説明

採尿装置

尿採取装置は、使用者が排泄する尿を採取するための採取手段(102)と、採取手段(102)によって採取された尿を装置から排出できる様になっている第1及び第2の出口手段(103、108)と、採取手段(102)によって採取された尿を受け器(110)に移送する様になっている移送通路(111)と、を備えている。第1出口手段(103)は、流量変動装置(106)であって、変動装置を通る初期排出流量は変動装置を通る第2排出流量より大きくなる様に構成され配置されている流量変動装置(106)を含んでおり、第2出口手段(108)は、採取手段(102)によって採取された尿を、変動装置を通る初期排出流量と同じか又はそれより高い第3排出流量で尿採取装置から排出できようになっているオーバーフロー出口手段(118)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者から尿を採取することを支援するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の尿の分析は、広範な状態及び疾病を検出するための診断方法として頻繁に用いられている。尿は、特に、例えば特定の感染症を示唆する特定の化学物質に関して分析することができる。中間流尿試料の分析は、尿の状態を最もよく表すものであると考えられるので、正確な結果を得るためには望ましいものである。名前が意味している様に、中間流試料は、初期の流れからの尿を含んでいるべきではない。
【0003】
患者は、通常、尿試料を試料瓶の中へ提供することを求められる。一般的に、試料瓶は、比較的小さく、細いネック部を有しており、患者が試料を正確に瓶に送出するのを難しくさせる一因になっている。このような難しさのために、特に中間流試料を求められる場合には、尿試料の提供は厄介で不愉快な作業になりがちである。患者が女性の場合には、試料瓶を正確に位置決めし難いために、難しさは特に深刻である。
【0004】
従来技術による装置は、患者が試料を送出するのを支援するために作られてきている。EP1401334号は、平坦に梱包された保管形態から使用可能形態に自動的に拡張して、装置を容易に位置決めできるようにする採取漏斗を有する装置を開示している。装置は、容易に採取できる様に試料瓶を設置することのできる出口を有している。しかしながら、この装置は、確実に試料瓶を効率的に満たし、同時に採取漏斗が溢れることの無いようにするという課題に対処してはいない。また、中間流試料を採取することに備えているものでもない。
【0005】
更に、GB第2385532号は、中間流尿試料を採取する様に作られている尿試料採取装置を開示している。この装置は、尿の初期の流れを試料瓶が接続されている開口部から迂回させる手段を有している。尿流量が増すにつれ、尿は開口部へ進入する。この装置は尿の流量に左右されるので、中間流試料を採取する際には信頼性に欠ける恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1401334号明細書
【特許文献2】英国特許第2385532号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、我々は、尿採取装置において、
使用者が排泄する尿を採取するための採取手段と、
採取手段によって採取された尿を装置から排出できる様になっている第1及び第2の出口手段と、
採取手段によって採取された尿を受け器に移送する様になっている移送通路と、を備えており、
前記第1出口手段は、流量変動装置であって、変動装置を通る初期排出流量は、変動装置を通る第2排出流量より大きくなる様に構成され配置されている流量変動装置を含んでおり、
前記第2出口手段は、採取手段によって採取された尿を、変動装置を通る初期排出流量と同じか又はそれより高い第3排出流量で尿採取装置から排出できるようになっているオーバーフロー出口手段を備えている、尿採取装置を提供する。
【0008】
2つの出口手段と流量変動装置を設けることによって、確実に中間流試料を容易に採取できるようになるが、その理由は、初期の流れは、比較的迅速に第1出口手段を通して排出され、それに続く流れは、第1出口手段を通して、中間流を受け器に移送できるほどによりゆっくりと排出され、次に、オーバーフロー出口手段が、受け器が一杯になると必要に応じて作動するからである。これによって、それ以上の流れは、より迅速に排出され、採取手段がオーバーフローするのを防止することができる。
【0009】
流量変動装置は、採取手段の基部に収納されている膨張式プラグを備えていることが望ましい。このプラグは、初期には、より高い初期排出流量を許容しているが、液体に接触接すると膨張して、第2の低い排出流量を提供する。
【0010】
プラグは、スポンジ材料で形成されているのが好都合である。スポンジ材料は、生物分解性を有していてもよい。
移送通路は、採取手段に接続されている移送装置で形成されているのが望ましい。移送装置は、更に、試料瓶などの受け器に接続できるように作られている。移送装置は、試料瓶を受け入れて締り嵌めで保持できるようになっている接続カラーのような接続手段を有していてもよい。或いは、接続手段は、試料びん用のねじ山を備えていてもよい。
【0011】
移送装置は、移送通路とオーバーフロー出口手段を備えていてもよい。移送通路は、採取手段内の尿が第1規定液面に達すると、尿を採取手段から受け器に流せるようにし、オーバーフロー出口手段は、受け器内の液面が第2規定液面に達すると、尿の流れを排出できるようにする。
【0012】
オーバーフロー出口手段は、移送通路の少なくとも一方の側に、流れを受け器から外へ迂回させるために配置されている通路手段を備えている。
移送通路は、概ねU字形で、堰を形成する基部を有しており、尿は、この堰を越えて採取手段から受け器に流れ込むようになっている。移送通路の最上部は、更なる堰を形成しており、尿は、この堰を越えてオーバーフロー通路へ流れるようになっている。
【0013】
オーバーフロー通路は、オーバーフローした尿を、少なくとも移送通路の一方の側で、受け器の下方の出口を通して導いている。出口は、受け器の外側が尿に接するようになるのを回避するため、オーバーフローを受け器から外に導くのに適した形状になっているか又は遮蔽されていてもよい。
【0014】
尿採取装置は、使用時に、試料瓶が直立位置から傾けられるように構成され配置されているのが望ましい。そうすると、装置を使用し、瓶を直立方向に回転させたとき、瓶は縁まで一杯にはならない。試料瓶を接続手段から取り外す時に溢れる危険性が低くなる。その後、使用者の手を汚すこと無く、瓶にキャップを取り付けることができる。装置は、更に、装置の一部が瓶の中へ延び、その内容積の一部を押しのけるように構成されてもよい。これは、瓶を装置から取り外した時に、その有効容量が増すことになり、尿が瓶の縁まで一杯になることが無くなるので、好都合である。この様な次第で、装置は衛生的になっている。
【0015】
採取手段は、太い端部と細い端部とを有する漏斗形状の部材を備えている。太い端部は、使用時に使用者に隣接して配置するための受け入れ端部を形成している。第1出口手段は、細い端部に在る。流量変動装置は、直接挿入されていてもよく、漏斗の細い端部の中に接着されていてもよいし、漏斗の細い端部に取り付けられている別の部材によって位置決めされていてもよい。
【0016】
装置は、使い捨て装置であり、使い易くするため通常トイレで廃棄されることになる。従って、容易に流すことができ、生物分解性を有していなければならない。使用される単一又は複数の材料は、短時間の間人体温度の尿に耐え、装置が使用時の形状を保ち、その後、装置を洗い流せるようにするため、水中で簡単に軟らかくなるものでなければならない。装置は、紙製で、具体的にはワックスを塗った紙、又はPlantic(RTM)の様な生物分解性ポリマーでできていてもよい。更に、材料は、尿を汚染するか又は尿に吸収されるかの何れかによって尿に物理化学的な影響を与えることの無いものでなければならない。従って、材料は、適した不活性物質で被覆されていてもよい。
【0017】
装置は(膨張式プラグを除いて)、(多段操作であってもよいが)一回の操作で射出成形してもよい。或いは、漏斗は、シート型板から形成し、それを超音波溶接し、接着し、又は一体にクリップ留めして漏斗に形成してもよい。移送装置は、漏斗の上に射出成形してもよいし、別の部品として作って、それを漏斗に接着又は溶接してもよい。流量変動装置は、膨張式プラグである場合は、アッセンブリの最終段階で、漏斗の中へ挿入される。プラグが別の部材に配置される場合は、その部材は、何らかの適したやり方で漏斗に射出成形して取り付けてもよい。
【0018】
装置は、平坦な状態で保管することができる様に、構成され配置されているのが望ましい。装置は、採取手段を平坦な保管形態から開いた使用形態に開くための自動開放手段を含んでいてもよい。
【0019】
流量変動装置は、レールで採取手段に取り付けられているのが望ましい。具体的には、レールは、装置の一方の側を固定するようになっている第1の一対のレールと、装置の他方の側を固定する様になっている第2の一対のレールを備えている。更に、流量変動装置が第1と第2の対のレールの間から滑動するのを防ぐために、端部レールが設けられていてもよい。レールは、採取手段の一部として射出成形されているのが望ましい。或いは、流量変動装置は、接着で採取手段に固定されていてもよい。
【0020】
採取手段は、移送装置を採取手段に接続するために連結部材を含んでいるのが望ましい。連結部材は、移送装置と係合する取り付け突出部を含んでいるのが望ましい。取り付け突出部は、移送装置とのシールを形成する様になっている密封スカート部分を含んでいてもよい。従って、連結部材は、移送装置を採取手段に取り付ける単純だが確実な手段であって、装置の残りの部分と共に製造するのが容易で且つ費用効果の高い手段を提供している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の装置の或る実施形態の側面図を示している。
【図2】図1に示している移送装置の正面図を示している。
【図3】採取手段から取り外された状態の移送装置の後面図を示している。
【図4】採取手段の別の実施形態を示している。
【図5】移送装置を採取手段に接続するための取り付け手段の別の実施形態を示している。
【図6】出口手段の詳細側断面図を示しており、内部に取り付けられている膨張式プラグが示されている。
【図7】図6に示している出口手段の端面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付図面を参照しながら、ほんの一例として、本発明の2つの実施形態について詳細に説明する。
尿採取装置101は、図に示している様に、医療従事者に尿検査用の尿試料を提供するために用いられる。
【0023】
図1は、本発明の尿採取装置101の或る実施形態を示している。装置101は、太い端部104と細い端部105とを有する漏斗102の形状をした採取手段を備えている。太い端部104は、尿を採取するために使用者に隣接して設置するための受け入れ端部を形成している。第1出口手段103は、細い端部105に形成されており、装置101を使用する際には、最下地点に配置される。第1出口手段103の中には、流量変動装置106が取り付けられている。採取手段102には、移送装置107が取り付けられており、その内部に第2出口手段108が形成されている。移送装置107は、受け器110を受け入れるように作られており、採取手段102によって採取された尿を受け器110の中へ移送できるようにする移送通路111を含んでいる。
【0024】
採取手段102は、可撓性を有する高分子又は紙の材料でできている漏斗形状部材を備えている。しかしながら、漏斗は可撓性を有してはいるが、使用時に尿を入れた時には実質的にその形状を保つのに十分な剛性を有している。漏斗は、必要な程度の剛性を有するように選定された高分子材料でできていてもよいし、或いは、所定の位置に、支持リブ又は補強要素を有していてもよい。高分子材料は、漏斗102に採取された尿が、出口開口部103に向かって排出されるのを促進するために、液体の水滴がその表面に形成されるのを防止する型式のものでできていてもよい。或いは、採取手段102は、その様な材料で被覆又は表面処理されていてもよい。採取手段102は、人間工学に基づいて整形されたリム114を含んでいる。リム114は、装置101を使用するときに、使用者の体に当てて設置される。リム114は、確実に漏れを最小限に抑えながら、快適に患者の体に当て、又は隣接させて装着できるように人間工学に基づいて整形されている。更に、リム114は、装置を使用し、患者の体に隣接して設置する時に、試料瓶110がその垂直位置に対して或る角度になるように、或る角度で形成されている。これによって、装置101を使用するときに、試料瓶110は、縁まで一杯になることのないことが保証されるので、それを移送装置107から取り外す時に、容易に取り扱えるようになっている。
【0025】
第1出口手段103は、漏斗102の細い端部105に形成されている開口部を備えている。流量変動装置106は、出口開口部103に接着剤で取り付けられたスポンジ材料でできている膨張式プラグを備えている。図6及び7は、膨張式プラグ106をこれから更に詳細に説明してゆく出口開口部103に取り付けるための代替的手段を示している。膨張式プラグ106は、乾燥状態の時には、出口開口部103を遮断しないような形状になっている。而して、膨張式プラグ106は、最初は、採取漏斗102によって採取された尿が、膨張式プラグの周囲を通って出口開口部103の外に流れ、且つ膨張式プラグにしみ込んで出口開口部103の外に出るのを許容することになる。膨張式スポンジ106は、湿潤状態になると膨張するようになっているので、十分な尿がしみ込むと、膨張してその周囲の流れを制限することになり、而して、尿は、スポンジ材料にしみ込んで通過しないと、漏斗102から出ることができなくなる。この様に、膨張式スポンジプラグ106は、乾燥状態の時に装置から出る第1流量と、湿潤状態の時に装置から出る低下した第2流量とを提供する。第2流量は、従って、部分的には、プラグの多孔率によって確定される。プラグ106は、湿潤状態になった時に出口手段103を遮断する必要は無く、プラグ106によって遮断されない出口手段103の大きさが小さくなって装置101から流れ出る流量が低下した第2流量となるように、膨張しさえすればよいものと理解頂けるであろう。更に、プラグ106が出口103を遮断するようになっている時には、尿が装置から排出される第2流量は、プラグが作られている材料の多孔率を調節することによっても変えることができることを理解頂けるであろう。
【0026】
第1出口手段103の位置は、装置101の使用時には、第1出口手段103が最下地点にあり、実質的に採取手段102によって採取される全ての尿を排出できるようになっていることを意味している。従って、採取手段102は、第1出口手段103の位置のおかげで通常の操作の際にはに空になるので、患者は、装置の使用を終えた時に、装置を空にする必要は全く無い。この特徴は、更に、装置101を使用する時に患者の衛生面を改善する。
【0027】
受け器110は、移送装置107に受け入れられ、瓶110の標準雄ねじ山113と係合する固定フランジ112によってその上所に保持される、試料瓶を備えている。
移送装置107は、図2及び図3に詳細に示されている。採取手段102と受け器110は、明瞭に示すためにそれらの図から省いている。移送装置107は、受け器110の口の中に受け入れられるようになっている上部管状突出部116と、第2出口手段108の一部を形成する下部管状突出部117とを有する本体115を備えている。上部管状部分116は、移送通路111を画定し、受け器110の口の中で締り嵌めを形成する寸法に作られている接続カラー119を含んでいる。下部管状突出部117は、第2出口手段108から流れ出る尿が、装置101に掛かることの無いようにし、従って、尿が装置101の外面又は使用者の手に接触する機会を減らしている。固定フランジ112は、下部管状突出部117から上部管状突出部116に向かって延びている。
【0028】
第2出口手段108は、移送装置107の上部管状部分116に形成されている堰を備えているオーバーフロー出口手段118を含んでいる。移送通路111の両側に配置された2つのオーバーフロー溝120、121を備えている通路手段は、堰118を越え、第2出口手段108を通って装置から流出する尿を導いている。溝120、121は、本体115と移送通路111の間に形成されている。
【0029】
オーバーフロー出口手段118は、入力流量が少なくとも50ml/sの時に、尿を装置から効果的に排出することができる。人間の通常の尿流量は、10から40ml/sの間にあるので、装置は、尿の初期の流れ(凡そ最初の10mlから20ml)を排出して中間流試料を得ることができ、オーバーフロー出口手段118は、装置がオーバーフローすることの無いような十分な流量で尿を排出することができる。
【0030】
移送通路111は、オーバーフロー溝120、121の間に形成されているU字形移送溝122を備えている。移送通路111は、堰124を形成する基部123を含んでおり、尿はこの堰を越えて試料瓶110に流れ込むことになる。この様に、オーバーフロー排出堰118は、移送通路111の最上部に配置されており、尿の流量が高い時、又は試料瓶110が一杯になって液面が上昇している時には、尿は、オーバーフロー堰118、溝120、121及び第2出口手段108を通って装置101の外へ流れ出ることができるようになっている、。
【0031】
図3は、採取手段102が取り付けられていない移送装置107の背面を示している。移送装置107は、採取手段102を装着する辺縁リム125を含んでいる。本実施形態では、採取手段102と移送装置107は、単一の成形品として一体に形成されているが、代わりに、採取手段102を接着剤でリム125に取り付けてもよい。採取手段102は、上部突出部116の移送ポート126だけが採取手段102の中へ延びるように、移送装置107の本体115を閉じている。
【0032】
装置101は、更に、自動開放手段(図示せず)を有している。採取手段102は、装置101が実質的に平坦な形状で保管できるように、可撓性を有している。何らかの梱包から取り出されると、例えば、自動開放手段が、採取手段102を開いた形態に付勢する。開いた形態では、採取手段2は、漏斗の様な形状になり、従って、尿を受け入れる準備が整っている。装置は、材料が、必要な弾性を提供するようなものであれば、自己開放式であってもよい。或いは、装置を開くために別個の弾性手段を用いてもよく、装置は、必要に応じてヒンジ部分を有していてもよい。
【0033】
装置101用に選定される材料は、生物分解性を有しており、洗い流すこと、言い換えれば、例えば使用後にトイレで流すことができることができなければならない。従って、どの様な高分子材料であれ、水中では軟化するけれども、尿が装置を通って流れると予想される期間は、装置の完全性に問題が生じないように十分に強い等級のものでなければならない。而して、完全性を失うまで1分から2分の間、温かい尿に耐えることができる材料が望ましい。或いは、装置の内面にワックスを被覆して、装置の材料が過早軟化するのを防止してもよい。或いは、材料は、高温及び低温に耐える等級の高分子材料の複合材であってもよい。紙、具体的にはワックスを塗布した紙など、植物性材料からできている高分子体であるPlantic(RTM)が適している。必要であれば、装置101は、少なくとも、通常の使用時に尿と接触する可能性がある表面だけに保護被覆(図示せず)を有していてもよい。保護被覆を施しておけば、採取される尿試料が、その後に行われる何らかの医療的な分析の結果に影響を及ぼす可能性がある何らかの化学物質を、装置の材料から吸収することは無いし、逆に吸収されることも無い。
【0034】
装置101は、膨張式スポンジ106を除いて、単一成形品であり、生物分解性Plantic(RTM)材料で作られている。
使用時には、患者は、装置101を梱包から取り出し、装置を開いた形態に付勢する自動開放手段で、平坦な保存形態から開いた形態へと自動的に開かせる。試料瓶110は、カラー119の上に押し付けて締り嵌めを形成し、而して固定フランジ112をねじ山113と係合させることによって、装置に取り付けられる。試料瓶110は、四分の一回転又は少なくとも半回転して取り付けられるのが望ましいが、回転の角度は、下部管状突出部117上の固定フランジ112の位置を変えることで調節することができる。装置101は、使用時に、試料瓶110が図1に示す様に直立位置まで傾けられるように構成され配置されている。使用者は、リム114を患者の体に隣接させて、装置101を適切な位置に設置する。次いで、尿を、漏斗形状採取手段102の中へ排泄することができる。使用者は、把持部分114で装置101を保持することができる。把持部分114は、使用時に、漏斗の中に採取される尿の液面より上方で、且つ尿が使用者から放出される高さより上方になり、尿が把持部分114を保持している使用者の指に達することを防ぐことができるように、配置される。この様な次第で、装置は衛生的になっている。
【0035】
漏斗102が受け入れる初期の流れは、細い端部105へ排出され、第1出口手段103を通って装置101から出る。その際に、膨張式スポンジ106は、先に述べた様に膨張して、第1出口手段103を通って装置を出る流量を低下させる。この様に、正確な尿の分析には適していないと考えられる尿の初期の流れは、漏斗102から廃棄される。膨張式スポンジ106が膨張することによる流量の低下は、通常の尿流量の範囲内では、漏斗102内の尿の液面が上昇し始めることになる程度である。
【0036】
尿は、その液面が移送ポート126に達すると、基部123に沿って移送通路111の中へ、そして堰124を越えて試料瓶110の中へ流れ始める。試料瓶110が破線131で示されている規定の液面まで満たされると、漏斗102内の尿の液面は、上昇し続ける。この時点で、尿は、オーバーフロー堰118を越えて、尿を第2出口手段108を通して装置101の外へ導くオーバーフロー溝120、121の中へと流れ込む。
【0037】
使用者が尿の排泄を終え、液面が線131より上方にある場合には、尿は、第1出口手段103との組合せで、オーバーフロー堰118を越えて排出される。液面が、液面131より下方に下がると、尿は、漏斗102が空になるまで、膨張式スポンジ106にしみ込んで通過し、第1出口手段103を通って漏斗102から排出されることになる。
【0038】
試料瓶110は、その後、瓶110とカラー119の間の締り嵌めに打ち勝ち、固定フランジ112との係合からねじを緩めることによって、装置102から取り外すことができる。瓶110は、使用時に直立位置まで傾けられるので、直立位置まで戻される時に尿が縁まで一杯になることは無く、瓶の取り外しは、清潔且つ容易に行われる。移送装置107の一部が、瓶110のネック部の中へと延び、瓶の内容積の相当する割合分を押しのけているので、溢れる危険性は更に低下する。而して、瓶110を取り外す時に、尿が縁まで一杯になることは無い。その後、キャップ(図示せず)を瓶110に螺合させて、瓶を密封することができる。
【0039】
図4は、リム114が把持部分127を含んでいる、採取手段102の別の実施形態を示している。対応する参照番号は、対応する部分に適用されている。把持部分は、使用者が使用時に装置101を保持するために使用することができる、外側に折り曲げられたフランジを備えている。漏斗102は、漏斗形状を形成するために折り畳まれ、固定クリップ130によってこの形状に固定されている、平坦なシート部材128を備えている。シート部材は、代わりに、超音波溶接又は接着で固定されていてもよい。平坦なシート部材128は、Plantic(RTM)材料でできており、移送装置107は、同様にPlantic(RTM)でできている別個の部材として形成され、漏斗に接着又は溶接されている。移送装置は、代わりに、漏斗上に射出成形されていてもよい。その後、スポンジ106が別に挿入される。
【0040】
図5は、図1の装置の変形例を示しており、移送装置107を採取手段102に接続するための取り付け手段140を含んでいる。対応する参照番号は、対応する部分に適用される。取り付け手段は、採取手段102に固定される様になっており、移送装置107に取付けるための手段を含んでいる連結部材を備えている。取り付け手段140は、丸みの付いた角部を有する略三角形の本体141を備えている。本体141は、曲線状になっているので、漏斗が使用形態になっている時に、採取手段漏斗102の外形を壊すこと無く採取手段102に固定することができるようになっている。取り付け手段140は、接着剤で採取手段102に固定されているが、直接射出成形又は超音波溶接又は何らかの他の適切な手段で固定してもよい。本体141は、更に、開口部142と取り付け突出部143を含んでいる。開口部142は、取り付け手段が採取手段102に固定される時に、採取手段102の対応する開口部(図示せず)と整列するようになっている。開口部142は、更に、図1の実施形態で示した移送ポートと同様に、採取手段102を貫通して移送ポート126を延ばすことができる様になっている。取り付け突出部143は、本体141から延びている、実質的にU字形のフランジを備えている。フランジの部分144は、本体141から、フランジの残りの部分よりより高い高さまで延びており、移送装置107の下部管状突出部117と当接し、密封係合するようになっている封止スカートを形成している。従って、組み立てられる時には、移送ポート126は、開口部142を取り囲む本体141と密封係合し、移送装置107は、取り付け突出部143の中に、リム125が本体141と当接するように、密封状態に受け入れられる。リム125に隣接する移送装置107の外側面は、従って、取り付け突出部143及びスカート144と締まり嵌めを形成している。接着剤を使って、移送装置107を取り付け突出部143に固定してもよいものと理解頂きたい。
【0041】
この実施形態では、採取手段102、移送装置107、及び取り付け手段140は、別個の部品として作られ、後で組み立てられている。それらは、全てPlantic(RTM)から射出成形されていてもよい。スポンジ106も、図1及び図4の実施形態の様に、同様に別個に作られている。
【0042】
図6及び図7は、膨張式プラグ106を、採取手段102の細い端部105の出口手段103に固定する代替的な方法を示している。この実施形態では、プラグ106は、第1の一対のレール150と第2の一対のレール151によって保持されている。レール150、151は、採取手段102の一部として成形されており、それぞれ、採取手段の材料を局部的に厚くすることによって形成されている、一対の間隔を空けて配置された隆起している畝部を備えている。畝部は、細い端部105に形成されている出口手段開口部付近から太い端部104に向かって延びている。プラグ106は、一方の側の第1の一対のレール150と他方の側の第2の一対のレール151の間に保持されている。プラグ106は、第1、第2の端部レール152、153によって、第1と第2の一対のレール150と151の間で滑動するのを防止されている。第1の端部レール152は、第1の一対のレール150の遠位端部154に隣接して配置されている。第2の端部レール153は、第2の一対のレール151の遠位端部155に隣接して配置されている。而して、プラグ106は二等辺台形の断面を有しているので、レール150、151、152及び153は、先細になっている採取手段102の出口手段103の中にプラグをしっかりと保持している。畝部は、採取手段102と一体に射出成形されている。しかしながら、レール150、151、152及び153は、二段階の成形工程で採取手段102とは別々に成形してもよいし、例えば接着剤で採取手段102に固定してもよい。レール150、151、152及び153は、更に、膨張式プラグ106を、出口手段103の中で膨張したときにも、所定の位置にしっかりと保持して、確実に、出口手段を通る流れを適切な量に制限して、装置を適切に機能させることができるようにしている。
【0043】
しかしながら、装置101は、平坦な状態で保存するように設計されており、漏斗102を平坦な構成から開いた構成へ開放する自動開放手段(図示せず)を含んでいる。
本発明の特徴は、確実に、装置を衛生的で非常に使用し易いものとしている。患者は、通常のように排尿することができ、本装置では、試料が溢れること無く効果的に採取されるよう、確実に流れが制御されるようにしている。更に、患者は、確実に適切な量を採取するために流れを中断する必要が無くなる。
【符号の説明】
【0044】
101 装置
102 採取手段(漏斗)
103 第1出口手段(開口部)
104 太い端部
105 細い端部
106 膨張式スポンジ(膨張式プラグ)
107 移送装置
108 第2出口手段
111 移送通路
110 試料瓶(受け器)
112 固定フランジ
113 外ねじ山
114 リム(把持部分)
115 本体
116 上部管状突出部
117 下部管状突出部
118 オーバーフロー出口手段(堰)
119 カラー
120、121 オーバーフロー溝
122 U字形移送溝
123 基部
124 堰
125 辺縁リム
126 移送ポート
127 把持部分
128 シート部材
130 固定クリップ
131 破線
140 取り付け手段
141 本体
142 開口部
143 突出部
144 スカート
150、151 レール
152、153 端部レール
154、155 遠位端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿採取装置において、
使用者が排泄する尿を採取するための採取手段(102)と、
前記採取手段(102)によって採取された尿を前記装置から排出できる様になっている第1及び第2の出口手段(103、108)と、
前記採取手段(102)によって採取された尿を受け器(110)へ移送する様になっている移送通路(111)と、を備えており、
前記第1出口手段(103)は、流量変動装置(106)であって、前記変動装置を通る初期排出流量は前記変動装置を通る第2排出流量より大きくなる様に構成され配置されている流量変動装置(106)を含んでおり、
前記第2出口手段(108)は、前記採取手段(102)によって採取された尿を、前記変動装置を通る前記初期排出流量と同じか又はそれより高い第3排出流量で前記尿採取装置から排出できる様になっているオーバーフロー出口手段(118)を備えている、尿採取装置。
【請求項2】
前記流量変動装置(106)は、前記採取手段(102)の基部に収納されている膨張式プラグを備えている、請求項1に記載の尿採取装置。
【請求項3】
前記プラグ(106)は、初期には、より高い初期排出流量を許容するように構成されび配置されているが、液体と接触すると膨張して、第2の低い排出流量を提供する、請求項2に記載の尿採取装置。
【請求項4】
前記流量変動装置(106)は、スポンジ材料で形成されている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項5】
前記スポンジ材料は、生物分解性を有している、請求項4に記載の尿採取装置。
【請求項6】
前記移送通路(111)は、前記採取手段(102)に接続されている移送装置(107)の中に形成されている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項7】
前記移送装置(107)は、更に、前記受け器(110)に接続できるようになっている、請求項6に記載の尿採取装置。
【請求項8】
前記移送装置(107)は、前記受け器(110)を受け入れ、締り嵌めで保持できる様になっている接続カラー(119)を備えている接続手段を有している、請求項6又は7に記載の尿採取装置。
【請求項9】
前記接続手段は、前記受け器(110)を固定するためのねじ山を備えている、請求項6又は7に記載の尿採取装置。
【請求項10】
前記移送装置(107)は、前記移送通路(111)と前記オーバーフロー出口手段(118)を備えている、請求項6から9の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項11】
前記移送通路(111)は、前記採取手段(102)内の前記尿が規定液面に達すると、尿を前記採取手段(102)から前記受け器(110)に流せるようし、前記オーバーフロー出口手段(118)は、前記受け器(110)内の液面が第2規定液面に達すると、尿の流れを排出できるようにするように、前記装置は配置されている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項12】
前記オーバーフロー出口手段(118)は、前記移送通路の少なくとも一方の側に、流れを前記受け器(110)から外へ迂回させるために配置されている通路手段(120、121)を備えている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項13】
前記移送通路(111)は、概ねU字形で、堰(124)を形成する基部(123)を有しており、尿は、前記堰を超えて前記採取手段(102)から前記受け器(110)に流れ込むようになっている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項14】
前記移送通路(111)の最上部は、更なる堰を形成しており、尿は、前記堰を越えて前記オーバーフロー出口手段(118)へ流れるようになっている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項15】
前記オーバーフロー通路(120、121)は、オーバーフローした尿を、少なくとも前記移送通路(111)の一方の側で、前記受け器(110)の下方の出口(108)を通して導いている、請求項12に記載の尿採取装置。
【請求項16】
前記出口(108)は、前記受け器(110)の外側が尿に接触するようになるのを回避するために、前記オーバーフローを前記受け器(110)から外に導くのに適した形状になっているか又は遮蔽されている、請求項15に記載の尿採取装置。
【請求項17】
前記装置(101)は、使用時に、前記受け器(110)が直立位置から傾けられるように構成され配置されている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項18】
前記採取手段(102)は、太い端部(104)と細い端部(105)とを有する漏斗形状の部材を備えている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項19】
前記太い端部(104)は、使用時に、前記使用者に隣接して配置するための受け入れ端部を形成している、請求項18に記載の尿採取装置。
【請求項20】
前記第1出口手段(103)は、前記細い端部(105)に在る、請求項18又は19に記載の尿採取装置。
【請求項21】
前記流量変動装置(106)は、前記漏斗の前記細い端部(105)の中に直接挿入されている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項22】
前記装置(101)は、容易に流すことができ、生物分解性を有している、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項23】
前記装置(101)は、紙でできている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項24】
前記装置(101)は、ワックスを塗った紙でできている、請求項1から22の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項25】
前記装置(101)は、Plantic(RTM)の様な生物分解性ポリマーでできている、請求項1から22の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項26】
前記装置(101)は、平坦な形で保管することができるように構成され配置されている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項27】
前記装置(101)は、前記採取手段(102)を前記平坦な保管形態から使用するための開いた形態へ開くための自動開放手段を含んでいる、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項28】
前記流量変動装置(106)は、レール(150、151)で前記採取手段(102)に取り付けられている、上記請求項の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項29】
前記レールは、前記装置(106)の一方の側を固定するようになっている第1の一対のレール(150)と前記装置(106)他方の側を固定するようになっている第2の一対のレール(151)を備えている、請求項28に記載の尿採取装置。
【請求項30】
前記レールは、前記第1の一対のレール(150)に隣接する第1の端部レール(152)と前記第2の一対のレール(151)に隣接する第2の端部レール(153)を更に備えている、請求項29に記載の尿採取装置。
【請求項31】
前記流量変動装置(106)は、接着剤で前記採取手段(102)に固定されている、請求項1から27の何れかに記載の尿採取装置。
【請求項32】
前記採取手段(102)は、前記移送装置(107)を前記採取手段(102)に接続するために連結部材(140)を含んでいる、請求項6に記載の尿採取装置。
【請求項33】
前記連結部材(140)は、前記移送装置(107)と係合する取り付け突出部(143)を含んでいる、請求項32に記載の尿採取装置。
【請求項34】
前記取り付け突出部(143)は、前記移送装置(107)とのシールを形成する様になっている密封スカート(144)部分を含んでいる、請求項33に記載の尿採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−506149(P2010−506149A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529754(P2009−529754)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003638
【国際公開番号】WO2008/065325
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(503423694)ファンネリー・イナフ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】