説明

掘削装置および掘削孔の形成方法

【課題】多様な土壌地質に掘削孔を形成することが可能な、地中に掘削孔を形成する掘削装置および掘削方法を提供する。
【解決手段】本発明は地中に掘削孔を沈下させる掘削装置に関し、この掘削装置は、二つ以上の掘削ホィールがそれぞれ一つの掘削ホィール回転軸を中心として回転式に搭載される支持体、掘削ホィールを支持体上で回転駆動させるための一つ以上の掘削ホィール駆動機構、および掘削ホィールと併さった支持体を、掘り下げる方向とほぼ平行な支持体回転軸を中心として回転駆動させるための駆動機構を有する。また、本発明は地中に掘削孔を形成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、掘削孔を地中に掘り下げる掘削装置に関する。また、この発明は掘削孔を地中に形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この方式の掘削設備は、二つ以上の掘削ホィールがそれぞれ掘削ホィール回転軸を中心として回転するように搭載される支持体、および支持体上の掘削ホィールを回転駆動するための一つ以上の掘削ホィール駆動機構を有する。この既存の方式の方法においては、回転式に支持体に搭載された二つ以上の掘削ホィールが、それぞれ掘削ホィール駆動機構によって一つの掘削ホィールの回転軸を中心として回転し、掘削ホィールと併さった支持体は掘り下げる方向に地中を進む。
【0003】
方形の掘削孔断面を有する掘削孔を形成するためのトレンチウォール(trench wall)カッタが、欧州特許第635199号明細書に開示されている。このトレンチウォールカッタは、平行かつ水平軸上でそれぞれ反対方向に回転する、二つのオフセットした掘削ホィールの対を有する。土壌が掘削ホィールの位置で掻き取られて両ホィール間の隙間に搬送され、そこから吸引装置によって上方に移送される。
【0004】
丸形の掘削孔断面を有する掘削孔を地中に形成する掘削ヘッドおよび方法が、下記の特許文献1に記載されている。特許文献1の掘削ヘッドは、掘削ヘッドの掘り下げる方向に対して径方向の、共通の掘削ホィール軸を中心として回転するように配置された、四つの掘削ホィールを有する。丸形の掘削ヘッド断面の形成のために、掘削ヘッドの中心から始まる掘削ホィールの径は、共通掘削ホィール軸の軸方向に従って狭くなっている。
【0005】
【特許文献1】欧州特許第819819号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、より万能的かつ経済的な方法で、きわめて多様な土壌地質に掘削孔を形成することが可能な、掘削装置および掘削方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の掘削装置は、地中に掘削孔を掘り下げる掘削装置であって、二つ以上の掘削ホィールがそれぞれ掘削ホィール回転軸を中心として回転可能に、掘削ホィールを搭載する支持体と、前記支持体に搭載された掘削ホィールを回転駆動する、一つ以上の掘削ホィール駆動機構と、掘削ホィールを伴った前記支持体を回転駆動する支持体駆動機構と、を有し、前記支持体の回転軸(支持体回転軸)の延びる方向は、掘削孔を掘り下げる方向(T)とほぼ平行であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る掘削装置は、掘削ホィールと併さった支持体を、掘り下げる方向に略平行な支持体回転軸を中心として回転駆動する駆動機構が備わることを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の基本的発想は、二つ以上の掘削ホィールと併さった支持体を回転させることができる支持体駆動機構にある。この支持体駆動機構により、地面に対する掘削ホィールの相対的な位置を変化させることができる。特に、掘削ホィールと併さった支持体を、支持体回転軸を中心として回転させることにより、掘削ホィールが丸形断面すなわち狭まった径を有することを要さずに、丸形の掘削孔断面を有する掘削孔を形成することができる。これにより、良好な掘削の進行を得る上で、特に適切な掘削ホィール形状を選択することができ、例えば、ほぼ方形の掘削ホィール断面を設けることもできる。
【0010】
この掘削装置は特に、支持体駆動機構により支持体を回転させると、それぞれの掘削ホィールの全周の約1/4だけが、露出した土壌材に噛み込むように構成される。つまり、本発明に係る掘削装置は、部分掘削式掘削装置と呼称されるもので、掘削ホィールの最大寸法は掘削孔の断面より小さくなっている。掘削ホィールの外周のほぼ半分以上が露出土壌に作用する完全掘削式掘削装置とは反対に、本発明に係る掘削装置の場合は、露出土壌と接触する表面が小さく、そのために同等の掘削ホィールの接触圧を掘削孔の底に得るために要する掘り下げる方向の接触圧もそれに応じて小さくなっている。
【0011】
本発明で意味する掘り下げる方向とは、掘削ホィールと併さった支持体が掘削孔を掘り下げつつ進行する方向、すなわち形成される掘削孔の長手方向のことである。本発明によれば、支持体の回転軸は前記掘り下げる方向に延びていて、掘削孔の長軸を形成している。掘削ホィールおよび/または掘削ホィール回転軸が支持体回転軸に関して対称であると、特に掘削動作の間に生じた力の吸収に適した掘削装置が得られる。力の吸収については、掘削ホィール回転軸と支持体回転軸との角度が約90度であることも効果的である。しかしながら、0度までの他の低い角度を設けることもできる。掘削ホィール回転軸は、基本的に支持体回転軸と、特にその径方向で交差する。しかしながら、掘削ホィール回転軸は、支持体回転軸に対してオフセットすなわち変位して配置することも可能であり、それによって特に大径の掘削孔を得ることが可能になる。
【0012】
本発明にかかる掘削装置の好適なさらなる発展形態では、一つ以上の掘削ホィールが枢動可能、特に支持体上で上方に枢動可能な枢動装置が設けられる。枢動とは、特に、一つ以上の掘削ホィールの掘削ホィール回転軸と支持体回転軸とのなす角度の変化と解釈される。一つ以上の掘削ホィールの枢動により、前記支持体および/または支持体回転軸に対する、露出土壌への前記掘削ホィールの外側当接点(作用点)を変更することができ、その結果、掘削半径を瞬間的に変化させることができる。特に、一つ以上の掘削ホィールを深さに応じて枢動させることによって、深さに応じて直径が変化した掘削孔が得られる。その結果、例えば、杭の基礎を形成するために、掘削孔の底で径の拡がった掘削孔を形成することができる。必要に応じて、計画的に掘削孔の掘削孔基礎側を拡大することによって、特に底部材(sole element )であるシール部材を形成することができる。一つ以上の掘削ホィールが枢動する構成の結果、特に小型構造の掘削設備の場合でも、広い作業範囲をカバーすることができる。枢動装置は、一つ以上の掘削ホィールが水平軸を中心として枢動可能に搭載された、ベアリング装置を有することが好ましい。枢動装置はさらに、特に一つ以上の液圧枢動シリンダを備えた、該一つ以上の枢動ホィールの従動枢動用の枢動駆動装置を有することも好ましい。支持体上の力の対称的分布および特に堅牢な掘削装置を得るためには、枢動が同時に生じて、かつ共通の水平枢動軸を中心として、両方の掘削ホィールが支持体上で枢動可能であることが好適である。上方枢動とは、特に、枢動の間に一つ以上の掘削ホィールが掘削孔の底に対して上昇することを意味するものと解釈される。
【0013】
本発明の掘削装置の特に適切なさらなる発展形態は、支持体が、チューブリンケージ上の端に位置することを特徴とする。このチューブリンケージは、掘削孔の外側の建設用装置(掘削設備)まで延びており、これを用いて重畳された負荷力、すなわち掘削ホィールと併さった支持体への押圧力の伝達が行われる。ただし、掘削設備は、例えば支持ケーブル上に吊るしてもよい。枢動駆動装置によって支持体がチューブリンケージに対して枢動可能であると、特に万能的に利用可能な掘削装置が得られる。
【0014】
支持体および/またはチューブリンケージ上に、孔壁上で支持体やチューブリンケージを支持する、特にガイドリングであるガイド機構が設けられていると、動作時の掘削装置のあらゆるドリフト(孔の位置ずれや、拡がり)が有効に低減される。必要に応じて、複数のガイド機構が支持体および/またはチューブリンケージ上に重畳して備わっていてもよく、これによって複数の面に沿って誘導するガイド機構がもたらされる。ガイド機構は、好適にはガイドシューであって、掘削孔の壁に接触するために設けられると共に、支持体の回転軸の径方向に延びる支柱によって支持体および/またはチューブリンケージに接続されている。効果的にはガイドシューは、ガイドリングの形で(リング形状で)構成される。このガイドシューは、連続したリング形状とは異なり、断続的な構成にすることもできる。掘削孔が支持体チューブの導入を経て形成される場合は、ガイド機構は前記支持体チューブ上の支持対象物を支持するために設けられるものともなる。
【0015】
より詳しくは、掘削装置が、種々の掘削孔径を有する掘削孔を形成するために構成されたものである場合は、直径を調整可能な方式のガイド機構を構成することが好適である。このために、例えば、調整装置が設けられ、これによってガイドシューが位置する支柱の長さを変化させることが出来るようにしても良い。ガイドリングに設けられる場合は、その構造を、直径を調整するためのセグメント構造(複数の弓形部分に分割された構造)にしてもよい。
【0016】
本発明に係る掘削装置において、チューブリンケージを支持体チューブに固定するための固締装置を設けること、および支持体を駆動するためにチューブリンケージを軸方向に伸長可能にすることで、掘削孔の掘り下げについて特に精密なガイドが得られる。この結果、チューブリンケージを特に短く保つことができ、それ故に掘削装置のドリフトは効果的に減少する。好ましくは、チューブリンケージを軸方向に延ばす液圧シリンダが設けられる。この実施形態では、押圧力の少なくとも一部は、圧力シリンダによって印加される。ただし、掘削装置の重量自体で十分な接触圧を十分確保できる場合もある。
【0017】
本発明に係り特に好適であるのは、駆動機構がチューブリンケージと支持体との間および/またはチューブリンケージの上部に位置することである。駆動機構が該上部に位置する場合、この駆動機構は掘削孔の外側、特に建設用装置(construction implement)上に効果的に位置する。好ましくは、支持体駆動機構および/または掘削ホィール駆動機構は液圧モータを備えている。また、支持体駆動機構および掘削ホイール駆動機構は共通のモータを備えて構成されることもある。掘削ホィール駆動機構は、例えば支持体上だけでなく、チューブリンケージの上部にも設けられる。
【0018】
本発明の掘削装置の特に好適な発展形態は、一つ以上の掘削ホィールの掘削ホィール回転軸が支持体回転軸に対するオフセットを有しており、かつ特にオフセットを変更するための掘削ホィールオフセット駆動装置が設けられていることを特徴とする。一つ以上の掘削ホィールのオフセットさせた結果、露出土壌材への掘削ホィールの当接点が支持体回転軸に対して径方向外側に変位し、それにより同一の掘削ホィール径の場合、掘削断面が増加する。両方の掘削ホィールが支持体回転軸に対して同じオフセットすなわち変位で位置していることが、圧力対称の観点から特に好適である。好ましくは、掘削ホィールの回転軸は、支持体回転軸に対して支持体回転方向に前方に変位している。このような掘削ホィールオフセット駆動装置により、特に掘削装置の掘り下げの間に、オフセットを変更することが可能になり、それにより種々異なる直径の掘削孔の作製が可能になる。好ましくは、掘削ホィールオフセット駆動装置は、全ての掘削ホィールの回転軸のオフセットを、同時かつ均一に変更可能なものとして構成される。
【0019】
掘削ホィールをそれぞれが二つの独立した掘削ホィールを備えた掘削ホィール対として構成すること、および該掘削ホィール対の個々の掘削ホィールがそれぞれ枢動可能に支持体に搭載されたベアリングブラケットに搭載されることによって、掘削が良好に進行する掘削装置が得られる。各掘削ホィール対の個々の両掘削ホィールが、それぞれ同一の回転軸を有することで、構造的に特に簡単な掘削装置が得られる。好ましくは、各掘削ホィール対は、特に共通のベアリングブラケットに設置可能な、専用の掘削ホィール駆動モータを有する。全てのベアリングブラケットが共通の水平枢同軸を中心として枢動可能に搭載されることが特に好適である。
【0020】
また、掘削ホィールが周方向および/または正面に掘削ツールを備えることで、特に良好な掘削の進行が得られる。掘削ツールは、例えば掘削歯または掘削ロールとして構成される。掘削ホィールが支持体上に枢動可能に設置された場合は、枢動の間および掘削装置の掘り下げの間に掘削ホィールは正面から露出土壌材にかみ込むために、掘削ツールの正面配置は特に効果的である。好ましくは、掘削ホィールは、少なくとも略筒状であって、シリンダジャケットとも呼ばれる外周面と、傾斜した中間領域が有効に存在する前面と、の間に位置する。好ましくは、掘削ホィールは、同一または反対方向に回転して、除かれた土壌材が支持体上に位置したポンプの吸引用開口に供給されるようになっている。掘削ホィール、特に個々の掘削ホィールは、好ましくは交換可能に支持体上に設けられる。つまり、掘削ホィールは、例えば種々の異なる径を有する掘削ホィールと交換可能であり、そのために掘削孔の径を変更することができる。また、掘削工程の間に、別種の土壌や地質が現れた場合は、掘削ホィールは種々の異なるツールを備えたホィールと交換することもできる。このように、掘削ホィールを交換することにより、特に大径を有し、かつ岩石中に固定可能な掘削孔を形成することができる。
【0021】
本発明に係る掘削孔の形成方法は、掘削ホィールと共に支持体が、孔を掘り下げる方向に略平行な方向の、支持体回転軸を中心として、駆動機構により同時に回転することを特徴とする。本発明に係る方法の実行時には、上述の掘削装置に関して説明した上記諸効果が得られるように、本発明に係る掘削装置の用法が特に作成される。
【0022】
基本的には、本発明により支持体回転軸を中心とした回転方向を一定に保ちつつ、支持体を回転させる。しかしながら、この支持体の回転軸を中心とした支持体回転方向は、交互に変化させることが好ましい。特に掘削孔を迅速に形成する上では、約180度の回転角度をカバーするよう回転させた後、回転方向をそれぞれ変化させることが好ましい。
【0023】
本発明の方法の特に好適な発展形態は、一つ以上の掘削ホィールが、特に支持体回転軸の周囲の支持体の回転角度の関数として枢動、特に支持体上で上向きに枢動することを特徴とする。一つ以上の掘削ホィールの枢動により、掘削ホィールの掘穴径を瞬時に変更することが可能になり、そのために掘削孔の深さに応じて掘削孔の径を変化させることができる。これにより例えば、特に基礎部分が拡がった、すなわちアンダカットされた杭孔が形成される。また、この掘削ホィールの回転角度に応じた枢動によって、円形とは異なる丸形の掘削孔断面を有する掘削孔の形成が可能になる。特に楕円形断面の掘削孔および基礎杭を形成することが可能になり、これによって、大径の杭径およびそれに応じた地面形状の場合に、材料の節約がもたらされる。これは、両方の掘削ホィールが同時かつ対称的に枢動される場合に特に好適である。この両掘削ホィールの同時枢動動作はスプレディング(spreading)とも呼ばれる。駆動機構によって鉛直上下方向の縦軸を中心とした掘削ホィールの調整能力が得られるのに対し、枢動装置によっては水面面上の横軸を中心とした調整能力が得られる。両調整能力を重畳する(併せる)ことによって、掘削孔の断面を特に万能的に変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について、図を用いて詳細に説明する。
【0025】
本発明に係る掘削装置を図1乃至5に示す。掘削装置は、底部に二つの掘削ホィール1,2が掘削ホィール回転軸51,52を中心として回転するように搭載されたフレームとして、支持体20を有する。掘削ホィール1,2は、それぞれ掘削ホィール対として構成されている。掘削ホィール1は、二つの別々の掘削ホィール11,11´を有しており、掘削ホィール2は、二つの別々の掘削ホィール12,12´を有している。掘削ホィール11,11´は、それぞれベアリングブラケット21の両側に搭載され、掘削ホィール12,12´は、それぞれベアリングブラケット22の両側に搭載されている。掘削ホィール1,2の回転駆動のために、それぞれベアリングブラケット21,22の上面側に位置する二つの液圧回転モータ71,72を備えた掘削ホィール駆動機構が設けられている。さらに、ポンプ機構75として構成された駆動ユニットが支持体20上に設けられている。
【0026】
支持体20は、チューブリンケージ8の下端に非回転式に固定される。図示しない駆動機構によって、チューブリンケージ8およびチューブリンケージに従動する支持体20は、支持体回転軸56を中心として回転方向Dに回転する。掘削ホィール1,2は、掘削ホィール回転軸51,52を中心として回転するように駆動され、円形の経路を描いてその経路上の土壌材を掘削ホィールが除去する。支持体回転軸56を中心とした回転動作と同時に、支持体20は掘り下げる方向Tに進む。この進行は、単に掘削装置の重量の影響によって、またはチューブリンケージ8に重畳された負荷力を及ぼす、進行駆動装置の作用により生じる。支持体および/または掘削液が、掘削ホィール1,2の間の支持体のフレーム20に設けられた供給用開口部25により、掘削工程の間に掘削孔に導入および/または除去される。
【0027】
支持体回転軸56は、チューブリンケージ8の中心を掘り下げる方向Tに延びている。この支持体回転軸56は、支持体20の回転の間に形成される、円形断面の掘削孔の長軸となっている。つまり掘削ホィール1,2は、支持体回転軸56に関して対称に位置している。掘削ホィール1,2の非枢動状態において、これら掘削ホィール回転軸51,52は、互いに平行であって、支持体回転軸56とは約90度の角度をなしている。掘削ホィール回転軸51,52を伴う掘削ホィール1,2は、掘削ホィール回転軸51が支持体回転軸56に対してオフセットX1を有して離間すると共に、掘削ホィール回転軸52が支持体回転軸56からオフセットX2を有して離間しており、加えて掘削ホィール回転軸51,52は、オフセットX1とオフセットX2とが等しくなるように、それぞれ支持体回転軸56に対して回転方向Dの先方位置に位置している。このことは特に図1乃至5に示されている。
【0028】
掘削断面を増すために、支持体20上の掘削ホィール1,2は、共通の水平枢動軸60を中心として枢動可能に(旋回可能に)搭載される。このために、ベアリングブラケット21,22が、横向きのL形レバーアーム65によって支持体20に連結されている。掘削ホィール1,2を枢動させるために、二つの液圧シリンダ61,62を備えた枢動装置が設けられている。これらシリンダ61,62は、それぞれ、一端が支持体20に連結され、他端がベアリングブラケット21,22に連結されている。前記液圧シリンダ61,62を縮ませることにより、ベアリングブラケット21,22と共にレバーアーム65および個々の掘削ホィール11,11´,12および12´は、共通の枢動軸60を中心として上方に枢動する。図4に実線で、図2および5に破線で示したこの枢動状態において、掘削ホィール回転軸51´,52´は、支持体回転軸56に対して90度異なった角度をなすことができる。掘削ホィール1,2の枢動は、基本的に無段階で生じるものであり、特に掘削ホィール回転軸51´,52´が支持体回転軸56に平行になるまで継続する。
【0029】
掘削孔内で支持体20をガイドするために、支持体回転軸56の径方向に延びた4つの支柱32を用いたガイドリング31が、前記支持体20に設けられる。支持体20は、支持体回転軸56と同軸の、前記ガイドリング31によって掘削孔壁上で支持される。
【0030】
図6乃至8に、本発明に係る掘削装置が掘り下げた掘削孔の底で得られる掘削像を、ある程度上方に枢動した掘削ホィール1,2と併せて示す。両掘削ホィール1,2の間において、掘削孔の底に円錐状の突起80が形成されている。この円錐状突起80は、内側にそれぞれ設けられた掘削ホィール11´,12´の前方側によって徐々に削られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明にかかる掘削装置の部分断面側面図である。
【図2】図1の掘削装置の正面図であって、掘削ホィールについて非枢動状態を実線で示し、上方に枢動した状態を破線で示した正面図である。
【図3】図1の掘削装置の斜視図であり、掘削ホィールが枢動していない状態を示す図である。
【図4】図1の掘削装置の斜視図であり、掘削ホィールが上方に枢動した状態を示す図である。
【図5】図1の掘削装置の平面図であり、掘削ホィールについて枢動していない状態を実線で示し、上方に枢動した状態を破線で示した上面図である。
【図6】本発明の掘削装置の第2の実施形態の水平に枢動した掘削ホィールの上面図である。
【図7】図6の掘削装置のA−A断面図である。
【図8】図6の掘削装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1,2,11,11´,12,12´ 掘削ホィール、8 チューブリンケージ、20 支持体、21,22 ベアリングブラケット、51,52 掘削ホィール回転軸、56 支持体回転軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に掘削孔を掘り下げる掘削装置であって、
二つ以上の掘削ホィールがそれぞれの掘削ホィール回転軸を中心として回転可能に、掘削ホィールを搭載する支持体と、
前記支持体に搭載された掘削ホィールを回転駆動する、一つ以上の掘削ホィール駆動機構と、
掘削ホィールを伴った前記支持体を回転駆動する支持体駆動機構と、
を有し、
前記支持体の回転軸の延びる方向は、掘削孔を掘り下げる方向(T)とほぼ平行である、
掘削装置。
【請求項2】
請求項1記載の掘削装置において、
前記支持体には、一つ以上の掘削ホィールを上方に枢動可能に枢動装置が設けられている、
掘削装置。
【請求項3】
請求項1記載の掘削装置において、
前記支持体は、チューブリンケージの端に配置される、
掘削装置。
【請求項4】
請求項1記載の掘削装置において、
前記支持体上および/または前記チューブリンケージ上には、前記支持体または前記チューブリンケージをそれぞれ孔壁上で支持する、ガイドリングであるガイド機構が設けられている、
掘削装置。
【請求項5】
請求項4記載の掘削装置において、
前記ガイド機構は、その直径を調整可能に構成されている
掘削装置。
【請求項6】
請求項1記載の掘削装置において、
チューブリンケージを固定して、これに張力をかけるテンション装置が設けられ、
さらにチューブリンケージは、前記支持体を駆動するよう軸方向に伸長可能であることを特徴とする掘削装置。
【請求項7】
請求項3記載の掘削装置において、
駆動機構は、前記チューブリンケージと前記支持体との間、および/または前記チューブリンケージの上部に配置される、
掘削装置。
【請求項8】
請求項1記載の掘削装置において、
一つ以上の掘削ホィールの掘削ホィール回転軸は、支持体回転軸に対してオフセットしており、
さらに、前記オフセットを変更するための掘削ホィールオフセット駆動装置が設けられている、
掘削装置。
【請求項9】
請求項1記載の掘削装置において、
掘削ホィールは、それぞれ二つの個別の掘削ホィールを備えた掘削ホィール対として構成され、
前記掘削ホィール対の個別の掘削ホィールは、それぞれ枢動可能に支持体に搭載されたベアリングブラケットに搭載される、
掘削装置。
【請求項10】
請求項1記載の掘削装置において、
前記掘削ホィールは、周方向および/または前面に、掘削ツールを備える、
掘削装置。
【請求項11】
請求項1に記載の掘削装置を用いて、地中に掘削孔を形成する方法であって、
支持体上に回転式に搭載された二つ以上の掘削ホィールが掘削ホィール駆動機構によってそれぞれ一つの掘削ホィール回転軸を中心として回転し、
掘削ホィールと併さった支持体は、地中を掘り下げる方向に進むものであり、
掘削ホィールと併さった前記支持体は、前記掘り下げる方向(T)に略平行な、支持体回転軸を中心として駆動機構により同時に回転する、
掘削孔の形成方法。
【請求項12】
請求項11の方法において、
支持体回転軸を中心とした支持体の回転方向が、交互に変化される、掘削孔の形成方法。
【請求項13】
請求項11の方法において、
一つ以上の前記掘削ホィールは、支持体上で、支持体回転軸を中心とした支持体の回転角度の関数として、上方枢動である枢動を行う、掘削孔の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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