説明

排藁切断装置

【課題】例えばコンバイン作業において、左側端列の未刈取り穀稈に切藁が掛かるのを少なくし、次工程の刈取作業時に、この左側端列の未刈取り穀稈に掛っている切藁が、穀稈と共に収穫されて刈取部や脱穀部で詰まることを防止する。
【解決手段】脱穀済みの排藁を切断する回転刃(10,11)を設け、該回転刃(10,11)の下側に、切断後の切藁を拡散する回転式の拡散部材(12)を設けた排藁切断装置において、前記拡散部材(12)の回転中心となる軸(13)に複数の可変拡散羽根(13b)を設けると共に、該複数の可変拡散羽根(13b)の角度を連動して調節することのできる角度調節機構(13f)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀済みの排藁を切断する排藁切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンバインの後部には排藁切断装置が設けられている。この排藁切断装置には、回転刃の下方に螺旋軸を平行に横架し、該螺旋軸上には、略中央部を境として、互に逆方向巻きの螺旋体を設け、切断藁を株元側と、穂先側とに分割して移送しながら、下部の圃場表面に排出する。
【特許文献1】特開平10−56865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンバインで刈取りした穀稈は、後方上部へ移送されて脱穀され、脱穀済みの排藁は、このコンバインの後部の排藁切断装置内へ供給され、回転刃によって所定間隔で切断され、この切断された切藁は、螺旋軸上へ落下する。
【0004】
前記螺旋軸の外周部には、略中央部を境として、互に逆方向巻きの螺旋体を設けている。この螺旋体により、切断済みの切藁を株元側と、穂先側とに分割して、左右両側へ向けて移送しながら、下部の圃場表面に排出するが、この時に、左側端列の未刈取り穀稈に切藁が掛かることがあり、次工程の時に刈取りすると、この左側端列の未刈取り穀稈に掛っている切藁が刈取穀稈と共に収穫されて、刈取装置や脱穀装置において詰り発生の原因になることがあった。
【0005】
この発明は、これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、請求項1に記載の発明は、脱穀済みの排藁を切断する回転刃(10,11)を設け、該回転刃(10,11)の下側に、切断後の切藁を拡散する回転式の拡散部材(12)を設けた排藁切断装置において、前記拡散部材(12)の回転中心となる軸(13)に複数の可変拡散羽根(13b)を設けると共に、該複数の可変拡散羽根(13b)の角度を連動して調節することのできる角度調節機構(13f)を設けたことを特徴とする排藁切断装置としたものである。
【0007】
これにより、複数の可変拡散羽根13bの角度を連動して調節可能である。
また、請求項2に記載の発明は、前記軸(13)の軸芯方向中間部に設けた拡散螺旋(13c)の外周縁よりも外側に、前記複数の可変拡散羽根(13b)の角度を連動して調節することのできる角度調節機構(13f)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の排藁切断装置としたものである。
【0008】
これにより、複数の可変拡散羽根13bの角度を連動して調節可能であるうえに、該複数の可変拡散羽根13bの角度を連動して調節することのできる角度調節機構13fが拡散螺旋13cの外周縁よりも外側に設けるために、この角度調節機構13fの構成が簡素化される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によると、複数の可変拡散羽根13bの角度調節を連動して行なうことができるために、切藁の拡散方向ないし拡散幅の調節を容易に行なうことができる。これにより、例えばコンバインによる刈取作業において、未刈取り穀稈に切藁が掛かるのを少なくして、次工程の刈取り時に、この未刈取り穀稈に掛っている切藁が刈取穀稈と共に収穫されにくくでき、刈取装置や脱穀装置における詰りの発生を少なくして刈取作業の能率を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明においては、上記請求項1に記載の発明の効果に加えて、複数の可変拡散羽根13bの角度を連動して調節することのできる角度調節機構13fの構成を簡素化して、メンテナンスの容易な構成とし、排藁切断装置の品質信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台2の下側には、走行装置3を設け、前方部には、穀稈を刈取る刈取装置4を設け、該走行車台2の上側の一方側には、該刈取装置4から刈取り穀稈を引継ぎ脱穀する脱穀装置5と、又、他方側には、脱穀済み穀粒の供給を受けて貯留する、穀粒貯留タンク6を載置している。
【0012】
前記脱穀装置5の後側には、脱穀済み排藁の供給を受けて、所定長さに切断すると共に、圃場表面へ拡散排出する排藁切断装置9を設け、この排藁切断装置9は、排藁を所定長さに切断する切刃10と受刃11とから成る回転刃を設けると共に、切断済み切藁を移送拡散しながら圃場表面に排出する拡散用螺旋体12を設け、該拡散用螺旋体12には、左右方向の拡散筒(軸)13に軸支内装した拡散軸13aの左右両側には、拡散巾を任意に変更する一対の可変拡散羽根13bを設け、又、拡散筒13の外周部(D1)には、切断した切藁を左右外側へ向けて移送拡散すると共に、送り角度を変更自在に可変拡散羽根13bを設け、この可変拡散羽根13bの移送拡散角度を調節する角度調節機構12aを設け、拡散巾を変更する。この排藁切断装置9を主に図示して説明する。
【0013】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、図13、及び図14で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3aを張設した走行装置3を配設し、走行車台2の上側面に脱穀装置5を載置すると共に、該脱穀装置5の後側には、脱穀済みの排藁の供給を受けて、所定長さに切断し、圃場表面に排出する排藁切断装置9を設け、該排藁切断装置9には、切刃10、受刃11、及び拡散用螺旋体12等を設けている。走行車台2の前方部の刈取装置4で立毛穀稈を刈取りして、後方上部に移送し、該脱穀装置5のフィードチェン7と、挟持杆8とで引継いで挟持移送しながら脱穀する。脱穀済みで選別済みの穀粒は、該脱穀装置5の右横側へ配設した穀粒貯留タンク6内へ供給され、一時貯留される。
【0014】
前記走行車台2の前方部には、図13及び図14で示すように、立毛穀稈を分離するナローガイド17a、及び分草体17bと、立毛穀稈を引起す引起装置18と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置19の各掻込装置19aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置20と、刈取りされた穀稈を挟持移送して、脱穀装置5のフィードチェン7と、挟持杆8とへ受渡しする穀稈掻込移送装置19の根元・穂先移送装置21a・21b等からなる刈取装置4を設けている。該刈取装置4は、油圧駆動による伸縮シリンダ22により、土壌面に対して昇降する。
【0015】
前記刈取装置4の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆23aの上端部に設ける支持パイプ杆23bを、走行車台2の上側面に設けた支持装置23cで回動自在に支持させている。伸縮シリンダ22を作動させると該支持杆23aと共に、該刈取装置4が上下回動する。
【0016】
前記刈取装置4の穀稈掻込移送装置19によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、脱穀装置5への穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ4aを設けている。
【0017】
前記穀粒貯留タンク6側の前部には、図13、及び図14で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置24と、操縦席25とを設け、この操縦席25の下側にエンジン26を載置している。
【0018】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用のミッションケース27内の伝動機構27aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ27bを設けている。
【0019】
前記穀粒貯留タンク6内へ貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク6の後側には、図13、及び図14で示すように、縦移送螺旋28aを内装した排出支持筒28を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒28の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋29aを伸縮自在に内装した排出オーガ29を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設している。
【0020】
前記排藁切断装置9は、図1〜図7で示すように、脱穀装置5の後側に設けている。該脱穀装置5で脱穀済みの排藁は、この脱穀装置5の後方部から排出されて、この脱穀装置5の後方上部に設けた、排藁根元チェン5aと、排藁穂先チェン5bとにより、排藁は引継ぎされて移送され、この脱穀装置5の後方左側から後方の該排藁切断装置9の左右方向の略中央部へ向けて移送され、この排藁切断装置9へ供給され、左右方向に軸支した切刃支持軸10aに所定間隔で軸支した各切刃10と、この切刃支持軸10aに所定間隔を設けて、左右方向に軸支した受刃支持軸11aに所定間隔で軸支した各受刃11とにより、所定の長さに切断される。
【0021】
この切断済み切藁は、前記排藁切断装置9の各切刃10と、各受刃11との下側に設けた拡散用螺旋体(拡散部材)12へ供給され、この拡散用螺旋体12により、拡散されながら圃場表面に排出される。この拡散用螺旋体12には、左右方向に設けた拡散筒13に拡散軸13aを軸支内装して設け、該拡散軸13aの左右両側には、送り角度を変更自在で、又、拡散巾を任意に変更する左右両側に可変拡散羽根13bを設け、左右両側のこの可変拡散羽根13bが左右方向に倒れることにより、拡散巾が広くなり、起立することにより、拡散巾が狭くなる構成である。更に、拡散巾は収束状態から、拡散状態に無段階に変更可能に構成している。
【0022】
前記拡散用螺旋体12には、図1〜図7で示すように、左右方向に拡散筒13を設け、この拡散筒13の内部には、切藁の拡散巾を変更する可変拡散羽根13bの移送拡散角度を任意に調節する角度調節機構12aを内装し、この可変拡散羽根13bの羽根板14cを、該拡散筒13より突出させて設けた、この羽根板14cを角度調節機構12aにより、任意位置に回動移動操作することにより、拡散巾を変更する構成である。又、図1〜図7で示すように、該拡散用螺旋体12の左側部には、所定間隔で二個設けている、外側のこの拡散螺旋体12を取り除いて、図8〜図12で示すように、内側一個のみとする構成とし、手動操作により、拡散巾を変更する構成とするもよい。
【0023】
前記拡散用螺旋体12に左右方向に拡散筒(軸)13を設け、この拡散筒13の内部には、切藁の拡散巾を変更する可変拡散羽根13bの移送拡散角度を任意に調節する、図1〜図7で示すように、自動方式と、図8〜図11で示すように、手動方式との角度調節機構12aを内装して設け、この可変拡散羽根13bをこの角度調節機構12aにより、任意位置へ調節できることにより、この可変拡散羽根13bの調節が容易である。このために、拡散巾の調節が容易にできる。又、切藁の拡散状態を均一にすることができる。
【0024】
前記拡散筒(軸)13の外径部に設けた拡散螺旋プレート13cの外径外側には、図4〜図12で示すように、該拡散筒13の左右両側に設けた可変拡散羽根13bを接続する連結ロッド13fを設け、左右両側の該可変拡散羽根13bを同時に移動操作し、拡散巾の変更調節ができる構成である。前記連結ロッド13fを角度調節機構と称する。尚、前記拡散筒(軸)13の一側端部に入力プーリPを取り付け、該入力プーリPと脱穀装置5側の選別部の駆動プーリとの間に伝動ベルトを巻き掛け、脱穀装置5の駆動によって拡散筒(軸)13が駆動回転する構成とする。
【0025】
前記拡散筒13の外径部に設けた拡散螺旋プレート13cの外周縁よりも外側に、拡散筒13の左右両側に設けた可変拡散羽根13bを接続する連結ロッド13fを設けたことにより、この連結ロッド13fの構成が簡単である。又、この連結ロッド13fにより、円周方向への拡散作用により、拡散作用の向上を図ることができる。更にこの連結ロッド13fには、切藁が引掛かることがない。
【0026】
図1〜図7で示すように、前記拡散筒13の外径部(D1)には、排藁を切断した切断済みの切藁を左右両外側に向けて移送しながら拡散する拡散螺旋プレート13cを固着して設けている。又、この拡散螺旋プレート13cの移送終端部の左右両外側部には、送り角度を変更自在、切藁の拡散巾を変更自在な可変拡散羽根13bを、左側部に所定間隔で設けた二個と右側部に一個とを拡散筒13に設けている。又、左側部の所定間隔で設けた二個の可変拡散羽根13bは内側のみに設けた構成にするもよい。
【0027】
前記拡散筒13の外径部(D1)には、切断済み切藁を左右外側へ向けて移送拡散する拡散螺旋プレート13cを固着して設けると共に、該拡散螺旋プレート13cの移送終端部の左右両外側には、送り角度を変更自在で、拡散巾を変更自在な各可変拡散羽根13bを設けたことにより、この可変拡散羽根13bの調節が容易である。又、構成が簡単である。
【0028】
前記排藁切断装置9は、図1〜図7、及び図12で示すように、前・後側板9a、9b、及び左・右側板9c、9dで略箱形状に形成し、この箱体の上部に設けた切刃10と受刃11との下側には、切断済み切藁の供給を受けて、移送しながら拡散する拡散用螺旋体12を設けている。
【0029】
前記拡散用螺旋体12は、図1〜図7で示すように、左・右側板9c、9dに設けた、左・右支持メタル9e、9fで軸支して設けている。これら左・右支持メタル9e、9fの内側間には、拡散筒13を設け、この拡散筒13の外径部(D1)には、左右方向に2分割して切藁を移送拡散する拡散螺旋プレート13cを固着して設けている。
【0030】
前記拡散筒13に設けた拡散螺旋プレート13cの左右両側の所定距離外側位置には、左側に一対の各可変拡散羽根13b、13bを所定間隔で設け、又、右側に一対の各可変拡散羽根13bを設け、これら左右両側の各可変拡散羽根13bを所定間隔に設けている。左側は内側一対の該可変拡散羽根13bのみを設けた構成とするもよい。
【0031】
前記可変拡散羽根13bは、拡散筒13に所定間隔で軸支して設けた、拡散受軸14に拡散受パイプ14aを挿入し、この拡散受パイプ14aの先端部に設けた受板14bにL字形状の羽根板14cをピン等により装着している。該各拡散受パイプ14aには、個別に各ギヤー14dを設け、この各ギヤー14dの回転により、該各可変拡散羽根13bが回動され、拡散巾を変更することができる。該拡散受パイプ14aには、長孔14eを設けた回動板14fを設け、この回動板14fの長孔14eと、拡散軸13aに設けた孔13dとには、接続ピン13eを挿入して設けて接続すると共に、この接続ピン13eは抜け止めを施している。又、長孔14eは、該拡散軸13aに設けるもよい。
【0032】
図5〜図7で示すように、前記左側の一対の可変拡散羽根13bを左右方向に所定間隔で設けた、一対二個の各可変拡散羽根13bの各羽根板14cと、右側の一対の該可変拡散羽根13bの該羽根板14cとの合計3個の該羽根板14cと、連結ロッド13fとを回動自在に装着している。該連結ロッド13fは、拡散筒13の外径部(D1)に設けた拡散螺旋プレート13cの外径外側に位置させて設けている。
【0033】
前記各可変拡散羽根13bは、連結ロッド13fで一体に接続して設けたことにより、これら複数の該各可変拡散羽根13bは、同時連動して拡散巾を任意巾に調節可能な構成である。
【0034】
前記拡散筒13の外径部(D1)に設けた、該拡散螺旋プレート13cの左右両側に設けた、該可変拡散羽根13bを接続する該連結ロッド13fを、該拡散螺旋プレート13c外径の外側部に設けたことにより、この連結ロッド13fの構成が簡単であり、又、この連結ロッド13により、円周方向への拡散作用により、拡散性能が向上する。更に、左右両側の該可変拡散羽根13bが同時に移動することにより、操作が容易である。
【0035】
前記排藁切断装置9の後側板9bの外側には、図1〜図7で示すように、正逆回転する拡散用モータ15を設け、この拡散モータ軸15aには、モータ回転体15bを左右移動自在に軸支し、このモータ回転体15bに設けたピン15cにはモータ用アーム15dを設けている。
【0036】
前記拡散軸13aの右側端部には、拡散回転体16aを軸支して設け、この拡散回転体16aに設けた受軸16b部の該拡散回転体16aに長孔16cを設けている。この受軸16bには、拡散用アーム16dを設け、この拡散用アーム16dと、モータ用アーム15dとは、接続ピン15eで接続させる。
【0037】
前記拡散用モータ15の正逆回転により、モータ回転体15bが左右移動し、この左右移動により、各アーム15d、16dを介して、拡散回転体16aが左右移動され、拡散軸13aが左右移動され、左右両側の一対の可変拡散羽根13bが左右に回動され、この左右回動により、拡散用螺旋体12で拡散する拡散巾の全巾を広くしたり、又、狭くしたりする構成である。
【0038】
前記拡散用螺旋体12には、拡散筒13の外径部(D1)に固着して設けた拡散螺旋プレート13cの所定寸法外側には、可変拡散羽根13bを設け、この各可変拡散羽根13bに設けた羽根板14cの角度は、切藁を拡散移送状態と、排藁を収束状態で排出する状態とに、拡散用モータ15を正逆回転に切換えることにより、該羽根板14cの角度を回動移動、切換可能に設けている。
【0039】
これにより、左右両側の可変拡散羽根13bの羽根板14cの角度を回動移動により、切藁を拡散する状態と、収束排出する状態とに切換可能になる。
図1〜図3で示すように、前記連結ロッド13fを設けた構成においては、拡散軸13aは拡散筒13に内装して設けると共に、この拡散軸13aの一方側端部は回動板14fに接続ピン13eで接続し、他方側端部には、拡散回転体16aを設けている。
【0040】
これにより、前記拡散軸13aが拡散筒13に内装されたことにより、この拡散軸13aに藁屑が巻き付くことがない。
図8〜図11で示すように、前記可変拡散羽根13bを手動で切換操作するモータ用アーム15dと拡散用アーム16dとを接続する接続ピン15eは、排藁切断装置9に設けた取付板15fに装着している。
【0041】
これにより、前記モータ用アーム15d、及び拡散用アーム16dの後側のこの該モータ用アーム15dを排藁切断装置9の本体部に設けたことにより、構成が簡単であり、又、操作が容易である。
【0042】
図13〜図15で示すように、操作装置24には、脱穀装置5を始動、及び停止操作する脱穀クラッチレバー24a及び、「ON」―「OFF」方式のメインスイッチ24cを設け、これら脱穀クラッチ24a、及びメインスイッチ24を始動操作、及びON操作により、排藁切断装置9の拡散用螺旋体12の可変拡散羽根13bは、操作装置24に内装して設けた制御装置24bにより、自動的に切藁を拡散する状態に切換する構成である。
【0043】
これにより、作業開始時には、前記拡散用螺旋体12の可変拡散羽根13bは、自動的に切藁を拡散する状態に自動切換操作されることにより、誤操作することを防止できる。
図13、及び図14で示すように、操作装置24に設けた方向制御レバー24dの操作により、コンバイン1を旋回操作したときには、この旋回操作が制御装置24bへ入力され、この入力により、拡散用螺旋体12の各可変拡散羽根13bは、自動的に拡散巾を狭くする状態の収縮方向に制御装置24bにより、自動制御する構成である。
【0044】
これにより、コーナー旋回時には、前記各可変拡散羽根13bが収縮方向に制御されることにより、次工程で刈取りする未刈取り穀稈に、切藁が拡散排出されることを防止できる。
【0045】
前記刈取装置4を伸縮シリンダ22の上昇作動により、上昇させたときには、この上昇操作が制御装置24bに入力され、この入力により、拡散用螺旋体12の各可変拡散羽根13bは、自動的に拡散巾を狭くする状態の収縮方向にこの制御装置24bにより、自動制御する構成である。
【0046】
これにより、前記刈取装置4を上昇操作時には、各可変拡散羽根13bの拡散巾が狭くなることにより、切藁が未刈取り穀稈に拡散されることがない。
前記拡散用螺旋体12は、図16で示すように、左右両外側の左・右外拡散螺旋30a、30bと、左右両内側の左・右内拡散螺旋31a、31bとに四分割して、拡散軸32に回転自在に軸支した構成である。又、これらの各拡散螺旋30a、30b、31a、31bを異形状に形成している。
【0047】
これにより、拡散螺旋位置を任意に調節できて、拡散状態を変更できる。又、拡散螺旋の交換は損傷部品のみの交換が可能になる。
前記脱穀装置5の扱胴5dの右横下部には、図17で示すように、脱穀室5c内のこの扱胴5dで脱穀されなかった未脱穀物である排塵物を受けて再脱穀する排塵室33に回転自在に排塵胴33aを軸支内装して設け、この排塵室33の移送終端部の下側には、排塵排出物を排出する排塵口33bを設けている。該排塵口33b部の下側には、拡散用螺旋体12の右側の可変拡散羽根13bを位置させて設けている。
【0048】
これにより、作業条件により、前記排塵室33の排塵口33bより、排出する排塵排出物を、機体右側に拡散排出したり、又、右側への排出を規制することができる。
前記脱穀装置5の後部には、図18〜図20で示すように、排藁切断装置9を設けると共に、この脱穀装置5の脱穀室5cの右横下部には、排塵室33に排塵胴33aを回転自在に軸支し、この排塵室33の移送終端部の排塵口33bの後側部より、排塵ガイド板33cを設け、この排塵ガイド板33cの後端部は、該排藁切断装置9の拡散用螺旋体34の上側部に位置させている。
【0049】
前記拡散用螺旋体34は、図18〜図20で示すように、左・中・右拡散螺旋34a、34c、34bを、拡散軸32に回転自在で左右移動自在に軸支して設けている。これら左・中・右拡散螺旋34a、34c、34bは、左右両側の左・右拡散モータ35、36で左右移動自在に設けている。
【0050】
前記左拡散モータ35の左拡散モータ軸35aと、左拡散螺旋34aの左側面との間に設けた、支持具35bの左右移動により、左拡散螺旋34aが左右移動する構成である。又、右拡散モータ36の右拡散モータ軸36aと、右拡散螺旋34bの右側面との間に設けた支持具36bの左右移動により、右拡散螺旋34bが左右移動する構成である。
【0051】
これにより、作業条件により、排塵排出物を機体右側に拡散排出したり、又、機体右側への排出を規制したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】拡散部材の一部の拡大背断面図
【図2】拡散部材の拡散巾大時の一部の拡大平断面図
【図3】拡散部材の拡散巾小時の一部の拡大平断面図
【図4】拡散部材の拡散巾大時の平断面図
【図5】拡散部材の拡散巾小時の平断面図
【図6】拡散部材の拡散巾大時の背断面図
【図7】拡散部材の拡散巾小時の背断面図
【図8】拡散部材の手動式で拡散巾大時の平断面図
【図9】拡散部材の手動式で拡散巾小時の平断面図
【図10】拡散部材の手動式で拡散巾大時の背断面図
【図11】拡散部材の手動式で拡散巾小時の背断面図
【図12】拡散部材の手動式の側面図
【図13】コンバインの右側全体側面
【図14】コンバインの全体平面図
【図15】コンバインの一部の平断面図
【図16】拡散部材の背断面図
【図17】脱穀装置と拡散部材の背断面
【図18】脱穀装置と排藁切断装置との拡大側断面図
【図19】脱穀装置と拡散部材との背断面
【図20】コンバインの一部の拡散部材との平断面図
【符号の説明】
【0053】
10 切刃(回転刃)
11 受刃(回転刃)
12 拡散用螺旋体(拡散部材)
12a 角度調節機構
13 拡散筒(軸)
13b 可変拡散羽根
13c 拡散螺旋プレート(拡散螺旋)
13f 連結ロッド(角度調節機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀済みの排藁を切断する回転刃(10,11)を設け、該回転刃(10,11)の下側に、切断後の切藁を拡散する回転式の拡散部材(12)を設けた排藁切断装置において、前記拡散部材(12)の回転中心となる軸(13)に複数の可変拡散羽根(13b)を設けると共に、該複数の可変拡散羽根(13b)の角度を連動して調節することのできる角度調節機構(13f)を設けたことを特徴とする排藁切断装置。
【請求項2】
前記軸(13)の軸芯方向中間部に設けた拡散螺旋(13c)の外周縁よりも外側に、前記複数の可変拡散羽根(13b)の角度を連動して調節することのできる角度調節機構(13f)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の排藁切断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate