説明

排熱ボイラ

【課題】 排ガスの熱回収から追焚き運転による熱回収への移行時に生じる発生蒸気の乾き度の低下を防止することが可能な排熱ボイラを実現する。
【解決手段】 排ガスの熱回収運転から追焚き運転による熱回収へ移行すると、先ず、第一缶水排出弁23を開き第一ブローライン21を介して水ブローを行う。次に、第一缶水排出弁23を開いている時間が一定時間経過したかどうかを判断し、一定時間経過した場合には、第一缶水排出弁23を閉じて水ブローを停止する。これにより、追焚き運転時の缶体7の缶内水位を排ガスの熱回収運転時の缶内水位よりも低くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、追焚き装置を備えた排熱ボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン,ガスエンジン,ディーゼルエンジンなどの熱源から排出される排ガスを取り込んで熱回収する排熱ボイラが一般的に知られている。この排熱ボイラには、熱源からの排ガスを燃焼用空気として気体あるいは液体燃料と混合させ、そして燃焼させる追焚き装置を備えたものが存在する(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
ここで、排熱ボイラを蒸気ボイラとし、熱源からの排ガスをボイラ缶体内で熱回収する場合、缶水は高い水位に設定されている。これは、蒸気ボイラに係る負荷が小さいためであり、また、熱サイフォンを良好な状態に構成するためである。
【特許文献1】特開2004−108150号公報 (第5頁、第1図、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術にあっては、排ガスの熱回収運転から追焚き装置による追焚き運転へ移行した際、熱負荷が急激に増加して、缶水が発生蒸気とともに蒸気ラインを通って気水分離器側へ流れることで、キャリーオーバーが発生し、これによって乾き度の悪い蒸気が供給されてしまうという問題点を有していた。
【0005】
また、追焚き運転への移行に伴って、缶体内の水位が上昇し、この上昇に伴って缶体の缶底から缶水が気水分離器側へ持ち出されるおそれがあった。これによっても乾き度の悪い蒸気が供給されてしまうという問題点を有していた。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、排ガスの熱回収から追焚き運転による熱回収への移行時に生じる発生蒸気の乾き度の低下を防止することが可能な排熱ボイラを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、前記排熱ボイラを実現するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、排ガスの熱を回収する缶体と、気体あるいは液体燃料による追焚き装置とを備える排熱ボイラにおいて、前記追焚き装置の運転時、前記缶体内の水位を排ガスの熱回収時における前記缶体内の水位よりも低くすることを特徴としている。このような請求項1に記載の発明によれば、追焚き装置の運転時の缶体内の水位が排ガスの熱回収運転時の缶体内の水位よりも低くなり、缶水が発生蒸気とともに持ち出されることはなく、良好な状態の熱サイフォンが構成される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記追焚き装置の運転開始後、一定時間、缶水を排出することを特徴としている。このような請求項2に記載の発明によれば、缶体内の水位を排ガスの熱回収運転時の缶体内の水位よりも低くするために、缶水を一定時間排出する。缶水を一定時間排出することにより、缶体内の水位が制御される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記缶体内の水位を検出する缶内水位検出部からの信号,前記缶体に設けられた気水分離器の内部水位を検出する気水分離器水位検出部からの信号および缶水の電気伝導度を計測する電気伝導度計からの信号のうちの少なくとも一つの信号に基づいて、缶水を排出することを特徴としている。このような請求項3に記載の発明によれば、前記缶内水位検出部からの信号,前記気水分離器水位検出部からの信号および前記電気伝導度計からの信号のうちの少なくとも一つの信号に基づいて、缶水を排出する。これにより、精度良く缶体内の水位が制御される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、缶水の排出を排出量の異なる複数の缶水排出弁で行うことを特徴としている。このような請求項4に記載の発明によれば、効率の良い排出がなされる。また、容易に缶水の濃縮管理がなされる。
【0011】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記缶体の構造が、水管群内で燃焼反応を行う角型缶体であることを特徴としている。このような請求項5に記載の発明によれば、追焚き装置を備えた排熱ボイラのより良い缶体構造として、角型缶体が実現される。この角型缶体は、構成をコンパクトにするという利点を有する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、排ガスの熱回収運転から追焚き運転による熱回収への移行時に生じる発生蒸気の乾き度の低下を防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、缶水を一定時間排出することによって、缶体内の水位を制御することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、缶体内の水位制御を高い精度で行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、複数の缶水排出弁で効率良く排出することができる。また、缶水の濃縮管理を容易にすることができる。
【0016】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、追焚き装置を備えた排熱ボイラのより良い缶体構造として、角型缶体とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、追焚き装置を備えた排熱ボイラを対象とする。排熱ボイラは、熱源から排出された排ガスの熱を缶体内で回収する構成のものあって、特に限定するものではないが、缶体構造を角型缶体としたものがコンパクトになることから、これを好ましい形態とする。また、排熱ボイラは、蒸気ボイラおよび温水ボイラを含み、自然循環型のボイラよりも水位管理の難しい貫流型のボイラを対象とする。
【0018】
熱源は、排熱ボイラの熱源となる排ガスを排出するものであれば良いものとし、より好ましい例としては、熱電併給装置であるものとする。この熱電併給装置としては、排ガス温度が約450℃〜480℃の発電用のガスエンジンが好適であるものとする。しかしながら、熱電併給装置は、実施に応じて発電用のガスタービンまたはディーゼルエンジンとしても良いものとする。追焚き装置は、追焚きバーナを含んで構成する装置であり、熱源からの排ガスを燃焼用空気として燃料(気体あるいは液体燃料)に混合させ、そして燃焼させる構成のものを適用する。
【0019】
この発明の排熱ボイラは、熱源から排出される排ガスを取り込んで熱回収する場合と、追焚き装置を作動させて追焚き運転することにより熱回収する場合の、二つの熱回収方法を有している。そして、この発明の排熱ボイラは、追焚き装置の作動,すなわち運転時において缶水排出弁を開き、缶体内の水位を排ガスの熱回収時の缶体内の水位よりも低くするようになっている。缶水排出弁の開閉制御としては、追焚き装置の運転時に缶水排出弁を一定時間開くようにすることや、缶体内の水位を検出する缶内水位検出部からの信号,缶体に設けられた気水分離器の内部水位を検出する気水分離器水位検出部からの信号および缶水の電気伝導度を計測する電気伝導度計からの信号のうちの少なくとも一つの信号に基づいて、缶水排出弁を開くようにすることを好適とする。また、缶内水位検出部および気水分離器水位検出部には、比較的安価な電極型のものを好適に用いるが、差圧発信型などを用いることもできる。
【0020】
この発明の排熱ボイラは、缶水排出弁を複数で構成することが可能であり、複数で構成する場合は、気水分離器内の水ブローを行う第一缶水排出弁と、缶体の缶底ブローを行う第二缶水排出弁とを備えることを好適とする。ここで第二缶水排出弁は、第一缶水排出弁よりも排出量を多くすることを好適とする。
【0021】
この発明の排熱ボイラにおいては、排ガスの熱回収運転から追焚き運転による熱回収への移行に伴って、熱負荷が急激に増加しても、次のような効果を奏する。すなわち、この発明の排熱ボイラは、追焚き運転に起因し、缶水排出弁に対し所定の開閉制御を行い、良好な状態の熱サイフォンを構成することから、発生蒸気の乾き度の低下を防止することができる。また、この発明の排熱ボイラは、電気伝導度計からの信号を用いて缶水排出弁の開閉制御を行うことも可能であることから、これを用いて効果的な濃縮管理を行うことができる。また、この濃縮管理は、排熱ボイラの全運転中行われ、追焚き運転時に限定されるものではない。
【実施例】
【0022】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の実施例を示す排熱ボイラを含む熱電併給システムの概略構成図であり、また図2は、排熱ボイラの概略構成図であり、さらに図3は、排熱ボイラの断面図である。
【0023】
図1に基づいて全体の構成について説明する。図1に示した熱電併給システム1は、ガスタービン,ガスエンジン,ディーゼルエンジンなどの熱源2と、追焚き装置3を有する排熱ボイラ4とを備えて構成されている。この排熱ボイラ4は、熱源2から排出される排ガスを取り込んで熱回収する場合と、燃料5を追焚き装置3へ供給し、この追焚き装置3を作動させ、そして追焚き運転をすることにより熱回収する場合の、二つの熱回収方法を有している。排熱ボイラ4は、追焚き装置3を備えることにより、高燃焼と低燃焼とを切り替えて運転することができるようになっている。
【0024】
熱源2と排熱ボイラ4との間には、これらを接続する第一排ガス通路6が設けられている。熱源2から排出される排ガスは、第一排ガス通路6を通って追焚き装置3および排熱ボイラ4の缶体7内へ導入されるようになっている。排熱ボイラ4から排出される排ガスは、第二排ガス通路8を通って屋外へ排気されるようになっている。以下、排熱ボイラ4の構成について説明する。
【0025】
図2および図3において、追焚き装置3は、特に図示しないが、平面状の燃焼面(予混合気噴出面)を有する完全予混合式のバーナと触媒とを有している(いずれも図示省略)。この追焚き装置3には、燃料5を供給する燃料供給ライン9が接続されている。缶体7は、上部管寄せ10および下部管寄せ11を備えており、この両管寄せ10,11間に配置された複数の水管12,12,…を有している。この缶体7は、水管12群内で燃焼反応が行われる角型缶体となるように構成されている。各水管12の上端および下端は、上部管寄せ10および下部管寄せ11にそれぞれ接続されている。そして、水管12群のうち両外側の列における各水管12は、縦ヒレ部材(符号省略)により隣り合うもの同士を連結することによって、水管壁を構成している。両水管壁の一端側には、追焚き装置3が設けられ、また他端側には、第二排ガス通路8が設けられている。したがって、両水管壁間には、追焚き装置3から第二排ガス通路8へ至る燃焼ガス通路13が形成されている。この燃焼ガス通路13は、追焚き装置3からの燃焼反応中ガスおよび燃焼反応完了ガスがほぼ直線的に流通するように形成されている。
【0026】
追焚き装置3には、高燃焼と低燃焼とで燃料流量を調整する燃料流量調整手段(図示省略)が設けられている。この燃料流量調整手段は、破線で示される信号線を介して制御器14に接続されている。この制御器14は、高燃焼と低燃焼とで燃料流量を調整する制御信号を出力するようになっている。
【0027】
上部管寄せ10には、蒸気ライン15の一端が接続されている。そして、この蒸気ライン15の他端には、気水分離器16が接続されている。この気水分離器16は、缶体7の外部に付設されており、蒸気ライン15を介して上部管寄せ10に接続されている。気水分離器16の下部には、降水管17の一端が接続されている。この降水管17の他端は、下部管寄せ11に接続されている。気水分離器16の上部には、主蒸気弁(図示省略)を有する蒸気供給ライン18が接続されている。
【0028】
気水分離器16には、この気水分離器16の内部水位を検出する気水分離器水位検出部19が設けられている。この気水分離器水位検出部19の配管の一端は、気水分離器16に接続され、また他端は、降水管17に接続されている。気水分離器水位検出部19には、長さの異なる二つの電極20,20が設けられている。各電極20は、破線で示される信号線を介して制御器14にそれぞれ接続されている。各電極20で検出された気水分離器16の内部水位情報は、リアルタイムに制御器14へそれぞれ出力されるようになっている(各電極20による水位制御の他に、差圧発信型による水位制御も一例として挙げられる)。
【0029】
降水管17には、第一ブローライン21と電気伝導度計22とが設けられている。第一ブローライン21は、降水管17の途中から分岐するように設けられ、気水分離器16内の水ブローを行う配管であって、破線で示される信号線を介して制御器14に接続される第一缶水排出弁23(缶水排出弁)を有している。この第一缶水排出弁23は、制御器14によって開閉制御されるようになっている。電気伝導度計22は、降水管17を流下して下部管寄せ11へ還流する缶水の電気伝導度を検出するものであって、破線で示される信号線を介して制御器14に接続されている。電気伝導度計22で検出された電気伝導度情報は、リアルタイムに制御器14へ出力されるようになっている。
【0030】
下部管寄せ11には、降水管17の他端の他に、給水ライン24と第二ブローライン25とが設けられている。給水ライン24には、破線で示される信号線を介して制御器14に接続される給水制御弁26が設けられている。第二ブローライン25は、缶底ブローを行う配管であり、破線で示される信号線を介して制御器14に接続される第二缶水排出弁27(缶水排出弁)を有している。この第二缶水排出弁27は、制御器14によって開閉制御されるようになっている。
【0031】
缶体7の外部には、缶体7の缶内水位を検出する缶内水位検出部28が設けられている。この缶内水位検出部28は、上部管寄せ10に接続される上部ライン29および下部管寄せ11に接続される下部ライン30の間に設けられている。缶内水位検出部28には、長さの異なる三つの電極31,31,31が設けられている。各電極31は、破線で示される信号線を介して制御器14にそれぞれ接続されている。各電極31で検出された缶体7の缶内水位情報は、リアルタイムに制御器14へそれぞれ出力されるようになっている。各電極31は、熱源2から排出される排ガスを取り込んで熱回収運転する場合の水位と、高燃焼運転させる場合の水位と、低燃焼運転させる場合の水位とをそれぞれ検出することができる(各電極31による水位制御の他に、差圧発信型による水位制御も一例として挙げられる)。
【0032】
制御器14は、追焚き装置3を有する排熱ボイラ4全体の制御を行うものであって、いわゆるマイクロコンピュータの機能を有している。制御器14は、追焚き装置3を高燃焼の運転または低燃焼の運転となるように制御するとともに、熱源2から排出される排ガスを取り込んで熱回収運転する場合には、追焚き装置3の運転を停止することができるようになっている。制御器14は、必要に応じて追焚き装置3の運転および停止を制御する制御プログラムを有している。また、制御器14は、排ガスの熱回収運転から追焚き運転による熱回収への移行時に生じる発生蒸気の乾き度の低下を防止するための制御プログラムを有している。
【0033】
次に、発生蒸気の乾き度の低下を防止するための制御プログラムに基づく処理手順を説明する。図4は、処理手順の第一の例となるフローチャートである。
【0034】
図4において、排ガスの熱回収運転から追焚き運転による熱回収へ移行すると(ステップS1でY)、先ずステップS2の処理を行う。ステップS2では、追焚き運転が開始して一定時間T1を経過したかどうかを判断し、一定時間T1を経過したときには(ステップS2でY)、ステップS3の処理へ移行する。ステップS3では、第一缶水排出弁23を開き第一ブローライン21を介して水ブローを行う。次に、ステップS4では、第一缶水排出弁23を開いている時間が一定時間T2を経過したかどうかを判断し、一定時間T2を経過したときには(ステップS4でY)、ステップS5の処理へ移行する。ステップS5では、第一缶水排出弁23を閉じて水ブローを停止する。また、一定時間T1は、追焚き運転を開始して乾き度が低下し始めるまでの時間であり、一定時間T2は、缶体7の缶内水位が排ガスの熱回収運転時の缶内水位よりも低くなる時間であるものとする。一定時間T1およびT2は、予め実験等で求められ、制御器14のメモリ内に記憶されているものとする。これにより、缶体7の缶内水位は、排ガスの熱回収運転時の缶内水位よりも低くなる。
【0035】
以上、図1ないし図4を参照しながら説明してきたように、この発明の排熱ボイラ4は、追焚き装置3による追焚き運転に起因して、第一缶水排出弁23に対し所定の開閉制御を行い、良好な状態の熱サイフォンを構成することから、発生蒸気の乾き度の低下を防止することができる。
【0036】
図5ないし図7は、図4の処理手順に対する他の例を示している。以下、順に他の例を説明する。
【0037】
図5は、処理手順の第二の例となるフローチャートである。図5において、排ガスの熱回収運転から追焚き運転による熱回収へ移行すると(ステップS11でY)、先ずステップS12の処理を行う。ステップS12では、気水分離器水位検出部19を用いての気水分離器16の内部水位情報から、気水分離器16の内部水位が所定水位Aとなったかどうかを判断する。ここで所定水位Aは、高水位に設定されるものとする。所定水位Aとなったときには(ステップS12でY)、ステップS13の処理へ移行する。ステップS13では、第一缶水排出弁23を開き第一ブローライン21を介して水ブローを行う。次に、ステップS14では、気水分離器水位検出部19を用いての気水分離器16の内部水位情報から、気水分離器16の内部水位が所定水位Bとなったかどうかを判断する。ここで所定水位Bは、低水位に設定されるものとする。所定水位Bとなったときには(ステップS14でY)、ステップS15の処理へ移行する。ステップS15では、第一缶水排出弁23を閉じて水ブローを停止する。したがって、缶体7の缶内水位は、缶体7と気水分離器16とが連結しているため、排ガスの熱回収運転時の缶内水位よりも低くなる。これにより、排熱ボイラ4は、追焚き運転を開始して気水分離器16内の水位制御を行うことで、良好な乾き度を維持した発生蒸気を供給することができる。
【0038】
図6は、処理手順の第三の例となるフローチャートである。図6において、排ガスの熱回収運転から追焚き運転による熱回収へ移行すると(ステップS21でY)、先ずステップS22の処理を行う。ステップS22では、缶内水位検出部28を用いての缶内水位情報から、缶体7の缶内水位が所定水位Cとなったかどうを判断する。ここで所定水位Cは、高水位に設定されるものとする。所定水位Cとなったときには(ステップS22でY)、ステップS23の処理へ移行する。ステップS23では、第一缶水排出弁23を開き第一ブローライン21を介して水ブローを行う。次に、ステップS24では、缶内水位検出部28を用いての缶内水位情報から、缶体7の缶内水位が所定水位Dとなったかどうかを判断する。ここで所定水位Dは、低水位に設定されるものとする。所定水位Dとなったときには(ステップS24でY)、ステップS25の処理へ移行する。ステップS25では、第一缶水排出弁23を閉じて水ブローを停止する。したがって、缶体7の缶内水位は、排ガスの熱回収運転時の缶内水位よりも低くなる。これにより、排熱ボイラ4は、追焚き運転を開始して缶体7内の水位制御を行うことで、良好な乾き度を維持した発生蒸気を供給することができる。
【0039】
図7は、処理手順の第四の例となるフローチャートである。図7において、排ガスの熱回収運転から追焚き運転による熱回収へ移行すると(ステップS31でY)、先ずステップS32の処理を行う。ステップS32では、電気伝導度計22を用いての電気伝導度情報から、電気伝導度が設定値X1を超えたかどうかを判断し、電気伝導度が設定値X1を超えてないときには(ステップS32でN)、ステップS33の処理へ移行する。一方、電気伝導度が設定値X1を超えているときには(ステップS32でY)、ステップS36の処理へ移行する。ステップS33では、第一缶水排出弁23を開き第一ブローライン21を介して水ブローを行う。次に、ステップS34では、第一缶水排出弁23を開いている時間が一定時間T3を経過したかどうかを判断し、一定時間T3を経過したときには(ステップS34でY)、ステップS35の処理へ移行する。ステップS35では、第一缶水排出弁23を閉じて水ブローを停止する。
【0040】
そして、ステップS36では、第一缶水排出弁23および第二缶水排出弁27を開き第一ブローライン21を介して水ブローを行うとともに、第二ブローライン25を介して缶底ブローを行う。次に、ステップS37では、第一缶水排出弁23および第二缶水排出弁27を開いている時間が一定時間T4を経過したかどうかを判断し、一定時間T4を経過したときには(ステップS37でY)、ステップS38の処理へ移行する。ステップS38では、第一缶水排出弁23および第二缶水排出弁27を閉じて水ブローおよび缶底ブローを停止する。ここで、電気伝導度の設定値X1は、追焚き運転を開始して乾き度が低下し始めるときの値であり、一定時間T3およびT4は、缶体7の缶内水位が排ガスの熱回収運転時の缶内水位よりも低くなる時間であり、予め実験等で求めておき、制御器14のメモリ内に記憶されているものとする。これにより、缶体7の缶内水位は、排ガスの熱回収運転時の缶内水位よりも低くなる。
【0041】
さらに、ステップS34およびステップS37の処理は、図5のステップS14,また図6のステップS24のいずれかの処理に変更しても良いものとする。
【0042】
図8は、追焚き装置3の運転中の処理,あるいは排熱ボイラ4の運転中の処理を示すフローチャートである。この処理は、前記四つの例の処理と併用することができるものとする。
【0043】
図8において、追焚き装置3の運転中,あるいは排熱ボイラ4の運転中にステップS41の処理を行う。ステップS41では、電気伝導度計22を用いての電気伝導度情報から、電気伝導度が第一設定値X2を超えたかどうかを判断し、電気伝導度が第一設定値X2を超えているときには(ステップS41でY)、ステップS42の処理へ移行する。ステップS42では、同じく電気伝導度計22を用いての電気伝導度情報から、電気伝導度が第二設定値X3(第一設定値X2<第二設定値X3)を超えたかどうかを判断し、電気伝導度が第二設定値X3を超えてないときには(ステップS42でN)、ステップS43の処理へ移行する。一方、電気伝導度が第二設定値X2を超えているときには(ステップS42でY)、ステップS46の処理へ移行する。
【0044】
ステップS43では、第一缶水排出弁23を開き第一ブローライン21を介して水ブローを行う。次に、ステップS44では、第一缶水排出弁23を開いている時間が一定時間T5を経過したかどうかを判断し、一定時間T5を経過したときには(ステップS44でY)、ステップS45の処理へ移行する。ステップS45では、第一缶水排出弁23を閉じて水ブローを停止する。そして、ステップS46では、第一缶水排出弁23および第二缶水排出弁27を開き第一ブローライン21を介して水ブローを行うとともに、第二ブローライン25を介して缶底ブローを行う。次に、ステップS47では、第一缶水排出弁23および第二缶水排出弁27を開いている時間が一定時間T6を経過したかどうかを判断し、一定時間T6を経過したときには(ステップS47でY)、ステップS48の処理へ移行する。ステップS48では、第一缶水排出弁23および第二缶水排出弁27を閉じて水ブローおよび缶底ブローを停止する。ここで、電気伝導度の第一設定値X2および第二設定値X3は、水ブローおよび缶底ブローを開始する値であり、一定時間T5およびT6は、電気伝導度を一定の値まで低下させる時間であり、予め実験等で求めておき、制御器14のメモリ内に記憶されているものとする。
【0045】
図8の処理では、電気伝導度計22からの信号に基づいて、第一缶水排出弁23および第二缶水排出弁27の開閉制御を行っていることから、効果的な濃縮管理を行うことができる。
【0046】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施例を示す排熱ボイラを含む熱電併給システムの概略構成図である。
【図2】排熱ボイラの概略構成図である。
【図3】排熱ボイラの断面図である。
【図4】処理手順の第一の例となるフローチャートである。
【図5】処理手順の第二の例となるフローチャートである。
【図6】処理手順の第三の例となるフローチャートである。
【図7】処理手順の第四の例となるフローチャートである。
【図8】追焚き装置の運転中の処理,あるいは排熱ボイラの運転中の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 熱電併給システム
2 熱源
3 追焚き装置
4 排熱ボイラ
5 燃料
6 第一排ガス通路
7 缶体
8 第二排ガス通路
9 燃料供給ライン
10 上部管寄せ
11 下部管寄せ
12 水管
13 燃焼ガス通路
14 制御器
15 蒸気ライン
16 気水分離器
17 降水管
18 蒸気供給ライン
19 気水分離器水位検出部
20 電極
21 第一ブローライン
22 電気伝導度計
23 第一缶水排出弁(缶水排出弁)
24 給水ライン
25 第二ブローライン
26 給水制御弁
27 第二缶水排出弁(缶水排出弁)
28 缶内水位検出部
29 上部ライン
30 下部ライン
31 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスの熱を回収する缶体7と、気体あるいは液体燃料による追焚き装置3とを備える排熱ボイラ4において、
前記追焚き装置3の運転時、前記缶体7内の水位を排ガスの熱回収時における前記缶体7内の水位よりも低くする
ことを特徴とする排熱ボイラ。
【請求項2】
前記追焚き装置3の運転開始後、一定時間、缶水を排出する
ことを特徴とする請求項1に記載の排熱ボイラ。
【請求項3】
前記缶体7内の水位を検出する缶内水位検出部28からの信号,前記缶体7に設けられた気水分離器16の内部水位を検出する気水分離器水位検出部19からの信号および缶水の電気伝導度を計測する電気伝導度計22からの信号のうちの少なくとも一つの信号に基づいて、缶水を排出する
ことを特徴とする請求項1に記載の排熱ボイラ。
【請求項4】
缶水の排出を排出量の異なる複数の缶水排出弁23、27で行う
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排熱ボイラ。
【請求項5】
前記缶体7の構造が、水管群内で燃焼反応を行う角型缶体である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排熱ボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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