排水処理装置
【課題】本発明は排水処理装置に関し、特に揺動床を用いた生物処理槽において、汚泥が過度に付着して閉塞した箇所から汚泥を剥離させて処理機能を維持するために、容易かつ簡単な設備によって実現することでメンテナンス性を高めることを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するために本発明は、排水を生物処理する処理槽2と、前記処理槽2内に設けられた揺動床3と、前記揺動床3と接触するようにして配置された擦り棒7とを設け、さらに前記揺動床3を移動可能にすることで容易に閉塞箇所の汚泥を除去できるようにした。
【解決手段】この目的を達成するために本発明は、排水を生物処理する処理槽2と、前記処理槽2内に設けられた揺動床3と、前記揺動床3と接触するようにして配置された擦り棒7とを設け、さらに前記揺動床3を移動可能にすることで容易に閉塞箇所の汚泥を除去できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水処理システムより排出される汚泥の処理方法と、それを用いた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排水中の有機物を微生物により分解する排水処理装置の処理性能を向上させる手段として、処理槽の内部の被処理水中に微生物を吸着保持する生物担体を配置したものが知られており、特に最近生物担体として揺動床を採用したものが注目されつつある。
【0003】
この揺動床は垂直に張られた撥水性の幹に対し、親水性の繊維で成型された複数の親水枝を、幹と平行の水流に対して垂直に、幹から円周方向に放射状に配置した構成であり、幹は、処理槽内に固定された揺動床支持部により支持されている。また、親水枝は汚泥が付着しやすいよう親水性となっており、ある程度の太さは有しているものの柔軟性があり、その後端側が幹に取り付けられ、先端側が自由端となっているので水流により揺動する。このような揺動床式の生物担体を処理槽の内部に簾状に多数配置することで排水処理装置が構成されている。
【0004】
揺動床式の生物担体は揺動床の周囲の水流によって運ばれる汚泥を親水枝に付着させ、堆積させて固定することになり、一般的な生物担体を用いない排水処理装置に比べ、処理槽内の汚泥濃度を高く保持することができる。
【0005】
また、処理槽内の有機物は浮遊している汚泥だけでなく、親水枝に付着した汚泥にも高効率に接触し酸化・分解が促進される。さらに、揺動床に堆積した汚泥は揺動により剥離して再び処理槽内に浮遊し付着、剥離を繰り返す。
【0006】
このような揺動床は流速が遅く、揺動が小さい場合、汚泥の剥離が抑制され付着が剥離を上回って過剰になり最終的には閉塞してしまう。閉塞が生じた場合、処理槽内の流動が小さくなり、閉塞した部分に十分な酸素が供給されず処理性能が大幅に低下する。そこで、揺動床を安定して使用するために、揺動床周囲の流速を閉塞が生じない程度以上に維持する必要がある。
【0007】
ところで、揺動床を含め一般的な生物担体を用いる排水処理装置は大きく分けて2種類の構成をとっている。一つはエアリフト式と呼ばれるもので、揺動床と、揺動床の存在しない水流通路と、水流通路における処理槽の底部に処理槽に空気を供給する散気部とが設けられており、散気部から噴出する気泡によって生じる上昇流のエアリフト効果によって処理槽内部に被処理水の循環流が発生する。この循環流速を一定以上に維持することによって、汚泥に酸素を供給すると共に、揺動床を揺動させることができる。
【0008】
また、揺動床の下方に散気部を配置した全面曝気式がある。全面曝気式は、散気部から噴出する気泡の上昇流によって直接揺動床に通水するものであり、気泡と水流の両方を揺動床に作用させることによって、揺動床を揺動させることができる。
【0009】
しかしながら、いずれの方式においても被処理水の流速が一定以上であれば揺動床が閉塞することはないが、処理槽の内部に流速の低下する領域や、被処理水の停滞する領域があると揺動床は容易に閉塞し、生物処理性能が低下するという課題があった。
【0010】
また、このように閉塞した揺動床から付着汚泥を除去しようとすると、揺動床の下部に散気管を配置して強く曝気することにより揺動床を激しく揺動させて付着汚泥を剥離させるか、もしくは長い棒を差し込むことによって物理的に剥離させるなどの煩雑な作業を行わなければならず、メンテナンスに多くの手間がかかるという課題があった。
【0011】
このような揺動床における課題に対し、図5におけるように生物処理槽19にひも状担体エレメント20を、水流によって相互が擦れ合うことができる間隔を持たせて密集配置させることにより、ひも状担体エレメント20同士の擦り合わせによって過剰な付着汚泥を自然に剥離させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−191361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1のような従来の排水処理装置においては、処理槽内の流速分布は一様でなく、ひも状担体エレメント上のすべてのひも状担体を均等に擦り合わせるように処理槽内の流速を調整することは困難であるという課題があった。
【0013】
また、ひも状担体に作用する流速が、処理槽内における幾何学的配置に依らないようにするには、処理槽に対してひも状担体エレメントの大きさを十分に小さくする必要があり、処理性能が低下するという課題があった。
【0014】
そこで、本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、揺動床を用いた排水処理装置において、処理槽に複雑な機構を設けず単純な構造で、さらに簡単な操作によって閉塞した汚泥を剥離・除去できる排水処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の本発明は、上記目的を達成するために、排水を生物処理する処理槽と、前記処理槽内に配置された揺動床と、前記処理槽内に配置された固体とを有し、前記揺動床表面と前記固体とを接触させて汚泥を剥離することを特徴とする。
【0016】
本構成によって、揺動床内で閉塞した汚泥を固体との接触により剥離・除去できる。
【0017】
請求項2に記載の本発明は、前記揺動床を動かす駆動装置を設けることを特徴とする。
【0018】
本構成によって、揺動床が動くことにより固体と接触し、閉塞した汚泥を自動的に剥離・除去できる。
【0019】
請求項3に記載の本発明は、前記固体を動かす駆動装置を設けることを特徴とする。
【0020】
本構成によって、固体が動くことにより揺動床と接触し、閉塞した汚泥を自動的に剥離・除去できる。
【0021】
請求項4に記載の本発明は、前記固体は前記揺動床の軸から、前記揺動床の半径以下の距離に設置されていることを特徴とする。
【0022】
本構成によって、固体と揺動床内で閉塞した汚泥が確実に接触し、汚泥を確実に剥離・除去できる。
【0023】
請求項5に記載の本発明は、前記固体を棒形状をした擦り棒としたことを特徴とする。
【0024】
本構成によって、揺動床内で閉塞した汚泥と固体との接触開始時に摩擦抵抗を少なくでき、汚泥を剥離・除去できる。
【0025】
請求項6に記載の本発明は、前記擦り棒を複数設置することを特徴とする。
【0026】
本構成によって、揺動床の幹の両面が片面ずつ固体と接触することにより、幹両面の汚泥を剥離・除去できる。
【0027】
請求項7に記載の本発明は、前記固体は揺動床の軸と平行に設置された平板であることを特徴とする。
【0028】
本構成によって、汚泥と固体との接触時間が長くなり、より確実に汚泥を剥離・除去できる。
【0029】
請求項8に記載の本発明は、前記平板を前記処理槽の壁面とすることを特徴とする。
【0030】
本構成によって、固体を新たに設けず、揺動床内で閉塞した汚泥を剥離・除去できる。
【0031】
請求項9に記載の本発明は、前記固体に揺動床の直径以下の隙間を設け、前記揺動床を前記隙間に通過させることを特徴とする。
【0032】
本構成によって、揺動床の幹の全周にわたり閉塞した汚泥を固体との接触により剥離・除去できる。
【0033】
請求項10に記載の本発明は、前記固体を2本以上の前記擦り棒で構成することを特徴とする。
【0034】
本構成によって、揺動床の幹の両面が同時に固体と接触することにより、幹両面の汚泥を剥離・除去できる。
【0035】
請求項11に記載の本発明は、前記固体を板材で構成することを特徴とする。
【0036】
本構成によって、揺動床の幹の両面が同時に固体と接触することにより、幹両面の汚泥を剥離・除去できるとともに、汚泥と固体との接触時間が長くなり、より確実に汚泥を剥離・除去できる。
【0037】
請求項12に記載の本発明は、前記固体を円筒管で構成することを特徴とする。
【0038】
本構成によって、揺動床の幹の両面が同時に固体と接触することにより、幹両面の汚泥を剥離・除去できるとともに、汚泥と固体との接触時間が長くなり、より確実に汚泥を剥離・除去できる。
【0039】
請求項13に記載の本発明は、処理槽内部に揺動床の閉塞を検知する閉塞検知手段が設置されており、前記閉塞検知手段により揺動床の閉塞を検知して駆動装置を運転させることを特徴とする。
【0040】
本構成によって、駆動装置の運転開始時間が明確になり、安定した処理が行える。
【0041】
請求項14に記載の本発明は、閉塞検知手段として、揺動床の下方に流速センサが設置されていることを特徴とする。
【0042】
本構成によって、駆動装置の運転開始時間が明確になり、安定した処理が行える。
【0043】
請求項15に記載の本発明は、請求項1記載の排水処理装置において、前記揺動床を動作させて前記揺動床表面の汚泥を剥離させるメンテナンス方法である。
【0044】
本方法によって、揺動床内で閉塞した汚泥を固体との接触により剥離・除去でき、メンテナンス性が向上する。
【0045】
請求項16に記載の本発明は、請求項1に記載の排水処理装置において、前記固体を動作させて前記揺動床表面の汚泥を剥離させるメンテナンス方法である。
【0046】
本方法によって、揺動床内で閉塞した汚泥を固体との接触により剥離・除去でき、メンテナンス性が向上する。
【発明の効果】
【0047】
以上のような構成とすることによって、閉塞した揺動床のメンテナンスを、簡単な操作で容易に行うことができる。さらに、処理槽中の流速分布など複雑な条件設定等を必要としないために、通常の運転(処理)も簡単な操作で容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明による実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
(実施の形態1)
図1(a)は生物処理により排水処理を行う排水処理装置1の構成の正面図、(b)は(a)のA−A断面部分の構成図を示している。排水処理装置1は容器状の処理槽2と、この処理槽2の内部に配置した微生物担体としての揺動床3と揺動床3の下方に配置された散気部4で構成されている。
【0050】
本実施の形態においては散気部4に円盤状の散気盤を用いたが、散気部の形状を制限するものではなく、その形状が棒状や球状であってもよく、さらに微細な気泡が発生するように特殊な加工を施してもよい。
【0051】
揺動床3は撥水性の繊維で成型された幹5に親水性の繊維で成型された複数の親水枝6を、幹5に対して垂直に、複数本を一定間隔で配置した構成としている。親水枝6は汚泥が付着しやすいよう親水性となっており、ある程度の太さは有しているものの柔軟性があり、その後端側は幹5に取り付けられ、先端側が自由端となっているので水流により揺動する。また、幹5は複数の擦り棒7により適度な張力となるように環状に固定されており、生物担体としての揺動床3を構成している。擦り棒7は揺動床3の固定と、揺動床3及び親水枝6に付着した汚泥を擦り取る機能とを兼ねており、親水枝6が擦り棒7に接触すると、その摩擦力によって汚泥が剥離される。
【0052】
擦り棒7により支持固定された揺動床3は駆動装置8と接続されることにより、幹5の軸方向に移動することができる。揺動床3と駆動装置8との接続方法については特に限定していないが、例えば回転軸を持った駆動装置8にギアを介して揺動床3の幹5が接続されることによって幹5を軸方向に送り出し、揺動床3を回転させることができる。
【0053】
また、複数の擦り棒7のうち、少なくとも1本の擦り棒7は揺動床3との接触面が反対になるように環状に固定された幹5の外側に配置されている。散気部4は円盤形状で表面に多数の細孔があり、給気管9と接続されている。給気管9は処理槽2の外部より上方から処理槽の底部へ向かって垂直に配置されており、散気部4が処理槽2の適当な位置に配置されるよう処理槽2の下部に支持固定している。また、給気管9は処理槽2の外部においてブロワ(図示せず)と接続されている。
【0054】
上記構成において、有機物を含んだ生活排水等の被処理水は、処理槽2に供給される。ここで、散気部4にはブロワ(図示せず)から空気が供給され、微細気泡が上方の揺動床3へと勢い良く噴出され、この結果として有酸素気泡が揺動床3を上昇していくとともに、上昇する水流を生じる。一方、散気部4から噴出された有酸素気泡が水面まで上昇する間に、被処理水中に酸素が溶解し、汚泥内部の微生物に酸素を供給する。被処理水中の有機物は処理槽2内を水流に乗って流動しながら汚泥に酸化・分解される。また、流動によって浮遊している汚泥は揺動床3の親水枝6に付着し堆積していくことになり、処理槽2内の汚泥濃度を高く保持する。処理槽2内の有機物は浮遊している汚泥だけではなく、親水枝6に付着した汚泥にも高効率に接触し、酸化・分解が促進される。
【0055】
ここで、親水枝6に堆積した汚泥中では、安定した足場があることにより細菌類だけでなく、上位捕食者である原生動物や原虫、ワムシ、ミミズなどの食物連鎖が発生しており、特に原生動物は粘着性の代謝物を多量に生産する特性があり、この代謝物によって親水枝6に付着した汚泥は互いに強固に固着して保持される。
【0056】
また、親水枝6先端に付着した汚泥はある程度の大きさになると水流による揺動により、親水枝6先端の汚泥が剥離して再び水流中に放出されるので、汚泥の過剰付着による閉塞や一斉脱落が防止される。さらに剥離した汚泥は粘着性の代謝物により付着前より固く大きい粒子となる。
【0057】
このようにして処理槽2内では当初微細だった汚泥が親水枝6への付着、剥離を繰り返し粗大化していき沈降性が向上することにより、後段の沈殿槽(図示せず)においてバルキングを生じさせることなく汚泥濃度を高くできる利点もある。
【0058】
ところで、このような汚泥を用いた排水処理装置1を連続的に使用していると、処理槽2の隅や、散気部4からの水流が当たらない領域では揺動床3を揺動させるのに十分な流速が得られないために、一定時間を経過すると揺動床3に過度に汚泥が付着して閉塞が生じる。閉塞が生じると、閉塞箇所の汚泥には十分な酸素供給が行われないため、汚泥が機能せず、処理性能が低下する。
【0059】
一般的には揺動床3の閉塞箇所の下部に散気装置を配置して強度の曝気を行い、強い流速と気泡を作用させることによって、揺動床3から汚泥を剥離させる。または棒形状のものを揺動床3の閉塞箇所に突き刺し、物理的に剥離させるといったメンテナンスが行われる。
【0060】
本実施の形態の排水処理装置1において閉塞箇所の汚泥を除去する場合、駆動装置8によって揺動床3を幹5の軸方向に送り出す。送り出された揺動床3は擦り棒7と接触して、その際に生じる摩擦力によって親水枝6に付着した汚泥は剥離される。擦り棒7によって生じる摩擦力は親水枝6との接触部分に限られるため、図1に示すように幹5の左右両面に対して擦り棒7を配置することにより、揺動床3に付着した両面の汚泥を除去することができる。
【0061】
このようにすれば、駆動装置8を動かすことによって、容易に揺動床3全面の汚泥を剥離させることができる。このようなメンテナンスを定期的に行うことによって、揺動床3の閉塞箇所は除去され、処理性能の低下を防ぐことができる。また、閉塞した汚泥は擦り棒7により確実に除去されるため、処理槽2内の流速分布を最適化するなど複雑な作業を行う必要はない。
【0062】
なお、擦り棒7の形状は揺動床3を支持固定し、かつ親水枝6と摩擦力を発生させられるものであればよく、滑車や歯車のような形状のものでもよい。
【0063】
さらに、上記駆動装置8は自立駆動する機構に限らず、手動操作によって駆動力を発生させる機構であってもよい。その場合には例えば、排水処理装置1の外に設けられたハンドル(図示せず)を手動操作により回転させることで、駆動装置8内に設けられた歯車を介して回転力が伝達され、揺動床3を幹5の軸方向に送り出す。
【0064】
また、本実施の形態では揺動床3の幹5を環状に擦り棒7で固定しているが、揺動床3の幹5全面に対し擦り棒7を作用させることができるのであれば、その形状を限定するものではない。例えば、直線状の揺動床3の幹5を駆動装置8によって往復運動させ、擦り棒7と作用させることによって上記の通り汚泥の除去を図ってもよい。
【0065】
また、本実施の形態では揺動床3の幹5を1本環状に固定しているが、擦り棒7には複数の幹5を簾状に接続することもでき、そうすることによって汚泥濃度を高め、処理性能を向上させることができる。
【0066】
(実施の形態2)
図2は本発明の他の実施形態を示している。なお、実施の形態1と同様の構成を有するものについては、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図2の考え方は実施の形態1と同じであるが、支持棒11は揺動床3を環状に支持固定する目的で設け、親水枝6と接触するようにして平板10を配置し、その間に生じる摩擦力によって汚泥を剥離する。平板10と幹5との隙間は揺動床3の半径以下、即ち幹5からの距離が親水枝6の長さ以下となるように設置されており、平板10を親水枝6と接触させることによって汚泥を剥離する。このとき、平板10と幹5との間を調節することによって汚泥の剥離強度を調整することもできる。
【0068】
(実施の形態3)
図3も他の実施形態を示している。図3(c)は(a)の円筒管12のB−B断面図を示している。なお、実施の形態1及び実施の形態2と同様の構成を有するものについては、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図3の考え方は実施の形態2と同じであるが、実施の形態2の平板10の代わりに円筒管12を、親水枝6と円筒管12の内面とが接触するようにして配置し、その間に生じる摩擦力によって汚泥を剥離する。
【0070】
さらに、揺動床3の半径以下、即ち幹5からの距離が親水枝6の長さ以下の位置に閉塞検知手段として溶存酸素濃度計13を設置することにより、揺動床3の閉塞をモニタリングすることができる。揺動床3に閉塞が生じると揺動床3の中心部、即ち幹5の周囲にまで十分な酸素が供給されないために、溶存酸素濃度が低下してしまう。溶存酸素濃度計13によりこの変化を検知して、溶存酸素濃度が0.5mg/Lになると制御装置14によって駆動装置8を動かし、揺動床3の閉塞箇所の汚泥除去を自動的に行うことができる。
【0071】
なお、円筒管12の形状は、その内面が親水枝6と接触できるようなものであればよく、その内径が揺動床3の直径以下であれば、一端と他端の内径の長さが違っていてもよく、開口部は四角や三角の形状でもよい。
【0072】
(実施の形態4)
図4も他の実施形態を示している。なお、実施の形態1から3と同様の構成を有するものについては、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
図4において、支持枠15は金属製アングルを立方体に組み立てたもので、その底面に足を設け、その下に散気部4が入る程度のスペースを設けて排水処理装置1の底部に固定したもので、前記支持枠15の枠内において揺動床3の幹5の上下端を支持固定している。
【0074】
揺動床3の幹5には、その内径が揺動床3の直径以下であるリング17が通してある。リング17は吊りひも18の一端に結び付けられてあり、その他方は排水処理装置1の水面から出ているため、吊りひも18を引っ張ることでリング17を幹5に沿って上下させることができる。また、リング17は金属製である程度の重さを有しているために、吊りひも18を手放すと、重力によって落下し、平常時は揺動床3の底部に位置している。
【0075】
また、揺動床3には閉塞検知手段として溶存酸素濃度計13が設置されており、溶存酸素濃度が0.5mg/Lになると制御装置14によって警報器16が発光等の信号を発信する。この信号を見ることによって揺動床3の閉塞状態を把握し、閉塞が生じた時には吊りひも18を引っ張ることによりリング17を揺動床3の上方まで引き上げ、親水枝6と接触させて汚泥を剥離させる。汚泥の剥離を終えたら吊りひも18を手放し、リング17を揺動床3の底部に落下させる。
【0076】
なお、平常時におけるリング17の位置については何ら制限を設けるものではなく、その位置が底部でなく、揺動床3の中央部、上部、または揺動床3から取り外して他の場所に保管してもよい。
【0077】
この方法では複雑な機構を何ら設ける必要がないので、低コストでメンテナンスも容易である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように本発明における排水処理装置は高い排水処理性能とメンテナンス性を両立することができるため、今後の環境事業に大きく貢献するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1の排水処理装置の構成図((a)は正面図、(b)はA−A断面部分の構成図)
【図2】同実施の形態2の排水処理装置の構成図((a)は正面図、(b)はA−A断面部分の構成図)
【図3】同実施の形態3の排水処理装置の構成図((a)は正面図、(b)はA−A断面部分の構成図、(c)は円筒管12のB−B断面図)
【図4】同実施の形態4の排水処理装置の構成図((a)は正面図、(b)はA−A断面部分の構成図)
【図5】従来の排水処理装置の一例を示す図
【符号の説明】
【0080】
1 排水処理装置
2 処理槽
3 揺動床
4 散気部
5 幹
6 親水枝
7 擦り棒
8 駆動装置
9 給気管
10 平板
11 支持棒
12 円筒管
13 溶存酸素濃度計
14 制御装置
15 支持枠
16 警報器
17 リング
18 吊りひも
19 生物処理槽
20 ひも状担体エレメント
21 ベース
【技術分野】
【0001】
本発明は排水処理システムより排出される汚泥の処理方法と、それを用いた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排水中の有機物を微生物により分解する排水処理装置の処理性能を向上させる手段として、処理槽の内部の被処理水中に微生物を吸着保持する生物担体を配置したものが知られており、特に最近生物担体として揺動床を採用したものが注目されつつある。
【0003】
この揺動床は垂直に張られた撥水性の幹に対し、親水性の繊維で成型された複数の親水枝を、幹と平行の水流に対して垂直に、幹から円周方向に放射状に配置した構成であり、幹は、処理槽内に固定された揺動床支持部により支持されている。また、親水枝は汚泥が付着しやすいよう親水性となっており、ある程度の太さは有しているものの柔軟性があり、その後端側が幹に取り付けられ、先端側が自由端となっているので水流により揺動する。このような揺動床式の生物担体を処理槽の内部に簾状に多数配置することで排水処理装置が構成されている。
【0004】
揺動床式の生物担体は揺動床の周囲の水流によって運ばれる汚泥を親水枝に付着させ、堆積させて固定することになり、一般的な生物担体を用いない排水処理装置に比べ、処理槽内の汚泥濃度を高く保持することができる。
【0005】
また、処理槽内の有機物は浮遊している汚泥だけでなく、親水枝に付着した汚泥にも高効率に接触し酸化・分解が促進される。さらに、揺動床に堆積した汚泥は揺動により剥離して再び処理槽内に浮遊し付着、剥離を繰り返す。
【0006】
このような揺動床は流速が遅く、揺動が小さい場合、汚泥の剥離が抑制され付着が剥離を上回って過剰になり最終的には閉塞してしまう。閉塞が生じた場合、処理槽内の流動が小さくなり、閉塞した部分に十分な酸素が供給されず処理性能が大幅に低下する。そこで、揺動床を安定して使用するために、揺動床周囲の流速を閉塞が生じない程度以上に維持する必要がある。
【0007】
ところで、揺動床を含め一般的な生物担体を用いる排水処理装置は大きく分けて2種類の構成をとっている。一つはエアリフト式と呼ばれるもので、揺動床と、揺動床の存在しない水流通路と、水流通路における処理槽の底部に処理槽に空気を供給する散気部とが設けられており、散気部から噴出する気泡によって生じる上昇流のエアリフト効果によって処理槽内部に被処理水の循環流が発生する。この循環流速を一定以上に維持することによって、汚泥に酸素を供給すると共に、揺動床を揺動させることができる。
【0008】
また、揺動床の下方に散気部を配置した全面曝気式がある。全面曝気式は、散気部から噴出する気泡の上昇流によって直接揺動床に通水するものであり、気泡と水流の両方を揺動床に作用させることによって、揺動床を揺動させることができる。
【0009】
しかしながら、いずれの方式においても被処理水の流速が一定以上であれば揺動床が閉塞することはないが、処理槽の内部に流速の低下する領域や、被処理水の停滞する領域があると揺動床は容易に閉塞し、生物処理性能が低下するという課題があった。
【0010】
また、このように閉塞した揺動床から付着汚泥を除去しようとすると、揺動床の下部に散気管を配置して強く曝気することにより揺動床を激しく揺動させて付着汚泥を剥離させるか、もしくは長い棒を差し込むことによって物理的に剥離させるなどの煩雑な作業を行わなければならず、メンテナンスに多くの手間がかかるという課題があった。
【0011】
このような揺動床における課題に対し、図5におけるように生物処理槽19にひも状担体エレメント20を、水流によって相互が擦れ合うことができる間隔を持たせて密集配置させることにより、ひも状担体エレメント20同士の擦り合わせによって過剰な付着汚泥を自然に剥離させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−191361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1のような従来の排水処理装置においては、処理槽内の流速分布は一様でなく、ひも状担体エレメント上のすべてのひも状担体を均等に擦り合わせるように処理槽内の流速を調整することは困難であるという課題があった。
【0013】
また、ひも状担体に作用する流速が、処理槽内における幾何学的配置に依らないようにするには、処理槽に対してひも状担体エレメントの大きさを十分に小さくする必要があり、処理性能が低下するという課題があった。
【0014】
そこで、本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、揺動床を用いた排水処理装置において、処理槽に複雑な機構を設けず単純な構造で、さらに簡単な操作によって閉塞した汚泥を剥離・除去できる排水処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の本発明は、上記目的を達成するために、排水を生物処理する処理槽と、前記処理槽内に配置された揺動床と、前記処理槽内に配置された固体とを有し、前記揺動床表面と前記固体とを接触させて汚泥を剥離することを特徴とする。
【0016】
本構成によって、揺動床内で閉塞した汚泥を固体との接触により剥離・除去できる。
【0017】
請求項2に記載の本発明は、前記揺動床を動かす駆動装置を設けることを特徴とする。
【0018】
本構成によって、揺動床が動くことにより固体と接触し、閉塞した汚泥を自動的に剥離・除去できる。
【0019】
請求項3に記載の本発明は、前記固体を動かす駆動装置を設けることを特徴とする。
【0020】
本構成によって、固体が動くことにより揺動床と接触し、閉塞した汚泥を自動的に剥離・除去できる。
【0021】
請求項4に記載の本発明は、前記固体は前記揺動床の軸から、前記揺動床の半径以下の距離に設置されていることを特徴とする。
【0022】
本構成によって、固体と揺動床内で閉塞した汚泥が確実に接触し、汚泥を確実に剥離・除去できる。
【0023】
請求項5に記載の本発明は、前記固体を棒形状をした擦り棒としたことを特徴とする。
【0024】
本構成によって、揺動床内で閉塞した汚泥と固体との接触開始時に摩擦抵抗を少なくでき、汚泥を剥離・除去できる。
【0025】
請求項6に記載の本発明は、前記擦り棒を複数設置することを特徴とする。
【0026】
本構成によって、揺動床の幹の両面が片面ずつ固体と接触することにより、幹両面の汚泥を剥離・除去できる。
【0027】
請求項7に記載の本発明は、前記固体は揺動床の軸と平行に設置された平板であることを特徴とする。
【0028】
本構成によって、汚泥と固体との接触時間が長くなり、より確実に汚泥を剥離・除去できる。
【0029】
請求項8に記載の本発明は、前記平板を前記処理槽の壁面とすることを特徴とする。
【0030】
本構成によって、固体を新たに設けず、揺動床内で閉塞した汚泥を剥離・除去できる。
【0031】
請求項9に記載の本発明は、前記固体に揺動床の直径以下の隙間を設け、前記揺動床を前記隙間に通過させることを特徴とする。
【0032】
本構成によって、揺動床の幹の全周にわたり閉塞した汚泥を固体との接触により剥離・除去できる。
【0033】
請求項10に記載の本発明は、前記固体を2本以上の前記擦り棒で構成することを特徴とする。
【0034】
本構成によって、揺動床の幹の両面が同時に固体と接触することにより、幹両面の汚泥を剥離・除去できる。
【0035】
請求項11に記載の本発明は、前記固体を板材で構成することを特徴とする。
【0036】
本構成によって、揺動床の幹の両面が同時に固体と接触することにより、幹両面の汚泥を剥離・除去できるとともに、汚泥と固体との接触時間が長くなり、より確実に汚泥を剥離・除去できる。
【0037】
請求項12に記載の本発明は、前記固体を円筒管で構成することを特徴とする。
【0038】
本構成によって、揺動床の幹の両面が同時に固体と接触することにより、幹両面の汚泥を剥離・除去できるとともに、汚泥と固体との接触時間が長くなり、より確実に汚泥を剥離・除去できる。
【0039】
請求項13に記載の本発明は、処理槽内部に揺動床の閉塞を検知する閉塞検知手段が設置されており、前記閉塞検知手段により揺動床の閉塞を検知して駆動装置を運転させることを特徴とする。
【0040】
本構成によって、駆動装置の運転開始時間が明確になり、安定した処理が行える。
【0041】
請求項14に記載の本発明は、閉塞検知手段として、揺動床の下方に流速センサが設置されていることを特徴とする。
【0042】
本構成によって、駆動装置の運転開始時間が明確になり、安定した処理が行える。
【0043】
請求項15に記載の本発明は、請求項1記載の排水処理装置において、前記揺動床を動作させて前記揺動床表面の汚泥を剥離させるメンテナンス方法である。
【0044】
本方法によって、揺動床内で閉塞した汚泥を固体との接触により剥離・除去でき、メンテナンス性が向上する。
【0045】
請求項16に記載の本発明は、請求項1に記載の排水処理装置において、前記固体を動作させて前記揺動床表面の汚泥を剥離させるメンテナンス方法である。
【0046】
本方法によって、揺動床内で閉塞した汚泥を固体との接触により剥離・除去でき、メンテナンス性が向上する。
【発明の効果】
【0047】
以上のような構成とすることによって、閉塞した揺動床のメンテナンスを、簡単な操作で容易に行うことができる。さらに、処理槽中の流速分布など複雑な条件設定等を必要としないために、通常の運転(処理)も簡単な操作で容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明による実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
(実施の形態1)
図1(a)は生物処理により排水処理を行う排水処理装置1の構成の正面図、(b)は(a)のA−A断面部分の構成図を示している。排水処理装置1は容器状の処理槽2と、この処理槽2の内部に配置した微生物担体としての揺動床3と揺動床3の下方に配置された散気部4で構成されている。
【0050】
本実施の形態においては散気部4に円盤状の散気盤を用いたが、散気部の形状を制限するものではなく、その形状が棒状や球状であってもよく、さらに微細な気泡が発生するように特殊な加工を施してもよい。
【0051】
揺動床3は撥水性の繊維で成型された幹5に親水性の繊維で成型された複数の親水枝6を、幹5に対して垂直に、複数本を一定間隔で配置した構成としている。親水枝6は汚泥が付着しやすいよう親水性となっており、ある程度の太さは有しているものの柔軟性があり、その後端側は幹5に取り付けられ、先端側が自由端となっているので水流により揺動する。また、幹5は複数の擦り棒7により適度な張力となるように環状に固定されており、生物担体としての揺動床3を構成している。擦り棒7は揺動床3の固定と、揺動床3及び親水枝6に付着した汚泥を擦り取る機能とを兼ねており、親水枝6が擦り棒7に接触すると、その摩擦力によって汚泥が剥離される。
【0052】
擦り棒7により支持固定された揺動床3は駆動装置8と接続されることにより、幹5の軸方向に移動することができる。揺動床3と駆動装置8との接続方法については特に限定していないが、例えば回転軸を持った駆動装置8にギアを介して揺動床3の幹5が接続されることによって幹5を軸方向に送り出し、揺動床3を回転させることができる。
【0053】
また、複数の擦り棒7のうち、少なくとも1本の擦り棒7は揺動床3との接触面が反対になるように環状に固定された幹5の外側に配置されている。散気部4は円盤形状で表面に多数の細孔があり、給気管9と接続されている。給気管9は処理槽2の外部より上方から処理槽の底部へ向かって垂直に配置されており、散気部4が処理槽2の適当な位置に配置されるよう処理槽2の下部に支持固定している。また、給気管9は処理槽2の外部においてブロワ(図示せず)と接続されている。
【0054】
上記構成において、有機物を含んだ生活排水等の被処理水は、処理槽2に供給される。ここで、散気部4にはブロワ(図示せず)から空気が供給され、微細気泡が上方の揺動床3へと勢い良く噴出され、この結果として有酸素気泡が揺動床3を上昇していくとともに、上昇する水流を生じる。一方、散気部4から噴出された有酸素気泡が水面まで上昇する間に、被処理水中に酸素が溶解し、汚泥内部の微生物に酸素を供給する。被処理水中の有機物は処理槽2内を水流に乗って流動しながら汚泥に酸化・分解される。また、流動によって浮遊している汚泥は揺動床3の親水枝6に付着し堆積していくことになり、処理槽2内の汚泥濃度を高く保持する。処理槽2内の有機物は浮遊している汚泥だけではなく、親水枝6に付着した汚泥にも高効率に接触し、酸化・分解が促進される。
【0055】
ここで、親水枝6に堆積した汚泥中では、安定した足場があることにより細菌類だけでなく、上位捕食者である原生動物や原虫、ワムシ、ミミズなどの食物連鎖が発生しており、特に原生動物は粘着性の代謝物を多量に生産する特性があり、この代謝物によって親水枝6に付着した汚泥は互いに強固に固着して保持される。
【0056】
また、親水枝6先端に付着した汚泥はある程度の大きさになると水流による揺動により、親水枝6先端の汚泥が剥離して再び水流中に放出されるので、汚泥の過剰付着による閉塞や一斉脱落が防止される。さらに剥離した汚泥は粘着性の代謝物により付着前より固く大きい粒子となる。
【0057】
このようにして処理槽2内では当初微細だった汚泥が親水枝6への付着、剥離を繰り返し粗大化していき沈降性が向上することにより、後段の沈殿槽(図示せず)においてバルキングを生じさせることなく汚泥濃度を高くできる利点もある。
【0058】
ところで、このような汚泥を用いた排水処理装置1を連続的に使用していると、処理槽2の隅や、散気部4からの水流が当たらない領域では揺動床3を揺動させるのに十分な流速が得られないために、一定時間を経過すると揺動床3に過度に汚泥が付着して閉塞が生じる。閉塞が生じると、閉塞箇所の汚泥には十分な酸素供給が行われないため、汚泥が機能せず、処理性能が低下する。
【0059】
一般的には揺動床3の閉塞箇所の下部に散気装置を配置して強度の曝気を行い、強い流速と気泡を作用させることによって、揺動床3から汚泥を剥離させる。または棒形状のものを揺動床3の閉塞箇所に突き刺し、物理的に剥離させるといったメンテナンスが行われる。
【0060】
本実施の形態の排水処理装置1において閉塞箇所の汚泥を除去する場合、駆動装置8によって揺動床3を幹5の軸方向に送り出す。送り出された揺動床3は擦り棒7と接触して、その際に生じる摩擦力によって親水枝6に付着した汚泥は剥離される。擦り棒7によって生じる摩擦力は親水枝6との接触部分に限られるため、図1に示すように幹5の左右両面に対して擦り棒7を配置することにより、揺動床3に付着した両面の汚泥を除去することができる。
【0061】
このようにすれば、駆動装置8を動かすことによって、容易に揺動床3全面の汚泥を剥離させることができる。このようなメンテナンスを定期的に行うことによって、揺動床3の閉塞箇所は除去され、処理性能の低下を防ぐことができる。また、閉塞した汚泥は擦り棒7により確実に除去されるため、処理槽2内の流速分布を最適化するなど複雑な作業を行う必要はない。
【0062】
なお、擦り棒7の形状は揺動床3を支持固定し、かつ親水枝6と摩擦力を発生させられるものであればよく、滑車や歯車のような形状のものでもよい。
【0063】
さらに、上記駆動装置8は自立駆動する機構に限らず、手動操作によって駆動力を発生させる機構であってもよい。その場合には例えば、排水処理装置1の外に設けられたハンドル(図示せず)を手動操作により回転させることで、駆動装置8内に設けられた歯車を介して回転力が伝達され、揺動床3を幹5の軸方向に送り出す。
【0064】
また、本実施の形態では揺動床3の幹5を環状に擦り棒7で固定しているが、揺動床3の幹5全面に対し擦り棒7を作用させることができるのであれば、その形状を限定するものではない。例えば、直線状の揺動床3の幹5を駆動装置8によって往復運動させ、擦り棒7と作用させることによって上記の通り汚泥の除去を図ってもよい。
【0065】
また、本実施の形態では揺動床3の幹5を1本環状に固定しているが、擦り棒7には複数の幹5を簾状に接続することもでき、そうすることによって汚泥濃度を高め、処理性能を向上させることができる。
【0066】
(実施の形態2)
図2は本発明の他の実施形態を示している。なお、実施の形態1と同様の構成を有するものについては、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図2の考え方は実施の形態1と同じであるが、支持棒11は揺動床3を環状に支持固定する目的で設け、親水枝6と接触するようにして平板10を配置し、その間に生じる摩擦力によって汚泥を剥離する。平板10と幹5との隙間は揺動床3の半径以下、即ち幹5からの距離が親水枝6の長さ以下となるように設置されており、平板10を親水枝6と接触させることによって汚泥を剥離する。このとき、平板10と幹5との間を調節することによって汚泥の剥離強度を調整することもできる。
【0068】
(実施の形態3)
図3も他の実施形態を示している。図3(c)は(a)の円筒管12のB−B断面図を示している。なお、実施の形態1及び実施の形態2と同様の構成を有するものについては、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図3の考え方は実施の形態2と同じであるが、実施の形態2の平板10の代わりに円筒管12を、親水枝6と円筒管12の内面とが接触するようにして配置し、その間に生じる摩擦力によって汚泥を剥離する。
【0070】
さらに、揺動床3の半径以下、即ち幹5からの距離が親水枝6の長さ以下の位置に閉塞検知手段として溶存酸素濃度計13を設置することにより、揺動床3の閉塞をモニタリングすることができる。揺動床3に閉塞が生じると揺動床3の中心部、即ち幹5の周囲にまで十分な酸素が供給されないために、溶存酸素濃度が低下してしまう。溶存酸素濃度計13によりこの変化を検知して、溶存酸素濃度が0.5mg/Lになると制御装置14によって駆動装置8を動かし、揺動床3の閉塞箇所の汚泥除去を自動的に行うことができる。
【0071】
なお、円筒管12の形状は、その内面が親水枝6と接触できるようなものであればよく、その内径が揺動床3の直径以下であれば、一端と他端の内径の長さが違っていてもよく、開口部は四角や三角の形状でもよい。
【0072】
(実施の形態4)
図4も他の実施形態を示している。なお、実施の形態1から3と同様の構成を有するものについては、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
図4において、支持枠15は金属製アングルを立方体に組み立てたもので、その底面に足を設け、その下に散気部4が入る程度のスペースを設けて排水処理装置1の底部に固定したもので、前記支持枠15の枠内において揺動床3の幹5の上下端を支持固定している。
【0074】
揺動床3の幹5には、その内径が揺動床3の直径以下であるリング17が通してある。リング17は吊りひも18の一端に結び付けられてあり、その他方は排水処理装置1の水面から出ているため、吊りひも18を引っ張ることでリング17を幹5に沿って上下させることができる。また、リング17は金属製である程度の重さを有しているために、吊りひも18を手放すと、重力によって落下し、平常時は揺動床3の底部に位置している。
【0075】
また、揺動床3には閉塞検知手段として溶存酸素濃度計13が設置されており、溶存酸素濃度が0.5mg/Lになると制御装置14によって警報器16が発光等の信号を発信する。この信号を見ることによって揺動床3の閉塞状態を把握し、閉塞が生じた時には吊りひも18を引っ張ることによりリング17を揺動床3の上方まで引き上げ、親水枝6と接触させて汚泥を剥離させる。汚泥の剥離を終えたら吊りひも18を手放し、リング17を揺動床3の底部に落下させる。
【0076】
なお、平常時におけるリング17の位置については何ら制限を設けるものではなく、その位置が底部でなく、揺動床3の中央部、上部、または揺動床3から取り外して他の場所に保管してもよい。
【0077】
この方法では複雑な機構を何ら設ける必要がないので、低コストでメンテナンスも容易である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように本発明における排水処理装置は高い排水処理性能とメンテナンス性を両立することができるため、今後の環境事業に大きく貢献するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1の排水処理装置の構成図((a)は正面図、(b)はA−A断面部分の構成図)
【図2】同実施の形態2の排水処理装置の構成図((a)は正面図、(b)はA−A断面部分の構成図)
【図3】同実施の形態3の排水処理装置の構成図((a)は正面図、(b)はA−A断面部分の構成図、(c)は円筒管12のB−B断面図)
【図4】同実施の形態4の排水処理装置の構成図((a)は正面図、(b)はA−A断面部分の構成図)
【図5】従来の排水処理装置の一例を示す図
【符号の説明】
【0080】
1 排水処理装置
2 処理槽
3 揺動床
4 散気部
5 幹
6 親水枝
7 擦り棒
8 駆動装置
9 給気管
10 平板
11 支持棒
12 円筒管
13 溶存酸素濃度計
14 制御装置
15 支持枠
16 警報器
17 リング
18 吊りひも
19 生物処理槽
20 ひも状担体エレメント
21 ベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を生物処理する処理槽と、前記処理槽内に配置された揺動床と、前記処理槽内に配置された固体とを有し、前記揺動床表面と前記固体とを接触させて汚泥を剥離することを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記揺動床を動かす駆動装置を設けることを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項3】
前記固体を動かす駆動装置を設けることを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項4】
前記固体は前記揺動床の軸から、前記揺動床の半径以下の距離に設置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項5】
前記固体を棒形状をした擦り棒としたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記擦り棒を複数設置する請求項5記載の排水処理装置。
【請求項7】
前記固体は揺動床の軸と平行に設置された平板である請求項4記載の排水処理装置。
【請求項8】
前記平板を前記処理槽の壁面とする請求項7記載の排水処理装置。
【請求項9】
前記固体に揺動床の直径以下の隙間を設け、前記揺動床は前記隙間を通過する請求項1から3のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項10】
前記固体は2本以上の前記擦り棒で構成した請求項9記載の排水処理装置。
【請求項11】
前記固体は板材で構成した請求項9記載の排水処理装置。
【請求項12】
前記固体は円筒管で構成した請求項9記載の排水処理装置。
【請求項13】
処理槽内部に揺動床の閉塞を検知する閉塞検知手段が設置されており、前記閉塞検知手段により揺動床の閉塞を検知して駆動装置を運転させることを特徴とした請求項1から12のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項14】
閉塞検知手段として、揺動床の下方に流速センサが設置されていることを特徴とする請求項13記載の排水処理装置。
【請求項15】
請求項1記載の排水処理装置において、前記揺動床を動作させて前記固体と擦り合わせることを特徴とするメンテナンス方法。
【請求項16】
請求項1記載の排水処理装置において、前記固体を動作させて前記揺動床と擦り合わせることを特徴とするメンテナンス方法。
【請求項1】
排水を生物処理する処理槽と、前記処理槽内に配置された揺動床と、前記処理槽内に配置された固体とを有し、前記揺動床表面と前記固体とを接触させて汚泥を剥離することを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記揺動床を動かす駆動装置を設けることを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項3】
前記固体を動かす駆動装置を設けることを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項4】
前記固体は前記揺動床の軸から、前記揺動床の半径以下の距離に設置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項5】
前記固体を棒形状をした擦り棒としたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記擦り棒を複数設置する請求項5記載の排水処理装置。
【請求項7】
前記固体は揺動床の軸と平行に設置された平板である請求項4記載の排水処理装置。
【請求項8】
前記平板を前記処理槽の壁面とする請求項7記載の排水処理装置。
【請求項9】
前記固体に揺動床の直径以下の隙間を設け、前記揺動床は前記隙間を通過する請求項1から3のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項10】
前記固体は2本以上の前記擦り棒で構成した請求項9記載の排水処理装置。
【請求項11】
前記固体は板材で構成した請求項9記載の排水処理装置。
【請求項12】
前記固体は円筒管で構成した請求項9記載の排水処理装置。
【請求項13】
処理槽内部に揺動床の閉塞を検知する閉塞検知手段が設置されており、前記閉塞検知手段により揺動床の閉塞を検知して駆動装置を運転させることを特徴とした請求項1から12のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項14】
閉塞検知手段として、揺動床の下方に流速センサが設置されていることを特徴とする請求項13記載の排水処理装置。
【請求項15】
請求項1記載の排水処理装置において、前記揺動床を動作させて前記固体と擦り合わせることを特徴とするメンテナンス方法。
【請求項16】
請求項1記載の排水処理装置において、前記固体を動作させて前記揺動床と擦り合わせることを特徴とするメンテナンス方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−90258(P2007−90258A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284351(P2005−284351)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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