説明

排ガス中の二酸化炭素回収システム

【課題】安定して排ガス中の二酸化炭素回収装置に排ガスを引込むことができる排ガス中の二酸化炭素回収システムを提供する。
【解決手段】排ガス中の二酸化炭素回収システム10−1は、産業設備11から排出される排ガス12を外部へ排出する煙突13と、前記煙突13の後流側に設置され、前記排ガス12を引込むブロア14と、前記ブロア14により引込まれた排ガス12中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置15と、前記煙突13内の出口側近傍に設けられたガス流量センサS1とを具備してなり、前記ガス流量センサS1において、前記煙突13からの排ガスの排出流量が零となるまで、二酸化炭素回収装置へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させ、前記煙突13からの排出量が零となったら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガス12を引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガスタービン、炉又はボイラ等の産業設備から排出される排ガス中の全量の二酸化炭素の処理を安定して行うことができる排ガス中の二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、排ガス中の二酸化炭素を回収するためには、例えばアミン系の吸収液をCO2吸収液として用い、燃焼排ガスからCO2を除去・回収する場合には、先ず吸収塔において燃焼排ガスとCO2吸収液とを接触させる工程を行い、その後CO2を吸収したCO2吸収液を再生塔において加熱し、CO2を遊離させると共にCO2吸収液を再生して再び吸収塔に循環して再使用するシステムが採用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図9に従来の排ガス中のCO2回収システムの一例を示す。図9に示すように、前記従来のCO2回収システム1000は、例えばボイラやガスタービン等、産業設備1001から排出されたCO2を含有する排ガス1002を冷却水1003によって冷却する排ガス冷却装置1004と、冷却されたCO2を含有する排ガス1002とCO2を吸収するCO2吸収液1005とを接触させて前記排ガス1002からCO2を除去するCO2吸収塔1006と、CO2を吸収したCO2吸収液(リッチ溶液)1007からCO2を放出させてCO2吸収液を再生する再生塔1008とを有する。この装置では、前記再生塔1008でCO2を除去した再生CO2吸収液(リーン溶液)1009は前記吸収塔1006でCO2吸収液として再利用する。ここで、前記CO2吸収塔1006と再生塔1008とにより、CO2回収装置1030を構築している。
【0004】
この従来のCO2回収装置1020を用いたCO2回収方法では、まず、CO2を含んだボイラやガスタービン等、産業設備からの排ガス1002は、排ガス送風機1010により昇圧された後、排ガス冷却装置1004に送られ、ここで冷却水1003により冷却され、CO2吸収塔1006に送られる。
【0005】
前記CO2吸収塔1006において、排ガス1002は例えばアミン系吸収剤をベースとするCO2吸収液1005と交向流接触し、排ガス1002中のCO2は、化学反応(R−NH2+H2O+CO2→R−NH3HCO3)によりCO2吸収液1005に吸収され、CO2が除去された排ガス1011は系外に放出される。CO2を吸収したCO2吸収液1007はリッチ溶液とも呼称される。このリッチ溶液1007はリッチソルベントポンプ1012により昇圧され、リッチ/リーンソルベント熱交換器1013において、後述の再生塔1008でCO2を除去されることにより再生されたCO2吸収液(リーン溶液)1009により加熱され、再生塔1008に供給される。
【0006】
再生塔1008の上部から再生塔1008内部に放出されたリッチ溶液1007は、再生塔1008内で発生する水蒸気から熱をもらい受け、大部分のCO2を放出する。再生塔1008内で一部または大部分のCO2を放出したCO2吸収液はセミリーン溶液と呼称される。このセミリーン溶液は、再生塔1008下部に至る頃には、ほぼ全てのCO2が除去されたCO2吸収液となる。このほぼ全てのCO2が除去されることにより再生された吸収液はリーン溶液と呼称される。このリーン溶液はリボイラ1014でスチームにより加熱される。一方、再生塔1008の頭頂部からは塔内においてリッチ溶液およびセミリーン溶液から放出された水蒸気を伴ったCO2ガス1015が導出され、オーバーヘッドコンデンサ1016により水蒸気が凝縮され、分離ドラム1017にて水が分離され、CO2ガス1018が系外に放出されて回収される。分離ドラム1017にて分離された水は凝縮水循環ポンプ1019にて再生塔1008の上部に供給される。再生されたCO2吸収液(リーン溶液)1009は、前記リッチ/リーンソルベント熱交換器1013にて前記リッチ溶液1007により冷却され、つづいてリーンソルベントポンプ1020にて昇圧され、さらにリーンソルベントクーラ1021にて冷却された後、CO2吸収塔1006に供給される。
【0007】
なお、図9中、符号1001aはボイラやガスタービン等、産業設備1001の煙道であり、1001bは内部にダンパを有する煙突である。前記CO2回収装置は、既設の排ガス源からCO2を回収するために後付で設けられる場合と、新設排ガス源に同時付設される場合とがある。
【0008】
【特許文献1】特開平3−193116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の排ガス中の二酸化炭素の有効利用としては、炭酸飲料用の二酸化炭素やドライアイスを製造するために排ガス中の一部の二酸化炭素を回収しているに過ぎなかった。しかしながら、近年、地球の温暖化現象の原因の一つとして、二酸化炭素による温室効果が指摘され、地球環境を守る上で国際的にもその対策が急務となってきていると共に、二酸化炭素の発生源としては化石燃料を燃焼させるあらゆる人間の活動分野に及び、その排出抑制への要求が一層強まる傾向にある。これに伴い大量の化石燃料を使用する火力発電所などの動力発生設備を対象に、ボイラやガスタービン等、産業設備の燃焼排ガスをCO2吸収液と接触させ、燃焼排ガス中のCO2の全量を除去、回収する方法および回収されたCO2を大気へ放出することなく貯蔵する方法が試みられている。
【0010】
このように、従来のCO2回収システム1000において、排ガスの全量の二酸化炭素を回収する場合には、図9に示すような煙突1001b内に開閉可能なバルブやダンパ等の閉塞手段を設置して、CO2回収装置の運転時は閉止するようにし、また排ガス源は稼動しているが、CO2回収装置の運転を停止した際は開放するように設定することが提案される。
【0011】
しかしながら、CO2回収装置の運転を停止時するような場合において、煙突内部を閉鎖するバルブやダンパ等の閉塞又は開放等の動作が確実に行われないと、排ガスの排出がスムースに行われなくなり、前流側の産業設備(ガスタービン等)に悪影響を生じさせる場合がある。
また、3000t/日の二酸化炭素を処理するような20万KWの発電を行うタービン設備においては、排出する排ガス量が膨大となり、例えば7〜10m径の煙突が必要となり、その際に、排ガスを閉塞するバルブやダンパ等の閉塞手段の設備は大がかりなものが必要となる。
【0012】
そこで、簡易な設備でしかも安定にしてかつ安全に、大量の排ガスを、ほぼ全量二酸化炭素回収装置に引込むことができるシステムの出現が切望されている。
【0013】
本発明は、前記問題に鑑み、排ガス中の二酸化炭素回収装置に排ガスを、安定にしてかつ安全に引込むことができる排ガス中の二酸化炭素回収システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決する本発明の第1の発明は、産業設備から排出される排ガスを外部へ排出する煙突と、前記煙突の後流側に設置され、前記排ガスを引込むブロアと、前記ブロアにより引込まれた排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、前記煙突内の出口側近傍に設けられたガス流量を計測するセンサとを具備してなり、前記ガス流量センサにおいて、前記煙突からの排ガスの排出流量が零となるまで、二酸化炭素回収装置へのブロアによる排ガスの引込み量を増大させ、前記煙突からの排出量が零となったら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うことを特徴とする排ガス中の二酸化炭素回収システムにある。
【0015】
第2の発明は、産業設備から排出される排ガスを外部へ排出する煙突と、前記煙突の後流側に設置され、前記排ガスを引込むブロアと、前記ブロアにより引込まれた排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、前記煙突内、煙突の後流側の排ガス煙道中の少なくとも一箇所に設けられたガス温度、ガス種を計測するセンサとを具備してなり、前記センサにおいて、前記ガス温度又はガス種の濃度が変化するまで、二酸化炭素回収装置へのブロアによる排ガスの引込み量を増大させ、前記ガス温度又はガス種の濃度が変化したら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うことを特徴とする排ガス中の二酸化炭素回収システムにある。
【0016】
第3の発明は、産業設備から排出される排ガスを外部へ排出する煙突と、前記煙突の後流側に設置され、前記排ガスを引込むブロアと、前記ブロアにより引込まれた排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、前記煙突の前流側と煙突の後流側の排ガス煙道中に設けられたガス温度又はガス種の濃度を計測するセンサとを具備してなり、前記ガス温度又はガス種の濃度の差が発生するまで、二酸化炭素回収装置へのブロアによる排ガスの引込み量を増大させ、前記差が発生したら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うことを特徴とする排ガス中の二酸化炭素回収システムにある。
【0017】
第4の発明は、第2又は3の発明において、前記ガス種が酸素又は二酸化炭素であることを特徴とする排ガス中の二酸化炭素回収システムにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易な設備でしかも安定にしてかつ安全に、大量の排ガスを、ほぼ全量二酸化炭素回収装置に引込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0020】
本発明による実施例1に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施例に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
図1に示すように本実施例に係る排ガス中の二酸化炭素回収システム10−1は、産業設備11から排出される排ガス12を外部へ排出する煙突13と、前記煙突13の後流側に設置され、前記排ガス12を引込むブロア14と、前記ブロア14により引込まれた排ガス12中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置15と、前記煙突13内の出口側近傍に設けられたガス流量センサS1とを具備してなり、前記ガス流量センサS1において、前記煙突13からの排ガスの排出流量が零となるまで、二酸化炭素回収装置へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させ、前記煙突13からの排出量が零となったら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガス12を引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うものである。
ここで、前記二酸化炭素回収装置15は前述した図9に示すCO2回収装置と同様な二酸化炭素を回収するものであればいずれでもよく、特に限定されるものではない。
【0021】
本実施例においては、前記ガス流量センサS1において、前記煙突13からの排ガス12の外部への排出流量を常に監視する。
そして、その煙突13からの排出流量が零となるまで、二酸化炭素回収装置へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させていくと、図2に示すように、煙突からの外部への排ガス12の排出量は徐々に低下する。そして、前記煙突13からの排出量が零となったら、それ以上のブロア14による引込みを停止し、ほぼ零となる引込み量(略一定量)を維持しつつブロア14で排ガス12を引込みつつ、前記二酸化炭素回収装置15により排ガス12中の二酸化炭素の回収を行うものである。
【0022】
これにより、産業設備11からの排ガスの全量の排ガスを安定して二酸化炭素回収装置15へ引込むことが可能となり、排ガス中の全量の二酸化炭素の全量の回収を行うことが可能となる。
【0023】
また、二酸化炭素回収装置15においては、もともと処理対象である排ガスには空気が混入しているので、煙突13から外部の大気を二酸化炭素回収装置15内に引込んだ場合でも何ら不具合が発生するものでもない。
【0024】
なお、本発明では産業設備は特に限定されるものではなく、二酸化炭素を発生する他ボイラ、燃焼炉、ガスタービン設備等を例示することができる。ここで、ガスタービン設備を用いる場合には、ガスタービンから排出される排ガス12の高温(約580℃)の熱を回収する排熱回収ボイラ(HRSG)を設置するようにしてもよい。
【実施例2】
【0025】
本発明による実施例2に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムについて、図面を参照して説明する。
図3−1は、本実施例に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
図3−1に示すように本実施例に係る排ガス中の二酸化炭素回収システム10−2Aは、産業設備11から排出される排ガス12を外部へ排出する煙突13と、前記煙突13の後流側に設置され、前記排ガス12を引込むブロア14と、前記ブロア14により引込まれた排ガス12中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置15と、前記煙突13内に設けられた煙突内のガス温度センサS2を具備してなり、前記ガス温度センサS2において、前記ガス温度が低下するまで、二酸化炭素回収装置15へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させ、前記ガス温度が低下したら、それ以上の引込みを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うものである。
【0026】
すなわち、前記ガス温度センサS2において、前記煙突13から外部へ排出する排ガスの排出温度を前記ガス温度センサS2により常に監視する。
そして、二酸化炭素回収装置へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させても、ある時点までは、図4に示すように、その煙突からの排出温度はほぼ一定(100〜180℃)である。しかしながら、煙突13の外部から大気が煙突内に流入してくると、排ガス12は大気により冷やされ、その温度は低下することになる。そして、その温度変化が開始する直前において(図4中、矢印の場所)、それ以上のブロア14による排ガス12の引込みを停止し、その停止した引込み量(略一定量)を維持しつつ前記ブロア14で排ガス12を引込みつつ、前記二酸化炭素回収装置15により排ガス12中の二酸化炭素の回収を行うものである。
【0027】
これにより、産業設備11からの排ガスの全量の排ガスを安定して二酸化炭素回収装置15へ引込むことが可能となり、排ガス中の全量の二酸化炭素の全量の回収を行うことが可能となる。
【0028】
図3−2は、本実施例の他の排ガス中の二酸化炭素回収システム10−2Bであり、ガス温度センサS3を煙突の後流側でブロア14の手前に設けたものであり、同様にしてガス温度を計測して排ガスの引込みを行うものである。
前記ガス温度センサS3を用いて、前記ガス温度センサS2と同様にしてガス温度を監視しつつ、引込み量を制御することで、産業設備11からの排ガスの全量の排ガスを安定して二酸化炭素回収装置15へ引込むことが可能となり、排ガス中の全量の二酸化炭素の回収を行うことが可能となる。
【0029】
図3−3は、本実施例のさらに他の排ガス中の二酸化炭素回収システム10−2Cであり、ガス温度センサS3を煙突13の後流側でしかもブロア14の手前に設けると共に、煙突13の前流の煙道内にもガス温度センサS4を設けたものである。
そして、前記ガス温度センサS4、S3において、排ガスのガス温度の温度差が発生するまで、二酸化炭素回収装置15へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させ、前記ガス温度差が発生したら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うものである。
これにより、産業設備11からの排ガスの全量の排ガスを安定して二酸化炭素回収装置15へ引込むことが可能となる。
【実施例3】
【0030】
本発明による実施例3に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムについて、図面を参照して説明する。
図5−1は、本実施例に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
図5−1に示すように本実施例に係る排ガス中の二酸化炭素回収システム10−3Aは、産業設備11から排出される排ガス12を外部へ排出する煙突13と、前記煙突13の後流側に設置され、前記排ガス12を引込むブロア14と、前記ブロア14により引込まれた排ガス12中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置15と、前記煙突13内に設けられた煙突内のO2センサS5を具備してなり、前記O2センサS5において、前記酸素ガス濃度が上昇するまで、二酸化炭素回収装置15へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させ、前記酸素ガス濃度が上昇したら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うものである。
【0031】
すなわち、前記O2センサS5において、前記煙突13から外部へ排出する排ガスの酸素濃度を前記O2センサS5により常に監視する。
そして、二酸化炭素回収装置15へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させても、ある時点までは、図6に示すように、その煙突からの酸素濃度はほぼ一定(ボイラからの排ガスの場合には2〜5%、ガスタービンからの排ガスの場合には12〜15%)である。しかしながら、煙突13の外部から大気が煙突内に流入してくると、排ガス12中に大気中の酸素が混入し、その酸素濃度が上昇することになる。そして、その酸素濃度の濃度変化が開始する直前において(図6中、矢印の場所)、それ以上のブロア14による排ガス12の引込みを停止し、その停止した引込み量(略一定量)を維持しつつ前記ブロア14で排ガス12引込みつつ、前記二酸化炭素回収装置15により排ガス12中の二酸化炭素の回収を行うものである。
【0032】
これにより、産業設備11からの排ガスの全量の排ガスを安定して二酸化炭素回収装置15へ引込むことが可能となり、排ガス中の全量の二酸化炭素の回収を行うことが可能となる。
【0033】
なお、図5−1においては、O2センサS6を煙突13の後流側でブロア14の前流側に設置しているが、O2センサS5の代わりにこのセンサで酸素濃度を計測するようにしてもよい。この際、O2センサS5と併用して両方のセンサS5及びS6で酸素濃度を計測するようにしてもよい。
【0034】
図5−2は、本実施例の他の排ガス中の二酸化炭素回収システム10−3Bであり、O2センサS6を煙突13の後流側でしかもブロア14の手前に設けると共に、煙突13の前流の煙道内にもO2センサS7を設けたものである。
そして、前記O2センサS6、S7において、排ガスの酸素濃度の濃度差が発生するまで、二酸化炭素回収装置15へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させ、前記酸素の濃度差が発生したら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うものである。
これにより、産業設備11からの排ガスの全量の排ガスを安定して二酸化炭素回収装置15へ引込むことが可能となる。
【実施例4】
【0035】
本発明による実施例4に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムについて、図面を参照して説明する。
図7−1は、本実施例に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
図7−1に示すように本実施例に係る排ガス中の二酸化炭素回収システム10−4Aは、産業設備11から排出される排ガス12を外部へ排出する煙突13と、前記煙突13の後流側に設置され、前記排ガス12を引込むブロア14と、前記ブロア14により引込まれた排ガス12中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置15と、前記煙突13内に設けられた煙突内のCO2センサS8を具備してなり、前記CO2センサS8において、前記二酸化炭素ガス濃度が上昇するまで、二酸化炭素回収装置15へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させ、前記二酸化炭素ガス濃度が上昇したら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うものである。
【0036】
すなわち、前記CO2センサS8において、前記煙突13から外部へ排出する排ガスの二酸化炭素濃度を前記CO2センサS8により常に監視する。
そして、二酸化炭素回収装置15へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させても、ある時点までは、図6に示すように、その煙突からの二酸化炭素濃度はほぼ一定(ボイラからの排ガスの場合には8〜14%、ガスタービンからの排ガスの場合には3.5〜4%)である。しかしながら、煙突13の外部から大気が煙突内に流入してくると、排ガス12中に大気中の二酸化炭素が混入し、その二酸化炭素濃度が上昇することになる。そして、その二酸化炭素濃度の濃度変化が開始する直前において(図8中、矢印の場所)、それ以上のブロア14による排ガス12の引込みを停止し、その停止した引込み量(略一定量)を維持しつつ前記ブロア14で排ガス12を引込みつつ、前記二酸化炭素回収装置15により排ガス12中の二酸化炭素の回収を行うものである。
【0037】
これにより、産業設備11からの排ガスの全量の排ガスを安定して二酸化炭素回収装置15へ引込むことが可能となり、排ガス中の全量の二酸化炭素の回収を行うことが可能となる。
【0038】
なお、図7−1においては、CO2センサS9を煙突13の後流側でブロア14の前流側に設置しているが、CO2センサS8の代わりにこのセンサで二酸化炭素濃度を計測するようにしてもよい。この際、CO2センサS8と併用して両方のセンサS8及びS9で酸素濃度を計測するようにしてもよい。
【0039】
図7−2は、本実施例の他の排ガス中の二酸化炭素回収システム10−4Bであり、CO2センサS9を煙突13の後流側でしかもブロア14の手前に設けると共に、煙突13の前流の煙道内にもCO2センサS10を設けたものである。
そして、前記CO2センサS9、S10において、排ガスの二酸化炭素濃度の濃度差が発生するまで、二酸化炭素回収装置15へのブロア14による排ガス12の引込み量を増大させ、前記二酸化炭素の濃度差が発生したら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うものである。
これにより、産業設備11からの排ガスの全量の排ガスを安定して二酸化炭素回収装置15へ引込むことが可能となる。
【0040】
なお、実施例1乃至実施例4を適宜組み合わせて複数の異なるセンサを用いて、制御するようにして、さらに精度の高い制御を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムは、排簡易な設備でしかも安定にしてかつ安全に、大量の排ガスを、ほぼ全量二酸化炭素回収装置に引込むシステムの出現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
【図2】実施例1に係る煙突流量と排ガス引込量との関係図である。
【図3−1】実施例2に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
【図3−2】実施例2に係る他の排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
【図3−3】実施例2に係る他の排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
【図4】実施例2に係る煙突温度と排ガス引込量との関係図である。
【図5−1】実施例3に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
【図5−2】実施例3に係る他の排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
【図6】実施例3に係る煙突O2濃度と排ガス引込量との関係図である。
【図7−1】実施例4に係る排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
【図7−2】実施例4に係る他の排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
【図8】実施例4に係る煙突CO2濃度と排ガス引込量との関係図である。
【図9】従来の排ガス中の二酸化炭素回収システムの概略図である。
【符号の説明】
【0043】
10−1〜10−4 排ガス中の二酸化炭素回収システム
11 産業設備
12 排ガス
13 煙突
14 ブロア
15 二酸化炭素回収装置
S1 ガス流量センサ
S2〜S4 ガス温度センサ
S5〜S7 O2センサ
S8〜S10 CO2センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業設備から排出される排ガスを外部へ排出する煙突と、
前記煙突の後流側に設置され、前記排ガスを引込むブロアと、
前記ブロアにより引込まれた排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記煙突内の出口側近傍に設けられたガス流量を計測するセンサとを具備してなり、
前記ガス流量センサにおいて、前記煙突からの排ガスの排出流量が零となるまで、二酸化炭素回収装置へのブロアによる排ガスの引込み量を増大させ、
前記煙突からの排出量が零となったら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うことを特徴とする排ガス中の二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
産業設備から排出される排ガスを外部へ排出する煙突と、
前記煙突の後流側に設置され、前記排ガスを引込むブロアと、
前記ブロアにより引込まれた排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記煙突内、煙突の後流側の排ガス煙道中の少なくとも一箇所に設けられたガス温度、ガス種を計測するセンサとを具備してなり、
前記センサにおいて、前記ガス温度又はガス種の濃度が変化するまで、二酸化炭素回収装置へのブロアによる排ガスの引込み量を増大させ、
前記ガス温度又はガス種の濃度が変化したら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うことを特徴とする排ガス中の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
産業設備から排出される排ガスを外部へ排出する煙突と、
前記煙突の後流側に設置され、前記排ガスを引込むブロアと、
前記ブロアにより引込まれた排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記煙突の前流側と煙突の後流側の排ガス煙道中に設けられたガス温度又はガス種の濃度を計測するセンサとを具備してなり、
前記ガス温度又はガス種の濃度の差が発生するまで、二酸化炭素回収装置へのブロアによる排ガスの引込み量を増大させ、
前記差が発生したら、それ以上の引込み量とするのを停止し、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中の二酸化炭素の回収を行うことを特徴とする排ガス中の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記ガス種が酸素又は二酸化炭素であることを特徴とする排ガス中の二酸化炭素回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−17617(P2010−17617A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178260(P2008−178260)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】