説明

排水装置

【課題】水槽内での泡切れを良くし、給水量を最小にしつつポンプの動作不良を低減できる技術の実現。
【解決手段】本発明に係る排水装置は、底面部11と側壁部12を有し上端部13が開口した水槽3と、前記水槽内の液体を取り込むことで外部から泡沫性液体を吸引し、前記泡沫性液体との混合液を前記水槽内に排水するポンプ2と、を有し、前記水槽の側壁部の一部に他の側壁部より低くなるよう傾斜した泡切り部12aを形成し、前記水槽内に水を供給し続けて前記水槽内の液体の上層部に浮遊する泡部分14を前記泡切り部を介して排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、微生物検査等の際にろ過器に通すためにポンプにより吸引したビールサンプルを排出するための排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、エアレーションにより界面活性剤等の不要成分を泡沫化して系外に排出する技術が記載されている。また、特許文献2には、処理水をエアで撹拌して泡沫化して浮上させた固形物を越流させて分離する構成が記載されている。
【特許文献1】特開平07−000948号公報
【特許文献2】特開2003−305456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、従来はポンプにより吸引したビールサンプルを排出する排水槽の容量が小さいと、排水槽に吸引した時点で直ぐに泡が発生するため、泡がポンプに噛み込んで吸引力が低下してしまう。これを防止するためには水槽への給水量を多くする必要がある。また、水槽が複数ある場合には給水量も水槽の数分だけ増加し、設置スペースの問題も発生する。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、水槽内での泡切れを良くし、給水量を最小にしつつポンプの動作不良を低減できる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る排水装置は、底面部11と側壁部12を有し上端部13が開口した水槽3と、前記水槽内の液体を取り込むことで外部から泡沫性液体を吸引し、前記泡沫性液体との混合液を前記水槽内に排水するポンプ2と、を有し、前記水槽の側壁部の一部に他の側壁部より低くなるよう傾斜した泡切り部12aを形成し、前記水槽内に水を供給し続けて前記水槽内の液体の上層部に浮遊する泡部分14を前記泡切り部を介して排出する。
【0006】
また、好ましくは、前記泡切り部より高く形成され、前記水槽を、前記ポンプが配置される第1槽3aと前記泡切り部が形成された第2槽3bとに仕切る仕切壁部15を設け、前記仕切壁部の下端部と前記底面部とは隙間を持って連通され、前記ポンプと前記第2槽とを配管16で接続し、当該ポンプから直接前記第2槽に前記混合液を排出する。
【0007】
また、好ましくは、前記泡沫性液体は、検査済みのビールサンプルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水槽内での泡切れを良くし、給水量を最小にしつつポンプの動作不良を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0010】
図1は本発明に係る実施形態の排水装置の全体構成を簡略化して示す図である。図2は、本実施形態の排水装置による排水方法を説明する図(a)及び排水装置の外観図(b)である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態の排水装置は、例えば、微生物検査等のためにビールサンプルをろ過器1に通すために、注いだビールサンプルをポンプ2により吸引して排出するものである。ろ過器1はビールサンプルを注ぎ入れるカップ1a、ビールをろ過するメンブラン1b、メンブラン1bを保持するホルダー1c、メンブラン1bと排水路4とを連通又は遮断するバルブ1dからなる。ろ過器1は処理するサンプル数に応じて単数又は複数で使用される。サンプル中に微生物が存在すればメンブラン1b上に捕集されるので、その後培養、染色等の工程を経て微生物の有無が検査される。ろ過器1は外部と隔離されて室内が所定の雰囲気に管理された検査室内に設置され、外部に設置された排水槽3に対して排水路4を介して接続されている。また、排水槽3には、ポンプ2が吸引力を発生するために取り込む水が供給される。
【0012】
本実施形態では、1つの排水槽3に対して1本の排水路4が対応し、1本の排水路4に対して複数のろ過器1が接続されて1系統の排水システムを構成している。
【0013】
排水槽3は、底面部11と側壁部12を有し上端部13が開口した容器を構成している。排水槽3には外部から槽内に供給される水を取り込むことでろ過器1からビールサンプル(泡沫性液体)を吸引し、ビールサンプルと水との混合液を排水槽3内に排水するポンプ2が設置される。
【0014】
排水槽3には、その側壁部12の一部に他の側壁部より低くなるよう傾斜した泡切り部12aが形成されている。泡きり部12aは、その側壁部の上端部を中央に向かうほど低くなるよう傾斜して形成され、中央部が最も低く形成されている。
【0015】
そして、排水槽3内に水を供給しながら、排水槽3内で下層部の混合液と分離して上層部に浮遊する泡部分14が泡切り部12aを介して排出される。
【0016】
このように排水槽3に泡切れ部12aを形成したことにより、排水槽3の上層部に発生する泡部分14を素早く槽外に排出できるので、ポンプ2が泡部分14を噛み込むことによって吸引力が低下することを防止する。また、従来のように排水槽3への給水量を多くする必要がなくなり、例えば、従来の給水量2400m3から800m3程度にまで約67%の給水量の削減が実現できる。
【0017】
[変形例]
図3は、本実施形態の変形例の排水装置を示す図である。
【0018】
図3において、変形例の排水装置は、排水槽3をポンプ2が配置される第1槽3aと泡切り部12aが形成された側壁部12を有する第2槽3bとに仕切る仕切壁部15が設けられている。仕切壁部15は、泡切り部12aが形成されていない側壁部の上端部よりも高く形成されており、仕切壁部15の下端部と底面部11とは隙間を持って連通されている。そして、ポンプ2の排出口と第2槽3bとを排出管16により接続し、ポンプ2から排出管16を介して直接第2槽3bに混合液が排出されるように構成されている。
【0019】
このように排水槽3を仕切壁部15で2槽に仕切り、各槽を下端部のみで連通して構成することで、第2槽3bのみに泡部分14が溜まるので、第1槽3aに設置されたポンプ2が泡部分14を噛み込むことによって吸引力が低下することを防止する。また、第2槽3b内の水は下端部を介して第1槽3aに還流するので給水量の削減も可能となる。更に、排水槽全体に泡が広がることを防止できる。
【0020】
尚、上記各実施形態において、1つの排水槽に対して2つ以上のポンプを設置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上説明した排水装置は、ビールサンプルに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の泡沫性液体の排水にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る実施形態の排水装置の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態の排水装置及び排水方法を説明する図(a)及び排水装置の外観図(b)である。
【図3】本実施形態の変形例の排水装置及び排水方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ろ過器
1a カップ
1b メンブラン
1c ホルダー
1d バルブ
2 ポンプ
3,3a,3b 排水槽
4 排水路
11 底面部
12 側壁部
12a 泡切り部
13 上端部
14 泡部分
15 仕切壁部
16 排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と側壁部を有し上端部が開口した水槽と、
前記水槽内の液体を取り込むことで外部から泡沫性液体を吸引し、前記泡沫性液体との混合液を前記水槽内に排水するポンプと、を有し、
前記水槽の側壁部の一部に他の側壁部より低くなるよう傾斜した泡切り部を形成し、前記水槽内に水を供給し続けて前記水槽内の液体の上層部に浮遊する泡部分を前記泡切り部を介して排出することを特徴とする排水装置。
【請求項2】
前記泡切り部より高く形成され、前記水槽を、前記ポンプが配置される第1槽と前記泡切り部が形成された第2槽とに仕切る仕切壁部を設け、
前記仕切壁部の下端部と前記底面部とは隙間を持って連通され、
前記ポンプと前記第2槽とを配管で接続し、当該ポンプから直接前記第2槽に前記混合液を排出することを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
前記泡沫性液体は、検査済みのビールサンプルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−212797(P2008−212797A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51891(P2007−51891)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】