説明

排ガス処理装置および排ガス処理方法

【課題】ボイラの運転期間が長くなっても、ボイラから排出される排ガス中に含まれる硫黄酸化物の生成量の増大を抑制することが可能な排ガス処理装置等を提供する。
【解決手段】燃料Fを燃焼させるボイラ5と、ボイラ5に空気Aを供給する空気供給部16と、ボイラ5から排出される排ガスE中に含まれる酸素濃度を検出可能なOセンサ25と、ボイラ5の運転期間と、酸素濃度と、排ガスE中に含まれる酸素と硫黄とが結合して三酸化硫黄に転換する転換率と、の相関関係を表す相関マップと、空気供給部16を制御して、ボイラ5に供給される空気Aの供給量を調整可能な運転制御装置9と、を備え、運転制御装置9は、ボイラ5の運転期間に応じた目標となる転換率に基づいて相関マップから目標酸素濃度を取得し、Oセンサ25によって検出される酸素濃度が目標酸素濃度となるように、ボイラ5への空気Aの供給量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を燃焼させるボイラの排ガスを処理する排ガス処理装置および排ガス処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、重質燃料焚ボイラから排出される排ガス中に含まれる煤塵を除去する電気集塵機の下流側において、灰流動性を計測する灰流動性計測計を有する重質燃料焚ボイラシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この重質燃料焚ボイラシステムでは、灰流動性計測計により計測した灰流動性情報に基づいて、ボイラへ供給する空気の供給量を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−192100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ボイラから排出された排ガスでは、排ガス中に含まれる酸素と硫黄とが結合することにより、二酸化硫黄(SO)や三酸化硫黄(SO)等の硫黄酸化物が生成される。このうち、三酸化硫黄は、ボイラの運転期間が長くなるにつれて生成量が増加する。つまり、ボイラの運転期間が長くなると、ボイラの内部に設けられた伝熱管に汚れが付着することで、伝熱管による熱交換の効率が低下し、これにより、ボイラ内の温度が上昇することや付着灰の触媒作用等により、三酸化硫黄が生成され易くなる。
【0005】
ここで、ボイラの排出側には、排ガス中の煤塵および硫安を集塵するアンモニア注入設備付きの電気集塵機が接続される場合がある。この電気集塵機は、流入する排ガスにアンモニアを添加して、排ガス中に含まれる三酸化硫黄とアンモニアとを反応させることにより硫安を生成し、排ガス中に含まれる煤塵と共に、生成した硫安を除去している。しかしながら、生成された硫安には、アンモニアの不足などにより、付着性の強い酸性硫安が含まれる。この酸性硫安は、電気集塵機の電極(集塵極)に付着し易い。このため、三酸化硫黄の生成量が増加するにつれて、電極に酸性硫安が付着し、電気集塵機の集塵性能を低下させる虞がある。加えて、電気集塵機は、アンモニアの添加量を、三酸化硫黄の生成量が最大となる場合に十分となる添加量としている。このため、電気集塵機は、三酸化硫黄の生成量が最大となるまでの間、余分なアンモニアを添加することになる。
【0006】
そこで、本発明は、ボイラの運転期間が長くなっても、ボイラから排出される排ガス中に含まれる三酸化硫黄の生成量の増大を抑制することが可能な排ガス処理装置および排ガス処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の排ガス処理装置は、燃料を燃焼させるボイラと、ボイラに酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、ボイラから排出される排ガス中に含まれる酸素濃度を検出可能な酸素濃度検出手段と、ボイラの運転期間と、酸素濃度と、排ガス中に含まれる酸素と硫黄とが結合して三酸化硫黄に転換する転換率と、の相関関係を表す相関マップと、酸化剤供給手段を制御して、ボイラに供給される酸化剤の供給量を調整可能な制御手段と、を備え、制御手段は、ボイラの運転期間に応じた目標となる転換率に基づいて相関マップから目標酸素濃度を取得し、酸素濃度検出手段によって検出される酸素濃度が目標酸素濃度となるように、ボイラへの酸化剤の供給量を調整することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、制御手段は、酸素濃度検出手段によって検出される酸素濃度が目標酸素濃度となるように、ボイラへの酸化剤の供給量を調整することができる。このため、制御手段は、三酸化硫黄への転換率を、ボイラの運転期間に応じた目標となる転換率とすることができる。これにより、ボイラの運転期間が長くなっても、三酸化硫黄の転換率を一定にすることができる。よって、ボイラにアンモニア注入設備付きの電気集塵機が接続された場合、電気集塵機に流入する排ガス中の三酸化硫黄の増大を抑制でき、電気集塵機に流入する排ガス中の三酸化硫黄の流入量を一定にすることができる。このため、電気集塵機の電極を汚れ難くすることができ、電機集塵機の運転を長期化させることが可能となる。また、電気集塵機に流入する三酸化硫黄の流入量を一定にできるため、アンモニアの添加量を一定とすることができ、これにより、余分なアンモニアの添加を抑制することができる。
【0009】
この場合、相関マップは、ボイラの運転期間が長くなるにつれて、酸素濃度が低下することで、転換率が一定となることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ボイラの運転期間が長くなるにつれて、ボイラへの酸化剤の供給量を減らし、酸素濃度を低下させることで、三酸化硫黄への転換率を一定とすることができる。
【0011】
この場合、酸化剤は、空気であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、三酸化硫黄への転換率を一定とすることができるため、三酸化硫黄とアンモニアとが反応して生成される硫安の生成量の増大を抑制できる。また、酸化剤として空気を用いることにより、ボイラは、空気が供給されながら、燃料を燃焼させることができる。
【0013】
本発明の排ガス処理方法は、酸化剤が供給されるボイラの運転期間と、ボイラから排出される排ガス中に含まれる酸素濃度と、排ガス中に含まれる酸素と硫黄とが結合して三酸化硫黄に転換する転換率との相関関係を表す相関マップを用いて、ボイラから排出される排ガスを処理する排ガス処理方法であって、ボイラの運転期間を取得する運転期間取得工程と、ボイラの運転期間に応じた目標となる転換率である目標転換率を取得する目標転換率取得工程と、ボイラの運転期間および目標転換率に基づいて、相関マップから目標酸素濃度を取得する目標酸素濃度取得工程と、酸素濃度を検出する酸素濃度検出工程と、酸素濃度検出工程において検出した酸素濃度が、目標酸素濃度となるように、ボイラへの酸化剤の供給量を調整する酸化剤供給量調整工程と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、酸化剤供給量調整工程では、酸素濃度検出工程において検出される酸素濃度が目標酸素濃度となるように、ボイラへの酸化剤の供給量を調整することができる。このため、三酸化硫黄への転換率を、ボイラの運転期間に応じた目標となる転換率にすることができる。これにより、ボイラの運転期間が長くなっても、三酸化硫黄の転換率を一定にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の排ガス処理装置および排ガス処理方法によれば、ボイラの運転期間が長くなっても、ボイラから排出される排ガス中に含まれる三酸化硫黄への転換率を一定とすることができ、排ガス中の三酸化硫黄の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施例に係る排ガス処理装置の概略構成図である。
【図2】図2は、ボイラの運転期間、酸素濃度および三酸化硫黄への転換率の相関関係を表す相関マップの説明図である。
【図3】図3は、ボイラの運転期間に応じて変化する三酸化硫黄への転換率を示すグラフの説明図である。
【図4】図4は、排ガス処理方法に関する一連の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る排ガス処理装置および排ガス処理方法について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0018】
図1は、本実施例に係る排ガス処理装置の概略構成図である。本実施例の排ガス処理装置1は、空気を酸化剤として用い、重質油等の粗悪燃料をボイラで燃焼すると共に、ボイラから排出された排ガスを浄化するものである。
【0019】
排ガス処理装置1は、ボイラ5と、ボイラ5に接続された脱硝装置6と、脱硝装置6に接続された電気集塵機7と、電気集塵機7に接続された脱硫装置8と、これらの運転を制御する運転制御装置(制御手段)9とを備えている。
【0020】
ボイラ5には、燃料Fを供給する燃料供給部15と、酸化剤としての空気Aを供給する空気供給部16とが接続されている。また、ボイラ5の内部には、伝熱管17が設けられ、伝熱管17は、ボイラ5内で発生した熱により加熱されることで熱交換する。空気供給部16からボイラ5へ空気Aが供給されると共に、燃料供給部15からボイラ5へ燃料Fが供給されると、ボイラ5では、空気Aを用いて燃料Fを燃焼させることで、ボイラ5内に設けられた伝熱管17を加熱する。そして、ボイラ5は、燃焼後に発生した排ガスEを脱硝装置6へ向けて排出する。このとき、ボイラ5から排出された排ガスEにおいて、その中に含まれる酸素と硫黄とが結合し、硫黄酸化物が生成される。なお、空気供給部16は、運転制御装置9に接続されており、運転制御装置9による制御により、ボイラ5へ向けて供給される空気Aの供給量を調整している。
【0021】
なお、ボイラ5と脱硝装置6との間には、Oセンサ25が設けられており、ボイラ5から排出された排ガスE中の酸素濃度を検出している。Oセンサ25は、運転制御装置9に接続されており、検出した酸素濃度を運転制御装置9へ向けて出力している。
【0022】
脱硝装置6は、排ガスE中に含まれる窒素酸化物を除去するものである。脱硝装置6は、その内部に脱硝触媒層(図示せず)を有しており、排ガスEが脱硝触媒層と接触することにより、排ガスE中の窒素酸化物が窒素ガス(N)と水(HO)とに分解・除去される。
【0023】
電気集塵機7は、アンモニア注入設備21付きの電気集塵機7である。アンモニア注入設備21からアンモニアが添加されると、排ガスE中の三酸化硫黄とアンモニアとが反応し、硫安が生成される。そして、電気集塵機7は、脱硝後の排ガスE中に含まれる煤塵を除去すると共に、アンモニア(NH)を添加することにより生成される硫安を除去する。この電気集塵機7は、放電極と集塵極とを有しており、放電極から放電された電荷により排ガスE中の煤塵および硫安を陰極側に帯電させ、陰極側に帯電した排ガスE中の煤塵および酸性硫安を、陽極側の集塵極に引き寄せることで捕集する。
【0024】
脱硫装置8は、集塵後の排ガスE中に含まれる硫黄酸化物を除去するものである。脱硝装置8は、図示しない吸収塔を有しており、硫黄酸化物を吸収する吸収液として、例えば、石灰スラリーが用いられている。吸収塔では、排ガスEと石灰スラリーとを接触させて排ガスE中の硫黄酸化物を除去し、これにより、排ガスEが浄化される。浄化された排ガスEは、浄化ガスとして、脱硫装置8の吸収塔から排出され、吸収塔に接続された煙突22から外気へ排出される。
【0025】
運転制御装置9は、ボイラ5、脱硝装置6、電気集塵機7および脱硫装置8の作動をそれぞれ制御している。例えば、運転制御装置9は、空気供給部16に接続されると共に、Oセンサ25に接続されており、Oセンサ25により検出された酸素濃度に基づいて、空気供給部16からボイラ5へ供給させる空気Aの流量を調整している。
【0026】
従って、排ガス処理装置1は、運転制御装置9に制御されながら、燃料供給部15および空気供給部16からボイラ5へ向けて燃料Fおよび空気Aを供給する。すると、ボイラ5では、供給された空気Aを用いて、燃料Fを燃焼させることにより、ボイラ5内に設けられた伝熱管17を加熱する。燃焼後に発生した排ガスEは、脱硝装置6へ向けて排出される。脱硝装置6へ向かう排ガスEは、Oセンサ25により酸素濃度が検出され、検出された酸素濃度は、運転制御装置9に出力される。脱硝装置6へ流入した排ガスEは、窒素酸化物が除去された後、電気集塵機7へ向けて排出される。電気集塵機7へ流入した排出ガスEは、アンモニア注入設備21からアンモニアが添加されることで、排ガスEに含まれる三酸化硫黄とアンモニアとが反応し、硫安が生成される。そして、電気集塵機7に流入した排ガスEは、煤塵および硫安が電気集塵機7により集塵された後、脱硫装置8へ向けて排出される。脱硫装置8へ流入した排ガスEは、硫黄酸化物が除去された後、煙突22から外気へ排出される。
【0027】
以上のように構成された排ガス処理装置1において、ボイラ5を長期間運転すると、伝熱管17に汚れが付着する。伝熱管17に汚れが付着すると、熱交換の効率が低下し、ボイラ5内の温度が上昇する。ボイラ5内の温度が上昇したり、付着灰の触媒作用が働いたりすると、三酸化硫黄が生成され易くなるため、ボイラ5から排出される排ガスE中の三酸化硫黄の生成量は増大する。排ガスE中の三酸化硫黄が増大すると、電気集塵機7において添加されるアンモニアにより、生成する硫安に含まれる酸性硫安の生成量が増大し、電気集塵機7の集塵極に付着する酸性硫安の付着量が増大し、電気集塵機7の集塵性能が低下する。このため、本実施例の排ガス処理装置1では、ボイラ5から排出される排ガスE中の三酸化硫黄の増大を抑制すべく、運転制御装置9により空気供給部16を制御することで、ボイラ5に供給する空気Aの供給量を調整している。以下、図2ないし図4を参照して、運転制御装置9について具体的に説明する。
【0028】
図2は、ボイラの運転期間、酸素濃度および三酸化硫黄への転換率の相関関係を表す相関マップの説明図である。図3は、ボイラの運転期間に応じて変化する三酸化硫黄への転換率を示すグラフの説明図である。図4は、排ガス処理方法に関する一連の制御動作である。運転制御装置9は、予め用意された相関マップMに基づいて、空気供給部16を制御することにより、ボイラ5から排出される排ガスE中の硫黄酸化物、特に、三酸化硫黄(SO)の転換率を一定としている。
【0029】
図2に示す相関マップMは、運転制御装置9に記憶されている。この相関マップMは、ボイラ5の運転期間と、排ガスE中の酸素濃度と、排ガスE中に含まれる酸素と硫黄とが結合して三酸化硫黄に転換する転換率との相関関係を表している。ここで、相関マップMは、その横軸が、ボイラ5の運転期間となっており、その縦軸が、酸素濃度となっている。また、相関マップMにおいて、L1は、三酸化硫黄への転換率が所定の割合となるラインであり、L2は、三酸化硫黄への転換率がL1よりも大きな割合となるラインである。
【0030】
この相関マップMは、図3に示すグラフに基づいて生成されている。図3に示すグラフは、その横軸が、ボイラ5の運転期間となっており、その縦軸が、三酸化硫黄への転換率となっている。また、図3に示すグラフにおいて、M1は、酸素濃度が第1酸素濃度のときの転換率の変化を表すラインである。同様に、M2は、酸素濃度が第1酸素濃度よりも高い第2酸素濃度のときの転換率の変化を表すラインである。M3は、酸素濃度が第2酸素濃度よりも高い第3酸素濃度のときの転換率の変化を表すラインである。図3のグラフに示すように、M1、M2およびM3は、ボイラ5の運転期間が長くなるにつれて、三酸化硫黄への転換率が上昇するように変化することが分かる。そして、図3における所定の転換率に対応する酸素濃度を、ボイラの運転期間を基準にして、図2の横軸および縦軸に合わせてプロットすると、相関マップMが得られる。得られた相関マップMから分かるように、ボイラの運転期間が長くなるにつれて、酸素濃度を低下させることで、三酸化硫黄への転換率は一定となる。
【0031】
運転制御装置9は、現在のボイラ5の運転期間と、目標とする転換率(例えば、L1またはL2)とに基づいて、相関マップMから目標となる酸素濃度を目標酸素濃度として設定する。そして、運転制御装置9は、Oセンサ25から検出される酸素濃度が、目標酸素濃度となるように、空気供給部16を制御する。
【0032】
続いて、図4を参照し、排ガス処理装置1の運転制御装置9によりボイラ5の運転を制御する排ガス処理方法について説明する。先ず、運転制御装置9は、現在のボイラ5の運転期間を取得する(ステップS1:運転期間取得工程)。この後、運転制御装置9は、目標とする転換率である三酸化硫黄への目標転換率を取得する(ステップS2:目標転換率取得工程)。なお、目標転換率は、ボイラ5に使用される燃料の品質等に応じて、適宜設定されることが好ましい。
【0033】
運転制御装置9は、目標転換率を取得すると、取得したボイラ5の運転期間と取得した目標転換率とに基づいて、相関マップMから目標酸素濃度を取得して設定する(ステップS3:目標酸素濃度設定工程)。目標酸素濃度が設定されると、運転制御装置9は、運転しているボイラ5から排出される排ガスE中の酸素濃度を、Oセンサ25により検出(ステップS4:酸素濃度検出工程)し、検出した酸素濃度が目標酸素濃度となるように、空気供給部16を制御する(ステップS5:酸化剤供給量調整工程)。
【0034】
以上から、本実施例の構成によれば、運転制御装置9は、ボイラ5の運転期間が長くなっても、ボイラ5から排出される排ガスE中の三酸化硫黄への転換率を一定の転換率とすることができる。これにより、ボイラ5にアンモニア注入設備21付きの電気集塵機7が接続された場合、電気集塵機7に流入する排ガスE中の三酸化硫黄の増大を抑制でき、電気集塵機7に流入する排ガスE中の三酸化硫黄の流入量を一定にすることができる。このため、電気集塵機7の電極を汚れ難くすることができ、電機集塵機7の運転を長期化させることが可能となる。また、電気集塵機7に流入する三酸化硫黄の流入量を一定にできるため、アンモニア注入設備21から添加されるアンモニアの添加量を一定とすることができ、これにより、余分なアンモニアの添加を抑制することができる。
【0035】
また、本実施例の構成によれば、ボイラ5の運転期間が長くなるにつれて、酸素濃度を低下させることで、三酸化硫黄への転換率が一定となる相関マップMを用いることができる。これにより、運転制御装置9は、三酸化硫黄の転換率を一定にする場合、酸素濃度を低下させるべく、ボイラ5の運転期間が長くなるにつれて、空気供給部16から供給される空気の供給量を減少させればよい。このため、運転制御装置9は、相関マップMに基づいて空気供給部16を制御することで、三酸化硫黄の転換率を好適に一定とすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 排ガス処理装置
5 ボイラ
6 脱硝装置
7 電気集塵機
8 脱硫装置
9 運転制御装置
15 燃料供給部
16 空気供給部
17 伝熱管
21 アンモニア注入設備
22 煙突
25 Oセンサ
F 燃料
A 空気
E 排ガス
M 相関マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させるボイラと、
前記ボイラに酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、
前記ボイラから排出される排ガス中に含まれる酸素濃度を検出可能な酸素濃度検出手段と、
前記ボイラの運転期間と、前記酸素濃度と、前記排ガス中に含まれる酸素と硫黄とが結合して三酸化硫黄に転換する転換率と、の相関関係を表す相関マップと、
前記酸化剤供給手段を制御して、前記ボイラに供給される前記酸化剤の供給量を調整可能な制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記ボイラの運転期間に応じた目標となる前記転換率に基づいて前記相関マップから目標酸素濃度を取得し、前記酸素濃度検出手段によって検出される前記酸素濃度が前記目標酸素濃度となるように、前記ボイラへの前記酸化剤の供給量を調整することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記相関マップは、前記ボイラの運転期間が長くなるにつれて、前記酸素濃度が低下することで、前記転換率が一定となることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記酸化剤は、空気であることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
酸化剤が供給されるボイラの運転期間と、前記ボイラから排出される排ガス中に含まれる酸素濃度と、前記排ガス中に含まれる酸素と硫黄とが結合して三酸化硫黄に転換する転換率との相関関係を表す相関マップを用いて、前記ボイラから排出される排ガスを処理する排ガス処理方法であって、
前記ボイラの運転期間を取得する運転期間取得工程と、
前記ボイラの運転期間に応じた目標となる前記転換率である目標転換率を取得する目標転換率取得工程と、
前記ボイラの運転期間および前記目標転換率に基づいて、前記相関マップから目標酸素濃度を取得する目標酸素濃度取得工程と、
前記酸素濃度を検出する酸素濃度検出工程と、
前記酸素濃度検出工程において検出した前記酸素濃度が、前記目標酸素濃度となるように、前記ボイラへの前記酸化剤の供給量を調整する酸化剤供給量調整工程と、を備えたことを特徴とする排ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44464(P2013−44464A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181827(P2011−181827)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】