説明

採点方法、採点方法のプログラム及び採点システム

【課題】従来に比して使い勝手を一段と向上した採点方法、採点方法のプログラム及び採点システムを提案する。
【解決手段】答案に手書きされた記述を処理して答案の得点を処理する構成において、記述に係る筆跡のデータを取得して文字認識処理し、この文字認識結果に基づいて対応する採点箇所の得点を求め、表示するようにして、認識対象文字を正解、不正解、部分点の記述に係る文字に限って文字認識処理し、部分点の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、部分点を計算して当該採点箇所の得点に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採点方法、採点方法のプログラム及び採点システムに関し、採点者の答案への記述を判定し、得点を集計する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2008−040469号公報等に、筆跡を読み取る電子ペンを使用した採点システムの構成が提案されている。この採点システムでは、電子ペンを使用して採点者の筆跡を取得し、この筆跡を処理して答案の採点記号を認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−040469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの種の採点システムの使い勝手を一段と向上することができれば、一段と採点システムの利用を図ることができると考えられる。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、従来に比して使い勝手を一段と向上した採点方法、採点方法のプログラム及び採点システムを提案する。このため本発明は、以下の技術的事項から構成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 答案に手書きされた記述を処理して前記答案の得点を処理する採点方法において、
前記記述に係る筆跡のデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得した前記筆跡のデータを文字認識処理する文字認識ステップと、
前記文字認識ステップの認識結果に基づいて、対応する採点箇所の得点を求める得点処理のステップと、
前記得点処理のステップで求めた得点を表示する得点表示のステップとを有し、
前記文字認識ステップは、
認識対象文字を正解、不正解、部分点の記述に係る文字に限って文字認識処理し、
前記得点処理のステップは、
前記文字認識ステップにおいて、正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所に設定されている配点を得点に設定し、
前記文字認識ステップにおいて、不正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所の得点を0点に設定し、
前記文字認識ステップにおいて、部分点の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、部分点を計算して当該採点箇所の得点に設定する
ことを特徴とする採点方法。
【0007】
(1)の採点方法によると、採点者が部分点を設定した場合、この部分点に係る記述が処理されて部分点による得点が集計される。これにより部分点も処理可能とすることができ、従来に比して使い勝手を向上することができる。
【0008】
(2) (1)において、前記答案に対応する表示上で、採点箇所を特定する採点基準枠と配点とを設定する採点基準設定のステップを有し、
前記文字認識ステップは、
前記採点基準枠毎に、対応する前記筆跡のデータを文字認識処理して、各採点基準枠の記述を処理し、
前記採点基準設定のステップで設定された配点を基準にして、前記得点を計算する。
【0009】
(2)によれば、例えば答案、問題用紙等を利用して設定された採点基準枠を利用して、採点箇所毎に対応する記述が処理される。従って処理の精度を向上し、確実に得点を集計することができる。また答案、問題用紙等を利用して設定でき、これによっても使い勝手を向上することができる。
【0010】
(3) (2)において、前記採点基準設定のステップは、
回答を記述していない答案から、採点箇所の枠組みを検出して前記採点基準枠を設定する。
【0011】
(3)によれば、回答を記述する前の答案を利用して採点基準枠が設定され、これにより例えば採点者自らが作成した答案等についても柔軟に対応して処理することができ、これにより使い勝手を一段と向上することができる。
【0012】
(4) (3)において、前記文字認識ステップは、
前記採点基準枠をそれぞれ拡大して分類用の基準枠を設定し、
前記分類用の基準枠により前記筆跡のデータによる筆跡を各採点基準枠に分類し、
分類毎に、文字認識処理する。
【0013】
(4)によれば、採点欄から採点に係る筆跡がずれている場合、採点欄から採点に係る筆跡がはみ出している場合等であっても、対応する記述が各採点基準枠に分類されることになり、これにより処理の精度を向上して一段と使い勝手を向上することができる。
【0014】
(5) (1)、(2)、(3)、又は(4)において、前記得点表示のステップは、
前記得点を対応する回答用紙の画像上に重ねて表示し、
ユーザによる操作により得点の修正を受け付ける得点修正のステップを有する。
【0015】
(5)によれば、処理対象の答案と共に、当該答案の対応する箇所に処理結果が表示されることになり、これにより処理の誤りを簡易かつ確実に見つけ出して修正することができ、これによっても使い勝手を向上することができる。
【0016】
(6) (1)、(2)、(3)、(4)、又は(5)において、前記得点表示のステップは、
前記採点基準枠を拡大して表示設定用の基準枠を設定し、
前記表示設定用の基準枠内の四隅について、前記表示設定用の基準枠内であって、かつ対応する前記筆跡のデータによる筆跡に重なり合わない範囲で、表示可能な最大の文字の大きさをそれぞれ検出し、
検出した文字の大きさから最も大きさの大きな表示箇所を検出し、該表示箇所で前記得点を表示する。
【0017】
(6)によれば、対応する採点箇所に近接して処理結果を表示するようにして、処理結果の表示に係る文字の大きさを大きくして見易くしても、比較対象である元の筆跡を隠さないようにすることができ、これによっても使い勝手を向上することができる。
【0018】
(7) (6)において、前記得点表示のステップは、
隣接する採点基準枠に重なり合わない範囲で、前記採点基準枠を上方向及び左方向に拡大して前記表示箇所設定用の基準枠を設定する。
【0019】
(7)によれば、採点基準枠の左肩側に、極力、処理結果を表示することになり、処理結果の表示を見易いものとすることができる。
【0020】
(8) (1)において、前記得点処理のステップは、
計算により求められた部分点の値が正の場合、当該採点箇所に設定された配点と、計算した部分点とで値の小さい側を選択して前記得点に設定し、
前記計算により求められた部分点の値が負の場合、当該採点箇所に設定された配点に前記部分点を加算して前記得点に設定する。
【0021】
(8)によれば、具体的に部分点の記述を処理することができる。また誤った採点により配点を超える部分点を設定した場合には、対応箇所の配点が得点に設定され、配点を超えないように設定される。
【0022】
(9) コンピュータに、
答案に手書きされた記述を処理させて前記答案の得点を処理させる採点方法のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記記述に係る筆跡のデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得した前記筆跡のデータを文字認識処理する文字認識ステップと、
前記文字認識ステップの認識結果に基づいて、対応する採点箇所の得点を求める得点処理のステップと、
前記得点処理のステップで求めた得点を表示する得点表示のステップとを実行させ、
前記文字認識ステップは、
認識対象文字を正解、不正解、部分点の記述に係る文字に限って文字認識処理し、
前記得点処理のステップは、
前記文字認識ステップにおいて、正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所に設定されている配点を得点に設定し、
前記文字認識ステップにおいて、不正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所の得点を0点に設定し、
前記文字認識ステップにおいて、部分点の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、部分点を計算して当該採点箇所の得点を計算した部分点に設定する
ことを特徴とする採点方法のプログラム。
【0023】
(9)のプログラムによると、採点者が部分点を設定した場合には、この部分点に係る記述が処理されて部分点による得点が集計される。これにより部分点も処理可能とすることができ、従来に比して採点システムの使い勝手を向上することができる。
【0024】
(10) 答案に手書きされた記述を処理して前記答案の得点を処理する採点システムにおいて、
前記記述に係る筆跡のデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得した前記筆跡のデータを文字認識処理する認識部と、
前記認識部の認識結果に基づいて、対応する採点箇所の得点を求める得点処理部と、
前記得点処理部で求めた得点を表示する得点表示部とを有し、
前記認識部は、
認識対象文字を正解、不正解、部分点の記述に係る文字に限って文字認識処理し、
前記得点処理部は、
前記文字認識部において、正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所に設定されている配点を得点に設定し、
前記文字認識部において、不正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所の得点を0点に設定し、
前記文字認識部において、部分点の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、部分点を計算して当該採点箇所の得点を計算した部分点に設定する
ことを特徴とする採点システム。
【0025】
(10)の採点システムによると、採点者が部分点を設定した場合には、この部分点に係る記述が処理されて部分点による得点が集計される。これにより部分点も処理可能とすることができ、従来に比して使い勝手を向上することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、従来に比して使い勝手を一段と向上することができ、採点システムの利用を一段と図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る採点システムを示す図である。
【図2】台紙、答案、電子インクの関係の説明に供する図である。
【図3】図1の採点システムに係るプログラムの実行により形成されるコンピュータの機能ブロックを示す図である。
【図4】図3の採点基準設定部に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図5】採点基準枠の説明に供する図である。
【図6】ファイル形式により記録された採点基準のデータの内容を示す図である。
【図7】図3の採点処理部の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図7の処理手順における位置合わせの処理の説明に供する図である。
【図9】ストロークの分類の説明に供する図である。
【図10】採点処理部による採点枠の認識処理及び得点処理を詳細に示す図である。
【図11】削除線の処理の説明に供する図である。
【図12】削除線による処理の説明に供する図である。
【図13】部分点の説明に供する図である。
【図14】表示処理を詳細に示す図である。
【図15】表示処理における採点基準枠の処理の説明に供する図である。
【図16】得点の表示例を示す図である。
【図17】修正処理の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図を用いながら説明する。
【0029】
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る採点システムを示す図である。この採点システム1は、答案2に対する採点者3の手書きによる記述を読み取り、この記述をコンピュータ4で処理して採点者3による採点を収集することにより、この答案2の得点を収集して処理する。この採点システム1は、この採点者3による記述の読み取りを、いわゆる電子ペン5を使用して実行する。
【0030】
ここで電子ペン5は、採点者3が手書した筆跡を時系列により取得する機能を有する筆記具である。従ってコンピュータ4は、時系列の筆点座標列としての筆跡の情報D1を、答案2に対する採点者3の記述の情報として電子ペン5から取得する。なおこのような筆記具として、アノトペン、テクノート等を適用することができる。またこのような筆記具は、Bluetooth等の無線通信によるインターフェース、USB等の有線によるインターフェースを備えており、コンピュータ4は、この電子ペン5のインターフェースを介して電子ペン5から筆跡の情報D1を取得する。なお以下において、適宜、電子ペン5の答案2に対するペンダウンから続くペンアップまでの時系列座標列をストロークと呼び、このストロークによる筆跡の情報D1を電子インクと呼ぶ。
【0031】
コンピュータ4は、事前に設定された採点基準に従って電子ペン5で取得される電子インクを処理して採点の処理を実行する。採点システム1では、この採点基準を作成するために、画像データ入力手段としてのスキャナ6が設けられ、回答が記載されていない対応する答案(以下、台紙と呼ぶ)7の画像データD2(図3参照)をこのスキャナ6で取得して採点基準を設定する。
【0032】
図2は、台紙7、答案2、電子インクの関係の説明に供する図である。この図2(A)に示す台紙7は、例えば国語の答案用紙であり、小問(E)の設問欄及び解答欄、小問(F)の設問欄及び解答欄が順次設けられ、最後に氏名の記載欄、得点の記載欄が設けられている。この図2(A)との対比により図2(B)に示すように、採点者3によるこの台紙7に係る答案2の採点は、解答毎に採点に関する記述が付され、例えば小問(E)の解答欄(1)、(2)には、それぞれ不正解を示すチェックマーク、4点の部分点を示す「Δ4」が記述されている。また続く小問(F)の解答欄(1)、(2)には、それぞれ正解の記号「○」、5点の減点を示す「−5」が記述されている。なおこの図2(B)は、氏名の記載欄に、採点者3が回答者の氏名を記載し、この氏名の記載による電子インクを答案の識別に利用する例である。図2(C)は、この図2(B)との対比により電子インクによる筆跡を示す図である。この場合、電子ペン5による答案2への記述が筆跡の情報D1として取得される。
【0033】
図3は、採点システム1に係るプログラムの実行により形成されるコンピュータ4の機能ブロックを示す図である。コンピュータ4は、スキャナ6から取得した台紙7の画像データD2をファイル形式により保存し、採点基準設定部4Aは、このファイル形式により保存された画像データD2の処理により採点基準を設定する。このため採点基準設定部4Aは、この採点基準の設定のためのフォームの作成機能、フォームの編集機能が設けられる。またコンピュータ4は、電子ペン5を介して取得した電子インクの情報D1をファイル形式により保存する。採点処理部4Bは、採点基準設定部4Aで設定された採点基準に基づいてこの電子インクのファイルを処理し、答案2の採点結果を取得する。またこの採点結果を、例えばCSV形式等の所望のファイルフォーマットにより記録する。このため採点処理部4Bは、電子インクによる筆跡をテキストデータに変換する電子インクの変換機能等が設けられる。
【0034】
なお台紙7の画像データファイルは、スキャナ6により取得する他、例えば試験問題の文章ファイル(例えばPDFファイル、DOCファイル等)から画像データファイルを作成してもよい。また画像データファイルに代えて、これらの文書ファイルを直接適用して以下の採点基準設定の処理を実行してもよい。なお以下においては、台紙7の処理については、台紙7の画像データファイルを使用する場合を例に説明する。
【0035】
図4は、採点基準設定部4Aに係る処理手順を示すフローチャートである。採点基準設定部4Aは、オペレータの操作により動作を立ち上げてこの処理手順を開始し、コンピュータ4に保持された画像データファイルにより、採点基準を設定する台紙7を表示する(ステップSP1−SP2)。続いて採点基準設定部4Aは、この台紙7上で、採点対象を特定するための採点基準枠を設定する。ここで採点は、通常、回答毎に正誤等を記述して行われることから、図5(A)との対比により図5(B)に示すように、例えば答案2に枠組みにより解答欄が設けられている場合、この解答欄の各枠をそれぞれ採点基準枠W1〜W6に設定する。なお回答欄とは別に、採点欄が個別に設けられている場合もあることにより、この場合は採点欄の枠組みが採点基準枠に適用される。
【0036】
なおこれらの採点基準枠W1〜W6は、台紙7の画像データの処理により、台紙7に設けられている解答欄用の枠組みを抽出した後、この抽出した枠組みに係る枠を表示し、オペレータによる修正(選択操作)を受け付けて設定される。なお解答欄、採点欄が設けられていない場合も考えられ、この場合には、設問の項目ごとに、直接、正誤等を記載する場合であることにより、台紙7の記載を文字認識して同様に採点基準枠の候補を設定した後、修正を受け付けて採点基準枠を設定する。またさらに回答欄とは別に、後述する認識枠、画像枠等に係る採点基準枠についても、オペレータの操作により、同様に設定を受け付け、これによりコメント等を記載する領域の設定を受け付ける。
【0037】
続いて採点基準設定部4Aは、採点基準枠にそれぞれ一意の識別記号を設定し、各採点基準枠について処理の設定を受け付ける(ステップSP4)。ここでこの採点システム1では、採点基準枠の種別の設定により、それぞれ採点基準枠の処理の設定を受け付ける。採点基準設定部4Aには、この採点基準枠の種別として、採点枠、集計枠、認識枠、選択枠、画像枠が用意されており、採点基準設定部4Aは、オペレータの選択操作により採点基準枠の種別の設定を受け付ける。
【0038】
ここで採点枠は、対応する電子インクから、回答の正誤、部分点を認識する場合に設定され、図5(B)において、採点基準枠W1〜W4が該当する。採点枠に設定されると、さらに配点の設定が受け付けられ、電子インクにより正解を示す「○」の記述が検出された場合、設定された配点がそのまま当該採点枠の得点に割り当てられる。これに対して不正解を示す「×」の記述が検出された場合、当該採点枠の得点は0点に設定される。またチェックマークの記述が検出された場合、設定に従って、当該採点枠に設定された配点、又は0点が、当該採点枠の得点に設定される。また後述するように部分点の記述により対応する部分点が当該採点枠の得点に設定される。
【0039】
集計枠は、採点枠による得点の集計に供する採点基準枠であり、図5(B)では、採点基準枠W6が該当する。集計枠では、採点基準枠内に記述された電子インクは無視され、平均点、小計点、合計点等の、採点枠で検出した得点の計算、表示に利用される。従ってこの集計枠が選択された場合、採点基準設定部4Aは、続いて、この集計枠で計算する内容の設定を受け付ける。
【0040】
認識枠は、採点基準枠内に記述された電子インクをテキスト情報に変換、出力する場合に設定される。この認識枠は、例えば図5(B)では、採点基準枠W5が該当し、この場合、採点者3が記述した回答者の氏名をテキストデータに変換し、例えば当該答案の採点結果の識別に利用される。また採点者が記述した感想、コメントを記録する場合にも利用される。
【0041】
選択枠は、採点基準枠内にチェックマークが存在するか否かを判定する場合に設定され、例えば答案2に設けられた「合格」、「不合格」等のチェック欄について、採点者の判定を取得する場合に利用される。画像枠は、採点基準枠内に設定された電子インクを画像データにより保存する場合に利用され、例えば採点者のサインの記録に利用される。なお画像データに代えて電子インクをそのまま保存してもよい。採点基準設定部4Aは、オペレータの操作により作成基準となった台紙7の画像データファイルと関連付けて、採点基準のデータをファイル形式により記録する。
【0042】
しかして図6は、ファイル形式により記録された採点基準のデータの内容を示す図であり、設定された各採点基準枠の種別を示す図である。この図6では、問題1−9、1−10、1−11との表題による採点基準枠が採点枠に設定され、それぞれ5点が配点されている。また続いて問題1−合計との表題による採点基準枠が集計枠に設定され、ここで所定範囲の得点の小計が求められている。また続く問題2−1、2−2、2−3,2−4との表題による採点基準枠が採点枠に設定され、それぞれ10点が配点され、続いて問題2−合計との表題による採点基準枠が集計枠に設定され、ここで問題2−1、2−2、2−3,2−4の得点が小計されている。
【0043】
図7は、採点処理部4Bの処理手順を示すフローチャートである。採点処理部4Bは、オペレータの操作によりこの処理手順を開始し、オペレータの指定した電子インクのファイルについて、対応する採点基準を使用してこの処理手順を実行する。すなわち採点処理部4Bは、始めに電子インクと採点基準枠との位置合わせの処理を実行する(ステップSP12)。ここでこの位置合わせは、電子インクが対応する採点基準枠内に位置するように、電子インクによる筆跡の画像、又は採点基準枠による台紙7の画像を、平行移動、回転、拡大、縮小し、電子インクの座標値、又は採点基準枠の座標値を修正する処理である。この処理は、例えば電子インク及び採点基準枠の座標の比較により並行移動成分、回転成分、倍率等の変数を計算し、この変数により電子インクの座標値、又は採点基準枠の座標値を修正して実行される。この位置合わせの処理については、各種の方法を広く適用することができる。この位置合わせの処理により、例えば答案用紙の印刷時の位置ずれ、台紙7から画像データを読み込む際の位置ずれ等を修正することができる。
【0044】
図8は、この位置合わせの処理の説明に供する図である。この図8(A)では、採点の採点基準枠W1〜W6に対して、対応する電子インクが左方法にほぼ一定の距離だけ変位した位置に配置されている。これによりこの場合、採点処理部4Bは、この一定の距離だけ、各採点基準枠W1〜W6の座標値を左方向に変位させて、又はこの一定の距離だけ、電子インクの座標値を右方向に変位させて、図8(B)に示すように、採点基準枠W1〜W6の内側に、対応する電子インクが位置するように設定する。
【0045】
続いて採点処理部4Bは、電子インクを採点基準枠により分類し、電子インクと各採点基準枠との対応関係を把握する(図7、ステップSP13)。ここで図9において矢印により示すように、採点処理部4Bは、各採点基準枠Wをそれぞれ一定の割合だけ拡大し、分類用の基準枠BWを生成する。また電子インクを構成するストローク毎に、当該ストロークに属する筆点が、何れの分類用の基準枠BW内に存在するかを検出し、これにより電子インクを分類する。なおこの場合において、1つのストロークの筆点が、複数の分類用の基準枠BW内に分かれて位置する場合もあり、この場合には、多くの筆点が入っている側の採点基準枠BWを選択する。このように採点基準枠Wを拡大した分類用の基準枠BWによりストロークを分類することにより、採点者による記載の位置ずれ、スキャナ読み込み時の位置ずれ等を吸収することができる。なお実用十分に、電子インクを対応する採点基準枠に選別できる場合、採点基準枠を拡大する処理については、省略することもできる。
【0046】
続いて採点処理部4Bは、それぞれ電子インクを文字認識処理する(図7、ステップSP14)。ここでこの文字認識処理に供する採点基準枠は、採点枠、認識枠、選択枠であり、集計枠、画像枠は処理対象から除外される。採点処理部4Bは、認識枠については、文字認識により採点基準枠内に分類されたストロークによる電子インクをテキストデータに変換する。なおこの文字認識にあっては、各種の文字認識手法を広く適用することができる。これに対して選択枠については、当該選択枠に分類されたストロークの有無を判断し、分類されたストロークが存在する場合、認識対象をチェックマークに限定して文字認識し、これにより処理の効率化を図る。
【0047】
これに対して採点枠については、採点に供する記述のみに限定して文字認識し、これにより認識率を向上すると共に、効率よく処理する。またさらに訂正の記述を考慮して文字認識し、これにより使い勝手を向上する。
【0048】
続いて採点処理部4Bは、この文字認識結果により各採点枠(解答欄)に設定された得点を算出し、さらに集計枠の集計値を計算する(ステップSP15)。続いてこの得点、集計値を認識枠の認識結果、選択枠の選択結果、画像枠の画像データと共に表示し(ステップSP16)、オペレータによる修正を受け付け(ステップSP17)、オペレータの指示により処理結果をファイル化して記録する。なお画像枠については、対応するストロークのデータをビットマップ画像に変換してファイルに記録する。なお電子インクにより画像枠の記述を保存する場合には、当然に、このビットマップ画像に変換する処理は、省略される。
【0049】
図10は、採点処理部4Bによる採点枠の認識処理及び得点処理(図7、図ステップSP14、SP15)を詳細に示す図である。採点処理部4Bは、採点基準枠毎にこの処理手順を実行する。この処理において、採点処理部4Bは、採点枠に分類されたストロークから削除線を検出し、この削除線のストロークと、この削除線により削除されたストロークを処理対象から除外する(ステップSP21−SP22)。なおここでこの実施の形態では、水平方向にほぼ平行に2本線が引かれている場合、削除線として処理する。
【0050】
より具体的に、以下の第1〜第3の全ての条件を満足する場合に、対応する2本のストロークを削除線と判断する。ここで第1の条件は、図11(A)により示すように、ストロークSTが左から右に作成されていることである。採点処理部4Bは、ストロークを構成する全ての筆点(始点を除く)のX座標が,直前の筆点のX座標と同じか増加している場合に、この条件を満足すると判断する。また第2の条件は、ストロークSTが一定の長さ以上、ほぼ水平方向に延長していることである。採点処理部4Bは、図11(B)により示すように、各ストロークSTの外接矩形のX方向の長さΔXが閾値以上であり、かつこの外接矩形のY方向の長さΔYが閾値以下である場合に、この条件を満足すると判断する。
【0051】
第3の条件は、第1及び第2の条件を満足するストロークが2本、一定の位置関係によりY方向に連続していることである。この第3の条件については、第1及び第2の条件を満たすストロークが2本存在し、かつ以下のa、b、cの条件の全てをこの2本のストロークが満足する場合である。ここでaの条件は、図11(C)に示すように、2本のストロークST1、ST2の始点のX座標の差ΔSXが閾値以下であり、かつ終点のX座標の差ΔEXも閾値以下であること(すなわち2つのストロークのX方向の位置がほぼ揃っていること)である。bの条件は、図11(D)に示すように、2本のストロークST1、ST2の外接矩形のY方向の長さΔDYが閾値以下であること(2つのストロークが近接して配置されていること)である。cの条件は、2本のストロークST1、ST2が交差していないことである。
【0052】
採点処理部4Bは、削除線を検出すると、図12(A)に示すように、削除線の外接矩形を一定の比率で拡大した範囲EWを削除範囲に設定し、この範囲EWにおいて削除線より先に記載されたストロークであって、範囲EWに少しでも含まれるストロークST3を、削除線により消去されたストローク(記述)と判定し、このストロークST3を削除線のストロークST1、ST2と共に削除する。なおこの削除結果を、図12(A)との対比により図12(B)により示す。
【0053】
続いて採点処理部4Bは、当該採点基準枠に属するストロークが0本の場合、認識結果による得点を0点に設定してこの処理を終了する(図10、ステップSP23−SP24−SP25)。また当該採点基準に属するストロークが0本以外の場合であって、このストロークが1本の場合、認識対象文字を「○」、チェックマークに限定して文字認識の処理を実行する(ステップSP23−SP27)。またこの認識結果が「○」である場合、この採点基準枠に設定された配点を得点に設定する(ステップSP28−SP29)。これに対して認識結果がチェックマークの場合であって、チェックマークを「×」と認識するように設定されている場合には、認識結果による得点を0点に設定し(ステップSP28−SP30−SP31)、このように設定されていない場合には、この採点基準枠に設定された配点を得点に設定する(ステップSP30−SP32)。
【0054】
これに対して当該採点基準に属するストロークが0本でも1本でも無い場合、認識対象文字を「×」、「△」、「+」、「−」、「数字」に限定して文字認識の処理を実行する(ステップSP23−SP26−SP33)。ここでこの認識結果が、1文字であって、かつ「×」である場合、認識結果による得点を0点に設定する(ステップSP34−SP35)。これに対してこの認識結果が、それ以外の場合、部分点を計算する。なおこの処理において、「Δ」が検出されている場合には、「Δ」を「+」に変換し、その後、部分点を計算する(ステップSP36)。ここで図13(A)に示すように、「Δ4−3」との記述によるストロークにより、この「Δ4−3」の認識結果が得られたとすると、「+4−3」の計算により「+1」点の部分点を計算する。また続く図13(B)のように、「+4+5」との記述によるストロークにより、この「+4+5」の認識結果が得られたとすると、「+4+5」の計算により「+9」点の部分点を計算する。また続く図13(C)のように、「−5−1」との記述によるストロークにより、この「−5−1」の認識結果が得られたとすると、「−5−1」の計算により「−6」点の部分点を計算する。
【0055】
このようにして部分点を計算して、部分点が0点以上の場合、この部分点が0点に対する加点であることから、この採点基準枠に設定された配点と、部分点との間で、点数の少ない側を当該採点枠の得点に設定する(ステップSP37−SP38)。これに対して部分点がマイナス点の場合、この場合、減点であることから、この採点基準枠に設定された配点に対して、計算した部分点を加算し、計算結果と0点とから点数の多い側を当該採点枠の得点に設定する(ステップSP37−SP39)。これらにより図13(A)、(B)では、配点が9点以上の場合、それぞれ1点、9点が得点に設定される。また図13(C)では、「配点−6点」が得点に設定される。
【0056】
なお選択枠については、同様に、削除線に係る処理を実行した後、文字認識処理を実行し、ストロークが一本でも選択枠に属している場合、チェックされていることを示す「1」に設定し、ストロークが1本も選択枠に属していない場合、チェックされていないことを示す「0」に設定する。また認識枠では、文字認識により順次ストロークによる筆跡をテキストデータに変換する。
【0057】
図14は、表示処理(図7、ステップSP16)における処理の説明に供する図である。採点処理部4Bは、採点基準枠ごとにこの処理手順を実行し、筆跡の表示の邪魔にならない範囲で、採点結果の表示位置、表示の大きさを設定する。すなわち採点処理部4Bは、図15(A)に示すように、採点基準枠W2の上側が空いている場合(他の採点基準枠W1との間にスペースが存在する場合)には、この上側の採点基準枠W1と重なり合わない範囲で、かつ一定のしきい値以下により採点基準枠W2を上側に拡大して表示設定用の基準枠KW2を設定する(図14、ステップSP41−SP42)。
【0058】
また図15(B)に示すように、採点基準枠W2の左側が空いている場合(他の採点基準枠との間にスペースが存在する場合)には、この左側の採点基準枠と重なり合わない範囲で、かつ一定のしきい値以下により採点基準枠W2を左側に拡大して表示設定用の基準枠KW2を設定する(図14、ステップSP43−SP44)。この場合において、上側に拡大して表示設定用の基準枠KW2を設定している場合、この表示設定用の基準枠KW2をさらに左側に拡大して表示設定用の基準枠KW2とする。なお上側にも左側にも採点基準枠を拡大できない場合、採点基準枠を表示設定用の基準枠に設定する。
【0059】
続いて採点処理部4Bは、図15(C)に示すように、表示設定用の基準枠KW2の四隅(左上、左下、右上、右下)に、それぞれ電子インクと重ならないようにして表示設定用の基準枠内に変換結果を表示可能な大きさ(フォント)を計算する(図14、ステップSP45)。この図15(C)の例では、採点基準枠W2の右寄りに−5が記述されていることから、表示設定用の基準枠KW2では右側にスペースが少ない。また採点基準枠W2に対して表示設定用の基準枠KW2が上側に拡大されていることから、表示設定用の基準枠KW2の右下隅のスペースが最も少なくなっている。従って右下隅に表示可能なフォントが最も小さくなり、続いて右上隅に表示可能なフォントが大きくなる。またこの図15(C)の例では、採点基準枠W2を左側に拡大して表示設定用の基準枠KW2が作成され、左側には水平方向に十分なスペースが確保されていることから、左上隅及び左下隅にそれぞれ表示可能なフォントの高さ方向の大きさが表示設定用の基準枠KW2の高さとなり、左上隅及び左下隅に表示する場合の文字の大きさが等しくなっている。
【0060】
このようにして表示可能なフォントを計算すると、採点処理部4Bは、これら四隅に表示可能なフォントから最大のフォントを選択する。この選択したフォントが、採点結果の表示に係る下限しきい値以上の場合、採点処理部4Bは、この選択したフォントを表示に供するフォントに設定し、またこのフォントを選択した箇所を表示箇所に設定する(図14、ステップSP46−SP47)。これに対してこの選択したフォントが、採点結果の表示に係る下限しきい値より小さい場合、採点処理部4Bは、この下限しきい値を表示に供するフォントに設定する。また最も大きなフォントを表示できる箇所を表示箇所に設定する(図14、ステップSP46−SP49)。
【0061】
しかして採点処理部4Bは、このようにして設定した表示箇所に、設定したフォントにより計算した得点を表示する。従って図15(C)の例では、左側に最も大きなフォントにより示された「−5」が選択されて表示されることになる。図16は、この表示例を示す図である。採点処理部4Bは、台紙7の画像上に、電子ペン5により取得した電子インクを表示し、さらにこの上に処理結果を表示する。より具体的に、採点枠、集計枠については、計算した得点を表示する。また認識枠では、テキストデータによるテキストを表示し、選択枠ではチェックマークの認識結果を表示する。なお画像枠では、電子インクによる記述のみを表示する。
【0062】
この表示において、採点処理部4Bは、採点枠、認識枠、選択枠がマウス等の操作により選択されると、対応する採点基準枠についての処理結果の修正を受け付ける(図7、ステップSP17)。また採点枠の得点が修正された場合には、これに対応して集計枠の得点を修正する。すなわち図17(A)に示すように、採点枠W1が選択されると、選択された採点枠W1に近接して得点修正用のスクロールバーBを表示し、このスクロールバーBの操作により表示した得点を増減し、またこの増減に対応してこの採点枠W1に設定した得点を増減する。なおこの図17(A)の例では、現在、採点枠W1には7点の得点が設定されていることが示されている。
【0063】
これに対して認識枠が選択された場合、図17(B)に示すように、認識枠W1に近接して文字入力用の領域WNを表示し、キーボードの操作により入力されるテキストをこの領域WNに表示する。またこの領域の表示により当該認識枠W1の認識結果を変更する。また図17(C)に示すように、選択枠W1については、当該選択枠W1の選択により認識結果を切り換える。
【0064】
この第1の実施の形態の構成によれば、答案に手書きされた記述を処理して答案の得点を処理する構成において、記述に係る筆跡のデータを取得して文字認識処理し、この文字認識結果に基づいて対応する採点箇所の得点を求め、表示するようにして、認識対象文字を正解、不正解、部分点の記述に係る文字に限って文字認識処理し、部分点の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、部分点を計算して当該採点箇所の得点に設定することにより、採点者が部分点を設定した場合でも、この部分点を集計、処理することができる。従って従来に比して使い勝手を向上することができる。
【0065】
また答案に対応する表示の上で、採点箇所を特定する採点基準枠と配点とを設定し、この設定に従って採点基準枠毎に文字認識処理し、得点を計算することにより、例えば答案、問題用紙等を利用して設定された採点基準枠を利用して、採点箇所毎に対応する記述を処理することができる。これにより処理の精度を向上し、確実に得点を集計することができる。また答案、問題用紙等を利用して採点基準を設定でき、これによっても使い勝手を向上することができる。
【0066】
また回答を記述していない答案から、採点箇所の枠組みを検出して採点基準枠を設定することにより、例えば採点者自らが作成した答案等についても柔軟に対応して処理することができ、これにより使い勝手を一段と向上することができる。
【0067】
また採点基準枠をそれぞれ拡大して分類用の基準枠を設定し、この分類用の基準枠により筆跡のデータによる筆跡を各採点基準枠に分類して処理することにより、採点欄から採点に係る筆跡がずれている場合、採点欄から採点に係る筆跡がはみ出している場合等であっても、対応する記述を各採点基準枠に分類して確実に処理することができ、これにより処理の精度を向上して一段と使い勝手を向上することができる。
【0068】
また対応する回答用紙の画像上に重ねて得点を表示し、ユーザによる操作により得点の修正を受け付けることにより、採点、処理の誤りを簡易かつ確実に見つけ出して修正することができ、これによっても使い勝手を向上することができる。
【0069】
また採点基準枠を拡大して表示設定用の基準枠を設定し、この表示設定用の基準枠内の四隅から、筆跡のデータによる筆跡に重なり合わない範囲で、最も大きく得点を表示可能な箇所を検出し、この検出した箇所で、筆跡と重なり合わないようにして得点を表示することにより、筆跡と見比べやすく得点を表示することができ、これによっても使い勝手を向上することができる。
【0070】
またこの拡大の方向が上方向及び左方向であることから、採点基準枠の左肩側に、極力、処理結果を表示することができ、処理結果を統一的に表示して見易いものとすることができる。
【0071】
また部分点の正負により、部分点の処理を切り換えることにより、適切に部分点を処理することができる。
【0072】
(2)第2の実施の形態
上述の第1の実施の形態では、採点基準の設定と、採点の処理とを同一のコンピュータ4で実行する場合について述べたが、この第2の実施の形態では、採点基準の設定と、採点の処理とを個別のコンピュータにより実行する。
【0073】
すなわちこの実施の形態において、採点基準設定用のコンピュータは、インターネット等のネットワークを介して採点処理するコンピュータと接続され、オペレータの操作により採点基準枠、配点の設定を受け付け、採点基準を設定する。またこの設定した採点基準を、答案のデータと共に、採点処理に供するコンピュータに伝送する。この採点システムでは、この答案のデータにより答案を印刷して問題文とする。これによりこの実施の形態では、採点基準を問題文と共に提供し、提供先のコンピュータで採点処理を実行する。これによりこの実施の形態では、採点する側では、採点基準を設定する処理、問題文を作成する処理等を省略することができ、一段と採点システムの使い勝手を向上することができる。
【0074】
なおこれらに代えて、採点処理するコンピュータから台紙の画像データの伝送を受け、この画像データの処理により採点基準を設定するようにしてもよい。このようにすれば、採点する側で独自に問題文の作成等を実行する場合に、採点基準の設定処理を省略することができ、一段と採点システムの使い勝手を向上することができる。
【0075】
この実施の形態のように、採点基準の設定と、採点の処理とを個別のコンピュータにより実行するようにしても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(3)他の実施の形態
なお本発明は、上述の実施の形態に限定されるものでは無く、その趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態に種々の変形を加えた形態とすることができる。
【0077】
すなわち上述の実施形態では、電子ペンを使用して筆跡のデータを取得する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばスキャナにより答案を読み取って筆跡のデータを取得する場合等、種々の筆跡取得方法を広く適用することができる。なおスキャナにより答案を読み取って筆跡のデータを取得する場合、問題用紙の印刷とは異なる、例えば赤色により採点するようにして、この赤色による画像データを選択的に取得することにより、採点者の記述に係る筆跡のデータを取得することができる。
【0078】
また上述の実施形態では、採点枠に「○」、「×」、「チェックマーク」、「Δ」、「+」、「−」、及び数字が記述されることを前提とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これら以外の記号、文字が記述されることを前提に、これらの記号、文字の記述を処理対象に含めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 採点システム
2 答案
3 採点者
4 コンピュータ
4A 採点基準設定部
4B 採点処理部
5 電子ペン
6 スキャナ
7 台紙
ST、ST1〜ST3 ストローク
W、W1〜W6 採点基準枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
答案に手書きされた記述を処理して前記答案の得点を処理する採点方法において、
前記記述に係る筆跡のデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得した前記筆跡のデータを文字認識処理する文字認識ステップと、
前記文字認識ステップの認識結果に基づいて、対応する採点箇所の得点を求める得点処理のステップと、
前記得点処理のステップで求めた得点を表示する得点表示のステップとを有し、
前記文字認識ステップは、
認識対象文字を正解、不正解、部分点の記述に係る文字に限って文字認識処理し、
前記得点処理のステップは、
前記文字認識ステップにおいて、正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所に設定されている配点を得点に設定し、
前記文字認識ステップにおいて、不正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所の得点を0点に設定し、
前記文字認識ステップにおいて、部分点の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、部分点を計算して当該採点箇所の得点に設定する
ことを特徴とする採点方法。
【請求項2】
前記答案に対応する表示上で、採点箇所を特定する採点基準枠と配点とを設定する採点基準設定のステップを有し、
前記文字認識ステップは、
前記採点基準枠毎に、対応する前記筆跡のデータを文字認識処理して、各採点基準枠の記述を処理し、
前記採点基準設定のステップで設定された配点を基準にして、前記得点を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の採点方法。
【請求項3】
前記採点基準設定のステップは、
回答を記述していない答案から、採点箇所の枠組みを検出して前記採点基準枠を設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の採点方法。
【請求項4】
前記文字認識ステップは、
前記採点基準枠をそれぞれ拡大して分類用の基準枠を設定し、
前記分類用の基準枠により前記筆跡のデータによる筆跡を各採点基準枠に分類し、
分類毎に、文字認識処理する
ことを特徴とする請求項3に記載の採点方法。
【請求項5】
前記得点表示のステップは、
前記得点を対応する回答用紙の画像上に重ねて表示し、
ユーザによる操作により得点の修正を受け付ける得点修正のステップを有する
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4の何れかに記載の採点方法。
【請求項6】
前記得点表示のステップは、
前記採点基準枠を拡大して表示設定用の基準枠を設定し、
前記表示設定用の基準枠内の四隅について、前記表示設定用の基準枠内であって、かつ対応する前記筆跡のデータによる筆跡に重なり合わない範囲で、表示可能な最大の文字の大きさをそれぞれ検出し、
検出した文字の大きさから最も大きさの大きな表示箇所を検出し、該表示箇所で前記得点を表示する
ことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、又は請求項5の何れかに記載の採点方法。
【請求項7】
前記得点表示のステップは、
隣接する採点基準枠に重なり合わない範囲で、前記採点基準枠を上方向及び左方向に拡大して前記表示箇所設定用の基準枠を設定する
ことを特徴とする請求項6に記載の採点方法。
【請求項8】
前記得点処理のステップは、
計算により求められた部分点の値が正の場合、当該採点箇所に設定された配点と、計算した部分点とで値の小さい側を選択して前記得点に設定し、
前記計算により求められた部分点の値が負の場合、当該採点箇所に設定された配点に前記部分点を加算して前記得点に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の採点方法。
【請求項9】
コンピュータに、
答案に手書きされた記述を処理させて前記答案の得点を処理させる採点方法のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記記述に係る筆跡のデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得した前記筆跡のデータを文字認識処理する文字認識ステップと、
前記文字認識ステップの認識結果に基づいて、対応する採点箇所の得点を求める得点処理のステップと、
前記得点処理のステップで求めた得点を表示する得点表示のステップとを実行させ、
前記文字認識ステップは、
認識対象文字を正解、不正解、部分点の記述に係る文字に限って文字認識処理し、
前記得点処理のステップは、
前記文字認識ステップにおいて、正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所に設定されている配点を得点に設定し、
前記文字認識ステップにおいて、不正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所の得点を0点に設定し、
前記文字認識ステップにおいて、部分点の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、部分点を計算して当該採点箇所の得点を計算した部分点に設定する
ことを特徴とする採点方法のプログラム。
【請求項10】
答案に手書きされた記述を処理して前記答案の得点を処理する採点システムにおいて、
前記記述に係る筆跡のデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得した前記筆跡のデータを文字認識処理する認識部と、
前記認識部の認識結果に基づいて、対応する採点箇所の得点を求める得点処理部と、
前記得点処理部で求めた得点を表示する得点表示部とを有し、
前記認識部は、
認識対象文字を正解、不正解、部分点の記述に係る文字に限って文字認識処理し、
前記得点処理部は、
前記文字認識部において、正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所に設定されている配点を得点に設定し、
前記文字認識部において、不正解の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、当該採点箇所の得点を0点に設定し、
前記文字認識部において、部分点の記述に係る文字認識結果が得られた場合には、部分点を計算して当該採点箇所の得点を計算した部分点に設定する
ことを特徴とする採点システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−181653(P2012−181653A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43856(P2011−43856)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】