説明

排水処理装置

【課題】簡単な構成で、濾過槽を有する排水処理装置の性能を維持することができる技術を提供する。
【解決手段】排水処理装置の濾過槽は、処理水が流入する流入部と、固形物を捕捉するための濾材と、被処理水がオーバーフローで流出する流出部と、ガス吹込口を有し、ガス吹込口から供給されたガスを利用して、被処理水および固形物を濾過槽から濾過槽の外部に移送することが可能なエアリフトポンプと、ガス吹込口よりも低い位置に配置された散気部を有する散気装置と、散気装置およびエアリフトポンプのガス吹込口のそれぞれと連通する給気管と、有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、生活排水や産業排水等の排水を処理する排水処理装置(例えば、浄化槽)が利用されている。このような排水処理装置には種々の処理槽が設けられている。例えば、濾材(例えば、処理槽内に固定された濾材、あるいは、流動可能な粒状の濾材)を利用して被処理水に含まれる固形物(例えば、汚泥)を分離(濾過)する濾過槽が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−102873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、濾過槽を利用する場合には、濾過槽の処理性能を維持するために、濾材に捕捉された固形物を濾材から引きはがして除去する洗浄処理(逆洗とも呼ばれる)を行うことが好ましい。このような洗浄処理としては、例えば、濾材の下方に配置された散気装置による散気によって濾過槽内を撹拌する処理が知られている。洗浄処理によって濾材から引きはがされた固形物は、例えばエアリフトポンプによって、濾過槽から濾過槽の外部へ(例えば、固形物を貯留する槽へ)移送される。ここで、洗浄処理によって濾材から引きはがされた固形物が濾過槽の下流側に流出することを抑制することが好ましい。ところが、固形物の流出を抑制するための構成が複雑になる場合が多かった。例えば、濾過槽から下流側へ被処理水が流出する流出部が濾過槽の上部に設けられている場合がある。この場合には、散気装置を動作させる前にエアリフトポンプを動作させて濾過槽の水位を下げることによって、固形物の流出を防ぐことができる。この場合には、例えば共通のブロワを利用する場合には、エアリフトポンプと散気装置とのそれぞれの動作のタイミングを個別に制御するためにはバルブを要し、さらに、バルブを制御する制御装置も要していた。
【0005】
本発明の主な利点は、簡単な構成で、濾過槽を有する排水処理装置の性能を維持することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
排水処理装置であって、
被処理水から固形物を分離する濾過槽を備え、
前記濾過槽は、
前記被処理水が流入する流入部と、
前記固形物を捕捉するための濾材と、
前記被処理水がオーバーフローで流出する流出部と、
ガス吹込口を有し、前記ガス吹込口から供給されたガスを利用して、前記被処理水および前記固形物を前記濾過槽から前記濾過槽の外部に移送することが可能なエアリフトポンプと、
前記ガス吹込口よりも低い位置に配置された散気部を有する散気装置と、
前記散気装置および前記エアリフトポンプの前記ガス吹込口のそれぞれと連通する給気管と、
を有する、排水処理装置。
【0008】
この構成によれば、散気装置の散気部がエアリフトポンプのガス吹込口よりも低い位置に配置され、そして、共通の給気管から散気装置およびエアリフトポンプにガスが供給される。従って、給気管に供給されるガスの圧力を、ガス吹込口からガスを吐出するために要する圧力と、ガス吹込口よりも深い位置に配置された散気部からガスを吐出するために要する圧力と、の間の圧力に調整することによって、散気部からガスを出さずにエアリフトポンプを動作させることができる。これにより、濾材に捕捉された固形物を乱さずに濾過槽の水位を下げることができる。さらに、濾過槽の水位が下がることによって散気部における水圧が下がるので、濾過槽の水位が下がった後に散気部からのガスの吐出を容易に開始することができる。例えば、給気管に接続されたブロワの運転を開始すれば、まずエアリフトポンプが動作し、その後、水位の低下に応じて散気装置の動作が開始することができる。このように、濾過槽の水位を下げた状態で濾材の洗浄を開始することができるので、濾材から引きはがされた固形物が流出部から流出する可能性を低減できる。また、濾材から引きはがされた固形物を、エアリフトポンプにより濾過槽の外部に移送することができる。この結果、濾材に過剰な量の固形物が付着して濾過槽の性能が低下すること(例えば、固形物の流出や濾過槽の閉塞)を抑制できる。また、このように濾過槽を有する排水処理装置の性能を維持するための構成を、散気装置とエアリフトポンプとのそれぞれの動作のタイミングを個別に制御するためのバルブ等の複雑な構成を用いずに実現することができる。
【0009】
[適用例2]
適用例1に記載の排水処理装置であって、さらに、
前記給気管にガスを供給するガス供給装置と、
前記ガス供給装置を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、
前記給気管に第1圧力でガスを供給する第1モードで前記ガス供給装置を動作させ、前記第1モードでの動作の後に、前記第1圧力よりも高い第2圧力で前記給気管にガスを供給する第2モードで前記ガス供給装置を動作させる機能である洗浄給気機能を有する、
排水処理装置。
【0010】
この構成によれば、第1モードでの動作の後に第1モードと比べて圧力の高い第2モードでガス供給装置を動作させることによって、エアリフトポンプと散気装置との両方を適切に動作させることができる。
【0011】
[適用例3]
適用例2に記載の排水処理装置であって、
前記第1圧力は、前記ガス供給装置の定格圧力よりも低い圧力である、
排水処理装置。
【0012】
この構成によれば、制御部は、ガス供給装置によって供給されるガスの圧力を定格圧力よりも下げることによって第1モードを実現できるので、ガス供給装置の負荷が過大となる可能性を低減しつつ、エアリフトポンプと散気装置との両方を動作させることができる。
【0013】
[適用例4]
適用例2または適用例3に記載の排水処理装置であって、
前記制御部の前記洗浄給気機能は、
前記第2モードでの動作の後に、前記第2圧力よりも高い第3圧力で前記給気管にガスを供給する第3モードで前記ガス供給装置を動作させることを含む、
排水処理装置。
【0014】
この構成によれば、第2モードでの動作の後に、第2モードと比べて圧力の高い第3モードでガス供給装置を動作させることによって、散気部からのガスによる濾過槽内の撹拌(濾材からの固形物の剥離)と、エアリフトポンプによる固形物の移送とを、更に促進することができる。
【0015】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の排水処理装置であって、さらに、
前記散気装置の前記散気部から吐出されたガスによる被処理水の流動によって前記濾材から引きはがされた前記固形物を前記エアリフトポンプによって移送する際に、前記濾過槽に被処理水を供給することによって、低下した前記濾過槽の水位を上昇させて、前記エアリフトポンプによる移送量を回復させる水供給部を含む、
排水処理装置。
【0016】
この構成によれば、濾過槽の水位の上昇によってエアリフトポンプによる移送量を回復させることができるので、より多くの固形物を濾過槽から移送することができる。この結果、濾過槽の性能低下の可能性を、より適切に低減できる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、濾過槽および濾過槽の運転方法、濾過槽を有する排水処理装置およびその運転方法、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例としての排水処理装置800の処理フローを示す説明図である。
【図2】好気処理槽840と濾過槽850との構成の概略を示す概略図である。
【図3】濾過槽850の洗浄処理の概要を示す概略図である。
【図4】濾過槽850の洗浄処理の概要を示す概略図である。
【図5】濾過槽850の洗浄処理の概要を示す概略図である。
【図6】濾過槽850の洗浄処理の概要を示す概略図である。
【図7】実験槽を横から見た概略図である。
【図8】洗浄処理の別の実施例を示す概略図である。
【図9】洗浄処理の別の実施例を示す概略図である。
【図10】洗浄処理におけるブロワ500(図2)の制御パターンの別の実施例を示すタイミングチャートである。
【図11】洗浄処理におけるブロワ500(図2)の制御パターンの別の実施例を示すタイミングチャートである。
【図12】排水処理装置の別の実施例を示す概略図である。
【図13】生物濾過部1220の逆洗を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、この発明の実施の形態を、第1〜第5実施例と変形例とに基づいて説明する。
【0020】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての排水処理装置800の処理フローを示す説明図である。本実施例の排水処理装置800は、一般家庭等からの排水の浄化処理を行う装置である(このような装置は「浄化槽」とも呼ばれる)。排水処理装置800は、複数のステップを経て浄化処理を行うために、複数の水処理槽を有している。図1の実施例では、排水処理装置800は、上流(図1の左側)から順番に、夾雑物除去槽810、嫌気濾床槽第1室820、嫌気濾床槽第2室830、好気処理槽840、濾過槽850、消毒槽860を収容している。
【0021】
排水処理装置800に流入した排水は、まず、夾雑物除去槽810に流入する。夾雑物除去槽810は、排水中の夾雑物を分離する水処理槽である。夾雑物が分離(除去)されたあとの水は、嫌気濾床槽第1室820に移流する。
【0022】
嫌気濾床槽第1室820および嫌気濾床槽第2室830は、嫌気性微生物による嫌気処理を行う水処理槽である。嫌気濾床槽第1室820で処理されたあとの水は、嫌気濾床槽第2室830に移流する。これらの嫌気濾床槽820、830は、嫌気性微生物が付着するための濾材(図示せず)を有している。嫌気処理によって、被処理水中の有機物が分解される(また、被処理水中の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素が、窒素ガスに還元される)。また、濾材は、被処理水中の夾雑物を捕捉し得る。
【0023】
嫌気濾床槽第2室830には、移送エアリフトポンプ832が設けられている。嫌気濾床槽第2室830で処理された後の水は、移送エアリフトポンプ832によって、一定量ずつ好気処理槽840に移送される。排水処理装置800は、いわゆるピークカット機能(流量調整機能とも呼ばれる)を有している。3つの水処理槽810、820、830の水位は、単位時間当たりの流入水量の変動に応じて変動するが、嫌気濾床槽第2室830から好気処理槽840への単位時間当たりの移送水量は、おおよそ一定値に維持される。
【0024】
好気処理槽840は、好気性微生物による好気処理を行う水処理槽である。好気処理槽840は、好気性微生物が付着するための多数の粒状担体(図示せず)を有している。また、好気処理槽840は、好気処理槽840内に空気を供給する散気装置(図示せず)を有している。粒状担体は、散気装置からの空気によって流動する被処理水とともに、好気処理槽840内を流動する。好気性微生物は、空気に含まれる酸素を利用して、被処理水中の有機物を分解する。なお、好気性微生物を保持するための部材は、槽内を流動する担体に限らず、槽内に固定された接触材であってもよい。好気処理槽840で処理されたあとの水は、濾過槽850に移流する。
【0025】
濾過槽850は、好気処理槽840から移流した固形物を、重力沈降および濾過によって、被処理水から分離する水処理槽である。濾過槽850は、濾過のための濾材を有している。本実施例では、多数の粒状担体が濾材として採用されている。なお、濾材は、粒状の担体に限らず、いわゆる嫌気濾床のように水処理槽に固定された濾材であってもよい。
【0026】
なお、本実施例では、第1エアリフトポンプ100によって、濾過槽850から夾雑物除去槽810に水が返送される。これにより、好気処理槽840で生成された硝酸性窒素および亜硝酸性窒素(アンモニア性窒素と酸素とから生成される)を、夾雑物除去槽810、嫌気濾床槽820、830に供給することができる(硝化液循環)。また、濾過槽850によって捕捉された固形物を夾雑物除去槽810に返送することもできる。なお、濾過槽850の濾材によって捕捉された固形物は、後述する洗浄処理(逆洗処理とも呼ばれる)によって濾材から引きはがされて、夾雑物除去槽810に移送される。
【0027】
また、本実施例では、第2エアリフトポンプ846によって、濾過槽850から好気処理槽840に水が返送される。これにより、被処理水は、好気処理槽840と濾過槽850との間を繰り返し循環する。これにより、被処理水中の有機物の分解と、被処理水からの固形物の分離とを促進することができる。
【0028】
濾過槽850で処理されたあとの水は、消毒槽860に移流する。消毒槽860は、被処理水を消毒剤によって消毒する。消毒された水は、放流される。高い位置に被処理水を放流する場合には、放流ポンプ槽を採用してもよい。
【0029】
図2は、好気処理槽840と濾過槽850との構成の概略を示す概略図である。好気処理槽840には、移送エアリフトポンプ832によって、嫌気濾床槽第2室830から被処理水が移送される。移送エアリフトポンプ832は、ブロワ834によって駆動される。
【0030】
好気処理槽840は、散気管842と移流管844と、を有している。好気処理槽840は、散気管842から供給される空気を利用して好気処理を行う(担体の図示は省略されている)。移流管844は、好気処理槽840の上部と、濾過槽850の下部とを連通する。被処理水は、オーバーフローによって、移流管844を通じて、好気処理槽840から濾過槽850に移流する。
【0031】
濾過槽850は、第1エアリフトポンプ100と、第2エアリフトポンプ846と、散気管200L、200Rと、下部ネット302と、上部ネット304と、移流開口400と、給気管250と、を有している。
【0032】
濾過槽850の内部は、下部ネット302と、上部ネット304とによって、上下に並ぶ3つの領域に区切られている。粒状担体300(濾材)は、下部ネット302と上部ネット304とによって挟まれた領域に配置されている。移流管844の流出口844oは、下部ネット302よりも下に配置されている。上部ネット304よりも高い位置には、移流開口400が設けられている。濾過槽850で処理された水は、オーバーフローによって、この移流開口400から消毒槽860(図1)に流出する。なお、流出口844oは、被処理水が流入する流入部に対応する。そして、移流開口400は、被処理水がオーバーフローで流出する流出部に対応する。
【0033】
散気管200L、200Rは、下部ネット302よりも低い位置に配置されている。本実施例では、散気管200L、200Rは、水平方向に延びるパイプであり、その下面には、多数の吐出口200h(「散気部」に対応する)が設けられている。後述するように、散気管200L、200Rは、粒状担体300の洗浄(逆洗)のために利用される。
【0034】
第1エアリフトポンプ100は、縦管100vと横管100hとを有している。縦管100vは、濾過槽850の底部(下部ネット302よりも下の位置)から濾過槽850の上部まで延びる管である。横管100hは、縦管100vの上部から夾雑物除去槽810の上部まで延びている。第1エアリフトポンプ100は、濾過槽850の底部から被処理水と固形物とを吸引して、夾雑物除去槽810(図1)に移送する。なお、縦管100vの途中には、第1エアリフトポンプ100に空気を供給するための吹込口100iが設けられている。
【0035】
吹込口100i、および、散気管200L、200Rのそれぞれは、給気管250に接続されている(給気管250は、吹込口100iおよび散気管200L、200Rと連通している)。給気管250には、ブロワ500が接続される。ブロワ500は、制御装置510によって制御され、ガス(ここでは空気。ただし、空気とは異なるガス(例えば、酸素ガスや窒素ガス)であってもよい)を給気管250に供給する。ブロワ500によって供給された空気は、給気管250を通じて、吹込口100iと散気管200L、200Rとに供給され得る。ただし、図2に示す状態では、第1エアリフトポンプ100の吹込口100iから縦管100vへ空気が出るが、吹込口100iよりも深い位置に配置された散気管200L、200Rからは空気が出ないように、ブロワ500の吐出圧力が設定されている。その結果、第1エアリフトポンプ100は動作するが、散気管200L、200Rは動作しない。なお、硝化液の循環のために、第1エアリフトポンプ100とは異なる移送装置(例えば、他のエアリフトポンプ)を設けても良い。
【0036】
第2エアリフトポンプ846は、濾過槽850の上部ネット304よりも高い位置から被処理水を吸引し、そして、吸引した被処理水を、好気処理槽840に移送する(図2では、詳細な構成の図示は、省略されている)。
【0037】
好気処理槽840には、移送エアリフトポンプ832による嫌気濾床槽第2室830からの水と、第2エアリフトポンプ846による濾過槽850からの水とが、流入する。これらの流入水量(単位時間当たりの水量。以下、単位時間当たりの水量を、単に「水量」とも呼ぶ)と同じ量の水が、移流管844を通じて、好気処理槽840から濾過槽850に移送される。濾過槽850内の水の一部は、第2エアリフトポンプ846によって好気処理槽840に移送される。また、濾過槽850内の水の一部は、第1エアリフトポンプ100によって夾雑物除去槽810に移送される。濾過槽850に流入した水量から、エアリフトポンプ100,846による移送水量を引いた差分に相当する水量の水が、移流開口400を通じて、濾過槽850から消毒槽860に流出する。このような水の移送は、後述する洗浄処理が行われる期間を除いて、定常的に行われる。以下、このような定常的な状態(図2に示す排水処理装置800の状態)を、「通常状態」とも呼ぶ。
【0038】
図3〜図6は、濾過槽850の洗浄処理の概要を示す概略図である。各図3〜図6は、図2と同様の濾過槽850の概略構成を用いて、濾過槽850の状態の変化を示している(なお、一部の要素(例えば、移流管844)の図示は、適宜省略されている)。本実施例では、濾過槽850の洗浄処理が、定期的に(例えば、1日に1回)行われる。本実施例では、洗浄処理によって、濾過槽850の状態が、図3〜図6の順に変化する。
【0039】
本実施例では、洗浄処理の開始に応じて、移送エアリフトポンプ832(図2)による好気処理槽840への移送が停止し、さらに、第2エアリフトポンプ846による濾過槽850から好気処理槽840への移送が停止する。このような制御は、例えば、エアリフトポンプ832、846にガス(空気)を供給するブロワ(例えば、ブロワ834)の制御装置によって、自動的に行われてよい。また、制御装置510が、その制御を行ってよい。例えば、制御装置510が、ブロワ500に加えて、ブロワ834を制御してもよい。
【0040】
制御装置510は、洗浄給気処理を開始する。本実施例では、制御装置510は、予め決められた駆動力でブロワ500を動作させる。この駆動力は、洗浄給気処理の開始時には、エアリフトポンプ100の吹込口100iからは空気が吐出されるが、散気管200L、200Rからは空気が吐出されないように、設定されている。第1エアリフトポンプ100は、被処理水および固形物を濾過槽850から夾雑物除去槽810に移送する。これにより、濾過槽850の水位WL1は、通常時の水位WLs(移流開口400の下端と同じ高さ)よりも低下する。また、散気管200L、200Rからは空気が吐出されないので、第1エアリフトポンプ100は、濾過槽850の内部をかき乱さずに水位WL1を下げることができる。以後、制御装置510は、ブロワ500の同じ制御を、洗浄給気処理が終了するまで、継続する。なお、洗浄処理が行われていない状態(通常状態)では、第1エアリフトポンプ100が駆動しなくてもよい。この場合には、制御装置510は、洗浄処理の開始に応じて、上述した駆動力でのブロワ500の駆動を開始してよい。
【0041】
また、図3中では、給気管250から第1エアリフトポンプ100および散気管200L、200Rに至るガス流路の一部にハッチングが付されている。このハッチングは、水(被処理水および固形物を含む)で満たされている領域を示している。図示するように、給気管250から吹込口100iまでのガス流路からは、水が排除されている。縦管100vの吹込口100iよりも上の部分では、空気と混合された被処理水および固形物が上方に向かって移動し、縦管100vの吹込口100iよりも下の部分では、縦管100vの下端(吸入口)から流入した被処理水および固形物が上方に向かって移動している。
【0042】
給気管250から散気管200L、200Rに至るガス流路においては、その途中の境界部BPまで、空気が供給されている。境界部BPよりも下の部分は、水(被処理水および固形物を含む)で満たされている。図3に示す状態では、境界部BPの高さHm1は、吹込口100iの高さHiと、散気管200L、200Rの吐出口200hの高さHhとの間の高さである。
【0043】
図4は、図3に続く状態を示している。濾過槽850の水位WL2は、図3の状態での水位WL1から、更に低下する。水位の低下に伴って、境界部BPも低下する。図4の状態は、境界部BPが吐出口200hの高さHhまで低下した状態を示している。この状態では、散気管200L、200Rの吐出口200hからも空気が吐出される。
【0044】
図5は、図4に続く状態を示している。散気管200L、200Rからの空気によって、濾過槽850の内部(被処理水)が撹拌される。粒状担体300は、被処理水とともに流動する。これにより、粒状担体300に捕捉されていた固形物が粒状担体300から引きはがされ、そして、引きはがされた固形物を含む被処理水が、第1エアリフトポンプ100によって、夾雑物除去槽810に移送される。
【0045】
また、図5に示すように、散気管200L、200Rからの空気の吐出によって、濾過槽850の水位WL3は、散気管200L、200Rから空気が吐出される直前の状態の水位WL2(図4)から、若干上昇する。ただし、本実施例では、図3で説明したように、予め、水位が低減されている。その結果、水位WL3は、移流開口400の下端よりも下の範囲内に留まる。この結果、粒状担体300から引きはがされた固形物を含む水が移流開口400から流出する可能性を低減できる。
【0046】
図6は、図5に続く状態を示している。濾過槽850の内部(被処理水)の撹拌、および、粒状担体300から引きはがされた固形物の移送が継続する。洗浄給気処理を開始してから所定時間が経過したことに応じて、制御装置510は、洗浄給気処理を終了する。洗浄給気処理の終了に応じて、排水処理装置800の状態は、図2に示す状態(通常状態)に戻る。通常状態への復帰は、制御装置510によって自動的に行われても良い。
【0047】
以上のように、本実施例では、濾過槽850において、散気管200L、200Rの吐出口200hが、第1エアリフトポンプ100の吹込口100iよりも低い位置に配置されている。その結果、ブロワ500の吐出圧(給気管250に供給されるガスの圧力)を、濾過槽850の水位が下がっていない状態において、吹込口100iからガスが吐出されるのには十分な圧力であり、かつ、散気管200L、200Rの吐出口200hからはガスが吐出できない程度の圧力に設定することによって、散気管200L、200Rからガスを出さずに第1エアリフトポンプ100を駆動することができる。これにより、粒状担体300に捕捉された固形物を乱さずに濾過槽850の水位を下げることができる(図3)。さらに、濾過槽850の水位が下がることによって散気管200L、200Rからのガスの吐出を容易に(自動的に)開始することもできる(図4、図5)。すなわち、ブロワ500の吐出圧を、濾過槽850の水位が低減した状態においては、吹込口100iと、散気管200L、200Rの吐出口200hとの両方からガスが吐出されるのに十分な圧力に設定しておけばよい。この結果、濾過槽850の水位を下げた状態で粒状担体300の洗浄を開始することができる。この結果、粒状担体300から引きはがされた固形物を含む水が移流開口400から流出する可能性を低減できる。なお、ブロワ500の駆動力は、水位の低下に応じて散気管200L、200Rによる散気が自動的に開始されるように、予め決定されてよい。
【0048】
また、第1エアリフトポンプ100は、粒状担体300から引きはがされた固形物を含む被処理水を、濾過槽850の外部に移送する(ここでは、夾雑物除去槽810に移送する)。この結果、粒状担体300に過剰な量の固形物が付着して濾過性能が低下する可能性を低減できる。
【0049】
また、このように濾過槽850の処理性能を維持するための構成を、第1エアリフトポンプ100と、散気管200L、200Rとのそれぞれの動作タイミングを個別に制御するためのバルブ等の複雑な構成を用いずに実現することができる。
【0050】
B.エアリフトポンプおよび散気装置の動作と、吐出圧力との関係について:
本願の発明者は、ブロワの吐出圧力と、エアリフトポンプおよび散気装置の動作と、の関係を実験槽を用いて検討した。図7は、実験槽を横から見た概略図である。この実験槽900は、フジクリーン工業株式会社製の浄化槽である「CF型」の5人槽(以下、浄化槽JSと呼ぶ)を用いて、構成されている。具体的には、この浄化槽JSの好気濾床槽を濾過槽(実験槽900)に見立てて、実験が行われている。この実験槽900は、エアリフトポンプ910と、散気管920と、給気管925と、を有している。エアリフトポンプ910は、縦管910vと横管910hとを有している。縦管910vは、実験槽900の底部から実験槽900の上部まで延びている。横管910hは、縦管910vの上部から水平方向に向かって延びている。縦管910vの途中には、エアリフトポンプ910に空気を供給するための吹込口910iが設けられている。エアリフトポンプ910(特に、縦管910v)は、いわゆる呼び径がφ30mmのVP(肉厚)タイプの硬質ポリ塩化ビニル管を用いて構成されている。
【0051】
散気管920は、いわゆる呼び径がφ13mmのVP(肉厚)タイプの硬質ポリ塩化ビニル管を用いて構成された、水平方向に延びるパイプである。散気管920の下面には、多数の吐出口920hが設けられている。吐出口920hの直径は2.5mmであり、吐出口920hの総数は、25個である。
【0052】
給気管925には、吹込口910iおよび散気管920が、それぞれ接続されている(給気管925は、吹込口910iおよび散気管920と連通している)。
【0053】
給気管925には、ブロワ950が接続されている。給気管925とブロワ950との間には、圧力計Pと風量計Fとが設けられている。ブロワ950には、制御装置951が接続されている。制御装置951は、いわゆる位相制御によって、ブロワ950の駆動力(すなわち、吐出圧力)を調整することができる。
【0054】
給気管925と、給気管925と吹込口910iとを接続するパイプと、給気管925と散気管920とを接続するパイプと、給気管925とブロワ950とを接続するパイプとのそれぞれは、いわゆる呼び径がφ13mmのVP(肉厚)タイプの硬質ポリ塩化ビニル管を用いて構成されている。
【0055】
本願の発明者は、実験槽900を用いた実験を、初期水位WLse(槽底部からおよそ1250mm)まで水が満たされた状態で開始した。吹込口910iの高さHieは、初期水位WLseよりもおよそ1100mm低い。散気管920の高さHmeは、吹込口910iの高さHieよりもおよそ70mm低い。本願の発明者は、制御装置951を操作してブロワ950の吐出圧力を種々の値に調整し、そして、各吐出圧力のそれぞれについて、実験を行った。実験では、ブロワ950による給気管925への空気供給を開始してから、散気管920から空気が吐出されるまでの時間が測定された。以下に示す表1は、この実験結果を表している。
【0056】
【表1】

【0057】
表1中の「吐出圧力」は、ブロワ950による給気管925への空気供給の開始時の吐出圧力である。「吐出風量」は、空気供給開始時の風量である。「洗浄前運転の継続時間」は、空気供給の開始から、散気管920から空気が吐出されるまでの時間である。本実験では、いずれの吐出圧力においても、空気供給の開始後すぐにエアリフトポンプ910による揚水が開始された。すなわち、この継続時間の間は、散気管920からの空気の吐出が行われずにエアリフトポンプ910による揚水が行われた。そして、この継続時間の間に水位が初期水位WLseから徐々に低減し、そして、継続時間の経過後、散気管920からの空気の吐出が始まった。なお、水位の低減によって、ブロワ950からの風量は増大するが、ブロワ950の吐出圧力は、空気供給開始時から、ほとんど変化しなかった。
【0058】
表1に示すように、吐出圧力が高いほど、吐出風量は大きくなり、継続時間は短くなる。吐出圧力が11.4kPaである場合には、空気供給の開始から1分間が経過しても、散気管920からの空気の吐出が開始されなかった。吐出圧力が13.0kPaおよび13.2kPaである場合には、エアリフトポンプ910による揚水とほぼ同時に散気管920からの空気の吐出も開始された。
【0059】
このように、エアリフトポンプ910の吹込口910iよりも低い位置に散気管920の吐出口920hを配置することによって、バルブ等の制御を行わずに、容易に、散気管920の駆動タイミングをエアリフトポンプ910の駆動タイミングよりも遅らせることができた。従って、このような構成を採用すれば、図3〜図6で説明したように、濾過槽の水位を下げてから濾材の洗浄を開始することが可能であることを、実験的に確認することができた。なお、ブロワ950の駆動力(吐出圧力)は、実際に利用する濾過槽を用いて実験的に決定すればよい。
【0060】
C.第2実施例:
図8、図9は、洗浄処理の別の実施例を示す概略図である。第2実施例では、第1実施例の図6に示す状態の後に、好気処理槽840から濾過槽850への被処理水の供給が行われる。そして、供給された被処理水を利用して洗浄が継続される。図8、図9は、図3〜図6と同様に、濾過槽850の状態の概略を示している。
【0061】
図8は、図6に続く状態を示している。制御装置510は、ブロワ834(図2)を駆動させることによって、移送エアリフトポンプ832(図1、図2)に、嫌気濾床槽第2室830から好気処理槽840への被処理水の移送を行わせる。これにより、好気処理槽840から濾過槽850に被処理水が移送される。この結果、図8に示すように、濾過槽850の水位が上昇する。なお、制御装置510は、濾過槽850の水位WL5が移流開口400に届くよりも前に、ブロワ834を停止させる。
【0062】
図9は、図8に続く状態を示している。被処理水の移送が停止した後も、濾過槽850の内部(被処理水)の撹拌、および、粒状担体300から引きはがされた固形物を含む被処理水に移送が継続する。
【0063】
以上のように、第2実施例の洗浄処理では、洗浄処理の途中で、濾過槽850の水位が一時的に回復(上昇)する。この結果、被処理水(粒状担体300)を大きい領域で流動させることができるので、粒状担体300の洗浄を効率良く行うことができる。また、第1エアリフトポンプ100の吹込口100iの水深を深くすることができるので、第1エアリフトポンプ100による移送量を増大させることもできる。これにより、より多くの固形物を濾過槽850から移送することができる。これらの結果、濾過槽850の性能低下の可能性を、より適切に低減できる。
【0064】
なお、制御装置510は、洗浄給気処理の開始から所定時間が経過したことに応じてブロワ834(図2)の駆動を開始してよい。この代わりに、濾過槽850内の通常時の水位WLs(図2)よりも低い第1位置に水位センサを配置し、この水位センサの位置よりも水位が低くなったことに応じて、制御装置510がブロワ834の駆動を開始してもよい。いずれの場合も、ブロワ834の駆動の開始後、制御装置510は、所定時間が経過したことに応じてブロワ834を停止させてよい。この代わりに、通常時の水位WLsよりも低く第1位置よりも高い位置に別の水位センサを配置し、この水位センサの位置まで水位が回復したことに応じて、制御装置510がブロワ834の駆動を停止してもよい。
【0065】
なお、制御装置510(図2)と、移送エアリフトポンプ832と、ブロワ834と、好気処理槽840から移流管844を通じて濾過槽850へ至る流路と、の全体は、「濾過槽の水位を上昇させて、第1エアリフトポンプ100による移送量を回復させる水供給部」に対応する。なお、洗浄処理の途中で濾過槽850に被処理水を導入する処理は、制御装置510とは異なる他の制御装置によって制御されてもよい。
【0066】
D.第3実施例:
図10は、洗浄処理におけるブロワ500(図2)の制御パターンの別の実施例を示すタイミングチャートである。上述の第1実施例とは異なり、図10の実施例では、制御装置510は、洗浄給気処理の途中でブロワの吐出圧力制御を変更する(吐出圧力を高くする)。なお、排水処理装置の構成は、図1、図2に示す排水処理装置800の構成と同じである。
【0067】
図10のタイミングチャートには、ブロワ500(図2)の吐出圧力と、第1エアリフトポンプ100による単位時間当たりの移送量と、散気管200L、200Rによる散気の状態と、の変化が示されている(横軸は時間tを表している)。図10の実施例では、制御装置510は、第1時間T1に洗浄給気処理を開始する。これにより、ブロワ500の吐出圧力は第1圧力P1に上昇し、第1エアリフトポンプ100による移送が開始される。その後、水位の低下に応じて、第1エアリフトポンプ100による移送量は徐々に低減する。また、ブロワ500の吐出圧力は、ほとんど変化しない(ただし、風量は増大する(図示せず))。なお、図10の例では、後述する第2時間T2までは、散気管200L、200Rによる散気は開始されない。
【0068】
次の第2時間T2で、制御装置510は、ブロワ500の制御を変更し、吐出圧力を第1圧力P1よりも高い第2圧力P2に上昇させる。これにより、散気管200L、200Rによる散気が開始される。ここで、第1圧力P1よりも高い第2圧力P2で空気の供給が行われるので、第1エアリフトポンプ100による固形物の移送を促進することができる(例えば、図10に示すように、移送量を増大させることができる)。また、散気管200L、200Rからの空気による濾過槽850内の撹拌を促進することもできる。
【0069】
制御装置510は、洗浄給気処理を開始してから所定時間経過した後に、洗浄給気処理を終了する。
【0070】
なお、散気管200L、200Rによる散気の開始のタイミングは、第2時間T2とは異なる他のタイミング(例えば、第2時間T2よりも前のタイミング、あるいは、第2時間T2よりも後のタイミング)であってよい。いずれの場合も、制御装置510は、洗浄給気処理の途中で吐出圧力が上昇するようにブロワ500を制御すればよい。例えば、制御装置510は、洗浄給気処理の開始から所定時間が経過したことに応じて吐出圧力を上昇させてもよい。この所定時間は、水位が低下した後に散気が開始されるように、予め実験的に決定されてよい。また、濾過槽850内の通常時の水位WLs(図2)よりも低い位置(例えば、図4の水位WL2の位置)に水位センサを配置し、この水位センサの位置よりも水位が低くなったことに応じて吐出圧力を上昇させてもよい。なお、第1圧力P1および第2圧力P2も、水位が低下した後に散気が開始されるように、予め実験的に決定されてよい。
【0071】
E.第4実施例:
図11は、洗浄処理におけるブロワ500(図2)の制御パターンの別の実施例を示すタイミングチャートである。図10に示す実施例との際は、第2時間T2の後の第3時間T3で、さらに、吐出圧力を上昇させる点だけである。他の制御は、図10に示す実施例と同じである。
【0072】
図11の制御によれば、制御装置510は、第3時間T3において、第2圧力P2よりも高い第3圧力P3で空気の供給を行うので、濾過槽850内の水位が低下している場合であっても、第1エアリフトポンプ100による固形物の移送を促進することができる(例えば、図11に示すように、移送量を増大させることができる)。また、散気管200L、200Rからの空気による濾過槽850内の撹拌を促進することもできる。
【0073】
なお、吐出圧力が第3圧力P3に変更されるタイミングは、吐出圧力が第2圧力P2に変更されるタイミングと同様に、決定されてよい。例えば、制御装置510は、洗浄給気処理の開始から所定時間が経過したことに応じて吐出圧力を第3圧力P3に上昇させてもよい。この所定時間は、吐出圧力が第2圧力P2に上昇した後に、第1エアリフトポンプ100による移送量が過剰に少なくなるよりも前に吐出圧力が第3圧力P3に上昇するように、予め実験的に決定されてよい。また、濾過槽850内の通常時の水位WLs(図2)よりも低い位置(例えば、図4の水位WL2よりも更に低い位置)に水位センサを配置し、この水位センサの位置よりも水位が低くなったことに応じて吐出圧力を第3圧力P3に上昇させてもよい。なお、第1圧力P1と第2圧力P2と第3圧力P3とのそれぞれは、水位が低下した後に散気が開始されるように、予め実験的に決定されてよい。
【0074】
F.第5実施例:
図12は、排水処理装置の別の実施例を示す概略図である。この排水処理装置1000は、上流から順番に、沈殿分離部(図示せず)と、嫌気処理部1100と、好気濾床部1300と、一時貯留部1230と、消毒部1500と、を有している。好気濾床部1300は、接触曝気部1210と、生物濾過部1220とを含んでいる。
【0075】
排水処理装置1000に流入した排水は、まず、沈殿分離部(図示せず)に流入する。沈殿分離部は、排水に含まれる夾雑物を沈殿分離する。沈殿分離部で夾雑物が分離されたあとの水は、嫌気処理部1100に移流する。嫌気処理部1100は、嫌気濾床1110を有しており、嫌気濾床1110に付着した嫌気性微生物による嫌気処理を行う。嫌気処理された水は、移送エアリフトポンプ1150によって、好気濾床部1300に移送される。
【0076】
好気濾床部1300の接触曝気部1210は、接触材1214と、接触材1214の下方に配置された散気装置1212とを有しており、接触材1214に付着した好気性微生物によって好気処理を行う。好気濾床部1300の上部には、嫌気処理部1100に水を戻す戻し堰1240が設けられている。移送エアリフトポンプ1150によって好気濾床部1300に移送された水のうちの一部は、この戻し堰1240を通じて、嫌気処理部1100に返送される(この理由については、後述する)。
【0077】
好気濾床部1300の生物濾過部1220は、上下をネットに挟まれた領域内に多数の粒状担体1224を有しており、粒状担体1224による濾過処理を行う。生物濾過部1220の下部には、粒状担体1224の洗浄(逆洗とも呼ばれる)を行うための散気管1222が設けられている。また、生物濾過部1220には、逆洗(詳細は後述)によって粒状担体1224から剥がれた固形物を沈殿分離部に移送するための逆洗エアリフトポンプ1250も設けられている。
【0078】
逆洗エアリフトポンプ1250の吸入口1250pは、生物濾過部1220の上部(粒状担体1224が閉じ込められている領域内)に配置されている(吸入口1250pには、粒状担体1224を吸い込まないように、ネットが設けられている)。逆洗エアリフトポンプ1250は、吸入口1250pよりも低い位置に吹込口1250iを配置するために、吸入口1250pから下方に向かって延びる第1管1250aと、第1管1250aの下端に接続されて上方に向かって延びる第2管1250bと、を有している。吹込口1250iは、第2管1250bに設けられている。
【0079】
図示を省略するが、逆洗エアリフトポンプ1250の吹込口1250iと、散気管1222とには、図2の実施例のブロワ500と同様に、共通の給気管(図示省略)を介してブロワが接続されている。そのブロワは、図示しない制御装置によって制御されている。その制御装置は、逆洗を行っていない状態では、そのブロワを停止させて、散気管1222と逆洗エアリフトポンプ1250とにガス(ここでは空気)を供給しない。
【0080】
図12の実施例では、接触曝気部1210の上部と下部とのそれぞれが、生物濾過部1220と連通している。散気装置1212からの散気によって、接触曝気部1210では上に向かって水が流れ、接触曝気部1210の上部から生物濾過部1220の上部に水が移流する。そして、生物濾過部1220では、下に向かって水が流れ、下側のネット上に堆積した粒状担体1224によって水の濾過が行われる。そして、生物濾過部1220の下部から接触曝気部1210の下部に水が移流する。このように、接触曝気部1210と生物濾過部1220との間で繰り返し水が循環することによって、接触曝気部1210と生物濾過部1220とによる処理が繰り返される。
【0081】
生物濾過部1220(好気濾床部1300)の下部は、一時貯留部1230の下部と連通している。生物濾過部1220(好気濾床部1300)で処理された水は、一時貯留部1230に移流する。一時貯留部1230の上部には、消毒部1500が配置されている。消毒部1500には、移流堰1410が設けられている。一時貯留部1230の水は、この移流堰1410を通じて、消毒部1500に移流する。消毒部1500で消毒された水は、排水処理装置1000の外部に放流される。
【0082】
なお、一時貯留部1230には、一時貯留部1230の底部から沈殿分離部に水を移送する循環エアリフトポンプ1420が設けられている。これにより、一時貯留部1230の底部に存在する固形物を沈殿分離部に移送することができる。
【0083】
本実施例の排水処理装置1000は、処理水の水質を安定化させるために、流量調整機能を有している。具体的には、以下の通りである。接触曝気部1210と生物濾過部1220と一時貯留部1230とは連通しているので、これらの3つの処理槽の水位は、ほぼ同じである。移送エアリフトポンプ1150は、継続的に、嫌気処理部1100から好気濾床部1300に水を移送する。循環エアリフトポンプ1420も、継続的に、一時貯留部1230から沈殿分離部に水を移送する。戻し堰1240は、好気濾床部1300から嫌気処理部1100へ水を移送し、移流堰1410は、一時貯留部1230から消毒部1500へ水を移送する。接触曝気部1210と生物濾過部1220と一時貯留部1230との水位は、これらの水の出入りのバランスを保つような、おおよそ一定の水位に維持される。これらにより、最終的には、嫌気処理部1100から好気濾床部1300へは、おおよそ一定量ずつ、水が継続的に移送され、一時貯留部1230から消毒部1500へも、おおよそ一定量ずつ水が継続的に移送される。
【0084】
排水処理装置1000への流入水量の変動が好気濾床部1300に影響を与えることは、沈殿分離部と嫌気処理部1100との水位が変動することによって、抑制される(嫌気処理部1100の水位は、低水位1120Lと高水位1120Hとの間で変動可能である)。
【0085】
図13は、生物濾過部1220の逆洗を示す概略図である。逆洗時には、移送エアリフトポンプ1150と循環エアリフトポンプ1420とによる水の移送が停止し、図示しないブロワが、逆洗エアリフトポンプ1250と散気管1222とにガス(ここでは、空気)を供給する。ここで、図2に示す実施例と同様に、逆洗エアリフトポンプ1250の吹込口1250iは、散気管1222の多数の吐出口1222hよりも高い位置に配置されている。この結果、図3〜図6に示す実施例と同様に、散気管1222による散気が始まる前に逆洗エアリフトポンプ1250による水の移送を開始することができる。そして、好気濾床部1300と一時貯留部1230との水位を下げた後に、散気管1222による散気(洗浄)を開始することができる。これにより、粒状担体1224から剥がれた固形物が、移流堰1410から流出する可能性を低減できる。なお、ブロワの制御方法としては、上述した各実施例(例えば、図1〜図6の実施例や、図10の実施例や、図11の実施例)の制御方法を、本実施例に適用してよい。また、図8、図9に示す実施例のように、洗浄処理の途中で、移送エアリフトポンプ1150を駆動させて、生物濾過部1220の水位を一時的に上昇させてもよい。
【0086】
なお、本実施例においては、接触曝気部1210から生物濾過部1220の上部へ水が移流し、粒状担体1224(「濾材」に対応する)によって濾過された後の水は、一時貯留部1230を通じて移流堰1410に移送され、移流堰1410からオーバーフローで流出する。従って、生物濾過部1220と一時貯留部1230との全体を、濾過槽1400と呼ぶことができる(特許請求の範囲の「濾過槽」に対応する)。そして、生物濾過部1220の上部が、「被処理水が流入する流入部」に対応し、移流堰1410が「被処理水がオーバーフローで流出する流出部」に対応する。このように、濾過槽は、濾材によって濾過された後の水を、濾過槽の下部から、上部に配置された流出部まで移送する移送部(例えば、一時貯留部1230)を、含んでも良い。
【0087】
F.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0088】
変形例1:
濾過槽の構成は、上述の各実施例の構成に限らず、他の種々の構成であってよい。例えば、濾材は、被処理水とともに流動可能な担体に限らず、濾過槽に固定された部材によって構成されていてもよい。また、流入部は、濾過槽の下部に限らず、濾過槽に被処理水を流入させることが可能な任意の位置に配置されてよい。例えば、濾過槽の水面の近傍あるいは水面よりも上に配置されていてもよい。また、通常時(濾過時)に被処理水が濾材を流れる向きは、上向きに限らず、下向きであってよい。例えば、好気処理槽からの被処理水が濾過槽(濾材)の上部に移流し、濾材を上から下に向かって通り抜けた被処理水が、濾過槽(濾材)の下部から好気処理槽へ移流する構成を採用してもよい(すなわち、好気処理槽と濾過槽との間で被処理水が循環する)。この場合も、オーバーフロー(「押し出し流れ」とも呼ばれる)によって被処理水を流出させるように構成された流出部を、濾過槽に適用してよい。また、濾材を上から下に向かって通り抜けた被処理水が、バッフル等の流路を通じて再び上方に移動し、流出部から流出してもよい。
【0089】
また、散気装置は、パイプに吐出口(貫通孔)を設けたものに限らず、他の種々の構成であってよい。例えば、多孔質の材料(「ディフューザ」とも呼ばれる)を用いて散気装置が構成されていてもよい。この場合も、多孔質材料におけるガスが吐出する孔が、「散気部」に対応する。
【0090】
変形例2:
排水処理装置の構成は、上記各実施例における構成に限らず、他の種々の構成であってよい。例えば、好気処理槽840が、流動する担体の代わりに、固定された接触材を有する水処理槽であってもよい。
【0091】
また、処理フローは、図1の実施例や図12の実施例に示すフローに限らず、他の任意のフローであってよい。例えば、好気処理槽は、接触曝気槽や担体流動槽に限らず、任意の好気性処理槽を採用してもよい。例えば、好気処理槽が膜処理槽であってもよい。また、流量調整機構の省略された処理フローが採用されてもよい。また、原水が流入する第1処理槽(例えば、夾雑物除去槽)から、原水の一部を第2処理槽(例えば、担体流動槽)に移送し、第2処理槽で処理された水を再び第1処理槽に戻す工程を含む処理フローを採用してもよい。いずれの場合も、濾過槽のエアリフトポンプによる移送水(被処理水および固形物を含む)の受入先は、濾過槽の外部であればよく、以下のような水処理槽(以下「受入槽」とも呼ぶ)であることが好ましい。すなわち、受入槽から濾過槽へオーバーフローによって直ぐに被処理水が移流する場合(すなわち、濾過槽の水位が、受入槽の水位とほぼ同じに変動する場合)と比べて、受入槽の水位の変動が濾過槽の水位に与える影響が小さくなるように、受入槽が構成あるいは配置されていることが好ましい。例えば、図1に示す実施例では、移送エアリフトポンプ832を境に上流側から下流側への移送水量の変動が抑制されている。従って、受入槽は、この移送エアリフトポンプ832よりも上流側の水処理槽810、820、830のいずれであってもよい。このように移送水量の変動を抑制する装置は、エアリフトポンプに限らず、他の種々の装置であってよい。例えば、水の流れる領域が小さく制限された流路(例えば、小孔や小さい切り欠き(ノッチ)を水が流れるように構成された堰を有する流路)や、いわゆる計量装置を採用してもよい。また、排水処理装置に汚泥貯留槽を設け、この汚泥貯留槽を受入槽として利用してもよい。いずれの場合も、硝化液循環方式を採用する排水処理装置に濾過槽を設ける場合には、硝化液の循環に利用されるエアリフトポンプを、濾過槽の洗浄時(逆洗時)の固形物の移送にも利用することができるので、構成の簡略化の効果が顕著である。
【0092】
また、洗浄処理の途中で濾過槽に水を供給する水供給部は、図8で説明した構成に限らず、他の種々の構成であってよい。例えば、水供給部は、濾過槽の前段の水処理槽(例えば、好気処理槽)の水を濾過槽に移送させるエアリフトポンプであってもよい。
【0093】
変形例3:
上記各実施例において、ブロワを制御してブロワの吐出圧力を変更する方法は、任意の方法であってよい。例えば、制御装置510は、いわゆる位相制御によってブロワを制御してもよい。また、制御装置510は、いわゆるインバータ制御によってブロワを制御してもよい。このように、ブロワに供給される電圧と電流との少なくとも一方を制御する方法を採用すれば、1つのブロワを用いて複数の吐出圧力を実現することができる。なお、ブロワの構成は、電力を動力原として用いる任意の構成であってよく、例えば、電磁ソレノイドを用いてダイアフラムを振動させてガスを吐出する構成、または、モータを用いてポンプ(例えば、ロータリーポンプ)を駆動させてガスを吐出する構成であってよい。いずれの場合も、制御装置510は、予め決められた制御方法でブロワ500を制御して、ブロワの吐出圧力を変更してよい。
【0094】
また、図10、図11で説明した実施例において、第1圧力P1は、ブロワ500の定格圧力よりも低い圧力であることが好ましい。こうすれば、ブロワ500によって供給されるガスの圧力を定格圧力よりも下げることによって洗浄給気処理の前部分(第1時間T1から第2時間T2までの処理)を実現できるので、ブロワ500にかかる負荷が過大となる可能性を低減できる。ここで、ブロワ500の「定格圧力」は、長期間(例えば、1年間)に亘る設計通りの連続動作を想定して予め設定された圧力の基準を意味している。通常は、このような定格圧力は、ブロワ500の取扱説明書または銘板に記載されている。この定格圧力以下の圧力でブロワ500が動作する場合にはブロワ500が長期間に亘って設計通りに動作するように、ブロワ500が設計されている。
【0095】
図10の実施例においては、さらに、第2圧力P2が定格圧力と同じ(あるいは、定格圧力よりも低い圧力)であることが好ましい。こうすれば、ブロワ500の負荷が定格負荷(定格圧力を実現する場合の負荷)を超えないように洗浄給気処理を実現できる。なお、洗浄給気処理が短時間(例えば、10分間以下)で終了する場合には、第2圧力P2が定格圧力を超える圧力であってもよい。
【0096】
図11の実施例においては、さらに、第2圧力P2が定格圧力よりも低い圧力であり、第3圧力P3が定格圧力と同じ(あるいは、定格圧力よりも低い圧力)であることが好ましい。こうすれば、ブロワ500の負荷が定格負荷(定格圧力を実現する場合の負荷)を超えないように洗浄給気処理を実現できる。なお、洗浄給気処理が短時間(例えば、10分間以下)で終了する場合には、第3圧力P3が定格圧力を超える圧力であってもよく、さらに、第2圧力P2が定格圧力を超える圧力であってもよい。
【0097】
また、図10、図11で説明したブロワの制御パターンを、図8、図9で説明した第2実施例に適用してもよい。こうすれば、洗浄処理によって剥離した固形物の移送を、より効果的に促進することができる。なお、ブロワの制御パターンは、一定の制御を継続するパターンと、図10、図11に示す制御パターンとに限らず、他の種々のパターンであってよい。一般には、まずは散気装置からガスが吐出されずにエアリフトポンプが動作し、濾過槽内の水位が低下した後に散気装置からガスが吐出されるような制御パターンが好ましい。例えば、連続的に駆動力が増大する制御パターンを採用してもよい。
【0098】
変形例4:
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図2の制御装置510の機能は、専用の論理回路を有するハードウェア回路によって実現されてもよく、汎用のコンピュータとソフトウェアとによって実現されてもよい。
【0099】
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【符号の説明】
【0100】
100...第1エアリフトポンプ
100h...横管
100i...吹込口
100v...縦管
200L、200R...散気管
200h...吐出口
250...給気管
300...粒状担体
302...下部ネット
304...上部ネット
400...移流開口
500...ブロワ
510...制御装置
800...排水処理装置
810...夾雑物除去槽
820...嫌気濾床槽第1室
830...嫌気濾床槽第2室
832...移送エアリフトポンプ
834...ブロワ
840...好気処理槽
842...散気管
844...移流管
844o...流出口
846...第2エアリフトポンプ
850...濾過槽
860...消毒槽
900...実験槽
910...エアリフトポンプ
910h...横管
910i...吹込口
910v...縦管
920...散気管
920h...吐出口
925...給気管
950...ブロワ
951...制御装置
1000...排水処理装置
1100...嫌気処理部
1110...嫌気濾床
1150...移送エアリフトポンプ
1210...接触曝気部
1212...散気装置
1214...接触材
1220...生物濾過部
1222...散気管
1222h...吐出口
1224...粒状担体
1230...一時貯留部
1240...堰
1250...逆洗エアリフトポンプ
1250a...第1管
1250b...第2管
1250i...吹込口
1250p...吸入口
1300...好気濾床部
1400...濾過槽
1410...移流堰
1420...循環エアリフトポンプ
1500...消毒部
P...圧力計
F...風量計
BP...境界部
JS...浄化槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水処理装置であって、
被処理水から固形物を分離する濾過槽を備え、
前記濾過槽は、
前記被処理水が流入する流入部と、
前記固形物を捕捉するための濾材と、
前記被処理水がオーバーフローで流出する流出部と、
ガス吹込口を有し、前記ガス吹込口から供給されたガスを利用して、前記被処理水および前記固形物を前記濾過槽から前記濾過槽の外部に移送することが可能なエアリフトポンプと、
前記ガス吹込口よりも低い位置に配置された散気部を有する散気装置と、
前記散気装置および前記エアリフトポンプの前記ガス吹込口のそれぞれと連通する給気管と、
を有する、排水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排水処理装置であって、さらに、
前記給気管にガスを供給するガス供給装置と、
前記ガス供給装置を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、
前記給気管に第1圧力でガスを供給する第1モードで前記ガス供給装置を動作させ、前記第1モードでの動作の後に、前記第1圧力よりも高い第2圧力で前記給気管にガスを供給する第2モードで前記ガス供給装置を動作させる機能である洗浄給気機能を有する、
排水処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排水処理装置であって、
前記第1圧力は、前記ガス供給装置の定格圧力よりも低い圧力である、
排水処理装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の排水処理装置であって、
前記制御部の前記洗浄給気機能は、
前記第2モードでの動作の後に、前記第2圧力よりも高い第3圧力で前記給気管にガスを供給する第3モードで前記ガス供給装置を動作させることを含む、
排水処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の排水処理装置であって、さらに、
前記散気装置の前記散気部から吐出されたガスによる被処理水の流動によって前記濾材から引きはがされた前記固形物を前記エアリフトポンプによって移送する際に、前記濾過槽に被処理水を供給することによって、低下した前記濾過槽の水位を上昇させて、前記エアリフトポンプによる移送量を回復させる水供給部を含む、
排水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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