説明

掃除具

【課題】 小さな力で汚れを除去することが出来る掃除具を提供する。
【解決手段】 掃除具1は、図示しない駆動機構が収納された把持体10と、駆動機構の駆動軸に取り付けられると共に、把持体10の前面側(図の左側)に配置された球冠形状の研磨体20とから主に構成されている。研磨体20は、駆動機構の駆動軸に取り付けられた球冠形状のベース21と、ベース21に脱着自在に取り付けられた研磨布40とを備えている。尚、研磨体20のベース21は、その中心軸の周りに回転させるように駆動機構の駆動軸に取り付けられている。このように、汚れに接する面(研磨布40の外面)が球冠形状に形成されているため、研磨体20を電磁調理器の天板の汚れに押し付けると、研磨布40の外面の一部のみが汚れに接触することになる。即ち、接触面積が小さくなることで研磨体20を押し付ける力が集中するため、小さな力で汚れを除去することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は掃除具に関し、特に、電磁調理器の天板の汚れを除去するための掃除具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁調理器の天板には、調理時における油はね等の汚れが付着する。このような汚れを除去するために、種々の掃除具が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図10は特許文献1で開示された掃除具を示す斜視図である。
【0004】
図を参照して、掃除具である洗浄ブラシ70は、洗浄剤が充填されたエアゾール缶75と、エアゾール缶75を支持するための支持部71と、支持部71に取り付けられたハンドル部72と、支持部の先端に接続されたヘッダー部73と、ヘッダー部73に取り付けられたブラシ74とから主に構成されている。ヘッダー部73は支持部71に収納されたモーター77に接続されているため、ヘッダー部73及びブラシ74は図の矢印で示すように回転することが出来る。
【0005】
このように構成された洗浄ブラシ70においては、エアゾール缶75から洗浄剤を噴射すると共に、回転するブラシ74を汚れに押し当てることで汚れを除去する。
又、汚れに接する部分を回転させて汚れを除去する掃除具としては、該部分がスポンジで構成されたもの(特許文献2)、又は該部分の取替えが可能な構成にすることで用途に応じて使い分けが出来ると共に、ブラシ等の角度が変更出来るために汚れの除去が迅速となるもの(特許文献3)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−43234号公報
【特許文献2】特開平8−256967号公報
【特許文献3】特開平10−216652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来の掃除具では、電磁調理器の天板の油はね等の汚れは除去することが出来るが、電磁調理器の加熱部に付着して焼き付けを起こした煮こぼれ等の汚れ、或いは鍋に付着した汚れが天板に転写された汚れ等の、固着した汚れの除去が困難であった。
【0008】
即ち、従来の掃除具においては、汚れに接する面を汚れに押し付けた際の接触面積が大きく、広範囲を掃除する場合には有効であるが、汚れに対して押し付ける力が分散されてしまっていた。そのため、上述した固着した汚れを除去する際には、汚れに接する面を押し付ける力を大きくする必要があった。又、ブラシやスポンジ等では固着した汚れをかき取るような効果が期待出来ず、汚れの除去が更に困難となっていた。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、小さな力で汚れを除去することが出来る掃除具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電磁調理器の天板の汚れを除去するための掃除具であって、汚れに接する面が、外方に向かって凸状面の形状に形成されている研磨体を備えたものである。
【0011】
このように構成すると、研磨体を強く汚れに押し付けることが可能になる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、研磨体は中心軸を有する回転対称形状を有し、更に、研磨体をその中心軸の周りに回転させる駆動機構を備えたものである。
【0013】
このように構成すると、研磨体は回転しながら汚れに接する。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、研磨体は球冠形状を有するものである。
【0015】
このように構成すると、研磨体を傾けても汚れの付着面に対する接触角が常に一定となる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、研磨体は、球冠形状を有するベースと、ベースに脱着自在に取付けられる研磨布とを含むものである。
【0017】
このように構成すると、研磨布の取替えが容易になる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、ベースは、基材と基材の外表面に布設された面ファスナーとを含み、研磨布は、不織布と不織布の一方面に形成された研磨層とからなるものである。
【0019】
このように構成すると、研磨布の不織布とベースの面ファスナーとが脱着自在に係合する。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項2から請求項5のいずれかに記載の発明の構成において、更に、駆動機構を収容すると共に、外方に突出した駆動軸を介して研磨体を接続する把持体を備え、把持体には、更に、駆動機構に電力を供給する電池が取り出し自在に格納されると共に、駆動機構の作動を制御するスイッチが設置されるものである。
【0021】
このように構成すると、把持体を手にした状態で研磨体を操作出来る。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、研磨体を強く汚れに押し付けることが可能になるため、小さな力で汚れを除去出来る。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、研磨体は回転しながら汚れに接するため、押し付けるだけで汚れが除去されるので、使い勝手が良い。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、研磨体を傾けても汚れの付着面に対する接触角が常に一定となるため、安定した汚れの除去が可能となる。
【0025】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、研磨布の取替えが容易になるため、効率的な使用が可能となる。
【0026】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、研磨布の不織布とベースの面ファスナーとが脱着自在に係合するため、研磨層のベースへの脱着が容易となる。
【0027】
請求項6記載の発明は、請求項2から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、把持体を手にした状態で研磨体を操作出来るため、電源コード等が不要になるので、より使用勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の第1の実施の形態による掃除具の正面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインから見た図である。
【図3】図1で示したIII−IIIラインから見た図である。
【図4】図1で示した掃除具の内部構造を示す図であって、図2に対応するものである。
【図5】図4で示したV−Vラインの拡大断面図である。
【図6】図1で示した掃除具における駆動軸に研磨体を取り付ける第1工程を示す概略断面図である。
【図7】図1で示した掃除具における駆動軸に研磨体を取り付ける第2工程を示す概略断面図である。
【図8】図1で示した掃除具における駆動軸に研磨体を取り付ける第3工程を示す概略断面図である。
【図9】電磁調理器の天板に押し付けた状態の掃除具の概略断面図であって、本願の実施の形態と従来例とを比較した図である。
【図10】従来の掃除具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1はこの発明の第1の実施の形態による掃除具の正面図であり、図2は図1で示したII−IIラインから見た図であり、図3は図1で示したIII−IIIラインから見た図であり、図4は図1で示した掃除具の内部構造を示す図であって、図2に対応するものである。
【0030】
これらの図を参照して、掃除具1は、側面視逆L字状の円筒形状に形成された、主にアクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンを含むABS樹脂よりなる把持体10と、把持体10の前面側(図2の左側)に脱着自在に取り付けられた球冠形状の研磨体20とから主に構成されている。研磨体20の形状による効果については後述する。
【0031】
把持体10は、胴部11と、胴部11の前面側端部に脱着自在に取り付けられた前面部12と、胴部11の下方端に脱着自在に取り付けられた底部13とを備えている。又、胴部11の前面側の一部と背面側(図2の右側)の一部とには、エラストマー等よりなる弾性体14a、14bが被覆されていると共に、背面側の弾性体14bには突起部15が形成されている。このように、把持体10の一部が弾性体14a、14bで被覆されているため、把持体10を手にした際の使用感が向上する。
【0032】
又、図4で示すように、把持体10には、駆動機構である、モーター31と、モーター31に接続された減速機32とが格納されている。そして、減速機32の駆動軸36は、把持体10の前面部12を介して外方に突出するように形成されている。
【0033】
尚、モーター31から減速機32を介して出力される駆動軸36の回転数は、無負荷時において100〜300rpmに設定することが好ましい。駆動軸36の回転数を100rpm未満にすると、汚れの除去効果が低下する。又、駆動軸の回転数を300rpmより大きくすると、例えば使用者の髪の毛が絡まった場合に髪の毛が巻き取られ続けてしまう可能性があり、安全上の観点から問題がある。更に、無負荷時において150〜250rpmに設定すると、汚れの除去効果が大きくなるため更に好ましい。
【0034】
又、モーター31から減速機32を介して出力される駆動軸36のトルクは、2.0〜5.0kg・cmに設定することが好ましい。駆動軸36のトルクを2.0kg・cm未満に設定すると、汚れの除去効果が低下する。又、駆動軸36のトルクを5.0kg・cmより大きく設定すると、不測の事態に駆動軸36の回転を止めることが出来なくなるため、危険である。
【0035】
更に、把持体10の下方側には、電池33が複数格納されている。電池33はモーター31に電力を供給することが出来るように、図示しない配線等によってモーター31に接続されている。そして、把持体10の底部13は胴部11に脱着自在に取り付けられているため、図の二点鎖線で示すように、底部13を胴部11から取り外すことによって電池33の各々を容易に取り出すことが出来る。
【0036】
更に、把持体10の弾性体14bの突起部15の内方側には、スイッチ34が格納されている。そして、突起部15の外方からスイッチ34を押圧することで、モーター31の回転及び停止の作動を制御することが出来るように構成されている。
【0037】
研磨体20は、減速機32の駆動軸36に取り付けられた球冠形状のベース21と、ベース21に脱着自在に取り付けられた、その外縁側に放射状の複数の切り欠き44が形成された円盤形状の研磨布40とを備えている。尚、研磨体20のベース21は、その中心軸の周りに回転させるように駆動軸36に取り付けられている。ベース21と駆動軸36との接続部分、ベース21の詳細な構造及び研磨布40の詳細な構造については後述する。
【0038】
このような掃除具1においては、把持体10を手にした状態でスイッチ34によってモーター31を作動させて研磨体20を操作することが出来ると共に、把持体10に電池33が格納されているため、電源コード等が不要となる。従って、掃除具1の使用勝手が向上する。
【0039】
ここで、研磨体20のベース21と駆動軸36との接続部分、ベース21の詳細な構造及び研磨布40の詳細な構造について説明する。
【0040】
図5は図4で示したV−Vラインの拡大断面図である。
【0041】
図を参照して、ベース21は、その中央部に開口28が形成された円盤形状の底板22と、底板22に取り付けられた球冠形状の基材23と、基材23の外表面に布設された面ファスナー24と、その内面が基材23の端部の外面より若干大きくなるように形成された、面ファスナー24の外面側に配置されたリング体25とから構成されている。
【0042】
又、基材23の頂点部分には突起体29が形成されている。更に、取付状態において突起体29上に位置する面ファスナー24及び研磨布40の部分には、開口46、47が形成されている。従って、基材23の突起体29上に面ファスナー24及び研磨布40の開口46、47を配置することによって、これらが位置決め状態となるため、取付が容易となる。
【0043】
そして、面ファスナー24は伸縮性を有するように構成され、基材23の外表面に沿ってリング体25によって取り付けられているため、面ファスナー24も球冠形状を有することになる。リング体25による面ファスナー24の基材23への取付方法については後述する。
【0044】
研磨布40は、ベース21側に配置された不織布42と、不織布42の一方面に形成された研磨層41とから構成されている。尚、研磨布40は特開2005−66324号公報において開示されているものと同一構造であり、研磨層41におけるモース硬度は1以上4以下が好ましい。このような研磨布40においては、ブラシやスポンジ等に比べて電磁調理器の天板の固着した汚れに対して高い除去効果を発揮する。そして、ベース21に研磨布40の不織布42が取り付けられた状態においては、研磨布40の研磨層41も球冠形状を有することになる。即ち、研磨体20における汚れに接する面が球冠形状を有することになる。
【0045】
このように、研磨布40の不織布42とベース21の面ファスナー24とは脱着自在に係合出来るため、研磨布40の研磨層41のベース21への脱着が容易となる。更に、連続使用時における研磨層41の減少に伴う研磨布40の取替えが容易になるため、掃除具1の効率的な使用が可能となる。
【0046】
減速機32の駆動軸36の先端には、ベース21の底板22の開口28に対応する円柱形状の係合体37が接続されている。そして、ベース21の底板22が、開口28を介して係合体37に脱着自在に接続されている。この時、ベース21の基材23の中心軸と駆動軸36とが一直線上となるように各部材が形成されている。
【0047】
次に、駆動軸36への研磨体20の取付方法について説明する。
【0048】
図6は図1で示した掃除具における駆動軸に研磨体を取り付ける第1工程を示す概略断面図であり、図7は図1で示した掃除具における駆動軸に研磨体を取り付ける第2工程を示す概略断面図であり、図8は図1で示した掃除具における駆動軸に研磨体を取り付ける第3工程を示す概略断面図である。
【0049】
まず、図6の(1)を参照して、球冠形状の基材23が取り付けられた底板22の開口28に駆動軸36の先端に取り付けられた係合体37を挿入し、これらを係合させて底板22を駆動軸36の係合体37に取り付ける。上述した通り、基材23の中心軸と駆動軸36の中心軸とが一直線上となるように各部材が構成されているため、基材23は駆動軸36によってその中心軸を中心として回転することが出来る。
【0050】
次に、図6の(2)を参照して、駆動軸36に底板22を介して取り付けられた基材23の外表面に、この外表面に沿うように平板状の面ファスナー24を伸ばしながら布設する。この時、面ファスナー24の開口46を基材23の突起体29上に位置させることによって、面ファスナー24を基材23に対して容易に位置決めすることが出来る。
【0051】
次に、図7の(1)を参照して、基材23の外表面に布設された面ファスナー24の端部を覆うように、リング体25を面ファスナー24の外方側(図7の左側)から基材23に装着する。上述した通り、リング体25の内面は基材23の端部の外面より若干大きくなるように形成されているため、リング体25は面ファスナー24を介してスムーズに基材23の周りを囲むように装着される。
【0052】
次に、図7の(2)を参照して、リング体25が基材23の周りを囲むように装着されると、リング体25の内面と基材23の端部の外面とによって面ファスナー24の端部が挟まれた状態となる。即ち、これらによって面ファスナー24の布設状態が保持され、基材23に一体化される。
【0053】
その後、面ファスナー24の外表面上に、円盤状の研磨布40を不織布42が面ファスナー24に接するように、研磨布40の開口47と面ファスナー24の開口46との位置を合わせた状態で配置する。
【0054】
次に、図8の(1)を参照して、面ファスナー24と研磨布40の不織布42の中心部分とが係合した状態から、面ファスナー24の外表面に沿って図の矢印で示すように研磨布40の不織布42の外縁部分を面ファスナー24に係合させる。この時、上述した通り研磨布40の外縁部分には図1で示したような切り欠き44が形成されているため、研磨布40をスムーズに球冠形状の基材23に取り付けることが出来る。
【0055】
次に、図8の(2)を参照して、汚れに接する面である研磨布40の研磨層41が基材23の外表面に沿って取り付けられる、即ち、研磨層41の少なくとも先の部分が球冠形状となるように研磨布40が面ファスナー24に取り付けられると、研磨体20の駆動軸36への取付が完了する。
【0056】
次に、研磨体20の形状による効果について説明する。
【0057】
図9は電磁調理器の天板に押し付けた状態の掃除具の概略断面図であって、(1)は図1で示した掃除具を示すものであって、(2)は従来の掃除具を示すものである。
【0058】
まず、(1)を参照して、上述した通り、掃除具1の研磨体20の外方側に配置された研磨布40の外面(汚れに接する面)は球冠形状となるように形成されている。そして、研磨布40を電磁調理器の天板51に押し付けると、研磨布40の外面の一部のみが天板51に接する。即ち、研磨布40と天板51との接触面積が小さいので、図の矢印で示すように、研磨体20を天板51に押し付ける力Fが研磨布40と天板51との接触部分に集中する。従って、研磨布40を集中的に天板51上の汚れに強く押し付けることが出来るため、天板51上に固着した汚れを容易に除去することが出来る。
【0059】
又、掃除具1においては、上述したように駆動機構によって研磨体20がその中心軸を中心に回転するように構成されている。そのため、研磨体20は汚れに接する面が常に一定の状態で回転しながら天板51上の汚れに接することになる。従って、使用者が研磨体20を前後左右に移動させる必要が無く、押し付けるだけで天板51上の汚れが除去されるので、使い勝手の良い掃除具1となる。
【0060】
又、研磨体20は球冠形状に形成されているため、例えば掃除具1を若干傾けた状態で研磨布40を平板51に押し付けても、汚れが付着した面の平板51に対する研磨布40の接触角が常に一定となる。従って、研磨布40と天板51との接触面積が常に小さくなるため、安定して平板51上の汚れを除去することが出来る。
【0061】
次に、(2)を参照して、従来の掃除具60にあっては、例えば研磨体61は端部が平坦な円柱形状に形成されている。そして、このような研磨体61を電磁調理器の天板51に押し付けると、研磨布62が天板51に広範囲に亘って接触する。従って、図の矢印で示すように、研磨体61を天板51に押し付ける力Fが研磨布62と天板51との接触部分で分散されてしまう。そのため、天板51上の汚れを除去するためには、(1)で示した掃除具1に比べて大きな力で研磨体61を押し付ける必要があり、天板51上に固着した汚れの除去が困難となる。
【0062】
尚、上記の実施の形態では、研磨体は球冠形状に形成されているが、例えば断面放射線形状、楕円球面形状又は多面体状等、汚れに接する面が外方に向かって凸状面の形状に形成されていれば、他の形状に形成されていても良い。その場合、回転する研磨体が汚れに対して安定して接触するために、研磨体を回転対称形状に形成することが好ましい。
【0063】
又、上記の実施の形態では、研磨体は駆動機構及び電池によって回転するように構成されているが、駆動機構等は無くても良く、使用者が研磨体を前後左右に動かすことで固着した汚れを除去するように構成されていても良い。
【0064】
更に、上記の実施の形態では、研磨体はベースとベースの面ファスナーに脱着自在に取り付けられる研磨布とを含むものであるが、研磨体は球冠形状を有するものであれば、他の部材で構成されていても良い。又、研磨布は、例えば粘着剤によってベースに取り付ける等、他の脱着方法によってベースに取り付けられていても良い。
【0065】
更に、上記の実施の形態では、研磨体は減速機を介してモーターに接続されているが、研磨体をその中心軸の周りに回転させることが出来れば、例えば研磨体がモーターに直接接続するように構成されていても良い。その場合、規定のトルク等を発生させるためにモーターを大きくする必要があり、使い勝手が悪くなる可能性がある点に留意する必要がある。
【0066】
更に、上記の実施の形態では、特定構造のベースを備えているが、球冠形状を有するものであれば、他の構造のものであっても良い。
【0067】
更に、上記の実施の形態では、特定構造の研磨布を備えているが、それによって汚れを除去することが出来ると共に、ベースに対して脱着自在に取り付けることが出来るものであれば、他の構造のものであっても良い。
【0068】
更に、上記の実施の形態では、駆動機構を収容した把持体を備えているが、駆動機構は把持体に収容されていなくても良い。又は、把持体は無くても良い。
【0069】
更に、上記の実施の形態では、把持体内に電池が格納されているが、例えば固定式の充電池や電源コード等を介して駆動機構に電力を供給するように構成されていても良い。
【実施例】
【0070】
ここで、第1の実施の形態の掃除具における種々の寸法による、電磁調理器のガラス天板上に固着した汚れの除去効果についての実験をおこなった。
【0071】
まず、実施例1〜4及び比較例1〜3の構成と実験方法とについて説明する。
【0072】
実施例1においては、基材の形状は球冠形状、図9の(1)で示す基材の球冠形状部分の半径Aを10mmとした。
【0073】
実施例2においては、基材の形状は球冠形状、図9の(1)で示す基材の球冠形状部分の半径Aを15mmとした。
【0074】
実施例3においては、基材の形状は球冠形状、図9の(1)で示す基材の球冠形状部分の半径Aを20mmとした。
【0075】
実施例4においては、基材の形状は球冠形状、図9の(1)で示す基材の球冠形状部分の半径Aを25mmとした。
【0076】
比較例1においては、基材の形状は円柱形状、図9の(2)で示す基材の円柱形状部分の半径Bを20mmとした。
【0077】
比較例2においては、基材の形状は円柱形状、図9の(2)で示す基材の円柱形状部分の半径Bを25mmとした。
【0078】
比較例3においては、基材の形状は円柱形状、図9の(2)で示す基材の円柱形状部分の半径Bを30mmとした。
【0079】
又、上記の実施例1〜4及び比較例1〜3の全てにおいて、研磨布の研磨層には無水石膏(モース硬度3.5)を使用すると共に、研磨体の回転トルクは2.0kg・cm、研磨体の無負荷時における回転数は200rpmとした。
【0080】
そして、上記の試料をそれぞれ用いて、電磁調理器のガラス天板上に固着した汚れ(モース硬度1〜2)の除去をおこない、目視によって汚れの取れ具合を確認した。尚、実施例1〜4における研磨布の接触面積については、各試料における研磨布を天板上に広げたアルミ箔に実際に作業する力で押し付け、その際にアルミ箔に残った痕を計測し、面積を算出した。又、比較例1〜3における研磨布の接触面積については、各試料の半径毎の円の面積から算出した。
【0081】
【表1】

上記の表を参照して、実施例1〜3においては汚れの取れ具合が良好であり、汚れを落としやすいことが確認出来た。更に、実施例1〜3においては、研磨布を押し付けてもモーターの回転(研磨布の回転)に変化が無かった。しかしながら、実施例1においては実施例2、3に比べて研磨布の接触面積が極めて小さいため、広範囲の汚れを除去するのに時間がかかってしまう。
【0082】
実施例4においては、実施例1〜3に比べて汚れの除去効果は少し劣っていたものの、汚れを落とすことが確認出来た。モーターの回転については、研磨布を押し付けることによって回転速度が若干減少した。
【0083】
比較例1〜3おいては、汚れを落とし難いことが確認出来た。更に、比較例2、3においては、研磨布を押し付けることによってモーターの回転が停止したため、汚れの除去効果が発揮出来ないものであった。
【0084】
上記の結果から、本発明による実施例1〜4については汚れの除去効果を確認することが出来たが、従来の比較例1〜3については汚れの除去効果を確認することが出来なかった。即ち、本発明による掃除具の効果が検証されたと言える。
【0085】
更に、実施例1〜4の各々を比較すると、実施例1〜3による掃除具が特に汚れの除去効果の高いものであった。従って、研磨体のトルクが2.0kg・cm、回転数が200rpmの場合、球冠形状の基材の大きさはSR20mm以下(研磨布の接触面積が2.8cm以下)が特に有効であることが確認出来た。
【符号の説明】
【0086】
1…掃除具
10…把持体
20…研磨体
21…ベース
23…基材
24…面ファスナー
31…モーター
32…減速機
33…電池
34…スイッチ
36…駆動軸
40…研磨布
41…研磨層
42…不織布
51…天板
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁調理器の天板の汚れを除去するための掃除具であって、
前記汚れに接する面が、外方に向かって凸状面の形状に形成されている研磨体を備えた、掃除具。
【請求項2】
前記研磨体は中心軸を有する回転対称形状を有し、
更に、前記研磨体をその中心軸の周りに回転させる駆動機構を備えた、請求項1記載の掃除具。
【請求項3】
前記研磨体は球冠形状を有する、請求項2記載の掃除具。
【請求項4】
前記研磨体は、
球冠形状を有するベースと、
前記ベースに脱着自在に取付けられる研磨布とを含む、請求項3記載の掃除具。
【請求項5】
前記ベースは、基材と前記基材の外表面に布設された面ファスナーとを含み、
前記研磨布は、不織布と前記不織布の一方面に形成された研磨層とからなる、請求項4記載の掃除具。
【請求項6】
更に、前記駆動機構を収容すると共に、外方に突出した駆動軸を介して前記研磨体を接続する把持体を備え、
前記把持体には、更に、前記駆動機構に電力を供給する電池が取り出し自在に格納されると共に、前記駆動機構の作動を制御するスイッチが設置される、請求項2から請求項5のいずれかに記載の掃除具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−245421(P2011−245421A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121149(P2010−121149)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】