説明

排ガス処理装置

【課題】排ガス処理装置において、ポップコーンアッシュを適正に捕集可能とする。
【解決手段】燃焼ガスを流動可能な排ガス管48と、排ガス管48に設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部と、排ガス管48における熱回収部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて排ガス中の有害物質を除去可能な有害物質除去部と、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部60とを設け、このポップコーンアッシュ捕集部60として、開口率の高い第1捕集部61と、第1捕集部61の開口率より低い開口率を有する第2捕集部62を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電用または工場用などのために蒸気を生成するためのボイラに適用される排ガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の微粉炭焚きボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、火炉壁に複数の燃焼バーナが周方向に沿って配設されると共に、上下方向に複数段にわたって配置されている。この燃焼バーナは、石炭が粉砕された微粉炭(燃料)と1次空気との混合気が供給されると共に、高温の2次空気が供給され、この混合気と2次空気を火炉内に吹き込むことで火炎を形成し、この火炉内で燃焼可能となっている。そして、この火炉は、上部に煙道が連結され、この煙道に排ガスの熱を回収するための過熱器、再熱器、節炭器などが設けられており、火炉での燃焼により発生した排ガスと水との間で熱交換が行われ、蒸気を生成することができる。また、この煙道は、排ガス通路が連結され、この排ガス通路に脱硝装置、電気集塵機、脱硫装置などが設けられ、下流端部に煙突が設けられている。
【0003】
このような微粉炭焚きボイラでは、火炉で燃料としての微粉炭を燃焼することから、排ガスにポップコーンアッシュが混入する。このポップコーンアッシュは、灰の塊であることから、特に、排ガス通路に設けられる脱硝装置に付着し、圧力損失が上昇して性能低下を招いてしまう。そのため、従来から、排ガス通路に金網などを設けて排ガスからポップコーンアッシュを除去するようにしている。このような技術としては、例えば、下記特許文献1、2に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2724176号公報
【特許文献2】米国特許第6994036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、ボイラの火炉で発生した排ガスは、ポップコーンアッシュが混入しており、このポップコーンアッシュは、数ミリから十数ミリの灰の塊である。一方、排ガス通路に設けられた金網は、数ミリ以下のメッシュである。そのため、大塊のポップコーンアッシュが金網などに衝突することで、この金網の目が局所的に詰まったり、磨耗が生じたり、または、この金網が破損してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、ポップコーンアッシュを適正に捕集可能とする排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の排ガス処理装置は、燃焼ガスを流動可能な排ガス通路と、前記排ガス通路に設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部と、前記排ガス通路における前記熱回収部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて排ガス中の有害物質を除去可能な有害物質除去部と、前記排ガス通路における前記熱回収部と前記有害物質除去部との間に設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部と、を備え、前記ポップコーンアッシュ捕集部は、予め設定された所定の開口率を有する第1捕集部と、前記第1捕集部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて前記第1捕集部の開口率より低い開口率を有する第2捕集部と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、排ガス通路を流れる排ガスは、熱回収部で熱が回収された後、開口率の高い第1捕集部により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、続いて、開口率の低い第2捕集部により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集され、その後、有害物質除去部で有害物質が除去される。そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部で除去されてから第2捕集部に流れるため、粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部の損傷が抑制され、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる。
【0009】
本発明の排ガス処理装置では、前記排ガス通路は、互いにほぼ直交する方向に連通する第1通路と第2通路とを有し、排ガスの流動方向の上流側に位置する前記第1通路に前記熱回収部が設けられ、排ガスの流動方向の下流側に位置する前記第2通路に前記有害物質除去部が設けられ、前記ポップコーンアッシュ捕集部は、前記第2通路側に設けられることを特徴としている。
【0010】
従って、排ガスが第1通路から屈曲した第2通路に流れるとき、この排ガスに含まれるポップコーンアッシュをポップコーンアッシュ捕集部により効率良く捕集することができる。
【0011】
本発明の排ガス処理装置では、前記第1通路と前記第2通路との連通部の下方にポップコーンアッシュを貯留可能なホッパが設けられ、前記第1捕集部は、前記ホッパまたは前記第2通路に設けられ、前記第2捕集部は、前記第2通路に設けられることを特徴としている。
【0012】
従って、排ガスが第1通路から屈曲した第2通路に流れるとき、この排ガスに含まれるポップコーンアッシュが第1捕集部及び第2捕集部により順に捕集された後、全てのポップコーンアッシュがホッパに貯留されることとなり、ポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。
【0013】
本発明の排ガス処理装置では、前記第1通路と前記第2通路との連通部における曲がり角の内側に排ガスを前記曲がり角の外側に案内するガイド部が設けられることを特徴としている。
【0014】
従って、排ガスが第1通路から第2通路に流れるとき、この排ガスはガイド部により曲がり角の内側から外側へ案内されることとなり、排ガスの流速を低下させることで、ポップコーンアッシュ捕集部へのポップコーンアッシュの衝突による衝撃を低減し、ポップコーンアッシュ捕集部の損傷を抑制することができる。
【0015】
本発明の排ガス処理装置では、前記第1捕集部は、前記第1通路と前記第2通路との連通部における曲がり角の内側から排ガスの流動方向の上流側に下方へ傾斜して配置され、前記第2捕集部は、前記第2通路の上部から排ガスの流動方向の下流側に下方へ傾斜して配置されることを特徴としている。
【0016】
従って、第1捕集部が上流側に下方へ傾斜して配置されることで、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができると共に、捕集したポップコーンアッシュを適正に落下させることができ、また、第2捕集部が下流側に下方へ傾斜して配置されることで、捕集したポップコーンアッシュを適正に落下させて再生することができ、ポップコーンアッシュ捕集部により長期間にわたってポップコーンアッシュを捕集することができる。
【0017】
本発明の排ガス処理装置では、前記第1捕集部は、下端部が前記ホッパと所定の隙間をあけて配置されることを特徴としている。
【0018】
従って、排ガス中に含まれるポップコーンアッシュは、第1捕集部により捕集された後、その傾斜により剥離され、下端部の隙間からホッパへ落下して貯留されることとなり、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができると共に、捕集したポップコーンアッシュを適正に落下させて貯留することができる。
【0019】
本発明の排ガス処理装置では、前記第2捕集部は、排ガスの流速に応じて上下傾斜角度が変更可能であることを特徴としている。
【0020】
従って、排ガスが高速で流れるときの第2捕集部への衝突角度を鋭角または鈍角に変更することで、第2捕集部へのポップコーンアッシュの衝突による衝撃を低減し、第2捕集部の損傷を抑制することができると共に、必要に応じて第2捕集部の上下傾斜角度が変更されることで、捕集したポップコーンアッシュの剥離を促進させることができる。
【0021】
本発明の排ガス処理装置では、前記第2捕集部における排ガスの流動方向の下流側から前記第2捕集部に向けてガスを噴射可能なガス噴射部が設けられることを特徴としている。
【0022】
従って、必要に応じてガス噴射部が下流側から第2捕集部に向けてガスを噴射することで、捕集したポップコーンアッシュを剥離して再生することができ、第2捕集部により長期間にわたってポップコーンアッシュを捕集することができる。
【0023】
本発明の排ガス処理装置では、前記第1捕集部は、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板と、該複数の遮蔽板を排ガスの流動方向に交差する方向に所定間隔で支持する支持部材とを有することを特徴としている。
【0024】
従って、第1捕集部にて、排ガス中のポップコーンアッシュが複数の遮蔽板に衝突して落下することで、第2捕集部へ流れるポップコーンアッシュの量を減少し、ポップコーンアッシュによる第2捕集部の損傷を低減することができる。
【0025】
本発明の排ガス処理装置では、前記第1捕集部は、排ガスの流動方向に交差する鉛直方向に沿うと共に、排ガスの流動方向に交差する水平方向に所定間隔で配置されて排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板を有することを特徴としている。
【0026】
従って、第1捕集部にて、排ガス中のポップコーンアッシュが複数の遮蔽板に衝突して落下することで、第2捕集部へ流れるポップコーンアッシュの量を減少し、ポップコーンアッシュによる第2捕集部の損傷を低減することができる。
【0027】
本発明の排ガス処理装置では、前記第1捕集部は、前記複数の遮蔽板が排ガスの流動方向に沿って多段に配置されることを特徴としている。
【0028】
従って、排ガスの流れが低圧損となって慣性力も弱められるため、補集部でポップコーンアッシュを確実に補集することができる。
【0029】
本発明の排ガス処理装置では、前記遮蔽板は、メッシュ形状またはスリット形状をなすことを特徴としている。
【0030】
従って、簡単な構成で、第2捕集部へ流れるポップコーンアッシュの量を減少することができる。
【0031】
本発明の排ガス処理装置では、前記第2捕集部は、排ガスの流動方向に交差する第1平面部と、排ガスの流動方向に平行な平行部と、排ガスの流動方向に交差すると共に第1平面部より下流に位置する第2平面部とが左右方向に交互に設けられて凹凸形状をなすことを特徴としている。
【0032】
従って、第2捕集部は、捕集面積が増加することとなり、粒径の小さいポップコーンアッシュを効率良く捕集することができると共に、平行部と第2平面部との間に角部が形成されることから、この角部に捕集されたポップコーンアッシュを容易に脱落させて再生することができる。
【0033】
本発明の排ガス処理装置では、前記第2捕集部は、排ガスの流動方向に湾曲する第1曲面部と、排ガスの流動方向に平行な平行部と、排ガスの流動方向と逆に湾曲すると共に第1曲面部より下流に位置する第2曲面部とが左右方向に交互に設けられて凹凸形状をなすことを特徴としている。
【0034】
従って、第2捕集部は、捕集面積が増加することとなり、粒径の小さいポップコーンアッシュを効率良く捕集することができると共に、平行部と第2曲面部との間に角部が形成されることから、この角部に捕集されたポップコーンアッシュを容易に脱落させて再生することができる。
【0035】
本発明の排ガス処理装置では、前記第2捕集部は、排ガスの流動方向に湾曲する第1曲面部と、排ガスの流動方向に平行な平行部と、排ガスの流動方向に湾曲すると共に第1曲面部より下流に位置する第2曲面部とが左右方向に交互に設けられて凹凸形状をなすことを特徴としている。
【0036】
従って、第2捕集部は、捕集面積が増加することとなり、粒径の小さいポップコーンアッシュを効率良く捕集することができると共に、平行部と第2曲面部との間に角部が形成されることから、この角部に捕集されたポップコーンアッシュを容易に脱落させて再生することができる。
【0037】
本発明の排ガス処理装置では、前記第2捕集部は、排ガスの流動方向に屈曲する第1屈曲面部と、排ガスの流動方向に平行な平行部と、排ガスの流動方向に屈曲すると共に第1屈曲面部より下流に位置する第2屈曲面部とが左右方向に交互に設けられて凹凸形状をなすことを特徴としている。
【0038】
従って、第2捕集部は、捕集面積が増加することとなり、粒径の小さいポップコーンアッシュを効率良く捕集することができると共に、平行部と第2屈曲部との間に角部が形成されることから、この角部に捕集されたポップコーンアッシュを容易に脱落させて再生することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の排ガス処理装置によれば、燃焼ガスを流動可能な排ガス通路にて、熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部を設け、このポップコーンアッシュ捕集部として、高い開口率の第1捕集部と、低い開口率の第2捕集部を並べて設けるので、粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部の損傷が抑制され、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る排ガス処理装置が適用された微粉炭焚きボイラを表す概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1の排ガス処理装置を表す概略側面図である。
【図3】図3は、実施例1の排ガス処理装置を表す概略平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係る排ガス処理装置を表す概略図である。
【図5】図5は、本発明の実施例3に係る排ガス処理装置を表す概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施例4に係る排ガス処理装置を表す概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施例5に係る排ガス処理装置を表す概略図である。
【図8−1】図8−1は、実施例5の排ガス処理装置における第2捕集部の変形例を表す概略図である。
【図8−2】図8−2は、実施例5の排ガス処理装置における第2捕集部の変形例を表す概略図である。
【図8−3】図8−3は、実施例5の排ガス処理装置における第2捕集部の変形例を表す概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施例6に係る排ガス処理装置を表す概略図である。
【図10】図10は、実施例6の排ガス処理装置における第1捕集部を表す斜視図である。
【図11−1】図11−1は、実施例6の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図11−2】図11−2は、実施例6の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図11−3】図11−3は、実施例6の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図11−4】図11−4は、実施例6の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図12】図12は、本発明の実施例7に係る排ガス処理装置を表す概略図である。
【図13】図13は、本発明の実施例8に係る排ガス処理装置を表す概略側面図である。
【図14】図14は、実施例8の排ガス処理装置を表す概略平面図である。
【図15−1】図15−1は、本発明の実施例8に係る排ガス処理装置における第1捕集部を表す斜視図である。
【図15−2】図15−2は、実施例8の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図15−3】図15−3は、実施例8の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に添付図面を参照して、本発明の排ガス処理装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0042】
図1は、本発明の実施例1に係る排ガス処理装置が適用された微粉炭焚きボイラを表す概略構成図、図2は、実施例1の排ガス処理装置を表す概略側面図、図3は、実施例1の排ガス処理装置を表す概略平面図である。
【0043】
実施例1の排ガス処理装置が適用された微粉炭焚きボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を固体燃料として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。
【0044】
この実施例1において、図1に示すように、微粉炭焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12とを有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁の下部に燃焼装置12が設けられている。
【0045】
燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施例にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。
【0046】
そして、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して微粉炭機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この微粉炭機31,32,33,34,35は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送空気(1次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0047】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37は、他端部に送風機38が装着されている。従って、送風機38により送られた燃焼用空気(2次空気、3次空気)を、空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0048】
そのため、燃焼装置12にて、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と1次空気とを混合した微粉燃料混合気(燃料ガス)を火炉11内に吹き込み可能であると共に、2次空気を火炉11内に吹き込み可能となっており、図示しない点火トーチにより微粉燃料混合気に点火することで、火炎を形成することができる。
【0049】
なお、一般的に、ボイラの起動時には、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、油燃料を火炉11内に噴射して火炎を形成している。
【0050】
火炉11は、上部に煙道40が連結されており、この煙道40に、対流伝熱部(熱回収部)として排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)41,42、再熱器43,44、節炭器(エコノマイザ)45,46,47が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0051】
煙道40は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管(排ガス通路)48が連結されている。この排ガス管48は、空気ダクト37との間にエアヒータ49が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、排ガス管48を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0052】
また、排ガス管48は、エアヒータ49より上流側に位置して、選択還元型触媒50が設けられ、エアヒータ49より下流側に位置して、電気集塵機51、誘引送風機52、脱硫装置53が設けられ、下流端部に煙突54が設けられている。ここで、選択還元型触媒50、電気集塵機51、脱硫装置53が有害物質除去部として機能する。
【0053】
従って、微粉炭機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。この火炉11では、微粉燃料混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道40に排出される。
【0054】
なお、火炉11では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したNOxが火炉11で還元され、その後、アディショナルエアが追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
【0055】
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器45,46,47によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器41,42に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器41,42で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器43,44に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0056】
その後、煙道40の節炭器45,46,47を通過した排ガスは、排ガス管48にて、選択還元型触媒50でNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機51で粒子状物質が除去され、脱硫装置53により硫黄分が除去された後、煙突54から大気中に排出される。
【0057】
このように構成された微粉炭焚きボイラ10にて、火炉11より下流側が実施例1の排ガス処理装置として機能する。そして、この実施例1の排ガス処理装置では、排ガス管48における熱回収部(過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47)と有害物質除去部(選択還元型触媒50、電気集塵機51、脱硫装置53)との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部60が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部60は、予め設定された所定の開口率を有する第1捕集部61と、この第1捕集部61より排ガスの流動方向の下流側に設けられて第1捕集部61の開口率より低い開口率を有する第2捕集部62とから構成されている。
【0058】
即ち、図2及び図3に示すように、排ガス管48は、例えば、矩形断面を有し、鉛直方向に沿って延びる第1配管(第1通路)48aと、水平方向に沿って延びる第2配管(第2通路)48bとから構成され、第1配管48aと第2配管48bとは、互いにほぼ直交する方向に連通している。この場合、排ガスの流動方向の上流側に位置する第1配管48a側に熱回収部が設けられ、排ガスの流動方向の下流側に位置する第2配管48b側に有害物質除去部が設けられ、第1配管48aの通路面積に比べて第2配管48bの通路面積が小さく設定されている。そして、ポップコーンアッシュ捕集部60は、第2配管48b側に設けられている。
【0059】
また、第1配管48aと第2配管48bとは、その後端部と前端部とが連通すると共に、この連通部の下方にポップコーンアッシュを貯留可能なホッパ63が設けられている。このホッパ63は、下方に向けて面積が狭くなるように対向する傾斜面により形成され、下端部が第2配管48bの底面より低い位置にある。なお、このホッパ63は、ポップコーンアッシュ捕集部60により捕集されて落下したポップコーンアッシュを貯留するだけでなく、図示しない開閉弁により開口部を開放することで、ポップコーンアッシュを下方に排出可能となっている。そして、第1捕集部61は、ホッパ63の上方に設けられ、第2捕集部62は、第2配管48b内に設けられている。
【0060】
第1捕集部61は、上端部(基端部)が第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に固定されたブラケット64に固定されている。そして、この第1捕集部61は、下端部(先端部)がこの位置から排ガスの流動方向の上流側に下方へ延出するように傾斜して配置されている。即ち、第1捕集部61は、鉛直線に対して、下端部が排ガスの流動方向の上流側に所定角度θ1だけ傾斜している。そして、第1捕集部61は、下端部がホッパ63の傾斜面に対して所定の隙間をあけて配置されている。
【0061】
一方、第2捕集部62は、第1捕集部61と同様に、上端部(基端部)が第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に固定されたブラケット64に固定されている。そして、この第2捕集部62は、下端部(先端部)がこの位置から排ガスの流動方向の下流側に下方へ延出するように傾斜して配置されている。即ち、第2捕集部62は、鉛直線に対して、下端部が排ガスの流動方向の下流側に所定角度θ2だけ傾斜している。
【0062】
この場合、ポップコーンアッシュ捕集部60を構成する第1捕集部61及び第2捕集部62は、第1捕集部61の開口率が大きく、第2捕集部62の開口率が小さく設定されている。例えば、この第1捕集部61及び第2捕集部62は、メッシュ状をなす金網により形成され、第1捕集部61は、10mm以上の多数の開口からなり、第2捕集部62は、2mm〜3mm以下の多数の開口からなる。なお、第1捕集部61及び第2捕集部62は、メッシュ状をなす金網に限定されるものではなく、縦スリットまたは横スリットを有するスクリーンや多孔体などとしてもよい。
【0063】
また、第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に排ガスを曲がり角の外側に案内するキッカ(ガイド部)65が設けられている。このキッカ65は、第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側にて、第1配管48aの下端部の内壁面から曲がり角の外側にある対向する内壁面側に突出するように設けられ、断面が先細の三角形状をなしている。
【0064】
ここで、実施例1の排ガス処理装置の作用を説明する。排ガス管48を流れる排ガスは、熱回収部(過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47、以上、図1参照)で熱が回収された後、第1配管48aに沿って下方に流れる。そして、排ガスは、連通部をほぼ直角に曲がってポップコーンアッシュ捕集部60に流れる。
【0065】
ここで、排ガスは、第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側にて、キッカ65により連通部の中心側に案内されることで、流れが剥離してその流速が低下する。そして、排ガスは、まず、開口率の高い第1捕集部61により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、続いて、開口率の低い第2捕集部62により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。また、第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の外側を流れる排ガスは、第1捕集部61の先端部とホッパ63の傾斜面との隙間を通るものの、粒径の大きいポップコーンアッシュがこのホッパ63の傾斜面に当接して落下し、開口率の低い第2捕集部62により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。なお、各捕集部61,62で捕集されたポップコーンアッシュは、所定量だけ付着するものの、この各捕集部61,62が傾斜していることから、ホッパ63に自由落下して貯留される。
【0066】
そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部61で除去されてから第2捕集部62に流れるため、第2捕集部62に流れる粒径の大きいポップコーンアッシュはほとんどなく、この粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部62の損傷が抑制される。その後、ポップコーンアッシュがポップコーンアッシュ捕集部60で除去された排ガスは、有害物質除去部(選択還元型触媒50、電気集塵機51、脱硫装置53、以上、図1参照)で有害物質が除去される。
【0067】
このように実施例1の排ガス処理装置にあっては、燃焼ガスを流動可能な排ガス管48と、排ガス管48に設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部と、排ガス管48における熱回収部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて排ガス中の有害物質を除去可能な有害物質除去部と、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部60とを設け、このポップコーンアッシュ捕集部60として、開口率の高い第1捕集部61と、第1捕集部61の開口率より低い開口率を有する第2捕集部62を設けている。
【0068】
従って、排ガス管48を流れる排ガスは、熱回収部で熱が回収された後、開口率の高い第1捕集部61により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、続いて、開口率の低い第2捕集部62により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集され、その後、有害物質除去部で有害物質が除去される。そのため、粒径の大きいポップコーンアッシュを含んだ排ガスが、第2捕集部62に流れることはほとんどなく、粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部62の目詰まり、磨耗、損傷が抑制され、常時、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる。
【0069】
また、実施例1の排ガス処理装置では、排ガス管48として、互いにほぼ直交する方向に連通する第1配管48aと第2配管48bとを設け、排ガスの流動方向の上流側に位置する第1配管48aに熱回収部を設け、排ガスの流動方向の下流側に位置する第2配管48bに有害物質除去部を設け、ポップコーンアッシュ捕集部60を第2配管48b側に設けている。従って、排ガスが第1配管48aから屈曲した第2配管48bに流れるとき、この排ガスに含まれるポップコーンアッシュをポップコーンアッシュ捕集部60により効率良く捕集することができる。
【0070】
また、実施例1の排ガス処理装置では、第1配管48aと第2配管48bとの連通部の下方にポップコーンアッシュを貯留可能なホッパ63を設け、第1捕集部61をホッパ63の上方に設け、第2捕集部62を第2配管48bに設けている。従って、排ガスが第1配管48aから屈曲した第2配管48bに流れるとき、この排ガスに含まれるポップコーンアッシュが第1捕集部61及び第2捕集部62により順に捕集された後、全てのポップコーンアッシュがホッパ63に貯留されることとなり、ポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。
【0071】
また、実施例1の排ガス処理装置では、第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に排ガスを曲がり角の外側に案内するキッカ65を設けている。従って、排ガスが第1配管48aから第2配管48bに流れるとき、この排ガスはキッカ65により曲がり角の内側から外側へ案内されることとなり、排ガスの流れが剥離して流速を低下させることで、ポップコーンアッシュ捕集部60へのポップコーンアッシュの衝突による衝撃を低減し、ポップコーンアッシュ捕集部60の損傷を抑制することができる。
【0072】
また、実施例1の排ガス処理装置では、第1捕集部61を第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側から排ガスの流動方向の上流側に下方へ傾斜して配置し、第2捕集部62を第2配管48bの上部から排ガスの流動方向の下流側に下方へ傾斜して配置している。従って、第1捕集部61を上流側に下方へ傾斜して配置することで、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができると共に、捕集したポップコーンアッシュを適正に落下させることができる。また、第2捕集部62を下流側に下方へ傾斜して配置することで、捕集したポップコーンアッシュを適正に落下させて再生することができ、ポップコーンアッシュ捕集部60により長期間にわたってポップコーンアッシュを捕集することができる。
【0073】
また、実施例1の排ガス処理装置では、第1捕集部61の下端部とホッパ63と間に所定の隙間をあけている。従って、排ガス中に含まれるポップコーンアッシュは、第1捕集部61により捕集された後、その傾斜により剥離され、下端部の隙間からホッパ63へ落下して貯留されることとなり、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができると共に、捕集したポップコーンアッシュを適正に落下させて貯留することができる。
【実施例2】
【0074】
図4は、本発明の実施例2に係る排ガス処理装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0075】
実施例2の排ガス処理装置において、図4に示すように、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部60が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部60は、高い開口率を有する第1捕集部61と、低い開口率を有する第2捕集部62とから構成されている。
【0076】
排ガス管48は、鉛直方向に沿って延びる第1配管48aと、水平方向に沿って延びる第2配管48bが互いにほぼ直交する方向に連通して構成されており、排ガスの流動方向の上流側に位置する第1配管48a側に熱回収部が設けられ、排ガスの流動方向の下流側に位置する第2配管48b側に有害物質除去部が設けられ、ポップコーンアッシュ捕集部60は、第2配管48b側に設けられている。
【0077】
また、第1配管48aと第2配管48bとの連通部の下方にホッパ63が設けられている。第1捕集部61は、上端部が第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に固定されたブラケット64に固定され、下端部が排ガスの流動方向の上流側に下方へ延出するように傾斜して配置されている。一方、第2捕集部62は、上端部が第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に固定されたブラケット64に支持され、下端部が排ガスの流動方向の下流側に下方へ延出するように傾斜して配置されている。また、第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に排ガスを曲がり角の外側に案内するキッカ65が設けられている。
【0078】
また、第2捕集部62は、排ガス管48を流れる排ガスの流速に応じて、上下の傾斜角度が変更可能となっている。即ち、第2捕集部62は、上端部がブラケット64に排ガスの流動方向に直交する水平方向に沿う支持軸71により回動自在に支持されている。また、第2配管48bは、内面下部に駆動装置(例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ、電気モータなど)72が排ガスの流動方向に沿って配置されており、取付ブラケット73により第2配管48bに固定されている。この駆動装置72は、排ガスの流動方向に直交する水平方向に沿って複数配置されており、各駆動ロッド74の先端部が第2捕集部62の下端部に連結されている。
【0079】
そして、各駆動装置72は、制御装置75に接続されている。また、排ガス管48(第2配管48b)は、内部に排ガスの流速を検出可能な速度センサ76が設けられており、検出結果が制御装置75に出力される。そのため、制御装置75は、速度センサ76の検出結果に基づいて駆動装置72を駆動制御可能となっている。具体的に、制御装置75は、排ガス管48(第2配管48b)を流れる排ガスの流速が高くなると、駆動装置72の駆動ロッド74を収縮し、第2捕集部62を支持軸71を支点として図4にて反時計周り方向に回動することで、鉛直方向に対する第2捕集部62の傾斜角度が大きくなるように制御する。
【0080】
従って、排ガスがポップコーンアッシュ捕集部60に至ると、まず、開口率の高い第1捕集部61により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、次に、開口率の低い第2捕集部62により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部61で除去されてから第2捕集部62に流れるため、第2捕集部62に流れる粒径の大きいポップコーンアッシュはほとんどなく、この粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部62の損傷が抑制される。
【0081】
また、微粉炭焚きボイラ10の負荷が大きくなると、煙道40に排出される燃焼ガスの排出量が多くなると共に、その流速が速くなる。第2捕集部62は、微粉炭焚きボイラ10の通常運転時(所定負荷時)に所定角度傾斜している。そして、制御装置75は、速度センサ76が検出した排ガス管48(第2配管48b)の排ガス速度が速くなると、駆動装置72を作動し、第2捕集部62の傾斜角度を大きくする。この場合、制御装置75は、排ガス速度に対する第2捕集部62の傾斜角度をマップ化しておき、このマップに応じて駆動装置72を制御することが望ましい。
【0082】
そのため、排ガス速度が速くなると、第2捕集部62の傾斜角度が大きくなることから、排ガスの流れ方向に対して第2捕集部62が直交せず、鋭角または鈍角となり、排気ガス中のポップコーンアッシュが第2捕集部62に衝突する衝撃が緩和される。なお、必要に応じて、第2捕集部62の傾斜角度を変更することで、この第2捕集部62に捕集されたポップコーンアッシュがホッパ63に落下して貯留される。
【0083】
このように実施例2の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部60として、開口率の高い第1捕集部61と、第1捕集部61の開口率より低い開口率を有する第2捕集部62を設け、駆動装置72により第2捕集部62を排ガスの流速に応じて上下傾斜角度を変更可能としている。
【0084】
従って、排ガス管48内を排ガスが高速で流れるとき、第2捕集部62の傾斜角度を大きくすることで、この第2捕集部62への排ガスの進入角度が鋭角または鈍角となり、第2捕集部62へのポップコーンアッシュの衝突による衝撃を低減し、第2捕集部62の損傷を抑制することができる。また、必要に応じて、第2捕集部62の傾斜角度を変更することで、この第2捕集部62に捕集されたポップコーンアッシュの剥離を促進させることができる。
【実施例3】
【0085】
図5は、本発明の実施例3に係る排ガス処理装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
実施例3の排ガス処理装置において、図5に示すように、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部60が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部60は、高い開口率を有する第1捕集部61と、低い開口率を有する第2捕集部62とから構成されている。第1捕集部61は、上端部が第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に固定されたブラケット64に固定され、下端部が排ガスの流動方向の上流側に下方へ延出するように傾斜して配置されている。
【0087】
一方、第2捕集部62は、上端部が第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に固定されたブラケット64に支持軸71をもって回動自在に支持され、下端部が排ガスの流動方向の下流側に下方へ延出するように傾斜して配置されている。そして、この第2捕集部62は、排ガス管48を流れる排ガスの流速に応じて、上下の傾斜角度が変更可能となっている。即ち、第2捕集部62は、下端部と第2配管48bの内面下部に固定されたブラケット77との間に弾性部材(例えば、圧縮ばね、ゴムなど)78が介装されている。
【0088】
従って、微粉炭焚きボイラ10の負荷が大きくなると、煙道40に排出される燃焼ガスの排出量が多くなると共に、その流速が速くなる。すると、第2捕集部62は、排気ガスにより押圧される力が増加し、下端部が弾性部材78を圧縮して後退する。つまり、第2捕集部62は、支持軸71を支点として図5にて反時計周り方向に回動することで、鉛直方向に対する第2捕集部62の傾斜角度が大きくなる。
【0089】
そのため、排ガス速度が速くなると、第2捕集部62の傾斜角度が大きくなることから、排ガスの流れ方向に対して第2捕集部62が直交せず、鋭角または鈍角となり、排気ガス中のポップコーンアッシュが第2捕集部62に衝突する衝撃が緩和される。なお、このとき、第2捕集部62の傾斜角度を変更することで、この第2捕集部62に捕集されたポップコーンアッシュがホッパ63に落下して貯留される。
【0090】
このように実施例3の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部60として、開口率の高い第1捕集部61と、第1捕集部61の開口率より低い開口率を有する第2捕集部62を設け、第2捕集部62を排ガスの流速に応じて上下傾斜角度を変更可能としている。
【0091】
従って、排ガス管48内を排ガスが高速で流れるとき、第2捕集部62の傾斜角度が大きくなることで、この第2捕集部62への排ガスの進入角度が鋭角または鈍角となり、第2捕集部62へのポップコーンアッシュの衝突による衝撃を低減し、第2捕集部62の損傷を抑制することができる。このとき、第2捕集部62の傾斜角度が変わることで、この第2捕集部62に捕集されたポップコーンアッシュの剥離を促進させることができる。
【0092】
なお、上述した実施例2、3では、第2捕集部62の上端部を回動自在に支持し、下端部を移動して傾斜角度を変更可能としたが、第2捕集部62の下端部を回動自在に支持し、上端部を移動して傾斜角度を変更可能としてもよい。また、第2捕集部62だけでなく、排ガスの流速に応じて第1捕集部61の傾斜角度を変更可能としてもよい。
【実施例4】
【0093】
図6は、本発明の実施例4に係る排ガス処理装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0094】
実施例4の排ガス処理装置において、図6に示すように、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部60が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部60は、高い開口率を有する第1捕集部61と、低い開口率を有する第2捕集部62とから構成されている。
【0095】
第1捕集部61は、上端部が第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に固定されたブラケット64に固定され、下端部が排ガスの流動方向の上流側に下方へ延出するように傾斜して配置されている。一方、第2捕集部62は、上端部が第1配管48aと第2配管48bとの連通部における曲がり角の内側に固定されたブラケット64に支持され、下端部が排ガスの流動方向の下流側に下方へ延出するように傾斜して配置されている。
【0096】
また、第2捕集部62における排ガスの流動方向の下流側からこの第2捕集部62に向けてガスを噴射可能なガス噴射部が設けられている。即ち、第2配管48bは、第2捕集部62における排ガスの流動方向の下流側に位置して、エア配管81が配置されており、このエア配管81は、その長手方向に所定間隔(例えば、等間隔)で噴射ノズル82が設けられている。この場合、エア配管81は、鉛直方向に沿って配置されると共に、水平方向に所定間隔で複数配置されている。また、エア配管81は、エア供給配管83が連結されており、このエア供給配管83は、中途部に開閉弁84が設けられ、エア供給源85まで延出されている。なお、この場合、エアとは、周辺の空気でよく、または、不活性ガスであることが望ましい。
【0097】
従って、排ガスがポップコーンアッシュ捕集部60に至ると、まず、開口率の高い第1捕集部61により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、次に、開口率の低い第2捕集部62により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部61で除去されてから第2捕集部62に流れるため、第2捕集部62に流れる粒径の大きいポップコーンアッシュはほとんどなく、この粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部62の損傷が抑制される。
【0098】
そして、所定期間が過ぎて第2捕集部62がポップコーンアッシュにより目詰まりすると、開閉弁84を開放し、エア供給源85のエアをエア供給配管83からエア配管81に供給し、各噴射ノズル82から第2捕集部62に向けてエアを噴射する。すると、第2捕集部62に付着していたポップコーンアッシュが脱落し、ホッパ63に落下して貯留される。そのため、第2捕集部62は、ポップコーンアッシュが除去されて再生され、ポップコーンアッシュの捕集能力が復帰する。
【0099】
このように実施例4の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部60として、開口率の高い第1捕集部61と、第1捕集部61の開口率より低い開口率を有する第2捕集部62を設け、第2捕集部62における排ガスの流動方向の下流側からこの第2捕集部62に向けてエア(ガス)を噴射可能な噴射ノズル82を設けている。
【0100】
従って、必要に応じて噴射ノズル82から第2捕集部62に向けてエアを噴射することで、捕集したポップコーンアッシュを剥離して再生することができ、第2捕集部62により長期間にわたってポップコーンアッシュを捕集することができる。
【実施例5】
【0101】
図7は、本発明の実施例5に係る排ガス処理装置を表す概略図、図8−1から図8−3は、実施例5の排ガス処理装置における第2捕集部の変形例を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0102】
実施例5の排ガス処理装置において、図7に示すように、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部90が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部90は、高い開口率を有する第1捕集部61と、低い開口率を有する第2捕集部91とから構成されている。第1捕集部61は、ホッパ63の上方に傾斜して配置されている。一方、第2捕集部91は、第2配管48bの入口部に傾斜して配置されている。
【0103】
この場合、第2捕集部91は、排ガスの流動方向に直交する第1平面部91aと、排ガスの流動方向に平行な平行部91bと、排ガスの流動方向に直交すると共に第1平面部91aより下流に位置する第2平面部91cとが左右方向に交互に設けられて構成されている。即ち、第2捕集部91は、左右方向に所定間隔で凹部(第2平面部91c)が形成されることで、捕集面積を増加させている。
【0104】
従って、排ガスがポップコーンアッシュ捕集部90に至ると、まず、開口率の高い第1捕集部61により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、次に、開口率の低い第2捕集部91により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。このとき、第2捕集部91は、第1平面部91aと平行部91bと第2平面部91cとから構成されて捕集面積が増加していることから、粒径の小さいポップコーンアッシュを効率良く捕集できる。また、平行部91bと第2平面部91cとの間に角部が形成されることから、この角部に捕集されたポップコーンアッシュを容易に脱落する。
【0105】
なお、第2捕集部91の形状は、この形状に限定されるものではない。例えば、図8−1に示すように、第2捕集部92は、排ガスの流動方向に湾曲する第1曲面部92aと、排ガスの流動方向に平行な平行部92bと、排ガスの流動方向と逆に湾曲すると共に第1曲面部92aより下流に位置する第2曲面部92cとが左右方向に交互に設けられて構成されている。即ち、第2捕集部92は、左右方向に所定間隔で凹部(第2曲面部92c)が形成されることで、捕集面積を増加させている。
【0106】
また、図8−2に示すように、第2捕集部93は、排ガスの流動方向に湾曲する第1曲面部93aと、排ガスの流動方向に平行な平行部93bと、排ガスの流動方向に湾曲すると共に第1曲面部93aより下流に位置する第2曲面部93cとが左右方向に交互に設けられて構成されている。即ち、第2捕集部93は、左右方向に所定間隔で凹部(第2曲面部93c)が形成されることで、捕集面積を増加させている。
【0107】
また、図8−3に示すように、第2捕集部94は、排ガスの流動方向に屈曲する第1屈曲面部94aと、排ガスの流動方向に平行な平行部94bと、排ガスの流動方向に屈曲すると共に第1屈曲面部94aより下流に位置する第2屈曲面部94cとが左右方向に交互に設けられて構成されている。即ち、第2捕集部94は、左右方向に所定間隔で凹部(第2屈曲面部94c)が形成されることで、捕集面積を増加させている。
【0108】
なお、対向する一対の平行部91b,92b,93b,94bが排ガスの流動方向に沿って狭くなるように傾斜部とすることで、ポップコーンアッシュが捕集しやすくなる。
【0109】
このように実施例5の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部90として、開口率の高い第1捕集部61と、第1捕集部61の開口率より低い開口率を有する第2捕集部91,92,93,94,95を設け、第2捕集部91,92,93,94,95を左右方向に複数の凹凸部を有する形状としている。従って、第2捕集部91,92,93,94,95の捕集面積を増加させることで、ポップコーンアッシュの捕集効率を向上することができる。
【実施例6】
【0110】
図9は、本発明の実施例6に係る排ガス処理装置を表す概略図、図10は、実施例6の排ガス処理装置における第1捕集部を表す斜視図、図11−1から図11−4は、実施例6の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0111】
実施例6の排ガス処理装置において、図9及び図10に示すように、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部100が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部100は、高い開口率を有する第1捕集部101と、低い開口率を有する第2捕集部102とから構成されている。そして、第1配管48aと第2配管48bとの連通部の下方にホッパ103が設けられており、第1捕集部101と第2捕集部102は、第2配管48bにおける入口部、つまり、ホッパ103に近接して配置されている。
【0112】
第1捕集部101は、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板104と、この複数の遮蔽板104を排ガスの流動方向に交差する方向に所定間隔で支持する支持部材105とから構成されている。即ち、支持部材105は、鉛直方向に沿った棒材形状をなし、左右方向に所定間隔で複数配置され、上端部及び下端部が第2配管48bの入口部の内壁面に固定されている。遮蔽板104は、所定の大きさの板材形状をなし、左右方向に長い矩形状となっている。そして、複数の遮蔽板104は、各支持部材105の長手方向に所定間隔で固定されており、その結果、各遮蔽板104は、第2配管48bの通路断面方向に所定隙間を持って平面的に配置されることとなる。この場合、遮蔽板104同士の上下間隔及び左右間隔は、適宜設定すればよいものであり、排ガス中のポップコーンアッシュの粒径に合わせて狭く設定してもよい。
【0113】
従って、排ガスがポップコーンアッシュ捕集部100に至ると、まず、開口率の高い第1捕集部101により粒径の大きいポップコーンアッシュが衝突して落下することで捕集され、次に、開口率の低い第2捕集部102により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部101で除去されてから第2捕集部102に流れるため、第2捕集部102に流れる粒径の大きいポップコーンアッシュはほとんどなく、この粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部102の損傷が抑制される。
【0114】
なお、第1捕集部101の形状は、この形状に限定されるものではない。例えば、図11−1に示すように、第1捕集部111は、複数の遮蔽板112と、この複数の遮蔽板112を所定間隔で支持する支持部材113とから構成されている。即ち、支持部材113は、鉛直方向に沿った棒材形状をなしている。遮蔽板112は、所定の大きさの板材をその左右方向における中央部で所定角度に屈曲した形状をなしている。そして、複数の遮蔽板112は、支持部材113の長手方向に所定間隔で固定されている。この場合、各遮蔽板112は、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて屈曲しており、この遮蔽板112の中央部が固定される支持部材113も屈曲(V字)断面形状となっているが、矩形断面形状をなす単なる棒材でもよい。
【0115】
また、図11−2に示すように、第1捕集部121は、複数の遮蔽板122と、この複数の遮蔽板122を所定間隔で支持する支持部材123とから構成されている。即ち、支持部材123は、鉛直方向に沿った棒材形状をなしている。遮蔽板122は、所定の大きさの板材を湾曲した形状をなしている。そして、複数の遮蔽板122は、支持部材123の長手方向に所定間隔で固定されている。この場合、各遮蔽板122は、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて湾曲しており、この遮蔽板122の中央部が固定される支持部材123も湾曲(U字)断面形状となっているが、矩形断面形状をなす単なる棒材でもよい。
【0116】
また、図11−3に示すように、第1捕集部131は、複数の遮蔽板132と、この複数の遮蔽板132を所定間隔で支持する支持部材133とから構成されている。即ち、支持部材133は、鉛直方向に沿った棒材形状をなしている。遮蔽板132は、所定の大きさの板材をその左右方向における中央部で所定角度に屈曲した形状をなしている。そして、複数の遮蔽板132は、支持部材133の長手方向に所定間隔で固定されている。この場合、各遮蔽板132は、排ガスの流動方向に向けて屈曲している。
【0117】
なお、各遮蔽板104,112,122,132の形状は、これらに限定されるものではない。但し、遮蔽板112,122のように、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて屈曲または湾曲された場合、排ガスに含まれるポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。一方、遮蔽板132のように、排ガスの流動方向に向けて屈曲または湾曲された場合、排ガスに含まれるポップコーンアッシュを効率良く捕集することができると共に、排ガスの流動抵抗を低下させて圧力損失を低減することができる。
【0118】
また、第1捕集部101,111,121,131における各遮蔽板104,112,122,132の配置は、この実施例に限定されるものではない。例えば、図11−4に示すように、第1捕集部136は、排ガスの流動方向における前後に所定間隔で配置される前部捕集部136aと後部捕集部136bとを有している。この前部捕集部136a及び後部捕集部136bは、ほぼ同様の構成をなし、複数の遮蔽板137と、この複数の遮蔽板137を所定間隔で支持する支持部材138とから構成されている。但し、前部捕集部136aと後部捕集部136bとでは、各遮蔽板137の位置が水平方向及び鉛直方向にずれている。なお、第1捕集部136を前後2段配置としたが、3段配置以上またはランダムに配置してもよい。また、このような配置は、第1補集部136のみでなく、第1補集部101、111、121、131であってもよい。
【0119】
このように実施例6の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部100として、開口率の高い第1捕集部101,111,121,131と、第1捕集部101,111,121,131の開口率より低い開口率を有する第2捕集部102を設け、第1捕集部101,111,121,131として、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板104,112,122,132と、この複数の遮蔽板104,112,122,132を排ガスの流動方向に交差する方向に所定間隔で支持する支持部材105,113,123,133を設けている。
【0120】
従って、第1捕集部101,111,121,131にて、排ガス中のポップコーンアッシュが複数の遮蔽板104,112,122,132に衝突してホッパ103に落下することで捕集し、第2捕集部102へ流れるポップコーンアッシュの量を減少し、ポップコーンアッシュによる第2捕集部102の損傷を低減することができる。
【実施例7】
【0121】
図12は、本発明の実施例7に係る排ガス処理装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0122】
実施例7の排ガス処理装置において、図12に示すように、排ガス管48は、鉛直方向に沿って延びる第1配管(第1通路)48aと、水平方向に沿って延びる第2配管(第1通路)48bと、鉛直方向に沿って延びる第3配管(第2通路)48cが互いにほぼ直交する方向に連通して構成されており、排ガスの流動方向の上流側に位置する第1配管48a側に熱回収部が設けられ、排ガスの流動方向の下流側に位置する第3配管48c側に有害物質除去部が設けられている。また、第1配管48aと第2配管48bとの連通部の下方に第1ホッパ141が設けられ、第2配管48bと第3配管48cとの連通部の下方に第2ホッパ142が設けられている。
【0123】
そして、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部143が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部143は、高い開口率を有する第1捕集部144と、低い開口率を有する第2捕集部145とから構成されている。本実施例では、ポップコーンアッシュ捕集部143は、第3配管48c側に設けられている。即ち、第1配管48aは、排ガスが内部を下方に流れ、第2配管48bは、排ガスが内部を水平に流れ、第3配管48cは、排ガスが内部を上方に向かって流れるものであり、第1捕集部144と第2捕集部145とから構成されるポップコーンアッシュ捕集部143は、第3配管48cの入口部であって、第2ホッパ142の上方に配置されている。
【0124】
なお、ポップコーンアッシュ捕集部143(第1捕集部144、第2捕集部145)の構成は、上述した各実施例とほぼ同様の構成をなすことから、詳細な説明は省略する。
【0125】
従って、排ガスが第1配管48aから第2配管48bを通って第3配管48cのポップコーンアッシュ捕集部143に至ると、まず、開口率の高い第1捕集部144により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、次に、開口率の低い第2捕集部145により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部144で除去されてから第2捕集部145に流れるため、第2捕集部145に流れる粒径の大きいポップコーンアッシュはほとんどなく、この粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部145の損傷が抑制される。
【0126】
また、第1捕集部144や第2捕集部145で捕集されたポップコーンアッシュは、第2ホッパ142に落下して貯留されるが、第2捕集部145より第1捕集部144の方が開口率が高いことから、第2捕集部145で捕集されたポップコーンアッシュは、第1捕集部144を通過して第2ホッパ142に落下して貯留されることとなる。
【0127】
このように実施例7の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部143を排ガス管48における鉛直方向に沿った第3配管48cの入口部(下端部)に設け、このポップコーンアッシュ捕集部143として、開口率の高い第1捕集部144と、第1捕集部144の開口率より低い開口率を有する第2捕集部145を設けている。
【0128】
従って、排ガス管48を流れる排ガスは、熱回収部で熱が回収された後、第3配管48cで開口率の高い第1捕集部144により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、続いて、開口率の低い第2捕集部145により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集され、その後、有害物質除去部で有害物質が除去される。そのため、粒径の大きいポップコーンアッシュを含んだ排ガスが、第2捕集部145に流れることはほとんどなく、粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部145の目詰まり、磨耗、損傷が抑制され、常時、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる。
【実施例8】
【0129】
図13は、本発明の実施例7に係る排ガス処理装置を表す概略側面図、図14は、実施例8の排ガス処理装置を表す概略平面図、図15−1は、本発明の実施例8に係る排ガス処理装置における第1捕集部を表す斜視図、図15−2及び図15−3は、実施例8の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0130】
実施例8の排ガス処理装置において、図13及び図14に示すように、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部150が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部150は、高い開口率を有する第1捕集部151と、低い開口率を有する第2捕集部152とから構成されている。そして、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部153の下方にホッパ154が設けられており、第1捕集部151と第2捕集部152は、第2配管48bにおける入口部、つまり、ホッパ154に近接して配置されている。また、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部153における内周部に排ガスを屈曲部153の外周部側に案内するキッカ(ガイド部)155が設けられている。
【0131】
第1捕集部151は、排ガスの流動方向における前後に所定間隔で配置される前部捕集部151aと後部捕集部151bとを有している。この前部捕集部151a及び後部捕集部151bは、ほぼ同様の構成をなし、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板161から構成されている。この遮蔽板161は、図14及び図15−1に示すように、排ガスの流動方向に交差する鉛直方向に沿うと共に、排ガスの流動方向に交差する水平方向に所定間隔で配置されており、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能となっている。即ち、遮蔽板161は、所定の長さの板材をその左右方向における中央部で所定角度に屈曲したV字形状をなしている。そして、複数の遮蔽板161は、鉛直方向に沿って配置され、且つ、水平方向に所定間隔をあけて配置されている。この場合、前部捕集部151aと後部捕集部151bとでは、各遮蔽板161における水平方向の配置位置が互い違い(千鳥状)となっている。なお、第1捕集部151として、前部捕集部151a及び後部捕集部151bを設けることで、前後2段配置としたが3段配置以上またはランダムに配置してもよい。
【0132】
一方、第2捕集部152は、図13及び図14に示すように、排ガス管48における屈曲部153の外周部側だけに設けられている。即ち、第2捕集部152は、水平方向に沿って延びる第2配管48bの入口部にて、その底部からほぼ鉛直方向の上方に延びるように立設されている。そして、この第2捕集部152は、第2配管48bの入口部を左右方向(幅方向)には全域に配置され、上下方向(高さ方向)には下方側のみに設けられることで、上部に開口部156が設けられている。
【0133】
従って、排ガスがポップコーンアッシュ捕集部150に至ると、まず、開口率の高い第1捕集部151により粒径の大きいポップコーンアッシュが衝突して落下することで捕集され、次に、開口率の低い第2捕集部152により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部151で除去されてから第2捕集部152に流れるため、第2捕集部152に流れる粒径の大きいポップコーンアッシュはほとんどなく、この粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部152の損傷が抑制される。
【0134】
また、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部153の内側にて、キッカ155により屈曲部153の中心側に案内されることで、その流れが剥離して流速が低下する。そして、排ガスは、第1配管48aから屈曲部153を通って第2配管48bに流れることから、この排ガスは、屈曲部153の内周部側の流速よりも外周部側の流速の方が早くなり、排ガス中のポップコーンアッシュは、その慣性力により屈曲部153の外周部側を流れることとなる。そのため、第1捕集部151により粒径の大きいポップコーンアッシュが除去された後、粒径の小さいポップコーンアッシュを含む排ガスは、この位置に配置された第2捕集部152により効率良く捕集される。
【0135】
なお、第1捕集部151(前部捕集部151a、後部捕集部151b)の形状は、この形状に限定されるものではない。例えば、図15−2に示すように、所定の長さの板材を湾曲した形状をなす遮蔽板162としてもよい。この場合、遮蔽板162は、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて湾曲している。また、図15−3に示すように、所定の長さの板材をその左右方向における中央部で所定角度に屈曲した形状をなす遮蔽板163としてもよい。この場合、遮蔽板163は、排ガスの流動方向に向けて屈曲している。
【0136】
なお、各遮蔽板161,162,163の形状は、これらに限定されるものではない。但し、遮蔽板162,162のように、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて屈曲または湾曲された場合、排ガスに含まれるポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。一方、遮蔽板163のように、排ガスの流動方向に向けて屈曲または湾曲された場合、排ガスに含まれるポップコーンアッシュを効率良く捕集することができると共に、排ガスの流動抵抗を低下させて圧力損失を低減することができる。
【0137】
このように実施例8の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部150として、開口率の高い第1捕集部151と、第1捕集部151の開口率より低い開口率を有する第2捕集部152を設け、第1捕集部151として、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板161,162,163を有する前部捕集部151a及び後部捕集部151bを設ける一方、第2捕集部152を排ガス管48における屈曲部153の外周部側だけに設けている。
【0138】
従って、第1捕集部151にて、排ガス中のポップコーンアッシュが複数の遮蔽板161,162,163に衝突してホッパ154に落下することで捕集され、第2捕集部152へ流れるポップコーンアッシュの量を減少し、ポップコーンアッシュによる第2捕集部152の損傷を低減することができる。また、屈曲部153を通過する排ガスは、この排ガス中のポップコーンアッシュがその慣性力により屈曲部153の外周部側を流れることとなり、この屈曲部153の外周部側に設けられた第2捕集部152により効率良く捕集することができる。
【0139】
また、実施例8の排ガス処理装置では、第1捕集部151として、前部捕集部151a及び後部捕集部151bを設けて前後2段配置としている。従って、排ガスの流れが低圧損となって慣性力も弱められるため、ポップコーンアッシュ補集部150でポップコーンアッシュを確実に補集することができる。
【0140】
なお、上述した実施例6、8では、第1捕集部101,111,121,131,136の遮蔽板104,112,122,132,137、第1捕集部151の遮蔽板161,162,163を板形状としたが、これに限定されるものではなく、メッシュ状をなす金網や縦スリットまたは横スリットを有するスクリーンなどとしてもよい。
【0141】
なお、上述した実施例1から6では、ポップコーンアッシュ捕集部60,90,100を第2配管48bの入口側に設け、実施例7では、ポップコーンアッシュ捕集部143を第3配管48cの入口側に設けたが、この位置に限定されるものではない。例えば、配管の曲がり部ではなく、直線部に設けてもよく、第1捕集部や第2捕集部を複数設けてもよいものである。
【符号の説明】
【0142】
10 微粉炭焚きボイラ
11 火炉
21,22,23,24,25 燃焼バーナ
40 煙道
41,42 過熱器(熱回収部)
43,44 再熱器(熱回収部)
45,46,47 節炭器(熱回収部)
48 排ガス管(排ガス通路)
50 選択還元型触媒(有害物質除去部)
51 電気集塵機(有害物質除去部)
53 脱硫装置(有害物質除去部)
60,90,100,143,150 ポップコーンアッシュ捕集部
61,101,111,121,131,136,144,151 第1捕集部
62,91,92,93,94,95,102,145,152 第2捕集部
63,103,154 ホッパ
65,155 キッカ(ガイド部)
71 支持軸
72 駆動装置
75 制御装置
76 速度センサ
78 弾性部材
81 エア配管
82 噴射ノズル
83 エア供給配管
84 開閉弁
104,112,122,132,137,161,162,163 遮蔽板
105,113,123,133,138 支持部材
141 第1ホッパ
142 第2ホッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスを流動可能な排ガス通路と、
前記排ガス通路に設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部と、
前記排ガス通路における前記熱回収部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて排ガス中の有害物質を除去可能な有害物質除去部と、
前記排ガス通路における前記熱回収部と前記有害物質除去部との間に設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部と、
を備え、
前記ポップコーンアッシュ捕集部は、予め設定された所定の開口率を有する第1捕集部と、
前記第1捕集部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて前記第1捕集部の開口率より低い開口率を有する第2捕集部と、
を有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記排ガス通路は、互いにほぼ直交する方向に連通する第1通路と第2通路とを有し、排ガスの流動方向の上流側に位置する前記第1通路に前記熱回収部が設けられ、排ガスの流動方向の下流側に位置する前記第2通路に前記有害物質除去部が設けられ、前記ポップコーンアッシュ捕集部は、前記第2通路側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記第1通路と前記第2通路との連通部の下方にポップコーンアッシュを貯留可能なホッパが設けられ、前記第1捕集部は、前記ホッパまたは前記第2通路に設けられ、前記第2捕集部は、前記第2通路に設けられることを特徴とする請求項2に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記第1通路と前記第2通路との連通部における曲がり角の内側に排ガスを前記曲がり角の外側に案内するガイド部が設けられることを特徴とする請求項2または3に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記第1捕集部は、前記第1通路と前記第2通路との連通部における曲がり角の内側から排ガスの流動方向の上流側に下方へ傾斜して配置され、前記第2捕集部は、前記第2通路の上部から排ガスの流動方向の下流側に下方へ傾斜して配置されることを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記第1捕集部は、下端部が前記ホッパと所定の隙間をあけて配置されることを特徴とする請求項5に記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
前記第2捕集部は、排ガスの流速に応じて上下傾斜角度が変更可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
前記第2捕集部における排ガスの流動方向の下流側から前記第2捕集部に向けてガスを噴射可能なガス噴射部が設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。
【請求項9】
前記第1捕集部は、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板と、該複数の遮蔽板を排ガスの流動方向に交差する方向に所定間隔で支持する支持部材とを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。
【請求項10】
前記第1捕集部は、排ガスの流動方向に交差する鉛直方向に沿うと共に、排ガスの流動方向に交差する水平方向に所定間隔で配置されて排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。
【請求項11】
前記第1捕集部は、前記複数の遮蔽板が排ガスの流動方向に沿って多段に配置されることを特徴とする請求項9または10に記載の排ガス処理装置。
【請求項12】
前記遮蔽板は、メッシュ形状またはスリット形状をなすことを特徴とする請求項10または11に記載の排ガス処理装置。
【請求項13】
前記第2捕集部は、排ガスの流動方向に交差する第1平面部と、排ガスの流動方向に平行な平行部と、排ガスの流動方向に交差すると共に第1平面部より下流に位置する第2平面部とが左右方向に交互に設けられて凹凸形状をなすことを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。
【請求項14】
前記第2捕集部は、排ガスの流動方向に湾曲する第1曲面部と、排ガスの流動方向に平行な平行部と、排ガスの流動方向と逆に湾曲すると共に第1曲面部より下流に位置する第2曲面部とが左右方向に交互に設けられて凹凸形状をなすことを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。
【請求項15】
前記第2捕集部は、排ガスの流動方向に湾曲する第1曲面部と、排ガスの流動方向に平行な平行部と、排ガスの流動方向に湾曲すると共に第1曲面部より下流に位置する第2曲面部とが左右方向に交互に設けられて凹凸形状をなすことを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。
【請求項16】
前記第2捕集部は、排ガスの流動方向に屈曲する第1屈曲面部と、排ガスの流動方向に平行な平行部と、排ガスの流動方向に屈曲すると共に第1屈曲面部より下流に位置する第2屈曲面部とが左右方向に交互に設けられて凹凸形状をなすことを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図15−3】
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