説明

排煙処理装置

【課題】粘性の高い物質の除去効率が高く、且つ長時間の連続運転が可能な排煙処理装置を提供する。
【解決手段】排煙処理装置100は、外筒10と、回転する回転構造体20とを備えている。外筒10は、排煙導入管11と、分離されたガスを排出するガス排出管13と、分離された液分を排出する液分排出管14と、が接続されている。回転構造体20は、内部に排煙が流入し延在方向を軸として回転すると共に内表面から外表面を貫通する放散口21aが複数形成された回転式排煙導入管21と、回転式排煙導入管21の周囲に互いに隣り合って当接して配設されて液分が衝突する複数の衝突板23と、を有しており、衝突板23は、外筒10の周方向上で隣り合う衝突板23間の距離が、外筒10の径方向外側に向かって狭窄するように配設され、回転構造体20の回転時、隣り合う衝突板23間に間隙23bを生じるように撓む可撓性の板材によって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排煙処理装置に係り、特に粘性の高い物質の除去効率が高く、長時間の連続運転が可能な排煙処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造工場、化学工場等の各種工場や、焼却設備、各種の反応装置等から排出される煙には有機物が含まれており、適切な処理が必要である。このような有機物を含む排煙は、タール状物質が主成分となっている場合が多く、その他、ミスト状に分散したヒューム(微粒子)、オイル(液分)等の粘性物質が含まれている。
【0003】
したがって、排煙中のタール状物質や、その他の物質を除去する方法が種々検討されている。そして従来の排煙処理は主に、比重の違いを利用した遠心分離による方式、バグフィルタ等のフィルタによる方式、電気的吸引力による方式、ウォーターシャワー、ミスト等の水洗方式、液体に微小気泡として放出し吸着する方式、溶剤を発泡しその中を通過させる吸着方式、活性炭等による吸着方式、触媒による分解方式のいずれかの方式を用いたものであった。
【0004】
たとえば、特許文献1では、外筒と、その内側に同心円状に配設された内筒と、内筒の上方に、案内羽根を備えた円錐ドラムが配設されたミスト除去装置が開示されている。そして、円錐ドラムが回転することにより、外筒上部から流入した排煙(特許文献1には、「排ガス」と記載されている)は外筒と内筒の間の空間において螺旋運動をしながら移動し、遠心力を受ける。その結果、比重の大きいミストが外筒の内壁に捕集され、排煙からミストを分離することにより、排ガスを洗浄することができる。また、外筒の内周壁にはスリットが設けられており、微粒子を外筒の外へ排出することができる。
【0005】
また特許文献2では、筒体の下方から排煙を導入し、筒体内の軸方向に沿って筒体内を排煙が移動し、軸方向に対して略垂直に配設された回転フィルタによって排煙中の液分及び粉塵を捕捉する技術が開示されている。
この構成により、回転フィルタに捕捉された液分及び粉塵は、回転フィルタの回転により得られる遠心力によって筒体の内周面に飛ばされ、自重により下方に流下する。
【0006】
さらに特許文献3には、筒状の回転式フィルタを有する捕集ユニット及びブロワを備えた集塵装置が開示されている。そして、この集塵装置は、ヒュームや粉塵類を含む空気を吸引して、多数の空気通過孔を備えた回転式フィルタにより濾過することにより、粉塵類の捕集を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2595193号公報
【特許文献2】特許第3803402号公報
【特許文献3】特開2009−6221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、排煙は、炉内に流入した空気及び燃焼反応によって生成した混合ガスの中に、熱分解反応によって生成した微小粒子が混在している状態にあると考えられている。したがって排煙中の微粒子が極めて大量に含まれている場合や、排煙中に粘性が高い粘着状物質が含まれている場合、特許文献1に開示されたミスト除去装置の構成を適用すると、外筒の内周壁に設けられたスリットが極めて短時間で塞がってしまうという問題点がある。
【0009】
また、特許文献2では、回転フィルタによって捕捉された液分及び粉塵を、回転フィルタを軸芯方向(上下方向)に振動させて払い落とす構成が示されているが、回転フィルタを上下動するための構成が複雑であると共に、タール等の極めて粘性が高い液分を払い落とすのが困難であるという問題点がある。
【0010】
特許文献3に開示された集塵装置は、エアブローノズルを備えることにより、回転式フィルタに対して、その外周面に圧力エアーを常に吹き付けることが可能である。したがって、集塵装置の稼働中(粉塵類の捕集中)であっても、回転式フィルタを洗浄して、常に回転式フィルタを良好な状態に保持することができる。
【0011】
しかし、特許文献3の集塵装置の構成を排煙処理装置に適用しても、排煙中にはタール等の粘性が極めて高い物質が含まれているため、十分な除去効果を得ることが難しい。すなわち、粘性の高い物質が回転式フィルタに付着した際、エアブローノズルから圧力エアーを吹き付けても、十分な除去効果が得られないという問題点がある。また、エアブローノズルによって圧力エアーを常に吹き付ける構成を排煙処理装置内に備える必要があり、装置構成が複雑化するという不都合がある。
【0012】
一般に、タール等の粘性の高い液分は、粘着力が高く、固化し易いという性質を備えているため、付着後直ちに除去する必要がある。しかし、粘性が極めて高い粘着物質が含まれる排煙を処理する際、上記の特許文献1〜3に開示された技術を用いても、粘性物質を効率的に除去することができず、長時間の連続運転を安定して行うことができない。したがって、排煙処理装置において、タール等の粘性の高い物質を効率的に除去可能な技術が求められていた。
【0013】
本発明の目的は、タール状等の粘性の高い物質を多く含む排煙を処理する際に、粘性の高い物質の除去効率を高く維持すると共に、長時間の連続運転が可能な排煙処理装置を提供することにある。また、排煙中に存在する可燃性成分が常時回収可能であり、長時間連続運転可能な排煙処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、請求項1の排煙処理装置によれば、外筒と、該外筒内で回転する回転構造体とを備え、該回転構造体内に導入される排煙から液分を分離する排煙処理装置であって、前記外筒は、前記排煙を導入する排煙導入管と、前記排煙から分離されたガスを排出するガス排出管と、前記排煙から分離された液分を排出する液分排出管と、が接続され、前記回転構造体は、内部に前記排煙が流入し延在方向を軸として回転すると共に内表面から外表面を貫通する放散口が複数形成された回転式排煙導入管と、該回転式排煙導入管の周囲に互いに隣り合って当接して配設されて前記液分が衝突する複数の衝突板と、を有し、該衝突板は、前記外筒の周方向上で隣り合う前記衝突板間の距離が、前記外筒の径方向外側に向かって狭窄するように配設され、前記回転構造体の回転時、隣り合う前記衝突板間に間隙を生じるように撓む可撓性の板材からなること、により解決される。
【0015】
本発明の排煙処理装置において、回転式排煙導入管の内部に排煙を流入させ、回転式排煙導入管の延在方向を軸として回転構造体を回転させることにより、放散口から排煙及び排煙中に含まれる微粒子や液分が飛散する。このとき、比重の重い微粒子や液分は遠心力を受けて外周方向に飛散しやすくなる。そして、排煙に含まれる微粒子や液分の中でも、粘着性が高いものは回転式排煙導入管の周囲に配設された衝突板に衝突すると共に、その粘着性に起因して互いに凝集する。その後、衝突板によって凝集した液分は、そのまま流下して外筒底部に蓄積されるか、或いは遠心力を受けて衝突板の表面上を外周方向へ向かって移動する。
このとき、外筒の周方向上で互いに隣り合って配設された衝突板間の距離が、外筒の径方向外側(外周方向)に行くに従い狭窄して配設されているため、その狭窄部(衝突板の端部)近傍の排煙の密度が高くなり、排煙中の液分(微粒子)をより凝集しやすくすることができる。そして、凝集した液分は、狭窄部から回転構造体の外側へ向かって飛散し、その後、外筒底部へ流下する。
このように、本発明の排煙処理装置は、排煙中に含まれる粘性の高い液分を衝突板によって凝集させて流下させる構成であるため、液分を濾過するフィルタを備えた構成の装置とは異なり、目詰まりしにくく、長時間の連続運転が可能となる。
そして、本発明の衝突板は、可撓性の板材によって形成されている。したがって、回転構造体を高速で回転させて衝突板に遠心力を与えることにより、衝突板が撓んで変形し、隣り合って配設された衝突板同士の距離(すなわち、狭窄部の間隙)が大きくなる。その結果、狭窄部に液分が堆積することなく、狭窄部から効果的に液分を外周方向へ飛散させることができる。さらに、排煙中に含まれる液分以外の成分(粉塵等の固体成分)もまた、狭窄部の間隙を大きくすることにより、効果的に除去可能である。
このように、本発明の排煙処理装置は、衝突板によって排煙中の液分を凝集させ、下方に流下させることにより排煙から液分を分離するため、フィルタの目詰まり等による不具合を生じることなく、長時間安定して動作する。
そして、衝突板を可撓性の板で構成することにより、回転構造体の回転数に依存して、衝突板間の狭窄部の大きさを制御することが可能である。したがって、回転構造体は回転数(回転速度)に応じて自浄作用を備えるため、特別な洗浄機構を備えなくても、回転構造体において粘性の高い液分が堆積することなく、長時間安定して動作させることができる。
さらに、外筒底部に蓄積した液分を液分排出管で抜き取ることにより、液分は燃料として回収することができる。このように、液分が連続的に排出されることにより、本発明の排煙処理装置は長時間連続して運転することができる。
【0016】
このとき、前記衝突板は、前記外筒の径方向内側の面の少なくとも一部に複数の微小突起が形成されてなると好適である。
このように、衝突板の内側面(内周方向の面)において、微小突起が複数形成された構成とすることにより、排煙が接触する面積を大きくすることができる。その結果、排煙中の液分が衝突板に接触する頻度が高くなるため、液分が凝集しやすくなり、効率的に排煙中の液分を分離することができる。
また、隣り合う衝突板の狭窄部において微小突起を備えることにより、周方向上で隣り合う衝突板の狭窄部における間隙が閉塞することなく、微小突起分の間隙が確保されるため、より効率よく液分を排出することが可能となる。その結果、狭窄部の間隙から液分やその他の固体成分が飛散されるため、液分や固体成分が回転構造体に堆積することなく、効率的に除去可能である。
【0017】
また、このとき、前記回転構造体は、前記外筒の同一径方向上に前記衝突板を複数備えてなると好ましい。
このように、外筒の同一径方向上に複数の衝突板を備えることにより、回転式排煙導入管から放散された排煙に含まれる液分は、衝突板に衝突しやすくなる。すなわち、液分が衝突板に衝突する頻度が高くなるため、排煙中に含まれる液分を効率的に分離することができる。
【0018】
さらにこのとき、前記衝突板は、平面視円弧状に形成されてなると好適である。
このように、衝突板を平面視円弧状に形成することにより、平面状に形成された場合と比較して、排煙が衝突板に接触する面積を大きくすることができる。したがって、排煙中の液分の接触率が向上するため、液分が凝集しやすくなり、より効率的に液分を分離することができる。
【0019】
また、このとき、前記回転式排煙導入管を中心として放射状に配設される第1の補助衝突板をさらに備えてなると好適である。
このように、回転構造体において、衝突板だけでなくさらに補助衝突板(第1の補助衝突板)を備えることにより、排煙が接触する面積をさらに大きくすることができる。したがって、排煙中の液分が衝突する頻度が高くなるため、より凝集しやすくなり、さらに液分を効率的に分離することができる。
【0020】
また、前記外筒の内壁と前記衝突板との間には、前記液分が衝突する液滴捕獲グリッドと、該液滴捕獲グリッドと前記衝突板との間に配設される第2の補助衝突板と、前記外筒の内壁から前記外筒の径方向内側に突出した外筒側衝突板と、をさらに備えてなると好適である。
このように、本発明の排煙処理装置において、外筒の内壁と衝突板(すなわち、回転構造体)との間に液滴捕獲グリッド、第2の補助衝突板、外筒側衝突板をさらに備えた構成とすると、衝突板から飛散した液滴の粒径をさらに増大させることができる。
衝突板の狭窄部から飛散した液分は、第2の補助衝突板に衝突し、さらに径方向外側(外周方向)へ飛散する。また、液滴捕獲グリッドを透過した液分は外筒の内壁に衝突することにより、さらに凝集し、液滴をさらに増大させることができる。さらに、外筒側衝突板に液分が衝突することにより、液滴の粒径が拡大されるため、液分の分離効率をさらに向上させることができる。
また、第2の補助衝突板を備えることにより、外筒内部の排煙の気流を整流することができ、さらに効率的に液分を分離することができる。
【0021】
また、前記外筒内であって前記衝突板よりも下方位置には、前記外筒内部を横断する気液分離板が配設され、該気液分離板は、上面から下面を貫通して下方に延設された管体からなるサイフォンを複数備えてなると好適である。
このように本発明の排煙処理装置は、その内部上方を「粘着性物質結合領域」、内部下方を「気液分離領域」に二分する気液分離板を備える構成とすると良い。そして、気液分離板には外筒下方に延設されるサイフォンが配設される。気液分離板にサイフォンを設けることにより、「気液分離領域」の内部における乱気流の発生を防止し、気液分離効果を高めることができる。また、サイフォンを備えた構成とすることで、排煙を流入させるために用いられる送風機によって、装置内部の圧力が低下するのを抑制することができる。
【0022】
さらにまた、前記気液分離板の縁端は、前記外筒の内壁から離間して形成されてなると好ましい。
このように、気液分離板の縁端と外筒の内壁の間に間隙を設けることにより、気液分離領域の上方に区画された粘着性物質結合領域において凝集した液分が流下しても、気液分離板上に堆積することがない。その結果、液分が気液分離板の下方に区画された気液分離領域に速やかに流下するので、気液分離板上に液分が蓄積して固化することがなく、長時間連続して運転することが可能となる。
【0023】
さらに、前記排煙導入管及び前記ガス排出管は、一端が前記外筒と接合された接続部をそれぞれ備え、他方の端部が前記接続部に対して上方に配設されてなると好ましい。
このように、排煙導入管及びガス排出管が、外筒に対して傾斜して配設され、且つ外筒との接続部がそれぞれ開口部に対して低くなっているため、排煙中又は処理後のガス中に含まれた水等の液分が外筒内部に流入する構成となっている。排煙導入管及びガス排出管を水平に接続すると液分が排煙導入管及びガス排出管の内部で滞留する可能性があるが、排煙導入管及びガス排出管を傾斜して接続することにより、液分の滞留を防止することができる。
【0024】
また、前記外筒は、開状態又は閉状態を維持する外筒分割機構を備え、前記外筒は複数部分に分割されると好適である。
このように、外筒を複数部分に分割し、外筒の一部分を開閉できる構成とすると、回転構造体や、液滴捕獲グリッド等、外筒の内部に収納されている部材の洗浄や保守作業を容易に行うことができる。
【0025】
さらにまた、前記外筒、前記排煙導入管、前記ガス排出管、前記回転式排煙導入管のうち少なくとも一つの内部には、前記排煙から分離された液分を溶解する溶剤を流通させる機構を備えてなると好ましい。
このように、排煙処理装置内において特に液分が蓄積しやすい箇所に液分を溶解させる機構を備えることにより、内部の洗浄作業をより簡単に行うことができ、長時間安定して作動させることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明の排煙処理装置では、排煙に含まれる粘着性の微粒子を衝突板に衝突させて凝集させ、液分を流下させる構成であるため、フィルタで微粒子を濾過する装置のように目詰まりすることなく、長時間の連続運転が可能な排煙処理装置を提供することができる。本発明の排煙処理装置は、隣り合う衝突板が外筒の径方向外側(外周方向)に行くに従って狭窄するように形成されているため、その狭窄部近傍において排煙の密度が向上する。したがって、衝突板上で排煙中の液分(微粒子)が凝集する効率が高いため、排煙に含有された微粒子や液分の除去効率を向上させることができる。
そして、衝突板が可撓性を備える板材によって形成されているため、回転構造体を回転させる速度に応じて、衝突板が変形して狭窄部の間隙を拡大することができる。したがって、本発明の排煙処理装置は、排煙中に粘性の高い物質が多く含まれていても、衝突板上の液分や固体成分を効果的に除去することができ、長時間安定して連続運転することができる。
さらにまた、排煙中に存在する液分が外筒の底部に蓄積した後、その液分を回収可能であるため、長時間連続運転可能な排煙処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る排煙処理装置と生成燃料貯蔵タンクの概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る排煙処理装置の内部構造を示す概略斜視図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】図2のB−B線における断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る排煙処理装置に備えられる衝突板の説明図である。
【図6】(a)本発明の一実施形態に係る衝突板の正面図である。(b)本発明の一実施形態に係る衝突板の上面図である。
【図7】(a)本発明の他の実施形態に係る衝突板の正面図である。(b)本発明の他の実施形態に係る衝突板の上面図である。
【図8】(a)本発明のさらに他の実施形態に係る衝突板の正面図である。(b)本発明のさらに他の実施形態に係る衝突板の上面図である。
【図9】(a)本発明のさらに他の実施形態に係る衝突板の正面図である。(b)本発明のさらに他の実施形態に係る衝突板の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置、材料等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0029】
図1乃至図6は本発明の一実施形態に係るものであり、図1は排煙処理装置と生成燃料貯蔵タンクの概略斜視図、図2は排煙処理装置の内部構造を示す概略斜視図、図3は図2のA−A線における断面図、図4は図2のB−B線における断面図、図5は排煙処理装置に備えられる衝突板の説明図、図6(a)は衝突板の正面図、図6(b)は衝突板の上面図である。また、図7乃至図9は本発明の他の実施形態に係るものであり、図7乃至図9において、(a)は衝突板の正面図、(b)は衝突板の上面図である。
【0030】
<<排煙処理装置100の基本構成>>
本実施形態に係る排煙処理装置100は、図1で示すように、円筒状に形成されており、上方から排煙が導入される。そして、排煙処理装置100の下方に備えられた液分排出管14によって生成燃料貯蔵タンク200と接続されている。生成燃料貯蔵タンク200には、排煙処理装置100において排煙から分離されたタール等の可燃性成分(燃料)を貯蔵することができる。そして生成燃料貯蔵タンク200は、下方にバルブ210が設けられており、バルブ210を開くことにより、内部に貯蔵された燃料を適宜別の容器に移し替えることができる。
【0031】
本発明に係る排煙処理装置100の構成に関し、図2乃至図9を参照して説明する。
排煙処理装置100は、略鉛直方向を軸方向とした外筒10と、その内部に配設される回転構造体20を備えている。外筒10には、排煙導入管11と、ガス排出管13と、液分排出管14とが接続されている。外筒10には、その内部に配設される回転構造体20の回転軸となる回転式排煙導入管21を軸支する導入管回転軸受12と、回転式排煙導入管21に接続されるシャフト26を軸支するシャフト回転軸受15が配設されており、その内部が密閉できる構成である。
【0032】
そして、円筒状の外筒10の軸方向中間付近には、外筒分割機構16が備えられており、外筒10は、外筒上部10aと、外筒下部10bに分割可能である。外筒分割機構16は、外筒上部10aに対して外筒下部10bを開状態又は閉状態に固定するものである。したがって、外筒上部10aと、外筒下部10bとを固定することができる構成のものであれば、ヒンジ等、公知のいかなる技術を用いてもよい。外筒分割機構16を備えることにより、外筒上部10aと外筒下部10bを分割して、その内部をメンテナンスすることが容易となる。
【0033】
また、外筒上部10aと外筒下部10bが互いに接合する面は、密閉性が保持できるようにシール機構を備えていると好ましい。
そして、外筒上部10aと外筒下部10bに分割し、回転構造体20(図2参照)や第2の補助衝突板41、液滴捕獲グリッド42、外筒側衝突板43(図4参照)を取り外すことにより、排煙処理装置100内の調整、洗浄を容易に行うことができる。
【0034】
本実施形態では、外筒10を上下に二分割する構成を示しているが、三以上の複数部分に分割し、粘着性物質が堆積した部分を洗浄する構成としても良い。
外筒10の材質は、セメント、煉瓦、金属などを用いることができるが、機械的強度、耐候性、耐食性、耐熱性等が高いものを用いるのが好ましい。したがって、ステンレス鋼が好適に用いられる。
【0035】
また、外筒上部10aの上方には、外筒10の軸芯方向に突出した凸部10cが設けられており、排煙導入管11は、凸部10cに接続される。排煙導入管11は、排煙導入口11aから排煙が導入され、排煙導入口11aは、焼却設備等、排煙が発生する装置及び設備に接続される。そして、外筒10の凸部10cに対して排煙導入管11の延在方向が略水平となるように接続されているが、このとき、導入管接続部11bが排煙導入口11aと比較して低くなるように配設されていると好ましい。この構成により、排煙導入管11が傾斜して配設されるため、排煙内に含有される水等の液分が凝集しても排煙処理装置100内に流入させることができる。
【0036】
凸部10cには、回転構造体20の回転式排煙導入管21が挿通され、凸部10cの付け根部分(外筒上部10aと凸部10cの境目)には、導入管回転軸受12が備えられている。導入管回転軸受12は、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円錐ころ軸受等、公知の軸受けが用いられる。
【0037】
また、凸部10cに挿通される回転式排煙導入管21の上端と、凸部10cの内壁との間には、回転式シール機構17が備えられ、排煙導入管11から導入された排煙が漏れることなく回転式排煙導入管21に流入する構成となっている。回転式シール機構17は、回転式排煙導入管21に対して密封性の高いものであれば、公知の技術を適用可能である。
【0038】
本実施形態では、凸部10cの上方が開口しており、その周囲にフランジが設けられた構成を説明しているが、この開口上部に適当な装置を組み付ける構成としても良い。排煙処理装置100に備え付けられる装置として例えば、回転式排煙導入管21(図2参照)の内部に堆積した残留物を洗浄する自動管内クリーニング装置が挙げられる。
また、凸部10cの上方は必ずしも開口している必要はなく、凸部10cの側面と連続して閉塞した構成としてもよい。
【0039】
外筒下部10bの底面には、液分排出管14が配設され、外筒10の内部に蓄積した液体成分を抜き出すことが可能である。また、外筒下部10bの下方の壁面にはガス排出管13が配設されており、外筒10の内部で処理されたガスが排出される。そして、排煙導入管11と同様に、ガス排出管13も傾斜して取り付けられている。すなわち、ガス排出口13aが排出管接続部13bよりも若干高い位置に配設され、内部に凝集した液分が排煙処理装置100内に流入する構成となっている。
【0040】
外筒下部10bの底面には回転構造体20のシャフト26が挿通されており、当該部分には、シャフト回転軸受15が配設されている。なお、シャフト回転軸受15は、導入管回転軸受12と同様に、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円錐ころ軸受等、公知の軸受けが用いられる。また、シャフト26と外筒下部10bの底部との間に、シール機構を設ける構成としても良い。
【0041】
本発明の排煙処理装置100は、上記構成の外筒10の内部に回転構造体20が取り外し可能に嵌合され、外筒10の軸芯方向、すなわち略鉛直方向に沿って配設された回転式排煙導入管21及びその下方に配設されたシャフト26を軸として、回転構造体20が回転する構成である。なお、シャフト26には不図示のモーター(回転制御装置)が取り付けられており、モーターによってシャフト26を回転させることにより、回転構造体20が連動して外筒10内で回転する。
【0042】
<<回転構造体20の基本構成>>
回転構造体20は、排煙中に含まれる微粒子(液分)を凝集させる役割を担うものである。回転構造体20は、回転式排煙導入管21の周囲に、回転構造体20の回転に伴ってたわむ程度の可撓性を備えた板材からなる衝突板23を保持するための衝突板保持枠22が取り付けられている。そして以下に詳述する衝突板23、第1の補助衝突板29は、回転式排煙導入管21を軸としてその周囲を取り囲むように配設される。衝突板保持枠22は所定の間隔をあけて回転式排煙導入管21の軸方向に沿って複数段配設されており、各衝突板保持枠22の間には、板状の架橋部22bが架設されている。
【0043】
そして衝突板23及び第1の補助衝突板29は、離間して所定数配設された各衝突板保持枠22の間に架設される。回転式排煙導入管21は、最上段に配設された衝突板保持枠22よりも上方に延設されて凸部10cに達し、最下段に配設された衝突板保持枠22よりも下方に延設される。
【0044】
衝突板保持枠22は、図3に示すように、回転式排煙導入管21の表面に対して略垂直に接合された支持部22aによって支持されている。なお、図3は簡略化のため、衝突板23の一部を省略して図示しているが、通常は衝突板保持枠22及び支持部22aによって区画される領域内の全域にわたって衝突板23が備えられる。支持部22aは、略円盤状の板体であり、回転式排煙導入管21の表面に溶接等の手段によって接合されている。したがって、衝突板保持枠22に固定された衝突板23は回転式排煙導入管21に対する相対位置を一定とし、回転式排煙導入管21を軸として回転することができる。回転式排煙導入管21を軸として回転構造体20を回転させた際に安定して回転させるため、支持部22aは、互いに等間隔となるように複数配設されている。なお、本実施形態で支持部22aは回転式排煙導入管21の外表面上に接合された5枚の板片によって構成されているが、この数に限定されるものではない。
【0045】
また本実施形態において、衝突板保持枠22は回転式排煙導入管21を軸として、その外側に平面視円形状に形成されているが、平面視軸対称形状であれば、六角形等のその他の形状としても良い。また、衝突板保持枠22は、全体として円筒状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、角柱形状、風車形状、扇形状、渦巻き形状、束管形状、積層形状等、回転式排煙導入管21を軸として均一に回転させることが可能な形状であればよい。
【0046】
衝突板23は、衝突板保持枠22の支持部22a上に備えられた固定部22cに対して固定されることにより、衝突板保持枠22の支持部22aと、架橋部22bとによって区画される領域内に保持される。このとき、図5のように、衝突板保持具28の固定部28bと、衝突板保持枠22に備えられた固定部22cとが締結手段28eによって固定される。
【0047】
衝突板23は、適当な板厚で形成されることにより、回転構造体20が所定回転数以上の時に変形可能な可撓性を備え、且つその可撓性が減退しない材料により形成されている。これにより、図5に示すように、回転構造体20の回転時、隣り合う衝突板23は、狭窄部23aにおいて間隙23bが生じるように撓むことができる。
また、衝突板23の材料は、含水性及び含油性がなく、耐油性、耐熱性(100〜200℃程度)が高いものが好ましい。また、粘着性物質が脱離し易い材質であると共に、軽量であることが望ましい。
このような条件を満たすものであれば材質は限定されるものではなく、たとえば、ステンレス板、鋼板、フッ素樹脂やポリアミド系合成繊維等の耐油性耐熱性樹脂等が挙げられる。
【0048】
回転式排煙導入管21は外筒10に対して内筒に相当し、上端部が開口した管体であり、外筒上部10aの凸部10cに嵌入される。そして、排煙導入管11から流入した排煙が回転式排煙導入管21の上端から流入する構成である。なお、本実施形態においては上端部が開口した回転式排煙導入管21を示したが、これに限定されず、パイプ内に排煙を導入する構造であると共に、内部に堆積した液分が容易に除去できる構造であれば、その構造は限定されることはない。
【0049】
なお、本実施形態では、回転式排煙導入管21の内部に堆積した残留物を除去するため、排煙処理装置100の凸部10cの上方に備えられた開口部に、自動管内クリーニング装置を配設し、回転式排煙導入管21に接続した構成を例示しているが、これに限定されず、その他の構成により、回転式排煙導入管21の内壁を洗浄できる構成としてもよい。
【0050】
そして、回転式排煙導入管21は、内表面から外表面まで貫通する微小な放散口21aが複数形成されている。回転式排煙導入管21に排煙が流入すると、回転式排煙導入管21が回転した時、遠心力により放散口21aから排煙が流出し、回転構造体20に到達する。
なお、排煙から微粒子を分離する工程に関しては後述する。
【0051】
回転式排煙導入管21の下端部は閉口しており、その近傍の側壁面にはドレン抜き口21bが形成され(図3参照)、回転式排煙導入管21の内部に付着した液分が排出される構成となっている。
【0052】
回転式排煙導入管21の下方であって軸芯上には、不図示のモーターに接続されたシャフト26が接合されている。モーターの動力によりシャフト26が回転すると、それと連動して回転式排煙導入管21、衝突板保持枠22及び衝突板23が外筒10内で回転する。
【0053】
また、衝突板保持枠22が回転式排煙導入管21に接合された部分の上端及び下端には、略ドーナツ形状の上部気流制御板24及び下部気流制御板25(図3参照)が取り付けられている。上部気流制御板24及び下部気流制御板25は、それぞれ回転式排煙導入管21の外周面に沿って形成されており、衝突板保持枠22の上方又は下方において、それぞれ回転式排煙導入管21に嵌合されている。
【0054】
上部気流制御板24及び下部気流制御板25を設けることにより、回転式排煙導入管21の放散口21aから流出する排煙の気流を鉛直方向及び水平方向に調整することができ、排煙を効率よく衝突板23に透過させることができる。
【0055】
回転構造体20を構成する部材のうち、衝突板23以外(回転式排煙導入管21、衝突板保持枠22等)の材質は、回転時の摩耗に耐えうる機械的強度、耐候性、耐食性、耐熱性等が高い金属を用いるのが好ましい。したがって、ステンレス鋼が好適に用いられる。
【0056】
<<気液分離板30の構成>>
本発明の排煙処理装置100内では、回転構造体20の下方に、外筒10の内部を仕切るように形成された気液分離板30が配設される。気液分離板30は回転構造体20によって分離された液分と、処理されて微粒子が除去された後のガスを分離するために設けられ、外筒10の内部を上下に二分する構成である。
【0057】
外筒10の内部を横断する気液分離板30が外筒10に対して固定手段によって設置されることにより、気液分離板30の上方で排煙中から微粒子を分離するための粘着性物質結合領域と、気液分離板30の下方で微粒子と処理済のガスとを分離する気液分離領域とに分割される。
【0058】
気液分離板30は、その縁端が外筒10の内壁に対して所定距離離間した大きさに形成されている。本実施形態において、気液分離板30は、外筒10の内径よりもわずかに直径が小さい円板によって形成されている。この構成により、排煙から分離された液分が、外筒10と気液分離板30との間に形成される隙間を通って下方の気液分離領域に流入しやすくすることができる。
したがって、気液分離板30は、気液分離領域内において乱気流が発生するのを防止して気液分離効果を高めることができる。
【0059】
気液分離板30には、複数の円筒状のサイフォン31が設けられており、分離された液分は、サイフォン31の内部を伝って外筒10の下方に蓄積する。サイフォン31は、気液分離板30の板面から下方に向かって略鉛直となるように形成されている。
【0060】
サイフォン31は、排煙が通過するように配設された不図示の送風機によって生じる気流により生じる圧力の低下を抑制するため、外筒10の内壁の近傍、及び回転式排煙導入管21の近傍に配設される。
【0061】
サイフォン31を配設することにより、外筒10の内壁近傍の間隙には下降気流を発生させ、回転式排煙導入管21の周囲には上昇気流を発生させることによって対流を起させ、気液分離領域内の気流を整流することができる。
【0062】
また、気液分離板30にはその中心部に、鉛直方向に延設された筒部32を備えている。筒部32は、気液分離板30の板面から下方に向かって開口して形成されており、その内部には回転式排煙導入管21の下端及びシャフト26の上端が挿入される。筒部32の内径は、回転式排煙導入管21の外径よりも若干大きく形成されており、回転式排煙導入管21が回転する際に干渉しないように設計されている。
【0063】
また、筒部32の内部には、少なくとも回転式排煙導入管21の下方に設けられたドレン抜き口21bが配設される位置まで回転式排煙導入管21が挿入される。この構成により、ドレン抜き口21bから流出した液分が、外筒10の底部に蓄積しやすいため、好適である。
【0064】
気液分離板30の下方に蓄積した液分は、外筒10の底面に配設された液分排出管14から適宜排出され、燃料として排煙処理装置100の下方に設けられた生成燃料貯蔵タンク200に蓄えられる。一方、微粒子が取り除かれ、浄化されたガスは、気液分離板30の下方に接続されたガス排出管13から排出される。
【0065】
気液分離板30、サイフォン31、筒部32は一体に成形されており、これらを構成する部材の材質は、機械的強度、耐候性、耐食性、耐熱性等が高いものを用いるのが好ましい。したがって、ステンレス鋼が好適に用いられる。
【0066】
<<衝突板23の構成>>
次に、回転構造体20に備えられた衝突板23について、図4乃至図9を参照して説明する。
【0067】
衝突板保持枠22は、回転式排煙導入管21を軸として配設された板材によって構成されており、その間に衝突板23が配設される。
衝突板23は、排煙中に含まれた液分(微粒子)を衝突させて凝集させるために備えられ、平面視略円弧状、側面視略矩形状の板材であり、円筒の一部を切り取ったような形状である。
衝突板23は、回転式排煙導入管21を中心として放射状に配設されており、外筒10の周方向上で互いに隣り合って当接して配設されている。そして、隣り合う一対の衝突板23,23同士の距離は、外筒10の径方向外側に向かって狭窄して配設されている。なお、隣り合う一対の衝突板23,23の形状は平面視スロート状のものを図示しているが、衝突板23の形状はこれに限定されるものではなく、多様な形状の衝突板23が適用可能である。
【0068】
隣り合う一対の衝突板23,23同士の距離が、外筒10の径方向外側に向かって狭窄して配設されることにより、排煙の密度を大きくして、排煙中に含まれる液分(微粒子)同士の衝突機会(衝突確率)を増大させることができる。その結果、排煙中の液分(微粒子)同士の接触が促進され、排煙中の微粒子や液分が凝集しやすくなり、効率的に排煙から分離することができる。
【0069】
平面視略円弧状の板材からなる衝突板23は、図5に示すように、同じく平面視略円弧状に形成された保持部28aを有する衝突板保持具28によって保持されている。衝突板保持具28は、衝突板23を保持すると共に衝突板保持枠22に固定される部材であり、平面視略扇形に形成されている。衝突板保持具28は、衝突板23に当接して配設され、衝突板23を略円弧状に保持する板材である保持部28aと、衝突板保持枠22に固定される板材である固定部28bと、保持部28aと固定部28bとに架設されて保持部28aを支持する板材である支持部28cとを備えている。固定部28bと支持部28cとは、平面視略垂直に固定されており、保持部28aが円弧の径方向内側に撓むのを阻止する。
【0070】
そして、衝突板保持具28は、二つを組み合わせた状態で締結手段28d(ボルト−ナット等)によって互いに固定され、二つの衝突板23,23を保持していると共に、衝突板保持枠22に固定される。このとき、固定部28bは、回転式排煙導入管21を中心として放射状に、外筒10の径方向に沿って配設される。そして、保持部28aが外筒10の径方向内側に向かって膨出するように配設される。なお、図5中には締結手段28dを二箇所に設けた構成を図示しているが、この数に限定されるものではない。
【0071】
上記のように、二つ組み合わせた状態で配設される衝突板保持具28は、一方の衝突板保持具28の固定部28bが、他方と比較して外周方向側に長く形成されている。この長く形成された部分において、締結手段28eが取着され、衝突板保持枠22に衝突板保持具28(さらには、衝突板23)が固定される。
【0072】
衝突板23は、平面視略円弧状に形成された板材であり、平面視(図5の状態)の時、一端(自由端)側である狭窄部23aは隣り合う他の衝突板23の一端(自由端)側である狭窄部23aとごく僅かな空間をあけて配設されている。そして、衝突板23の他端(固定端)側は、衝突板保持具28の保持部28aと固定部28bの形状に沿って折り曲げられ、一組の衝突板保持具28,28の固定部28b,28bの間に狭持される。そして、衝突板23は、上記の締結手段28dによって衝突板保持具28に保持される。
【0073】
また、衝突板保持具28には、不図示の付勢部材(バネ等)が備えられていても良い。この付勢部材により、衝突板23が外筒10の径方向内側(換言すると、周方向において隣り合う衝突板23側)に向かって付勢された構成とすると良い。このような構成を備えることにより、隣り合って配設される一対の衝突板23,23は、端部(狭窄部23a,23a)の間に形成される間隙23bが狭まるように保持される。
【0074】
なお、この狭窄部23aの長さ(内周側から外周側までの幅)は、排滴力(すなわち、衝突板23において、外筒10の径方向外側の端部から液分が排出される能力)を考慮して、適宜設定される。狭窄部23aが長すぎると、遠心力による排滴力よりも、滴化した液分(微粒子)の粘着力の方が大きくなるため、遠心力と粘着力の関係を考慮して、狭窄部23aの長さが決定される。
【0075】
衝突板23において、少なくともその一部には、複数の微小突起23cが形成されている。この微小突起23cを設けることにより、排煙が接触する面積を大きくし、その結果、排煙に含まれる液分をより凝集しやすくすることができる。また、微小突起23cを備えることにより、隣り合って配設される一対の衝突板23,23において、狭窄部23a,23aの間隙23bの幅を微小突起23cの高さ分だけ確保することができ、間隙23bが閉塞状態となるのを防ぐことができる。すなわち、衝突板23の狭窄部23aにおいて、微小突起23cを備えることにより、間隙23bの幅を確実に形成する(確保する)ことができる。
【0076】
このように、微小突起23cの高さ(衝突板23の平滑面から微小突起23cの最も高い部分までの距離)に依存して間隙23bの幅が決定される。したがって、排煙中の液分の粘度及び微粒子の粒子径を考慮して微小突起23cの高さが適宜決定される。このとき、回転構造体20の回転式排煙導入管21の回転数や、送風圧力等を考慮して微小突起23cの高さを決定すると、さらに効率よく排煙から液分(微粒子)を除去することが可能となる。本実施例において、微小突起23cの高さは0.4mmとした。
【0077】
微小突起23cは、衝突板23の全面に形成されていても良いが、特に狭窄部23aに設けられていると好ましい。狭窄部23aに微小突起23cを備えることにより、排煙が高密度で集中する狭窄部23a近傍において、排煙が接触する面積が大きくなるため、排煙中に含まれる液分がさらに凝集しやすくなり、好ましい。
【0078】
なお、図5中において、微小突起23cは、一対の衝突板23,23のうち、片方の衝突板23において形成されているが、両方の衝突板23,23に設けられていてもよい。また、図5中において、微小突起23cが衝突板23の片面に形成された例を示したが、両面において形成されていても良い。
【0079】
微小突起23cは、プレス、型押し、メッキ、シルク印刷等の手法によって形成される。手法として印刷を用いる場合はタール等の粘性の高い物質が粘着しにくいフッ素樹脂等の材料を用いるとよい。ただし、微小突起23cを形成する材料としてはこれに限定されず、耐油性、耐熱性のある材料を適宜用いることができる。
【0080】
以下に、図6乃至図9を参照して、微小突起23cのパターン形状の例を示す。なお、各図とも、(a)は衝突板23の正面図であり、図面右方向は狭窄部23aに相当する部分である。また、(b)は衝突板23の上面図を示している。
【0081】
図6は、微小な点状突起が分散したパターンである。衝突板23上に、印刷やメッキ等の手法により、点状突起が形成される。なお、以下に説明する微小突起23cの各パターンの中でも、点状突起が最も簡便に形成しやすく、好適である。
【0082】
図7は、帯状突起が形成されたパターンである。正面視において、略三角形状の帯状突起が縦方向に並設されている。この形状の微小突起23cは、樹脂の金型成形等によって形成されると好ましい。
また、図8は、図6と同様に微小な点状突起が分散したパターンであるが、衝突板23がプレス成形、型押し成形、打出し成形等によって微小突起23cが形成されたものである。
【0083】
さらに、図9は、衝突板23の表面を切削加工して帯状溝によって微小突起23cを形成した例である。図9の例は、図7の例とは反対に、略三角形状の帯状溝が縦方向に並設するように切削されている。
以上、微小突起23cの形状及び加工方法を例示したが、上記に限定されるものではなく、その他の形状、加工方法を用いてよいのは勿論である。
【0084】
<<第1の補助衝突板29>>
回転構造体20は、図4に示すように、上記の衝突板23の他に、さらに第1の補助衝突板29を備えている。第1の補助衝突板29は、衝突板23と同様に、回転式排煙導入管21を中心として放射状に配設されている。そして、第1の補助衝突板29は、平面視略円弧状(半円形状)の板材によって形成されており、衝突板23と同じく、円筒の一部を切り取ったような形状である。そして、第1の補助衝突板29の中心点29aは、外筒10の内周方向に備えられた一対の衝突板23,23の間隙23bに対し、外筒10の外周側であって、同一径方向上に配設される。
【0085】
第1の補助衝突板29もまた、回転構造体20の衝突板保持枠22に固定されており、回転式排煙導入管21が回転すると、その動きに伴って回転する。すなわち、一対の衝突板23,23と、第1の補助衝突板29とは、常に一定の相対位置が保持される。
【0086】
したがって、外筒10の内側(回転式排煙導入管21側)に備えられた一対の衝突板23,23の間隙23bから外周方向へ飛散した液分が、第1の補助衝突板29に衝突してさらに凝集する。したがって、第1の補助衝突板29がさらに回転構造体20に備えられることにより、さらに効率よく排煙中の液分を回収することが可能となる。
【0087】
そして、図4のように、第1の補助衝突板29の外周には、さらに衝突板23が備えられた構成とすると、排煙中の液分(微粒子)の衝突回数が増すため、より効率よく回収することができる。なお、この時、第1の補助衝突板29の縁端部29bが、外周に配設される衝突板23の固定端に対して同一径方向状に配設された構成とすると良い。このような構成とすることにより、第1の補助衝突板29から外周へ飛散した液分は、衝突板23上を確実に伝わらせることができ、その結果、液分の粒径が増大しやすくなるため、好ましい。
【0088】
なお、本実施例では、衝突板23を二段階設けた例を示したが、第1の補助衝突板29を含め、さらに多段階の構成としてもよい。また、排煙中に含まれる液分(微粒子)が大量でない場合は、衝突板23を一段階のみ設けた構成としても良い。
【0089】
<<排煙中液分(微粒子)の分離機構>>
以下、本発明の排煙処理装置100を用いて排煙中の液分(微粒子)を分離する構成に関し、図4及び図5を参照して説明する。
【0090】
まず、排煙導入管11から高温の排煙が排煙処理装置100内に導入される。その後、排煙は回転構造体20に備えられた回転式排煙導入管21に流入する。
このとき、回転構造体20は、回転式排煙導入管21及びシャフト26を軸として高速回転させることにより遠心力が作用し、回転式排煙導入管21に形成された放散口21aから排煙が放射状に流出する。
【0091】
なお、図4中の太い矢印は回転構造体20の回転方向を示している。また、液滴D及び排煙の旋回する向きを細い矢印で示している。
【0092】
そして、回転構造体20に備えられた衝突板23に排煙中の微粒子を衝突させ、微粒子の粘着性を利用して微粒子同士を凝集させることができる。したがって、回転構造体20により、排煙中に含まれた微粒子の粒径を増大することができる。
【0093】
さらに、回転構造体20を外筒10内で回転させることにより、粘着性の微粒子同士の衝突回数や接触度合いを増加させることができる。その結果、微粒子の粒径を増大させることができ、高速回転する回転構造体20の外面に到達した排煙中の微粒子は、その粒径が数百倍、数万倍、数十万倍に増大する。したがって衝突板23の間隙23bにおいて目詰まりによる閉塞を防ぐために、微粒子の結合によって生じた液滴Dを順次取り除く必要がある。
【0094】
液滴Dを衝突板23の間隙23bから脱離(飛散)させるため、回転構造体20の回転速度は、排煙中に含まれる微粒子の粘着力、粒径、比重、粘度及び排煙の温度により決定され、適当な遠心力を得られるように調整される。そしてこの時、衝突板23の可撓性(弾性)がさらに考慮され、図5のように、衝突板23の狭窄部23aが撓んで変形し、間隙23bが拡大するような遠心力が得られるように調整される。このように、衝突板23を備えた回転構造体20を、可撓性の板材からなる衝突板23が遠心力によって変形するように高速回転させることにより、微粒子が衝突板23に衝突すると共に、液滴Dが一対の衝突板23,23の間隙23bを通過する。つまり、遠心力によって変形した衝突板23,23の間隙23bから、外周方向に液滴Dが飛散する。
【0095】
この工程を経ることにより、微粒子同士が結合して液滴Dの粒径を増大させることが可能となると共に、遠心力により液滴Dを外周方向に放散させることができる。したがって上述の従来技術のように、静電力や圧力エアー等により液滴Dを除去する構成ではなく、遠心力(より詳細には、遠心力に起因する衝突板23の変形)を利用して液滴Dを収集するため、複雑な構成とすることなく、消費電力を抑えることができると共に、安全性の高い排煙処理装置100を提供することができる。
【0096】
<<その他の分離機構>>
本発明の排煙処理装置100には、上記で説明した衝突板23、第1の補助衝突板29の他にも、排煙中の液分(微粒子)を衝突、凝集させるための構成として、図4に示すように、第2の補助衝突板41、液滴捕獲グリッド42、外筒側衝突板43等の構成を備えている。以下、これらの部材について説明する。
【0097】
遠心力で回転構造体20の周囲に放散した液滴D同士を更に衝突、凝集させ、より大きな粒径にするため、液滴Dを再度網状の液滴捕獲グリッド42に衝突及び通過させる。液滴Dは、回転構造体20の周囲に配置された網状又は簾状の液滴捕獲グリッド42を通過中に更なる凝集が促され粒径を増す。
【0098】
この時、液滴Dが粘度の高いタールであると液滴捕獲グリッド42は短時間で目詰まりしてしまうため、微細な線材を上下方向に延設し、すだれ状に配したものを使用するのが好ましい。
すだれ状の液滴捕獲グリッド42は垂直方向に配設されることにより、再結合した液滴Dが目詰まりしにくくなると共に、下方に流下しやすくなる。
また、十分な通気性及び通液性を備えるものであれば、液滴捕獲グリッド42として微細な孔を形成した板材を用いてもよい。
【0099】
またこの液滴捕獲グリッド42を通過した液滴Dは外筒10の内壁表面に衝突し、さらに凝集する。その結果、液滴Dは粒径を増すため、垂直方向下方に向かって移動しやすい。なお、図4では液滴捕獲グリッド42が外筒10の内周を略四等分する間隔で四箇所に配設されているが、液分を効果的に分離することができれば、外筒側衝突板43の枚数はこれに限定されない。
【0100】
このように、排煙中に含まれる微粒子はタール状になり外筒10の内面を下方に移動し、外筒10の下方に設けられた気液分離領域に蓄積される。
そして、外筒10の下方に液分排出管14を介して配設された生成燃料貯蔵タンク200に液分が流下して燃料として貯蔵され、連続的に液分の回収を行うことが可能である。
【0101】
なお、液分の粘度が高く、下方に自然移動しない程度に粘度が特に高いタールに関しては、外筒10内壁等にスクレーパーを設けて堆積物を強制的に下方に押し流すような構成とすると良い。
【0102】
外筒10と回転構造体20の間には、空隙が形成されており、この空隙内には第2の補助衝突板41、液滴捕獲グリッド42、外筒側衝突板43がそれぞれ4カ所に配設されている。そして、第2の補助衝突板41、液滴捕獲グリッド42、外筒側衝突板43は少なくとも衝突板23が配設される高さ範囲に設けられている。なお、本実施形態では第2の補助衝突板41、液滴捕獲グリッド42、外筒側衝突板43をそれぞれ4カ所配設した構成となっているが、その数は限定されない。ただし、図4のように、これら部材は、配設位置がそれぞれ軸(回転式排煙導入管21の回転軸)対称となっていることが好ましい。
【0103】
第2の補助衝突板41は、平面状の板材からなり、平面視において、回転構造体20が回転式排煙導入管21を軸として回転した時の接線方向にその板面が沿うように複数配設されており、外筒10に対して取り外し可能に配設されている。すなわち、第2の補助衝突板41は、排煙の流路の下流に移行するにしたがって、外筒10との間の流路面積を狭めるように配設されており、後述の外筒側衝突板43に排煙を導き入れるように傾斜している。
【0104】
なお、第2の補助衝突板41の板幅は、外筒10の直径を起点とし、接線方向に沿って回転構造体20が回転する方向に延設された際に、外筒10の壁面に到達しない程度の幅で形成されている。
【0105】
第2の補助衝突板41を設けることにより、回転構造体20から放散された液滴Dや排煙がさらに衝突し、さらに液分(微粒子)を凝集させることができるだけでなく、排煙が流れる向き、及び回転構造体20から放散される微粒子が凝集した液分の飛散方向を調整することができ、液分を一定の方向に集合させやすくなる。そして、放散口21aから放出した排煙を加速させることにより排煙中に含まれる微粒子に働く慣性力を増大させ、後述の外筒側衝突板43に衝突させることができる。その結果、効率よく排煙中の液分を回収することができる(慣性集塵)。
【0106】
また、液滴捕獲グリッド42は、平面視において、回転構造体20が回転式排煙導入管21を中心軸として回転した時の接線に対して傾斜した状態で、外筒10に対して取り外し可能に配設されている。図4では簡略化のため、液滴捕獲グリッド42を板材として示したが、より詳細には、液滴捕獲グリッド42は適当な線径の線材で形成されている。そして、その線材は回転構造体20の回転軸方向に沿って平行な簾状に配設されている。
【0107】
液滴捕獲グリッド42を設けることにより、排煙から分離された微粒子が液滴捕獲グリッド42に衝突することによりさらに凝集して粒径を増し、液分となって流下しやすくなる。本実施形態では線材を簾状に配した液滴捕獲グリッド42を例示したが、液滴捕獲グリッド42の構成はこれに限定されるものではなく、排煙から分離される液分の流下が好適に行われるものであればよい。
【0108】
外筒側衝突板43は、平面状の板材からなり、外筒10の内壁表面に対して略垂直に、径方向内側に突出するようにして外筒10に対して取り外し可能に配設される。外筒側衝突板43は、回転構造体20に対して接触しない程度の板幅で構成されている。外筒側衝突板43が配設される位置は、第2の補助衝突板41の近傍であって、排煙が流れる下流側(すなわち、第2の補助衝突板41の外筒10に近い方の端部)の近傍に設けられていると好ましい。
【0109】
外筒側衝突板43を設けることにより、第2の補助衝突板41によって飛散方向が制御された液分が外筒側衝突板43に衝突しやすくなり、外筒側衝突板43に液分が衝突することでさらに液分の粒径が増大し、流下しやすくなる。したがって、第2の補助衝突板41、液滴捕獲グリッド42、外筒側衝突板43は、少なくとも回転構造体20の衝突板23が備えられた高さ範囲、すなわち液分が飛散する範囲にわたって配設されていると好ましい。
【0110】
本発明の排煙処理装置100は、可撓性の衝突板23を備え、回転構造体20の回転速度を上げることにより、タール等の粘性の高い物質であっても回転構造体20から効果的に除去することが可能である。しかし、本発明の排煙処理装置100において、外筒10、排煙導入管11、ガス排出管13、回転式排煙導入管21等の内部に粘着性物質が滞留し固化することによる処理機能の低下を防止するための自動洗浄機構をさらに予備的に設けても良い。自動洗浄機構の例として、粘着性物質を溶解する溶剤を霧化して自動添加することにより装置内に流通させ、各部分の自動洗浄を可能にする機構が挙げられる。
【0111】
より具体的には、排煙処理装置100内の各部分に溶剤を噴霧するノズル等の洗浄装置を配設し、ノズルの開閉を制御する洗浄装置制御装置を排煙処理装置100の外部に設けて洗浄装置と接続する構成とすると好ましい。
【0112】
さらに本実施形態では、排煙導入管11に三方弁状の切替え装置を配設し、内部洗浄実施時には排煙発生源からの気流を停止する機構を設けると好ましい。上述の粘着性物質の溶剤を添加する装置で発生したミストを排煙処理装置100内に導入しつつ、排煙処理時と同様の運転を行うことにより、容易に排煙処理装置100内をクリーニングすることができる。ただし、自動洗浄機構は上記の溶剤を添加する方式に限定されるものではなく、装置内部に堆積した粘着物質を外部に排出する機能を有するものであればこれに限定されない。
【0113】
なお、本発明の排煙処理装置100は、排煙中に含まれた微粒子の粘着性を利用して排煙処理を行うものであるため、基本的には粘着性の低い物質のみではその分離が難しい。しかし、排煙には粘着性物質が少量ではあるが含有されているため、粘着性の低い物質が粘着性物質に取り込まれるようにして凝集するので、粘着性の低い物質であっても分離することができる。
【0114】
また、本発明の排煙処理装置100は、可燃性の物質を低温燃焼(すなわち、可燃物が燻っているか焦げている状態を指し、熱分解で生成した気体が炎をあげて燃えていない状態での燃焼)させる場合に発生する排煙に対して特に好適である。
なお、低温燃焼させる場合は不完全燃焼が起こっており、一酸化炭素を発生する可能性があるため、二次燃焼させるなど、他の方式で一酸化炭素を取り除く設備を備えていると好ましい。
【符号の説明】
【0115】
100 排煙処理装置
200 生成燃料貯蔵タンク
210 バルブ
10 外筒
10a 外筒上部
10b 外筒下部
10c 凸部
11 排煙導入管
11a 排煙導入口
11b 導入管接続部(接続部)
12 導入管回転軸受
13 ガス排出管
13a ガス排出口
13b 排出管接続部(接続部)
14 液分排出管
15 シャフト回転軸受
16 外筒分割機構
17 回転式シール機構
20 回転構造体
21 回転式排煙導入管
21a 放散口
21b ドレン抜き口
22 衝突板保持枠
22a 支持部
22b 架橋部
22c 固定部
23 衝突板
23a 狭窄部
23b 間隙
23c 微小突起
24 上部気流制御板
25 下部気流制御板
26 シャフト
28 衝突板保持具
28a 保持部
28b 固定部
28c 支持部
28d,28e 締結手段
29 第1の補助衝突板
29a 中心点
29b 縁端部
30 気液分離板
31 サイフォン
32 筒部
41 第2の補助衝突板
42 液滴捕獲グリッド
43 外筒側衝突板
D 液滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、該外筒内で回転する回転構造体とを備え、該回転構造体内に導入される排煙から液分を分離する排煙処理装置であって、
前記外筒は、前記排煙を導入する排煙導入管と、前記排煙から分離されたガスを排出するガス排出管と、前記排煙から分離された液分を排出する液分排出管と、が接続され、
前記回転構造体は、内部に前記排煙が流入し延在方向を軸として回転すると共に内表面から外表面を貫通する放散口が複数形成された回転式排煙導入管と、該回転式排煙導入管の周囲に互いに隣り合って当接して配設されて前記液分が衝突する複数の衝突板と、を有し、
該衝突板は、前記外筒の周方向上で隣り合う前記衝突板間の距離が、前記外筒の径方向外側に向かって狭窄するように配設され、前記回転構造体の回転時、隣り合う前記衝突板間に間隙を生じるように撓む可撓性の板材からなることを特徴とする排煙処理装置。
【請求項2】
前記衝突板は、前記外筒の径方向内側の面の少なくとも一部に複数の微小突起が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の排煙処理装置。
【請求項3】
前記回転構造体は、前記外筒の同一径方向上に前記衝突板を複数備えてなることを特徴とする請求項1または2に記載の排煙処理装置。
【請求項4】
前記衝突板は、平面視円弧状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の排煙処理装置。
【請求項5】
前記回転構造体は、前記回転式排煙導入管を中心として放射状に配設される第1の補助衝突板をさらに備えてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の排煙処理装置。
【請求項6】
前記外筒の内壁と前記衝突板との間には、前記液分が衝突する液滴捕獲グリッドと、該液滴捕獲グリッドと前記衝突板との間に配設される第2の補助衝突板と、前記外筒の内壁から前記外筒の径方向内側に突出した外筒側衝突板と、をさらに備えてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の排煙処理装置。
【請求項7】
前記外筒内であって前記衝突板よりも下方位置には、前記外筒内部を横断する気液分離板が配設され、該気液分離板は、上面から下面を貫通して下方に延設された管体からなるサイフォンを複数備えてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の排煙処理装置。
【請求項8】
前記気液分離板の縁端は、前記外筒の内壁から離間して形成されてなることを特徴とする請求項7に記載の排煙処理装置。
【請求項9】
前記排煙導入管及び前記ガス排出管は、一端が前記外筒と接合された接続部をそれぞれ備え、他方の端部が前記接続部に対して上方に配設されてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の排煙処理装置。
【請求項10】
前記外筒は、開状態又は閉状態を維持する外筒分割機構を備え、前記外筒は複数部分に分割されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の排煙処理装置。
【請求項11】
前記外筒、前記排煙導入管、前記ガス排出管、前記回転式排煙導入管のうち少なくとも一つの内部には、前記排煙から分離された液分を溶解する溶剤を流通させる機構を備えてなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の排煙処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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