説明

採光扉

【課題】 採光扉表面からの突出部が極めて少ないので引き戸にも使用可能で強度耐久性にも優れ扉本体の厚みや透光部材の種類が複数あっても1種類の扉本体を在庫しておけばよく工場での仕掛かり在庫や部品在庫が少なくて済むので製造コスト的にも有利となり、しかも、扉加工寸法精度が若干低くても、また、透光部材嵌入の際、作業精度が若干低くても、しっかりと確実に透光部材を固定することが可能で、品質、精度及び外観に優れた採光扉を安価に提供することを目的とする。
【解決手段】 芯材の両面に化粧板が貼着された扉本体の所定位置に貫通する開口部を設け、開口部に透光部材を設けてなる採光扉であって、透光部材は厚み方向に2個に分割され側面に開口部内周側面と透光部材を圧接係合させるための係合突起を備え、扉本体両面の開口部から透光部材を嵌入し扉本体表面から多分に薄目の突出部を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に使用される開き戸、引き戸等に用いられる扉で、該扉の所定箇所に採光部が設けられた採光扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等建築物に使用される採光タイプの開き戸、引き戸においては、採光部の構造として、図9に示すように、採光扉11に開口部Kを設け、該開口部周縁に芯材Sを取り付け、縦方向と横方向の額縁Gを採光扉11の開口部周縁の芯材Sに、採光扉11の表面裏面の両方から取り付け、前記額縁Gで、採光扉11の表面裏面の両面から透光性部材Qを挟持するようにして取り付けた構造を有する採光扉11が用いられてきた。
【0003】
この構造の採光扉11においては、額縁Gを開口部周縁の芯材Sに取り付ける際の作業が繁雑で作業性に劣り、また、額縁Gが採光扉11の表面から突出するので、開き戸としては使用することができるが、引き戸となると、開閉操作中において、額縁Gどうしが接触し易く使用しづらいものであった。
【0004】
そこで、透光部材が表面材と面一とされた採光窓が容易に形成されることを目的としてなされた採光窓付き内装パネルは、平面形状が表面材に形成された開口部の平面形状に等しくされた本体と、該本体の周囲に形成された鍔部とを有する透光性部材が、表面化粧板の裏面に固定され、透光性部材の本体は表面材の開口部に嵌め込まれて表面材と表面が面一となる。このようにして透光性部材が面一とされた表面材2枚が対置固定された構成の採光窓付き内装パネルの記載がある。(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−232879号公報。(第1−5頁、第1−4図)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来技術のなかで、額縁タイプにおいては、上述したように、額縁Gを開口部の周縁に設けられた芯材Sに取り付ける際の取り付け作業が極めて繁雑で、従って、作業性に劣るという問題点があった。
【0007】
また、前記額縁が採光扉の表面から突出することになるので、開き戸として用いる際は、使用上支障はなく、特に問題はないが、引き戸として用いる際は、引き戸開閉操作中において、二枚の引き戸の前記額縁どうしが接触し易く使用しづらいものであった。また、片引き戸においても、前記引き戸の額縁Gの突出部分と壁面とが開閉操作中に接触し易く使用しづらいものであった。
【0008】
また、前記額縁Gで挟持するようにして取り付けられた透光性部材Qは、額縁G周縁の挟持箇所において、額縁Gの裏面下地材が透視され、木質下地の場合、木材の節、腐れ、変色等の下地材の欠点が外から見て、見えてしまうので、外観上見苦しいといった問題点もあった。また、木質以外の下地の場合でも、木材とは異なる種類の欠点が見えて外観上見苦しくなるといった問題点があった。
【0009】
また、上記特開2005−232879号公報に記載の採光窓付き内装パネルにおいては、表面材に形成された開口部に透光部材の本体を嵌め込む構成であるので、透光部材の形状に合わせた形状の開口部形成が必要であり、透光部材の種類の数だけ開口部形成加工済みの扉本体を必要とし、工場での仕掛かり在庫を多く抱える必要があった。そのことによって製造コスト的にも不利となっていた。
【0010】
また、扉本体の厚みの種類だけ、異なる厚みの透光部材の種類が必要となり、工場での部品在庫が多くなり製造コスト的にも不利となっていた。
【0011】
また、表面材の開口部の形状及び大きさと透光部材の本体の形状及び大きさが極めて精度よく仕上げられていることが必要とされる。前記透光部材の本体が若干でも寸法が大きいと開口部に嵌め込むことが不可能となり、逆に、若干でも小さいと、嵌め込んだあと、その箇所に隙間が生じることになり大変見苦しいものとなる。さらに前記隙間は、幅方向の大きさが問題になるばかりでなく、隙間の深さが透光部材の本体の厚み分に相当する大きな寸法の深さとなり、寸法的にも目立つ隙間となる。
【0012】
この隙間を解消するには透光部材本体の形状及び寸法精度のみならず、表面材の開口部の形状及び寸法精度についても極めて精度よく仕上げることができるかどうかにかかっており、加工技術的に極めて困難なものである。
【0013】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、額縁が不要であるため、構造が簡単であり、通常の加工精度で十分に加工でき、従来の採光扉に必ず必要とされたパッキン等の部材を必要とせず、組立作業性に優れ、採光扉表面からの額縁等の突出部がなく、透光性部材の突出も極めて少ないので、引き戸にも使用可能で、強度耐久性にも優れ、扉の採光部が極めて簡単に形成可能で製造作業性に優れた採光扉を安価に提供することにある。
【0014】
また、扉本体の厚みの種類が複数あっても、異なる厚みの透光部材を必要とせず、工場での部品在庫が少なくて済むので製造コスト的にも有利な採光扉を製造することにある。
【0015】
さらに係合突起の圧接力で開口部にしっかりと固定可能で、面部周縁の鐔の働きで透光部材と扉本体開口部の形状や寸法精度が若干低くても透光部材と開口部との間の隙間を有効に隠蔽することが可能で、外観的にも優れた採光扉を可能とする。また、開口部内部の化粧されていない芯部が適度に隠蔽可能となる。
【0016】
また、透光部材の形状デザインが複数あっても、異なる形状の開口部形成を必要とせず、異なる形状の開口部加工済み扉本体を必要とせず、1種類の形状の開口部加工済み扉本体を在庫しておけばよく、工場での仕掛かり在庫を多く抱える必要がなく、製造コスト的にも有利な採光扉を製造することにある。
【0017】
すなわち、前記開口部形状を1種類の正方形とし、正方形の開口部に、正方形の基部を有する透光部材のみならず、円形基部からなる透光部材であっても、しっかりと確実に透光部材を扉本体に嵌入して取付可能で、しかも、隙間が生じても隠蔽可能とする採光扉を提供することにある。
【0018】
さらに、上下及び左右の対向位置に設けられた係合突起が透光部材の側面の厚み方向に形成された波型段部であるので、透光部材嵌入の際、作業精度が若干低くても、しっかりと確実に透光部材を固定することが可能で品質と作業性に優れた採光扉を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明の採光扉は、芯材の両面に化粧板が貼着された所定の巾、高さ、厚みからなる扉本体の所定位置に、該扉本体を貫通する開口部が設けられ、該開口部に透光部材を設けてなる採光扉であって、前記透光部材は厚み方向に2個に分割され、その外側面に前記開口部内周側面と透光部材を圧接係合させるための係合突起を備え、扉本体の両面のそれぞれの開口部から2個で一対をなす前記透光部材が嵌入されており、扉本体化粧板表面からの多分に薄目の突出部を備えてなることを特徴とする。
【0020】
このような本発明の請求項1に記載の採光扉によれば、額縁が不要であるため、構造が簡単であり、通常の加工精度で十分に加工でき、従来の採光扉に必ず必要とされたパッキン等の部材を必要とせず、組立作業性に優れ、採光扉表面からの額縁等の突出部がなく、透光性部材の突出も極めて少ないので、引き戸にも使用可能で、強度耐久性にも優れ、扉の採光部が極めて簡単に形成可能で製造作業性に優れ、しかも安価な採光扉が可能となる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の採光扉において、前記透光部材が、扉本体の開口部よりも大きくその周縁に鐔を備えた面部と、該面部の裏面側に設けられ面部よりも小さな基部とからなり、前記係合突起は透光部材の外側面に形成された複数本の突条又は複数個の凸部であり、扉本体の両面から2個で一対をなす前記透光部材が開口部に嵌入され、それぞれの面部周縁の鐔の裏側が扉本体両面の表面化粧板に当接していることを特徴とする。
【0022】
このような本発明の請求項2に記載の採光扉によれば、透光部材が2個に分割されているので、2個を1セットとして厚み方向の寸法が1種類の透光部材を工場で在庫しておけばよい。すなわち、扉本体の厚みの種類だけ、異なる厚みの透光部材の種類を部品として在庫しておく必要がなく、工場での部品在庫が少なくて済むので、製造コスト的にも有利となる。しかも、面部周縁の鐔の働きで透光部材と開口部との間に隙間の発生が生じることがない。
【0023】
さらに、前記係合突起が透光部材の外側面に形成された複数本の突条又は複数個の凸部であるので、透光部材を開口部に嵌入させる際の作業性に優れる。しかも、透光部材と表面化粧板開口部の形状や寸法精度が若干低くても、前記鐔の働きで透光部材と表面化粧板開口部との隙間を有効に隠蔽することが可能で、仕上がり外観が著しく向上した採光扉を安価に提供することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の採光扉において、前記透光部材が無色又は着色された、半透明の硝子又は合成樹脂成型体からなり、該透光部材が外筒基部を備えた外部透光部材と、内筒基部を備えた内部透光部材の2種類からなり、2個で一対をなす透光部材が構成されており、前記外部透光部材の外筒基部の内部に、内部透光部材の内筒基部が略内接状態で嵌挿され、内筒基部が外筒基部内をスライド可能に構成され、該スライド動作によって、外部透光部材の面部と内部透光部材の面部の離間寸法が扉厚み最小に対応する最小位置から扉厚み最大に対応する最大位置までスライド調節可能な構成とされており、前記係合突起が外筒基部の外側面と内筒基部の外側面で、それぞれの面部裏面近傍に設けられ、内筒基部の外側周面の厚み方向に複数本の滑動突条が外筒基部の内側周面に摺接可能なように設けられていることを特徴とする。
【0025】
このような本発明の請求項3に記載の採光扉によれば、透光部材が無色又は着色された半透明の硝子又は合成樹脂成型体であるので、開口部内部の化粧されていない芯部が適度に隠蔽可能となる。さらに、内筒基部が外筒基部内をスライド可能な構成とされ、外部透光部材の面部と内部透光部材の面部の離間寸法が扉厚み最小に対応する最小位置から扉厚み最大に対応する最大位置までスライド調節可能な構成とされているので、扉本体の厚みの種類だけ、異なる厚みの透光部材の種類を部品として在庫しておく必要がなく、工場での部品在庫が少なくて済むので、製造コスト的にも有利となる。
【0026】
また、前記滑動突条の働きで、扉厚み最小に対応する最小位置から扉厚み最大に対応する最大位置まで内筒基部が外筒基部内をスライド調節する際の空気抜きが有効に作用し、両面部間の寸法を縮めたり離したりする際の空気抵抗が生じることがなく、内筒基部が外筒基部内をスムーズにスライド可能とされる。また、その際に、外部透光部材と内部透光部材とが完全に分離離間しないので、扉本体開口部内周側面の化粧されていない面を確実に隠蔽できる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の採光扉において、前記透光部材が無色又は着色された、半透明の硝子又は合成樹脂成型体からなり、前記2個で一対をなす透光部材は略同形同寸で構成され、その基部は扉厚みの1/2よりも小さな厚みを有しており、前記係合突起は透光部材の外側面に形成された複数本の突条又は複数個の凸部であることを特徴とする。
【0028】
このような本発明の請求項4に記載の採光扉によれば、透光部材が無色又は着色された半透明の硝子又は合成樹脂成型体であるので、開口部内部の化粧されていない芯部が適度に隠蔽可能となる。また、前記2個で一対をなす透光部材は略同形同寸で構成され、その基部は扉厚みの1/2よりも小さな厚みを有しているので、透光部材の厚みの種類ごとの在庫は1種類でよく、異なる厚みの透光部材の種類を部品として在庫しておく必要がなく、工場での部品在庫が少なくて済むので、製造コスト的にも有利となる。
【0029】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の採光扉において、前記扉本体の開口部形状が所定の大きさを有する正方形であり、前記透光部材が、所定の大きさを有する正方形の面部と外側面に係合突起を備えた正方形の基部とからなる方型透光部材、又は、所定の大きさを有する円形の面部と外側面に係合突起を備えた円形の基部とからなる円型透光部材のいずれかであり、前記係合突起は少なくとも4個以上設けられ、前記係合突起のうち、少なくとも4個が上下及び左右の対向位置に設けられ、前記正方形の開口部に正方形基部又は円形基部を嵌入し、前記正方形の鐔又は円形の鐔で正方形の開口部を隠蔽し、正方形基部又は円形基部に設けられた係合突起を正方形開口部の内周側面に圧接して透光部材を固定することを特徴とする。
【0030】
このような本発明の請求項5に記載の採光扉によれば、透光部材の形状デザインが複数あっても、異なる形状の開口部形成を必要とせず、異なる形状の開口部加工済み扉本体を必要とせず、正方形形状1種類のみの開口部が加工された扉本体を在庫しておけばよく、工場での仕掛かり在庫を多く抱える必要がなく、製造コスト的にも有利となる。しかも、透光部材を表面材開口部に嵌入させる際の加工精度や作業精度が若干低くても、透光部材をしっかりと固定させることが可能となる。
【0031】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の採光扉において、前記係合突起のうち、基部正面視、上下及び左右の対向位置に設けられた係合突起が、波型段部からなる係合突起であることを特徴とする。
【0032】
このような本発明の請求項6に記載の採光扉によれば、前記係合突起のうち、基部正面視、上下及び左右の対向位置に波型段部からなる係合突起が設けられているので、透光部材嵌入の際、作業精度が若干低くても、しっかりと確実に透光部材を固定することが可能となり、作業性と製品の品質が向上する。
【発明の効果】
【0033】
請求項1に記載の発明によれば、額縁が不要であるため、構造が簡単であり、通常の加工精度で十分に加工でき、従来の採光扉に必ず必要とされたパッキン等の部材を必要とせず、組立作業性に優れ、採光扉表面からの額縁等の突出部がなく、透光性部材の突出も極めて少ないので、引き戸にも使用可能で、強度耐久性にも優れ、扉の採光部が極めて簡単に形成可能で製造作業性に優れ、しかも安価な採光扉が可能となる。
【0034】
請求項2に記載の発明によれば、透光部材が2個に分割されているので、2個を1セットとして厚み方向の寸法が1種類の透光部材を工場で在庫しておけばよい。すなわち、扉本体の厚みの種類だけ、異なる厚みの透光部材の種類を部品として在庫しておく必要がなく、工場での部品在庫が少なくて済むので、製造コスト的にも有利となる。
【0035】
しかも、面部周縁の鐔の働きで透光部材と開口部との間に隙間の発生が生じることがない。さらに、前記係合突起が透光部材の外側面に形成された複数本の突条又は複数個の凸部であるので、透光部材を開口部に嵌入させる際の作業性に優れる。
【0036】
しかも、透光部材と表面化粧板開口部の形状や寸法精度が若干低くても、前記鐔の働きで透光部材と表面化粧板開口部との隙間を有効に隠蔽することが可能で、仕上がり外観が著しく向上した採光扉を安価に提供することができる。
【0037】
請求項3に記載の発明によれば、透光部材が無色又は着色された半透明の硝子又は合成樹脂成型体であるので、開口部内部の化粧されていない芯部が適度に隠蔽可能となる。さらに、内筒基部が外筒基部内をスライド可能な構成とされ、外部透光部材の面部と内部透光部材の面部の離間寸法が扉厚み最小に対応する最小位置から扉厚み最大に対応する最大位置までスライド調節可能な構成とされているので、扉本体の厚みの種類だけ、異なる厚みの透光部材の種類を部品として在庫しておく必要がなく、工場での部品在庫が少なくて済むので、製造コスト的にも有利となる。
【0038】
また、前記滑動突条の働きで、扉厚み最小に対応する最小位置から扉厚み最大に対応する最大位置まで内筒基部が外筒基部内をスライド調節する際の空気抜きが有効に作用し、両面部間の寸法を縮めたり離したりする際の空気抵抗が生じることがなく、内筒基部が外筒基部内をスムーズにスライド可能とされる。また、その際に、外部透光部材と内部透光部材とが完全に分離離間しないので、扉本体開口部内周側面の化粧されていない面を確実に隠蔽できる。
【0039】
請求項4に記載の発明によれば、透光部材が無色又は着色された半透明の硝子又は合成樹脂成型体であるので、開口部内部の化粧されていない芯部が適度に隠蔽可能となる。また、前記2個で一対をなす透光部材は略同形同寸で構成され、その基部は扉厚みの1/2よりも小さな厚みを有しているので、透光部材の厚みの種類ごとの在庫は1種類でよく、異なる厚みの透光部材の種類を部品として在庫しておく必要がなく、工場での部品在庫が少なくて済むので、製造コスト的にも有利となる。
【0040】
請求項5に記載の発明によれば、透光部材の形状デザインが複数あっても、異なる形状の開口部形成を必要とせず、異なる形状の開口部加工済み扉本体を必要とせず、正方形形状1種類のみの開口部が加工された扉本体を在庫しておけばよく、工場での仕掛かり在庫を多く抱える必要がなく、製造コスト的にも有利となる。しかも、透光部材を表面材開口部に嵌入させる際の加工精度や作業精度が若干低くても、透光部材をしっかりと固定させることが可能となる。
【0041】
請求項6に記載の発明によれば、前記係合突起のうち、基部正面視、上下及び左右の対向位置に波型段部からなる係合突起が設けられているので、透光部材嵌入の際、作業精度が若干低くても、しっかりと確実に透光部材を固定することが可能となり、作業性と製品の品質が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の詳細を図面に従って説明する。図1は本発明の採光扉で方型透光部材を使用した例を示す、(イ)は正面図、(ロ)はA−A線側断面図である。図2は本発明の採光扉で円型透光部材を使用した例を示す、(イ)は正面図、(ロ)はB−B線側断面図である。図3は本発明の第一実施形態の採光扉の側断面図の詳細で方型透光部材の例で示す。図4は本発明の第一実施形態における透光部材を示す斜視図で(イ)は方型透光部材を示す。(ロ)は円型透光部材を示す。図5は本発明の第二実施形態の採光扉の側断面図の詳細で方型透光部材の例で示す。図6は本発明の第三実施形態の採光扉の説明図である。図7は本発明の第三実施形態の採光扉に用いる透光部材の変形例を示す係合突起部における断面図で(イ)は方型透光部材を示し、(ロ)は円型透光部材を示す。図8は本発明の採光扉の透光部材の形状、個数及び配置のバリエーションを示す正面図である。
【0043】
図中、1は本発明の採光扉、2は本発明の扉本体、3は本発明の透光部材、3aは面部、3bは基部、3cは鐔、Mは面取部、Tは係合突起、eは突出部、4は第一実施形態の外部透光部材、4aは面部、4bは外筒基部、4cは鐔、5は第一実施形態の内部透光部材、5aは面部、5bは内筒基部、5cは鐔、Jは滑動突条、6は第二実施形態の透光部材、6aは面部、6bは基部、6cは鐔、7は表面化粧板、8は第三実施形態の透光部材、8aは面部、8bは基部、8cは鐔、Sは芯材、Kは開口部、Nは波型段部を示す。
【0044】
図1〜図4において本発明の採光扉について詳述する。本発明の採光扉で図1は方型透光部材、図2は円型透光部材を使用した例を示す。本発明の採光扉1は、芯材Sの両面に表面化粧板7が貼着され、所定の巾、高さ、厚みからなる扉本体2の所定の位置に扉本体2を貫通する開口部Kが形成されている。該開口部Kに透光部材3が納められている。
【0045】
前記透光部材3は厚み方向に2個に分割され2個で一対をなしている。また、前記透光部材3の外側面の所定箇所に、前記開口部Kの内周側面と透光部材3を圧接係合させるための係合突起Tを備えている。
【0046】
前記開口部K内に、厚み方向に2個に分割され2個で一対をなす透光部材3が扉本体2の両面から嵌入されている。このようにして、前記係合突起Tが開口部Kの内周側面の外側面に圧接され、この圧接力によって透光部材3が開口部Kの内部に固定されている。このとき、接着剤を併用してもよい。接着剤としては、硝子体や合成樹脂成型体と木質材料とが接着可能なものであればよい。例えば、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、ゴム系接着剤、又は、これらのホットメルト系接着剤等を好適なものとして例示できる。前記接着剤は開口部Kの内周側面及び又は透光部材3の基部3bの外周側面に塗布するとよい。面部及び鐔の裏面側には塗布しないほうがよい。塗布された接着剤が透けて外から見える恐れがある。
【0047】
本発明の採光扉1の内部構造は、本例では、図示しないが、縦方向2本と横方向2本の外周部芯材が矩形形状に仕組まれ、その内部に内部芯材が横方向に透光部材3の数だけ設けられている。この横芯材の巾は透光部材3の巾よりも十分に大きく設定されている。このようにして、開口部Kを加工した場合、該開口部Kの開口内周側面には必ず芯材Sが残存しているように設けられている。
【0048】
このようにして形成された下地の芯材Sの表裏面の両面に表面化粧板7が貼着され、開口部Kが加工され形成されている。該開口部Kの内部に本発明の透光部材3が嵌入され本発明の採光扉1が構成されている。
【0049】
本発明の採光扉1を構成する扉本体2の芯材Sを構成する芯構造は上記に示す芯組材からなるフラッシュ構造の芯組材であってもよいし、また、密実構造の芯材であっても、勿論よいものとする。
【0050】
また、図1の(ロ)及び図2の(ロ)に示す側断面図を見てわかるとおり、開口部K内に嵌入された透光部材3はその周縁に設けられている鐔が表面化粧板7に当接し扉本体2の表面化粧板7の表面から多分に薄目の突出部を備えており、透光部材の正面に、面部が形成されている。前記鐔の端部には面取部が設けられている。この面取部が設けられているので鐔と表面化粧板7との取り合い部において段差が生じることがなく、外観上すっきりと納めることができる。
【0051】
本例では、前記表面化粧板7は厚みが約2.5mm〜5.0mm程度の比較的薄い合板等の木質基材の表面に、厚みが約0.2〜3.0mm程度のナラ、ケヤキ、サクラ、カバ、チーク、ウオルナット、マホガニー、パイン、檜、紫檀、黒檀等の天然銘木の突板、単板等を貼着し、その表面にウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等からなる、透明又は着色透明の合成樹脂塗料等の表面塗装を施して仕上げられた化粧貼り合板等を好適なものの1つとして例示できる。
【0052】
また、天然銘木の突板、単板等の代わりに、天然銘木の木目柄を印刷して仕上げられた化粧シートなどを貼着した化粧板等も好適なものとして例示できる。前記化粧シートのシートとしては、厚み約0.15mm〜0.3mm程度の塩ビ樹脂シート、オレフィン樹脂シートなどを好適なものとして例示できる。また、この他に坪量が約20g/m〜30g/m程度の薄葉紙などの表面に天然銘木の木目柄を印刷して仕上げられた化粧紙なども好適なものとして例示できる。また、前記合板の代わりに厚みが薄い中比重繊維板などを用いた化粧貼りボード類も表面化粧板7の好適なものとして例示できる。
【0053】
しかし、表面化粧板7は、これらの樹種からなる天然銘木の突板又は単板、化粧シートなどを貼着して作製されたものに限定されるものではない。また、前記表面塗装についても、これらの合成樹脂塗料に限定されるものではない。
【0054】
また、上記の材料以外に、ケイカル板、パルプセメント板等の無機質基材に、前記種々の天然突板、単板等や、化粧シートなどを貼着し表面塗装を施した表面化粧板の他、亜鉛メッキ鋼板や塗装鋼板等の金属製の化粧板等も好適なものとして例示できる。
【0055】
本発明の採光扉1は前記フラッシュ構造の芯材S又は密実構造の芯材Sの両面に表面化粧板7を貼着し扉本体2とし、該扉本体2の所定箇所に開口部Kを設け、該開口部Kに本発明の透光部材3を嵌入させて前記表面化粧板7と透光性部材3との表面を略面一にして、本発明の採光扉1が構成されている。厳密にいうと、面部の厚み分だけ表面化粧板7から突出し突出部eが形成されている。突出部eとしては約0.5〜1.5mm程度が好適である。
【0056】
本例に示す採光扉1は正面視、図1のように扉の略中央1箇所に縦方向に、正方形の透光部材3が設けられている。これ以外に図2に示すように縦方向に円形の透光部材3が設けられたものを例示する。また、あとで、デザインバリエーションを例示するが、透光部材3を縦方向に配置するのでなく、横方向に配置するデザインであってもよいし、また、例示しないが斜め配置であってもよいものとする。また、縦方向に一列配置の他に二列配置又は三列以上に複数列に配置してもよいものとする。採光扉1の透光部材3の形状、大きさ、配列によって、種々の採光扉1のデザインパターンが可能になる。
【0057】
また、本発明の透光部材3は前述したように、扉本体2に設けた開口部Kよりも大きい。詳しくは、透光部材3の面部3aの大きさは開口部Kよりも大きい。そして、本発明の透光部材3は、その周縁に鐔3cを備えた面部3aと、該面部3aの裏面側に設けられ面部3aよりも小さな基部3bとで構成されている。該基部3bの大きさは前記開口部Kよりも若干小さい。
【0058】
そして、前記係合突起Tは透光部材3の基部3bの側面に設けられた複数本の突条又は複数個の凸部である。透光部材3を開口部Kに嵌入させた時、前記係合突起Tが開口部の開口内周側面を圧接することによる圧接力で透光部材3がしっかりと脱落しないように固定されている。すなわち、透光部材3を正面から見て、複数個又は複数本の係合突起Tの外周を連ねるラインは開口部Kよりも若干(約0.5〜3mm程度)大きく構成されており、前記係合突起Tの圧接力で透光部材3がしっかりと脱落しないように固定されている。
【0059】
さらに、それぞれの面部3aの周縁の鐔3cの裏側が扉本体2の両面の表面化粧板7に当接し、前記鐔3cの端部には面取部Mが設けられている。該面取部Mの働きで透光部材3の面部3aの突出部eが視覚的にも気にならない。前記係合突起Tの突条又は凸部の山の高さは約0.7〜4.0mm程度が好適である。
【0060】
また、前記本発明の透光部材3は、無色又は着色された半透明の硝子又は合成樹脂成型体で構成されている。該合成樹脂成型体はアクリル樹脂成型体、ポリカーボネート樹脂成型体などを好適なものとして例示できる。これらの他に半透明の板ガラスを貼り合わせた合わせガラス体、強化ガラス体、網入りガラス体、型板ガラス体等を例示できる。また、その他の半透明の合成樹脂成型体等も好適なものとして用いられる。勿論これらに限定されるものではない。
【0061】
図3、図4に基づいて、本発明の第一実施形態の採光扉の詳細につて述べる。方型透光部材の例で説明するが円型透光部材の場合であっても基本は同じである。本発明の第一実施形態は外部透光部材4と該外部透光部材4の内部にスライド自在に嵌合する内部透光部材5の2種類からなる2個で一対をなす透光部材で構成されている。
【0062】
前記外部透光部材4は、扉本体2の開口部Kよりも大きくその周縁に鐔4cを備えた面部4aと該面部4aの裏面側に設けられ面部4aよりも小さな外筒基部4bとで構成されている。また鐔4cの端部には面取部Mが設けられている。一方、前記内部透光部材5は、扉本体2の開口部Kよりも大きくその周縁に鐔5cを備えた面部5aと該面部5aの裏面側に設けられ面部5aよりも小さな内筒基部5bとで構成されている。また鐔5cの端部には面取部Mが設けられている。
【0063】
前記内筒基部5bは外筒基部4bの内部にスライド自在に嵌挿されている。このようにして、外部透光部材4の面部4aと内部透光部材の面部5aとの離間している距離が自在とされている。但し、外筒基部4b内部に嵌挿されている内筒基部5bとの相互スライド動作において、両方の面部が接近して内筒基部5bの先端部が外部透光部材4の面部4aの裏面に当接する位置で、両方の面部どうしの離間距離が最小とされ、逆に、両方の面部が遠ざかって内筒基部5bの先端部が外筒基部4bの先端部を離れる位置で、両方の面部どうしの離間距離が最大とされる。このようにして内筒基部5bは外筒基部4bの内部に、面部どうしの離間距離が最大位置から最小位置までスライド調節が可能な構成である。
【0064】
さらに、前記外筒基部4bと内筒基部5b側面でそれぞれの面部の裏面近傍に係合突起Tが設けられている。該係合突起Tは突条又は凸部で構成されており、透光部材を正面から見て、複数個又は複数本の係合突起Tの外周を連ねるラインは開口部Kよりも若干(約0.5〜3mm程度)大きく構成されており、透光部材を開口部K内に嵌入させた時、係合突起Tが開口部の内周側面で圧接され、圧接力が働き、該圧接力によって透光部材を開口部Kの内部に固定させることができる。
【0065】
前記係合突起Tの大きさは、外部透光部材4と内部透光部材5とで異なっている。これは、外筒基部4bの外法寸法に対して内筒基部5bの外法寸法が異なるためである。係合突起Tの大きさを同じにするためには、内筒基部5bの外側面で面部5a近傍に、外筒基部4bの部材厚みに相当する段部(図示せず)を設け、該段部外周面と外筒基部4bの外周面を同じ大きさにすることが必要となる。
【0066】
また、内筒基部5bの側周面の表面に、内筒基部5bの厚み方向(内筒基部5bが外筒基部4b内をスライドする方向)に、複数本の滑動突条Jが設けられている。この滑動突条Jの外側面が外筒基部4bの内周側面に略当接しつつスライドする機構である。この滑動突条Jの働きは、前記外筒基部4b内を内筒基部5bがスライドする際に複数の滑動突条Jの間を空気が出入り可能となり、スライド動作が極めてスムーズに行うことができる。前記係合突起Tの突条又は凸部の山の高さは約0.7〜4.0mm程度が好適である。
【0067】
扉本体2の開口部Kへの透光部材の取り付けは以下のように行う。扉本体2の開口部Kにその両面から外部透光部材4及び内部透光部材5を嵌入させる。先ず、開口部の一方から外部透光部材4の外筒基部4bを嵌入させ、面部4a周縁の鐔4cの裏側を化粧表面化粧板7に当接させ、開口部Kを隠蔽する。さらに、扉本体2の開口部Kの内周側面に、その厚み方向に沿って、外筒基部4bの側面で面部裏面近傍に形成された係合突起Tを圧接し、係合突起Tの圧接力によって外部透光部材4を扉本体2の開口部Kに固定する。
【0068】
続いて、開口部Kの他方の面から内部透光部材5の内筒基部5bを嵌入させ、外筒基部4bの内部に内筒基部5bを嵌挿させてスライドさせ、面部5aの周縁の鐔5cの裏側を表面化粧板7に当接させる位置にまで面部5aを押し込む。そして、開口部Kを隠蔽する。同時に扉本体2の開口部Kの内周側面に、その厚み方向に沿って、内筒基部5bの側面で面部の裏面近傍に形成された係合突起Tを圧接し、係合突起Tの圧接力によって内部透光部材5を扉本体2の開口部Kの内周面に固定する。これで扉本体2の開口部Kへの透光部材の取り付けが完了する。
【0069】
図4に基づいて、本発明の第一実施形態の透光部材について、さらに詳述する。図4の(イ)は方型透光部材を示し、(ロ)は円型透光部材を示す。上記したように、本発明の第一実施形態における採光扉は、外部透光部材4と該外部透光部材4の内部にスライド自在に嵌合する内部透光部材5の2種類からなる2個で一対をなす透光部材で構成されており、前記外部透光部材4は、扉本体2の開口部Kよりも大きくその周縁に鐔4cを備えた面部4aと該面部4aの裏面側に設けられ面部4aよりも小さな外筒基部4bとで構成され、鐔4cの端部に面取部Mが設けられている。
【0070】
また、内部透光部材5も基本的構造は同様であり、内筒基部5bは外筒基部4bの内部にスライド自在に嵌挿され、面部どうしの離間距離が最大位置から最小位置までスライド調節が可能な構成である。さらに、前記外筒基部4bと内筒基部5b側面でそれぞれの面部の裏面近傍に係合突起Tが設けられ、該係合突起Tは複数本の突条又は複数個の凸部で構成され、透光部材を正面から見て、複数個又は複数本の係合突起Tの外周を連ねるラインは開口部Kよりも若干(約0.5〜3mm程度)大きく構成されており、透光部材を開口部K内に嵌入させた時、係合突起Tが開口部の内周側面で圧接され。圧接力が働き、該圧接力によって透光部材を開口部Kの内部に固定させることができる。
【0071】
すなわち、外部透光部材4の外筒基部4bの側面には滑動突条Jはなく、該滑動突条Jは内部透光部材5の内筒基部5bの側面に形成されている。従って、先ず、前記開口部K内に外部透光部材4の外筒基部4bを嵌入する。この時は開口部Kの内法寸法よりも、外筒基部4bの外法寸法のほうが若干寸法小さいので、極めて簡単に嵌入できる。そして、前記外筒基部4bの嵌入し終わり近くなって、鐔4cの裏面が表面化粧板7に当接する直前において、面部4a裏面近傍に設けられた前記係合突起Tが開口部Kの内周側面に圧接され、この圧接力によって外部透光部材4がしっかりと固定される。
【0072】
続いて、開口部Kの他方のほうから前記内部透光部材5の内筒基部5bを嵌入させる。そして、内筒基部5bの先端と外筒基部4bの先端とが接し、さらに嵌入を進めると、内筒基部4bが外筒基部5bの内部に略摺接状態でスライドしながら嵌入が進み、鐔5cの裏面が表面化粧板7に当接する時点で嵌入が完了する。この時、嵌入完了直前において、面部裏面近傍に設けられた係合突起Tが開口部Kの内周側面に圧接され、この圧接力によって内部透光部材5がしっかりと固定される。また、前記係合突起Tの突条又は凸部の山の高さは約0.7〜4.0mm程度が好適である。
【0073】
図5において、本発明の第二実施形態の採光扉の詳細につて述べる。本発明の第二実施形態における透光部材6は、表面に位置する面部6aと該面部6aの裏面に位置する基部6bとで構成されている。このようにして、2個で一対をなす透光部材6は略同形同寸で構成されている。方型透光部材の例で説明するが円型透光部材の場合であっても基本は同じである。
【0074】
前記面部6aは扉本体2の開口部Kよりも正面視若干大きく形成されている。また、前記基部6bは面部6aよりも正面視若干小さく、また、開口部Kよりも若干小さく形成されている。前記面部6aの周縁には、鐔6cが形成されており、該鐔6cの端部には面取部Mが形成されている。この面部6aの分だけ表面化粧板7から突出しており突出部eが形成されている。前記突出部eは極めて薄いので透光部材3が突出することによる支障はない。すなわち、引戸などに使用した際、前記突出部eがぶつかりあって開閉に支障が出るといったことがない。前記突出部eの寸法は約0.5〜1.5mm程度とかなり薄目である。
【0075】
また、基部6bは、扉本体2の厚みの1/2よりも小さな厚みを有している。従って、基部6bを2つ合わせた寸法の扉厚を最小扉厚とし、それよりも大きな寸法の扉本体2の場合は、2個の透光部材6を離間させるとよい。
【0076】
また、前記突出部eによって形成された鐔3cの先端部には面取部Mが形成されているので、透光部材6の基部6bを開口部K内に嵌入させた際、面部6a周縁の鐔6cの裏面が扉本体2の表面化粧板7に、ぴったりと当接し、フィットするので透光部材6の面部6aの周縁部の納まりが向上する。
【0077】
また、前記透光部材6の基部6bの側面で、それぞれの面部6aの裏面近傍に係合突起Tが設けられている。該係合突起Tは突条又は凸部で構成されており、透光部材6を正面から見て、複数個又は複数本の係合突起Tの外周を連ねるラインは開口部Kよりも若干(約0.5〜3mm程度)大きく構成されており、透光部材6を開口部K内に嵌入させた時、係合突起Tが開口部Kの内周側面で圧接され。圧接力が働き、該圧接力によって透光部材6を開口部Kの内部に固定させることができる。
【0078】
前記係合突起Tは、透光部材6の側面において厚み方向に形成された突条でもよいし、また、透光部材6の側面に形成された凸部であっても、勿論よいものとする。該突条又は凸部からなる係合突起Tは、透光部材6の側面の周縁に沿って複数本又は複数個設けられている。該突条又は凸部は透光部材6の厚み方向又はそれと直交する方向の全長にわたって設けられていてもよいし、また、長さの短い突条又は凸部が間隔を置いて複数本又は複数個設けられていてもよい。
【0079】
また、前記突条の山の高さ、又は、凸部の山の高さは、透光部材6を圧接固定する際に適度な圧接力を発揮する程度の大きさで且つあまり大きくなりすぎない程度の大きさが好適である。あまり大きくなりすぎると、透光部材6を嵌入させる時に支障がでる。前記突条又は凸部の山の高さは、約0.7〜4.0mm程度が好適である。
【0080】
図6において、本発明の第三実施形態の採光扉1について詳述する。本発明の第三実施形態の採光扉1は、扉本体2に設けられる開口部Kの形状と大きさを1種類として、透光部材3の面部3a及び基部3bの形状が、正方形又は円形のいずれかに、異なっても、開口部Kの形状は正方形1種類とし、共通とする。
【0081】
すなわち、面部3a及び基部3bの形状は、正面視円形の面部3aと円形の基部3bで構成された円型の透光部材3と、正面視正方形の面部3aと正方形の基部3bで構成された方型の透光部材3の、2種類の透光部材3を用意する。そして、開口部Kは正方形で共通とする。
【0082】
すなわち、第三実施形態では、開口部Kの形状が正方形の1種類とし、透光部材の形状が方型透光部材又は円型透光部材の2種類用意し、この正方形の開口部Kに方型透光部材を嵌入させる場合、及び、正方形の開口部Kに円型透光部材を嵌入させる場合の2通りの採光扉を可能とするものである。
【0083】
先ず、方型の透光部材3の場合は、開口部Kに見合う正方形の基部3bと、それに見合う正方形の面部3aで構成された方型の透光部材3を用いて、正方形の採光部を有する採光扉1が作製される。
【0084】
詳述すると、前記扉本体2の開口部Kの形状が所定の大きさを有する正方形であり、前記透光部材3が、所定の大きさを有する正方形の面部3aと側面に係合突起Tを備えた正方形の基部3bとからなる方型透光部材、又は、所定の大きさを有する円形の面部3aと側面に係合突起Tを備えた円形の基部3bとからなる円型透光部材のいずれかであり、前記係合突起Tのうち、少なくとも4個が、基部正面視、上下及び左右の対向位置に設けられ、前記正方形の開口部に正方形基部又は円形基部を嵌入し、前記正方形の鐔3c又は円形の鐔3cで正方形の開口部Kを隠蔽し、正方形基部3b又は円形基部3bに形成された係合突起Tを正方形開口部Kの厚み方向の内周側面に圧接して透光部材3を固定する。
【0085】
また、円形採光部を有する採光扉1を作製する場合は、前記正方形の開口部Kに内接する円を有し、それを円形の基部3bとし、その表面に形成する円形の面部3aの大きさは基部3bに対して√2倍だけ大きなものとすればよい。
【0086】
このようにして、開口部Kは正方形で共通とし、透光部材3は円型のものと方型のものの2種類を使い分けて、円形採光部を有する採光扉1と正方形採光部を有する採光扉1を作製できる。従って、透光部材3を取り付ける前で、開口部Kを加工済みの扉本体2は、1種類在庫しておけばよく、少ない在庫で製造できるメリットがある。
【0087】
前記円形採光部の場合、開口部Kが正方形形状で、基部3bが円形ゆえ、透光部材3の基部3bの側面に形成されている取り付け固定のための係合突起Tを次に示すような構成とすることが大切である。すなわち、平面視、円形の基部3bに係合突起Tが設けられており、前記係合突起Tのうち、少なくとも4個が上下及び左右の対向位置に設けられ、前記係合突起Tが透光部材3の側面に形成されている。そして、前記正方形の開口部Kに円形の基部3bを嵌入し、円形の鐔3cで正方形の開口部Kを隠蔽し、円形の基部3bに形成され、少なくとも4個が上下及び左右の対向位置に設けられている係合突起Tを正方形の開口部Kの厚み方向の内周側面に圧接して透光部材3を固定する。
【0088】
正方形の開口部Kに対して円形の基部3bを嵌入させる場合、係合突起Tの上下左右の位置を目線で見て傾きが感じられない程度に曲がりなく嵌入させる。このような特別な注意を要する。そして正方形の透光部材3の場合は基部3bも方型で、開口部Kも正方形ゆえ、特別な注意は必要なく前記手順に従って作製すればよい。以下、第三実施形態の透光部材の変形例について詳述する。すなわち、波型段部Nについて詳述する。
【0089】
図7において、本発明の第三実施形態の採光扉1に用いる透光部材について、その変形例、すなわち、第三実施形態の変形例における透光部材8について述べる。詳しくは、波型段部Nの構成について述べる。(イ)は方型透光部材の係合突起部における断面図、(ロ)は円型透光部材の係合突起部における断面図である。正方形の開口部Kに対して正方形の基部8b又は円形の基部8bを嵌入させる場合、前記係合突起Tのうち、基部正面視、上下及び左右の対向位置に設けられた係合突起Tが、波型段部Nからなる係合突起Tである。前記係合突起Tは突条又は凸部である。
【0090】
前記係合突起Tのうち少なくとも4個の形成位置が、基部8bの正面視、上下及び左右の対向位置に設けられ、前記係合突起Tが透光部材8の側面に形成されている。従って、正方形の開口部Kの加工精度が多少低くても、また、開口部Kに対する透光部材の相対位置関係、特に、円形の透光部材8の相対位置関係が多少ずれていても、透光部材8をしっかりと固定できる。
【0091】
すなわち、円形の透光部材8が多少回転し、係合突起Tが開口部Kに対して多少斜めになっていても、係合突起Tのうち、少なくとも4個が、波型段部Nからなる係合突起Tであると、波型段部Nからなる係合突起Tの働きで、透光部材8がしっかりと固定できる。
【0092】
本例に示す波型段部Nを詳述する。透光部材8は、基部8bの周縁に設けられた前記係合突起Tのうち、上下及び左右の対向位置に設けられている係合突起Tが波型段部Nで構成されている。この波型段部Nからなる係合突起Tは透光部材8の基部8bの側面において、本例では、その厚み方向に波型段部Nの長さ方向が形成されている。これら(イ)、(ロ)に示すように、透光部材8の正面視、前記波型段部Nが上下と左右の対向位置に形成されている。
【0093】
本例では、1つの透光部材8で、計4個の波型段部Nが形成されている。波型段部Nの形成位置と個数は、少なくとも、上下又は左右のいずれか2箇所にあれば、透光部材8の取付強度と品質の基本が維持できる。しかし、本例で示すように上下左右に計4個形成されていることが最も望ましい。基部8bの側面に沿って透光部材8の厚み方向に形成されている。
【0094】
本例では、波型段部Nは3本の突条が連成されて形成された3連成突条体の例を例示しているが、2本の突条からなる2連成突条体であっても、また、4連成突条体以上であっても勿論よいものとする。製造コスト、製造作業性等を考慮すると3連成突条体が最も好適である。連成突条体の山の高さは前記波型でない突条の場合と略同様でよい。
【0095】
また、複数本の突条からなる前記連成突条体以外に複数個の凸部が、基部8bの側面に連なって形成された、連成凸部であっても勿論よいものとする。2〜4連成凸部が好適である。
【0096】
上述した本発明の第三実施形態における採光扉1は、前記係合突起Tのうち、少なくとも4個が上下及び左右の対向位置に設けられている。また、より好ましくは、上記のように、前記係合突起Tが波型段部Nからなる波型形状の係合突起Tである。該波型形状の係合突起Tを備えた透光部材を用い、扉本体2に開口する開口部Kの形状は正方形の形状1種類とし、前記波型段部Nを備えた透光部材は方型の透光部材及び円型の透光部材いずれでも用いることが可能とした構成の採光扉1である。
【0097】
この場合の透光部材の実施形態の基本構造としては、今までに述べた第一実施形態の透光部材及び第二実施形態の透光部材のいずれでも使用できるものである。前記係合突起Tのうち、少なくとも4個が上下及び左右の対向位置に設けられておればよい。前記波型段部Nからなる係合突起Tの突条又は凸部の山の高さは、約0.7〜4.0mm程度が好適である。
【0098】
図8において、本発明の採光扉1の採光部の形状、配置、個数等を種々変えることによって扉意匠がさまざま可能になることを例示する。図8は本発明の採光扉の、扉デザインのバリエーションを示す。透光部材3は正方形タイプと円形タイプの2種類がある。大きさは適宜、大小用意すればよい。透光部材3の取り付け形状は、正方形形状、円形形状の他に、正方形の透光部材3を正面視45度斜めにさせて菱形形状としたものの3種類がある。また、透光部材3の配置は、縦方向1列の他に縦2列、図示しないが縦3列も可能である。1列当たりの個数は5個を基本とするが6個以上であってもよいし、また、2〜4個であってもよい。極端な場合、1つの扉本体に1個のみであっても、勿論よいものとする。
【0099】
また、正方形、円形、菱形などを混在させても、勿論よいものとする。さらに、縦列配置のみならず、横列配置や斜行列配置、曲線列の配置等であっても、勿論よいものとする。また、透光部材どうしの間隔を一定とせず、だんだんと広げたり逆に狭めたりするデザインであっても勿論よいものとする。また、前記透光部材どうしの間隔をランダムとするデザインであってもよいものとする。また、前記透光部材に別意匠の物品を付加させたデザイン等であっても勿論よいものとする。また、それらのデザインの組合せであっても勿論よいものとする。また、上記デザインに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の採光扉で方型透光部材を使用した例を示す。(イ)は正面図。(ロ)はA−A線側断面図。
【図2】本発明の採光扉で円型透光部材を使用した例を示す。(イ)は正面図。(ロ)はB−B線側断面図。
【図3】本発明の第一実施形態の採光扉の側断面図。方型透光部材の例で示す。
【図4】本発明の第一実施形態の透光部材の斜視図。(イ)は方型透光部材。(ロ)は円型透光部材。
【図5】本発明の第二実施形態の採光扉の側断面図。方型透光部材の例で示す。
【図6】本発明の第三実施形態の採光扉の説明図。
【図7】本発明の第三実施形態の採光扉の透光部材の変形例を示す係合突起部における断面図。(イ)は方型透光部材。(ロ)は円型透光部材。
【図8】本発明の採光扉の透光部材の意匠バリエーションを示す正面図。
【図9】従来の採光扉の断面図。
【符号の説明】
【0101】
1 本発明の採光扉
2 本発明の扉本体
3 本発明の透光部材
3a 面部
3b 基部
3c 鐔
M 面取部
T 係合突起
e 突出部
4 第一実施形態の外部透光部材
4a 面部
4b 外筒基部
4c 鐔
5 第一実施形態の内部透光部材
5a 面部
5b 内筒基部
5c 鐔
J 滑動突条
6 第二実施形態の透光部材
6a 面部
6b 基部
6c 鐔
7 表面化粧板
8 第三実施形態の波型段部付き変形例における透光部材
8a 面部
8b 基部
8c 鐔
S 芯材
K 開口部
N 波型段部
11 従来の採光扉
G 額縁
K 開口部
Q 透光性部材
S 芯材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の両面に化粧板が貼着された所定の巾、高さ、厚みからなる扉本体の所定位置に、該扉本体を貫通する開口部が設けられ、該開口部に透光部材を設けてなる採光扉であって、前記透光部材は厚み方向に2個に分割され、その外側面に前記開口部内周側面と透光部材を圧接係合させるための係合突起を備え、扉本体の両面のそれぞれの開口部から2個で一対をなす前記透光部材が嵌入されており、扉本体化粧板表面からの多分に薄目の突出部を備えてなることを特徴とする採光扉。
【請求項2】
前記透光部材が、扉本体の開口部よりも大きくその周縁に鐔を備えた面部と、該面部の裏面側に設けられ面部よりも小さな基部とからなり、前記係合突起は透光部材の外側面に形成された複数本の突条又は複数個の凸部であり、扉本体の両面から2個で一対をなす前記透光部材が開口部に嵌入され、それぞれの面部周縁の鐔の裏側が扉本体両面の表面化粧板に当接していることを特徴とする請求項1に記載の採光扉。
【請求項3】
前記透光部材が無色又は着色された、半透明の硝子又は合成樹脂成型体からなり、該透光部材が外筒基部を備えた外部透光部材と、内筒基部を備えた内部透光部材の2種類からなり、2個で一対をなす透光部材が構成されており、前記外部透光部材の外筒基部の内部に、内部透光部材の内筒基部が略内接状態で嵌挿され、内筒基部が外筒基部内をスライド可能に構成され、該スライド動作によって、外部透光部材の面部と内部透光部材の面部の離間寸法が扉厚み最小に対応する最小位置から扉厚み最大に対応する最大位置までスライド調節可能な構成とされており、前記係合突起が外筒基部の外側面と内筒基部の外側面で、それぞれの面部裏面近傍に設けられ、内筒基部の外側周面の厚み方向に複数本の滑動突条が外筒基部の内側周面に摺接可能なように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の採光扉。
【請求項4】
前記透光部材が無色又は着色された、半透明の硝子又は合成樹脂成型体からなり、前記2個で一対をなす透光部材は略同形同寸で構成され、その基部は扉厚みの1/2よりも小さな厚みを有しており、前記係合突起は透光部材の外側面に形成された複数本の突条又は複数個の凸部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の採光扉。
【請求項5】
前記扉本体の開口部形状が所定の大きさを有する正方形であり、前記透光部材が、所定の大きさを有する正方形の面部と外側面に係合突起を備えた正方形の基部とからなる方型透光部材、又は、所定の大きさを有する円形の面部と外側面に係合突起を備えた円形の基部とからなる円型透光部材のいずれかであり、前記係合突起は少なくとも4個以上設けられ、前記係合突起のうち、少なくとも4個が上下及び左右の対向位置に設けられ、前記正方形の開口部に正方形基部又は円形基部を嵌入し、前記正方形の鐔又は円形の鐔で正方形の開口部を隠蔽し、正方形基部又は円形基部に設けられた係合突起を正方形開口部の内周側面に圧接して透光部材を固定することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の採光扉。
【請求項6】
前記係合突起のうち、基部正面視、上下及び左右の対向位置に設けられた係合突起が、波型段部からなる係合突起であることを特徴とする請求項5に記載の採光扉。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate