説明

排水溝

【課題】積雪地域における雨水処理についてはコンクリート製U字溝や暗渠排水を施し雨水処理をしてきたが、どちらの施工法も熟練した技術を要し、コンクリート製U字溝を利すると雨水処理施設としては過大となってしまい、暗渠排水を施して雨水処理を行った場合、雨水が地下浸透する可能性を考えると経済的で施工性の高い排水資材と施工法の発明が課題とされていた。
【解決手段】合成樹脂からなる軽量で施工と再利用が容易な排水溝であって、横断面形状は床面左右両側に斜めに立設する斜壁を設け、逆台形状になる流体経路を形成し、形状安定と施工性向上のため斜壁上部の両側に小段を設け、屈曲に対する剛性向上のために小段両端部に直壁を形成し、溝の縦断方向に連続形成されていることを特徴とする排水溝と簡易基礎施工法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用施設周辺及び家屋軒下等の雨水処理に用いることができる排水溝に関する。
【技術背景】
【0002】
従来の農業用施設周辺及び家屋軒下等の雨水処理については雨樋を設置する方法があるが、積雪地域での雨水処理としては適当ではなく、また、コンクリート製のU字溝を設置、又は、暗渠を施す方法も従来行われてきたが、前者は、コンクリート製品のため重量があり、輸送面や施工面での費用が大きいことが問題であり、暗渠を施す方法も間接的な排水方法で費用に対する雨水処理の効果が低いことが問題として挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の雨水処理について、積雪地域においてはコンクリート製U字溝や暗渠排水を施し雨水処理をしてきたが、どちらの施工法も熟練した技術を要し、重機を利用して掘削し、基礎材や被覆材を充填して布設を行わなければならず、コンクリート製U字溝を利用すると雨水処理施設としては過大となってしまい、暗渠排水を利用して雨水処理を行った場合、雨水が地下浸透する可能性を考えると費用対効果が課題とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、合成樹脂からなる軽量で施工と再利用が容易な排水溝であって、横断面形状は床面左右両側に斜めに立設する斜壁を設け、逆台形状になる流体経路を形成し、形状安定と施工性向上のため斜壁上部の両側に小段を設け、屈曲に対する剛性向上のため小段両端部に直壁を形成し、溝の縦断方向に連続形成されていることを特徴とする排水溝。
【0005】
合成樹脂からなる継ぎ手であって、横断面形状は床面左右両側に斜めに立設する斜壁を形成し、内側に粘着テープを貼り付け、溝の縦断方向に排水溝を突合せて継ぎ目の下方より継ぎ手を接着し、排水溝を接続するための継ぎ手を設けてなる請求項1記載の排水溝。
【0006】
合成樹脂からなる直角継ぎ手であって、横断面形状は床面左右両側に斜めに立設する斜壁を設け、溝の縦断方向に向かって直角に折り曲げ形成し、内側に粘着テープを貼り付け、溝の縦断方向端部の下方より接着し、排水溝を直角に接続するための直角継ぎ手を設けてなる請求項1記載の排水溝。
【0007】
合成樹脂からなる止水壁であって、横断面形状は床面左右両側に斜めに立設する斜壁を設け、縦断方向の片側端部に妻壁を形成し、内側に粘着テープを貼り付け、溝の縦断方向端部に下方より接着し、排水溝端部を止水するための止水壁を設けてなる請求項1記載の排水溝。
【0008】
合成樹脂からなる蓋であって、横断面形状はC形のガイドを縦棒として長手方向に2本設け、角パイプを横桟として梯子状に組み立て、溝の縦断方向に連続形成されており、設置した排水溝の小段上面に架渡すことによって、踏み掛け板としての機能と側方からの土圧に対する剛性向上を特徴とする蓋を設けてなる請求項1記載の排水溝。
【発明の効果】
【0009】
本発明の排水溝は農業用施設周辺及び家屋軒下の雨水処理に適した形状を有し、軽量で施工・再利用が容易で、垂木等を利用した簡易基礎施工方法を用いることによって、基礎材及び被覆材などの充填が不要となり、人力施工を可能にすることによって、設置費用の軽減と施工期間を大きく短縮することが可能となり、費用に対する雨水処理効果に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照して本発明の排水溝及び継ぎ手について、さらに詳しく説明する。以下の実施例は本発明を限定することを目的とするものではない。
【0011】
本発明の排水溝の態様を図1に示す。図1は排水溝1を示す斜視図であり、図2は排水溝1の平面図である。排水溝1は床面2左右両側に斜めに立設する斜壁3を設け、横断面が逆台形状となる流体経路を形成し、形状安定と施工性向上のため斜壁3上部の両側に小段4を設け、屈曲に対する剛性向上のため小段4両端部に直壁5を形成し、溝の縦断方向に連続形成されていることを特徴とする構造。
【0012】
本発明の継ぎ手の態様を図3に示す。図3は継ぎ手6を示す斜視図であり、図4は継ぎ手6の平面図である。継ぎ手6は前記、排水溝1を接続するための合成樹脂からなる継ぎ手6であって、横断面形状は床面2左右両側に斜めに立設する斜壁3を形成し、内側に粘着テープを貼り付け、溝の縦断方向に排水溝を突合せて継ぎ目の下方より、継ぎ手を接着し排水溝1を接続する構造。
【0013】
本発明の直角継ぎ手の態様を図5に示す。図5は直角継ぎ手7を示す斜視図であり、図6は直角継ぎ手7の平面図である。直角継ぎ手7は前記、排水溝1を接続するための合成樹脂からなる直角継ぎ手7であって、横断面形状は床面2左右両側に斜めに立設する斜壁3を設け、溝の縦断方向に向かって直角に折り曲げ形成し、内側に粘着テープを貼り付け、溝の縦断方向端部の下方より、接着し排水溝1を直角に接続する構造。
【0014】
本発明の止水壁の態様を図7に示す。図7は止水壁8を示す斜視図であり、図8は止水壁8の平面図である。止水壁8は前記、排水溝1の端部を止水するための合成樹脂からなる止水壁8であって、横断面形状は床面2左右両側に斜めに立設する斜壁3を設け、縦断方向の片側端部に妻壁9を形成し、内側に粘着テープを貼り付け、溝の縦断方向端部に下方より接着し排水溝1端部を止水する構造。
【0015】
本発明の蓋の態様を図9に示す。図9は蓋10を示す斜視図であり、図10は蓋10の平面図である。蓋10は前記、排水溝1の小段4上部に架渡す合成樹脂からなる蓋10であって、形状はC形ガイドを縦棒12として長手方向に2本設け、角パイプを横桟11として梯子状に組み立て、溝の縦断方向に連続形成されており、設置した排水溝1の小段4上部に架渡すことによって、踏み掛け板としての機能と側方からの土圧に対する剛性向上を特徴とする構造。
【0016】
本発明における排水溝1の施工に当たっては簡易基礎施工方法図11を採用し、排水溝1設置縦断方向の両端に木杭13を土中に打ち込み、縦断勾配を設定した高さに垂木14を打ちつけ、その上端部に排水溝1の小段4部下面を載せて、小段4上部よりビス15で垂木14に固定し、継ぎ手6部分を突き合わせて接合し、排水溝両端部に止水壁8を取り付け、排水溝1の流末部分は床面に穿孔して管渠を接続し排水する。さらに本発明の好ましい態様として、設置した排水溝1の小段4上面に10蓋を架渡し排水溝1と共に固定することによって、踏み掛け板の機能を有すると共に、側方からの土圧に対する剛性が向上し、更なる形状安定効果が得られる。
【0017】
さらに本発明を実施する最良の施工事例として、農業用施設での施工断面を図12に示す。農業用施設などのD型ハウス16の多くの構造は17基礎ブロックを埋設し、その上部に支柱18を設け、支柱18の鉛直方向に横桟19を設置し、横桟19に屋根材20を取り付ける形状で構造されており、屋根材20を伝わり落ちた雨水21が排水溝1内に直接流入するように設置することが好ましい。
【0018】
さらに本発明を実施する最良の施工事例として、家屋22軒下での施工断面を図13に示す。家屋22軒下の屋根23部分から垂直方向へ落ちる雨水21が排水溝1内に直接流入するように設置することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例の排水溝を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例の排水溝を示す平面図である。
【図3】本発明の実施例の継ぎ手を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例の継ぎ手を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例の直角継ぎ手を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例の直角継ぎ手を示す平面図である。
【図7】本発明の実施例の止水壁を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例の止水壁を示す平面図である。
【図9】本発明の実施例の蓋を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例の蓋を示す平面図である。
【図11】本発明の排水溝の簡易基礎施工を示す断面図である。
【図12】本発明を実施するための農業用施設での施工断面図である。
【図13】本発明を実施するための家屋軒下での施工断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 排水溝
2 床面
3 斜壁
4 小段
5 直壁
6 継ぎ手
7 直角継ぎ手
8 止水壁
9 妻壁
10 蓋
11 横桟
12 縦棒
13 木杭
14 垂木
15 ビス
16 D型ハウス
17 基礎ブロック
18 支柱
19 横桟
20 屋根材
21 雨水
22 家屋
23 屋根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂からなる軽量で施工と再利用が容易な排水溝であって、横断面形状は床面左右両側に斜めに立設する斜壁を設け、逆台形状となる流体経路を形成し、形状安定と施工性向上のため斜壁上部の両側に小段を設け、屈曲に対する剛性向上のため小段両端部に直壁を形成し、溝の縦断方向に連続形成されていることを特徴とする排水溝。
【請求項2】
合成樹脂からなる継ぎ手であって、横断面形状は床面左右両側に斜めに立設する斜壁を形成し、内側に粘着テープを貼り付け、溝の縦断方向に排水溝を突合せて継ぎ目の下方より継ぎ手を接着し、排水溝を接続するための継ぎ手を設けてなる請求項1記載の排水溝。
【請求項3】
合成樹脂からなる直角継ぎ手であって、横断面形状は床面左右両側に斜めに立設する斜壁を設け、溝の縦断方向に向かって直角に折り曲げ形成し、内側に粘着テープを貼り付け、溝の縦断方向端部の下方より接着し、排水溝を直角に接続するための直角継ぎ手を設けてなる請求項1記載の排水溝。
【請求項4】
合成樹脂からなる止水壁であって、横断面形状は床面左右両側に斜めに立設する斜壁を設け、縦断方向の片側端部に妻壁を形成し、内側に粘着テープを貼り付け、溝の縦断方向端部に下方より接着し、排水溝端部を止水するための止水壁を設けてなる請求項1記載の排水溝。
【請求項5】
合成樹脂からなる蓋であって、横断面形状はC形のガイドを縦棒として長手方向に2本設け、角パイプを横桟として梯子状に組み立て、溝の縦断方向に連続形成されており、設置した排水溝の小段上面に架渡すことによって、踏み掛け板としての機能と側方からの土圧に対する剛性向上を特徴とする蓋を設けてなる請求項1記載の排水溝。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−31616(P2010−31616A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212201(P2008−212201)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508238772)
【Fターム(参考)】