説明

排水装置

【課題】消費電力を低減できる排水装置を提供する。
【解決手段】ドレンパン40には水が溜まる。ポンプ11は電圧が与えられて回転するモータ12を有し、モータの回転動作によってドレンパン40に溜まった水を吸入して排出する。回転速度取得部50はモータ12の回転速度を取得する。制御部30はモータ12へと第1電圧を印加した状態での回転速度に基づいて把握されるドレンパン40における水の水位が、第1水位基準値以上である、又は超えたときに、モータ12へと第1電圧よりも高い第2電圧を印加して水を排水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水装置に関し、例えば空気調和機のドレン水の排水に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には空気調和機が開示されている。この空気調和機は、熱交換器と、熱交換器に付着した水を回収するドレンパンと、直流モータによって駆動されてドレンパン内のドレン水を排出するドレンポンプと、ドレンポンプから排水されたドレン水が流れるドレン配管とを備えている。
【0003】
かかる空気調和機においては、次の点に着目してドレンパンの水位を把握している。すなわち、ドレンパンに溜まったドレン水の水位が高いほど、モータへと電圧が印加された時点から回転速度が増大して第1所定値に至るまでの時間は長い。一方で、水位が高いほど、電圧の印加が停止された時点から回転速度が低下して第2所定値(例えば零)に至るまでの時間は短い。よって電圧が印加される期間が一定であれば、水位が高いほど、回転速度が第1所定値に至った時点から回転速度が第2所定値に至る時点までの期間は短い。
【0004】
上記の点に鑑みて、特許文献1では、モータへと間欠的に電圧を印加し回転速度に基づいて上記期間を算出して水位を把握している。そして、水位が基準値を超えれば比較的長い期間にわたってモータに電圧を印加することでドレン水を排水している。このように水位が高いときにドレン水の排水を行って、ドレン水の水位が低いときにはドレン水の排水を行わないので消費電力が低減される。また水位センサを用いずに水位を把握しているので高い信頼性で水位を把握できる。
【0005】
なお本発明に関連する技術として特許文献2〜4が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−205857号公報
【特許文献2】特開平6−221596号公報
【特許文献3】特開平5−157329号公報
【特許文献4】特開平5−44952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
排水装置において更に消費電力を低減することが求められていた。
【0008】
そこで、本発明は、消費電力を低減できる排水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる排水装置の第1の態様は、ドレン水が溜まるドレンパン(40)とモータ(12)を有し、前記モータに第1電圧(V1)が印加されたときの前記モータの回転動作によって、前記ドレンパンに溜まった前記ドレン水を吸入して排出するポンプ(10)と、所定の接続部(11c)において前記ポンプに接続され、前記接続部よりも上方に延在し、前記ドレン水を排水するための配管(20)と、前記モータの回転速度を取得する回転速度取得部(50)と、前記第1電圧よりも低い第2電圧(V2)が前記モータへと印加され、且つ前記第2電圧による前記モータの回転動作によっては前記ドレン水が前記配管から排水されない状態での前記回転速度に基づいて把握される前記ドレンパン内の前記ドレン水の水位が、第1水位基準値を超えたときに、前記モータへと前記第1電圧を印加する制御部(30)とを備える。
【0010】
本発明にかかる排水装置の第2の態様は、第1の態様にかかる排水装置であって、前記モータ(12)は直流モータであって、前記制御部(30)は、前記モータへと前記第2電圧を印加した状態での前記回転速度が回転速度基準値を下回ったときに、前記第1電圧を前記モータに印加する。
【0011】
本発明にかかる排水装置の第3の態様は、第1又は第2の態様にかかる排水装置であって、前記制御部(30)は前記モータ(12)への前記第2電圧の印加を間欠的に行う。
【0012】
本発明にかかる排水装置の第4の態様は、第1乃至第3の何れか一つの態様にかかる排水装置であって、前記制御部(30)は、前記モータへと前記第1電圧を印加した状態での前記回転速度に基づいて把握される前記水位が前記第1水位基準値よりも低い第2水位基準値を下回ったときに、前記モータ(12)への前記第1電圧の印加を停止する。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる排水装置の第1の態様によれば、ドレン水を排水する際に用いられる第1電圧よりも低い第2電圧をモータに印加し、この状態での回転速度に基づいて水位を把握している。より小さい電圧で水位を把握しているので、消費電力を低減できる。
【0014】
本発明にかかる排水装置の第2の態様によれば、直流モータにおいて、回転速度は負荷トルクの増大に応じて低減する。一方でドレンパンにおけるドレン水の水位が増大すれば負荷トルクが増大する。したがって、回転速度の値を水位に対応させることができる。例えば回転速度が回転速度基準値と一致するときに水位が第1の水位基準値と一致するように回転速度基準値を採用すれば、回転速度を用いた複雑な演算処理を行うことなく、水位が第1の水位基準値を超えたことを把握できる。
【0015】
本発明にかかる排水装置の第3の態様によれば、第2電圧をモータに印加し続ける場合に比べて、消費電力を低減できる。
【0016】
本発明にかかる排水装置の第4の態様によれば、水位が低くなったときには第2電圧の印加を停止するので、消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】排水装置の概念的な構成の一例を示す図である。
【図2】排水装置を搭載した室内機の概念的な構成の一例を示す図である。
【図3】回転速度と水位との関係の一例を示すグラフである。
【図4】排水装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】排水装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】排水装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】排水装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】排水装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図9】図8で示された回転速度の一部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の実施の形態.
図1に例示するように、排水装置1はポンプ10と制御部30と回転速度取得部50とを備えている。ポンプ10はポンプ本体11とモータ12とを備えている。ポンプ本体11はモータ12によって駆動されてドレンパン40に溜まる水(以下、ドレン水とも呼ぶ)を吸入して排出する機能を有する。図1の例示では、ポンプ本体11は、ハウジング本体11aと、当該ハウジング本体11aの例えば底面に設けられる吸入口11bと、ハウジング本体11aの例えば側面に設けられる排出口11cとを備えている。ハウジング本体11aはモータ12によって駆動される回転羽根を収納する。
【0019】
モータ12は例えば直流モータである。モータ12には後述する制御部30の動作によって電圧が印加される。モータ12は印加された電圧に応じて回転する。かかる回転によってハウジング本体11aに収納された回転羽根が回転し、これによってドレンパン40に溜まった水が吸入口11bから吸い上げられ、排出口11cから排出される。
【0020】
配管20の一端は排出口11cに接続される。換言すれば、配管20は接続部たる排出口11cにおいてポンプ10に接続される。配管20の他端(不図示)は排水装置1の外部へと繋がる。配管20は排出口11cよりも上方に延在する揚程部分21を有している。なお図1の例示では揚程部分21は鉛直方向に沿って延在しているものの、その延在方向が少なくとも鉛直方向成分を有していれば良い。つまり、揚程部分21は鉛直方向に対して傾斜して延在していても良い。
【0021】
また配管20は揚程部分21の上方においてポンプ10とは反対側へと屈曲して、例えば不図示の外部へと繋がる。配管20の一端にはポンプ10から排出されたドレン水が供給される。ドレン水は配管20を流れて外部へと排水される。なお配管20のうち揚程部分21よりも外部側の部分は例えば地面側へと傾斜することが望ましい。これにより、揚程部分21の上部へと汲み上げられた水は重力により外部へと流れることができる。
【0022】
制御部30はモータ制御部31と判定部32とを有している。モータ制御部31はモータ12へと電圧を印加して、モータ12の回転速度を制御する。かかる回転速度の制御は例えば電圧可変機能を有するスイッチング電源回路にモータ12を接続し、モータ制御部31が当該スイッチング電源回路を制御することで実行されてもよい。また例えば直流電源とモータ12との間に直流電圧の供給/停止を選択するスイッチを設け、モータ制御部31がこのスイッチのオン/オフの比率を変えることで、モータ12へと印加される平均的な直流電圧を制御してもよい。またモータ12が例えばブラシレスDCモータであれば、インバータを設け、当該インバータからモータ12に出力される交流電圧を制御することで回転速度を制御してもよい。
【0023】
判定部32はモータ12の回転速度に基づいてドレンパン40における水の水位を把握することができる。判定部32はかかる水位が第1水位基準値H1を超えているかどうかを判定する。具体的な制御部30の動作については後に詳述する。
【0024】
またここでは、制御部30はマイクロコンピュータと記憶装置を含んで構成される。マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップ(換言すれば手順)を実行する。上記記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)、ハードディスク装置などの各種記憶装置の1つ又は複数で構成可能である。当該記憶装置は、各種の情報やデータ等を格納し、またマイクロコンピュータが実行するプログラムを格納し、また、プログラムを実行するための作業領域を提供する。なお、マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップに対応する各種手段として機能するとも把握でき、あるいは、各処理ステップに対応する各種機能を実現するとも把握できる。また、制御部30はこれに限らず、制御部30によって実行される各種手順、あるいは実現される各種手段又は各種機能の一部又は全部をハードウェアで実現しても構わない。
【0025】
回転速度取得部50はモータ12の回転速度を取得する。回転速度取得部50は例えばホール素子センサなどの回転速度センサであってもよい。また例えばモータ12がブラシレスDCモータであって、これをインバータによって駆動する場合であれば、モータ12に流れる相電流を電流検出部により検出し、これに基づいて回転速度を推定しても良い。この場合であれば電流検出部が回転速度取得部50と把握できる。
【0026】
かかる排水装置1は例えば空気調和機の室内機に搭載される。図2に示すように、室内機100は熱交換器101を有している。なお図2は室内機100の模式的な一例を示し、また簡単のために、空気調和に必要な冷媒回路や制御部などは省略して示している。
【0027】
熱交換器101においてその内部を流れる冷媒とその外部を流れる空気との間で熱交換が行われる。空気調和機が例えば冷房運転を行っている場合には、熱交換器101において空気から冷媒へと熱が移動して空気が冷やされる。この冷やされた空気が室内へと供給されて室内の温度が低下する。一方で熱交換器101には冷やされた空気中の水分が凝結して付着する。かかる水分は重力により落下するので、熱交換器101の下方にドレンパン40が配置される。これにより、熱交換器101に付着した水分がドレンパン40に回収される。なお、除湿運転においても熱交換器101には空気中の水分が付着する。よって除湿運転であってもこの水分がドレンパン40に回収される。
【0028】
次に、排水装置1の動作について説明する。まず、モータ12の回転速度に基づいてドレンパン40におけるドレン水の水位を把握することについて説明する。図3は電圧が一定の元でドレンパン40に溜まったドレン水の水位とモータ12の回転速度との間の関係を示している。図3の例示では、モータ12に印加される電圧が電圧V1,V2である場合の当該関係が示されている。電圧V2は電圧V1よりも低い。
【0029】
図3に例示するように、ドレン水の水位が低い範囲ではモータ12の回転速度が一定である。この範囲においてはドレン水が回転羽根に触れずにポンプ10が空転しているからである。一方、ポンプ10がドレン水を吸入して排出する範囲では、ドレンパン40におけるドレン水の水位が高いほど回転速度は低下する。換言すれば、この範囲では回転速度と水位との間には負の相関関係がある。これはモータ12に作用する負荷トルクの増大に伴って、モータ12の回転速度が低下することに関連する。つまり、ドレンパン40における水位が高いほどモータ12に作用する負荷トルクが増大するため、水位が高いほど回転速度が低下するのである。
【0030】
以上のように、ドレン水の水位と回転速度との間には負の相関関係があり、この関係に基づいて回転速度から水位を把握することができる。
【0031】
一方で上述のようにして回転速度に基づいて水位を把握するときには、ドレン水が揚程部分21を超えて流れる必要はない。換言すれば、ドレン水が配管20から排水される必要はない。したがって本実施の形態では、水位を把握するときに用いる電圧として、ポンプ10がドレン水を揚程部分21の最上部まで汲み上げることができない、即ちドレン水が配管20から排水されない程度の電圧V2を採用する。なお当然に電圧V2はドレン水を外部に排出するときに用いられる電圧V1よりも小さい。
【0032】
以下、排水装置1の動作のより詳細な一例について説明する。図4は排水装置1の動作の一例を示すフローチャートであり、図5はタイミングチャートの一例を示している。なおここでは排水装置1が空気調和機に搭載されており、空気調和機は冷房運転或いは除湿運転を行っていると仮定する。このとき、熱交換器101において空気中に水分が付着し、この水分がドレンパン40に回収される。よって、排水装置1がドレンパン40のドレン水を外部へと排水しなければドレンパン40の水位は時間の経過とともに増大する。
【0033】
図4に例示するように、ステップS1にてモータ制御部31は電圧V2をモータ12へと印加する。次にステップS2にて回転速度取得部50はモータ12の回転速度を取得する。つまり、モータ12へと電圧V2を印加した状態での回転速度が取得される。ポンプ10が空転しない程度にドレン水がドレンパン40に溜まっていれば、図5に例示するように、回転速度は水位が増大するに伴って低下する。なお図3の例示では回転速度は水位に対して反比例して低減しているが、図5の例示では回転速度は水位に比例して低減している。回転速度がどのように低減するかは、モータ12の特性によって決定される事項であり、本願ではいずれの特性であっても適用可能である。
【0034】
次にステップS3にて、判定部32は取得された回転速度に基づいて把握される水位が第1水位基準値H1以上であるかどうか、又は超えたかどうかを判定する。より詳細には、例えば判定部32は回転速度が第1回転速度基準値ω1以下であるかどうか、又は下回ったかどうかを判定する。なお、回転速度が第1回転速度基準値ω1に一致するときに水位が第1水位基準値H1に一致する。また以下では、水位が第1水位基準値H1以上である又は超えることを水位が第1水位基準値H1を超えると呼び、回転速度が第1回転速度基準値以下である又は下回ることを回転速度が第1回転速度基準値ω1を下回ると呼ぶ。この点は所定の値と他の基準値との比較にも適用される。
【0035】
水位が基準値H1を超えていない、つまり回転速度が基準値ω1以下でない、又は下回っていないと判定されると、再びステップS2が実行される。水位が基準値H1を超えている、つまり回転速度が基準値ω1を下回っていると判定されると、ステップS4にてモータ制御部12は電圧V2よりも高い電圧V1をモータ12へと印加する。これにより、モータ12の回転速度が増大して例えば回転速度ω3に至る(図3も参照)。電圧V1がモータ12に印加されるので、ポンプ10はドレン水を外部に排出する。かかる排水に伴ってドレンパン40におけるドレン水の水位が低下する。換言すれば、冷房運転又は除湿運転によるドレン水のドレンパン40への供給量よりも、配管20を流れるドレン水の流量が大きくなるように、電圧V1が設定される。
【0036】
以上のように、ドレン水を排水するときには電圧V1がモータ12に印加される。一方で水位を把握するときには電圧V1よりも低い電圧V2がモータ12に印加される。このように低い電圧を用いて水位を把握しているので、消費電力を低減できる。
【0037】
また図4の例示では、ステップS4の実行後、ステップS5にて回転速度取得部50はモータ12の回転速度を取得している。つまりモータ12へと電圧V1を印加した状態での回転速度が取得される。この状態ではドレン水が排水されて水位が低下しているので、水位の低下に伴って回転速度は増大する(図3,5も参照)。
【0038】
次にステップS6にて判定部32は取得された回転速度に基づいて水位が第2水位基準値H2を下回ったかどうかを判定する。第2水位基準値H2はドレン水の排水運転を一旦停止するための基準値である。上記判定は、例えば判定部32回転速度が第2回転速度基準値ω2を超えたかどうかを判定することで実行される。なお、回転速度が第2回転速度基準値ω2に一致するときに水位が第1水位基準値H2に一致する。
【0039】
水位が第2水位基準値H2を下回っていない、つまり回転速度が第2回転速度基準値ω2を超えていないと判定されると、再びステップS5が実行される。水位が第2水位基準値H2を下回っている、つまり回転速度が第2回転速度基準値ω2を超えていると判定されると、ステップS7にてモータ制御部12はモータ12への電圧V1の印加を停止する。これに伴って回転速度は低下する。次に、再びステップS1を実行する。このとき水位が第1水位基準値H1以下であれば回転速度は第1回転速度基準値ω1よりも大きい回転速度ω4に至る。
【0040】
以上のように、水位がドレン水の排水運転を必要としない第2水位基準値H2まで低下すれば電圧V1の印加が停止されるので、消費電力を低減できる。しかも、再びステップS1を実行することで水位を検出することができる。よって、再び水位が第1水位基準値H2を超えればモータ12に電圧V1が印加されてドレン水が外部に排水される(図5も参照)。
【0041】
また水位センサを用いることなく回転速度から水位を把握しているので、高い信頼性で水位を把握することができる。しかも、負荷トルクと回転速度との間の負の相関関係を利用して回転速度から水位を把握しているので、例えば特許文献1に比べて簡単に水位を把握できる。
【0042】
なお制御部30は例えば空気調和機の運転停止をトリガとして、ドレン水の排水を完了するのに十分な一定期間にわたってモータ12に電圧V1を印加し、その後、動作を終了するとよい。
【0043】
第2の実施の形態.
第1の実施の形態では、ドレン水の水位を検出する期間において電圧V2がモータ12に印加され続けている。第2の実施の形態では、図6に例示するように、ドレン水の水位を検出する期間において、電圧V2が間欠的にモータ12に印加される。換言すると、モータ制御部31はモータ12への電圧V2の印加と、モータ12への電圧の印加の停止とを交互に繰り返す。
【0044】
モータ12へと電圧V2が印加されるときにはモータ12の回転速度は水位に応じた値を採る。したがって、例えば第1の実施の形態で述べたように判定部32はモータ12の回転速度が第1回転速度基準値を下回ったか否かを判定する。これにより、水位が第1水位基準値H1を超えたかどうかを判定できる。
【0045】
一方で、モータ12への電圧の印加が停止されるときには回転速度は水位とは無関係に低下する。図6の例示では回転速度は0に至る。このとき、回転速度は第1回転速度基準値ω1を下回る。したがって、判定部32はモータ12への電圧の印加が停止されているときには判定を行わないことが望ましい。これにより、モータ12に電圧が印加されないことに起因した回転速度の低下を排除してより適切に水位を判定することができる。
【0046】
なお図6の例示とは異なって、実際にはモータ12に電圧V2が印加されると、回転速度は時間の経過を伴って増大する。したがって、モータ12に電圧V2が印加された直後においては回転速度が第1回転速度基準値ω1以下となり得る。よって判定部32は電圧V2が印加された時点から所定期間t1の経過を待って、回転速度が第1回転速度基準値ω1以下であるかどうかの判定を行うことが望ましい。なお、かかる所定期間t1は電圧V2が印加されてから停止されるまでの期間よりも短い期間である。
【0047】
また図6の例示とは異なって、実際にはモータ12への電圧の印加が停止されると、回転速度は時間の経過を伴って低下する。よって、電圧の印加を停止する停止期間を調整することで、この停止期間においてモータ12の回転速度を第1回転速度基準値ω1以上に維持しえる。この場合は、判定部32は常に判定を行っても良い。
【0048】
以上のように、水位を検出する期間において、電圧V2が間欠的にモータ12に印加されているので、第1の実施の形態に比して更に消費電力を低減することができる。
【0049】
図7は排水装置1の動作の一例を示すフローチャートである。なお図7の例示では、モータ12への電圧の印加を停止しているときには判定を行わない第1処理と、モータ12へと電圧を印加した時点から所定期間の経過を待って判定を行う第2処理とが設けられている。ここでは簡単のために、図4に示すフローチャートとの相違点のみ説明する。
【0050】
ステップS1の次のステップS11にて、制御部30はステップS1の実行から所定期間t1が経過したかどうかを判定する。かかる判定は例えば周知のタイマ回路を用いて実行される。所定期間t1が経過していなければ再びステップS11を実行する。所定期間t1が経過していればステップS2を実行する。これによって、電圧V2が印加された時点から所定期間t1の経過を待ってステップS2が実行される。つまりステップS11は第2処理に相当する。
【0051】
またステップS3にて、取得された回転速度が第1回転速度基準値ω1を下回っていなければステップS8にて制御部30はステップS1の実行から所定期間t2が経過しているかどうかを判定する。所定期間t2(>所定期間t1)が経過していなければ再びステップS2を実行する。所定期間t2が経過していれば、ステップS9にてモータ制御部31はモータ12への電圧の印加を停止する。なおステップS3はステップS9,S10が実行されている期間では実行されない。つまり、ステップS9,S10は第1処理に相当する。
【0052】
次にステップS10にて制御部30はステップS9の実行から所定期間t3を経過したかどうかを判定する。所定期間t3が経過していなければ再びステップS9を実行する。所定期間t3が経過していれば再びステップS1を実行する。
【0053】
このような動作によって、所定期間t2において電圧V2がモータ12に印加され、所定期間t3においてモータ12への電圧の印加が停止される。
【0054】
変形例.
第1及び第2の実施の形態においては、モータ2の回転速度が第1回転速度基準値ω1を下回ったことを以って水位が第1水位基準値H1を超えたと判定していた。ここでは特許文献1に記載の技術を適用する。詳細な判定方法は特許文献1に記載されているのでここではその概要について簡単に説明する。
【0055】
図8に例示するように、電圧V2を間欠的にモータ12に印加する。電圧V2が印加される期間T1は一定である。かかる電圧V2の印加によってモータ12の回転速度は時間の経過とともに上昇して値Nに至る。そして、電圧V2の印加から所定期間T1が経過したときにモータ12への電圧の印加が停止される。かかる停止によってモータ12の回転速度が時間の経過とともに減少して0に至る。
【0056】
図9も参照して、回転速度が上昇して値n0に至る時点から回転速度が低下してn2に至る時点までの間の期間T3を算出する。水位が高いときには、電圧V2が印加されてから回転速度が値n0に至るまでの期間が長く、電圧V2の印加が停止されてから回転速度が0に至るまでの期間が短い。しかも期間T1は一定であるので、水位が高いほど期間T3は短い。したがって、期間T3を用いて水位を把握できる。
【0057】
そして期間T3が所定値を下回ったときにモータ制御部32は電圧V1を所定期間T10にわたってモータ12に印加する。所定期間T10においてドレン水が外部へと排水される。なお、ここではモータ12として交流モータを採用しているので、電圧の高低による回転速度の変化は小さい。よって図8の例示では電圧V1が印加されたときのモータ12の回転速度は値Nに至っている。
【0058】
所定期間T10を経過すれば再び電圧V2を間欠的にモータ12に印加し、上述した方法で水位を把握する。かかる変形例においても、水位を把握する期間においては比較的小さい電圧V2がモータ12に印加されるので、消費電力を低減することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 ドレン水排水装置
10 ポンプ
12 モータ
20 配管
31 モータ制御部
32 判定部
40 ドレンパン
50 回転速度取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレン水が溜まるドレンパン(40)と
モータ(12)を有し、前記モータに第1電圧(V1)が印加されたときの前記モータの回転動作によって、前記ドレンパンに溜まった前記ドレン水を吸入して排出するポンプ(10)と、
所定の接続部(11c)において前記ポンプに接続され、前記接続部よりも上方に延在し、前記ドレン水を排水するための配管(20)と、
前記モータの回転速度を取得する回転速度取得部(50)と、
前記第1電圧よりも低い第2電圧(V2)が前記モータへと印加され、且つ前記第2電圧による前記モータの回転動作によっては前記ドレン水が前記配管から排水されない状態での前記回転速度に基づいて把握される前記ドレンパン内の前記ドレン水の水位が、第1水位基準値以上であるとき、又は超えたときに、前記モータへと前記第1電圧を印加する制御部(30)と
を備える、排水装置。
【請求項2】
前記モータ(12)は直流モータであって、
前記制御部(30)は、前記モータへと前記第2電圧を印加した状態での前記回転速度が回転速度基準値以下であるとき、又は下回ったときに、前記第1電圧を前記モータに印加する、請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
前記制御部(30)は前記モータ(12)への前記第2電圧の印加を間欠的に行う、請求項1又は2に記載の排水装置。
【請求項4】
前記制御部(30)は、前記モータへと前記第1電圧を印加した状態での前記回転速度に基づいて把握される前記水位が前記第1水位基準値よりも低い第2水位基準値以下である、又は下回ったときに、前記モータ(12)への前記第1電圧の印加を停止する、請求項1乃至3の何れか一つに記載の排水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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