説明

排泄物処理装置

【課題】大便および小便の各々に適した形態で被介護者の洗浄を行うことができる介護用排泄物処理装置を提供する。
【解決手段】コントローラは、カップセンサからのセンサ信号を受信したと判断(ステップST11)すると、当該センサ信号に基づいて、大便および小便であるかを判断する(ステップST12)。具体的には、コントローラは、カップセンサから4つの静電容量式のセンサ信号のうち少なくとも一つのセンサ信号の値が、大便用しきい値以上で且つ小便用しきい値未満の場合に大便であると判断する。また、コントローラは、上記少なくとも一つのセンサ信号の値が、小便用しきい値以上である場合に小便であると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物の処理をするための介護用排泄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設等に於いては、ベッド等で仰向け状態にある被介護者の採尿を行って洗浄する、糞尿を排出して洗浄するといった介護作業が介護作業者によって行われている。
介護作業者にとっては、洗浄するための温水、洗浄後の排水、排泄物の処理などが困難であり、介護作業者の作業を軽減したいといった要望がある。
このような要望に応えるために、排泄物を吸引してタンクに貯える介護用排泄物処理装置がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような介護用排泄物処理装置では、排泄物が大便および小便の何れであるかを判別しておらず、何れの場合でも同じ方法で洗浄および吸引排出をしている。
そのため、大便および小便の各々に適した洗浄が行えていないという問題がある。
また、このような排泄物処理装置では、ホースユニットがコネクタに接続されていない状態で水噴射指示が出されると、噴射された水が水噴射用コネクタから漏れ出してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、大便および小便の各々に適した形態で被介護者の洗浄を行うことができる介護用排泄物処理装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、吸引ホース(ホースユニット)が接続されていない状態で水噴射指示が出された場合において、水が漏れだすことを防止できる介護用排泄物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した従来技術の問題点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の介護用排泄物処理装置は、被介護者の排泄物を処理するための介護用排泄物処理装置であって、吸引力によって排泄物を流入する吸引ホースが取り付けられる吸引用コネクタと、前記吸引用コネクタに取り付けられた前記吸引ホースを介して流入した排泄物を貯める排泄物タンクと、水を収容する水タンクと、前記吸引ホースを内包するホースユニットの端部に設けられた採便用カップの水噴射ノズルに前記水タンクからの水を水噴射用コネクタを介して前記ホースユニットに供給して噴射させる噴射手段と、前記採便用カップに設けられた排泄物を検出するセンサからの信号に基づいて、前記噴射手段による水噴射を制御する水噴射制御手段とを有し、前記水噴射制御手段は、前記センサからの信号に基づいて小便および大便のいずれであるかを判断し、大便であると判断した場合に小便であると判断した場合に比べて大量の水を噴射するように前記噴射射手段を制御する。
【0006】
本発明の介護用排泄物処理装置では、水噴射制御手段が、採便用カップのセンサからの信号に基づいて小便および大便のいずれであるかを判断する。
そして、前記水噴射制御手段が、大便であると判断した場合に小便であると判断した場合に比べて大量の水を噴射するように噴射射手段を制御する。
噴射手段は、採便用カップに向けて水を噴射し、これにより被介護者の局部が洗浄される。また、吸引用コネクタを介して採便用カップに吸引力が伝達され、採便用カップ内の便・尿、水が吸引用コネクタを介して排泄物タンク内に吸い込まれる。
本発明の介護用排泄物処理装置によれば、採便用カップ内に大便および小便のいずれがあるかを判断できるので、それぞれに適した水処理等を行うことができる。そのため、無駄な水を使うことがない。
【0007】
また、好適には、本発明の介護用排泄物処理装置の前記水噴射制御手段は、前記センサが静電容量式センサである場合に、大便検出用の第1のしきい値と、小便検出用で前記第1のしきい値より大きい前記第2のしきい値とを基に、前記センサからの信号が示す値が前記第1のしきい値と前記第2のしきい値との間である場合には大便であると判断し、前記信号が示す値が前記第2のしきい値以上の場合に小便であると判断する。
【0008】
また、好適には、本発明の介護用排泄物処理装置は、前記吸引ホースへの吸引力を発生する吸引器と、前記排泄物タンクを介して前記吸引ホースに前記吸引器の吸引力を伝達するために前記排泄物タンクと前記吸引器との間に設けられた第1の流路と、前記第1の流路に設けられ、前記吸引力に応じて空気と共に前記排泄物タンクから流入した前記排泄物を遠心分離により分離して前記排泄物タンクに戻すセパレータと、前記吸引器で吸引した空気を前記吸引ホースの端部に設けられた水噴射ノズルに供給する第2の流路と、前記第2の流路に設けられたフィルタと、前記排泄物タンク、前記吸引器、前記第1の流路、前記セパレータ、前記第2の流路、前記フィルタおよび前記水タンクが収容された筐体と、前記筐体に設けられ、開状態で、前記排泄物タンクを取り出し可能で、且つ前記水タンクに水を供給可能とする第1の蓋と、前記第1の蓋とは別に設けられ、開状態で、前記フィルタを着脱可能とする第2の蓋とをさらに有する。
【0009】
また、好適には、本発明の介護用排泄物処理装置は、前記吸引用コネクタ、前記水噴射用コネクタ、並びに前記センサからの信号を赤外線で受信する受信部とを収容する開閉可能なカバーをさらに有し、前記水噴射制御手段は、前記カバーが閉状態である場合に、水噴射指示を入力しても前記噴射手段による水噴射動作を開始しない。
【0010】
また、好適には、本発明の介護用排泄物処理装置の前記セパレータは、前記流路内を伝わる前記吸引力によって回転し、周縁部あるいは周縁部付近に傾斜面部を備えた回転体と、前記回転体の前記傾斜面部が形成された面と共に遠心分離を行う空間を形成し、外周部に複数のスリットが形成された包囲部材とを有し、前記吸引力によって前記包囲部材のスリットを介して前記空間に入った前記排泄物を、前記傾斜面部によって生じる風力によって前記包囲部材内で遠心分離させ、前記包囲部材の外周部のスリットから前記排泄物タンクに向けて戻す。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、大便および小便の各々に適した形態で被介護者の洗浄を行うことができる介護用排泄物処理装置を提供することができる。
また、本発明によれば、吸引ホース(ホースユニット)が接続されていない状態で水噴射指示が出された場合において、水が漏れだすことを防止できる介護用排泄物処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る介護用排泄物処理装置を図面を参照しつつ説明する。
先ず、本実施形態の介護用排泄物処理装置の全体構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る介護用排泄物処理装置1の汚物吸引流路、水噴射流路に関する構成を説明するための図である。
図2は介護用排泄物処理装置1の外観斜視図、図3は介護用排泄物処理装置1の平面側の構成を説明するための図、図4は介護用排泄物処理装置1の左側面側の構成を説明するための図、図5は介護用排泄物処理装置1の右側面側の構成を説明するための図、図6は介護用排泄物処理装置1の正面側の構成を説明するための図、図7は介護用排泄物処理装置1の背面側の構成を説明するための図である。
【0013】
本実施形態の汚物タンク10が本発明の排泄物タンクの一例であり、ホースユニット8が本発明のホースユニットの一例であり、ポンプ32が本発明の噴射手段の一例であり、コントローラ70が本発明の水噴射制御手段の一例である。
[吸引・水噴射関係の構成]
図1〜図7に示すように、介護用排泄物処理装置1は、例えば、汚物タンク10、セパレータ12、吸引器16、空気循環用フィルタ24、給水タンク30、水ポンプ32、消毒液タンク39、水用電磁弁41,エアー用電磁弁42,消毒液用電磁弁43を有する。
【0014】
汚物タンク10は、例えば、介護用排泄物処理装置1の背面側に位置し、ホースユニット8の端部に連通し、ホースユニット8を介して排泄物受容器200から吸引された汚物を収容する。
汚物タンク10には、セパレータ12が連結して設けられている。セパレータ12は、吸引器16からの吸引力により回転し、遠心力の原理で汚物を汚物タンク10に残して、空気のみをエアージャバラホース14を介して吸引器16に向けて流入させる。
【0015】
吸引器16は、汚物タンク10内の気圧よりも低い気圧(負圧)状態をつくり、汚物タンク10内の気圧との間の圧力差により、エアージャバラホース14を介して汚物タンク10から吸引器16に向けて吸引力を発生させる。
なお、吸引器16は、排泄物受容器200内の排泄物が検出された場合にコントローラ70からの制御によって駆動され、吸引力を発生する。このようにすることで、自らスイッチをオン/オフ操作できない被介護者用としても用いることができる。
【0016】
吸引器16は、介護用排泄物処理装置1の正面側に位置し、流路14を介して流入した空気を脱臭用排出側フィルタ(図示せず)を介して介護用排泄物処理装置1の外部に流出させる。脱臭用排出側フィルタは、脱臭機能を有する。
吸引器16は、吸引側フィルタ18を介して外気を流入する。吸引器16の吸引力は複数段階、例えば、3段階に設定可能である。
【0017】
空気循環用フィルタ24は、吸引器16とホースユニット8との間の流路22,26に設けられ、採便用カップ200から吸引した空気をフィルタリングして流路26に送出する。
空気循環用フィルタ24は、例えば、図6に示す介護用排泄物処理装置1の正面側に配設され、フィルタ着脱用蓋108が開状態で着脱が可能である。
介護用排泄物処理装置1では、このように空気循環用フィルタ24を着脱するための専用の比較的小さなフィルタ着脱用蓋108を設けたことで、図2に示す平面側に設けられた比較的大型の正面蓋9を開閉することなく、空気循環用フィルタ24を交換できる。そのため、空気循環用フィルタ24の交換に伴う作業効率性を良くできると共に、多くのパーツから空気循環用フィルタ24を判別する必要がなく、使い勝手をよくできる。
【0018】
流路26は、排泄物受容器200側において、流路133と流路134とに分岐している。
【0019】
流路133には、エアー用電磁弁42が配設されている。流路133は、流路130、流路135および流路137と連結している。
流路130の一端は、給水タンク30に連結している。流路130には、水用電磁弁41が設けられている。また、流路130には、ヒータ33が設けられている。このように流路130にヒータ33を設けることで、流路133を介して排泄物受容器200に向けて流出される水のみを加熱でき、加熱効率を高め、省電力化を図ることができる。
流路137には、水ポンプ32が設けられている。
水ポンプ32の吸引力によって、流路130を介して流入した給水タンク30からの水と、流路133を介して流入した空気循環用フィルタ24からの空気と、流路135を介して流入した消毒液タンク39からの消毒液とが流路137で混合される。
ここで、水用電磁弁41、エアー用電磁弁42および消毒液用電磁弁43の開閉状態に応じて、流路137において混合等される対象が決定される。
流路137は、図7に示す水噴射口177と連結している。水噴射口177は、ホースユニット8のホース口187を介して、排泄物受容器200のカップ水噴射口242に連結している。
【0020】
給水タンク30は、介護用排泄物処理装置1の右側面側に位置する。給水タンク30の上面には図示しないキャップがあり、このキャップを外すことで外部から水を流す込むことができる。また、給水タンク30は、介護用排泄物処理装置1から着脱可能に構成されていてもよい。
【0021】
このように、水噴射口177の給水タンク30側に消毒液タンク39から消毒液が流入するように構成したことで、消毒液を、給水タンク30からの水および流路133からのエアー噴射力を用いて、排泄物受容器200内に流すことができ、排泄物受容器200を適切に洗浄できる。
【0022】
また、流路134は、図7に示すエアー流出口176と連結している。
【0023】
また、流路135は、消毒液タンク39に連通している。流路135には、消毒液用電磁弁43が設けられている。
【0024】
図7に示すように、介護用排泄物処理装置1の背面側には、ホースユニット8とのコネクタ部が配設されている。
コネクタ部には赤外線受信部122、吸引用コネクタ170、エアー流出口176、水噴射用コネクタ177が配設されている。
吸引用コネクタ170は、ホースユニット8の吸引用ホース180と接続される。排泄物受容器200内の汚物は、図7に示すカップ吸引口244、ホース口181、吸引口171を介して介護用排泄物処理装置1に吸引される。
【0025】
水噴射用コネクタ177は、ホースユニット8の水噴射用ホース187と接続される。
排泄物受容器200のセンサ261〜264からのセンサ信号はホースユニット8を介して赤外線送信部212から赤外線受信部122へ送信される。コントローラ70が当該センサ信号を受信すると、尻洗浄用およびビデ用の水が、水噴射口177、ホース口187を介して排泄物受容器200に供給される。
【0026】
また、排泄物受容器200への電力は、電磁誘導送信部120から電磁誘導受信部210へ電磁誘導方式により非接触で供給され、さらにカップの電力供給口241を介して供給される。このとき、コネクタ周辺では金属が剥き出しになっておらず、水洗浄が可能である。
図7に示すように、赤外線受信部122の赤外線受光部は、電磁誘導送信部120が形成された領域の中央部付近に配設されている。電磁誘導送信部120は、例えば、樹脂などでカバーされており、金属は露出していない。
なお、センサ信号の送信受信は、非接触方式であれば、赤外線通信以外でもよい。
【0027】
図11に示すように、コネクタ部の周辺には、コネクタカバー90が設けられている。
固定部91を軸として、吸引用コネクタ170と水噴射用コネクタ175を収容するかたちで開閉する。
【0028】
図8、図9および図10は、セパレータ12を説明するための図である。
図8、図9および図10に示すように、セパレータ12は、軸71を備え、軸71には回転体73が装着されている。回転体73は、軸71を中心に回転可能である。なお、軸71は、例えば、回転せず固定である。
回転体73の円板状部分には、開口部731,732,733,734が形成されている。開口部731,732,733,734は、汚物タンク10内の空気が吸引器16に向けて流入するときの流路となる。
なお、セパレータ12には、流路14に連結した流路口800が設けられている。
【0029】
回転体73の円板状部分の周縁部あるいは周縁部付近には、図8、図9および図10に示すように、周方向に沿って延び、軸71の方向に傾斜した4つの傾斜面部741,742,743,744が設けられている。具体的には、傾斜面部741,742,743,744の各々は、図8に示すように、端部741a,742a,743a,744aから端部741b,742b,743b,744bに向けて、それぞれ周方向に沿って図10紙面中奥側から手前側に向けて深さ方向に傾斜している。これより、流路14を介して得られる吸引力によって、傾斜面部741,742,743,744が風車の原理による回転力を回転体73に与える。そして、この回転力により、回転体73は、半時計回りに回転する。
【0030】
このように、セパレータ12に対して吸引路60を挟んで位置する吸引器16によって発生した負圧により、回転体73を回転する。そのため、セパレータ12内にモータ等の回転駆動手段を設ける必要が無く、セパレータ12を小型化できる。また、流路14にシャフトを設ける必要が無く、構成を簡単にできる。
【0031】
また、軸71の先端には、包囲部材80がナット81等によって着脱可能に固定される。
包囲部材80の外周面には、周方向と直交する方向に延びる複数のスリット801が周方向に沿って形成されている。
【0032】
傾斜面部741,742,743,744は、回転体73が軸71を中心に回転しているときに、包囲部材80内の空間において、包囲部材80内にある排泄物を軸71を中心に回転させる風力を発生する。これにより、包囲部材80内にある排泄物は、遠心力によって外周面側に移動し、スリット801を介して排泄物タンク13内に噴射される。
【0033】
そして、質量が小さい空気のみが、軸71の周囲に位置する回転体73の開口部731,732,733,734を通って、流路14を介して吸引器16に向けて吸い込まれる。すなわち、包囲部材80内に空気と共に吸引された質量がある排泄物は、上記遠心力の作用で、回転体73の開口部731,732,733,734付近には位置しないので、開口部731,732,733,734を通って流路14に移動することはない。
このように、セパレータ12では、空気と共に吸い込まれた排泄物を遠心分離させ、空気のみを流路14に吸引し、排泄物を汚物タンク10に戻すことができる。
【0034】
図6に示すように、介護用排泄物処理装置1の正面側には、操作パネル110が配設されている。
図12に示すように、操作パネル110には、各種のスイッチや表示用LEDが配設されている。例えば、スイッチ群111は、吸引器16を制御するためのスイッチであり、大便および小便を指定するために用いられる。また、吸引力を強、中、弱の3段階で調整するために用いられる。
また、操作パネル110には、採便用カップ200に向けて噴射する水の温度を高、中、低、並びに切る(保温なし)で指定するために用いられるスイッチ群112が配設されている。
さらに、給水タンク30の水量が所定値以下になった場合に点滅するLEDと、汚物タンク10内の汚物が所定量以上になった場合に点滅するLEDとで構成されるLED群113が配設されている。さらに、操作パネル110には、介護用排泄物処理装置1の主電源をオン/オフする電源スイッチ114が配設されている。
【0035】
操作パネル110内の各スイッチがユーザによって操作されると、それに応じた操作信号がコントローラ70に出力される。また、コントローラ70は、介護用排泄物処理装置1の状態に応じて各LEDを点滅する。
【0036】
以下、介護用排泄物処理装置1の電気系の構成を説明する。
図13は、介護用排泄物処理装置1の電気系の構成を説明するための図である。
図13に示すように、介護用排泄物処理装置1は、例えば、コントローラ70を有し、コントローラ70が吸引器16、電磁弁34、ポンプ62、コネクタカバー開閉検出センサ51、水タンクセンサ52、汚物満タンセンサ56、電磁誘導送信部120および赤外線受信部122に電気的に接続されている。
【0037】
コントローラ70は、図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行して介護用排泄物処理装置1の全体動作を統括的に制御する。
コントローラ70は、ホースユニット8を介して採便用カップ200から受信したセンサ信号を赤外線受信部122から入力する。
また、コントローラ70は、コネクタカバー開閉検出センサ51、水タンクセンサ52、カバーセンサ54および汚物満タンセンサ56からセンサ信号を入力する。
また、コントローラ70は、赤外線受信部122からカップセンサ202のセンサ信号を入力する。赤外線受信部122は、ホースユニット8の赤外線送信部212からセンサ信号を赤外線により受信し、これをUART形式に応じて変換してコントローラ70に出力する。
【0038】
コントローラ70は、水タンクセンサ52から水タンク内の水が所定量以下になったことを示す水警報信号を受信する。水タンクセンサ52は、給水タンク30内に設けられ、水タンク30内の水が所定量以下になった場合に、そのことを示す水警報信号をコントローラ70に送信する。
【0039】
コントローラ70は、汚物満タンセンサ56から汚物タンク10内の汚物が所定量以上になったことを示す汚物量警報信号を受信する。汚物満タンセンサ56は、汚物タンク10内に設けられ、汚物タンク10内の汚物が所定量以上になった場合に、そのことを示す汚物量警報信号をコントローラ70に送信する。
【0040】
コントローラ70は、コネクタカバー開閉検出センサ51から図11に示すコネクタカバー90の開閉を示すコネクタカバー開閉検出信号を受信する。
コントローラ70は、コネクタカバー90が開状態において、操作パネル110等から吸引処理や水噴射処理を行う指示を受けた場合に、吸引処理および水噴射処理を行う。
一方、コントローラ70は、コネクタカバー90が閉状態において、操作パネル110等から吸引処理や水噴射処理を行う指示を受けても、吸引処理および水噴射処理を行わない。このようにすることで、コネクタカバー90内のコネクタにホースユニット8の端部が接続されていない状態で、吸引処理や水噴射処理が行われることななく、水漏れが発生してしまうことを回避できる。
【0041】
また、コントローラ70は、操作パネル110から操作信号を入力する。なお、コントローラ70は、図示しないリモートコントローラからも操作信号を入力する。
【0042】
コントローラ70は、入力したセンサ信号および操作信号に基づいて様々な判断を行い、その判断結果に基づいて、介護用排泄物処理装置1の動作を統括的に制御する。具体的には、コントローラ70は、電磁弁34、ポンプ62を制御する。
また、コントローラ70は、採便用カップ200のカップセンサ202等の設定信号を電磁誘導送信部120に出力する。電磁誘導送信部120は、ホースユニット8内の電磁誘導受信部210と電磁誘導方式で非接触で通信を行う。このとき、電磁誘導送信部120は、設定信号と共に、電力を電磁誘導受信部210に供給する。
【0043】
図14は、コントローラ70による便検出時における制御を説明するためのフローチャートである。
コントローラ70は、赤外線受信部122を介してカップセンサ202からセンサ信号を受信したか否かを判断する(ステップST11)。
コントローラ70は、カップセンサ202からのセンサ信号を受信したと判断すると、当該センサ信号に基づいて、大便および小便であるかを判断する(ステップST12)。
具体的には、コントローラ70は、カップセンサ202から4つの静電容量式のセンサ信号のうち少なくとも一つのセンサ信号の値が、大便用しきい値以上で且つ小便用しきい値未満の場合に大便であると判断する。なお、本実施形態では、4つのセンサを用いた場合を例示するが、センサの数は任意である。
また、コントローラ70は、上記少なくとも一つのセンサ信号の値が、小便用しきい値以上である場合に小便であると判断する。
また、コントローラ70は、全てのセンサ信号の値が大便用しきい値未満である場合に便はないと判断する。
【0044】
コントローラ70は、大便あるいは小便であると判断された場合に、吸引器16をオンにして、採便用カップ200内の汚物を汚物タンク10に向けて吸引する(ステップST14)。
【0045】
そして、コントローラ70は、小便であると判断した場合に、予め決められた小便用時間だけポンプ32をオンにして給水タンク30からの水を経路36bを介して採便用カップ200に向けて噴射させる(ステップST15)。
【0046】
コントローラ70は、大便であると判断した場合に、予め決められた大便用時間だけポンプ32をオンにして給水タンク30からの水を経路36bを介して採便用カップ200に向けて噴射させる(ステップST16)。ここで、大便用時間は、小便用時間に比べて長く、例えば、3倍の時間である。
【0047】
上述した実施形態では、ステップST15,ST16の尻洗浄・ビデ機能を実行する前に、吸引機能(ステップST14)を実行する場合を例示したが、これらの機能を一部あるいは全部の期間、同時に行ってもよい。
【0048】
以下、介護用排泄物処理装置1の動作例を説明する。
採便用カップ200のカップセンサ202から汚物の有無および種類に応じたセンサ信号が、ホースユニット8を介して介護用排泄物処理装置1のコントローラ70に入力される。
【0049】
コントローラ70は、カップセンサ202からのセンサ信号に基づいて、図14に示すフローに従って大便・小便の有無を判断する。
コントローラ70は、大便あるいは小便であると判断すると、吸引器16をオンにして、その吸引力をホースユニット8を採便用カップ200に供給する。また、電磁弁34をオンにして、給水タンク30からの水を採便用カップ200内に供給する。
これにより、採便用カップ200内の排泄物が、ホースユニット8を介して汚物タンク10内に吸引される。
【0050】
汚物タンク10内では、排泄物を含む空気がセパレータ12に向けて吸引され、排泄物がセパレータ12の遠心分離により汚物タンク10内に戻され、空気のみが吸引器16に向けて排出される。
当該空気は、吸引器16および流路22を介して空気循環用フィルタ24に流入し、空気循環用フィルタ24において脱臭された後に流路26を介してホースユニット8に戻される。
【0051】
そして、コントローラ70は、ポンプ32をオンにして給水タンク30からの水をホースユニット8を介して採便用カップ200に送出する。このとき、コントローラ70は、尻洗浄およびビデ機能をオンにし、大便および小便に対応した時間だけ水を採便用カップ200に送出する。
【0052】
以上説明したように本実施形態の介護用排泄物処理装置1によれば、採便用カップ200内に大便および小便のいずれがあるかを判別できるので、それぞれに適した水処理等を行うことができる。そのため、無駄な水を使うことがない。
また、介護用排泄物処理装置1によれば、被介護者の排泄物の処理などが容易であり、介護作業者の作業を軽減することができる。
【0053】
また、介護用排泄物処理装置1によれば、コネクタカバー90が閉状態において、操作パネル110等から吸引処理や水噴射処理を行う指示を受けても、吸引処理および水噴射処理を行わない。このようにすることで、コネクタカバー90内のコネクタにホースユニット8の端部が接続されていない状態で、吸引処理や水噴射処理が行われて水漏れが発生してしまうことを回避できる。
【0054】
介護用排泄物処理装置1によれば、図7を用いて説明したように、ホースユニット8と介護用排泄物処理装置1との間のコネクタ部において、センサ信号を赤外線で送受信し、電力および電気信号を電磁誘導で送受信する構成を採用し、コネクタ部に接続用の導電性金属が露出しない構成を採用していない。そのため、コネクタ部を水等で洗浄することができ、衛生面を向上できること共に、コネクタ部の金属が錆びるなどの事態が発生することを回避できる。
【0055】
また、本実施形態の介護用排泄物処理装置では、セパレータ12において、排泄物タンク13内の空気のみを吸引路60に流入させ、排泄物を流入させないようにできる。そのため、排泄物が吸引器16に達して吸引器16の吸引機能が低下したり、故障が生じることを効果的に回避できる。また、吸引路60から吸引器16側に排泄物が流入しないため、包囲部材801のみを取り外して洗浄すればよく、保守作業が簡単である。
【0056】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、上述した実施形態では排泄物吸引機能に加えて、温水噴射機能を備えた介護用排泄物処理装置を例示したが、温水噴射機能を備えていなくても良い。
また、上述した実施形態では、自動乾燥機能を明示しなかったが、介護用排泄物処理装置1からホースユニット8を介して採便用カップ200に温風を送るようにしてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、採便用カップ200のカップセンサ202として、静電容量式センサを例示したが、その他のセンサを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る介護用排泄物処理装置の汚物吸引流路、水噴射流路に関する構成を説明するための図である。
【図2】図2は、図1に示す介護用排泄物処理装置の外観斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す介護用排泄物処理装置の平面側の構成を説明するための図である。
【図4】図4は、図1に示す介護用排泄物処理装置の左側面側の構成を説明するための図である。
【図5】図5は、図1に示す介護用排泄物処理装置の右側面側の構成を説明するための図である。
【図6】図6は、図1に示す介護用排泄物処理装置の正面側の構成を説明するための図である。
【図7】図7は、図1に示す介護用排泄物処理装置の背面側の構成を説明するための図である。
【図8】図8は、図1に示すセパレータを説明するための図である。
【図9】図9は、図1に示すセパレータを説明するための図である。
【図10】図10は、図1に示すセパレータを説明するための図である。
【図11】図11は、コネクタカバーを説明するための図である。
【図12】図12は、図1に示す介護用排泄物処理装置の操作パネルを説明するための図である。
【図13】図13は、図1に示す介護用排泄物処理装置の電気系の構成を説明するための図である。
【図14】図14は、図13に示すコントローラによる便検出時における制御を説明するためのフローチャートである。
【符合の説明】
【0059】
1…介護用排泄物処理装置
10…汚物タンク
12…セパレータ
14…流路
16…吸引器
18…吸引側フィルタ
20…脱臭用排出側フィルタ
22…流路
24…空気循環用フィルタ
26…流路
30…給水タンク
32…ポンプ
34…電磁弁
51…コネクタカバー開閉検出センサ
52…水タンクセンサ
56…汚物満タンセンサ
110…操作パネル
120…電磁誘導送信部
122…赤外線受信部
8…ホースユニット
210…電磁誘導受信部
212…赤外線送信部
200…採便カップ
202…カップセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者の排泄物を処理するための介護用排泄物処理装置であって、
吸引力によって排泄物を流入する吸引ホースが取り付けられる吸引用コネクタと、
前記吸引用コネクタに取り付けられた前記吸引ホースを介して流入した排泄物を貯める排泄物タンクと、
水を収容する水タンクと、
前記吸引ホースを内包するホースユニットの端部に設けられた採便用カップの水噴射ノズルに前記水タンクからの水を水噴射用コネクタを介して前記ホースユニットに供給して噴射させる噴射手段と、
前記採便用カップに設けられた排泄物を検出するセンサからの信号に基づいて、前記噴射手段による水噴射を制御する水噴射制御手段と
を有し、
前記水噴射制御手段は、前記センサからの信号に基づいて小便および大便のいずれであるかを判断し、大便であると判断した場合に小便であると判断した場合に比べて大量の水を噴射するように前記噴射射手段を制御する
介護用排泄物処理装置。
【請求項2】
前記水噴射制御手段は、前記センサが静電容量式センサである場合に、大便検出用の第1のしきい値と、小便検出用で前記第1のしきい値より大きい前記第2のしきい値とを基に、前記センサからの信号が示す値が前記第1のしきい値と前記第2のしきい値との間である場合には大便であると判断し、前記信号が示す値が前記第2のしきい値以上の場合に小便であると判断する
請求項1に記載の介護用排泄物処理装置。
【請求項3】
前記吸引ホースへの吸引力を発生する吸引器と、
前記排泄物タンクを介して前記吸引ホースに前記吸引器の吸引力を伝達するために前記排泄物タンクと前記吸引器との間に設けられた第1の流路と、
前記第1の流路に設けられ、前記吸引力に応じて空気と共に前記排泄物タンクから流入した前記排泄物を遠心分離により分離して前記排泄物タンクに戻すセパレータと、
前記吸引器で吸引した空気を前記吸引ホースの端部に設けられた水噴射ノズルに供給する第2の流路と、
前記第2の流路に設けられたフィルタと、
前記排泄物タンク、前記吸引器、前記第1の流路、前記セパレータ、前記第2の流路、前記フィルタおよび前記水タンクが収容された筐体と、
前記筐体に設けられ、開状態で、前記排泄物タンクを取り出し可能で、且つ前記水タンクに水を供給可能とする第1の蓋と、
前記第1の蓋とは別に設けられ、開状態で、前記フィルタを着脱可能とする第2の蓋と
をさらに有する請求項1または請求項2に記載の介護用排泄物処理装置。
【請求項4】
前記吸引用コネクタ、前記水噴射用コネクタ、並びに前記センサからの信号を赤外線で受信する受信部とを収容する開閉可能なカバー
をさらに有し、
前記水噴射制御手段は、前記カバーが閉状態である場合に、水噴射指示を入力しても前記噴射手段による水噴射動作を開始しない
請求項1〜3のいずれかに記載の介護用排泄物処理装置。
【請求項5】
前記セパレータは、
前記流路内を伝わる前記吸引力によって回転し、周縁部あるいは周縁部付近に傾斜面部を備えた回転体と、
前記回転体の前記傾斜面部が形成された面と共に遠心分離を行う空間を形成し、外周部に複数のスリットが形成された包囲部材と
を有し、
前記吸引力によって前記包囲部材のスリットを介して前記空間に入った前記排泄物を、前記傾斜面部によって生じる風力によって前記包囲部材内で遠心分離させ、前記包囲部材の外周部のスリットから前記排泄物タンクに向けて戻す
請求項1に記載の介護用排泄物処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−90092(P2009−90092A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183572(P2008−183572)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(507013431)株式会社ハートフル (4)
【Fターム(参考)】