説明

排藁処理装置

【課題】排藁切断装置で切断した切藁を、圃場へかたまって排出することを防止し、コンバイン作業によって穀稈と共に切藁が収穫されて詰まりが発生する不具合を解消しようとするものである。
【解決手段】脱穀済みの排藁を切断する回転刃(10,11)を設け、該回転刃(10,11)の下側に切断済みの排藁を拡散して落下させる拡散用螺旋体(12)を設けた排藁処理装置において、前記拡散用螺旋体(12)を軸芯方向に移動させることによって拡散方向を任意に変更可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバイン作業等によって刈取り脱穀した脱穀済みの排藁を切断して圃場へ拡散放出する排藁処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの後部には、特許文献1に示すように、排藁処理装置を設け、この排藁処理装置には、低速回転軸と、高速回転軸との下方に螺旋軸を平行に横架し、該螺旋軸上には、略中央部を境として、互に逆方向巻きの螺旋プレートを設け、切断藁を株元側と、穂先側とに分割して移送しながら、下部の圃場表面に排出する。
【特許文献1】特開平10−56865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンバインで刈り取られ脱穀された排藁は、このコンバインの後部に設けた排藁処理装置内へ供給され、低速回転軸に軸支した複数の受刃と、高速回転軸に軸支した複数の切刃とにより、所定間隔位置が切断され、この切断された切断済み切藁は、これらの各回転軸の下側に平行に横架して設けた螺旋軸上へ供給される。
【0004】
前記螺旋軸の外径部には、略中央部を境として、互に逆方向巻きの螺旋プレートを設けている。この螺旋プレートにより、切断済みの切藁を株元側と、穂先側とに分割して、左右両側へ向けて移送しながら、下部圃場表面に排出するが、この時に、右側端列の未刈取り穀稈に、切断済み切藁が排出されることがある。このため、次工程の時に刈取りすると、この右側端列の未刈取り穀稈に掛っている切断済み切藁が刈り取った穀稈と共に収穫されてしまい、コンバインの各部に詰り発生の原因になることがあった。又、刈取りの邪魔になることがあったが、これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
このために、請求項1に記載の発明においては、次のような技術的手段を講じる。
即ち、脱穀済みの排藁を切断する回転刃(10,11)を設け、該回転刃(10,11)の下側に切断済みの排藁を拡散して落下させる拡散用螺旋体(12)を設けた排藁処理装置において、前記拡散用螺旋体(12)を軸芯方向に移動させることによって拡散方向を任意に変更可能に構成したことを特徴とする排藁処理装置としたものである。
【0006】
排藁処理装置内へ供給された脱穀済みの排藁は、この排藁処理装置の回転刃10,11により切断され、切断済みの切藁は、拡散用螺旋体12によって拡散されながら排出される。この際、拡散用螺旋体12を軸芯方向に移動させることによって、切藁の拡散方向が任意に変更される。
【0007】
また、請求項2に記載の発明においては、前記拡散用螺旋体(12)を備える螺旋軸(13)の中間部に中拡散螺旋(16)を設けると共に、該中拡散螺旋(16)の左右両側に、左拡散螺旋(14)及び右拡散螺旋(15)を夫々軸芯方向移動自在に設けたことを特徴とする請求項1に記載の排藁処理装置としたものである。
【0008】
排藁処理装置内へ供給された脱穀済みの排藁は、この排藁処理装置の回転刃10,11により切断され、切断済みの切藁は、拡散用螺旋体12によって拡散されながら排出される。この際、拡散用螺旋体12における左拡散螺旋14及び右拡散螺旋15を夫々軸芯方向に移動させることによって、切藁の拡散方向が任意に変更される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によると、例えばコンバインによる刈取作業において、未刈り穀稈列に切断済みの切藁が掛かるときには、拡散用螺旋体12による切藁の拡散方向を既刈り側に変更することによって、未刈り穀稈列に切藁が掛ることを防止でき、次工程の刈取作業時に、刈取穀稈と共に切藁まで拾い上げて脱穀部へ投入してしまうような不具合を少なくでき、作業能率を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によると、例えばコンバインによる刈取作業において、未刈り穀稈列に切断済みの切藁が掛かるときには、拡散用螺旋体12における左拡散螺旋14及び右拡散螺旋15を夫々軸芯方向に移動させることによって切藁の拡散方向を既刈り側に変更して、未刈り穀稈列に切藁が掛ることを防止でき、次工程の刈取作業時に、刈取穀稈と共に切藁まで拾い上げて脱穀部へ投入してしまうような不具合を少なくでき、作業能率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台2の下側には、走行装置3を設け、前方部に穀稈を刈取る刈取装置4を設け、該走行車台2の上側の一方側には、該刈取装置4から刈取り穀稈を引継ぎ脱穀する脱穀装置5と、又、他方側には、脱穀済み穀粒を受けて貯留する、穀粒貯留タンク6とを載置している。
【0012】
前記脱穀装置5の後側には、脱穀済み排藁を受けて、所定長さに切断すると共に、圃場表面に拡散排出する排藁切断装置9を設け、この排藁切断装置9は、排藁を所定長さに切断する切刃10と、受刃11等とを設け、又、切断済み切藁を移送拡散しながら圃場表面に排出する拡散用螺旋具12等を設けている。この排藁切断装置9を主に図示して説明する。
【0013】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、図4で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3aを張設した走行装置3を配設し、走行車台2の上側面に脱穀装置5を載置すると共に、該脱穀装置5の後側には、脱穀済みの排藁を受けて、所定長さに切断し、圃場表面に排出する排藁切断装置9を設け、この排藁切断装置9には、回転刃である切刃10、受刃11、及び拡散用螺旋具12等を設けている。走行車台2の前方部の刈取装置4で立毛穀稈を刈取りして、後方上部に移送し、脱穀装置5のフィードチェン7と、挟持杆8とで引継いで挟持移送しながら脱穀する。脱穀済みで選別済みの穀粒は、該脱穀装置5の右横側へ配設した穀粒貯留タンク6内へ供給され、一時貯留される。
【0014】
前記走行車台2の前方部には、図4で示すように、立毛穀稈を分離するナローガイド17a、及び分草体17bと、立毛穀稈を引起す引起装置18と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置19の各掻込装置19aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置20と、刈取りされた穀稈を挟持移送して、脱穀装置5のフィードチェン7と、挟持杆8とへ受渡しする穀稈掻込移送装置19の根元・穂先移送装置21a、21b等からなる刈取装置4を設けている。該刈取装置4は、油圧駆動による伸縮シリンダ22により、土壌面に対して昇降する。
【0015】
前記刈取装置4の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆23aの上端部に設ける支持パイプ杆23bを、走行車台2の上側面に設けた支持装置23cで回動自在に支持させている。伸縮シリンダ22を作動させると該支持杆23aと共に、該刈取装置4が上下回動する。
【0016】
前記刈取装置4の穀稈掻込移送装置19によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、脱穀装置5への穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ4aを設けている。
【0017】
前記穀粒貯留タンク6側の前部には、図4で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置24と、操縦席25とを設け、この操縦席25の下側にエンジン26を載置している。
【0018】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用のミッションケース27内の伝動機構27aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ27bを設けている。
【0019】
前記穀粒貯留タンク6内へ貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク6の後側には、図?で示すように、縦移送螺旋28aを内装した排出支持筒28を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒28の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する、排出螺旋29aを伸縮自在に内装した排出オーガ29を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設している。
【0020】
前記排藁切断装置9は、図1〜図3、及び図7で示すように、脱穀装置5の後側に設けている。該脱穀装置5で脱穀済みの排藁は、この脱穀装置5の後方部から排出されて、この脱穀装置5の後方上部に設けた、排藁根元チェン9aと、排藁穂先チェン9bとにより、排藁は引継ぎされて移送され、この脱穀装置5の後方左側から後方の該排藁切断装置9の左右方向の略中央部へ向けて移送され、この排藁切断装置9へ供給され、左右方向に軸支した切刃支持軸10aに所定間隔で軸支した各切刃10と、この切刃支持軸10aに所定間隔を設けて、左右方法に軸支した受刃支持軸11aに所定間隔で軸支した各受刃11とにより、所定の長さに切断される。
【0021】
この切断済み切藁は、前記排藁切断装置9の各切刃10と、各受刃11との下側に設けた図1〜図3で示すように、拡散用螺旋体12へ供給され、この拡散用螺旋体12により、拡散されながら圃場表面に排出される。この拡散用螺旋体12は、左右方向に分割螺旋式に形成すると共に、左右方向の拡散位置を任意位置に変更できるように設けている。
【0022】
脱穀済みの排藁は、前記排藁切断装置9の各切刃10と、各受刃11とにより切断され、この切断済み切藁は、左右方向に分割螺旋方式で、左右方向に移動自在に設けた、拡散用螺旋体12により、移送拡散されながら圃場表面に排出される構成としたことにより、この拡散用螺旋体12の左右移動が容易である。又、未刈取り穀稈列に、切断済み切藁が掛るときには、この拡散用螺旋体12を移動させることができることにより、未刈取り穀稈列に切断済み切藁が掛ることを防止できる。
【0023】
図1〜図3、及び図7で示すように、前記排藁切断装置9の刈刃10と、切刃11とにより、脱穀済み切藁は、所定長さに切断され、この切断済み切藁は、拡散用螺旋体12に回転駆動自在で、左右方向に軸支して設けた螺旋軸13に、左右方向に移動自在に軸支して設けた、左拡散螺旋14と、中拡散螺旋16と、右拡散螺旋15との上側へ供給され、これら左・中・右拡散螺旋14、16、15により、切断済み切藁は、移送拡散されながら圃場面に、略均等に排出される。
【0024】
又、圃場の未刈取り穀稈列側に、切断済み切藁が拡散排出される状態であると、これら左・中・右拡散螺旋14、16、15を、未刈取り穀稈列の反対側へ所定量移動させて、未刈取り穀稈列に切断済み切藁が掛らないように調節移動する構成である。
【0025】
前記拡散用螺旋体12の螺旋軸13には、左・中・右拡散螺旋14、16、15に3分割して、左右方向に移動自在に設けたことにより、これら左・中・右拡散螺旋14、16、15の移動操作が容易である。又、未刈取り穀稈列に、切断済み切藁が掛ることを容易に防止することができる。
【0026】
前記拡散用螺旋体12は、図1〜図3、及び図7で示すように、螺旋軸13に左・中・右拡散螺旋14、16、15を軸支して設け、これら左・右拡散螺旋14、15の左・右拡散螺旋プレート14a、15aの内側端部は、中拡散螺旋16の中拡散プレート16aの左右両側端部に重合させて設け、正逆回転自在な左・右拡散モータ14b、15bの左・右モータ軸14c、15cと、左・右拡散螺旋14、15とを、左・右接続板14d、15dで接続させている。
【0027】
前記左・右拡散モータ14b、15bの正逆回転駆動により、左・右拡散螺旋14、15は左右へ移動自在で、中拡散螺旋16に対して伸縮自在に設けている。又、脱穀装置5には、この脱穀装置5へ供給して脱穀する穀稈の稈長を検出する稈長センサ4bを刈取装置4に設けている。
【0028】
前記脱穀装置5で脱穀する穀稈の稈長が稈長センサ4bで検出され、この検出された穀稈の稈長に応じて、一方側に左拡散螺旋14を伸長移動する。又は左右両側の該左・右拡散螺旋14、15を伸長移動する構成とするもよい。
【0029】
これにより、稈長が長いときには、螺旋を右側に移動させ、未刈取穀稈列に切断済み切藁を拡散排出させ、次工程の刈取り作業において、分草体17bで切断済み切藁を引掛けることを防止する。稈長が短いときには、螺旋を左側に移動させ、切断済み切藁の株元側を未刈穀稈方向に拡散排出し、圃場に均一に切藁を拡散する。
【0030】
前記拡散用螺旋体12は、図1で示すように、拡散状態(最伸長状態)から最収縮状態に左右両側の左・右拡散螺旋14、15の左右拡散螺旋プレート14a、15aの内側部を、中拡散螺旋16の中拡散螺旋プレート16aの左右両外側部に多量重合状態、又は少量重合状態(収束排出)に切り換え操作可能に設けている。
【0031】
これにより、前記左・右拡散螺旋プレート14a、15aを伸縮移動操作するが、伸張移動操作すると、拡散状態と、収納移動操作すると、拡散しない収束排出する状態とに切換えが可能になる。
【0032】
前記拡散用螺旋体12の左右両側の左・右拡散螺旋14、15を拡散状態、又は収納状態にするときに操作する「ON」―「OFF」方式の拡散スイッチ24aと、収縮(収納)スイッチ24bとは、図5で示すように、操縦席25の前部に設けた操作装置24に設けている。
【0033】
これにより、前記操作装置24が遠隔操作できることにより、作業性の向上を図ることができる。
前記拡散用螺旋体12の左右両側の左・右拡散螺旋14、15の外側面には、図6で示すように、支持具30の支持板30aを装着し、この支持板30aには、支持ボス30bを装着し、この支持ボス30bには、支持ピン30cを装着している。又、この支持ボス30bを支持杆31で軸支している。
【0034】
前記支持具30の支持ピン30cには、ハンドル32のハンドルボス32cを軸支し、このハンドルボス32cには、右内ハンドル32bと右外ハンドル32aとを接続させて装着している。このハンドル32は、拡散用螺旋体12より、後方へ向けて突出させて設けている。左右両側に設けたこのハンドル32を左右へ手動移動操作により、左・右拡散螺旋14、15は伸張、又は収縮移動する構成である。
【0035】
これにより、前記左・右拡散螺旋14、15の左右移動操作の構成が簡単である。
前記左・右拡散螺旋14、15の左・右拡散螺旋プレート14a、15aを装着した左・右拡散螺旋軸14e、15eの外側面には、図1〜図3で示すように、左・右接続板14d、15dを装着している。中拡散螺旋16の中拡散螺旋プレート16aの左右両端を螺旋軸13に設け、内径部を中拡散螺旋軸16bの外径部に挿入して設けている。
【0036】
これにより、拡散処理する前記左・右拡散螺旋14、15を左右移動操作時に、左・右接続板14d、15dの抵抗とならず、均一に拡散することができる。
前記左・中・右拡散螺旋14、16、15は、図7で示すように、時計回りに回転駆動すると共に、左・右接続板14d、15d一方側の下部は、左・右拡散螺旋軸14e、15eに装着し、又、他方側の上部は、左・右拡散モータ14b、15bの左・右モータ軸14c、15cに挿入して設け、該左右拡散螺旋軸14e、15eより、該左・右モータ軸14c、15cを所定位置上部へ位置させて設けている。又、これら左・右拡散螺旋14、15等のスライド構成は、排藁切断装置9の本体19d側に内装して設けると共に、この排藁切断装置9の後側に設けている。
【0037】
これにより、切断済み切藁は、前記脱穀装置5側へ排出することを防止できる。又、左・右接続板14d、15dの上部と、カッタカバー9cとの間に、切断済み切藁の詰りを防止することができる。又、スライド構成部を本体19d側に設けたことにより、構成が簡単である。
【0038】
前記右・中拡散螺旋15、16の右拡散螺旋プレート15aの巻き方向と、中拡散螺旋プレート16aの右側部の巻き方向とは、図2、及び図3で示すように、同じ巻き方向に形成している。又、左拡散螺旋14の左拡散螺旋プレート14aと、該中拡散螺旋プレート16aの左側部の巻き方向とは、同じ巻き方向に形成している。該中拡散螺旋プレート16aは左右で巻き方向を異にしている。
【0039】
これにより、前記左・中・右拡散螺旋14、16、15の左右移動により、拡散巾を変更することができる。
前記拡散用螺旋具12は、図2、図3及び図7で示すように、左・右拡散螺旋14、15に設けた左・右接続板14d、15dを介在させて、本体9dのカッタリヤカバー9eと、カッタカバー9cとの間に設けた、スライド用の左・右拡散モータ14b、15b等により、該左・右拡散螺旋14、15を左右に移動させる。このカッタカバー9cにより、該左・右拡散モータ14b、15b、及び左・右モータ軸14c、15c等をカバーしている。
【0040】
これにより、前記左・右接続板14d、15dを介在させただけの簡単な構成で左・右拡散螺旋14、15を左右移動させることができる。又、移動させる左・右拡散モータ14b、15b、及び左・右モータ軸14c、15c等に藁屑等の溜ることを防止できる。
【0041】
前記拡散用螺旋体12右側の右拡散螺旋15は、手動移動操作する構成において、図9で示すように、この右拡散螺旋15の右拡散螺旋軸15eには、支持具30の支持板30aを装着し、この支持板30aに設けた支持ボス30bを支持杆31で軸支し、この支持ボス30bに設けた支持ピン30cには、ハンドル32のハンドルボス32cを軸支して設け、このハンドルボス32cには、右内ハンドル32bを介して、右外ハンドル32aを装着して設け、このハンドル32は、排藁切断装置9の本体9dに設けている。又、左側は左拡散螺旋14を設け、左拡散モータ14b等により、左右移動する構成である。
【0042】
これにより、前記右拡散螺旋15は手動操作で左右移動する構成で、本体9dに設けたことにより、構成が簡単であり、又、操作が容易である。
図10、及び図11で示すように、前記右拡散螺旋15に設けた、支持具30の支持ピン30cと、操作装置24に設けた、「入」―「切」方式のスライド切換レバー33とは、ワイヤ33aを設けて接続し、このスライド切換レバー33の「入」―「切」操作により、右拡散螺旋15は左右移動する構成である。
【0043】
これにより、前記右拡散螺旋15の左右移動の操作が簡単である。
前記右拡散螺旋15が右拡散モータ15b等の正逆回転により、左右移動する構成において、この右拡散モータ15bを正逆回転操作する「ON」―「OFF」方式で左右方向へ起倒操作する左右スライドスイッチ24cを設け、この左右スライドスイッチ24cを左右方向へ倒し操作によって「ON」され、この左側、又右側の「ON」により、該右拡散螺旋15が左側、又は右側へ移動する。
【0044】
これにより、作業条件に応じて、前記左右スライドスイッチ24cの操作のみで、任意の拡散状態に変更できる。
前記右拡散螺旋15が右拡散モータ15b等の正逆回転により、左右移動する構成において、図12で示すように、刈取装置4で中割、及び廻り刈取り等の作業を行うとき、又は通常の刈取り作業を行うときに、操作する特別仕様モードスイッチ24dと、モード切換スイッチ24eとの両者を操作装置24に設け、通常の刈取り作業時は、該モード切換スイッチ24eの「ON」操作により、該右拡散螺旋15が右側へ移動され、拡散巾を広くする。又、該特別仕様モードスイッチ24dの「ON」操作により、該右拡散螺旋15が左側へ移動され、拡散巾を狭くする。更に、モード切換スイッチ24eで、中割、廻り刈取り時には、該右拡散螺旋15が左側へ移動され、拡散巾を狭くする。
【0045】
これにより、通常の刈取り時は、前記右拡散螺旋15が右側へ移動され、拡散巾が広くなる。又、刈取り状態により、拡散巾の変更ができて便利である。
前記右拡散螺旋15が右拡散モータ15等の正逆回転により、左右移動する構成において、コンバイン1の走行車速が早くなるほど、この右拡散螺旋15が右側に移動操作され、拡散巾を広くする構成である。
【0046】
これにより、車速により、拡散巾が変更されることにより、拡散性が安定する。
前記脱穀装置5は、図13〜図15で示すように、回転自在に軸支して設け、扱胴5aを後方に延長し、この延長部を4番処理胴5bとすると共に、この扱胴5aと、4番処理胴5bとの右横下部にはこの扱胴5aで脱穀処理されなかった、未脱穀処理物である排塵物を、該扱胴5aより供給を受けて、再脱穀処理する排塵胴34を回転自在に軸支して設け、この排塵胴34の移送終端部には、ガイド板34aを設け、このガイド板34aの移送終端部は、排塵カッタ装置9に内装して設けた拡散用螺旋具12の右・中拡散螺旋15、16の接合部の略上側へ位置させて設けている。
【0047】
前記排塵胴34で排塵物が再脱穀処理され、再脱穀処理済みの主として、藁屑等の4番処理物が、ガイド板34を経て右・中拡散螺旋15、16へ供給されて、これら右・中拡散螺旋15、16により、圃場表面に拡散排出される。
【0048】
これにより、前記脱穀装置5の排塵胴34の移送終端部より、排出される再脱穀処理済み物である4番処理物は、圃場にかたまって排出されることなく、排藁切断装置9で拡散排出される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】脱穀装置と、拡散用螺旋体との平断面図
【図2】拡散用螺旋体の左側へ移動時拡大平断面図
【図3】拡散用螺旋体の右側へ移動時拡大平断面図
【図4】コンバインの左側全体側面図
【図5】コンバインのスイッチ部の平面図
【図6】拡散用螺旋体の拡大平断面図
【図7】脱穀装置と、排藁切断装置との拡大側断面図
【図8】脱穀装置と、拡散用螺旋体との背断面図
【図9】拡散用螺旋体の拡大平断面図
【図10】コンバインのスライド切換レバー部の平面図
【図11】拡散用螺旋体の拡大平断面図
【図12】コンバインのスイッチ部の平面図
【図13】脱穀装置の排塵胴のガイド板部と、排藁切断装置部との拡大側断面図
【図14】脱穀装置の排塵胴のガイド板部と、拡散用螺旋体との平断面図
【図15】脱穀装置の排塵胴のガイド板部と、拡散用螺旋体との背断面図
【符号の説明】
【0050】
10 切刃(回転刃)
11 受刃(回転刃)
12 拡散用螺旋体
13 螺旋軸
14 左拡散螺旋
15 右拡散螺旋
16 中拡散螺旋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀済みの排藁を切断する回転刃(10,11)を設け、該回転刃(10,11)の下側に切断済みの排藁を拡散して落下させる拡散用螺旋体(12)を設けた排藁処理装置において、前記拡散用螺旋体(12)を軸芯方向に移動させることによって拡散方向を任意に変更可能に構成したことを特徴とする排藁処理装置。
【請求項2】
前記拡散用螺旋体(12)を備える螺旋軸(13)の中間部に中拡散螺旋(16)を設けると共に、該中拡散螺旋(16)の左右両側に、左拡散螺旋(14)及び右拡散螺旋(15)を夫々軸芯方向移動自在に設けたことを特徴とする請求項1に記載の排藁処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−86233(P2008−86233A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269076(P2006−269076)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】