説明

掃除具及び電気掃除機

【課題】掃除具に十分な強度を確保した上で、排出口を大きく形成することができるようにする。
【解決手段】掃除具1は、基体2と捕塵体30とを備える。基体2は、下面に内部空間に通じる導入口2aが、上面に内部空間に通じる2つの排出口2bが形成される。また、基体2は、排出口2bの間に配置され、排出口2bの各縁部を形成するアーチ部5を備える。捕塵体30は、基体2に回転自在に設けられ、一部が、導入口2aから基体2の下方に突出する。捕塵体30は、上方に開口し、その開口が排出口2bに対向する収塵室30aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、じゅうたん、ソファー、寝具、自動車の車内等の掃除に適した掃除具と、この掃除具を用いた電気掃除機とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2には、捕塵体を被掃除面に当てた状態で往復移動させることにより、被掃除面から塵埃を取り除くことができる掃除具が記載されている。特許文献1に記載の掃除具は、使用者が手に持って使用するものである。一方、特許文献2に記載の掃除具は、電気掃除機に接続して使用することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−207646号公報
【特許文献2】特開平2−49620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された掃除具では、以下に示すような問題があった。
特許文献1に記載の掃除具は、使用者が手に持って使用するものである。掃除具内に溜まった塵埃を排出するためには、掃除具を逆さにして、排出口から塵埃を排出しなければならない。このため、特許文献1に記載の掃除具では、基体の上面に、基体の幅方向に渡って大きな排出口を形成している。
【0005】
上記掃除具を使用して掃除を行うと、使用者が持つ柄の付け根部分に大きな力が作用する。基体の上面に排出口を大きく形成すると、例えば、柄の付け根部分に作用する力によって、基体が変形してしまうことがあった。また、基体の幅方向に渡って排出口が形成されているため、排出口を塞ぐ蓋体に上方から力が加わると、その荷重を基体によって十分に支持することができない。蓋体に上方から大きな力が加わった場合は、蓋体の排出口に対向する部分が、変形してしまうことがあった。
【0006】
また、特許文献1に記載の掃除具では、排出口を塞ぐ蓋体によって車輪の側方が覆われている。このため、家屋の壁や周りのものが蓋体に側方から接触すると、その荷重によって蓋体に撓みが発生してしまう。蓋体が撓むと、蓋体の側壁が車輪に接触し、車輪の回転が阻害されることがあった。
【0007】
また、特許文献1に記載の掃除具では、排出口を塞ぐ蓋体が、基体の先端部分で支持されている。即ち、この掃除具では、二枚貝を開くように蓋体を移動させて、蓋体(排出口)を開放する。このため、蓋体を開放すると、掃除具の大きさは、蓋体が閉められている時の2倍程度になる。排出口から塵埃を排出する際に、その使い勝手が悪くなるといった問題があった。
【0008】
例えば、排出口から塵埃を排出する場合は、使用者が、掃除具をゴミ箱の上で叩いて、内部に溜まった塵埃を取り出すようなことも考えられる。かかる場合、使用者が掃除具を叩くことによって蓋体が開閉方向に大きく振れてしまい、蓋体が周りのものにぶつかったり、蓋体の支持部分に大きな荷重が作用して、上記支持部分が破損したりする恐れがあった。
【0009】
また、特許文献1に記載の掃除具では、掃除具を家屋の壁等にぶつけてしまうと、蓋体に対して、開く方向に力が作用することがある。このため、例えば、掃除具を前下がりの角度で使用した場合は、掃除の途中で蓋体が開き、内部に溜まっている塵埃が外に飛び出てしまうことがあった。
【0010】
一方、特許文献2に記載された掃除具は、電気掃除機に接続して使用することを前提としている。このため、この掃除具を手に持って使用しようとすると、電気掃除機に接続する円筒部分を握らなければならず、掴み難いといった問題があった。
【0011】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものである。即ち、この発明は、上記課題を解決できる掃除具と、その掃除具を用いた電気掃除機とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る掃除具は、下面に内部空間に通じる導入口が、上面に内部空間に通じる第1排出口及び第2排出口が形成された基体と、基体に回転自在に設けられ、一部が、導入口から基体の下方に突出する捕塵体と、を備え、捕塵体は、上方に開口し、その開口が第1排出口及び第2排出口に対向する収塵室と、を備え、基体は、第1排出口及び第2排出口の間に配置され、第1排出口の縁部及び第2排出口の縁部を形成する補強部と、を備えたものである。
【0013】
また、この発明に係る掃除具は下面に内部空間に通じる導入口が、上面に内部空間に通じる排出口が形成された基体と、基体に回転自在に設けられ、一部が、導入口から基体の下方に突出する捕塵体と、基体に回転自在に設けられた車輪と、基体に回転自在に設けられ、排出口を開閉する蓋体と、を備え、捕塵体の回転軸と車輪の回転軸と蓋体の回転軸とは、同一直線上に配置されたものである。
【0014】
また、この発明に係る掃除具は、下面に内部空間に通じる導入口が、上面に内部空間に通じる排出口が形成された基体と、基体に回転自在に設けられた車輪と、基体に回転自在に設けられ、排出口を開閉する蓋体と、を備え、蓋体は、基体の側壁の外側面に、基体の一側から対向する側壁と、蓋体の側壁に設けられ、基体の一部に、基体の一側から接触する座部と、を備え、車輪は、基体の側壁と蓋体の側壁との間に配置されたものである。
【0015】
また、この発明に係る掃除具は、下面に内部空間に通じる導入口が、上面に内部空間に通じる排出口が形成された基体と、基体に接続された持ち手と、を備え、持ち手は、基体に接続された円筒状を呈する継手部と、継手部から基体の後方側に延び、先端に近づくに従って、断面が円形から楕円形に徐々に変化する中空の握り部と、を備えたものである。
【0016】
この発明に係る電気掃除機は、上記何れかに記載の掃除具が手元パイプに接続可能なものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、少なくとも以下に記載された効果の何れかを奏することができる。
この発明によれば、掃除具に十分な強度を確保した上で、排出口を大きく形成することができる。
また、この発明によれば、壁際や狭い場所を掃除する場合であっても車輪の回転が阻害されず、掃除具を安定して操作することができる。
また、この発明によれば、塵埃排出時の使い勝手を向上させることができ、且つ、掃除の途中で蓋体が開くことを確実に防止することができる。
また、この発明によれば、掃除機を単体で使用する場合、及び、電気掃除機に接続して使用する場合の双方において、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1における掃除具を斜め上方からみた斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1における掃除具を斜め下方から見た斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1における掃除具を示す平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における掃除具を示す側面図である。
【図5】蓋体を開放した状態の掃除具を示す平面図である。
【図6】掃除具の水平方向断面図である。
【図7】掃除具の一部の断面を示す正面方向断面図である。
【図8】掃除具の正面方向断面図である。
【図9】捕塵体を取り外した状態の掃除具を示す正面方向断面図である。
【図10】掃除具の側面方向断面図である。
【図11】図10に示す掃除具の要部拡大図である。
【図12】図11に示す状態から掃除具を前方に動かした時の状態を示す図である。
【図13】図11に示す状態から掃除具を後方に動かした時の状態を示す図である。
【図14】円錐柔突起部を下向きに取り付けた状態の捕塵体を示す正面方向断面図である。
【図15】へら柔突起部を下向きに取り付けた状態の捕塵体を示す正面方向断面図である。
【図16】他の柔突起体を取り付けた状態の捕塵体を示す正面方向断面図である。
【図17】蓋体が閉塞状態に配置された状態の掃除具を示す側面方向断面図である。
【図18】図17に示す状態から蓋体を開放する時の開放途中の状態を示す図である。
【図19】図17に示す状態から蓋体が完全に開放された時の状態を示す図である。
【図20】他の構成の蓋体が完全に開放された時の状態を示す側面方向断面図である。
【図21】持ち手の各部位の断面形状を示す図である。
【図22】掃除具と手元パイプの接続過程の状態を示す側面方向断面図である。
【図23】手元パイプの端面形状を示す図である。
【図24】掃除具が手元パイプに完全に接続された時の状態を示す側面方向断面図である。
【図25】掃除具を伸縮パイプに接続しようとしている時の状態を示す側面方向断面図である。
【図26】掃除具の不適切な使用状態を示す側面方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図において、同一又は相当する部分には、同一の符号を付している。重複する説明については、適宜簡略化或いは省略している。
【0020】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における掃除具を斜め上方からみた斜視図、図2はその掃除具を斜め下方から見た斜視図である。図3はこの発明の実施の形態1における掃除具を示す平面図、図4はその側面図である。
【0021】
図1乃至図4に示す掃除具1は、例えば、じゅうたんやソファー、寝具、自動車の車内の掃除に適したものである。掃除具1を用いて掃除を行う場合、使用者は、掃除具1を手に持って使用することもできるし、掃除具1を電気掃除機に接続して使用することもできる。使用者は、掃除具1を前後に動かすことにより、じゅうたん等に付着している塵埃を取り除くことができる。以下においては、使用者が掃除具1を持って水平な面を掃除する時の状態を基準にして、掃除具1の前後及び上下を特定する(図4参照)。
【0022】
掃除具1は、例えば、基体2、車輪20、捕塵体30、除塵体(前除塵体40・後除塵体41)、蓋体50、持ち手60により、その要部が構成される。
以下に、図5乃至図26も参照して、掃除具1の構成及び機能について具体的に説明する。
【0023】
基体2は、掃除具1の筐体に相当する部分である。掃除具1の他の構成は、基体2によって支持される。即ち、車輪20、捕塵体30、除塵体(前除塵体40・後除塵体41)、蓋体50、持ち手60は、基体2に取り付けられている。
【0024】
基体2は、湾曲壁(前壁3・後壁4・アーチ部5)、側壁6、円筒部7を備えている。
湾曲壁は、前壁3、後壁4、アーチ部5によって、その要部が構成される。湾曲壁は、断面が略円弧状を呈する所定の長さ(幅)の部材から構成される。即ち、湾曲壁は、全体として、略半円筒状を呈している。側壁6は、略半円状の板状部材からなる。側壁6は、上記湾曲壁の両側の開口を塞ぐように、湾曲部の各端部に、前壁3と後壁4とに跨って設けられている。湾曲壁(前壁3・後壁4・アーチ部5)及び側壁6によって囲まれた基体2の内部には、略半円柱状の空間(以下、この空間のことを「基体2の内部空間」という)が形成されている。
【0025】
円筒部7は、持ち手60を基体2に連結するためのものである。円筒部7は、円筒状を呈している。円筒部7は、一端部が、後壁4の中央部外面に設けられている。円筒部7の一端部側は、基体2の内部空間に開口する。円筒部7は、その軸が、湾曲壁の軸(湾曲壁が形成する円弧を一部に有する円の中心位置を結ぶ直線)に対して直交するように配置されている。円筒部7の他端部側は、湾曲壁の後方で開口する。円筒部7の他端部には、複数のスリット7aが軸方向に形成されている。円筒部7の他端部には、スリット7a間に配置された部分に、外周面から突出する角突起7bが設けられている。角突起7bは、持ち手60を基体2に連結するためのものである。角突起7bの具体的な機能については後述する。
【0026】
基体2の下端部は、前壁3、後壁4、側壁6の各下端部によって、ロ(ろ)字状に形成されている。即ち、基体2は、その下面に、前壁3、後壁4、側壁6の各下端部によって縁取られた導入口2aが設けられている。導入口2aは、塵埃を基体2の内部空間に取り込むための開口である。導入口2aは、基体2の内部空間に通じている。円筒部7は、導入口2aが下を向くように基体2が配置されると、他端部が一端部よりも上方位置となるように、斜め上向きに配置される。
【0027】
基体2(湾曲壁)の上面には、複数(本実施の形態においては2つ)の排出口2bが形成されている。排出口2bは、基体2の内部に集められた塵埃を、基体2の外部に排出するための開口である。このため、排出口2bは、基体2の内部空間に通じている。
【0028】
なお、基体2の上面に、湾曲壁の幅方向に渡って塵埃排出用の開口を形成すると、基体2の強度が弱くなってしまう。特に、掃除の時は、円筒部7が接続された後壁4に大きな力が作用する。
【0029】
アーチ部5は、基体2に所定の強度を確保するために備えられた補強部を構成する。アーチ部5は、湾曲壁の幅方向に形成された大きな開口をその中央で2つに分割して上記排出口2bを形成するように、基体2の上面中央部に設けられている。即ち、アーチ部5は、その長手が湾曲壁の弧長方向に配置され、2つの排出口2bの間に配置されている。アーチ部5の一端部(前端部)は、前壁3の上縁に設けられている。アーチ部5の他端部(後端部)は、円筒部7の一端部に近接する位置で、後壁4の上縁に設けられている。
【0030】
アーチ部5は、湾曲壁の一部を構成する。このため、アーチ部5の上面5aは、外側(上方)に凸状を呈するように湾曲されている。また、アーチ部5の断面は、下方に開口するコ字状を呈している。即ち、アーチ部5には、両側部に、下方(基体2の内部空間側)に突出する略半リング状の補強リブ5bが備えられている。
【0031】
アーチ部5の両側部は、排出口2bの縁部のうち、隣り合う部分(各排出口2bの隣接する縁部)を形成する。上述したように、排出口2bは、使用者が、塵埃を基体2の外部に排出するための開口である。このため、塵埃を取り出す際に排出口2bに差し込んだ使用者の手(指)がアーチ部5に引っ掛かることがないように、アーチ部5の外側面は平坦に形成されている。
【0032】
アーチ部5は、図5に示すように、平面視、円筒部7(及び、この円筒部7に連結された持ち手60)と一直線状に配置されている。このため、円筒部7を介して湾曲壁に作用する力は、アーチ部5を介して前壁3にも分散される。かかる構成であれば、湾曲壁(基体2)に必要な強度を確保した上で、排出口2bを大きく形成することができる。掃除の際に掃除具1が前後に動かされて湾曲壁が円筒部7側から力を受けても、後壁4が変形してしまう恐れはない。
【0033】
8は湾曲壁の内側面に設けられた隔壁である。隔壁8は、略半リング状を呈する板状の部材からなる。隔壁8は、湾曲壁の一端部側及び他端部側にそれぞれ設けられている。隔壁8は、湾曲壁の内側面から基体2の内部空間に突出するように配置されている。隔壁8は、側壁6に対して平行に配置されており、その外側を向く側面が、近接する側壁6の内側面に対向する。
【0034】
隔壁8は、前除塵体40及び後除塵体41を基体2に取り付けるため、並びに、捕塵体30の動きを規制するために備えられたものである。隔壁8には、その下端部分に、前除塵体40及び後除塵体41を保持するための保持孔8aが形成されている。保持孔8aは、その軸が、湾曲壁の軸に対して平行に配置されている。また、隔壁8には、その中央部分に、捕塵体30の動きを規制するため回転止め8bが設けられている。回転止め8bは、隔壁8の他の部分よりも更に基体2の内部空間側に突出するように形成されている。回転止め8bは、基体2の内部空間の最上部に配置される。保持孔8a及び回転止め8bの具体的な機能については後述する。
【0035】
湾曲壁のうち、隔壁8よりも更に側方(一端部側及び他端部側)に配置された部分(以下、「段差部9」という)は、外面の一部が、湾曲壁の他の部分の外面(隔壁8間に配置された部分の外面(アーチ部5の上面5aも含む))よりも一段低くなるように形成されている。排出口2bは、外側の縁部が、隔壁8の上端部によって形成される。即ち、上記段差部9に、排出口2bは形成されていない。
【0036】
段差部9には、最も高い部分の外面に、三角突起9aが設けられている。三角突起9aは、蓋体50を所定の閉塞位置に保持するためのものである。三角突起9aは、三角柱を横にしたような形状を呈しており、段差部9の外面から上方に突出するように形成されている。三角突起9aの具体的な機能については後述する。
【0037】
側壁6は、車輪20、捕塵体30、蓋体50のそれぞれを、同一の軸を中心として双方向に回転自在に支持する。即ち、側壁6には、車輪20、捕塵体30、蓋体50の各回転軸を同一直線状に配置するための機能が備えられている。
【0038】
本明細書においては、所定の軸を中心に360度以上の角度を回ることができる場合、並びに、軸を中心に360度よりも小さな角度を回る(動く)ことができる場合の双方について、「回転」と表記する。即ち、所定の軸を中心として所定の範囲の角度内を動くことができれば、「回転自在」である。
【0039】
側壁6には、円形の保持孔6aが形成されている。保持孔6aは、その軸が湾曲壁の軸と同一直線上に配置される。保持孔6aは、捕塵体30を双方向に回転自在に支持するための円形の開口である。保持孔6aの具体的な機能については後述する。
【0040】
10は側壁6に設けられた円筒部である。円筒部10は、車輪20及び蓋体50を双方向に回転自在に支持するためのものである。円筒部10は、円筒状を呈しており、一端部が、側壁6の外側を向く側面に設けられている。円筒部10は、側壁6の外側面から突出し、他端部側は、湾曲壁の側方で開口する。円筒部10は、その軸が、湾曲壁の軸と一致するように配置されている。このため、円筒部10の軸と保持孔6aの軸とは同一直線上に配置される。保持孔6aの径は円筒部10の内径よりも小さいため、保持孔6aは、円筒部10の内側に配置される。
【0041】
円筒部10には、その外周面に、リング状のリブ10aが形成されている。リブ10aは、側壁6の外側面から僅かに離れた位置に設けられている。このため、リブ10aと側壁6との間には、円筒部10の全周に渡って凹部が形成されている。リブ10aの具体的な機能については後述する。
【0042】
11は側壁6に設けられた回転止めである。回転止め11は、蓋体50の動きを規制するためのものである。回転止め11は、側壁6の前端部分の外側面に、側壁6の側方に突出するように設けられている。回転止め11の具体的な機能については後述する。
【0043】
車輪20は、使用者による掃除具1の操作を安定させるためのものである。車輪20は、基体2の両側に配置されている。車輪20は、基体2の側壁6に、双方向に回転自在に設けられている。
【0044】
車輪20には、その中央部に、円筒部21が設けられている。円筒部21の軸は、車輪20の外周面(被掃除面を転がる面)の軸に一致する。円筒部21の先端部には、複数の突起21aが、例えば、等間隔で設けられている。突起21aは、円筒部21の中心側に向かって延びており、円筒部21の内周面よりも更に内側に突出するように形成されている。
【0045】
車輪20を基体2に取り付ける場合は、車輪20の円筒部21の内部に基体2の円筒部10を配置し、車輪20を側壁6側に押し込む。この時、押し込む力が十分に大きければ、円筒部21の先端に形成された突起21aがリブ10aを乗り越え、突起21aが、側壁6とリブ10aとの間に形成された凹部内に配置される。
【0046】
突起21aの各先端部は円筒部10の外径(外周面)に、円筒部21の内径(内周面)はリブ10aの外径(外周面)に合わせて成形されている。このため、突起21aが、側壁6及びリブ10a間の凹部に適切に配置されると、円筒部21の内周面が、円筒部10の外周面(及び、リブ10aの外周面)に対向し、円筒部21の軸(車輪20の軸に一致)が、基体2の湾曲壁の軸に一致する。そして、車輪20の回転が、リブ10aの外周面に案内される。なお、円筒部21に形成された突起21aが側壁6及びリブ10a間の凹部内に配置されるため、車輪20が円筒部10から抜けてしまうことはない。
【0047】
車輪20を円滑に回転させるため、車輪20の材料として、摩擦係数が小さいもの、例えば、ポリアミドやポリアセタールを用いることが好ましい。また、車輪20の回転を阻害することがないように、側壁6の外側面に設けられた回転止め11と車輪20の外周面との間には、十分な間隙が形成される。
【0048】
捕塵体30は、じゅうたんやソファー等の被掃除面から塵埃を取り除くためのものである。捕塵体30は、被掃除面に実際に接触して、塵埃を捕集する部分を構成する。捕塵体30は、基体2の側壁6に、双方向に回転自在に設けられている。捕塵体30は、周壁31、側壁32、柔突起体33、前捕塵ブラシ34、後捕塵ブラシ35を備えている。
【0049】
周壁31は、断面が略円弧状を呈し、所定の長さ(幅)を有している。即ち、周壁31は、全体として、略半円筒状を呈する。側壁32は、略半円状の板状部材からなる。側壁32は、周壁31の両側の開口を塞ぐように、側壁32の各端部に設けられている。
【0050】
周壁31及び側壁32によって囲まれた捕塵体30の内部には、略半円柱状の空間が形成されている。捕塵体30が被掃除面から取り除いた塵埃は、捕塵体30のこの内部空間に収容される。即ち、周壁31及び側壁32によって囲まれた捕塵体30の内部空間が、被掃除面から取り除いた塵埃を一時的に収容するための収塵室30aを構成する。
【0051】
捕塵体30の上端部は、周壁31の各上端部(前端部31a・後端部31b)と各側壁32の上端部とによって、ロ(ろ)字状に形成されている。即ち、捕塵体30は、その上面に、周壁31の前端部31a及び後端部31bと、側壁32の各上端部とによって縁取られた収塵開口30bが設けられている。被掃除面から取り除かれた塵埃は、この収塵開口30bから収塵室30aに入れられる。収塵室30aは、収塵開口30bを介して上方に開口する。収塵開口30bは、上方に形成された各排出口2bの全域と対向するように配置されている。
【0052】
36は側壁32に設けられた突起体である。突起体36は、円柱状を呈しており、一端部が、側壁32の外側を向く側面に設けられている。突起体36は、その軸が、周壁31の軸(周壁31が形成する円弧を一部に有する円の中心位置を結ぶ直線)に一致する。捕塵体30は、一方の突起体36が一側の側壁6の保持孔6a内に、他方の突起体36が他側の側壁6の保持孔6a内に配置されることにより、基体2に支持される。
【0053】
37は突起体36の外周面と保持孔6aを形成する側壁6の面(内周面)との間に配置された円筒状の潤滑リングである。潤滑リング37は、内径が突起体36の外径に合わせて、また、外径が保持孔6aの径に合わせて成形されている。突起体36は、側壁6との間に潤滑リング37を挟んだ状態で保持孔6aに挿入されることにより、その軸が、保持孔6aの軸(円筒部10の軸に一致)に一致する。これにより、捕塵体30は、その軸(周壁31の軸)を車輪20の軸と一致させた状態で、基体2に、双方向に回転自在に設けられる。
【0054】
捕塵体30の動き(回転)を円滑にして掃除具1の操作性を向上させるため、潤滑リング37の材料として、摩擦係数が小さいもの、例えば、ポリアミドやポリアセタールを用いることが好ましい。可能であれば、潤滑リング37を採用せず、突起体36を側壁6の保持孔6aに直接嵌め合わせても良い。かかる場合は、突起体36をポリアミドやポリアセタールで構成すれば良い。
【0055】
捕塵体30は、潤滑リング37を介して基体2に適切に取り付けられると、周壁31(及び、側壁32)の一部が、導入口2aを介して基体2の下方に突出するように配置される。収塵開口30bや突起体36を含む捕塵体30の大部分は、基体2の内部空間に配置され、捕塵体30の最下部分のみが、その幅方向に渡って導入口2aから露出する。導入口2aから露出した周壁31の最下部分は、車輪20の下端面よりも上方位置に配置される。
【0056】
柔突起体33は、捕塵体30が被掃除面に接触(対向)する領域を、掃除具1の進行方向に合わせて変更するためのものである。柔突起体33は、掃除具1の進行方向が変わると、捕塵体30を基体2に対して回転(捕塵体30を反転)させて、周壁31の前領域或いは後領域を、被掃除面に接触(対向)させる。
【0057】
柔突起体33は、周壁31の弧長方向の中央部分に、周壁31の幅方向に渡って設けられている。周壁31の前領域とは、周壁31のうち、柔突起体33よりも前端部31a側に配置された領域のことをいう。周壁31の後領域とは、周壁31のうち、柔突起体33よりも後端部31b側に配置された領域のことをいう。
【0058】
前捕塵ブラシ34は、周壁31の外側面のうち、前領域の広い範囲に渡って設けられている。前捕塵ブラシ34は、例えば、短毛の傾斜パイルからなり、前領域の外側面に形成された凹部内に、根元部分が粘着されている。前捕塵ブラシ34は、先端が、周壁31の外側面から突出し、且つ、前端部31a側を向くように傾倒されている。
【0059】
後捕塵ブラシ35は、周壁31の外側面のうち、後領域の広い範囲に渡って設けられている。後捕塵ブラシ35は、例えば、短毛の傾斜パイルからなり、周壁31の後領域の外側面に形成された凹部内に、根元部分が粘着されている。後捕塵ブラシ35は、先端が、周壁31の外側面から突出し、且つ、後端部31b側を向くように傾倒されている。
【0060】
柔突起体33は、周壁31の下方に突出するように設けられている。車輪20を被掃除面に接触させると、柔突起体33は、周壁31から突出する下端部分が、被掃除面に接触する。この状態で掃除具1を前方に移動させると、柔突起体33が被掃除面から力を受けて、基体2に対して後方に移動する。即ち、掃除具1を前方に移動させることにより、捕塵体30は、車輪20と同方向に回転し始める。
【0061】
この捕塵体30の回転は、周壁31の後端部31bが隔壁8の回転止め8bに後方から接触することによって止まる。掃除具1を前方に移動させている間は、柔突起体33が被掃除面から力を受け続けるため、周壁31は、前領域が被掃除面に対向するように傾斜する(図12参照)。
【0062】
一方、車輪20を被掃除面に接触させた状態で掃除具1を後方に移動させると、柔突起体33が被掃除面から力を受けて、基体2に対して前方に移動する。このため、掃除具1を後方に移動させると、捕塵体30は、車輪20と同方向に回転し始める。この捕塵体30の回転は、周壁31の前端部31aが隔壁8の回転止め8bに前方から接触することによって停止する。掃除具1を後方に移動させている間は、柔突起体33が被掃除面から力を受け続けるため、周壁31は、後領域が被掃除面に対向するように傾斜する(図13参照)。
【0063】
本実施の形態では、柔突起体33として、周壁31から下方に突出させる部分を、被掃除面に合わせて変更できるものを示している。具体的に、柔突起体33は、装着部33a、円錐柔突起部33b、へら柔突起部33c、抜け止め33dにより、その要部が構成される。
【0064】
円錐柔突起部33b及びへら柔突起部33cは、周壁31から下方に突出させることができる部分を構成する。図14は、円錐柔突起部33bが周壁31の下方に突出するように、柔突起体33を周壁31に取り付けた場合を示している。図15は、へら柔突起部33cが周壁31の下方に突出するように、柔突起体33を周壁31に取り付けた場合を示している。
【0065】
周壁31には、弧長方向の中央部分に、長孔31cが形成されている。長孔31cは、柔突起体33を周壁31に取り付けるための開口である。抜け止め33dは、装着部33aの上下にフランジのように設けられている。抜け止め33dによって周壁31を上下から挟み込むように、装着部33aが長孔31c内に配置されることにより、柔突起体33は適切に周壁31に固定される。柔突起体33が周壁31に適切に固定されると、円錐柔突起部33b及びへら柔突起部33cの一方が周壁31の下方(外側)に突出し、他方が周壁31の内側に突出する。
【0066】
円錐柔突起部33bは、円錐状の部材が連続して連なるように形成されている。円錐柔突起部33bは、その形状に起因して比較的腰が強く、被掃除面への食い付きが良い。このため、円錐柔突起部33bは、毛足の長いじゅうたんのような、柔らかくふかふかした面を掃除する場合に、周壁31の下方に突出するように配置されることが好ましい。
【0067】
一方、へら柔突起部33cは、直線的に配置されたへら状(板状)の部材からなる。へら柔突起部33cは、その形状に起因して比較的腰が弱いが、被掃除面へのなじみが良い。このため、へら柔突起部33cは、自動車内部のシートのような、繊維状で張りがある面を掃除する場合に、周壁31の下方に突出するように配置されることが好ましい。
【0068】
柔突起体33は、掃除中、被掃除面との接触を繰り返す。このため、柔突起体33は、摩擦係数の大きいゴム材料等によって構成されることが好ましい。かかる構成であれば、掃除の際に被掃除面を傷付けることがなく、且つ、捕塵体30の反転動作を円滑に行わせることができる。
【0069】
柔突起体33をゴム材料で成形した場合は、柔突起体33を周壁31に取り付ける際に、ネジによる締結や接着剤による粘着が適さない。しかし、上記構成の柔突起体33であれば、柔突起体33を周壁31に取り付けたり、柔突起体33を周壁31から取り外したりすることを、使用者自身が簡単に行うことができる。
【0070】
例えば、円錐柔突起部33bが周壁31の下方に突出するように柔突起体33を取り付ける場合は、へら柔突起部33cを周壁31の外側から長孔31cに通した後、へら柔突起部33cを収塵室30a側から引っ張る。そして、へら柔突起部33c側に設けられた抜け止め33dのみ、長孔31cを通過させ、装着部33aを長孔31c内に配置する。抜け止め33dが周壁31の上下に配置されるため、掃除の時に作用する程度の負荷では、柔突起体33が長孔31cから外れることはない。
【0071】
被掃除面の素材や状態に合わせて、周壁31の外側に突出させる部分を円錐柔突起部33bからへら柔突起部33cに変更する場合は、先ず、周壁31の外側から円錐柔突起部33bを引っ張る。柔突起体33は柔軟なゴム材料で構成されている。このため、柔突起体33をある程度の力で引っ張れば、抜け止め33dを変形させて長孔31cを通過させ、柔突起体33を周壁31から取り外すことができる。柔突起体33を周壁31から取り外した後、円錐柔突起部33bを周壁31の外側から長孔31cに通し、円錐柔突起部33bを収塵室30a側から引っ張る。そして、円錐柔突起部33b側に設けられた抜け止め33dのみ、長孔31cを通過させ、装着部33aを長孔31c内に配置する。
【0072】
図16は、柔突起体33の他の例を示している。図16に示す柔突起体33には、上記へら柔突起部33cに替えて、柔突起部33eが設けられている。図16に示す柔突起体33では、柔突起部33eを周壁31の下方に突出させることは想定していない。柔突起部33eは、上端部分が階段状に形成された板状部材からなる。柔突起部33eは、収塵室30a内において、長孔31cが形成された底面部分から上方に突出するように配置される。
【0073】
上記構成の柔突起体33が周壁31に取り付けられている場合、収塵室30a内に溜まった塵埃の高さを柔突起部33eの上端部分の高さと比較すれば、使用者は、収塵室30a内に溜まった塵埃の量を、排出口2bから、目視によって定量的に判断することができる。即ち、使用者は、収塵室30a内の塵埃を排出する頃合いを判断するために、柔突起部33eを利用することができる。
【0074】
前除塵体40及び後除塵体41は、捕塵体30が捕集した塵埃を、捕塵体30から取り除いて収塵室30aに収容するためのものである。
前除塵体40は、基体2の前壁3と捕塵体30との間に配置され、車輪20や捕塵体30の軸と平行な軸を介して、基体2に回転自在に設けられている。掃除をしている時に前除塵体40が実際に動くことができる範囲は、基体2の前壁3と捕塵体30との間に形成された狭い範囲である。
【0075】
前除塵体40は、本体部42、回転軸43、ばね44、前除塵ブラシ45により、その要部が構成される。
本体部42は、基体2の前壁3と捕塵体30との間に、基体2の内部空間の幅方向に渡って配置される。本体部42の下端部は、前側の側面が、捕塵体30の周壁31(の前領域)から基体2の前壁3(の下端部)に向かって曲面状を呈するように、凸状に膨らんでいる。
【0076】
回転軸43は、前除塵体40を基体2に回転自在に固定するためのものである。回転軸43は、本体部42の上端部の両側に、側方に突出するように設けられている。本体部42の一端部側に設けられた回転軸43は、基体2に設けられた一方の隔壁8の保持孔8aに挿入される。本体部42の他端部側に設けられた回転軸43は、他方の隔壁8に形成された保持孔8aに挿入される。回転軸43が保持孔8aに挿入されることにより、本体部42(前除塵体40)が、基体2に対して回転自在に支持される。回転軸43の軸は、車輪20や捕塵体30の軸と平行に配置される。
【0077】
回転軸43が保持孔8aに適切に挿入されることにより、前除塵体40は、その下部側が、捕塵体30に接近及び離隔するように、回転軸43を中心に回転する。本体部42は、後側を向く側面(内側面)が、捕塵体30の周壁31の前領域(前領域に設けられた前捕塵ブラシ34)に対向する。本体部42の内側面のうち、前捕塵ブラシ34に対向する部分は、周壁31の外側面の湾曲に合わせて、凹状の円弧状に形成されている。
【0078】
前除塵ブラシ45は、本体部42の内側面のうち、上記円弧状に形成された部分に設けられている。前除塵ブラシ45は、例えば、短毛の傾斜パイルからなり、上記円弧状に形成された面に、根元部分が粘着されている。前除塵ブラシ45は、その先端が、上方、即ち、捕塵体30の周壁31の前端部31a側を向くように傾倒されている。
【0079】
ばね44は、本体部42を捕塵体30側に押し付けるためのものである。回転軸43は、左右で長さが異なっており、ばね44は、例えば、一方の回転軸43が、コイル状に形成された部分を通るように設けられている。ばね44は、一端部が下方に伸び、基体2の前壁3の内側面を前側に押す。ばね44の他端部は、途中で水平方向に折り曲げられ、本体部42の前側の側面を後方に押す。これにより、本体部42が捕塵体30側に押され、前除塵ブラシ45の傾斜パイルが、前捕塵ブラシ34の傾斜パイルに押し付けられる。
【0080】
後除塵体41は、基体2の後壁4と捕塵体30との間に配置され、車輪20や捕塵体30の軸と平行な軸を介して、基体2に回転自在に設けられている。掃除をしている時に後除塵体41が実際に動くことができる範囲は、基体2の後壁4と捕塵体30との間に形成された狭い範囲である。後除塵体41は、前除塵体40を反対向きに配置したものに相当する。後除塵体41は、本体部42、回転軸43、ばね44、後除塵ブラシ46により、その要部が構成される。
【0081】
回転軸43が保持孔8aに適切に挿入されることにより、後除塵体41は、その下部側が、捕塵体30に接近及び離隔するように、回転軸43を中心に回転する。本体部42は、前側を向く側面(内側面)が、捕塵体30の周壁31の後領域(後領域に設けられた後捕塵ブラシ35)に対向する。本体部42の内側面のうち、後捕塵ブラシ35に対向する部分は、周壁31の外側面の湾曲に合わせて、凹状の円弧状に形成されている。
【0082】
後除塵ブラシ46は、本体部42の内側面のうち、上記円弧状に形成された部分に設けられている。後除塵ブラシ46は、例えば、短毛の傾斜パイルからなり、上記円弧状に形成された面に、根元部分が粘着されている。後除塵ブラシ46は、その先端が、上方、即ち、捕塵体30の周壁31の後端部31b側を向くように傾倒されている。
【0083】
後除塵体41の本体部42は、ばね44によって捕塵体30に押される。これにより、後除塵ブラシ46の傾斜パイルが、後捕塵ブラシ35の傾斜パイルに押し付けられる。
【0084】
蓋体50は、基体2の上面に形成された2つの排出口2bを同時に開閉するためのものである。蓋体50は、基体2の外側を覆うように配置されている。蓋体50は、基体2の側壁6に、双方向に回転自在に設けられている。
【0085】
蓋体50は、周壁51、側壁52、円筒部53により、その要部が構成される。
周壁51は、断面が、基体2の湾曲壁の断面よりも一回り大きな略円弧状を呈している。周壁51の断面からなる円弧は、円の1/4程度の大きさである。周壁51の長さ(幅)は、基体2の湾曲壁の長さよりも長い。
【0086】
側壁52は、略扇状の板状部材からなる。側壁52は、周壁51の各端部に設けられている。側壁52は、掃除具1の最も側方に配置される部分を構成する。即ち、側壁52は、車輪20よりも外側に配置される。側壁52は、基体2の側壁6に対してほぼ平行に配置される。このため、側壁52の内側を向く側面は、基体2の外側面に、外側から対向する。車輪20は、基体2の側壁6と蓋体50の側壁52との間に形成された空間に配置される。
【0087】
円筒部53は、側壁52に設けられている。円筒部53は、円筒状を呈しており、一端部が、側壁52の内側面に設けられている。円筒部53は、側壁52の内側面から突出し、その他端部側は、基体2の側壁6の方向を向いて開口する。円筒部53は、その軸が、周壁51の軸(周壁51が形成する円弧を一部に有する円の中心位置を結ぶ直線)と一致するように配置されている。蓋体50は、一方の円筒部53が一側の側壁6に設けられた円筒部10内に、他方の円筒部53が他側の側壁6に設けられた円筒部10内に外側から配置されることにより、基体2に取り付けられる。
【0088】
円筒部53は、その外径(外周面)が円筒部10の内径(内周面)に合わせて成形されている。このため、円筒部53が円筒部10内に適切に配置されると、円筒部53の外周面が円筒部10の内周面に対向し、円筒部53の軸が円筒部10の軸に一致する。これにより、蓋体50は、その回転軸を車輪20及び捕塵体30の回転軸と一致させた状態で、基体2に支持される。
【0089】
蓋体50は、通常時は、所定の閉塞位置に配置される。閉塞位置とは、周壁51によって排出口2bの上方を覆い、蓋体50によって2つの排出口2bを閉塞する位置のことである。周壁51の内側面には、基体2の段差部9に対向する所定の位置に、三角突起51aが形成されている。三角突起51aは、三角柱を横にしたような形状を呈しており、周壁51の内側面から段差部9側(例えば、上記閉塞位置において下方)に突出するように形成されている。
【0090】
三角突起51aは、蓋体50を上記閉塞位置に保持するためのものである。蓋体50を円筒部53の軸を中心に回転させて上方に持ち上げると、蓋体50が所定の位置に達した際に、三角突起51aの先端部が三角突起9aの先端部に下方側から接触する。かかる状態から蓋体50を更に後方側に移動させると、三角突起51aが三角突起9aを乗り越えて、三角突起51aが三角突起9aの後方側に配置される(図17参照)。三角突起51aを三角突起9aの後方側に移動させることにより、蓋体50を閉塞位置に配置することができる。閉塞位置では、三角突起51aが三角突起9aに接触して蓋体50の(前方への)回転が阻害され、蓋体50はその位置に保持される。
【0091】
蓋体50が閉塞位置に配置されると、周壁51の内側面と基体2の湾曲壁の外側面との間には、一定の僅かな間隙が形成される。蓋体50が閉塞位置に配置されると、アーチ部5も周壁51の内側面に対向する。このため、蓋体50に上方から大きな力が加わった場合であっても、その荷重をアーチ部5によって受けることができる。上方からの荷重によって蓋体50が変形したり、蓋体50が破損したりする恐れはない。なお、蓋体50の周壁51の軸は基体2の湾曲壁の軸に一致し、且つ、周壁51は、湾曲壁よりも一回り大きな円弧状を呈している。このため、蓋体50の回転が、基体2の湾曲壁によって妨げられることもない。
【0092】
周壁51には、上記閉塞位置に配置された時に上方側に配置される縁部の中央部分に、指掛け部51bが形成されている。指掛け部51bは、上記縁部を半球状に隆起させた部分から構成される。蓋体50が閉塞位置に配置されている状態から排出口2bを開放させる場合、使用者は、指掛け部51bに指を掛けて、周壁51に力を加える。
【0093】
周壁51に十分な力が加えられると、三角突起51aが三角突起9aを乗り越えて、蓋体50が回転(図17において反時計回りに回転)し、蓋体50が下方に移動する。蓋体50の回転軸は、基体2や捕塵体30の回転軸と一致するため、蓋体50(の周壁51)は、基体2の湾曲壁や捕塵体30の周壁31に沿って移動する(図18参照)。
【0094】
基体2の段差部9は、その外面が、基体2の他の部分の外面よりも一段低く形成されている。このため、蓋体50を移動(開閉)させた際に、三角突起51aが基体2の外面に接触することはなく、三角突起51aが、蓋体50を開閉する際の障害となることはない。
【0095】
側壁52の内側面には、三角突起51aに近接する位置に、回転止め52aが設けられている。回転止め52aは、側壁52の内側面から基体2の側壁6側に突出するように形成されている。車輪20の回転を阻害することがないように、回転止め52aと車輪20の外周面との間には、十分な間隙が形成されている。
【0096】
回転止め52aは、蓋体50の開き過ぎを防止するためのものである。蓋体50を閉塞位置から開放させると、回転止め52aが、側壁6に設けられた回転止め11に徐々に接近する。そして、蓋体50が所定の位置に達すると、回転止め52aが回転止め11に上方から接触し、蓋体50の回転が阻止される(図19参照)。即ち、回転止め11及び52aにより、蓋体50が必要以上に開いてしまうことを防止できる。
回転止め52aは、側壁6に設けられた回転止め11の位置に合わせて、周壁51の内側面に設けても良い。
【0097】
蓋体50の開き過ぎを防止するための機能は、掃除具1において必須ではない。
図20は、回転止め11及び52aが備えられていない掃除具1の構成を示している。蓋体50は、その回転軸が、基体2や車輪20、捕塵体30の回転軸と一致する。このため、回転止め11及び52aが備えられていない場合は、蓋体50の先端が基体2の後壁4或いは円筒部7に接触するまで、蓋体50を回転(開放)させることができる。
【0098】
このような構成を有する掃除具1では、蓋体50を最大限に開くと、捕塵体30の下方を覆うように蓋体50を配置することができる。上述したように、捕塵体30は、塵埃を捕集するためのものであり、掃除具1の使用によって徐々に汚れてくる。排出口2bから収塵室30a内の塵埃を取り出す際に、蓋体50によって捕塵体30の露出部分を覆うことができれば、捕塵体30によって使用者や周りのものを汚してしまうことがなく、利便性を向上させることができる。
【0099】
図20に示す51cは、周壁51の外面に設けられた脚部である。脚部51cは、捕塵体30の下方を覆うように蓋体50が配置された際に、蓋体50の最下位置に配置される。脚部51cは、蓋体50の最下位置に配置された際に平坦な面が下を向くように、周壁51の外面に設けられている。
【0100】
このような構成の蓋体50を備えることにより、排出口2bを開放させたまま、掃除具1を、例えば、机の上や床の上に安定した状態で置くことができる。例えば、収塵室30a内で引っ掛かってしまった塵埃を指で摘んで排出口2bから取り出すような作業でも、掃除具1を置いた状態で簡単に行うことができる。上記作業中に掃除具1が振動して捕塵体30から塵埃が落下しても、机の上や床の上を汚してしまうこともない。
【0101】
掃除具1は、蓋体50の回転軸が、基体2や捕塵体30の回転軸と一致するため、蓋体50の開閉状態に関わらず、掃除具1の外径寸法をほぼ同じように保つことができる(図17乃至図20参照)。特許文献1に記載されたもののように、排出口を開閉するために、蓋体を二枚貝のように開く必要はない。このため、蓋体50を開放させた際に、使用者の手や指、周りのものが、蓋体50に引っ掛かってしまうことがない。また、意図せずに蓋体50に過荷重が加わって、蓋体50や基体2を破損させてしまう恐れもない。使用者が、掃除具1をゴミ箱の上で叩いて、内部に溜まった塵埃を取り出す場合でも、過度な荷重が蓋体50に作用することはない。
【0102】
側壁52には、円筒部53の根元部分に、座部54が設けられている。座部54は、円筒部53が円筒部10の内部に適切に配置された際に、円筒部10の他端部の端面に対向し、且つ、接触するように形成されている。座部54は、側壁52が基体2の側壁6に対向する方向と同じ方向から、円筒部10の端面に接触する。
【0103】
座部54は、基体2の側壁6と蓋体50の側壁52との間に、車輪20のための十分なスペースを確保するためのものである。即ち、座部54は、掃除具1の使用時に、側壁52が車輪20に接触することを防止する。
【0104】
蓋体50の側壁52は、車輪20の中心部に形成された孔(円筒部21の内径部分)を覆うように、車輪20の外側に配置される。側壁52を車輪20の外側に配置したのは、掃除具1の使い勝手を向上させるためである。側壁52が車輪20の外側に配置されているため、掃除の最中に、周囲のものが車輪20と接触することを防止できる。
【0105】
しかし、車輪20の外側を側壁52で単に覆っただけでは、家屋の壁や周りのものが蓋体50に側方から接触した際に、その荷重によって側壁52が撓んでしまうことがある。側壁52が撓むと、側壁52が車輪20に接触し、車輪20の回転が阻害されてしまう。
【0106】
座部54が円筒部10の端面に対向するように配置されているため、蓋体50は、側壁52が外側から荷重を受けても、その荷重を座部54で受けることができる。即ち、上記構成の蓋体50であれば、家屋の壁や周りのものが側方から接触しても、側壁52が大きく撓むことはない。このため、壁際や狭い場所を掃除する場合であっても、基体2の側壁6と蓋体50の側壁52との間に、常に十分なスペースを確保することができる。即ち、車輪20の回転が阻害されて、掃除具1の操作性が損なわれることはない。
【0107】
なお、蓋体50が閉塞位置に配置された時に前側に配置される周壁51の縁部と側壁52の端部とは、前除塵体40の下端部の前側面と同様に、斜め上向きの角度でカットされたような形状を呈している(図11参照)。このため、例えば、掃除の際に掃除具1が前下がりの角度で使用された場合であっても、掃除具1の先端部分で被掃除面を傷付けてしまうことはない。
【0108】
上記構成の蓋体50は、例えば、プラスチックによる一体成形で製造される。
蓋体50をプラスチックによる一体成形で製造する場合、側壁52の内側面に設けられた円筒部53は、金型の構成上、アンダーカットになる。このため、円筒部53を成形するためには、スライド型が必要になる。
【0109】
周壁51や側壁52に設けられた三角突起51a及び回転止め52aは、円筒部53と同様に、蓋体50の端部側に配置されている。このため、三角突起51a及び回転止め52aについても、上記スライド型によって成形することが望ましい。三角突起51aや回転止め52aを円筒部53と同じスライド型で成形する場合は、円筒部53の軸方向にアンダーカットを生じさせることはできない。したがって、三角突起51a及び回転止め52aは、側壁52の内側面に達するまで、円筒部53の軸方向に同一断面形状で形作ることが必要になる。
【0110】
三角突起51aについては、かなり小さな寸法で構成しても、必要な機能を実現することができる。しかし、三角突起51aの反対側の面(周壁51の外側面)は、製品の意匠面となるため、三角突起51aの反対側にヒケが発生することは好ましくない。このため本掃除具1では、蓋体50の三角突起51aを必要寸法以上の寸法で成形するとともに、周壁51の外側面のうち、三角突起51aの反対側に相当する部分に、デザイン的に処理された凹み部51dを予め成形している。かかる構成であれば、成形の度に不安定に発生するヒケ(へこみ)を目立たなくさせることができ、歩留まりを向上させることが可能となる。
【0111】
また、三角突起51a及び回転止め52aをスライド型で成形することにより、以下の効果を奏することも可能となる。
上述したように、三角突起51aは、蓋体50を閉塞位置に保持するためのものである。蓋体50を閉塞位置に保持するための保持力は、掃除具1の使用時に蓋体50が不意に開放してしまうことを防止するため、ある程度大きな値に設定しなければならない。即ち、三角突起51aと三角突起9aとの係合寸法は、ある程度大きく設定しておく必要がある。一方、三角突起51aと三角突起9aとの係合寸法が大き過ぎると、蓋体50の開放操作が困難になり、好ましくない。
【0112】
ばね等の吸収部材を採用すれば、このような問題を簡単に解決することができる。しかし、掃除具1を軽量で安価に構成するためには、上記吸収部材を採用することは好ましくない。吸収部材を採用しない場合は、三角突起51aと三角突起9aとの係合寸法を僅かずつ追い込み、適切な保持力を得る必要がある。本掃除具1のように、小型で独立したスライド型によって三角突起51aと回転止め52aとを成形すれば、上記追い込み作業を容易に行うことが可能となる。
【0113】
蓋体50をプラスチックによる一体成形で形成すれば、蓋体50を透明にすることもできる。蓋体50を透明なプラスチックで成形した場合は、蓋体50を開けることなく、収塵室30aに溜まった塵埃の量を排出口2bから確認することができる。
【0114】
持ち手60は、使用者が手に持って掃除具1を使用する場合に、使用者が実際に掴む部分を構成する。また、使用者が掃除具1を電気掃除機に接続して使用する場合、持ち手60は、電気掃除機の手元パイプ70に接続される継ぎ手部分を構成する。このため、持ち手60には、使用者が把持するための機能と、手元パイプ70に接続するための機能との双方が備えられている。
【0115】
持ち手60は、中空のパイプ状を呈する所定の長さの部材からなる。持ち手60は、一端部が基体2の円筒部7に接続される。持ち手60は、基体2の後方側に延び、その他端部は、基体2の後方で開口する。持ち手60の他端部に形成された上記開口が、吸い込み口60aである。持ち手60が基体2に適切に接続されると、基体2の内部空間、円筒部7の中空部、持ち手60の中空部を介して、基体2の導入口2aから吸い込み口60aまでが掃除具1内で通じるようになる。
【0116】
以下においては、持ち手60について、基体2に近い方(上記一端部側)を元、基体2から遠い方(上記他端部側)を先とも表現する。
【0117】
持ち手60は、円筒部7に適切に接続されると、円筒部7に対して一直線状に配置される。持ち手60の軸は、車輪20や捕塵体30、蓋体50の軸に対して直交するように配置される。持ち手60は、導入口2aが下を向くように基体2が配置されると、先側が元側よりも上方位置となるように、斜め上向きに配置される。
【0118】
持ち手60は、元側を構成する継手部61と、継手部61よりも先側を構成する握り部62とにより構成されている。
継手部61は、持ち手60を、基体2の円筒部7や手元パイプ70に接続するための要部を構成する。継手部61は、略円筒状を呈している。継手部61は、内周面の断面が、円筒部7の外周面の径よりも僅かに大きい径の円形を呈する。継手部61の中空部には、その元側の端部から、基体2の円筒部7が挿入される。継手部61の内径は、成形のための抜き勾配を加味しなければ、継手部61の全体に渡って変化していない。
【0119】
継手部61の先側の部分には、一対の角孔61aが形成されている。角孔61aは、円筒部7の角突起7bに対応して設けられたものである。角突起7bが角孔61a内に適切に配置されるまで円筒部7を継手部61の中空部に挿入することにより、持ち手60を基体2に適切に取り付けることができる。
【0120】
継手部61の外周面は、断面が、手元パイプ70の内周面の径よりも僅かに小さい径の円形を呈する。継手部61の外周面は、手元パイプ70の内周面のテーパに合わせて、軸方向に僅かなテーパが付けられている。継手部61の外周面には、リング状の位置決め部61bが設けられている。位置決め部61bは、継手部61の中央部分に、その外周面から突出するように形成されている。継手部61には、位置決め部61bよりも先側の部分に、一対の回転止め61cが設けられている。回転止め61cは、継手部61の外周面から外側(例えば、上方)に突出するように形成されている。位置決め部61b及び回転止め61cの具体的な機能については後述する。
【0121】
握り部62は、元側の断面と先側の断面とが異なる形状を呈している。握り部62の元側の端部を除く部分は、使用者が掴み易いように、略楕円形の断面を有している。握り部62の先端面の開口形状(吸い込み口60aの開口形状に一致)は、左右及び上側に僅かに平坦な部分が設けられた楕円形を呈している。この楕円の長径及び短径は、継手部61の内径よりも小さい値に設定されている。
【0122】
握り部62のうち、継手部61の先側に接続されている部分は、断面が、継手部61の先側と同じ円形を呈している。このため、握り部62の元側の端部には、先端に近づくに従って、断面が円形から略楕円形に徐々に変化する部分(変形部分)が設けられている。持ち手60のうち、上記変形部分よりも先側に配置された部分は、上述したように、断面が略楕円形を呈する。しかし、その断面形状も先端まで一定に形成されている訳ではない。上記変形部分よりも先側に配置された部分は、上下方向の寸法及び上下面の形状が、手元パイプ70の内周面の形状に合わせて成形されている。その具体的な内容については後述する。
【0123】
なお、一般的な電気掃除機において、手元パイプ70に接続するアタッチメント等の継手部は、断面が円形で、50mm程度の長さを有している。また、その継手部には、手元パイプ70の内周面のテーパに合わせて、軸方向に僅かなテーパが付けられている。
【0124】
握り部62の元側の端部には、上面に、ラッチ受け部62aが設けられている。また、握り部62の先側の端部には、吸い込み口60aの下方位置に、三日月状の防止リブ62bが設けられている。防止リブ62bは、使用者が掃除具1を手に持って使用する際に、使用者の手が持ち手60(握り部62)から抜け落ちてしまうことを防止するためのものである。防止リブ62bは、握り部62の下面から下方に突出するように設けられている。
【0125】
次に、使用者が、上記構成を有する掃除具1を手に持って使用する時の操作方法、及びその時の掃除具1の動きについて、具体的に説明する。
掃除具1を使用して掃除を行う時は、蓋体50を予め閉塞位置に配置しておき、排出口2bを閉じた状態にしておく。
【0126】
使用者は、持ち手60の握り部62を把持し、車輪20が被掃除面に接触するように、掃除具1を被掃除面上に置く。この状態で掃除具1を前方に動かすと、捕塵体30から下方に突出する柔突起体33が、被掃除面との摩擦によって後方側に力を受ける。したがって、掃除具1を前方に動かすことにより、捕塵体30が車輪20と同じ方向(図11における反時計回り)に回転する。
【0127】
この捕塵体30の回転は、周壁31の後端部31bが隔壁8の回転止め8bに後方から接触することによって止まる。また、周壁31の後端部31bが回転止め8bに接触する位置まで周壁31が傾くと、前捕塵ブラシ34が周壁31の最下位置に達し、被掃除面に接触する。図12はこの状態を示している。
【0128】
上述したように、前捕塵ブラシ34は、傾斜パイルが前端部31a側を向くように傾倒されている。このため、図12に示す状態では、前捕塵ブラシ34の傾斜パイルは、先端が前方を向くように、斜め下向きに配置される。この状態で掃除具1を前方に動かすと、被掃除面の塵埃が前捕塵ブラシ34によってすくい上げられ、被掃除面から塵埃を取り除くことができる。
【0129】
次に、掃除具1を後方に動かすと、捕塵体30の柔突起体33が、被掃除面との摩擦によって前方側に力を受ける。このため、掃除具1を後方に動かすことにより、捕塵体30が車輪20と同じ方向(図11における時計回り)に回転する。この捕塵体30の回転は、周壁31の前端部31aが隔壁8の回転止め8bに前方から接触することによって止まる。また、周壁31の前端部31aが回転止め8bに接触する位置まで周壁31が傾くと、後捕塵ブラシ35が周壁31の最下位置に達し、被掃除面に接触する。図13はこの状態を示している。
【0130】
上述したように、後捕塵ブラシ35は、傾斜パイルが後端部31b側を向くように傾倒されている。このため、図13に示す状態では、後捕塵ブラシ35の傾斜パイルは、先端が後方を向くように、斜め下向きに配置される。この状態で掃除具1を後方に動かすと、被掃除面の塵埃が後捕塵ブラシ35によってすくい上げられ、被掃除面から塵埃を取り除くことができる。
【0131】
なお、直前に掃除具1を前方に動かして前捕塵ブラシ34ですくい上げた塵埃は、この段階では、前捕塵ブラシ34に付着したままである。
【0132】
その後、掃除具1の移動方向を再度反転させて、掃除具1を前方に移動させると、柔突起体33が被掃除面から摩擦力を受けて、捕塵体30が車輪20と同じ方向(図11における反時計回り)に回転する。前除塵体40の前除塵ブラシ45は、ばね44によって前捕塵ブラシ34側に押し付けられ、且つ、その傾斜パイルが上方側を向くように傾倒されている。このため、捕塵体30が再び(図11における反時計回りに)回転を始めると、前捕塵ブラシ34に付着している塵埃が、前除塵ブラシ45によってすくい上げられ、前捕塵ブラシ34から取り除かれる。即ち、前捕塵ブラシ34に付着していた塵埃が、前除塵ブラシ45に移動する。前捕塵ブラシ34が前除塵ブラシ45を通過して再び周壁31の最下位置に配置された時には、前捕塵ブラシ34に塵埃はほとんど付着していない。
【0133】
周壁31の後端部31bが隔壁8の回転止め8bに接触する位置まで捕塵体30が傾くと、きれいになった前捕塵ブラシ34が被掃除面に接触して、再び図12に示す状態になる。使用者は、この状態で掃除具1を前方に移動させ、被掃除面の新たな塵埃を前捕塵ブラシ34ですくい上げる。
【0134】
その後、掃除具1の移動方向を再度反転させて、掃除具1を後方に移動させると、柔突起体33が被掃除面から摩擦力を受けて、捕塵体30が車輪20と同じ方向(図11における時計回り)に回転する。後除塵体41の後除塵ブラシ46は、ばね44によって後捕塵ブラシ35側に押し付けられ、且つ、その傾斜パイルが上方側を向くように傾倒されている。このため、捕塵体30が再び(図11における時計回りに)回転を始めると、後捕塵ブラシ35に付着している塵埃が、後除塵ブラシ46によってすくい上げられ、後捕塵ブラシ35から取り除かれる。即ち、後捕塵ブラシ35に付着していた塵埃が、後除塵ブラシ46に移動する。後捕塵ブラシ35が後除塵ブラシ46を通過して再び周壁31の最下位置に配置された時には、後捕塵ブラシ35に塵埃はほとんど付着していない。
【0135】
一方、捕塵体30が再び(図11における時計回りに)回転を始めると、前除塵ブラシ45に付着している塵埃が、前捕塵ブラシ34によってすくい上げられ、前除塵ブラシ45から取り除かれる。そして、その塵埃は、周壁31の前端部31aを乗り越えて、収塵開口30bから収塵室30aに収容される。
【0136】
周壁31の前端部31aが隔壁8の回転止め8bに接触する位置まで捕塵体30が傾くと、きれいになった後捕塵ブラシ35が被掃除面に接触して、再び図13に示す状態になる。使用者は、この状態で掃除具1を後方に移動させ、被掃除面の新たな塵埃を後捕塵ブラシ35ですくい上げる。
【0137】
その後、掃除具1の移動方向を再度反転させて、掃除具1を前方に移動させると、柔突起体33が被掃除面から摩擦力を受けて、捕塵体30が車輪20と同じ方向(図11における反時計回り)に回転する。これにより、前捕塵ブラシ34に付着している塵埃が、前除塵ブラシ45によってすくい上げられ、前除塵ブラシ45に移動する。
【0138】
一方、捕塵体30が(図11における反時計回りに)回転を始めることにより、後除塵ブラシ46に付着している塵埃が、後捕塵ブラシ35によってすくい上げられ、後除塵ブラシ46から取り除かれる。そして、その塵埃は、周壁31の後端部31bを乗り越えて、収塵開口30bから収塵室30aに収容される。
【0139】
周壁31の後端部31bが隔壁8の回転止め8bに接触する位置まで捕塵体30が傾くと、きれいになった前捕塵ブラシ34が被掃除面に接触して、再び図12に示す状態になる。使用者は、この状態で掃除具1を前方に移動させ、被掃除面の新たな塵埃を前捕塵ブラシ34ですくい上げる。
【0140】
以上の工程を繰り返すことにより、被掃除面の塵埃は、前捕塵ブラシ34及び前除塵ブラシ45を経由して、或いは、後捕塵ブラシ35及び後除塵ブラシ46を経由して、収塵室30aに集められる。即ち、使用者は、掃除具1を被掃除面に当てて前後に往復移動させるだけで、塵埃を除去することができる。
【0141】
本掃除具1では、前除塵体40は、ばね44によって捕塵体30側に押し付けられている。このため、捕塵体30の回転時に前除塵ブラシ45を前捕塵ブラシ34に強く押し当てることができ、前捕塵ブラシ34に付着している塵埃を前除塵ブラシ45によって確実にすくい上げることができる。また、粒径の大きな塵埃が前捕塵ブラシ34によってすくい上げられた場合は、前除塵体40が、その塵埃の大きさに応じて、捕塵体30との隙間が広がるように前方側に移動する。したがって、粒径の大きな塵埃でも、スムーズに収塵室30aまで導くことができる。後除塵体41についても同様である。
【0142】
捕塵体30は、基体2に対する傾きが最大になっても、収塵開口30bが導入口2aから露出することがないように構成されている。例えば、捕塵体30は、周壁31の後端部31bが回転止め8bに接触するまで傾いた際に、前端部31aが、前除塵ブラシ45(の最下端)よりも上方位置に配置される。このため、掃除の最中に、収塵室30a内の塵埃が導入口2aからこぼれ落ちてしまうことはない。このような構成は、回転止め8bの幅や、前端部31a及び後端部31bの高さ、前除塵ブラシ45及び後除塵ブラシ46の高さを適切に設定することによって実現できる。
【0143】
捕塵体30は、柔突起体33が前除塵体40及び後除塵体41に接触する前に、捕塵体30の基体2に対する回転が止まるように構成されている。即ち、周壁31の前端部31a或いは後端部31bが回転止め8bに接触した時に、柔突起体33は、後除塵体41よりも所定距離前側、或いは、前除塵体40よりも所定距離後側に配置される。このため、柔突起体33が前除塵体40や後除塵体41に接触して不快な音が発生することはなく、使用者は、掃除具1を用いて快適に掃除を行うことができる。
【0144】
蓋体50は、通常時、閉塞位置に保持されている。このため、掃除の最中に、収塵室30a内の塵埃が排出口2bから飛び出てしまうことはない。
【0145】
蓋体50は、その回転軸が、基体2や車輪20、捕塵体30の回転軸と一致する。このため、家屋の壁や周りのものに掃除具1の先端部分をぶつけてしまった時の衝突位置は、蓋体50の回転軸の高さに一致する。したがって、掃除の最中に掃除具1の先端部分を壁等にぶつけてしまっても、蓋体50を開放させるような荷重が蓋体50に作用することはない。本掃除具1では、使用時の角度に関わらず、衝突位置の高さと蓋体50の回転軸の高さとが一致する。このため、掃除具1を多少傾けて使用した場合であっても、掃除の最中に蓋体50が開放してしまう恐れはない。
【0146】
収塵室30a内に溜まった塵埃を取り除きたい場合は、指掛け部51bに指を引っ掛けて、蓋体50に力を加えれば、蓋体50を簡単に開放することができる。指掛け部51bは蓋体50の中央部分に形成されているため、使用者は、片手で持ち手60を掴んだまま、上記開放操作を行うことができる。蓋体50を開放した後は、排出口2bを下に向けることにより、収塵室30a内の塵埃を収塵室30aから簡単に排出することができる。
【0147】
次に、使用者が、掃除具1を電気掃除機に接続して使用する時の操作方法について、具体的に説明する。
掃除具1を電気掃除機に接続して掃除を行う場合、使用者は、蓋体50を閉塞位置に配置してから、掃除具1の持ち手60を電気掃除機の手元パイプ70に接続する。
【0148】
手元パイプ70は、電気掃除機の本体(図示せず)と伸縮パイプ80との間に設けられるものである。手元パイプ70は、操作部71、操作部71に接続されたホース72、ホース72に接続された掃除機接続管(図示せず)により、要部が構成される。掃除機接続管は、掃除機本体に接続するための管体である。
【0149】
操作部71は、掃除の際に、使用者が持って操作する部分を構成する。操作部71には、塵埃が通るための管路71aが形成されている。操作部71には、グリップ部73及び継手部74が備えられている。グリップ部73は、使用者が実際に把持する部分である。グリップ部73には、例えば、電気掃除機の電源の入り切りを行うためのスイッチや、運転モードを切り替えるためのスイッチ(共に図示せず)が設けられている。
【0150】
管路71aは、操作部71の内部において、への字状になだらかに屈曲するように形成されている。これは、伸縮パイプ80を継手部74に接続した時の使用者の使い勝手を考慮したものである。即ち、伸縮パイプ80を継手部74に接続した状態で使用者がグリップ部73を握ると、伸縮パイプ80の先端が被掃除面の方(斜め下方)を向き、且つ後方のホース72が下向きに傾くように配置される。管路71aの断面は、円形を呈している。
【0151】
継手部74は、伸縮パイプ80や種々のアタッチメントを接続する部分を構成する。継手部74には、掃除具1も接続される。継手部74には、接続した伸縮パイプ80やアタッチメントが抜けてしまうことを防止するためのラッチ74aが設けられている。管路71aは、継手部74の先端面で開口する。継手部74の先端部分には、接続したアタッチメント等の回転を防止するための凹部74bが形成されている(図23参照)。
【0152】
掃除具1を手元パイプ70に接続する方法は、一般的な電気掃除機の種々のアタッチメントを手元パイプ70に接続する場合と同様である。即ち、掃除具1を手元パイプ70に接続する場合は、継手部74の端面の開口から、管路71a内に、掃除具1の持ち手60をその吸い込み口60a側から挿入する。この時、持ち手60の回転止め61cを継手部74の凹部74bの位置に合わせて挿入し、回転止め61cを凹部74bに嵌め合わせる。これにより、持ち手60の手元パイプ70に対する回転を防止できる。また、手元パイプ70を、継手部74の先端が持ち手60の位置決め部61bに当たるまで押し込む。これにより、ラッチ74aの先端部がラッチ受け部62a内に配置され、掃除具1を手元パイプ70に適切に接続することができる。
【0153】
掃除具1の持ち手60には、上述したように、使用者が掃除具1を手に持って使用する時の使い勝手を考慮して、先端部分に防止リブ62bが備えられている。防止リブ62bは、例えば、その下端が、握り部62の元側の下端よりも、継手部61の軸から離れた位置に配置されている。
【0154】
握り部62の上面及び下面は、上下方向の寸法(上下幅)とその形状とが、手元パイプ70の内周面に合わせて成形されている。具体的に、握り部62は、ラッチ受け部62aよりも先側の上面(上端)が、先端に近づくに従って継手部61の軸に接近するような、上方に凸状を呈する円弧状を呈している。即ち、握り部62の上記部分の上面は、元側から弧を描きながら徐々に下降し、先側の吸い込み口60aに至るように形成されている。一方、握り部62の同じ部分の下面(下端)は、先端に近づくに従って継手部61の軸に僅かに接近するような、上方に凸状を呈する円弧状或いは直線状を呈している。
【0155】
握り部62が上記構成を有するため、握り部62が手元パイプ70の管路71aに挿入されると、握り部62は、防止リブ62bの下端、握り部62の湾曲した上面(の一部)、握り部62の下面(の一部)の3点を、壁面(内周面)に接触させながら管路71a内を進む。への字状に屈曲した管路71aの屈曲点に防止リブ62bが達すると、その先は、防止リブ62bが管路71aの壁面から離隔する。
【0156】
継手部74の先端が位置決め部61bに当たる位置に配置されると、ラッチ74aがラッチ受け部62aに掛かって、掃除具1と手元パイプ70との接続が完了する。かかる状態では、握り部62の先端は、管路71aの屈曲点よりも奥側に配置される(図24参照)。また、防止リブ62bの下端及び吸い込み口60aの縁部は、管路71aの壁面から離れた位置に配置される。
【0157】
掃除具1が手元パイプ70に適切に接続されると、持ち手60の継手部61は、その先側の端部が、管路71a内に配置される。この状態では、継手部61の軸と管路71aの軸とが一致し、ラッチ74aがラッチ受け部62a内に適切に配置されている。断面が円形の継手部61を手元パイプ70に嵌め合わせているため、掃除具1と手元パイプ70との接続部分に、掃除の時の負荷にも耐える機械的安定と、空気の漏れを防止する風路的安定とを備えることができる。即ち、使用者の握り易さを考慮して握り部62の断面を楕円形にしても、掃除具1(持ち手60)を手元パイプ70に強固に固定することができる。掃除具1を手元パイプ70に接続した後に持ち手60が手元パイプ70内でがたつくことはなく、掃除の最中に、持ち手60が手元パイプ70から外れてしまう恐れもない。
【0158】
なお、掃除具1は、伸縮パイプ80に接続できないように構成されている。
伸縮パイプ80は、電気掃除機を使用する際に、手元パイプ70と床面掃除具(図示せず)との間に接続されるものである。伸縮パイプ80は、例えば、手元パイプ70に接続される外管(図示せず)と床面掃除具に接続される内管81とを備えている。内管81は、外管の内部に収納可能となるように、外管に接続されている。内管81を外管の先に伸ばすことにより、伸縮パイプ80の全体の長さを変えることができる。
【0159】
内管81は、中空のパイプ状を呈している。内管81は、床面掃除具に接続される継手部81aの内径が、他の部分の内径よりも大きい。このため、内管81の内部には、先端面から所定距離離れた位置に、上記径の違いを解消するための隆起部81bが形成されている。
【0160】
掃除具1の持ち手60を内管81の端面から継手部81aの内部に挿入すると、内管81の端面が位置決め部61bに接触する前に、握り部62の防止リブ62bが隆起部81bに接触する。このため、内管81の継手部81aには、掃除具1の持ち手60を適切に取り付けることができない。このような構成にした主な目的は、被掃除面が傷付くことを防止するためである。
【0161】
掃除具1を手元パイプ70に接続して使用する場合は、掃除具1が使用者の手に近い位置に配置される。このため、掃除具1の操作を容易に行うことができ、使用者の注意も行き届く。掃除具1が手元パイプ70に接続されていれば、掃除具1が前下がりに大きく傾けられて、蓋体50の先端部分で被掃除面を傷付けてしまうことはない。
【0162】
一方、仮に、掃除具1を伸縮パイプ80に接続することができるようにした場合は、伸縮パイプ80の長さ分、掃除具1が使用者の手から離れた位置に配置されてしまう。このため、掃除具1の操作が困難になり、注意も行き届かなくなってしまう。
【0163】
また、手元パイプ70に伸縮パイプ80を接続した場合は、使用者が手元パイプ70のグリップ部73を握って立つと、伸縮パイプ80の角度がかなり急(伸縮パイプ80が立った状態)になってしまう。掃除具1を伸縮パイプ80に接続できるように構成すると、掃除の時に掃除具1が前下がりに大きく傾けられ、蓋体50の先端部分で被掃除面を傷付けてしまう恐れがある。
掃除具1を伸縮パイプ80に接続できないようにしたのは、このような理由によるものである。
【0164】
掃除具1を手元パイプ70に接続した状態であっても、掃除具1が被掃除面から塵埃を取り除く動作は、掃除具1を手に持って使用した時と同じである。即ち、掃除具1を被掃除面に当てて前後に往復移動させることにより、被掃除面の塵埃を、前捕塵ブラシ34及び前除塵ブラシ45を経由して、或いは、後捕塵ブラシ35及び後除塵ブラシ46を経由して、基体2の内部空間に導くことができる。基体2の内部空間に取り込まれた塵埃は、電気掃除機の吸引力により、空気とともに、持ち手60の中空部及び手元パイプ70の管路71aへと順次送られる。
【0165】
掃除具1を電気掃除機に接続して使用する場合は、被掃除面から取り除いた塵埃を、収塵室30aに溜めることなく連続的に吸引して処理することができる。このため、掃除具1からいやな臭いが発せられることがなく、衛生的である。また、寝具等には、繊維状の細かいふわふわした塵埃が付着している。掃除具1を電気掃除機に接続して使用すれば、このような塵埃を、捕塵体30ですくい上げる以外にも、導入口2aに形成された部品間の隙間から吸引することもできる。
【0166】
自動車のシートやトランクルームを掃除する時等、電源の確保が困難な場合、カーテンを掃除する時等、吸引するとかえって掃除がし難い場合、音に敏感なペットの近傍を掃除する場合は、電気掃除機を使用せず、掃除具1を手に持って掃除を行えば良い。この場合は、例えば、掃除が終了した後に掃除具1を別の場所で電気掃除機に接続し、収塵室30aに溜まった塵埃をまとめて吸引し、処理することもできる。
【符号の説明】
【0167】
1 掃除具
2 基体、 2a 導入口、 2b 排出口、 3 前壁、 4 後壁、 5 アーチ部、 5a 上面、 5b 補強リブ、 6 側壁、 6a 保持孔、 7 円筒部、 7a スリット、 7b 角突起、 8 隔壁、 8a 保持孔、 8b 回転止め、 9 段差部、 9a 三角突起、 10 円筒部、 10a リブ、 11 回転止め
20 車輪、 21 円筒部、 21a 突起
30 捕塵体、 30a 収塵室、 30b 収塵開口、 31 周壁、 31a 前端部、 31b 後端部、 31c 長孔、 32 側壁、 33 柔突起体、 33a 装着部、 33b 円錐柔突起部、 33c へら柔突起部、 33d 抜け止め、 33e 柔突起部、34 前捕塵ブラシ、 35 後捕塵ブラシ、 36 突起体、 37 潤滑リング、
40 前除塵体、 41 後除塵体、 42 本体部、 43 回転軸、 44 ばね、 45 前除塵ブラシ、 46 後除塵ブラシ
50 蓋体、 51 周壁、 51a 三角突起、 51b 指掛け部、 51c 脚部、 51d 凹み部、 52 側壁、 52a 回転止め、 53 円筒部、 54 座部
60 持ち手、 60a 吸い込み口、 61 継手部、 61a 角孔、 61b 位置決め部、 61c 回転止め、 62 握り部、 62a ラッチ受け部、 62b 防止リブ
70 手元パイプ、 71 操作部、 71a 管路、 72 ホース、 73 グリップ部、 74 継手部、 74a ラッチ、 74b 凹部
80 伸縮パイプ、 81 内管、 81a 継手部、 81b 隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に内部空間に通じる導入口が、上面に前記内部空間に通じる第1排出口及び第2排出口が形成された基体と、
前記基体に回転自在に設けられ、一部が、前記導入口から前記基体の下方に突出する捕塵体と、
を備え、
前記捕塵体は、
上方に開口し、その開口が前記第1排出口及び前記第2排出口に対向する収塵室と、
を備え、
前記基体は、
前記第1排出口及び前記第2排出口の間に配置され、前記第1排出口の縁部及び前記第2排出口の縁部を形成する補強部と、
を備えた掃除具。
【請求項2】
前記基体に接続された持ち手と、
を備え、
前記補強部は、平面視、前記持ち手と一直線状に配置された
請求項1に記載の掃除具。
【請求項3】
前記基体は、
断面が円弧状を呈する所定の長さの湾曲壁と、
を備え、
前記第1排出口及び前記第2排出口は、前記湾曲壁に形成され、
前記補強部は、前記湾曲壁の弧長方向に配置され、上面が、上方に凸状を呈するように湾曲された
請求項1又は請求項2に記載の掃除具。
【請求項4】
前記基体に回転自在に設けられた車輪と、
前記基体に回転自在に設けられ、前記第1排出口及び前記第2排出口を開閉する蓋体と、
を備え、
前記捕塵体の回転軸と前記車輪の回転軸と前記蓋体の回転軸とは、同一直線上に配置された請求項1から請求項3の何れかに記載の掃除具。
【請求項5】
前記基体に回転自在に設けられた車輪と、
前記基体に回転自在に設けられ、前記第1排出口及び前記第2排出口を開閉する蓋体と、
を備え、
前記蓋体は、
前記基体の側壁の外側面に、前記基体の一側から対向する側壁と、
前記蓋体の前記側壁に設けられ、前記基体の一部に、前記基体の一側から接触する座部と、
を備え、
前記車輪は、前記基体の前記側壁と前記蓋体の前記側壁との間に配置された
請求項1から請求項3の何れかに記載の掃除具。
【請求項6】
前記基体に接続された持ち手と、
を備え、
前記持ち手は、
前記基体に接続された円筒状を呈する継手部と、
前記継手部から前記基体の後方側に延び、先端に近づくに従って、断面が円形から楕円形に徐々に変化する中空の握り部と、
を備えた請求項1から請求項5の何れかに記載の掃除具。
【請求項7】
下面に内部空間に通じる導入口が、上面に前記内部空間に通じる排出口が形成された基体と、
前記基体に回転自在に設けられ、一部が、前記導入口から前記基体の下方に突出する捕塵体と、
前記基体に回転自在に設けられた車輪と、
前記基体に回転自在に設けられ、前記排出口を開閉する蓋体と、
を備え、
前記捕塵体の回転軸と前記車輪の回転軸と前記蓋体の回転軸とは、同一直線上に配置された掃除具。
【請求項8】
前記基体は、
側壁と、
前記基体の前記側壁に設けられ、前記基体の前記側壁の外側面から突出する円筒部と、
を備え、
前記蓋体は、
前記基体の前記側壁の外側面に、前記基体の一側から対向する側壁と、
前記蓋体の前記側壁に設けられ、外周面が前記基体の前記円筒部の内周面に対向する円筒部と、
を備え、
前記車輪は、
内周面が前記基体の前記円筒部の外周面に対向する円筒部と、
を備え、前記基体の前記側壁と前記蓋体の前記側壁との間に配置された
請求項7に記載の掃除具。
【請求項9】
前記蓋体は、
前記蓋体の前記側壁に設けられ、前記基体の前記円筒部の端面に、前記基体の一側から接触する座部と、
を備えた請求項8に記載の掃除具。
【請求項10】
下面に内部空間に通じる導入口が、上面に前記内部空間に通じる排出口が形成された基体と、
前記基体に回転自在に設けられた車輪と、
前記基体に回転自在に設けられ、前記排出口を開閉する蓋体と、
を備え、
前記蓋体は、
前記基体の側壁の外側面に、前記基体の一側から対向する側壁と、
前記蓋体の前記側壁に設けられ、前記基体の一部に、前記基体の一側から接触する座部と、
を備え、
前記車輪は、前記基体の前記側壁と前記蓋体の前記側壁との間に配置された
掃除具。
【請求項11】
前記基体は、
前記基体の前記側壁に設けられ、前記基体の前記側壁の外側面から突出する円筒部と、
を備え、
前記蓋体は、
前記蓋体の前記側壁に設けられ、外周面が前記基体の前記円筒部の内周面に対向する円筒部と、
を備え、
前記車輪は、
内周面が前記基体の前記円筒部の外周面に対向する円筒部と、
を備え、
前記座部は、前記基体の前記円筒部の端面に、前記基体の一側から接触する
請求項10に記載の掃除具。
【請求項12】
下面に内部空間に通じる導入口が、上面に前記内部空間に通じる排出口が形成された基体と、
前記基体に接続された持ち手と、
を備え、
前記持ち手は、
前記基体に接続された円筒状を呈する継手部と、
前記継手部から前記基体の後方側に延び、先端に近づくに従って、断面が円形から楕円形に徐々に変化する中空の握り部と、
を備えた掃除具。
【請求項13】
前記持ち手は、
前記握り部の先端に設けられ、下方に突出するリブと、
を備え、
前記握り部は、前記継手部から先端に至る上面が、上方に凸状を呈する円弧状を呈し、
前記握り部は、所定の径を有する管路に挿入されると、上面及び下面の各一部と前記リブの下端とが、前記管路の壁面に接触する
請求項12に記載の掃除具。
【請求項14】
請求項1から請求項13の何れかに記載の掃除具が手元パイプに接続可能な電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−22064(P2013−22064A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156904(P2011−156904)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】