排気ガス浄化用触媒体
【課題】触媒体の周縁部を流れる排気ガスに対する浄化性能の低下を抑制しつつ、触媒成分の担持量の低減化を図る。
【解決手段】ハニカム構造の担体に排気ガス浄化用の触媒成分を担持させた排気ガス浄化用触媒体において、担体2の下流部5では、中央部5aと周縁部5bとのうち、中央部5aのみに触媒成分を担持させ、担体2の上流部4では、中央部4aと周縁部4bとにおける触媒成分の担持量を、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持量と同等以上とする。
【解決手段】ハニカム構造の担体に排気ガス浄化用の触媒成分を担持させた排気ガス浄化用触媒体において、担体2の下流部5では、中央部5aと周縁部5bとのうち、中央部5aのみに触媒成分を担持させ、担体2の上流部4では、中央部4aと周縁部4bとにおける触媒成分の担持量を、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持量と同等以上とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の内燃機関の排気ガスを浄化する排気ガス浄化用触媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排気ガス浄化用の触媒成分を担体に担持した触媒体において、排気ガス流れ方向からみた担体の中央部とその周縁域である周縁部とのうち、周縁部での触媒成分の担持量を中央部よりも少なくすることで、触媒成分の無駄を省いた経済的な触媒体を提供する技術が特許文献1に開示されている。これは、特許文献1の図2のガス流速分布に示されるように、触媒体を通過する排気ガスの流量は、触媒体の中央部では多く、周縁部では少ないという事実に基づくものである。
【特許文献1】特開平10−280951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の技術では、排気ガスの流れ方向全域に渡って触媒体の周縁部における触媒成分の担持量を少なくしているので、触媒体の周縁部での浄化性能が低下してしまう恐れがある。
【0004】
すなわち、特許文献1では、排気ガスの流れ方向全域に渡って、周縁部での触媒成分の担持量を、中央部での担持量の約半分の量としている。このため、エンジン運転状態が低負荷時のように周縁部での排気ガスの流量が少ない場合であれば、周縁部を通過する排気ガスの浄化が可能だが、エンジン運転状態が高負荷時のように、触媒体を通過する排気ガスの流量が全体的に多くなって周縁部での排気ガスの流量が多くなる場合では、周縁部を通過する排気ガスの浄化が不可能となる恐れがある。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、触媒体の周縁部を流れる排気ガスに対する浄化性能の低下を抑制しつつ、触媒成分の担持量の低減化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、担体(2)は、一端(2a)から貫通孔の延伸方向で所定長さの範囲である一端側部分(4)と、担体(2)のうち一端側部分(4)を除いた範囲である他端側部分(5)とを有し、他端側部分(5)では、貫通孔の延伸方向からみた中央部(5a)と中央部(5a)の周縁に位置する周縁部(5b)とのうち、中央部(5a)のみに触媒成分が担持されており、もしくは、周縁部(5b)は中央部(5a)よりも少ない量の触媒成分が担持されており、一端側部分(4)では、貫通孔の延伸方向からみた中央部(4a)と中央部(4a)の周縁に位置する周縁部(4b)とにおける触媒成分の担持量が、他端側部分(5)の中央部(5a)における触媒成分の担持量と同等以上となっていることを特徴としている。
【0007】
これによれば、担体の他端側部分においては、中央部のみに触媒成分を担持させて周縁部には触媒成分を担持させないようにし、もしくは、周縁部での触媒成分の担持量を中央部での担持量よりも少なくしているので、担体全域に触媒成分を担持する場合よりも触媒成分の担持量を低減できる。
【0008】
その一方で、担体の一端側部分においては、中央部と周縁部の両方に他端側部分の中央部と同等以上の量の触媒成分を担持させているので、特許文献1に記載の技術のように、排気ガスの流れ方向全域に渡って触媒体の周縁部における触媒成分の担持量を中央部よりも少なくする場合と比較して、触媒体の周縁部を流れる排気ガスに対する浄化性能の低下を抑制できる。
【0009】
請求項1に記載の発明においては、以下の構成が採用可能である。
【0010】
例えば、請求項2のように、担体(2)の一端側部分を、担体(2)の排気ガス流れの上流側端部(2a)から所定長さ(L1)の範囲である上流部(4)とし、担体(2)の他端側部分を、上流部(4)よりも排気ガス流れの下流側に位置する下流部(5)とすることができる。
【0011】
また、例えば、請求項3のように、一端側部分(4)は、一端(2a)からの所定長さ(L1)が、担体(2)の貫通孔の延伸方向での全長(L2)の1/3以上2/3以下の長さであり、一端側部分(4)および他端側部分(5)における中央部(4a、5a)は、貫通孔の延伸方向に垂直な断面での中心から端部までの距離(R1)が、担体(2)における貫通孔の延伸方向に垂直な断面での中心から外周端までの距離(R2)の1/3以上2/3以下の長さである構成を採用できる。
【0012】
また、例えば、請求項4のように、一端側部分(4)では、中央部(4a)における触媒成分の担持量が周縁部(4b)における触媒成分の担持量よりも多い構成を採用できる。
【0013】
また、例えば、請求項5のように、一端部側部分(4)の周縁部(4b)に担持される触媒成分と、他端部側部分(5)の中央部(5a)に担持される触媒成分として、それぞれ、異なる貴金属元素が用いられている構成を採用できる。
【0014】
また、例えば、請求項6のように、一端部側部分(4)の周縁部(4b)に担持される触媒成分として、Pd、PtおよびRhのうちPdのみが用いられ、他端部側部分(5)の中央部(5a)に担持される触媒成分として、Pd、PtおよびRhのうち、Pdを除き、PtとRhの少なくとも一方が用いられている構成を採用できる。
【0015】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態は、自動車の排気ガス浄化用触媒体に本発明を適用した例である。
【0017】
図1に本発明の第1実施形態における触媒体の斜視図を示し、図2に図1中の触媒体の中心線を含む触媒体の縦断面図を示す。また、図3(a)に図2中のA−A’線断面図を示し、図3(b)に図2中のA−A’線部分における触媒担持密度分布を示す。また、図4(a)に図2中のB−B’線断面図を示し、図4(b)に図2中のB−B’線部分における触媒担持密度分布を示す。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の触媒体1は、外形が円柱形状である担体2に排気ガス浄化用の触媒成分が担持されている。
【0019】
担体2は、一端から他端、例えば、図1中の左側端部から右側端部に向かって延伸する複数の貫通孔3を有するハニカム構造である。本実施形態では、貫通孔3の延伸方向が担体2の長手方向となっている。図1中の左側端部が担体2の排気ガス流れの上流側端部2aであり、図1中の右側端部が担体2の排気ガス流れの下流側端部2bであり、図中左側から右側に向かって排気ガスが貫通孔3を通過する。貫通孔3を構成する壁面(内面)に触媒成分が担持されている。
【0020】
図2では担体2における斜線領域が触媒成分の担持領域を示している。図2に示すように、担体2における触媒成分の担持領域は、担体2の上流部4と下流部5とで異なっており、担体2の中心線を通る縦断面ではT字状となっている。ここで、上流部4は、担体2のうち上流側端部2aから貫通孔3の延伸方向(担体2の長手方向)での所定長さL1の範囲を占める部分である。下流部5は、担体2のうち上流部4を除いた範囲の部分であり、上流部4よりも排気ガス流れの下流側に位置する部分である。
【0021】
まず、下流部5では、図4(a)、(b)に示すように、担体2の横断面において、貫通孔3の延伸方向からみた中央部5aと、中央部5aの周縁に位置する周縁部5bとのうち、中央部5aのみに触媒成分が担持されており、周縁部5bには触媒成分が担持されていない。
【0022】
一方、上流部4では、全領域に触媒成分が担持されているが、図3(a)に示すように、中央部4aと周縁部4bとでは触媒成分の担持量が異なっている。具体的には、図3(b)に示すように、中央部4aでの触媒成分の担持密度は、周縁部4bでの触媒成分の担持密度よりも高いd2であり、周縁部4bでの触媒成分の担持密度は、図3(b)、図4(b)に示されるように、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持密度と同じd1である。すなわち、中央部4aと周縁部4bとにおける触媒成分の担持量は、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持量と同等以上となっている。
【0023】
このように、上流部4では、担体2の横断面における全域に渡って触媒成分が担持されている。これにより、触媒体1に流入する排気ガスを担体2の横断面全域で受け止めて、触媒と必ず接触させることができ、触媒体1に流入する排気ガスが浄化されずに大気に放出されることを防止できる。
【0024】
そして、下流部5では、中央部5aのみに触媒成分が担持されている。これは、通常、触媒体2に排気ガスが流入するとき、担体2の中央部4a、5aを排気ガスの主流が通過するため、排気ガスの主流を取りこぼし無く、十分に浄化させるためである。したがって、担体2の上流側端部2aから下流側端部2bまでの全域に渡って、中央部4a、5aに排気ガスの浄化に必要十分な量の触媒成分が集中して担持されている。
【0025】
一方、下流部5の周縁部5bに流れる排気ガス量は中央部5aよりも少なく、上流部4の周縁部4bに担持された触媒によって、触媒体1の周縁部に流入した排気ガスを浄化できるので、下流部5の周縁部5bでは触媒成分を担持していない。
【0026】
なお、上流部4の長さL1は、触媒成分の担持量を低減しつつ、上流部4の周縁部4bに担持された触媒によって、触媒体1の周縁部に流入した排気ガスを十分に浄化させるという観点より、貫通孔の延伸方向での担体2の全長L2の1/3以上2/3以下の長さであることが好ましい。
【0027】
また、中央部4a、5aは、担体2の横断面において、中心から所定距離の範囲の部分であり、担体2の横断面における排気ガスの主流が通過する範囲を考慮して、担体2の横断面での中心から端部までの距離R1が、担体2の横断面での中心から外周端までの距離L2の1/3以上2/3以下の長さであることが好ましい。
【0028】
ここで、所定距離R1は、図2では一定となっているが、一定でなくても良い。すなわち、図3(a)、4(a)では、担体2の横断面をみたときの中央部4a、5aと周縁部4b、5bとの境界線を円形状としているが、境界線は必ずしも円形状でなくても良く、歪な形状となっても良い。
【0029】
次に、担体2および触媒成分について詳細に説明する。
【0030】
図5(a)に担体2の貫通孔の壁面付近の拡大図を示し、図5(b)に図5(a)中の金属酸化物粒子20の拡大図を示し、図5(c)に図5(b)中の触媒成分30の拡大図を示す。
【0031】
図5(a)、(b)に示すように、触媒成分30は、金属酸化物粒子20を介して、担体2の貫通孔の壁面上に担持されている。
【0032】
担体2は、例えば、コーディエライトで構成されており、それ自体が多数の空孔11を有している。担体2としては、例えば、一体成形されたモノリス(コーディエライトモノリス)を用いることができる。
【0033】
金属酸化物粒子20は、担体2の貫通孔の壁面上に3次元的に集積されている。この金属酸化物粒子20は、図5(b)に示すように、触媒成分30よりも大きな粒子間隙よりなる細孔22と、この細孔22同士を連通させ、触媒成分30よりも小さな粒子間隙よりなる連通細孔23とを有している。そして、この細孔22内に触媒成分30が配置されており、触媒成分30は金属酸化物粒子20の表面に担持されている。
【0034】
金属酸化物粒子20としては、CeO2、ZrO2、Al2O3、TiO2、SiO2、MgO、Y2O3、Ni2O3、W2O3およびこれらの組成物から選ばれる一種または二種以上の化合物のうちのいずれかから構成されるものを採用することができる。
【0035】
触媒成分30としては、例えば、図5(c)に示すように、助触媒粒子31の表面の少なくとも一部が被覆層32によって覆われた粒子を採用できる。助触媒粒子31は、CeO2、CeO2/ZrO2固溶体など希土類元素より選択される酸化物や複合酸化物からなり、被覆層32は、一種類の貴金属や複数種類の貴金属元素を含む合金または酸化物、複合酸化物等の貴金属成分からなる。助触媒粒子31の粒径は、例えば、3nm以上50nm以下であり、望ましくは10nm以下である。被覆層(貴金属成分)32の厚さ(粒径)は、例えば、10nm以下であり、望ましくは1nm以下である。なお、触媒成分30としては、助触媒成分と貴金属成分とが単独で存在する状態のものを採用しても良く、助触媒成分を省略して貴金属成分のみによって構成されたものを採用しても良い。
【0036】
そして、本実施形態では、触媒体1の各部位で、用いている貴金属元素の種類が異なっている。すなわち、貴金属元素として、上流部4の周縁部4bではPdのみが用いられ、上流部の中央部4aではPdとPtとが用いられ、下流部5の中央部5aではPtのみが用いられている。なお、Ptの代わりに、RhもしくはPtとRhの両方を用いても良い。
【0037】
このように、上流部4では、触媒成分の貴金属元素としてPdを用いることにより、Pdは他の貴金属元素と比較して触媒反応の着火性に優れるため、低温活性を向上することが可能である。さらには、Pdによる上流部4での昇温効果は、下流部5に担持された触媒成分の昇温にも寄与するので、触媒体全体における低温活性を向上できる。
【0038】
本実施形態の触媒体1は、貴金属元素としてPt、Pd、Rhを用い、CeO2、CeO2/ZrO2固溶体などの助触媒を用いているので、触媒体全体として、自動車の排気ガスに含まれるHC、CO、NOx等の有害成分を浄化する三元触媒の機能を有している。
【0039】
次に、上記した構造の触媒体1の製造方法について説明する。
【0040】
まず、担体2としてのコーディエライトモノリスを用意し、担体2の全域に金属酸化物粒子を含浸法等によって担持する。担持方法として含浸法を採用する場合、金属酸化物粒子を分散したスラリー溶液に担体2を浸漬した後、乾燥、焼成することで、担体2の上流部4および下流部5の両方に渡って均一に金属酸化物粒子を担持させる。
【0041】
その後、上流部4に担持させるための触媒成分が分散された第1の触媒スラリー溶液を用意し、担体2のうち上流側端部2aから所定長さL1までの部分をこのスラリー溶液中に浸漬し、乾燥させる。
【0042】
続いて、下流部5の中央部5aに担持させるための触媒成分が分散された第2の触媒スラリー溶液を用意し、担体2の上流側端部2aから担体2の中央部4a、5aのみに、このスラリー溶液を流し込む。この方法としては、例えば、担体2の中央部4a、5aに対応する所定の半径R1を有する円柱状のガイド冶具を担体2の上流側端面に設置し、このガイド治具に沿ってスラリー溶液を流し込む方法を採用することができる。その後、乾燥させ、焼成することで、上記した構造の触媒体1が得られる。
【0043】
本実施形態では、このように第2の触媒スラリー溶液を担体2の中央部4a、5aに流し込む方法を採用することで、上流部4の中央部4aに触媒成分を二重に担持させている。これにより、上流部4の中央部4aに担持される触媒成分の担持密度を、上流部4の周縁部4bや下流部5の中央部5aの担持密度よりも高くでき、触媒体1を通過する排気ガスの主流を効率良く浄化させることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、触媒成分の担持の順番を、上流部4、下流部5の順としていたが順番を逆にしても良い。また、触媒成分の乾燥、焼成については、上流部4、下流部5で別々に行ったり、同時に行ったりしても良い。
【0045】
以上の説明の通り、本実施形態では、担体2の下流部5においては、中央部5aのみに触媒成分を担持させて周縁部5bには触媒成分を担持させていないので、下流部5の中央部5aと同量の触媒成分を担体2の全域に担持する場合と比較して、触媒成分の担持量を低減できる。
【0046】
その一方で、担体2の上流部4においては、中央部4aには下流部5の中央部5aよりも多い量の触媒成分を担持させ、周縁部4bには下流部5の中央部5aと同等の量の触媒成分を担持させている。
【0047】
これにより、特許文献1に記載の技術のように、排気ガスの流れ方向全域に渡って触媒体の周縁部における触媒成分の担持量を中央部よりも少なくする場合と比較して、触媒体1の周縁部4b、5bを流れる排気ガスに対する浄化性能の低下を抑制できる。
【0048】
すなわち、触媒体を通過する排気ガスの流量は、触媒体の中央部では多く、周縁部では少ない傾向があり、エンジン運転状態が高負荷時のように、触媒体を通過する排気ガスの流量が全体的に多い場合では、この傾向は維持されるものの、周縁部での排気ガスの流量は低負荷時に比べて多くなる。これに対して、本実施形態によれば、担体2の上流部4の周縁部4bに、下流部5の中央部5aと同等の量の触媒成分を担持させているので、このような場合であっても、周縁部を通過しようとする排気ガスを、上流部4の周縁部4bで浄化することが可能となる。
【0049】
ところで、触媒成分として複数種類の貴金属元素を用いた触媒体では、触媒体が高温になることで、複数種類の貴金属元素が合金化してしまうという問題が生じる。
【0050】
これに対して、本実施形態では、触媒成分の貴金属元素として、上流部4の周縁部4bでは、Pd、PtおよびRhのうち、Pdのみを用い、下流部5の中央部5aでは、Pd、PtおよびRhのうちPdを除く、PtとRhの少なくとも一方を用いており、Pd、Pt、Rhの使用領域を分けているので、PdとPtの合金化や、PdとRhとの合金化を防止することができる。
【0051】
(第2実施形態)
図6に第2実施形態における触媒体の斜視図を示し、図7に図6中の触媒体の中心線を含む触媒体の縦断面図を示す。また、図8(a)に図7中のC−C’線断面図を示し、図8(b)に図7中のC−C’線部分における触媒担持密度分布を示す。また、図9(a)に図7中のD−D’線断面図を示し、図9(b)に図7中のD−D’線部分における触媒担持密度分布を示す。
【0052】
第1実施形態では、上流部4は中央部4aと周縁部4bとで触媒成分の担持密度が異なっていたが、本実施形態では、図7、8に示すように、上流部4は全域で触媒成分の担持密度が均一である。なお、図9に示すように、下流部5の構成については第1実施形態と同様である。
【0053】
本実施形態では、触媒成分の貴金属元素として、上流部4の全域では、Pd、PtおよびRhのうち、Pdのみを用い、下流部5の中央部5aでは、Pd、PtおよびRhのうちPdを除く、PtとRhの少なくとも一方を用いており、Pd、Pt、Rhの使用領域を分けているので、PdとPtの合金化や、PdとRhとの合金化を防止することができる。
【0054】
また、本実施形態の触媒体は、第1実施形態で説明した触媒体の製造方法の一部を以下のように変更することで製造可能である。
【0055】
例えば、第1実施形態では、下流部5の中央部5aに担持させるための触媒成分が分散された第2の触媒スラリー溶液を用意し、担体2の上流側端部2aから担体2の中央部4a、5aのみに、このスラリー溶液を流し込んでいた。これに対して、本実施形態では、担体2の下流側端面のうち周縁部5bに相当する部位をマスクした状態で、担体2の下流側端部2bから上流部4との境界までの部分を第2の触媒スラリー溶液に浸漬する方法に変更する。この方法により、上流部4の全域での触媒成分の担持密度を均一な状態とすることができる。
【0056】
(第3実施形態)
図10に本実施形態における触媒体の中心線を含む触媒体の縦断面図を示す。また、図11(a)に図10中のE−E’線断面図を示し、図11(b)に図10中のE−E’線部分における触媒担持密度分布を示す。
【0057】
第1、第2実施形態では、担体2の下流部5の周縁部5bに触媒成分を担持させていなかったが、本実施形態では、図11(a)、(b)に示すように、下流部5の中央部5aでの触媒成分の担持密度がd1のとき、下流部5の周縁部5bでの触媒成分の担持密度をd1よりも低いd3としている。なお、上流部4の構成は、第1実施形態もしくは第2実施形態と同様である。
【0058】
また、本実施形態の触媒体1は、第1、第2実施形態で説明した触媒体の製造方法の一部を以下のように変更することで製造可能である。
【0059】
例えば、第1実施形態で説明した触媒体の製造方法に対して、担体2の全域に対して触媒成分を担持させる工程を追加する。この工程は、上流部4、下流部5に触媒成分を担持させる工程の前、後のどちらに追加しても良い。また、このときの触媒成分の担持密度は、下流部5の周縁部5bでの触媒成分の担持密度に設定する。
【0060】
他の例としては、第2実施形態で説明した触媒体の製造方法に対して、下流部5の全域に触媒成分を担持させる工程を追加する。この工程は、下流部5の中央部5aに触媒成分を担持させる工程の前、後のどちらに追加しても良い。また、このときの触媒成分の担持密度は、下流部5の周縁部5bでの触媒成分の担持密度に設定する。
【0061】
本実施形態では、下流部5の周縁部5bに中央部5aよりも少ない量の触媒成分を担持させており、すなわち、周縁部5bに担持する触媒成分の量を低減させているので、下流部5の中央部5aと同量の触媒成分を担体2の全域に担持する場合と比較して、触媒成分の担持量を低減できる。
【0062】
(他の実施形態)
(1)上記した各実施形態では、触媒体の製造方法において、金属酸化物粒子と触媒成分とを別々の工程で担体2に担持していたが、金属酸化物粒子と触媒成分との両方を分散させたスラリー溶液を用いることによって、金属酸化物粒子と触媒成分とを同じ工程で担体2に担持させても良い。
【0063】
(2)上記した各実施形態では、触媒成分の貴金属元素として、上流部4の周縁部4bでは、Pd、PtおよびRhのうち、Pdのみを用い、下流部5の中央部5aでは、Pd、PtおよびRhのうちPdを除く、PtとRhの少なくとも一方を用いていたが、触媒成分の貴金属元素およびその組み合わせは任意に変更しても良い。貴金属元素としては、例えば、Pt、Rh、Pd、Au、Ag、Ru、Ir、Os等が挙げられる。
【0064】
例えば、上流部4の周縁部4bに担持される触媒成分としてPtとRhの一方もしくは両方を用いても良い。また、上流部4の周縁部4bに担持される触媒成分と、下流部5の中央部5aに担持される触媒成分として、同じ種類の貴金属元素を用いたり、異なる種類の貴金属元素を用いたりしても良い。
【0065】
ただし、貴金属元素同士の合金化を防止するという観点では、触媒体1の部位毎に貴金属元素の種類を異ならせ、貴金属元素の使用領域を分けることが好ましい。また、触媒体1の部位毎に貴金属元素の種類を異ならせることで、排気ガス浄化の対象とするガス種の選択性を向上させることができる。
【0066】
(3)上記した各実施形態では、ハニカム構造の担体2として、モノリスを用いていたが、複数のハニカム構造体を一体化させた担体を用いても良い。また、担体2の形状を円柱形状以外の他の形状としても良い。
【0067】
(4)上記した各実施形態では、上流部4の周縁部4bにおける触媒成分の担持量が下流部5の中央部5aと同じであったが、上流部4の周縁部4bにおける触媒成分の担持量を下流部5の中央部5aよりも多くしても良い。要するに、上流部4では、中央部4aと周縁部4bとにおける触媒成分の担持量が、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持量と同等以上となっていれば良い。
【0068】
(5)上記した各実施形態では、下流部5において、中央部5aのみに触媒成分が担持され、もしくは、周縁部5bに中央部5aよりも少ない量の触媒成分が担持されており、上流部4において、中央部4aと周縁部4bとにおける触媒成分の担持量が、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持量と同等以上となっていたが、上流部4と下流部5との関係を逆にしても良い。
【0069】
すなわち、上記した各実施形態では、担体2の一端から貫通孔の延伸方向での所定長さの範囲である一端側部分を上流部4とし、担体2のうち一端側部分を除いた範囲である他端側部分を下流部5とした場合を説明したが、一端側部分を下流部5とし、他端側部分を上流部4としても良い。
【0070】
なお、上流部4の周縁部4bに、下流部5の中央部5aと同等以上の触媒成分を担持させた場合、上流部4の周縁部4bでの触媒反応による熱が、下流部5に担持された触媒成分の昇温に寄与することから、下流部5の周縁部5bではなく、上流部4の周縁部4bに、下流部5の中央部5aと同等以上の触媒成分を担持させることが好ましい。
【0071】
(6)上記した各実施形態では、自動車の排気ガスを浄化する触媒体を例として説明したが、自動車以外の内燃機関の排気ガスを浄化する触媒体に対しても本発明は適用可能である。
【0072】
(7)上記した各実施形態は、実施可能な範囲で任意に組み合わせが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態における触媒体の斜視図である。
【図2】図1中の触媒体の縦断面図である。
【図3】(a)は図2中のA−A’線断面図であり、(b)は図2中のA−A’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【図4】(a)は図2中のB−B’線断面図であり、(b)は図2中のB−B’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【図5】(a)は担体2の貫通孔の壁面付近の拡大図であり、(b)は(a)中の金属酸化物粒子20の拡大図であり、(c)は(b)中の触媒成分30の拡大図である。
【図6】第2実施形態における触媒体の斜視図である。
【図7】図6中の触媒体の縦断面図である。
【図8】(a)は図7中のC−C’線断面図であり、(b)は図7中のC−C’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【図9】(a)は図7中のD−D’線断面図であり、(b)は図7中のD−D’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【図10】第3実施形態における触媒体の縦断面図である。
【図11】(a)は図10中のE−E’線断面図であり、(b)は図10中のE−E’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 触媒体
2 担体
3 貫通孔
4 上流部
4a 上流部の中央部
4b 上流部の周縁部
5 下流部
5a 下流部の中央部
5b 下流部の周縁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の内燃機関の排気ガスを浄化する排気ガス浄化用触媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排気ガス浄化用の触媒成分を担体に担持した触媒体において、排気ガス流れ方向からみた担体の中央部とその周縁域である周縁部とのうち、周縁部での触媒成分の担持量を中央部よりも少なくすることで、触媒成分の無駄を省いた経済的な触媒体を提供する技術が特許文献1に開示されている。これは、特許文献1の図2のガス流速分布に示されるように、触媒体を通過する排気ガスの流量は、触媒体の中央部では多く、周縁部では少ないという事実に基づくものである。
【特許文献1】特開平10−280951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の技術では、排気ガスの流れ方向全域に渡って触媒体の周縁部における触媒成分の担持量を少なくしているので、触媒体の周縁部での浄化性能が低下してしまう恐れがある。
【0004】
すなわち、特許文献1では、排気ガスの流れ方向全域に渡って、周縁部での触媒成分の担持量を、中央部での担持量の約半分の量としている。このため、エンジン運転状態が低負荷時のように周縁部での排気ガスの流量が少ない場合であれば、周縁部を通過する排気ガスの浄化が可能だが、エンジン運転状態が高負荷時のように、触媒体を通過する排気ガスの流量が全体的に多くなって周縁部での排気ガスの流量が多くなる場合では、周縁部を通過する排気ガスの浄化が不可能となる恐れがある。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、触媒体の周縁部を流れる排気ガスに対する浄化性能の低下を抑制しつつ、触媒成分の担持量の低減化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、担体(2)は、一端(2a)から貫通孔の延伸方向で所定長さの範囲である一端側部分(4)と、担体(2)のうち一端側部分(4)を除いた範囲である他端側部分(5)とを有し、他端側部分(5)では、貫通孔の延伸方向からみた中央部(5a)と中央部(5a)の周縁に位置する周縁部(5b)とのうち、中央部(5a)のみに触媒成分が担持されており、もしくは、周縁部(5b)は中央部(5a)よりも少ない量の触媒成分が担持されており、一端側部分(4)では、貫通孔の延伸方向からみた中央部(4a)と中央部(4a)の周縁に位置する周縁部(4b)とにおける触媒成分の担持量が、他端側部分(5)の中央部(5a)における触媒成分の担持量と同等以上となっていることを特徴としている。
【0007】
これによれば、担体の他端側部分においては、中央部のみに触媒成分を担持させて周縁部には触媒成分を担持させないようにし、もしくは、周縁部での触媒成分の担持量を中央部での担持量よりも少なくしているので、担体全域に触媒成分を担持する場合よりも触媒成分の担持量を低減できる。
【0008】
その一方で、担体の一端側部分においては、中央部と周縁部の両方に他端側部分の中央部と同等以上の量の触媒成分を担持させているので、特許文献1に記載の技術のように、排気ガスの流れ方向全域に渡って触媒体の周縁部における触媒成分の担持量を中央部よりも少なくする場合と比較して、触媒体の周縁部を流れる排気ガスに対する浄化性能の低下を抑制できる。
【0009】
請求項1に記載の発明においては、以下の構成が採用可能である。
【0010】
例えば、請求項2のように、担体(2)の一端側部分を、担体(2)の排気ガス流れの上流側端部(2a)から所定長さ(L1)の範囲である上流部(4)とし、担体(2)の他端側部分を、上流部(4)よりも排気ガス流れの下流側に位置する下流部(5)とすることができる。
【0011】
また、例えば、請求項3のように、一端側部分(4)は、一端(2a)からの所定長さ(L1)が、担体(2)の貫通孔の延伸方向での全長(L2)の1/3以上2/3以下の長さであり、一端側部分(4)および他端側部分(5)における中央部(4a、5a)は、貫通孔の延伸方向に垂直な断面での中心から端部までの距離(R1)が、担体(2)における貫通孔の延伸方向に垂直な断面での中心から外周端までの距離(R2)の1/3以上2/3以下の長さである構成を採用できる。
【0012】
また、例えば、請求項4のように、一端側部分(4)では、中央部(4a)における触媒成分の担持量が周縁部(4b)における触媒成分の担持量よりも多い構成を採用できる。
【0013】
また、例えば、請求項5のように、一端部側部分(4)の周縁部(4b)に担持される触媒成分と、他端部側部分(5)の中央部(5a)に担持される触媒成分として、それぞれ、異なる貴金属元素が用いられている構成を採用できる。
【0014】
また、例えば、請求項6のように、一端部側部分(4)の周縁部(4b)に担持される触媒成分として、Pd、PtおよびRhのうちPdのみが用いられ、他端部側部分(5)の中央部(5a)に担持される触媒成分として、Pd、PtおよびRhのうち、Pdを除き、PtとRhの少なくとも一方が用いられている構成を採用できる。
【0015】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態は、自動車の排気ガス浄化用触媒体に本発明を適用した例である。
【0017】
図1に本発明の第1実施形態における触媒体の斜視図を示し、図2に図1中の触媒体の中心線を含む触媒体の縦断面図を示す。また、図3(a)に図2中のA−A’線断面図を示し、図3(b)に図2中のA−A’線部分における触媒担持密度分布を示す。また、図4(a)に図2中のB−B’線断面図を示し、図4(b)に図2中のB−B’線部分における触媒担持密度分布を示す。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の触媒体1は、外形が円柱形状である担体2に排気ガス浄化用の触媒成分が担持されている。
【0019】
担体2は、一端から他端、例えば、図1中の左側端部から右側端部に向かって延伸する複数の貫通孔3を有するハニカム構造である。本実施形態では、貫通孔3の延伸方向が担体2の長手方向となっている。図1中の左側端部が担体2の排気ガス流れの上流側端部2aであり、図1中の右側端部が担体2の排気ガス流れの下流側端部2bであり、図中左側から右側に向かって排気ガスが貫通孔3を通過する。貫通孔3を構成する壁面(内面)に触媒成分が担持されている。
【0020】
図2では担体2における斜線領域が触媒成分の担持領域を示している。図2に示すように、担体2における触媒成分の担持領域は、担体2の上流部4と下流部5とで異なっており、担体2の中心線を通る縦断面ではT字状となっている。ここで、上流部4は、担体2のうち上流側端部2aから貫通孔3の延伸方向(担体2の長手方向)での所定長さL1の範囲を占める部分である。下流部5は、担体2のうち上流部4を除いた範囲の部分であり、上流部4よりも排気ガス流れの下流側に位置する部分である。
【0021】
まず、下流部5では、図4(a)、(b)に示すように、担体2の横断面において、貫通孔3の延伸方向からみた中央部5aと、中央部5aの周縁に位置する周縁部5bとのうち、中央部5aのみに触媒成分が担持されており、周縁部5bには触媒成分が担持されていない。
【0022】
一方、上流部4では、全領域に触媒成分が担持されているが、図3(a)に示すように、中央部4aと周縁部4bとでは触媒成分の担持量が異なっている。具体的には、図3(b)に示すように、中央部4aでの触媒成分の担持密度は、周縁部4bでの触媒成分の担持密度よりも高いd2であり、周縁部4bでの触媒成分の担持密度は、図3(b)、図4(b)に示されるように、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持密度と同じd1である。すなわち、中央部4aと周縁部4bとにおける触媒成分の担持量は、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持量と同等以上となっている。
【0023】
このように、上流部4では、担体2の横断面における全域に渡って触媒成分が担持されている。これにより、触媒体1に流入する排気ガスを担体2の横断面全域で受け止めて、触媒と必ず接触させることができ、触媒体1に流入する排気ガスが浄化されずに大気に放出されることを防止できる。
【0024】
そして、下流部5では、中央部5aのみに触媒成分が担持されている。これは、通常、触媒体2に排気ガスが流入するとき、担体2の中央部4a、5aを排気ガスの主流が通過するため、排気ガスの主流を取りこぼし無く、十分に浄化させるためである。したがって、担体2の上流側端部2aから下流側端部2bまでの全域に渡って、中央部4a、5aに排気ガスの浄化に必要十分な量の触媒成分が集中して担持されている。
【0025】
一方、下流部5の周縁部5bに流れる排気ガス量は中央部5aよりも少なく、上流部4の周縁部4bに担持された触媒によって、触媒体1の周縁部に流入した排気ガスを浄化できるので、下流部5の周縁部5bでは触媒成分を担持していない。
【0026】
なお、上流部4の長さL1は、触媒成分の担持量を低減しつつ、上流部4の周縁部4bに担持された触媒によって、触媒体1の周縁部に流入した排気ガスを十分に浄化させるという観点より、貫通孔の延伸方向での担体2の全長L2の1/3以上2/3以下の長さであることが好ましい。
【0027】
また、中央部4a、5aは、担体2の横断面において、中心から所定距離の範囲の部分であり、担体2の横断面における排気ガスの主流が通過する範囲を考慮して、担体2の横断面での中心から端部までの距離R1が、担体2の横断面での中心から外周端までの距離L2の1/3以上2/3以下の長さであることが好ましい。
【0028】
ここで、所定距離R1は、図2では一定となっているが、一定でなくても良い。すなわち、図3(a)、4(a)では、担体2の横断面をみたときの中央部4a、5aと周縁部4b、5bとの境界線を円形状としているが、境界線は必ずしも円形状でなくても良く、歪な形状となっても良い。
【0029】
次に、担体2および触媒成分について詳細に説明する。
【0030】
図5(a)に担体2の貫通孔の壁面付近の拡大図を示し、図5(b)に図5(a)中の金属酸化物粒子20の拡大図を示し、図5(c)に図5(b)中の触媒成分30の拡大図を示す。
【0031】
図5(a)、(b)に示すように、触媒成分30は、金属酸化物粒子20を介して、担体2の貫通孔の壁面上に担持されている。
【0032】
担体2は、例えば、コーディエライトで構成されており、それ自体が多数の空孔11を有している。担体2としては、例えば、一体成形されたモノリス(コーディエライトモノリス)を用いることができる。
【0033】
金属酸化物粒子20は、担体2の貫通孔の壁面上に3次元的に集積されている。この金属酸化物粒子20は、図5(b)に示すように、触媒成分30よりも大きな粒子間隙よりなる細孔22と、この細孔22同士を連通させ、触媒成分30よりも小さな粒子間隙よりなる連通細孔23とを有している。そして、この細孔22内に触媒成分30が配置されており、触媒成分30は金属酸化物粒子20の表面に担持されている。
【0034】
金属酸化物粒子20としては、CeO2、ZrO2、Al2O3、TiO2、SiO2、MgO、Y2O3、Ni2O3、W2O3およびこれらの組成物から選ばれる一種または二種以上の化合物のうちのいずれかから構成されるものを採用することができる。
【0035】
触媒成分30としては、例えば、図5(c)に示すように、助触媒粒子31の表面の少なくとも一部が被覆層32によって覆われた粒子を採用できる。助触媒粒子31は、CeO2、CeO2/ZrO2固溶体など希土類元素より選択される酸化物や複合酸化物からなり、被覆層32は、一種類の貴金属や複数種類の貴金属元素を含む合金または酸化物、複合酸化物等の貴金属成分からなる。助触媒粒子31の粒径は、例えば、3nm以上50nm以下であり、望ましくは10nm以下である。被覆層(貴金属成分)32の厚さ(粒径)は、例えば、10nm以下であり、望ましくは1nm以下である。なお、触媒成分30としては、助触媒成分と貴金属成分とが単独で存在する状態のものを採用しても良く、助触媒成分を省略して貴金属成分のみによって構成されたものを採用しても良い。
【0036】
そして、本実施形態では、触媒体1の各部位で、用いている貴金属元素の種類が異なっている。すなわち、貴金属元素として、上流部4の周縁部4bではPdのみが用いられ、上流部の中央部4aではPdとPtとが用いられ、下流部5の中央部5aではPtのみが用いられている。なお、Ptの代わりに、RhもしくはPtとRhの両方を用いても良い。
【0037】
このように、上流部4では、触媒成分の貴金属元素としてPdを用いることにより、Pdは他の貴金属元素と比較して触媒反応の着火性に優れるため、低温活性を向上することが可能である。さらには、Pdによる上流部4での昇温効果は、下流部5に担持された触媒成分の昇温にも寄与するので、触媒体全体における低温活性を向上できる。
【0038】
本実施形態の触媒体1は、貴金属元素としてPt、Pd、Rhを用い、CeO2、CeO2/ZrO2固溶体などの助触媒を用いているので、触媒体全体として、自動車の排気ガスに含まれるHC、CO、NOx等の有害成分を浄化する三元触媒の機能を有している。
【0039】
次に、上記した構造の触媒体1の製造方法について説明する。
【0040】
まず、担体2としてのコーディエライトモノリスを用意し、担体2の全域に金属酸化物粒子を含浸法等によって担持する。担持方法として含浸法を採用する場合、金属酸化物粒子を分散したスラリー溶液に担体2を浸漬した後、乾燥、焼成することで、担体2の上流部4および下流部5の両方に渡って均一に金属酸化物粒子を担持させる。
【0041】
その後、上流部4に担持させるための触媒成分が分散された第1の触媒スラリー溶液を用意し、担体2のうち上流側端部2aから所定長さL1までの部分をこのスラリー溶液中に浸漬し、乾燥させる。
【0042】
続いて、下流部5の中央部5aに担持させるための触媒成分が分散された第2の触媒スラリー溶液を用意し、担体2の上流側端部2aから担体2の中央部4a、5aのみに、このスラリー溶液を流し込む。この方法としては、例えば、担体2の中央部4a、5aに対応する所定の半径R1を有する円柱状のガイド冶具を担体2の上流側端面に設置し、このガイド治具に沿ってスラリー溶液を流し込む方法を採用することができる。その後、乾燥させ、焼成することで、上記した構造の触媒体1が得られる。
【0043】
本実施形態では、このように第2の触媒スラリー溶液を担体2の中央部4a、5aに流し込む方法を採用することで、上流部4の中央部4aに触媒成分を二重に担持させている。これにより、上流部4の中央部4aに担持される触媒成分の担持密度を、上流部4の周縁部4bや下流部5の中央部5aの担持密度よりも高くでき、触媒体1を通過する排気ガスの主流を効率良く浄化させることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、触媒成分の担持の順番を、上流部4、下流部5の順としていたが順番を逆にしても良い。また、触媒成分の乾燥、焼成については、上流部4、下流部5で別々に行ったり、同時に行ったりしても良い。
【0045】
以上の説明の通り、本実施形態では、担体2の下流部5においては、中央部5aのみに触媒成分を担持させて周縁部5bには触媒成分を担持させていないので、下流部5の中央部5aと同量の触媒成分を担体2の全域に担持する場合と比較して、触媒成分の担持量を低減できる。
【0046】
その一方で、担体2の上流部4においては、中央部4aには下流部5の中央部5aよりも多い量の触媒成分を担持させ、周縁部4bには下流部5の中央部5aと同等の量の触媒成分を担持させている。
【0047】
これにより、特許文献1に記載の技術のように、排気ガスの流れ方向全域に渡って触媒体の周縁部における触媒成分の担持量を中央部よりも少なくする場合と比較して、触媒体1の周縁部4b、5bを流れる排気ガスに対する浄化性能の低下を抑制できる。
【0048】
すなわち、触媒体を通過する排気ガスの流量は、触媒体の中央部では多く、周縁部では少ない傾向があり、エンジン運転状態が高負荷時のように、触媒体を通過する排気ガスの流量が全体的に多い場合では、この傾向は維持されるものの、周縁部での排気ガスの流量は低負荷時に比べて多くなる。これに対して、本実施形態によれば、担体2の上流部4の周縁部4bに、下流部5の中央部5aと同等の量の触媒成分を担持させているので、このような場合であっても、周縁部を通過しようとする排気ガスを、上流部4の周縁部4bで浄化することが可能となる。
【0049】
ところで、触媒成分として複数種類の貴金属元素を用いた触媒体では、触媒体が高温になることで、複数種類の貴金属元素が合金化してしまうという問題が生じる。
【0050】
これに対して、本実施形態では、触媒成分の貴金属元素として、上流部4の周縁部4bでは、Pd、PtおよびRhのうち、Pdのみを用い、下流部5の中央部5aでは、Pd、PtおよびRhのうちPdを除く、PtとRhの少なくとも一方を用いており、Pd、Pt、Rhの使用領域を分けているので、PdとPtの合金化や、PdとRhとの合金化を防止することができる。
【0051】
(第2実施形態)
図6に第2実施形態における触媒体の斜視図を示し、図7に図6中の触媒体の中心線を含む触媒体の縦断面図を示す。また、図8(a)に図7中のC−C’線断面図を示し、図8(b)に図7中のC−C’線部分における触媒担持密度分布を示す。また、図9(a)に図7中のD−D’線断面図を示し、図9(b)に図7中のD−D’線部分における触媒担持密度分布を示す。
【0052】
第1実施形態では、上流部4は中央部4aと周縁部4bとで触媒成分の担持密度が異なっていたが、本実施形態では、図7、8に示すように、上流部4は全域で触媒成分の担持密度が均一である。なお、図9に示すように、下流部5の構成については第1実施形態と同様である。
【0053】
本実施形態では、触媒成分の貴金属元素として、上流部4の全域では、Pd、PtおよびRhのうち、Pdのみを用い、下流部5の中央部5aでは、Pd、PtおよびRhのうちPdを除く、PtとRhの少なくとも一方を用いており、Pd、Pt、Rhの使用領域を分けているので、PdとPtの合金化や、PdとRhとの合金化を防止することができる。
【0054】
また、本実施形態の触媒体は、第1実施形態で説明した触媒体の製造方法の一部を以下のように変更することで製造可能である。
【0055】
例えば、第1実施形態では、下流部5の中央部5aに担持させるための触媒成分が分散された第2の触媒スラリー溶液を用意し、担体2の上流側端部2aから担体2の中央部4a、5aのみに、このスラリー溶液を流し込んでいた。これに対して、本実施形態では、担体2の下流側端面のうち周縁部5bに相当する部位をマスクした状態で、担体2の下流側端部2bから上流部4との境界までの部分を第2の触媒スラリー溶液に浸漬する方法に変更する。この方法により、上流部4の全域での触媒成分の担持密度を均一な状態とすることができる。
【0056】
(第3実施形態)
図10に本実施形態における触媒体の中心線を含む触媒体の縦断面図を示す。また、図11(a)に図10中のE−E’線断面図を示し、図11(b)に図10中のE−E’線部分における触媒担持密度分布を示す。
【0057】
第1、第2実施形態では、担体2の下流部5の周縁部5bに触媒成分を担持させていなかったが、本実施形態では、図11(a)、(b)に示すように、下流部5の中央部5aでの触媒成分の担持密度がd1のとき、下流部5の周縁部5bでの触媒成分の担持密度をd1よりも低いd3としている。なお、上流部4の構成は、第1実施形態もしくは第2実施形態と同様である。
【0058】
また、本実施形態の触媒体1は、第1、第2実施形態で説明した触媒体の製造方法の一部を以下のように変更することで製造可能である。
【0059】
例えば、第1実施形態で説明した触媒体の製造方法に対して、担体2の全域に対して触媒成分を担持させる工程を追加する。この工程は、上流部4、下流部5に触媒成分を担持させる工程の前、後のどちらに追加しても良い。また、このときの触媒成分の担持密度は、下流部5の周縁部5bでの触媒成分の担持密度に設定する。
【0060】
他の例としては、第2実施形態で説明した触媒体の製造方法に対して、下流部5の全域に触媒成分を担持させる工程を追加する。この工程は、下流部5の中央部5aに触媒成分を担持させる工程の前、後のどちらに追加しても良い。また、このときの触媒成分の担持密度は、下流部5の周縁部5bでの触媒成分の担持密度に設定する。
【0061】
本実施形態では、下流部5の周縁部5bに中央部5aよりも少ない量の触媒成分を担持させており、すなわち、周縁部5bに担持する触媒成分の量を低減させているので、下流部5の中央部5aと同量の触媒成分を担体2の全域に担持する場合と比較して、触媒成分の担持量を低減できる。
【0062】
(他の実施形態)
(1)上記した各実施形態では、触媒体の製造方法において、金属酸化物粒子と触媒成分とを別々の工程で担体2に担持していたが、金属酸化物粒子と触媒成分との両方を分散させたスラリー溶液を用いることによって、金属酸化物粒子と触媒成分とを同じ工程で担体2に担持させても良い。
【0063】
(2)上記した各実施形態では、触媒成分の貴金属元素として、上流部4の周縁部4bでは、Pd、PtおよびRhのうち、Pdのみを用い、下流部5の中央部5aでは、Pd、PtおよびRhのうちPdを除く、PtとRhの少なくとも一方を用いていたが、触媒成分の貴金属元素およびその組み合わせは任意に変更しても良い。貴金属元素としては、例えば、Pt、Rh、Pd、Au、Ag、Ru、Ir、Os等が挙げられる。
【0064】
例えば、上流部4の周縁部4bに担持される触媒成分としてPtとRhの一方もしくは両方を用いても良い。また、上流部4の周縁部4bに担持される触媒成分と、下流部5の中央部5aに担持される触媒成分として、同じ種類の貴金属元素を用いたり、異なる種類の貴金属元素を用いたりしても良い。
【0065】
ただし、貴金属元素同士の合金化を防止するという観点では、触媒体1の部位毎に貴金属元素の種類を異ならせ、貴金属元素の使用領域を分けることが好ましい。また、触媒体1の部位毎に貴金属元素の種類を異ならせることで、排気ガス浄化の対象とするガス種の選択性を向上させることができる。
【0066】
(3)上記した各実施形態では、ハニカム構造の担体2として、モノリスを用いていたが、複数のハニカム構造体を一体化させた担体を用いても良い。また、担体2の形状を円柱形状以外の他の形状としても良い。
【0067】
(4)上記した各実施形態では、上流部4の周縁部4bにおける触媒成分の担持量が下流部5の中央部5aと同じであったが、上流部4の周縁部4bにおける触媒成分の担持量を下流部5の中央部5aよりも多くしても良い。要するに、上流部4では、中央部4aと周縁部4bとにおける触媒成分の担持量が、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持量と同等以上となっていれば良い。
【0068】
(5)上記した各実施形態では、下流部5において、中央部5aのみに触媒成分が担持され、もしくは、周縁部5bに中央部5aよりも少ない量の触媒成分が担持されており、上流部4において、中央部4aと周縁部4bとにおける触媒成分の担持量が、下流部5の中央部5aにおける触媒成分の担持量と同等以上となっていたが、上流部4と下流部5との関係を逆にしても良い。
【0069】
すなわち、上記した各実施形態では、担体2の一端から貫通孔の延伸方向での所定長さの範囲である一端側部分を上流部4とし、担体2のうち一端側部分を除いた範囲である他端側部分を下流部5とした場合を説明したが、一端側部分を下流部5とし、他端側部分を上流部4としても良い。
【0070】
なお、上流部4の周縁部4bに、下流部5の中央部5aと同等以上の触媒成分を担持させた場合、上流部4の周縁部4bでの触媒反応による熱が、下流部5に担持された触媒成分の昇温に寄与することから、下流部5の周縁部5bではなく、上流部4の周縁部4bに、下流部5の中央部5aと同等以上の触媒成分を担持させることが好ましい。
【0071】
(6)上記した各実施形態では、自動車の排気ガスを浄化する触媒体を例として説明したが、自動車以外の内燃機関の排気ガスを浄化する触媒体に対しても本発明は適用可能である。
【0072】
(7)上記した各実施形態は、実施可能な範囲で任意に組み合わせが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態における触媒体の斜視図である。
【図2】図1中の触媒体の縦断面図である。
【図3】(a)は図2中のA−A’線断面図であり、(b)は図2中のA−A’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【図4】(a)は図2中のB−B’線断面図であり、(b)は図2中のB−B’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【図5】(a)は担体2の貫通孔の壁面付近の拡大図であり、(b)は(a)中の金属酸化物粒子20の拡大図であり、(c)は(b)中の触媒成分30の拡大図である。
【図6】第2実施形態における触媒体の斜視図である。
【図7】図6中の触媒体の縦断面図である。
【図8】(a)は図7中のC−C’線断面図であり、(b)は図7中のC−C’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【図9】(a)は図7中のD−D’線断面図であり、(b)は図7中のD−D’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【図10】第3実施形態における触媒体の縦断面図である。
【図11】(a)は図10中のE−E’線断面図であり、(b)は図10中のE−E’線部分における触媒担持密度分布を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 触媒体
2 担体
3 貫通孔
4 上流部
4a 上流部の中央部
4b 上流部の周縁部
5 下流部
5a 下流部の中央部
5b 下流部の周縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端(2a)から他端(2b)に向かって延伸する複数の貫通孔(3)を有するハニカム構造の担体(2)と、
前記貫通孔(3)の内面に担持された排気ガス浄化用の触媒成分とを有する排気ガス浄化用触媒体において、
前記担体(2)は、前記一端(2a)から前記貫通孔の延伸方向で所定長さの範囲である一端側部分(4)と、前記担体(2)のうち前記一端側部分(4)を除いた範囲である他端側部分(5)とを有し、
前記他端側部分(5)では、前記貫通孔の延伸方向からみた中央部(5a)と前記中央部(5a)の周縁に位置する周縁部(5b)とのうち、前記中央部(5a)のみに前記触媒成分が担持されており、もしくは、前記周縁部(5b)は前記中央部(5a)よりも少ない量の前記触媒成分が担持されており、
前記一端側部分(4)では、前記貫通孔の延伸方向からみた中央部(4a)と前記中央部(4a)の周縁に位置する周縁部(4b)とにおける前記触媒成分の担持量が、前記他端側部分(5)の前記中央部(5a)における前記触媒成分の担持量と同等以上となっていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒体。
【請求項2】
前記担体(2)の前記一端側部分は、前記担体(2)の排気ガス流れの上流側端部(2a)から前記所定長さ(L1)の範囲である上流部(4)であり、
前記担体(2)の前記他端側部分は、前記上流部(4)よりも排気ガス流れの下流側に位置する下流部(5)であることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒体。
【請求項3】
前記一端側部分(4)は、前記一端(2a)からの前記所定長さ(L1)が、前記担体(2)の前記貫通孔の延伸方向での全長(L2)の1/3以上2/3以下の長さであり、
前記一端側部分(4)および前記他端側部分(5)における前記中央部(4a、5a)は、前記貫通孔の延伸方向に垂直な断面での中心から端部までの距離(R1)が、前記担体(2)における前記貫通孔の延伸方向に垂直な断面での中心から外周端までの距離(R2)の1/3以上2/3以下の長さであることを特徴とする請求項1または2に記載の排気ガス浄化用触媒体。
【請求項4】
前記一端側部分(4)では、前記中央部(4a)における前記触媒成分の担持量が前記周縁部(4b)における前記触媒成分の担持量よりも多くなっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の排気ガス浄化用触媒体。
【請求項5】
前記一端部側部分(4)の前記周縁部(4b)に担持される前記触媒成分と、前記他端部側部分(5)の前記中央部(5a)に担持される前記触媒成分として、それぞれ、異なる貴金属元素が用いられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排気ガス浄化用触媒体。
【請求項6】
前記一端部側部分(4)の前記周縁部(4b)に担持される前記触媒成分として、Pd、PtおよびRhのうちPdのみが用いられ、
前記他端部側部分(5)の前記中央部(5a)に担持される前記触媒成分として、Pd、PtおよびRhのうち、Pdを除き、PtとRhの少なくとも一方が用いられていることを特徴とする請求項5に記載の排気ガス浄化用触媒体。
【請求項1】
一端(2a)から他端(2b)に向かって延伸する複数の貫通孔(3)を有するハニカム構造の担体(2)と、
前記貫通孔(3)の内面に担持された排気ガス浄化用の触媒成分とを有する排気ガス浄化用触媒体において、
前記担体(2)は、前記一端(2a)から前記貫通孔の延伸方向で所定長さの範囲である一端側部分(4)と、前記担体(2)のうち前記一端側部分(4)を除いた範囲である他端側部分(5)とを有し、
前記他端側部分(5)では、前記貫通孔の延伸方向からみた中央部(5a)と前記中央部(5a)の周縁に位置する周縁部(5b)とのうち、前記中央部(5a)のみに前記触媒成分が担持されており、もしくは、前記周縁部(5b)は前記中央部(5a)よりも少ない量の前記触媒成分が担持されており、
前記一端側部分(4)では、前記貫通孔の延伸方向からみた中央部(4a)と前記中央部(4a)の周縁に位置する周縁部(4b)とにおける前記触媒成分の担持量が、前記他端側部分(5)の前記中央部(5a)における前記触媒成分の担持量と同等以上となっていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒体。
【請求項2】
前記担体(2)の前記一端側部分は、前記担体(2)の排気ガス流れの上流側端部(2a)から前記所定長さ(L1)の範囲である上流部(4)であり、
前記担体(2)の前記他端側部分は、前記上流部(4)よりも排気ガス流れの下流側に位置する下流部(5)であることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒体。
【請求項3】
前記一端側部分(4)は、前記一端(2a)からの前記所定長さ(L1)が、前記担体(2)の前記貫通孔の延伸方向での全長(L2)の1/3以上2/3以下の長さであり、
前記一端側部分(4)および前記他端側部分(5)における前記中央部(4a、5a)は、前記貫通孔の延伸方向に垂直な断面での中心から端部までの距離(R1)が、前記担体(2)における前記貫通孔の延伸方向に垂直な断面での中心から外周端までの距離(R2)の1/3以上2/3以下の長さであることを特徴とする請求項1または2に記載の排気ガス浄化用触媒体。
【請求項4】
前記一端側部分(4)では、前記中央部(4a)における前記触媒成分の担持量が前記周縁部(4b)における前記触媒成分の担持量よりも多くなっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の排気ガス浄化用触媒体。
【請求項5】
前記一端部側部分(4)の前記周縁部(4b)に担持される前記触媒成分と、前記他端部側部分(5)の前記中央部(5a)に担持される前記触媒成分として、それぞれ、異なる貴金属元素が用いられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排気ガス浄化用触媒体。
【請求項6】
前記一端部側部分(4)の前記周縁部(4b)に担持される前記触媒成分として、Pd、PtおよびRhのうちPdのみが用いられ、
前記他端部側部分(5)の前記中央部(5a)に担持される前記触媒成分として、Pd、PtおよびRhのうち、Pdを除き、PtとRhの少なくとも一方が用いられていることを特徴とする請求項5に記載の排気ガス浄化用触媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−22996(P2010−22996A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190613(P2008−190613)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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