、モース硬度が9の研磨材を含み、不織布3の一方面上に島状に形成された研磨層2と、研磨層2を覆うように形成された洗浄層4とを備えている。研磨層2は、研磨材と接着剤とを混合し、不織布3の一方面に塗布され、洗浄層4は界面活性剤とバインダーとの混合物溶液を塗布、乾燥させることによって形成されている。掃除具1の使用時には、水等に付けて汚れを擦り取るようにすると、洗浄層4の界面活性剤で汚れの油分が除去され、研磨層2に含まれている研磨材によって汚れが容易に取り除かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、掃除具及び掃除方法に関し、特に調理器具等に固着した油分を含んだ汚れを取り除くための掃除具及び掃除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器具の汁受けリング、五徳等の金属部には、調理時のふきこぼれや油ハネなどによって付着した汚れが焦げ付きやすいが、一旦汚れが固着してしまうと、普通に洗っただけでは落とすのが困難である。
【0003】
そこで、このような固着した汚れを除去するための掃除具として、幅1〜2mm程度のリボン状の金属箔を複数絡み合わせて形成された金タワシや、合成繊維で編んだクロス、研磨材としてアルミナを付着させたスポンジが利用されている。
【0004】
これらの掃除具は、そのままで、あるいは水等をつけて、固着した汚れを擦り取るようにして使用されるものである。
【0005】
一方、特許文献1及び特許文献2に示されているように、不織布に研磨剤が塗布された掃除具が提案されている。
【0006】
又、特許文献3に示されているように、スポンジ、不織布当の柔軟な多孔質素材の中の多孔空隙部に固体洗剤粒が保持された洗浄用素材が提案されている。
【0007】
更に、特許文献4に示されているように、不織布の片面又は両面に不織布と一体化した洗剤入りプルラン層が存在する使い捨て洗浄布が提案されている。
【特許文献1】特開2005−066324号公報
【特許文献2】特開2006−055300号公報
【特許文献3】実用新案登録第3109206号公報
【特許文献4】実開昭64−23972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような金タワシや特許文献1及び特許文献2の掃除具を使用した場合、五徳に付着した汚れに対しては油分によって掃除具が滑ってしまい汚れを十分に取り除けない。即ち、調理器具等の焦げ付き汚れは主に油汚れが酸化及び炭化したものが多いため、その表面は油で覆われていることが多いからである。
【0009】
又、特許文献3及び特許文献4の掃除具を使用した場合、油分は洗浄除去できても固着した汚れは十分に除去できない。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、調理器具等の被掃除体に固着した油分を含んだ汚れを容易に取り除くことができる掃除具及び掃除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、調理器具等に固着した汚れを取り除くためのシート状の掃除具であって、シート形状の不織布と、モース硬度が9の研磨材を含み、不織布の少なくとも一方面に形成された研磨層と、研磨層の上に形成された界面活性剤を含む洗浄層とを備えたものである。
【0012】
このように構成すると、洗浄層によって油分が除去された汚れが研磨層によって削り取られる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、研磨層は、不織布の上に島状に形成され、洗浄層は、研磨層の全体を覆うように形成されるものである。
【0014】
このように構成すると、各島状の部分の研磨層の上端端部が角になる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、研磨材の粒径は、5μm以上であり、研磨層は、研磨材の付着量が5g/m以上であり、洗浄層は、界面活性剤の付着量が1g/m以上で且つ100g/m以下となるように形成されるものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、研磨材の粒径は、10μm以上であり、研磨層は、研磨材の付着量が10g/m以上であり、洗浄層は、界面活性剤の付着量が1g/m以上で且つ100g/m以下となるように形成されるものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、調理器具等に固着した汚れを取り除くためのシート状の掃除具であって、シート形状の不織布と、モース硬度が9の研磨材と界面活性剤とが、その上面が整列するようにして不織布の少なくとも一方面に形成されたものである。
【0018】
このように構成されると、界面活性剤による油分の除去と研磨材による汚れの削り取りとが同時に行われる。
【0019】
請求項6記載の発明は、調理器具等に固着した汚れを取り除くための掃除方法であって、汚れを界面活性剤によって洗浄する工程と、洗浄された汚れを研磨剤によって除去する工程とを備えたものである。
【0020】
このように構成すると、洗浄層によって汚れの油分が除去された後、汚れが研磨層によって削り取られる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、洗浄層によって油分が除去された汚れが研磨層によって削り取られるので、効率的に汚れが除去される。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、各島状の部分の研磨層の上端端部が角になるので、エッジ効果によって研磨層による汚れ除去効果が高まる。
【0023】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、汚れ除去効果がより向上する。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、汚れ除去効果がより完全となる。
【0025】
請求項5記載の発明は、界面活性剤による油分の除去と研磨材による汚れの削り取りとが同時に行われるので、汚れが迅速に除去される。
【0026】
請求項6記載の発明は、洗浄層によって汚れの油分が除去された後、汚れが研磨層によって削り取られるので、汚れの除去が安定して行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、この発明の第1の実施の形態による掃除具の概略構成を示した平面図であり、図2は、図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【0028】
これらの図を参照して、掃除具1は、シート形状の不織布3と、不織布3の一方面上に島状に形成された研磨層2と、研磨層2を覆うように形成された洗浄層4とから構成されている。研磨層2の各部分は平面視で正六角形形状をしており、互いに隣接するようにして全体としてハニカム状に配置されている。正六角形形状の幅Wは4〜5mm程度であり、隣接する正六角形形状同士の隙間Lは1mm程度に設定されている。研磨層2の形状についての利点については後述する。
【0029】
不織布3の材質は、特に限定されないが、PET系樹脂、PP系樹脂、NY系樹脂、PE系樹脂、レーヨン系樹脂、パルプ及びこれらの混合物よりなるニードルパンチ不織布、サーマルボンド不織布、エアレイド不織布、ケミカルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等を使用することができる。また、不織布3は、必ずしも単一層のものである必要はなく、例えば一対の不織布の間にパルプ層を備えた三層構造のものを用いれば、パルプ層により吸水性が高まるため、特に水を含ませて使用する際に使い勝手が向上する。
【0030】
研磨層2は、モース硬度が9の研磨材と、研磨材を不織布3に固定するための接着剤とを含んでいる。研磨材の材料は、モース硬度が9であれば特に限定されないが、例えば、アルミナやシリコンカーバイドを使用することができる。また、研磨材の粒径(本願において「粒径」とは、平均粒径(D50)を意味し、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定できる。)は、5μm以上1mm以下であれば良く、不織布3に対する付着量を適宜調整すれば、調理器具等に固着した汚れを容易に取り除くことができる。この範囲外である研磨材の粒径が5μm未満となると汚れ落とし効果が低下する。
【0031】
不織布3上への研磨層2の形成は、研磨材と接着剤とを予め混合してから、不織布3に塗布することにより行う。また、別の方法として、不織布3に接着剤を塗布してから、塗布された接着剤上に研磨材を散布するように貼り付けても良い。いずれの場合においても、耐水性の高い接着剤を用いれば、掃除具1の使用時に水を使用しても、研磨材の脱落が起こりにくくなるのでより好ましい。
【0032】
洗浄層4は、界面活性剤を含んでおり、界面活性剤の種類は特に限定されないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、硫酸アルキルナトリウム、硫酸アルキルポリオキシエチレンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等の陰イオン性の界面活性剤、アルキルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド等の非イオン性の界面活性剤や、N−アルキルベタイン等の両性界面活性剤を使用することができる。
【0033】
洗浄層4の形成は、界面活性剤単体、又は界面活性剤とバインダーとの混合物溶液を不織布3に塗布した後、これを乾燥することによって行う。他の形成方法として、界面活性剤とバインダーとの混合物を加熱して溶融し、これを塗布した後冷却することによっても良い。塗布の方法は特には限定されないが、グラビア、オフセット、スクリーン、ナイフどぶ付け、噴霧(スプレー)等の方法を用いれば良い。
【0034】
バインダーを使用する場合には、水溶性の高いものを使用すると界面活性剤が容易に溶解するのでより好ましい。バインダーの種類は限定されないが、PVA系樹脂、フェノール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ユリア系樹脂等を使用することができる。
【0035】
尚、研磨材の粒径及び付着量並びに界面活性剤の付着量と使用時の効果との関係については後述する。
【0036】
使用時には、掃除具1の研磨層2及び洗浄層4が形成された面で、調理器具等に固着した汚れを擦るように移動させる。このとき、まず汚れに含まれる油分等は洗浄層4によって洗浄されて除去される。そのため、研磨層2を擦る際に汚れに対して滑ることがなく除去効率が低下する虞がない。又、研磨層2に含まれる研磨剤のモース硬度は9であり、固着した汚れのモース硬度(1〜2)より高いため、油分が除去された状態で固着している汚れを研磨層2によって容易に削り取ることが可能となる。また、スポンジに研磨材を付着させた従来の掃除具と比べると、掃除具1に加えた力が分散せずに不織布3を介して研磨層2に集中するため、より軽い力で汚れを取り除くことが可能となる。更に、研磨層2は島状に形成されているためその上端端部に角ができるので、そのエッジ効果によって汚れをより容易に削り取ることが可能となる。
【0037】
ここで、上記の掃除具において、研磨材の粒径及び付着量並びに界面活性剤の付着量と、汚れの取りやすさとの関係を評価するために、以下の実施例1〜16に示す掃除具の試料を作製し、固着した汚れの除去を行った。また、比較対照のために、除去効果が不十分な比較例1及び2に示す掃除具についても試料を作製して同様に試験を行った。
【0038】
まず、実施例1〜16並びに比較例1及び2の試料の構成と試験方法について説明する。
【0039】
(不織布:各試料について共通)
不織布には、PET系樹脂よりなるスパンボンド不織布を、21cm×30cmの大きさとなるように準備した。
【0040】
(実施例1〜16)
実施例1〜16では研磨材としてシリコンカーバイドを使用した。いずれの実施例についても、研磨材と接着剤とを予め混合し、この混合物を上記の大きさの不織布の一方面の全面に図1のように島状に塗布して全体としてハニカム状となるように研磨層を形成した。このとき、研磨材の粒径と、不織布の一方面に対する研磨材の付着量とが表1の値となるように各シートを作製した。
【0041】
次に、各シートに対して、洗剤(界面活性剤:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)とバインダーとを混合した混合物溶液を研磨層を覆うように塗布し、不織布の一方面に対する洗剤の付着量が表1の値となるように洗浄層を形成した。
【0042】
このように形成された各シートに対して、中央部から10cm×13cmの大きさのシートを4枚ずつ切り出して各試料とした。尚、以下の試験においては、各実施例として1枚の試料を用いて行った。
【0043】
(比較例1)
比較例1では、上記の不織布一方面に洗剤のみを上記と同一の方法で塗布し、不織布の一方面に対する洗剤の付着量が表1の値となるように洗浄層を形成した。尚、試料とするシートの切り出し要領は、上記の実施例と同一である。
【0044】
(比較例2)
比較例2では、上記の不織布一方面に研磨剤のみを上記と同一の方法で塗布し、不織布の一方面に対する研磨材の付着量が表1の値となるように研磨層を形成した。尚、試料とするシートの切り出し要領は、上記の実施例と同一である。
【0045】
(試験方法及び評価方法)
試験に用いた汚れは、被掃除体としてのガスレンジの五徳に付着させた油を、加熱して焦げた状態に固化させることにより形成した。そして、実施例1〜16並びに比較例1及び2の掃除具をそれぞれ手に持って水に付け、約19.6N(約2kgf)の力を加え、形成した汚れ1cmに対して10往復させた後、汚れの取れやすさを評価した。これを1つの実施例、比較例に対して4枚の試料毎に4回繰り返して結果の平均を採用した。
【0046】
汚れの取れやすさは、目視により、次に5段階で評価した。
☆・・・油汚れ、焦げ付き共に除去でき、清掃後の五徳には光沢感が生じた。
◎・・・油汚れ、焦げ付き共に除去でき、清掃後の五徳からべとつき感が消失した。
○・・・油汚れ、焦げ付き共にほぼ除去できた。
△・・・油汚れ、焦げ付き共に十分に除去できなかった。
×・・・油汚れは除去できたが、焦げ付きはほとんど除去できなかった。
【0047】
試験結果を下記の表に表す。
【表1】

【0048】
まず、実施例1〜3に示されるように、研磨材の粒径が5μmで洗剤の付着量が1g/mの場合、汚れの取れやすさは、研磨材の付着量が3g/mの実施例1では「○(ほぼ除去)」であるのに対し、付着量が5g/m以上の実施例2及び3では「◎(べとつき感まで消失)」に向上した。尚、洗剤の付着量が10g/mを超えた場合、他の実施例から判断して汚れの取れやすさは同等以上の効果を発揮するものと予想される。
【0049】
次に、実施例4〜12に示されるように、研磨材の粒径が10μmの場合、汚れの取れやすさは、研磨剤の付着量と洗剤の付着量とに影響を受けることが判明する。即ち、実施例4及び6のように、洗剤の付着量が1g/mであっても研磨剤の付着量が5g/m未満となると、汚れの取れやすさは、「◎(べとつき感まで消失)」から「○(ほぼ除去)」に低下することが判明する。
【0050】
又、逆に実施例5及び6のように、研磨剤の付着量が5g/mであっても洗剤の付着量が1g/m未満となると、汚れの取れやすさは、「◎(べとつき感まで消失)」から「○(ほぼ除去)」に低下することが判明する。
【0051】
更に、実施例8及び9のように、研磨剤の付着量が5g/mであっても洗剤の付着量が100g/mを超えてしまうと、汚れの取れやすさは、「◎(べとつき感まで消失)」から「○(ほぼ除去)」に低下することが判明する。これは、洗剤の付着量が多すぎると、汚れに対して滑りすぎて研磨材の本来の効果が十分されないからと考えられる。
【0052】
更に、実施例10〜12のように、研磨剤の付着量が10g/m以上であると、洗剤の付着量が1g/m以上であれば、汚れの取れやすさは、「☆(五徳に光沢感)」に向上することが判明する。尚、この場合であっても、実施例9から洗剤の付着量が100g/mを超えてしまうと汚れの取れやすさは低下するものと予想される。
【0053】
次に、実施例13〜16に示されるように、研磨材の粒径が100μmの場合であっても、汚れの取れやすさは、研磨剤の付着量と洗剤の付着量とに影響を受けることが判明する。即ち、研磨剤の付着量が10g/m以上であると汚れの取れやすさは、「☆(五徳に光沢感)」となるが、研磨剤の付着量が5g/mとなると汚れの取れやすさは、「◎(べとつき感まで消失)」に、研磨剤の付着量が3g/mとなると汚れの取れやすさは、「○(ほぼ除去)」に低下することが判明する。
【0054】
比較例1にあっては、洗剤のみ付着しているため、油汚れのみ除去できるだけで焦げ付きはほとんど除去できなかった。
【0055】
又、比較例2にあっては、研磨材のみ付着しているため汚れの油分で滑ってしまい、油汚れ、焦げ付き共に十分には除去できなかった。
【0056】
以上の表1の試験結果より、モース硬度9の研磨材と洗剤とが含まれていれば、その付着量の大小にかかわらず、これらが一方のみしか含まれない掃除具に対して油汚れ、焦げ付き共にほぼ除去できることが判明した。
【0057】
また、研磨材の粒径が5μm以上であり、付着量が5g/m以上となるように研磨層を形成し、洗剤の付着量が1g/m以上で且つ100g/m以下となるように形成した場合は、汚れの取れやすさは「◎(べとつき感まで消失)」となり、固着した汚れを容易に取り除くことが可能となる。
【0058】
更に、研磨剤の粒径が10μm以上であり、付着量が10g/m以上となるように研磨層を形成し、洗剤の付着量が1g/m以上で且つ100g/m以下となるように形成した場合は、汚れの取れやすさは「☆(五徳に光沢感)」となり、固着した汚れを更に容易に取り除くことが可能となる。
【0059】
図3は、この発明の第2の実施の形態による掃除具の構成を示した概略断面図であって第1の実施の形態による図2に対応した図である。
【0060】
図を参照して、掃除具1を構成する部材は先の第1の実施の形態による掃除具と同一であるのでその説明は繰り返さない。この実施の形態にあっては、不織布3の一方面の上に研磨層2が島状に形成されており、研磨層2の間のスペースに洗浄層4がその上面が研磨層2の上面に整列するように形成されている。尚、研磨層2の平面視の形状は図1と同様の形状でも、他の形状であっても良く、同様に上端端部の角によるエッジ効果が期待できる。
【0061】
使用に際しては、掃除具1の研磨層2及び洗浄層4の形成面を汚れに対して押し付けるようにして擦れば良い。これによって、汚れの油分が洗浄層4で洗浄されると共に汚れが研磨層2で削り取られるように迅速に除去される。
【0062】
図4は、この発明の第3の実施の形態による掃除具の構成を示した概略断面図であって第1の実施の形態による図2に対応した図である。
【0063】
図を参照して、掃除具1を構成する部材は先の第1の実施の形態による掃除具と同一であるのでその説明は繰り返さない。この実施の形態にあっては、不織布3の一方面の上に研磨層2が全面に形成されており、研磨層2の上面に更に洗浄層4が全面に形成されている。
【0064】
使用に際しては、掃除具1の洗浄層4の形成面を汚れに対して押し付けるようにして擦れば良い。これによって、汚れの油分が洗浄層4で洗浄されると共に洗浄層4が部分的に消失して研磨層2が露出する。そして、油分が除去された汚れが露出した研磨層2で削り取られるように除去される。
【0065】
尚、上記の各実施の形態では、加熱調理器具の煮こぼれリング、五徳等の金属部に主に使用しているが、必ずしもこれらの部位に限らず、ガスコンロや電磁調理器のガラス天板、オーブントースターや電子レンジのドアガラスといったガラスの部分にも使用することも可能であり、更に台所用品に限らず金属部分のさび落しにも使えるものである。
【0066】
また、上記の各実施の形態では、不織布の一方面にのみ研磨層及び洗浄層を形成しているが、両方面に形成しても良い。
【0067】
更に、上記の第1の実施の形態では、研磨層を島状に不織布の上面に形成しているが、ストライプ状や格子状のように研磨層を形成しても良い。又、洗浄層は研磨層を覆うように形成しているが、洗浄層は研磨層の上面だけに形成したり、又は点状で部分的に形成しても良い。
【0068】
更に、上記の各実施の形態では、研磨材としてシリコンカーバイドを用いた例を示しているが、モース硬度が9のアルミナ等の他の材料を使用しても同様の効果が発揮される。また、これらの材料を混合したものを研磨材として使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の第1の実施の形態による掃除具の概略構成を示した一部破断による平面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【図3】この発明の第2の実施の形態による掃除具の概略構成を示した断面図であって、図2に対応した図である。
【図4】この発明の第3の実施の形態による掃除具の概略構成を示した断面図であって、図2に対応した図である。
【符号の説明】
【0070】
1…掃除具
2…研磨層
3…不織布
4…洗浄層
尚、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具等に固着した汚れを取り除くためのシート状の掃除具であって、
シート形状の不織布と、
モース硬度が9の研磨材を含み、前記不織布の少なくとも一方面に形成された研磨層と、
前記研磨層の上に形成された界面活性剤を含む洗浄層とを備えた、掃除具。
【請求項2】
前記研磨層は、前記不織布の上に島状に形成され、
前記洗浄層は、前記研磨層の全体を覆うように形成される、請求項1記載の掃除具。
【請求項3】
前記研磨材の粒径は、5μm以上であり、
前記研磨層は、前記研磨材の付着量が5g/m以上であり、
前記洗浄層は、前記界面活性剤の付着量が1g/m以上で且つ100g/m以下となるように形成される、請求項1又は請求項2記載の掃除具。
【請求項4】
前記研磨材の粒径は、10μm以上であり、
前記研磨層は、前記研磨材の付着量が10g/m以上であり、
前記洗浄層は、前記界面活性剤の付着量が1g/m以上で且つ100g/m以下となるように形成される、請求項1又は請求項2記載の掃除具。
【請求項5】
調理器具等に固着した汚れを取り除くためのシート状の掃除具であって、
シート形状の不織布と、
モース硬度が9の研磨材と界面活性剤とが、その上面が整列するようにして前記不織布の少なくとも一方面に形成された、掃除具。
【請求項6】
調理器具等に固着した汚れを取り除くための掃除方法であって、
汚れを界面活性剤によって洗浄する工程と、
前記洗浄された汚れを研磨材によって除去する工程とを備えた、掃除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−153553(P2009−153553A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331720(P2007−331720)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】