説明

排ガスを処理するための不織部の構成要素および排ガス浄化装置

本発明は、排ガスを処理するための不織部の構成要素(1)に関し、その不織部の構成要素(1)は、少なくとも2つの型の異なる外形(3)を有する複数の金属製フィラメント(2)を備える。本発明はさらに、排ガスが少なくとも部分的に流れることができるチャネル構造(5)を備える排ガス浄化装置(4)に関し、そのチャネル構造(5)はそのような不織部の構成要素(1)から少なくとも部分的に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の金属製フィラメントを含む、排ガス処理のための不織部に関する。本発明はまた、チャネル構造を有する排ガス浄化装置を特定する。本発明は特に、自動車の内燃エンジンの排ガス浄化のために使用される。
【背景技術】
【0002】
上記の種類の排ガス浄化装置は、内燃エンジンの排ガスシステムにおいて異なる機能を有し得る。それらは、例えば、触媒コンバータ基体、いわゆる吸着体、フィルター、フローミキサー、および/またはサインレンサーとして使用される。チャネル構造は、通常、表面積対体積の有益な比率によって特徴付けられる。すなわち、比較的大きな表面積を形成するので、そのチャネル構造を流れる、および/または通過する排ガス流との集中的な接触を確保する。上記種類の排ガス浄化装置は、例えば、可能な場合には、複数の異なる構成要素(金属シート、マット、チューブなど)、また、部分的に、異なる材料(スチール材料、セラミック物質、混合材料など)から構築されるハニカム体を備える。自動車の内燃エンジンの排ガスシステムにおける高熱および動的負荷を考慮して、それらの個々の構成要素は、互いに恒久的に接続されなければならない。この目的のために異なる接続技術、例えばろう付けおよび/または溶接が知られている。
【0003】
このような排ガス浄化装置の有効性に関して、設けられるべき触媒コンバータのための基板および/またはフィルター材料は、まず、一連の製造の中間においても製造が容易であり得、同時に、排ガス中の汚染物質の有意な変換が、自動車の内燃エンジンの様々な負荷条件下でさえも達成されることが望まれる。フィルター材料に関して、固体物質をガス状成分に適切に変換する場合、例えば粒子、灰、煤などの排ガス中に含まれる固体物質を保持するために金属および/またはセラミック材料を使用することがすでに提案されている。この目的のために提案されているのは特に、織物、編物などの形態で排ガス浄化装置に組み込まれているガス透過性の、多孔質繊維層である。
【0004】
最近、そのような排ガス浄化装置の有効性をいかに増加させるかに関する考察が増加しており、さらに特に小粒子に関する考察が増加している。欧州で議論されているいわゆる「細塵」により、ここで開発するための要求が依然として存在することは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのことを出発点として考慮すると、本発明の目的は、従来技術で明らかになった問題を少なくとも部分的に解決することである。特に、排ガスの中に含まれる固体物質の特定の小粒子を保持および/または変換するのに適切である不織部を特定することを目的とする。また、それは、安く製造でき、排ガス浄化装置に容易に組み込まれ得る不織部である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、特許請求の範囲の請求項1の特徴による不織部によって達成される。さらに本発明の有益な利点は、特許請求の範囲の従属項において特定される。特許請求の範囲の請求項に個々に特定される特徴は、任意の所望の技術的手段で互いに組み合わされて、本発明のさらなる実施形態を形成してもよいことは留意されるべきである。特に図面と併せて発明の詳細な説明は、本発明を詳細に提示し、さらなる例示的な実施形態を特定する。
【0007】
排ガス処理のための本発明による不織部は複数の金属製フィラメントを備え、その不織部は金属製フィラメントの少なくとも2つの型の異なる外形を有する。
【0008】
本明細書中で、「不織部」とは、特に、金属製フィラメントの面が合着した配置構成を意味し、その金属製フィラメントは、基本的に、規則的に配置されるが、好ましくは、互いに対して不規則に配置される。用語「フィラメント」とは、特に、繊維、ワイヤ、チップなどの用語を全て含むものと理解されるべきである。本明細書中で、フィラメントは、好ましくは、高温および腐食に耐性がある金属から形成される。基材として、例えば、鋼が考慮され、その鋼に高比率のクロム(例えば18〜21wt%の範囲)および/またはアルミニウム(例えば少なくとも4.5wt%、特に5.5wt%)が提供される。本明細書中で、異なる外形を有する金属製フィラメントが使用されることが提案される。本明細書中で、「外形」とは、特に、フィラメントの異なる外側の形状を意味する。この場合、直径および/または長さ(および/または材料)の変化がここで存在するというよりむしろ、3次元形状が互いに顕著に異なるということが明らかである。本明細書中で、フィラメントがその型に明確に割当可能であることが特に非常に好ましい。例えば、フィラメントの1つの型は、長さにわたって変化する断面および/または直径を有してもよく、一方、別の型のフィラメントは、長さにわたって実質的に一定の断面または直径を有する。異なる型のフィラメントが、不織部において互いに対して空間的に区分された形態で配置されてもよいが、各場合において1つの型の外形のみのフィラメントの別の領域に特定の空間が、形成されることも可能である。
【0009】
これに関して、金属製フィラメントの少なくとも2つの型が異なる製造方法を使用して製造されることが特に好ましい。製造方法は、フィラメントの形成される外形にかなり影響を与え、特に、製造方法からそれぞれの外形を推測することが可能である。この点に関して、製造方法および最終的に設けられる金属製フィラメントの外形が密接に関連している。
【0010】
排ガス処理のための不織部のためのフィラメントの異なる外形の選択は、例えば、さらなる機械加工工程に影響する。不織部は、典型的に、さらにコーティングされる。多くの場合、ウォッシュコートが付与され、不織材料の触媒活性表面をさらに高める。酸化物形成による不織材料自体から生じるウィスカの形成も起こり得る。適切な酸化の下で、3次元酸化構造物が個々のフィラメントから生じて増加し、その酸化構造物は、表面積のかなりの増大を引き起こし、従って、不織部の触媒特性の改良も引き起こす。
【0011】
材料上でのコーティングの堆積ならびに/または酸化構造物およびウィスカの形成は、異なる外形の異なって製造されたフィラメントの組み合わせによって顕著に影響を受け得る。異なって製造されたフィラメントは、例えば、異なるマトリクスおよび表面構造を有する。個々の製造方法における異なる変形プロセスの結果として、適切な場合、フィラメントの部分的領域が、電気化学的および/または直流的にアクティブにされ、および/または不動態化される。不織部における異なって製造されたフィラメントの型の適切な組み合わせにより、前記特性は、コーティングの間および/または不織部のさらなるプロセスの間、特定の有益な作用を生じるように適合され得、従って、排ガス処理のための不織部の特性を改良する。従って、フィラメントの層形成の間に、例えば、所望の配置、分配などを達成するために、フィラメントの異なる外形の使用により、不織部の焼結した結合部の所望の形状および/または密接度ならびに/あるいは(均一、共通の)熱処理による酸化層の所望の形状および/または密接度を形成することが可能である。
【0012】
従って、以下の群から選択される異なる製造方法が特に利点があるとみなされる。
a)金属ブロックからの分離、
b)金属溶解物からの連続したフィラメントの製造、
c)金属溶解物からの不連続抽出、
d)ワイヤ引き抜き。
【0013】
「金属ブロックからの分離」は、特に、粉砕、ドリル、回転、平削り、やすりがけ、切断または同様の特に、チップ製造の製造方法も含む。本明細書中で、チップはフィラメントを構成する。通常、粉砕、平削りおよびやすりがけの場合に(短い)途切れたチップが生成されるが、回転またはドリルの場合に非常に長いチップが生成されてもよい。金属ブロックとは、主に、金属から形成される固形物を意味し、その固形物の明確な形状は、チップまたはフィラメント製造に使用される製造方法に関して選択されるべきである。従って、金属ブロックは、円筒形、立方形、ワイヤなどの形状をとってもよい。
【0014】
連続したフィラメントの製造の場合において、ワイヤ状の非常に長い、またはいわゆる「エンドレス」繊維が金属溶解物から製造される。本明細書中で、フィラメントは、一緒に、または束で、個々に抽出または引き抜かれてもよい。この製造方法を例示するために、当業者は、例えば、ワイヤ製造の対応する詳細も参照できる。本明細書に含まれるさらなる方法において、連続したフィラメントが回転する円筒形の金属ブラックから引き抜かれ、その金属ブロックはレーザーによって局所的に溶解され、フィラメントはその溶解物から製造される。非常に均一の高品質のワイヤがこの方法で製造され得る。
【0015】
金属溶解物からのフィラメントの不連続抽出は、実際には、上記の2つの方法の組み合わせから構成される。例えば、構造化された円周面を有するローターが金属溶解物に移動し、断続的な接触の結果として、金属溶解物の一部が浴から取り除かれ、その後、冷却されて、金属製フィラメントを形成する。ここで、不連続フィラメントは高速で反復して製造される。
【0016】
ワイヤ引き抜きの場合、フィラメントは、塑性変形によって固体ワイヤブランクから製造される。この目的のために、例えば、円錐形の先細の引き抜き型を介して、引き抜きディスクによって少なくとも1つのワイヤブランクが引っ張られる。従って、各場合において直径は減少する。直径の大きな減少を得るために、ワイヤ引き抜きが数段階で行われてもよい。冷却段階または中間のアニーリング段階が上記の段階の間に提供されてもよく、その結果として、ワイヤ材料のマトリクス特性に影響を与える。ワイヤ引き抜きは、個々のワイヤ引き抜きの形態で行われてもよく、各場合において1つのワイヤのみが引き抜き型から引っ張られる。あるいは、各場合において、ワイヤ束が引き抜き型から引っ張られてもよい。次いで、それらは、束引き抜きワイヤと呼ばれる。これにより、ワイヤ引き抜きプロセスがかなり手軽になる。
【0017】
上述の説明から、使用される方法に依存して、不織部を構築するための本明細書で使用され得る異なる外形のフィラメントが製造されることは明らかである。異なるフィラメントの使用は、フィルター材として作用する不織部の特性が、特に表面粗さ、多孔性、単位面積当たりの質量に関する、標的とする方法で選択され得るという効果を有する。完全性の目的のためだけに、上述の製造プロセスのうちの1つの異なる製造プロセスによって異なる型の外形が製造され得ることに留意するべきである。
【0018】
溶解物から抽出されたフィラメントは、通常、主に、パン状または腎臓状の外形を有する。金属ブロックから分離されるフィラメントの外形は、通常、平坦な側部および/または両側の間の鋭い端部の遷移によって特徴付けられる。個々に引き抜かれたワイヤの外形は、通常、円形であり、束で引き抜かれたワイヤの外形はくぼみ部を有する基本的に円形の形状を有する。そのくぼみ部は、隣接するワイヤの隣接部の結果として、引っ張りプロセスの間に製造される。この説明は明らかに(単なる)指針として考慮されるべきであり、本明細書で、製造プロセスはかなり許容され、その結果、上述の特徴は、多かれ少なかれ有意な程度まで存在するが、不織部のフィラメントの全体の評価は、多様な外形の対応する相違を明確に示す。
【0019】
異なる方法によって製造されるフィラメントはまた、場合によってそれらの長さの分布の点で異なる。溶解物から抽出されるフィラメントおよびワイヤ引き抜きによって製造されるフィラメントは、典型的に、フィラメントの長さがあまり変化しない非常に均一の長さの分布を有する。上記のフィラメントは、通常、長い長さで最初に製造され、続いて、不織部を製造するのに適切な長さに切断される。金属ブロックから分離されるフィラメントの長さは、通常、非常に変化する。そのようなフィラメントは、典型的に、チップ除去プロセスにおいて製造される。ここで、そのプロセスは、所望の平均フィラメント長さが得られるように実施されるが、その方法のために、より長い、およびより短いフィラメントも製造される。フィラメント長さは、通常、ほぼ平均フィラメント長さに分配される。従って、適切な場合、そのような異なるフィラメントの使用の二次的指標が考慮に入れられ得ることは明らかである。
【0020】
不織部の1つの改良において、少なくとも2つの型が互いに少なくとも部分的に合わせられるように配置されることも提案される。このことは、特に、不織部が、特にその主な面の範囲において、複数の層または領域を有することを意味し、異なる型が、互いに合わせられて、および/または互いに別々に配置される。異なるフィラメントが、(部分的に)互いに合わせられて配置されることが特に好ましく、その結果、不織部が、その厚さおよび主な平面の範囲にわたって実質的に均一の特性で設けられる。
【0021】
2つの異なる型の場合において、両方の型がそれらの目的に関して基本的に有意な数で存在する混合比が考慮される。混合比は、各フィラメントの型の量が少なくとも20%、すなわち、80:20〜20:80であることが好ましい。各々の処理されたフィラメントの型が例えば5%〜20%の最小比で存在することもまた、好ましい。
【0022】
非常に特に好ましい構成の変形例において、正確に2つの型の異なる外形が不織部において実現され、金属製フィラメントの一方の型はワイヤ形状であり、金属製フィラメントの他方の型はチップ形状である。ワイヤ形状のフィラメントの使用により、特に、不織部に必要な支持を与える柔軟性のある基材を形成することが可能である。特に、比較的薄いか、または細い端部形状によって特徴付けられるチップ状のフィラメントは、ニードル状の構造を形成し得るので、全体として表面粗さおよび/または孔径が、固体材料のコーティングおよび/または堆積に特に適切である領域を製造することが可能なように影響を与え、安定に結合して不織部を形成する。そのような特に適切な領域はまた、例えば、異なる型のフィラメントの不均一の分布によって製造され得る。
【0023】
これに関して、排ガス浄化装置はまた、排ガスの流れが少なくとも部分的に横断できるチャネル構造を有することが提案され、そのチャネル構造は、本発明による、本明細書に記載される型の不織部を少なくとも部分的に備えて形成される。そのチャネル構造は特に、積み重ねられた、および/またはコイル状の層で構成されるハニカム構造の型である。ここで、その層は、不織部および/または金属箔で構成されてもよい。排ガスが通過するチャネルは、開口してもよいし、および/または閉じていてもよい。特に、チャネル構造に侵入する排ガスが、不織部の方向に、および/または不織部を通して誘導または偏向されるように、チャネルに形成される流れの構成を偏向させることが可能である。
【0024】
本発明および技術分野は、図面に基づいて以下でより詳細に説明する。図面は特に、本発明の好ましい変形例を示し、本発明を決して限定するものではないことが留意されるべきである。この図は各々を概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】フィラメントの第1の型である。
【図2】フィラメントの第2の型である。
【図3】不織部の構成の変形例の断面図である。
【図4】開口粒子分離器の形態の排ガス浄化装置の詳細である。
【図5】自動車の排ガス浄化システムの構成である。
【図6】フィラメントの異なる外形である。
【図7】フィラメントの異なる外形である。
【図8】フィラメントの異なる外形である。
【図9】フィラメントの異なる外形である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、実質的にワイヤ状の外形3を有する金属製フィラメント2の第1の型を概略的に示す。このワイヤ状の外形3は、長手方向17において、その長手方向17に垂直である実質的に均一のフィラメント断面14を形成するように記載され得る。この型のワイヤ状のフィラメント2は、本明細書に示される直線状の形態で不織部に組み込まれる必要はなく、むしろ適切な場合、曲げられてもよいことは明らかである。
【0027】
対照的に、図2は、実質的にチップ状の形態である異なる型のフィラメント2を示す。すなわち、それは、長手方向17において均一でないフィラメント断面14を有する。実際に、フィラメント断面14は、フィラメント2の長手方向17において形状および/または大きさが変化する。ここで、フィラメント2は、長手方向17において異なる厚さの端部領域によって形成されることが好ましい。
【0028】
金属製フィラメントは、通常、0.1〜50mmの範囲(特に1〜10mmの範囲)のフィラメントの長さおよび0.01〜0.1mmの範囲(特に0.02〜0.05mmの範囲)のフィラメントの直径で形成される。
【0029】
図3は、ここで、層状の構成である不織部1の構成の変形例を示す。その中の中心に配置されるのは、第1の外形を有する第1の型のフィラメント2であり、一方、上部および下部の外形面15は、第2の外形のフィラメント2で形成される。例えば、ワイヤ状のフィラメント2が中心領域に使用され、一方、チップ状のフィラメント2がそれぞれの外形面15に近接して設けられることが好ましい。不織部の結合を確実にするために、各々の場合において、フィラメント2の異なる領域が、いくつかの結合方法によって、例えば溶接および/または焼結によって互いに結合される、1つの遷移領域が設けられる。
【0030】
図4は、ここで、チャネル構造5の構成を詳細に示し、ここで、チャネル構造5は金属箔6および不織部1で形成される。金属箔6は波形構造8を有するので、金属箔6および不織部1によって、排ガスが流れることができる複数のチャネル7が形成される。さらに、例えば適切な突起部または案内羽根を形成することによってチャネル7内に突出する突起部9が形成され、この突起部9により、排ガスの流れが不織部1の方へ偏向される。従って、流れ方向13に流れる排ガスの粒子(その粒子は排ガスの中に含まれる)は、不織部1の中または上に誘導される。そこに蓄積する粒子は、連続して(CRTプロセス)、または不連続に変換され得る。ここで、不織部1および/または金属箔6は対応するコーティング16を備えて形成されてもよい。
【0031】
図5は、自動車の内燃エンジンの処理のためのシステムのための可能な構成の変形例を示す。この図は、排ガスを生成する内燃エンジン10を示し、その排ガスは、次いで、対応する排ガスシステム11に誘導される。この排ガスシステム11の一部は、排ガスが誘導されるチャネル構造5を備える排ガス浄化装置4である。排ガスの浄化、特に、排ガスの中の汚染物質の変換は、この排ガス浄化装置4で起こり、その結果、排ガスは、浄化した形態で環境に放出され得る。内燃エンジンおよび排ガスシステムは、概して、自動車12の一部である。図5は、単に概略的な例示の実施形態を示すことは自明であり、通常、より多くの数の排ガス浄化装置4が使用される。ここで、概略的に提案されるのは、特に、開口粒子分離器の形態の排ガス浄化装置4の実施形態である。
【0032】
図6、7、8および9は、異なるフィラメント2のフィラメント断面12の異なる外形3を概略的かつ分類別に示す。図におけるそれぞれの外形は、典型的に、特定の浄化プロセスに関連し得る。
【0033】
図6は、個々に引き抜いたワイヤの形状で形成されるフィラメント3のフィラメント断面14を示す。このフィラメント断面14は、典型的に、円形により特徴付けられる。なぜなら、ワイヤの引き抜き型は通常、円形であるからである。個々に引き抜いたワイヤは、めったに使用されない。なぜなら、製造プロセスが非常に高価になり、かつ複雑になるからである。
【0034】
図7は、束引き抜き(bundle−drawing)によって製造されたフィラメント3を示す。束引き抜きのワイヤの場合、1つの引き抜き型を通して複数のワイヤが束として並行に引き抜かれる。ここで、個々のワイヤは、互いに対して接触し合い、周囲のフィラメントの接触領域に応じて変形する。従って、円形のフィラメント形状からの偏向(この場合、くぼみ部18)が、フィラメント断面14の外形3に形成される。
【0035】
図8は、溶解物から抽出されるフィラメント2のフィラメント断面14を示す。それは、パン状または腎臓状の形状を有する。溶解物抽出フィラメントのための典型的な製造プロセスにおいて、回転ディスクまたは回転ローターが、溶解物の中に浸され、その溶解物から「噴流物(jet)」が噴き出る。その噴流物は凝固する。浸したディスクの形状および凝固プロセスの間に作用する力のために、そのパン状または腎臓状の形状が形成される。
【0036】
図9は、金属ブロックから分離する手段によって製造されるフィラメント2の特徴的なフィラメント断面14を示す。ブロックからの分離は、「剥離(scraping)」またはチップ除去法によって行われ得る。ここで、回転、粉砕、平削り、やすりがけ、切断および/またはドリルなどの方法が考慮される。このようなフィラメント2の外形3は、概して、機械加工ツールの形状に対応する平坦な側部によって特徴付けられる。典型的に、その側部の間に鋭い縁の遷移が存在する。
【符号の説明】
【0037】
1 不織部
2 フィラメント
3 外形
4 排ガス浄化装置
5 チャネル構造
6 金属箔
7 チャネル
8 構造
9 突起部
10 内燃エンジン
11 排ガスシステム
12 自動車
13 流れの方向
14 フィラメント断面
15 外形面
16 コーティング
17 長手方向
18 くぼみ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属製フィラメント(2)を備える、排ガス処理のための不織部(1)であって、前記不織部は、前記金属製フィラメント(2)の少なくとも2つの型の異なる外形(3)を有する、不織部(1)。
【請求項2】
前記金属製フィラメント(2)の少なくとも2つの型は、異なる製造方法を用いて製造される、請求項1に記載の不織部(1)。
【請求項3】
前記異なる製造方法は、
a)金属ブロックからの分離、
b)金属溶解物からの連続したフィラメントの製造、
c)金属溶解物からの不連続抽出、
d)ワイヤ引き抜き
からなる群から選択される、請求項2に記載の不織部(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの型は、互いに少なくとも部分的に合わせられるように配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織部(1)。
【請求項5】
前記金属製フィラメント(2)の少なくとも2つの型は、互いに焼結される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の不織部(1)。
【請求項6】
前記金属製フィラメント(2)のうちの1つの型はワイヤ形状であり、かつ、前記金属製フィラメント(2)のうちの1つの型はチップ形状である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の不織部(1)。
【請求項7】
排ガスの流れが少なくとも部分的に横断できるチャネル構造(5)を有する、排ガス浄化装置(4)であって、前記チャネル構造(5)は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の不織部(1)を少なくとも部分的に備えて形成される、排ガス浄化装置(4)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−507653(P2012−507653A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533692(P2011−533692)
【出願日】平成21年10月24日(2009.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064025
【国際公開番号】WO2010/052141
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(500038927)エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンス テクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング (156)
【Fターム(参考)】