採点装置及びプログラム
【課題】歌唱(又は演奏)の採点を行う際に、より公平な採点を行うことのできる技術を提供する。
【解決手段】歌唱者の歌唱音声がマイクロホン15によって収音され、オーディオ信号に変換される。カラオケ装置1の制御部11は、オーディオ信号からピッチを検出し、歌唱ピッチデータSPを生成する。制御部11は、リファレンスピッチデータRPと歌唱ピッチデータSPとを比較し、両者の差分に応じて歌唱の採点を行う。このとき、制御部11は、歌唱者が楽曲のテンポを操作部14を用いて変更している場合に、テンポを遅くしているほど採点基準が厳しくなるように、テンポコン情報に応じて採点結果を修正する。
【解決手段】歌唱者の歌唱音声がマイクロホン15によって収音され、オーディオ信号に変換される。カラオケ装置1の制御部11は、オーディオ信号からピッチを検出し、歌唱ピッチデータSPを生成する。制御部11は、リファレンスピッチデータRPと歌唱ピッチデータSPとを比較し、両者の差分に応じて歌唱の採点を行う。このとき、制御部11は、歌唱者が楽曲のテンポを操作部14を用いて変更している場合に、テンポを遅くしているほど採点基準が厳しくなるように、テンポコン情報に応じて採点結果を修正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歌唱(又は演奏)を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置においては、歌唱者の歌唱の巧拙を採点するための方法が種々提案されている。例えば、特許文献1においては、歌唱とそのお手本となるリファレンスを比較するにあたって、歌唱のタイミングとリファレンスのタイミングがずれている場合には、歌唱音声データとリファレンスデータを時間軸方向にずらして相互相関を求め、相互相関の最も高い位置で各音符について採点する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2005−107330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、テンポの速い楽曲を歌唱する場合には、ひとつひとつのノートの時間長が短いため、テンポが遅い楽曲よりも音程を合わせるのが困難である場合が多い。そこで、テンポコンを操作して楽曲をゆっくり再生すると、ひとつひとつのノートの時間長が長くなり音程を合わせるのが容易になる。そのため、テンポを遅くして歌唱した場合のほうが速いテンポのまま歌唱した場合よりも高得点がとれる場合が多く、同じ楽曲を歌唱した場合であっても、テンポの遅速によって採点結果に不公平が生じる場合があった。また、異なる楽曲を歌唱する場合においても、テンポの遅い楽曲のほうがテンポの速い楽曲よりも歌唱が容易であり高得点がでやすいため、楽曲によって採点結果に不公平が生じる場合があった。これは、楽器の演奏についても同様である。
本発明は上述した背景の下になされたものであり、歌唱(又は演奏)の採点において、従来と比較してより公平な採点を行うことのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の好適な態様である採点装置は、楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、前記楽曲のテンポを表すテンポ情報を取得する取得手段と、収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように採点を行う採点手段と、前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【0005】
また、本発明の好適な態様である採点装置は、楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行う採点手段であって、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う採点手段と、前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
上述の態様において、前記記憶手段は、前記楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶し、前記採点手段は、前記収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるとともに、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行ってもよい。
【0007】
また、上述の態様において、前記記憶手段は、前記楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータと該楽曲のテンポを表すテンポ情報とを対応付けて記憶し、前記取得手段は、前記読出手段により読み出されたリファレンスデータに対応するテンポ情報を前記記憶手段から読み出してもよい。
また、上述の態様において、前記取得手段は、利用者によって操作される操作手段から出力される操作信号に応じて前記テンポ情報を取得してもよい。
【0008】
また、上述の態様において、前記採点手段は、前記オーディオ信号と前記リファレンスデータとを前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行うとともに、前記ノート毎の採点結果を集計して総合採点を行ってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、歌唱(又は演奏)の採点において、従来と比較してより公平な採点を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<A:構成>
図1は、この発明の一実施形態であるカラオケ装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図において、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROM又は記憶部12に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、バスBUSを介してカラオケ装置1の各部を制御する。記憶部12は、制御部11によって実行されるコンピュータプログラムやその実行時に使用されるデータを記憶するための記憶手段であり、例えばハードディスク装置である。表示部13は、液晶パネルを備え、制御部11による制御の下に各種の画像を表示する。操作部14は、カラオケ装置1の利用者により操作される操作手段であり、カラオケ装置1の利用者によって操作された内容に応じた信号を制御部11に出力する。歌唱者は、操作部14を操作することによって、楽曲のテンポを変更することができる。制御部11は、操作部14から出力される操作信号に応じて、テンポの変更内容を表すテンポコン情報を取得し、取得したテンポコン情報に基づいて楽曲のテンポを変更する。
【0011】
マイクロホン15は、収音し、収音した音声を表すオーディオ信号(アナログ信号)を出力する収音手段である。音声処理部16は、マイクロホン15が出力するオーディオ信号(アナログ信号)をデジタルデータに変換する。また、音声処理部16は、デジタルデータをアナログ信号に変換してスピーカ17に出力する。スピーカ17は、音声処理部16でデジタルデータからアナログ信号に変換され出力されるオーディオ信号に応じた強度で放音する放音手段である。
【0012】
なお、この実施形態では、マイクロホン15とスピーカ17とがカラオケ装置1に含まれている場合について説明するが、音声処理部16に入力端子及び出力端子を設け、オーディオケーブルを介してその入力端子に外部マイクロホンを接続する構成としても良く、同様に、オーディオケーブルを介してその出力端子に外部スピーカを接続するとしても良い。また、この実施形態では、マイクロホン15から音声処理部16へ入力されるオーディオ信号及び音声処理部16からスピーカ17へ出力されるオーディオ信号がアナログオーディオ信号である場合について説明するが、デジタルオーディオデータを入出力するようにしても良い。このような場合には、音声処理部16にてA/D変換やD/A変換を行う必要はない。表示部13についても同様であり、外部出力端子を設け、外部モニタを接
続する構成としてもよい。
【0013】
カラオケ装置1の記憶部12は、図1に示すように、楽曲データ記憶領域121と、背景画データ記憶領域122とを有している。楽曲データ記憶領域121には、楽曲の伴奏音や歌詞を表す楽曲データが記憶されている。背景画データ記憶領域122には、カラオケ伴奏時に背景として表示される動画像を表す背景画データが記憶されている。
【0014】
ここで、楽曲データ記憶領域121に記憶された楽曲データの内容の一例について説明する。楽曲データは、図2に示すように、ヘッダと複数のトラックとを有しており、複数のトラックには、利用者が歌唱すべき旋律(ピッチ)の内容を表すリファレンスデータが記述されたリファレンスデータトラック、カラオケ演奏音の内容を表す演奏データが記述された演奏トラック、歌詞の内容を表す歌詞データが記述された歌詞トラックがある。また、ヘッダ部分には、図2に示すように楽曲を特定する曲番号データ、楽曲の曲名を示す曲名データ、ジャンルを示すジャンルデータ、楽曲の演奏時間を示す演奏時間データ、楽曲のデフォルトのテンポを示すテンポデータ(以下「楽曲テンポ情報」という)等が含まれている。以上の楽曲データは、MIDIフォーマットに従って記述されている。
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、「テンポコン情報」と「楽曲テンポ情報」とを各々区別する必要がない場合には、これらを「テンポ情報」と称して説明する。
【0015】
次に、リファレンスデータトラックに記述されているリファレンスデータの具体例について、図3を参照しつつ説明する。リファレンスデータは、模範となる音をノートの列で表すデータである。図3は行と列のマトリックスになっているので、まず、列について説明する。第1列のデルタタイムは、イベントとイベントとの時間間隔を示しており、テンポクロックの数で表される。デルタタイムが「0」の場合は、直前のイベントと同時に実行される。第2列には演奏データの各イベントが持つメッセージの内容が記述されている。このメッセージには、発音イベントを示すノートオンメッセージ(NoteOn)や消音イベントを示すノートオフメッセージ(NoteOff)の他、コントロールチェンジメッセージ等が含まれる。なお、図3に示す例では、コントロールチェンジメッセージは含まれていない。
【0016】
第3列にはチャネルの番号が記述されている。ここでは、説明の簡略のためリファレンスデータトラックのチャンネル番号を「1」としている。
第4列には、ノートナンバ(NoteNum)あるいはコントロールナンバ(CtrlNum)が記述されるが、どちらが記述されるかはメッセージの内容により異なる。例えば、ノートオンメッセージ又はノートオフメッセージであれば、ここには音階を表すノートナンバが記述され、またコントロールチェンジメッセージであればその種類を示すコントロールナンバが記述されている。
第5列にはMIDIメッセージの具体的な値(データ)が記述されている。例えばノートオンメッセージであれば、ここには音の強さを表すベロシティの値が記述され、ノートオフメッセージであれば、音を消す速さを表すベロシティの値が記述され、またコントロールチェンジメッセージであればコントロールナンバに応じたパラメータの値が記述されている。
【0017】
次に、図3に示す各行は、歌唱すべきメロディの各音符の属性を示す楽音パラメータとなっており、ノートオンイベント、ノートオフイベントで構成される。
図3に示す例では、デルタタイム480の長さを4分音符の長さとしている。この場合、第1行、第2行のイベント処理によりC4音が4分音符の長さにわたって発音されることが示され、第3行、第4行のイベント処理によりG4音が4分音符の長さにわたって発音されることが示される。そして、第5行、第6行の処理によりF4音が2分音符の長さにわたって発音されることが示される。
【0018】
利用者が楽曲指定操作を行うと、曲番号データを基にして、指定された楽曲データが楽曲データ記憶領域121から読み出され、RAMに転送される。制御部11がRAM内の楽曲データを順次読み出して処理することで楽曲の演奏が進行する。このとき、リファレンスデータも楽曲の進行と同期して読み出され、制御部11はリファレンスデータのノートとベロシティに応じてリファレンスピッチデータRPを生成する。
【0019】
一方、マイクロホン15に入力された歌唱者の音声は、歌唱音声信号となり、アンプ(図示略)を介してスピーカ17により出力されるとともに、音声処理部16に入力される。音声処理部16がこの歌唱音声信号S1をA/D変換した後、制御部11は、歌唱音声のピッチを抽出し、歌唱ピッチデータSPとして出力する。この場合、歌唱音声のピッチの抽出処理はおよそ11.6msごとに行われるようになっている。
【0020】
<B:動作>
図4は、カラオケ装置1の制御部11が行う処理の流れを示す図である。以下、図4を参照しつつ、この実施形態の動作について説明する。なお、図4において、伴奏再生部111、表示制御部112、ピッチ検出部113及び採点部114は、制御部11がROM又は記憶部12に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより実現される。なお、図中の矢印はデータの流れを概略的に示すものである。
【0021】
利用者が操作部14を用いて楽曲指定操作を行うと、指定された楽曲の楽曲データが楽曲データ記憶領域121からRAMへ転送される。伴奏再生部111は、RAM内の楽曲データのイベントを順次読み出すことによりカラオケ伴奏を行い、表示制御部112は、RAM内の楽曲データの歌詞データを順次読み出すことにより歌詞表示処理を実行する。具体的には、伴奏再生部111は、楽曲データの演奏トラックに記述されたイベントデータを音声処理部16に出力する。表示制御部112は、歌詞トラックの歌詞データを表示部13に出力する。この結果、カラオケ伴奏音がスピーカ17から出力される一方、歌詞データの表す歌詞が表示部13に表示される。
【0022】
歌唱者は、スピーカ17から放音される伴奏音に併せて歌唱する。歌唱者の歌唱音声はマイクロホン15によってオーディオ信号に変換され、音声処理部16でA/D変換される。ピッチ検出部113は、音声処理部16でA/D変換されたオーディオデータ(以下「歌唱音声データ」という)からピッチを抽出し、歌唱ピッチデータSPとして出力する。ピッチ検出部113で生成された歌唱ピッチデータSPは、採点部114へ出力される。
【0023】
次に、採点部114が行う採点処理について、図5に示すフローチャートを参照しつつ説明する。まず、採点部114は、リファレンスピッチデータRPと歌唱ピッチデータSPとをノート単位で比較し、両者の差分に応じてノート毎に採点を行う(ステップS1)。このとき、採点部114は、ノートの音長(相対的な音の時間長)に応じた採点を行う。より詳細には、採点部114は、リファレンスデータに含まれる各ノートのそれぞれについて、ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う。
【0024】
ここで、採点部114が行う採点処理の具体的な一例について、図6を参照しつつ説明する。図6(a),(b)は、ノート単位の採点処理の内容を説明するための図である。図6(a),(b)において、横軸は、1ノート内の歌唱ピッチの平均とリファレンスピッチとの差(以下「DCパラメータ値」という)を示し、縦軸は、1ノート内の歌唱ピッチの平均と歌唱ピッチとの差の平均(以下「ACパラメータ値」という)を示す。採点部114は、リファレンスデータに含まれる各ノートのそれぞれについて、各ノートに対応するリファレンスピッチデータRPと歌唱ピッチデータSPとから、ACパラメータ値とDCパラメータ値とを算出する。次いで、採点部114は、ACパラメータ値とDCパラメータ値との関係が、図6の領域P内に含まれるか否かを、ノート毎に判定する。DCパラメータ値とACパラメータ値との関係が図6の領域P内に含まれる場合には、採点部114は、そのノートについて減点する。一方、DCパラメータ値とACパラメータ値との関係が図6の領域P内に含まれない場合には、採点部114はそのノートについて加点を行う。
【0025】
このとき、採点部114は、各ノートの音長(相対的な音の時間長)に応じて異なる判定処理を行う。具体的には、採点部114は、ノートの音長が予め定められた閾値よりも長いか否かを判定し、音長が閾値よりも短いノートについては、図6(a)に示すグラフを用いて判定を行い、一方、音長が閾値よりも長いノートについては、図6(b)に示すグラフを用いて判定を行う。図6(a)に示すグラフと(b)に示すグラフとでは、図示のように、領域P内に含まれるか否かを判定するためのDCパラメータ値の閾値が異なっており、長いノートの判定に用いるグラフ(図6(b)に示すグラフ)のほうが領域Pの範囲が広くなっている。
【0026】
図6(a),(b)には、DCパラメータ値の閾値として、「45」と「35」とをそれぞれ示したが、採点部114は、図7に示すような、ノートの音長によって異なる閾値を用いて判定を行う。図7は、ノートの音長とDCパラメータ値の閾値との関係を示す図である。図において、横軸はノートの音長を示し、縦軸はDCパラメータ値の閾値の基準値(以下、単に「基準値」という)との差値を示す。図示のように、ノートの音長が長くなるほど、DCパラメータ値の基準値との差が大きくなるように設計されている。すなわち、ノートの音長が長くなるほど領域P(減点される領域)が大きくなり、採点基準が厳しくなる。このように、採点部114は、加点するか否かを判定するための領域Pを、ノートの音長が長くなるほど大きくすることで、ノートの音長が長いほど厳しく採点を行う。
【0027】
また、採点部114は、ノートについて減点を行う場合には、図8に示すような、ノートの時間長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎に重み付けを行って採点する。図8は、ノートの長さ(msec)と重み付け係数との対応関係を示す図である。図8において、横軸はノートの長さを示し、縦軸は重み付け係数の値を示す。図示のように、ノートの長さが長くなるほど、重み付け係数の値が大きくなる。採点部114は、ノートについて減点を行う際に、この図8に示す関係を参照して、ノート毎に重み付けを行って減点する。すなわち、採点部114は、ノートの長さが長いほど、減点度(減点率又は減点量)を大きくして、減点を行う。
【0028】
図5の説明に戻る。ノート単位での採点を終えると、採点部114は、楽曲が終了したか否かを判定し(ステップS2)、楽曲が終了したと判定した場合には(ステップS2;YES)、総合採点処理に進む一方、楽曲が終了していない場合には(ステップS2;NO)、次のノートの採点処理を続行する(ステップS1)。
【0029】
楽曲が終了したと判定した場合には(ステップS2;YES)、採点部114は、ノート単位の採点結果を集計して総合採点を行う(ステップS3)。次いで、採点部114は、歌唱者が楽曲のテンポを操作部14によって変更している場合に、テンポを遅くしているほど採点基準が厳しくなるように、テンポコン情報に応じて採点結果を修正する(ステップS4)。ステップS4の処理により、テンポコン情報の内容が採点結果に反映される。具体的には、採点部114は、楽曲が再生されている間、操作部14から出力される信号に応じたテンポコン情報を、記憶部12の所定の記憶領域に時系列に記憶する。次いで、制御部11は、この記憶領域に記憶された時系列のテンポコン情報を参照して、楽曲全体におけるテンポコン情報の平均値を算出し、算出した平均値に応じて減点加点率を算出する。次いで、採点部114は、算出した減点加点率を用いてテンポコン情報の内容を採点結果に反映する。
【0030】
ここで、ステップS4に示す処理の具体的な内容の一例について説明する。採点部114は、まず、カラオケ装置1の利用者が操作部14を操作することによって入力されるテンポコン情報用いて、楽曲全体におけるテンポコン情報の平均値(以下「平均テンポコン情報Ave」)を算出する。具体的には、採点部114は、1サンプルのテンポコン情報tci、1サンプル時間Δt、楽曲演奏時間Tを用いて、以下の(1)式によって平均テンポコン情報Aveを算出する。
【0031】
次いで、採点部114は、算出した平均テンポコン情報Aveから、楽曲の採点に対する減点加点率perを算出する。具体的には、採点部114は、図9に示す関係を用いて減点加点率perを算出する。図9は、平均テンポコン情報Aveと減点加点率perとの対応関係を示す図である。図において、横軸は平均テンポコン情報Aveの値を示し、縦軸は減点加点率perを示す。図において、例えば、平均テンポコン情報Aveの値が「7」である場合には、採点部114は、このグラフを参照して、減点加点率perを「+10」(%)と決定する。採点部114は、決定した減点加点率perを用いて、テンポコン情報の内容を採点結果に反映する。具体的には、採点部114は、算出した減点加点率perを用いて以下の(2)式により採点結果tpを修正する。
tp = tp * (100+per)/100 …(2)
以上の処理により、テンポコン情報の内容が採点結果に反映される。
【0032】
図5の説明に戻る。ステップS4の処理を終えると、次いで、採点部114は、楽曲データのヘッダに記述された楽曲テンポ情報を参照して、この楽曲テンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように、採点結果を更に修正する(ステップS5)。この処理は、楽曲のテンポが遅いほど音程を合わせるのが容易であることを考慮した処理である。まず、採点部114は、楽曲データのヘッダに記述された楽曲テンポ情報を参照して、各ノートのそれぞれについて、1ノート内の楽曲テンポ情報の平均値avkを算出する。なお、楽曲全体においてテンポが常に一定である場合には、楽曲テンポ情報をそのまま平均値avkとして用いればよい。次いで、採点部114は、楽曲内の各ノートの難易度xkを、各ノートの時間長ntkと、1ノート内の楽曲テンポ情報の平均値avkとを用いて、(3)式により算出する。なお、(3)式中の「280」はMIDIの最速のテンポである。
xk = ntk * (280 − avk) …(3)
【0033】
次いで、採点部114は、算出したノート毎の難易度xkを集計して、楽曲全体の難易度を算出する。より具体的には、採点部114は、ノート毎の難易度xkと、楽曲に含まれる総ノート数Nとを用いて、次の(4)式により楽曲全体の難易度txを算出する。
【0034】
次いで、採点部114は、図10に示すグラフを参照して減点加点率pを算出する。図10は、難易度txと減点加点率pとの対応関係を示す図である。図において、横軸は難易度txを示し、縦軸は減点加点率pを示す。次いで、採点部114は、決定した減点加点率pを用いて、曲の難易度を採点結果に反映させる。具体的には、採点部114は、算出した減点加点率pを用いて以下の(5)式により採点結果tpを修正する。
tp =tp *(100+p)/100 …(5)
図10に示すように、曲の難易度が低いほど減点率を大きくすることで、楽曲のテンポを採点結果に反映させることができる。
【0035】
このように、採点部114は、曲調がゆっくりである楽曲に対しては採点基準が厳しくなるように採点を行う(図5のステップS5)。同様にして、採点部114は、歌唱者が操作部14を用いてテンポを変更してテンポをゆっくりにした楽曲に対しても、採点結果が低くなるような採点を行う(図5のステップS4)。
【0036】
図5の説明に戻る。採点部114は、採点結果を示すデータを表示制御部112に出力する(ステップS6)。表示制御部112は、採点部114から供給されるデータに基づいて、採点結果を示す画像を表示部13に表示させる。歌唱者は、表示部13に表示される画面を参照することで、自身の歌唱の採点結果を確認することができる。
【0037】
ところで、カラオケ装置を用いて歌唱を行う場合には、テンポコンを操作して楽曲をゆっくり再生すると、ひとつひとつのノートが長くなり音程を合わせるのが容易になる。そのため、従来の装置では、楽曲をゆっくり再生した場合には、本来は高得点ではない歌唱でも高得点がとれてしまう。それに対しこの実施形態では、楽曲演奏時のテンポコン情報を常に記録し、時間で平均をした値から減点率を決定し、元の得点から減点を行うことによって、楽曲の速さを制御する値(テンポコン情報)を、採点結果に反映させる。このように、テンポコン情報を採点結果に反映させることにより、楽曲やユーザ操作(テンポコン)による歌唱難易度を調整し公平な採点を行うことができる。
【0038】
また、楽曲の速さによって高得点を取るための難易度が変わるが、この実施形態では、楽曲テンポ情報を用いて、楽曲毎の固有の難易度を計り調整することで、楽曲のテンポが遅いほど採点基準を厳しくして採点する。このようにすることにより、従来と比較して、各楽曲間の難易度調整の精度を向上させることができ、選択楽曲の採点に対する不公平感を減らすことができる。これにより、従来と比較して公平な採点を行うことができ、例えば、曲目に縛られないランキングゲームの運用が可能になる。
【0039】
また、この実施形態では、ノートの音長が長いほど採点基準を厳しくするから、これにより、人間が歌唱を聞いた感覚と得点との差分を軽減することができ、長いノートに対して音程がずれた場合の聴取者の聴感に合った採点を行うことができる。
【0040】
<C:変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態では、テンポの変更内容を示すテンポコン情報を、総合得点や音程判定に反映させるようにした。テンポコン情報を反映させる採点態様はこれに限らず、他の種々の採点項目に反映させてもよい。例えば、ビブラートやしゃくり、こぶし等の歌唱技法の巧拙や使用回数に応じて採点を行う際に、この採点項目にテンポコン情報の内容を反映させるようにしてもよい。
【0041】
また、上述の実施形態では、曲調がゆっくりである曲に対して採点結果を低くするようにした。同様にして、曲調が早い楽曲に対して採点結果を高くするようにしてもよい。
【0042】
また、上述の実施形態では、操作部14から出力される操作信号に応じたテンポコン情報や楽曲データのヘッダに記述された楽曲テンポデータを、テンポを表すテンポ情報として用いるようにし、制御部11が、操作部14又は楽曲データ記憶領域121からテンポ情報を取得するようにした。制御部11がテンポ情報を取得する態様はこれに限らず、例えば、制御部11が、再生されるカラオケ伴奏から所定の区切り(例えば小節毎の区切、等)を時系列に検出し、この検出結果からテンポを算出するようにしてもよく、要するに、制御部11がテンポに係る情報をテンポ情報として取得するようにすればよい。
【0043】
(2)上述の実施形態では、採点結果を表示部13に表示させることによって歌唱者に報知した。報知の態様はこれに限らず、例えば、音声メッセージを出力することによって報知してもよく、また、判定結果を示す情報を電子メール形式で歌唱者のメール端末に送信するという形態であってもよい。また、判定結果を示す情報を記憶端末に出力して記憶させるようにしてもよく、この場合、操作者はコンピュータを用いてこの記憶媒体から情報を読み出させることで、それらを参照することができる。また、判定結果を所定の用紙に印刷出力してもよい。要は歌唱者に対して何らかの手段でメッセージ乃至情報を伝えられるように、評価結果を示す情報を出力するものであればよい。
【0044】
(3)上述の実施形態において、歌唱音声の比較対象となるリファレンスデータは、例えば楽曲のガイドメロディを表すデータであってもよく、また、楽曲の模範となる歌唱音声を表すデータであってもよく、楽曲の模範となる音を表すデータであればよい。
【0045】
(4)上述の実施形態では、歌唱者の歌唱音声をリアルタイムで解析するようにしたが、必ずしもリアルタイムで解析する必要はなく、例えば記憶部に予め記憶されたオーディオ信号を解析するようにしてもよい。また、例えば、インターネット等の通信ネットワークを介してデータ伝送を行うための通信部をカラオケ装置1に設ける構成とし、通信ネットワークを介してオーディオ信号を受信し、受信したオーディオ信号を解析するようにしてもよい。
【0046】
(5)上述の実施形態では、制御部11が、楽曲データ記憶領域121に記憶された楽曲データに含まれるリファレンスデータからリファレンスピッチデータRPを生成するが、これに代えて、模範となる楽音のピッチを表すリファレンスピッチデータを予め記憶部12に記憶しておくようにしてもよい。
【0047】
(6)上述の実施形態では、歌唱者の歌唱音声とリファレンスデータとを比較したが、歌唱者の歌唱音声に変えて、演奏者による楽器の演奏音とリファレンスデータとを比較してもよい。本実施形態にいう「音声」には、人間が発生した音声や楽器の演奏音といった種々の音響が含まれる。
【0048】
(7)上述の実施形態では、カラオケ装置1が本実施形態に係る全ての処理を実行するようになっていた。これに対し、通信ネットワークで接続された2以上の装置が上記実施形態に係る機能を分担するようにし、それら複数の装置を備えるシステムが同実施形態のカラオケ装置1を実現するようにしてもよい。例えば、マイクロホンやスピーカ、表示装置及び操作部等を備えるコンピュータ装置と、採点処理を実行するサーバ装置とが通信ネットワークで接続されたシステムとして構成されていてもよい。この場合は、例えば、コンピュータ装置が、マイクロホンで収音された音声をオーディオ信号に変換してサーバ装置に送信し、サーバ装置が、受信したオーディオ信号を解析して採点し、採点結果をコンピュータ装置に送信してもよい。
【0049】
(8)上述した実施形態におけるカラオケ装置1の制御部11によって実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、RAM、ROMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。また、インターネットのようなネットワーク経由でカラオケ装置1にダウンロードさせることも可能である。
【0050】
(9)上述の実施形態では、制御部11がテンポコン情報の内容を(2)式を用いて採点結果に反映させるようにしたが、テンポコン情報の内容を採点結果に反映させる態様はこれに限らず、要は、制御部11が、テンポコン情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように、テンポコン情報を採点結果に反映させるものであればどのようなものであってもよい。具体的には、例えば、制御部11が、次の(6)式を用いてテンポコン情報の内容を採点結果に反映させるようにしてもよい。
tp = tp * (100+per+α)/100 …(6)
【0051】
また、上述の実施形態では、制御部11が楽曲テンポ情報を(5)式を用いて採点結果に反映させるようにしたが、楽曲テンポ情報を採点結果に反映させる態様はこれに限らず、要は、楽曲テンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように、楽曲テンポ情報を採点結果に反映させるものであればどのようなものであってもよい。具体的には、例えば、制御部11が次の(7)式を用いて楽曲テンポ情報の内容を採点結果に反映させるようにしてもよい。
tp =tp *((100+p+α)/100) …(7)
【0052】
(6)式又は(7)式において、例えば、制御部11がαの値を楽曲の種別により決定するようにしてもよい(例えば、楽曲の種別が演歌の場合はα=−5,ポップスの場合はα=0,童謡の場合はα=−10、等)。このようにすることで、元のテンポが遅い曲が多い演歌や歌いやすい曲が多い童謡では難しくする事で得点バランスをコントロールすることができる。
【0053】
また、(6)式又は(7)式において、制御部11が歌唱者の年齢によってαの値を決定するようにしてもよい。具体的には、例えば、制御部11が図11に示すような関数を用いてαの値を決定してもよい。図11において、横軸は歌唱者の年齢を示し、縦軸はαの値を示す。この場合、歌唱者は、操作部14を用いて自身の年齢を入力する操作を行う。制御部11が、操作部14から出力される操作信号に応じて歌唱者の年齢を示す年齢情報を取得し、取得した年齢情報から図11に示す関数を用いてαの値を決定する。このように歌唱者の年齢を用いてαの値を決定することで、例えば、子供や年配者に対してやさしい採点を行うことができる。
【0054】
また、例えば、(6)式又は(7)式において、歌唱者の誕生日をαの値に反映させるようにしてもよい。具体的には、例えば、制御部11が、歌唱者の誕生日の場合にはα=0とし、誕生日以外の日の場合にはα=10とするようにしてもよい。この場合は、歌唱者は、操作部14を用いて自身の誕生日を入力する操作を行い、制御部11は、操作部14からの操作信号に応じて、その日付が入力された誕生日と一致する場合に、それ以外の場合よりも採点結果が高くなるように採点結果を修正する。このようにすることで、誕生日の人に対してやさしい採点を行うことができる。
【0055】
また、例えば、(6)式又は(7)式において、制御部11が端末への配信状態に応じてαの値を決定するようにしてもよい。具体的には、例えば、変形例(7)に示すような、コンピュータ装置(端末)とサーバ装置とが通信ネットワークで接続されたシステムにおいて、サーバ装置が、端末への最終配信から何週経過したかによって、図12に示すような関数を用いてαの値を決定してもよい。図12において、横軸は最終配信から経過した週を示し、縦軸はαの値を示す。この場合、サーバ装置は、端末毎に最終配信日を記憶しておき、最終配信日から何週経過したかに応じて、図12に示す関数を用いてαの値を決定する。このようにすれば、歌唱者に対して配信を受けるように促す効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】カラオケ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】楽曲データの構造を示す図である。
【図3】楽曲データに含まれるリファレンスデータトラックの内容を示す図である。
【図4】カラオケ装置の制御部が行う処理の流れを示す図である。
【図5】採点部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】採点処理の内容を説明するための図である。
【図7】採点処理の内容を説明するための図である。
【図8】採点処理の内容を説明するための図である。
【図9】減点加点率の算出方法を説明するための図である。
【図10】減点加点率の算出方法を説明するための図である。
【図11】採点処理の内容を説明するための図である。
【図12】採点処理の内容を説明するための図である。
【符号の説明】
【0057】
1…カラオケ装置、11…制御部、12…記憶部、13…表示部、14…操作部、15…マイクロホン、16…音声処理部、17…スピーカ、121…楽曲データ記憶領域、122…背景画データ記憶領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、歌唱(又は演奏)を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置においては、歌唱者の歌唱の巧拙を採点するための方法が種々提案されている。例えば、特許文献1においては、歌唱とそのお手本となるリファレンスを比較するにあたって、歌唱のタイミングとリファレンスのタイミングがずれている場合には、歌唱音声データとリファレンスデータを時間軸方向にずらして相互相関を求め、相互相関の最も高い位置で各音符について採点する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2005−107330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、テンポの速い楽曲を歌唱する場合には、ひとつひとつのノートの時間長が短いため、テンポが遅い楽曲よりも音程を合わせるのが困難である場合が多い。そこで、テンポコンを操作して楽曲をゆっくり再生すると、ひとつひとつのノートの時間長が長くなり音程を合わせるのが容易になる。そのため、テンポを遅くして歌唱した場合のほうが速いテンポのまま歌唱した場合よりも高得点がとれる場合が多く、同じ楽曲を歌唱した場合であっても、テンポの遅速によって採点結果に不公平が生じる場合があった。また、異なる楽曲を歌唱する場合においても、テンポの遅い楽曲のほうがテンポの速い楽曲よりも歌唱が容易であり高得点がでやすいため、楽曲によって採点結果に不公平が生じる場合があった。これは、楽器の演奏についても同様である。
本発明は上述した背景の下になされたものであり、歌唱(又は演奏)の採点において、従来と比較してより公平な採点を行うことのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の好適な態様である採点装置は、楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、前記楽曲のテンポを表すテンポ情報を取得する取得手段と、収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように採点を行う採点手段と、前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【0005】
また、本発明の好適な態様である採点装置は、楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行う採点手段であって、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う採点手段と、前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
上述の態様において、前記記憶手段は、前記楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶し、前記採点手段は、前記収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるとともに、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行ってもよい。
【0007】
また、上述の態様において、前記記憶手段は、前記楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータと該楽曲のテンポを表すテンポ情報とを対応付けて記憶し、前記取得手段は、前記読出手段により読み出されたリファレンスデータに対応するテンポ情報を前記記憶手段から読み出してもよい。
また、上述の態様において、前記取得手段は、利用者によって操作される操作手段から出力される操作信号に応じて前記テンポ情報を取得してもよい。
【0008】
また、上述の態様において、前記採点手段は、前記オーディオ信号と前記リファレンスデータとを前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行うとともに、前記ノート毎の採点結果を集計して総合採点を行ってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、歌唱(又は演奏)の採点において、従来と比較してより公平な採点を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<A:構成>
図1は、この発明の一実施形態であるカラオケ装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図において、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROM又は記憶部12に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、バスBUSを介してカラオケ装置1の各部を制御する。記憶部12は、制御部11によって実行されるコンピュータプログラムやその実行時に使用されるデータを記憶するための記憶手段であり、例えばハードディスク装置である。表示部13は、液晶パネルを備え、制御部11による制御の下に各種の画像を表示する。操作部14は、カラオケ装置1の利用者により操作される操作手段であり、カラオケ装置1の利用者によって操作された内容に応じた信号を制御部11に出力する。歌唱者は、操作部14を操作することによって、楽曲のテンポを変更することができる。制御部11は、操作部14から出力される操作信号に応じて、テンポの変更内容を表すテンポコン情報を取得し、取得したテンポコン情報に基づいて楽曲のテンポを変更する。
【0011】
マイクロホン15は、収音し、収音した音声を表すオーディオ信号(アナログ信号)を出力する収音手段である。音声処理部16は、マイクロホン15が出力するオーディオ信号(アナログ信号)をデジタルデータに変換する。また、音声処理部16は、デジタルデータをアナログ信号に変換してスピーカ17に出力する。スピーカ17は、音声処理部16でデジタルデータからアナログ信号に変換され出力されるオーディオ信号に応じた強度で放音する放音手段である。
【0012】
なお、この実施形態では、マイクロホン15とスピーカ17とがカラオケ装置1に含まれている場合について説明するが、音声処理部16に入力端子及び出力端子を設け、オーディオケーブルを介してその入力端子に外部マイクロホンを接続する構成としても良く、同様に、オーディオケーブルを介してその出力端子に外部スピーカを接続するとしても良い。また、この実施形態では、マイクロホン15から音声処理部16へ入力されるオーディオ信号及び音声処理部16からスピーカ17へ出力されるオーディオ信号がアナログオーディオ信号である場合について説明するが、デジタルオーディオデータを入出力するようにしても良い。このような場合には、音声処理部16にてA/D変換やD/A変換を行う必要はない。表示部13についても同様であり、外部出力端子を設け、外部モニタを接
続する構成としてもよい。
【0013】
カラオケ装置1の記憶部12は、図1に示すように、楽曲データ記憶領域121と、背景画データ記憶領域122とを有している。楽曲データ記憶領域121には、楽曲の伴奏音や歌詞を表す楽曲データが記憶されている。背景画データ記憶領域122には、カラオケ伴奏時に背景として表示される動画像を表す背景画データが記憶されている。
【0014】
ここで、楽曲データ記憶領域121に記憶された楽曲データの内容の一例について説明する。楽曲データは、図2に示すように、ヘッダと複数のトラックとを有しており、複数のトラックには、利用者が歌唱すべき旋律(ピッチ)の内容を表すリファレンスデータが記述されたリファレンスデータトラック、カラオケ演奏音の内容を表す演奏データが記述された演奏トラック、歌詞の内容を表す歌詞データが記述された歌詞トラックがある。また、ヘッダ部分には、図2に示すように楽曲を特定する曲番号データ、楽曲の曲名を示す曲名データ、ジャンルを示すジャンルデータ、楽曲の演奏時間を示す演奏時間データ、楽曲のデフォルトのテンポを示すテンポデータ(以下「楽曲テンポ情報」という)等が含まれている。以上の楽曲データは、MIDIフォーマットに従って記述されている。
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、「テンポコン情報」と「楽曲テンポ情報」とを各々区別する必要がない場合には、これらを「テンポ情報」と称して説明する。
【0015】
次に、リファレンスデータトラックに記述されているリファレンスデータの具体例について、図3を参照しつつ説明する。リファレンスデータは、模範となる音をノートの列で表すデータである。図3は行と列のマトリックスになっているので、まず、列について説明する。第1列のデルタタイムは、イベントとイベントとの時間間隔を示しており、テンポクロックの数で表される。デルタタイムが「0」の場合は、直前のイベントと同時に実行される。第2列には演奏データの各イベントが持つメッセージの内容が記述されている。このメッセージには、発音イベントを示すノートオンメッセージ(NoteOn)や消音イベントを示すノートオフメッセージ(NoteOff)の他、コントロールチェンジメッセージ等が含まれる。なお、図3に示す例では、コントロールチェンジメッセージは含まれていない。
【0016】
第3列にはチャネルの番号が記述されている。ここでは、説明の簡略のためリファレンスデータトラックのチャンネル番号を「1」としている。
第4列には、ノートナンバ(NoteNum)あるいはコントロールナンバ(CtrlNum)が記述されるが、どちらが記述されるかはメッセージの内容により異なる。例えば、ノートオンメッセージ又はノートオフメッセージであれば、ここには音階を表すノートナンバが記述され、またコントロールチェンジメッセージであればその種類を示すコントロールナンバが記述されている。
第5列にはMIDIメッセージの具体的な値(データ)が記述されている。例えばノートオンメッセージであれば、ここには音の強さを表すベロシティの値が記述され、ノートオフメッセージであれば、音を消す速さを表すベロシティの値が記述され、またコントロールチェンジメッセージであればコントロールナンバに応じたパラメータの値が記述されている。
【0017】
次に、図3に示す各行は、歌唱すべきメロディの各音符の属性を示す楽音パラメータとなっており、ノートオンイベント、ノートオフイベントで構成される。
図3に示す例では、デルタタイム480の長さを4分音符の長さとしている。この場合、第1行、第2行のイベント処理によりC4音が4分音符の長さにわたって発音されることが示され、第3行、第4行のイベント処理によりG4音が4分音符の長さにわたって発音されることが示される。そして、第5行、第6行の処理によりF4音が2分音符の長さにわたって発音されることが示される。
【0018】
利用者が楽曲指定操作を行うと、曲番号データを基にして、指定された楽曲データが楽曲データ記憶領域121から読み出され、RAMに転送される。制御部11がRAM内の楽曲データを順次読み出して処理することで楽曲の演奏が進行する。このとき、リファレンスデータも楽曲の進行と同期して読み出され、制御部11はリファレンスデータのノートとベロシティに応じてリファレンスピッチデータRPを生成する。
【0019】
一方、マイクロホン15に入力された歌唱者の音声は、歌唱音声信号となり、アンプ(図示略)を介してスピーカ17により出力されるとともに、音声処理部16に入力される。音声処理部16がこの歌唱音声信号S1をA/D変換した後、制御部11は、歌唱音声のピッチを抽出し、歌唱ピッチデータSPとして出力する。この場合、歌唱音声のピッチの抽出処理はおよそ11.6msごとに行われるようになっている。
【0020】
<B:動作>
図4は、カラオケ装置1の制御部11が行う処理の流れを示す図である。以下、図4を参照しつつ、この実施形態の動作について説明する。なお、図4において、伴奏再生部111、表示制御部112、ピッチ検出部113及び採点部114は、制御部11がROM又は記憶部12に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより実現される。なお、図中の矢印はデータの流れを概略的に示すものである。
【0021】
利用者が操作部14を用いて楽曲指定操作を行うと、指定された楽曲の楽曲データが楽曲データ記憶領域121からRAMへ転送される。伴奏再生部111は、RAM内の楽曲データのイベントを順次読み出すことによりカラオケ伴奏を行い、表示制御部112は、RAM内の楽曲データの歌詞データを順次読み出すことにより歌詞表示処理を実行する。具体的には、伴奏再生部111は、楽曲データの演奏トラックに記述されたイベントデータを音声処理部16に出力する。表示制御部112は、歌詞トラックの歌詞データを表示部13に出力する。この結果、カラオケ伴奏音がスピーカ17から出力される一方、歌詞データの表す歌詞が表示部13に表示される。
【0022】
歌唱者は、スピーカ17から放音される伴奏音に併せて歌唱する。歌唱者の歌唱音声はマイクロホン15によってオーディオ信号に変換され、音声処理部16でA/D変換される。ピッチ検出部113は、音声処理部16でA/D変換されたオーディオデータ(以下「歌唱音声データ」という)からピッチを抽出し、歌唱ピッチデータSPとして出力する。ピッチ検出部113で生成された歌唱ピッチデータSPは、採点部114へ出力される。
【0023】
次に、採点部114が行う採点処理について、図5に示すフローチャートを参照しつつ説明する。まず、採点部114は、リファレンスピッチデータRPと歌唱ピッチデータSPとをノート単位で比較し、両者の差分に応じてノート毎に採点を行う(ステップS1)。このとき、採点部114は、ノートの音長(相対的な音の時間長)に応じた採点を行う。より詳細には、採点部114は、リファレンスデータに含まれる各ノートのそれぞれについて、ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う。
【0024】
ここで、採点部114が行う採点処理の具体的な一例について、図6を参照しつつ説明する。図6(a),(b)は、ノート単位の採点処理の内容を説明するための図である。図6(a),(b)において、横軸は、1ノート内の歌唱ピッチの平均とリファレンスピッチとの差(以下「DCパラメータ値」という)を示し、縦軸は、1ノート内の歌唱ピッチの平均と歌唱ピッチとの差の平均(以下「ACパラメータ値」という)を示す。採点部114は、リファレンスデータに含まれる各ノートのそれぞれについて、各ノートに対応するリファレンスピッチデータRPと歌唱ピッチデータSPとから、ACパラメータ値とDCパラメータ値とを算出する。次いで、採点部114は、ACパラメータ値とDCパラメータ値との関係が、図6の領域P内に含まれるか否かを、ノート毎に判定する。DCパラメータ値とACパラメータ値との関係が図6の領域P内に含まれる場合には、採点部114は、そのノートについて減点する。一方、DCパラメータ値とACパラメータ値との関係が図6の領域P内に含まれない場合には、採点部114はそのノートについて加点を行う。
【0025】
このとき、採点部114は、各ノートの音長(相対的な音の時間長)に応じて異なる判定処理を行う。具体的には、採点部114は、ノートの音長が予め定められた閾値よりも長いか否かを判定し、音長が閾値よりも短いノートについては、図6(a)に示すグラフを用いて判定を行い、一方、音長が閾値よりも長いノートについては、図6(b)に示すグラフを用いて判定を行う。図6(a)に示すグラフと(b)に示すグラフとでは、図示のように、領域P内に含まれるか否かを判定するためのDCパラメータ値の閾値が異なっており、長いノートの判定に用いるグラフ(図6(b)に示すグラフ)のほうが領域Pの範囲が広くなっている。
【0026】
図6(a),(b)には、DCパラメータ値の閾値として、「45」と「35」とをそれぞれ示したが、採点部114は、図7に示すような、ノートの音長によって異なる閾値を用いて判定を行う。図7は、ノートの音長とDCパラメータ値の閾値との関係を示す図である。図において、横軸はノートの音長を示し、縦軸はDCパラメータ値の閾値の基準値(以下、単に「基準値」という)との差値を示す。図示のように、ノートの音長が長くなるほど、DCパラメータ値の基準値との差が大きくなるように設計されている。すなわち、ノートの音長が長くなるほど領域P(減点される領域)が大きくなり、採点基準が厳しくなる。このように、採点部114は、加点するか否かを判定するための領域Pを、ノートの音長が長くなるほど大きくすることで、ノートの音長が長いほど厳しく採点を行う。
【0027】
また、採点部114は、ノートについて減点を行う場合には、図8に示すような、ノートの時間長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎に重み付けを行って採点する。図8は、ノートの長さ(msec)と重み付け係数との対応関係を示す図である。図8において、横軸はノートの長さを示し、縦軸は重み付け係数の値を示す。図示のように、ノートの長さが長くなるほど、重み付け係数の値が大きくなる。採点部114は、ノートについて減点を行う際に、この図8に示す関係を参照して、ノート毎に重み付けを行って減点する。すなわち、採点部114は、ノートの長さが長いほど、減点度(減点率又は減点量)を大きくして、減点を行う。
【0028】
図5の説明に戻る。ノート単位での採点を終えると、採点部114は、楽曲が終了したか否かを判定し(ステップS2)、楽曲が終了したと判定した場合には(ステップS2;YES)、総合採点処理に進む一方、楽曲が終了していない場合には(ステップS2;NO)、次のノートの採点処理を続行する(ステップS1)。
【0029】
楽曲が終了したと判定した場合には(ステップS2;YES)、採点部114は、ノート単位の採点結果を集計して総合採点を行う(ステップS3)。次いで、採点部114は、歌唱者が楽曲のテンポを操作部14によって変更している場合に、テンポを遅くしているほど採点基準が厳しくなるように、テンポコン情報に応じて採点結果を修正する(ステップS4)。ステップS4の処理により、テンポコン情報の内容が採点結果に反映される。具体的には、採点部114は、楽曲が再生されている間、操作部14から出力される信号に応じたテンポコン情報を、記憶部12の所定の記憶領域に時系列に記憶する。次いで、制御部11は、この記憶領域に記憶された時系列のテンポコン情報を参照して、楽曲全体におけるテンポコン情報の平均値を算出し、算出した平均値に応じて減点加点率を算出する。次いで、採点部114は、算出した減点加点率を用いてテンポコン情報の内容を採点結果に反映する。
【0030】
ここで、ステップS4に示す処理の具体的な内容の一例について説明する。採点部114は、まず、カラオケ装置1の利用者が操作部14を操作することによって入力されるテンポコン情報用いて、楽曲全体におけるテンポコン情報の平均値(以下「平均テンポコン情報Ave」)を算出する。具体的には、採点部114は、1サンプルのテンポコン情報tci、1サンプル時間Δt、楽曲演奏時間Tを用いて、以下の(1)式によって平均テンポコン情報Aveを算出する。
【0031】
次いで、採点部114は、算出した平均テンポコン情報Aveから、楽曲の採点に対する減点加点率perを算出する。具体的には、採点部114は、図9に示す関係を用いて減点加点率perを算出する。図9は、平均テンポコン情報Aveと減点加点率perとの対応関係を示す図である。図において、横軸は平均テンポコン情報Aveの値を示し、縦軸は減点加点率perを示す。図において、例えば、平均テンポコン情報Aveの値が「7」である場合には、採点部114は、このグラフを参照して、減点加点率perを「+10」(%)と決定する。採点部114は、決定した減点加点率perを用いて、テンポコン情報の内容を採点結果に反映する。具体的には、採点部114は、算出した減点加点率perを用いて以下の(2)式により採点結果tpを修正する。
tp = tp * (100+per)/100 …(2)
以上の処理により、テンポコン情報の内容が採点結果に反映される。
【0032】
図5の説明に戻る。ステップS4の処理を終えると、次いで、採点部114は、楽曲データのヘッダに記述された楽曲テンポ情報を参照して、この楽曲テンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように、採点結果を更に修正する(ステップS5)。この処理は、楽曲のテンポが遅いほど音程を合わせるのが容易であることを考慮した処理である。まず、採点部114は、楽曲データのヘッダに記述された楽曲テンポ情報を参照して、各ノートのそれぞれについて、1ノート内の楽曲テンポ情報の平均値avkを算出する。なお、楽曲全体においてテンポが常に一定である場合には、楽曲テンポ情報をそのまま平均値avkとして用いればよい。次いで、採点部114は、楽曲内の各ノートの難易度xkを、各ノートの時間長ntkと、1ノート内の楽曲テンポ情報の平均値avkとを用いて、(3)式により算出する。なお、(3)式中の「280」はMIDIの最速のテンポである。
xk = ntk * (280 − avk) …(3)
【0033】
次いで、採点部114は、算出したノート毎の難易度xkを集計して、楽曲全体の難易度を算出する。より具体的には、採点部114は、ノート毎の難易度xkと、楽曲に含まれる総ノート数Nとを用いて、次の(4)式により楽曲全体の難易度txを算出する。
【0034】
次いで、採点部114は、図10に示すグラフを参照して減点加点率pを算出する。図10は、難易度txと減点加点率pとの対応関係を示す図である。図において、横軸は難易度txを示し、縦軸は減点加点率pを示す。次いで、採点部114は、決定した減点加点率pを用いて、曲の難易度を採点結果に反映させる。具体的には、採点部114は、算出した減点加点率pを用いて以下の(5)式により採点結果tpを修正する。
tp =tp *(100+p)/100 …(5)
図10に示すように、曲の難易度が低いほど減点率を大きくすることで、楽曲のテンポを採点結果に反映させることができる。
【0035】
このように、採点部114は、曲調がゆっくりである楽曲に対しては採点基準が厳しくなるように採点を行う(図5のステップS5)。同様にして、採点部114は、歌唱者が操作部14を用いてテンポを変更してテンポをゆっくりにした楽曲に対しても、採点結果が低くなるような採点を行う(図5のステップS4)。
【0036】
図5の説明に戻る。採点部114は、採点結果を示すデータを表示制御部112に出力する(ステップS6)。表示制御部112は、採点部114から供給されるデータに基づいて、採点結果を示す画像を表示部13に表示させる。歌唱者は、表示部13に表示される画面を参照することで、自身の歌唱の採点結果を確認することができる。
【0037】
ところで、カラオケ装置を用いて歌唱を行う場合には、テンポコンを操作して楽曲をゆっくり再生すると、ひとつひとつのノートが長くなり音程を合わせるのが容易になる。そのため、従来の装置では、楽曲をゆっくり再生した場合には、本来は高得点ではない歌唱でも高得点がとれてしまう。それに対しこの実施形態では、楽曲演奏時のテンポコン情報を常に記録し、時間で平均をした値から減点率を決定し、元の得点から減点を行うことによって、楽曲の速さを制御する値(テンポコン情報)を、採点結果に反映させる。このように、テンポコン情報を採点結果に反映させることにより、楽曲やユーザ操作(テンポコン)による歌唱難易度を調整し公平な採点を行うことができる。
【0038】
また、楽曲の速さによって高得点を取るための難易度が変わるが、この実施形態では、楽曲テンポ情報を用いて、楽曲毎の固有の難易度を計り調整することで、楽曲のテンポが遅いほど採点基準を厳しくして採点する。このようにすることにより、従来と比較して、各楽曲間の難易度調整の精度を向上させることができ、選択楽曲の採点に対する不公平感を減らすことができる。これにより、従来と比較して公平な採点を行うことができ、例えば、曲目に縛られないランキングゲームの運用が可能になる。
【0039】
また、この実施形態では、ノートの音長が長いほど採点基準を厳しくするから、これにより、人間が歌唱を聞いた感覚と得点との差分を軽減することができ、長いノートに対して音程がずれた場合の聴取者の聴感に合った採点を行うことができる。
【0040】
<C:変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態では、テンポの変更内容を示すテンポコン情報を、総合得点や音程判定に反映させるようにした。テンポコン情報を反映させる採点態様はこれに限らず、他の種々の採点項目に反映させてもよい。例えば、ビブラートやしゃくり、こぶし等の歌唱技法の巧拙や使用回数に応じて採点を行う際に、この採点項目にテンポコン情報の内容を反映させるようにしてもよい。
【0041】
また、上述の実施形態では、曲調がゆっくりである曲に対して採点結果を低くするようにした。同様にして、曲調が早い楽曲に対して採点結果を高くするようにしてもよい。
【0042】
また、上述の実施形態では、操作部14から出力される操作信号に応じたテンポコン情報や楽曲データのヘッダに記述された楽曲テンポデータを、テンポを表すテンポ情報として用いるようにし、制御部11が、操作部14又は楽曲データ記憶領域121からテンポ情報を取得するようにした。制御部11がテンポ情報を取得する態様はこれに限らず、例えば、制御部11が、再生されるカラオケ伴奏から所定の区切り(例えば小節毎の区切、等)を時系列に検出し、この検出結果からテンポを算出するようにしてもよく、要するに、制御部11がテンポに係る情報をテンポ情報として取得するようにすればよい。
【0043】
(2)上述の実施形態では、採点結果を表示部13に表示させることによって歌唱者に報知した。報知の態様はこれに限らず、例えば、音声メッセージを出力することによって報知してもよく、また、判定結果を示す情報を電子メール形式で歌唱者のメール端末に送信するという形態であってもよい。また、判定結果を示す情報を記憶端末に出力して記憶させるようにしてもよく、この場合、操作者はコンピュータを用いてこの記憶媒体から情報を読み出させることで、それらを参照することができる。また、判定結果を所定の用紙に印刷出力してもよい。要は歌唱者に対して何らかの手段でメッセージ乃至情報を伝えられるように、評価結果を示す情報を出力するものであればよい。
【0044】
(3)上述の実施形態において、歌唱音声の比較対象となるリファレンスデータは、例えば楽曲のガイドメロディを表すデータであってもよく、また、楽曲の模範となる歌唱音声を表すデータであってもよく、楽曲の模範となる音を表すデータであればよい。
【0045】
(4)上述の実施形態では、歌唱者の歌唱音声をリアルタイムで解析するようにしたが、必ずしもリアルタイムで解析する必要はなく、例えば記憶部に予め記憶されたオーディオ信号を解析するようにしてもよい。また、例えば、インターネット等の通信ネットワークを介してデータ伝送を行うための通信部をカラオケ装置1に設ける構成とし、通信ネットワークを介してオーディオ信号を受信し、受信したオーディオ信号を解析するようにしてもよい。
【0046】
(5)上述の実施形態では、制御部11が、楽曲データ記憶領域121に記憶された楽曲データに含まれるリファレンスデータからリファレンスピッチデータRPを生成するが、これに代えて、模範となる楽音のピッチを表すリファレンスピッチデータを予め記憶部12に記憶しておくようにしてもよい。
【0047】
(6)上述の実施形態では、歌唱者の歌唱音声とリファレンスデータとを比較したが、歌唱者の歌唱音声に変えて、演奏者による楽器の演奏音とリファレンスデータとを比較してもよい。本実施形態にいう「音声」には、人間が発生した音声や楽器の演奏音といった種々の音響が含まれる。
【0048】
(7)上述の実施形態では、カラオケ装置1が本実施形態に係る全ての処理を実行するようになっていた。これに対し、通信ネットワークで接続された2以上の装置が上記実施形態に係る機能を分担するようにし、それら複数の装置を備えるシステムが同実施形態のカラオケ装置1を実現するようにしてもよい。例えば、マイクロホンやスピーカ、表示装置及び操作部等を備えるコンピュータ装置と、採点処理を実行するサーバ装置とが通信ネットワークで接続されたシステムとして構成されていてもよい。この場合は、例えば、コンピュータ装置が、マイクロホンで収音された音声をオーディオ信号に変換してサーバ装置に送信し、サーバ装置が、受信したオーディオ信号を解析して採点し、採点結果をコンピュータ装置に送信してもよい。
【0049】
(8)上述した実施形態におけるカラオケ装置1の制御部11によって実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、RAM、ROMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。また、インターネットのようなネットワーク経由でカラオケ装置1にダウンロードさせることも可能である。
【0050】
(9)上述の実施形態では、制御部11がテンポコン情報の内容を(2)式を用いて採点結果に反映させるようにしたが、テンポコン情報の内容を採点結果に反映させる態様はこれに限らず、要は、制御部11が、テンポコン情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように、テンポコン情報を採点結果に反映させるものであればどのようなものであってもよい。具体的には、例えば、制御部11が、次の(6)式を用いてテンポコン情報の内容を採点結果に反映させるようにしてもよい。
tp = tp * (100+per+α)/100 …(6)
【0051】
また、上述の実施形態では、制御部11が楽曲テンポ情報を(5)式を用いて採点結果に反映させるようにしたが、楽曲テンポ情報を採点結果に反映させる態様はこれに限らず、要は、楽曲テンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように、楽曲テンポ情報を採点結果に反映させるものであればどのようなものであってもよい。具体的には、例えば、制御部11が次の(7)式を用いて楽曲テンポ情報の内容を採点結果に反映させるようにしてもよい。
tp =tp *((100+p+α)/100) …(7)
【0052】
(6)式又は(7)式において、例えば、制御部11がαの値を楽曲の種別により決定するようにしてもよい(例えば、楽曲の種別が演歌の場合はα=−5,ポップスの場合はα=0,童謡の場合はα=−10、等)。このようにすることで、元のテンポが遅い曲が多い演歌や歌いやすい曲が多い童謡では難しくする事で得点バランスをコントロールすることができる。
【0053】
また、(6)式又は(7)式において、制御部11が歌唱者の年齢によってαの値を決定するようにしてもよい。具体的には、例えば、制御部11が図11に示すような関数を用いてαの値を決定してもよい。図11において、横軸は歌唱者の年齢を示し、縦軸はαの値を示す。この場合、歌唱者は、操作部14を用いて自身の年齢を入力する操作を行う。制御部11が、操作部14から出力される操作信号に応じて歌唱者の年齢を示す年齢情報を取得し、取得した年齢情報から図11に示す関数を用いてαの値を決定する。このように歌唱者の年齢を用いてαの値を決定することで、例えば、子供や年配者に対してやさしい採点を行うことができる。
【0054】
また、例えば、(6)式又は(7)式において、歌唱者の誕生日をαの値に反映させるようにしてもよい。具体的には、例えば、制御部11が、歌唱者の誕生日の場合にはα=0とし、誕生日以外の日の場合にはα=10とするようにしてもよい。この場合は、歌唱者は、操作部14を用いて自身の誕生日を入力する操作を行い、制御部11は、操作部14からの操作信号に応じて、その日付が入力された誕生日と一致する場合に、それ以外の場合よりも採点結果が高くなるように採点結果を修正する。このようにすることで、誕生日の人に対してやさしい採点を行うことができる。
【0055】
また、例えば、(6)式又は(7)式において、制御部11が端末への配信状態に応じてαの値を決定するようにしてもよい。具体的には、例えば、変形例(7)に示すような、コンピュータ装置(端末)とサーバ装置とが通信ネットワークで接続されたシステムにおいて、サーバ装置が、端末への最終配信から何週経過したかによって、図12に示すような関数を用いてαの値を決定してもよい。図12において、横軸は最終配信から経過した週を示し、縦軸はαの値を示す。この場合、サーバ装置は、端末毎に最終配信日を記憶しておき、最終配信日から何週経過したかに応じて、図12に示す関数を用いてαの値を決定する。このようにすれば、歌唱者に対して配信を受けるように促す効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】カラオケ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】楽曲データの構造を示す図である。
【図3】楽曲データに含まれるリファレンスデータトラックの内容を示す図である。
【図4】カラオケ装置の制御部が行う処理の流れを示す図である。
【図5】採点部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】採点処理の内容を説明するための図である。
【図7】採点処理の内容を説明するための図である。
【図8】採点処理の内容を説明するための図である。
【図9】減点加点率の算出方法を説明するための図である。
【図10】減点加点率の算出方法を説明するための図である。
【図11】採点処理の内容を説明するための図である。
【図12】採点処理の内容を説明するための図である。
【符号の説明】
【0057】
1…カラオケ装置、11…制御部、12…記憶部、13…表示部、14…操作部、15…マイクロホン、16…音声処理部、17…スピーカ、121…楽曲データ記憶領域、122…背景画データ記憶領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、
前記楽曲のテンポを表すテンポ情報を取得する取得手段と、
収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように採点を行う採点手段と、
前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段と
を具備することを特徴とする採点装置。
【請求項2】
楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、
収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行う採点手段であって、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う採点手段と、
前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段と
を具備することを特徴とする採点装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶し、
前記採点手段は、前記収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるとともに、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の採点装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータと該楽曲のテンポを表すテンポ情報とを対応付けて記憶し、
前記取得手段は、前記読出手段により読み出されたリファレンスデータに対応するテンポ情報を前記記憶手段から読み出す
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の採点装置。
【請求項5】
前記取得手段は、利用者によって操作される操作手段から出力される操作信号に応じて前記テンポ情報を取得する
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の採点装置。
【請求項6】
前記採点手段は、前記オーディオ信号と前記リファレンスデータとを前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行うとともに、前記ノート毎の採点結果を集計して総合採点を行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の採点装置。
【請求項7】
楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータを記憶する記憶手段を備えるコンピュータを、
前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、
前記楽曲のテンポを表すテンポ情報を取得する取得手段と、
収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように採点を行う採点手段と、
前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段
として機能させるプログラム。
【請求項8】
楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶する記憶手段を備えるコンピュータを、
前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、
収音手段から供給されるオーディオ信号と前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行う採点手段であって、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う採点手段と、
前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段
として機能させるプログラム。
【請求項1】
楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、
前記楽曲のテンポを表すテンポ情報を取得する取得手段と、
収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように採点を行う採点手段と、
前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段と
を具備することを特徴とする採点装置。
【請求項2】
楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、
収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行う採点手段であって、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う採点手段と、
前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段と
を具備することを特徴とする採点装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶し、
前記採点手段は、前記収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるとともに、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の採点装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータと該楽曲のテンポを表すテンポ情報とを対応付けて記憶し、
前記取得手段は、前記読出手段により読み出されたリファレンスデータに対応するテンポ情報を前記記憶手段から読み出す
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の採点装置。
【請求項5】
前記取得手段は、利用者によって操作される操作手段から出力される操作信号に応じて前記テンポ情報を取得する
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の採点装置。
【請求項6】
前記採点手段は、前記オーディオ信号と前記リファレンスデータとを前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行うとともに、前記ノート毎の採点結果を集計して総合採点を行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の採点装置。
【請求項7】
楽曲の模範となる音を表すリファレンスデータを記憶する記憶手段を備えるコンピュータを、
前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、
前記楽曲のテンポを表すテンポ情報を取得する取得手段と、
収音手段から供給されるオーディオ信号と前記読出手段により読み出されたリファレンスデータとを比較し、両者の差分に応じて採点を行う採点手段であって、前記取得手段により取得されたテンポ情報の示すテンポが遅いほど採点基準が厳しくなるように採点を行う採点手段と、
前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段
として機能させるプログラム。
【請求項8】
楽曲の模範となる音をノートの列で表すリファレンスデータを記憶する記憶手段を備えるコンピュータを、
前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータを読み出す読出手段と、
収音手段から供給されるオーディオ信号と前記記憶手段に記憶されたリファレンスデータとを、前記ノート毎に比較し、両者の差分に応じて前記ノート毎に採点を行う採点手段であって、前記ノートの音長が長いほど採点基準が厳しくなるようにノート毎の採点を行う採点手段と、
前記採点手段による採点結果を示すデータを出力する出力手段
として機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−104097(P2009−104097A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6141(P2008−6141)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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