説明

排水設備帯を歩道の下に移した道路

【課題】車道の側端に排水設備、さらにその外側に防護柵、歩道が配置された道路構造では、道路全体の幅員に制約がある場合、歩道の幅が狭められることになる。道路全体の幅員の制約を守りながら、歩道幅を確保できる方法を提案する。
【解決手段】既存の排水設備を、既存の排水設備より幅の狭い、雨水通過用開口部19を有する自動車進入防止帯20に変更する。歩道内に歩道排水溝23を設置し、雨水通過用開口部19を通過した雨水を歩道排水溝23に導く。既存の排水設備よりも幅の狭い自動車進入防止帯20に変更することで、その分、歩道の幅を広くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い道路が両側に山がある狭い山峡に入ったが、それまでの車線幅、中央帯幅、排水設備帯輻、等の仕様を変えることなく道路を作った結果、第1図に見る如く、防護柵つき歩道の幅14が極端に狭められ、歩行者1名の通行がやっととなり、ハミダサレタ人(たいていは女子中学生)は歩道利用者防護柵7の外側の排水設備帯4または路肩3の上を、危険承知で通行せざるをえなくなったケースの解決策に関する。
私はここ数年、関係の役所に出向いて、歩道の改善についていろいろ御願いしてきたが、法令を楯に反対されることが多い。幸か不幸か、道路建設の歴史は古く、法令を楯に反対されたことに対しても“大抵”その逆の“既成事実”が現実の道路に転がっている。
歩道が狭い 原因は、歩行者の動作から計算された法定寸法は“名目歩道幅”に過ぎず、割り込んで設置された各種路上施設があるので、ヒトが歩ける“歩道幅”は半減していることであり、道路全体の区割り時に、各種路上施設用地を入れてない こと即ち、法令・運用の不備にあるので、道理 をもとに当局と新しい技術の適用を交渉する 技術分野でもある ことを付言しておく。
【背景技術】
【0002】
私はここ数年来、児童にのびのびと野外で遊べる環境を与えること、中でも、肩を組んで歌を歌ったり、ふざけ合ったりしながら通行できる歩道を日常の生活環境の中に実現することは次代の日本民族に必要なことだと考えて、歩道の“小さな改善”を進めてきた。
車道の充実・高速化に比べ、歩道内には狭くて肩を組んで歩くところがなく、歩道の外を歩くと高速重量車両の脅威に小さな魂が苛まれる日常である。
本発明の背景技術は、普通の歩道レイアウト策定技術であろうが、実情は ▲1▼狭い歩道内のみに 自動車用管制機器、自動車用標識柱、照明灯柱、電柱、植生 等の路上施設を勝手気侭に設置する悪習(車道内に自動車用路上施設は設置してない) ▲2▼安全のためと称して実はヒトの安全ではなく、先ず自動車が安全になればヒトも安全になるから狭い歩道から25cmの予備空間を先取りする という建築限界ルールなど、歩道利用者にとってマイナスの技術が充満している。
注 建築限界ルールについては、神奈川県と東京都では相当異なる。神奈川の場合はムダ な25cmルールは使ってない。東京都では、第1図の5,6,7の路上設置物の配 置方式であるが、神奈川県では「土木教程選書 道路工学 鹿島出版会刊 のP86 図6−6」の設置方式でごく常識的なものである。東京都方式では路上施設帯は約 80cmの幅、神奈川方式では約60cmの幅で済み、それだけ歩道幅を広げること ができる。
背景技術としては、歩道幅の大幅不足 の結果、現実の脅威を“モノ言わぬ”子供に継続的・恒久的に押し付けている状況なので、法令・運用の整備とか、標準化などというまえに、目の前の道路要素を工夫・組み合わせて、一刻も早く、道を広げる新しい技術 が求められている。
本発明はいろいろな改善活動の試行錯誤の結果、生まれたものであって、決して高度の発明ではないかもしれないが、僅かな幅でも拡幅できれば安全的効果が期待できる。
【発明の開示】

【防護柵つき歩道の道路構造の概要】
【0003】
以下、東京都町田市の防護柵つき歩道の道路構造の概要を説明する。
歩道の構成要素は次のとおりである。
第1図は歩道の現状構造を示す断面図である。本明細書では、現在・または改善前の歩道を“旧歩道”、改善後の歩道を“新歩道”と呼ぶこともある。
第1図において、1は中央帯、2は車線、3は路肩、4は排水設備帯で斜面になっている。5は歩道縁石の端面で25cmの高さが決められている。6は歩道面の一部であり、25cmの幅を持っているが、ここを歩くことはできない。5,6の25cmの角は道路構造令の“建築限界規制”で、この上に建造物を作ることを禁止されている。
7は歩道利用者防護柵(の柱)、8、9はその横木、10は歩道内に設置してある交通標識の柱、11は歩道内に設置してある電柱の柱、12は歩道内に設置してある照明灯の柱である。13はこれらの路上施設が設置されている区域で、旧路上施設帯と呼ぶべき区域であるが、旧歩道では路上施設を勝手気侭に分散設置しているので、施設“帯”というよりも、歩道利用者に対する“障害物拡散設置域”といってもいいくらいである。(現在は少し改善)
第2図は本発明による、改善後の歩道の構造を示す断面図である。
1は中央帯、2は車線、17は新路肩で、路肩の幅は第1図3と比べて、排水設備帯4を左端の歩道25の地下に21,22、23として移したために、細くなっている。
23はU字型の歩道排水溝、21は歩道排水溝の蓋(歩道面の1部でもある)、22は歩道排水溝の蓋に開けた縦穴で、雨水落下のため複数の穴を開けている。21,22についてはグレーチング蓋または街渠を用いることもある。
24は新路上施設帯であるが、第1図のそれよりも、細く、コンパクトにまとめている。新旧歩道の最大の違いは、旧歩道は車線のレベルから嵩上げした歩道であり、新歩道は車線のレベルからやや下げたレベルの歩道である ことである。
第1図 5の面,6の面による、建築限界保全の仕組みの代りに、第2図では自動車侵入防止帯20を設けている。
第3図は第2図の平面図、第4図は自動車侵入防止帯20の側面図である。
自動車侵入防止帯20は、第3図、第4図に示す、路面からの高さ25cm、幅25cm、長さ1mの自動車侵入防止ブロック18を連続して繋いで、路面に頑丈に据付け、自動車の侵入を防止するものである。
各ブロックには、車線、路肩から流れてくる雨水を妨害しないように底面に幅広の開口部19を有している。各ブロックの長さは1mに限らず、工事に都合のよい長さでよい。
第2図、第4図の19は雨水が車線から歩道内の歩道排水溝23に流れて行くための、自動車侵入防止ブロック18の雨水通過用開口部である。
当然のことであるが、歩道利用者防護柵7の基礎部分にも、車線、路肩からの雨水の流れを妨害しないように、横幅の広い水路が形成されていることが必要であるが、第3図7の歩道利用者防護柵の基礎部分は広い間隔を置いた柱7なので、その必要はない。
15は歩道の端を示す。
【発明が解決しようとする課題】

【歩道の拡張の目標値】
【0004】
一口に言って、車道には法令で定める最低限度の車線幅は整っているが、歩道には法令の最低限度の歩道輻(例えば2m)は初めからない。路上施設を置くところを初めから計画してないので、ヒトが歩ける歩道幅の差引き計算ができないのだ。
道路構造令では歩道の幅は2m以上、自転車歩行者道では3m以上と一応決められているが、現実には自転車歩行者道でも路上施設帯80cmを含めて1.5mしか与えられてない。
「昭和58年版道路構造令の解説と運用」によると、歩道設計の基礎データとして、道路占有幅を 自転車 1.0m、ヒト 0.75m、車いす 0.9m としている。
歩道14の幅70cmではヒト1名の通行がやっとで、これでヒトと自転車が仲良く歩道内を通行できる訳がない。
本発明者は、歩道は少なくとも、(ヒト2名)または(ヒト1名+自転車1台)の通行ができなくてはならない。このための歩道14の幅は少なくとも1.5mが必要だと考える。
【歩道幅の現状】
【0005】
第1図で歩道幅の拡大に関係ある、各構成要素の大きさは次のとおりである。
(イ)旧名目歩道16 幅1.5m
= (ロ)ヒトが歩行できる部分(旧歩道14)の幅70cm
+ (ハ)歩道利用者防護柵7の厚さ 10cm
+ (ニ)建築限界規制に基づく幅25cmのスペース帯6
+ (ホ)13の幅から(ハ)(ニ)を引いた旧路上施設帯に、それ 以外の旧路上施設物を雑然と置いた設置幅 45cm
旧歩道では、名目歩道幅1.5mといっても、実際にヒトが歩行できる部分は 狭い所では、70cm幅しかない。実際にヒトが歩行できる部分(70cmの方)を旧歩道14と呼び、ヒトが歩行できない部分も含めた歩道部全体(1.5mの方)を旧名目歩道16と呼びたい。第1図の示す旧歩道の状況を纏めると、次のようになる。
名目歩道幅: 1.5m
路上施設帯幅:80cm
歩道幅 : 70cm
【歩道幅拡大のための問題点】
【0006】
(0005)の式から(ロ)を左辺、(イ)を右辺に移すと第1図の旧歩道14の幅は、
(ロ)=(イ)−(ハ)−(ニ)−(ホ)=70cm と計算できる。
(ハ)(ニ)(ホ)の合計を旧路上施設帯13の幅という。
(ハ)(ニ)(ホ)の一部でも小さくすることができれば、歩道幅を拡張できるが、強度上の理由、法令上の理由、実際の大きさからの理由で、旧路上施設帯13の幅は80cmが実情で、歩道幅(ロ)を70cm以上に広げることは、なかなか困難である。
【路上施設帯圧縮の問題点と課題】
【0007】
歩道問題解決の手始めとして、“招かざる客” 旧路上施設帯13の幅をどこまで圧縮できるか の検討をした。
課題1 個々の路上施設の設置面積を小さくし、設置場所の広がりを小さくして旧路上施設帯13の幅を狭める
解決手段1.旧路上施設の改善・整理整頓と新路上施設帯構想の決定
歩道幅を拡大するには、先ず、歩道内に乱雑に設置されている個々の旧路上施設を、最小の据付け寸法になるように改善し、新路上施設帯が最小の幅になるように設置方法にも工夫して、構想を纏めなければならない。
該当する路上施設は 概ね次のものがある。
歩道維持・歩道利用者保護の施設:歩道利用者防護柵7、自動車侵入防止帯20
警察関係の施設:交通管制用機器とその柱、交通標識の柱10、照明灯の柱12、交通 安全看板
自治体の施設:ミラー柱、交通安全運動の立て看板、植生
通信・電力会社の施設:各種電柱11
本発明者はこれまで、旧路上施設の改善・整理整頓として、交通安全用標識の据付け用ブロックの偏心化、信号機の外部配線保護管の歩道への突出部の縮小、スピード感知機の歩道内無秩序設置の改善、交通安全週間看板の歩道内無秩序設置の改善 等個々の路上施設を“いいかげんな感覚で”歩道内に設置している当局に交渉し、“その都度、その路上施設に関し”、5cm〜10cmのスペースだけ、有効歩道幅を改善してきた。
この体験により、(0006)で述べた、旧路上施設帯((ハ)(ニ)(ホ)の合計幅)80cmを新路上施設帯24では65cmに押さえるメドがついた。
この作業は、“その都度、その路上施設に限って、5cm”の細かい積上げであるから、いつもうまく行く とは限らない。しかし(0008)で述べる“据付上の工夫”も併用すれば、新路上施設帯24の幅として、65cmをとれば 何とかなるし 何とかする と思うのである。
【0008】
次に、新路上施設帯構想の決定であるが、第2図で、新路上施設帯24内に設置するものは、車線側に自動車侵入防止帯20(自動車侵入防止ブロック18をつないで据付けたもので、幅25cm)、歩道側に歩道利用者防護柵7(幅10cm)、各種電柱11(最大で直径40cm)、その他標識柱10、照明灯柱12、看板などがある。主要なものである、自動車侵入防止帯幅25cmと最大直径の電柱40cmだけを合計した、65cm幅を新路上施設帯24の幅の目標とする。歩道側の歩道利用者防護柵7は“直径40cmの電柱の設置場所では第3図に示す如く、「柵7を切り離して」”切れたところに電柱11を設置する ことにより、防護柵7はあっても太い電柱11を設置した部分の路上施設帯の幅が65cm以上になることを避ける、といった、据付け上の工夫も行なった。
なお、町田市でも、上記した 路上施設を歩道の車線側に帯状に設置した歩道 がいくつかあり、植生のみは幅が広くとってあるが、贅沢を言わなければ、各種の路上施設はいずれも、新路上施設帯に正味65cmの幅があれば納まると思われる。
細細とした標識柱、照明灯柱などは、自動車侵入防止帯20と歩道利用者防護柵7の間に設置し、全路上施設を“何が何でも”65cmの新路上施設帯24の間に詰め込む。
これにより、努力目標ではあるが、路上施設帯の幅は旧路上施設帯80cmが、新路上施設帯65cmと、15cmだけ 改善できる予定である。
しかし、
【0004】
で述べた「歩道は少なくとも、(ヒト2名)または(ヒト1名+自転車1台)の通行ができなくてはならない」目標値(歩道幅1.5m−名目歩道幅ではない)にはとても及ばないので、すべての道路要素を抜本的に見なおし、更に大きい改善をする必要に迫られた。
【新しい課題】
【0009】
ここで本発明者は 歩道幅を広げるには、第1図で車線の外側にある排水設備帯4を、第2図21,22、23に示す如く、歩道25の地下に移設して二階建てとし(地下:排水設備 地上:歩道)、移設した排水設備帯4の跡地の幅(40〜50cm)だけ、新路上施設帯を、第2図24の如く路肩17に直接、接するように寄せることにより、名目歩道26の幅ひいては新歩道25の幅を広げることができないかどうか に着目した。
課題2:排水設備帯を、歩道の地下に移設する
道路の各要素はそれぞれに割り当てられた土地を使って機能を果たしているが、歩道と排水設備帯という二つの機能 は一つの場所で実行できる筈である。
新歩道25は地上のまま、排水設備帯をその地下に、二階建て方式で建設し、車線2、新路肩17、新路上施設帯24に降った雨水を新歩道25に誘導し、歩道排水溝23の蓋21に設けた複数の縦穴22または縦スリットから地下の歩道排水溝23に落しこむ方式を検討した。歩道排水溝の蓋21はグレーチング蓋または街渠でもよい。
歩道の利用者はヒトまたは自転車で、軽量だから、歩道の構造も二階建てでも支障なく、歩道排水溝の蓋21を並べた簡単なものでよい。
ここで、町田市近くの道路について、排水設備帯を調べてみると、次のことが判明した。
1.車道の両側には排水設備(街渠、側溝など)が大抵つけてある。
排水設備帯の幅は殆どが40〜50cmである。
2.道路構造令26条では、排水設備については必要がある場合に適当なものを設けると なっていて、どこへ設けろとはなっていない。(歩道の地下に設けてもよい筈だ)
3.もともと車線の幅は法令をクリアしているし、建築限界の規制も自動車侵入防止帯 20でクリアしている。
これにより、排水設備帯の歩道地下への移動は 法令上も問題はない ので、課題2を実現する、解決手段について検討した。
【課題2の解決手段】
【0010】
検討の結果、課題2の解決手段として 以下の4項目を選定した。
2. 旧歩道の嵩上げ部の撤去・平準化
3. 新雨水水路の整備
4. 旧排水設備帯の撤去と新二階建て歩道の構築
5. 旧排水設備帯跡地への新路上施設帯の設置
以下、順に解決手段の説明をする。
【0011】
解決手段2.旧歩道の嵩上げ部の撤去・平準化
車線・路肩・路上施設帯に降った雨水が、歩道に向かって自然に流れて行くことができるように、第1図の旧路上施設帯13の表面のレベルと旧歩道14の表面のレベルが、車線2、新路肩17の表面のレベル以下になるように削り取り、要すれば傾斜をつけて、平準化しなければならない。
東京都の現(=旧)歩道の大部分は 第1図に示す,嵩上げ式歩道である。この種歩道では車線2に降った雨水が、嵩上げ部を乗り超えて旧歩道14に流れることはできない。従って、旧歩道の嵩上げされた部分(第1図で車線部から25cm嵩上げしてある5の高さで、6のレベル)の土砂を削りとらねばならない。第2図の新歩道25、新路上施設帯24は嵩上げ部の土砂を削り取って、平準化を完了した図である。
一般に、嵩上げ式歩道は完成直後は美麗だが、月日が経つにつれ、住民の要求によりあちこちで出入り口の開鑿が始まり、歩道面が大きく波を打つようになり、危険、歩道利用者の苦痛、(特に嵩上げ歩道で自転車通行する人の殆どは、高い歩道から落ちる怖さに、歩道中央を通行して、歩行者に迷惑をかける)醜悪、建設コスト高など不評が多い。路上施設帯と歩道の表面レベルの削り下げ工事は、この不評の解決にもなる。
【0012】
解決手段3.新雨水水路の整備
第2図で、雨水が車線2、新路肩17、から新路上施設帯24を順に経由して、無理なく新歩道25に流れてくるためには、このルートの中にある、いろいろな路上施設が雨水の流れを妨害しないことが必要である。
特に、新路上施設帯24にある、自動車侵入防止帯20には、
▲1▼.自動車侵入防止帯20を構成する自動車侵入防止ブロック18の基礎部分 に流 水が貫通して新歩道に向かって流れることができるように、雨水通過用開口部19を 設けて、雨水水路とする。
▲2▼.基礎部分に水路穴を持たない単純な形状の自動車侵入防止ブロックを、一つ飛び に据付けた、自動車侵入防止帯を築いて、ブロック間の間隙を雨水水路とする。
の二方式が考えられるが、本明細書では▲1▼の方式を説明する。
【0013】
解決手段4.旧排水設備帯の撤去と新二階建て歩道の構築
次に、第1図で、路肩3に設置してある排水設備帯(街渠、側溝など)4を撤去して、第2図のように、新歩道(道路の左端)25に移す。新歩道はこれまでの説明の如く、二階建ての構造とし、二階建て部分に関しては、地上を歩道21、地下を排水設備帯とする。排水設備帯とは雨水を集めて流す、排水溝であって、“U字型”の断面を持った溝23である。歩道排水溝の蓋21は歩道25の一部でもあって、第3図に示す如く、歩道排水溝の各蓋21は流れてきた雨水を歩道排水溝23に落しこむための複数の穴22を持つほか、隣り合う蓋同志で、流れてきた雨水を排水溝に落しこむためのスリットを形成するための切欠きを持つこともある。また、歩道排水溝の蓋21はグレーチング蓋もしくは街渠を用いてもよい。
第2図、第3図において、歩道排水溝23と歩道端15の間は、集めて送られてきた雨水が、ここからは歩道端15まで流れず、ここで歩道排水溝にうまく落ち込むように、これまでの車線2、路肩17、路上施設帯24経由の雨水誘導路とは逆の勾配をつけている。これを、歩道内逆勾配部27と呼ぶ。歩道内逆勾配部27の勾配は、歩道利用者の通行に負担にならないよう配慮されなければならない。
なお、排水設備帯を歩道端15に設置する場合は、歩道排水溝の蓋21は、外渠を用いる。歩道排水溝(歩道排水設備帯)23に落ちた雨水は、桝に集められて排水管より排水本管に送られるが、道路の地形によりいろいろな排水上の工夫が要求されるので、旧排水設備帯の仕組みを生かしてそれに接続するのが、安全な方法であろう。
新歩道に設置される新排水設備帯は、歩道排水溝23、歩道排水溝の蓋21からなる。
歩道の幅は、試算では、本発明の実施前に旧歩道14では70cmしかなかったが、実施後の新歩道25では1.25〜1.35mになる。
排水設備帯の幅は、雨水の量が新旧車線で特に変わらないので、新歩道の幅に合わせて広くする必要はなく、“旧排水設備帯幅4”即ち、40〜50cm幅でよい。
従って、新歩道25の地上表面(幅1.25〜1.35m)は第3図23に示す歩道排水溝の蓋21(旧排水設備帯と同じ幅の40〜50cm)が並んだ部分と、キチント舗装された部分の二つの部分からなる。
この二つの歩道部分は、安全のため、段差がないように仕上げねばならない。
【0014】
解決手段5.旧排水設備帯跡地への新路上施設帯の設置
路肩にあった排水設備帯4を撤去後、(0008)で旧路上施設帯13を整理整頓して、整備した新路上施設帯24一式を、新路肩17の新歩道寄りの線に、自動車侵入防止帯20の車線側端面が一致するように、設置する。
【発明の効果】
【0015】
新路上施設帯の幅を65cmとして、以下に 発明の効果 を述べる。
移設する旧排水設備帯4の幅を50cmとすると、解決手段2〜5を実行することにより、以下のように 1.35mの歩道幅 を得ることができる。
本発明の実施前 本発明の実施後 改善量
名目歩道幅 1.5m 2.0m 50cm
路上施設帯幅 80cm 65cm 15cm
歩道幅 70cm 1.35m 65cm
この歩道幅は目標の1.5mには満たないが、歩行者2人 または 歩行者1人と自転車1台 がどうにか歩道内を通行でき、歩道利用者から感謝される と信じている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は大平原に新しい道路をつけるのではなく、古い狭い道路の中を整理して、1cmでも5cmでも歩道を広げて行く やり方である。
古い狭い道の中からある程度纏まったスペースを出すには、当然、これまでの道路関係者の常識、経験 と 摩擦が生じることがある。“狭い土地で、今”子供の危険を救うには、新しいこと、これまでは差し控えていたこと を思い切って断行するしかない。
道路を作って責任を持たされる人は、究極的には道路管理者、各層の公安委員長であるので、歩道の惨状の理解を取り付けるための不断の努力が必要であろう。
その出発点はその歩道域の住民の理解と後押しであるが、これまでの歩道に関する意思決定は必ずしも満足すべきものではなかった ともいえる。
例えば、通学路計画のコンセンサス形成は、各市町村ごとにマニュアルができていて、それに従って選ばれたメンバーで運営され、学校の先生、地域住民代表、PTA役員 等よりなる、委員会で決定されている。これがうまく行けば、歩道の問題は起きていない筈だが、現実は深刻である。受益者は他地区の子供であり、通学路を整備した結果のデメリットは当該地区住民が負うので、学校の先生もPTAの役員さんも積極的な発言を控える。時は流れ、1m幅の通学路の真ん中には地域住民のために市役所が設置した、ミラーの列ができ、児童はミラーの柱を避けて、通学路の外をハミ出して通行するの已む無きに至るということが増殖する。
本発明を実施するための最良の形態とは、見識ある賛同者が存在している ことであり、実施のための最良の方法は 気長に賛同者をふやしていく ということであろうか。
【実施例】
【0017】
1.完全な実施例ではないが、本発明の一部の部品ともいうべき、旧路上施設物の改善については(0007)に項目のみを記載した。
2.部分的拡幅実施改善例
私の場合、以下の歩道の部分的拡幅改善例を除いて、全面的改善例はない。
場所 : 町田市本町田 日向台交差点の市立博物館寄り
改善時期 : 平成14年7月
歩道の拡幅 : 有効歩道幅 60cm を 97cm に拡幅(全長約200m位に 亘って、ガードレールを車道側へ幅30cm押し出してもらった)
片側のみ。
歩道路面のメンテ:▲1▼ ガタガタのドブ板を30mくらいセメントで上塗り、平坦化
▲2▼ 段違いのドブ板をタテ200m、ヨコ平均60cmに亘って グラインダーで研磨し、デコボコを均した。
実施例の効果 : 自転車1台が歩道内をやっと通れるようになった。但し有効歩道幅が 64cmのところが一箇所残り、ここは自転車を押すしかない。
自己評価 : 本発明のスタート点の地ならしというべきか
【本発明の応用例】
【0018】
本発明の応用例として、“上下線の排水設備帯を一本化して、排水設備帯二本分の広い歩道を得る方法”がある。
上記した、町田市本町田 日向台交差点の市立博物館寄り の道路は、右側は崖で左側は山である。左右に排水設備帯(ドブ板の幅は各40cm)があるが、歩道は(0017)で述べたとおり片側のみの、通行困難な“難所“である。ここの片側のみはガードレールを30cmほど押し出して歩道を拡幅してもらったが、自転車1台がやっとである。
将来、広い道路にする計画はあるが、数年先かも知れぬ ともいわれている。
この件の、当座の解決策として、上下線を同方向に傾け、二つの排水設備帯を地下に一本化し、(0017)で紹介した歩道を(片側だけの一本ではあるが)更に40cmだけ拡幅して、交通難の緩和を図る。
この場合、自動車運転の慣性に反する力が働く可能性もあるので、速度制限、標識の整備、自動車運転者への教育等 十分な検討が必要であろう。
この適用可能場所は他にも、市内に2箇所ある。
【産業上の利用可能性】
【0019】
道路工事とは土とコンクリートをコネテ大きな物を作るのだ という考えを改める。
路上施設も路上施設帯も他産業の競争的成果をとりいれれば、納期短縮もコストダウンも一挙に実現する。建築限界の思想も自動車中心の天動説を改め、ヒト中心の建築限界思想(子供が無意識のうちに行う歩行中の危険動作−これこそ子供の発展の原動力−を車にどう避けさせるか)を保険屋も、行政も発展させなければならない。
わが国は世界一の機械生産国であるから、優れた材料を用いた、小型化、精密化、強度アップ化、長寿命化、低コスト の知見を、道路の世界でもっと活用しなければならない。新しい考えと工夫で、限られた道路幅の中から、歩道幅を拡大すれば、外国へも輸出できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】嵩上げ歩道と路肩に排水設備帯をもつ道路の、中央帯から片側の断面図である。
【図2】歩道に排水設備帯を移設した道路の、中央帯から片側の断面図である。
【図3】歩道に排水設備帯を移設した道路の、中央帯から片側の平面図である。
【図4】自動車侵入防止ブロック18を連続して繋ぎ、路面に頑丈に据付けた、自動車進入防止帯20の側面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 中央帯
2 車線
3 路肩
4 排水設備帯
5 歩道縁石端面
6 建築限界規制に基づく25cmのスペース帯
7 歩道利用者防護柵(の柱)
8 歩道利用者防護柵(の横木)
9 歩道利用者防護柵(の横木)
10 交通標識の柱
11 電柱
12 照明灯の柱
13 旧路上施設帯
14 旧歩道
15 歩道端
16 旧名目歩道
17 新路肩
18 自動車侵入防止ブロック
19 雨水通過用開口部
20 自動車侵入防止帯
21 歩道排水溝の蓋
22 歩道蓋に設けた縦穴
23 歩道排水溝
24 新路上施設帯
25 新歩道
26 新名目歩道
27 歩道内逆勾配部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(イ)、(ロ)、(ハ)のうち、一つ以上の項目を充たす道路。
(イ) 歩道と排水設備帯とが区別されている道路にあって、排水設備帯を歩道の一部分 の地下に移設し、移設された地下の排水設備帯の上も歩道として活用し、更に、も と排水設備帯の跡地に、路上施設帯を移動させることにより、歩道の幅を広げる。
(ロ) 車線、路肩、路上施設帯に降った雨水を歩道の排水溝の蓋までスムースに誘導す るために、▲1▼嵩上げされた路上施設帯の表面のレベルと嵩上げされた歩道の表 面のレベルは、嵩上げ部を削り、車線、路肩の表面のレベルより少し下になるよう に撤去・平準化する。
▲2▼要すれば、路上施設帯にある、歩道利用者防護柵、自動車侵入防止帯の基礎 部分にも、流水が貫通して歩道に向かって流れることができるように、複数の水路 穴または隙間を設ける。
(ハ) 道路全体を僅かに片方の歩道側に傾けることによって、上下線の雨水を片方の歩 道側に集め、道路の両側に設けた排水設備帯を一つに纏めて当該歩道の地下に設置 することにより、より広い歩道を作る。
【請求項2】
高さを25cm、幅を25cm、長さ1mとし、基底部にコの字型の切欠きを持ち、コの字型の切欠きの上部の左右のコーナーには強度上必要なRを付け、路上に据付ければ路面と共に、雨水が貫通して流れることができる、横長の四辺形の水路穴を形成する、自動車侵入防止帯建設用ブロックの地上部の構造。ブロック1ケの長さは1mに限らず、工事の都合により、適当な長さでも差し支えない。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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