説明

採血管理システムおよび採取血液収納容器

【課題】 患者と採血管と検査依頼書との対応付けを確実に行う。
【解決手段】 採血室に到着した患者の携帯する患者カード16が採血部30のICカードリーダ31により読み取られて当該患者の被採血者情報が取得され、病院サーバ装置40のCPU41は、その被採血者情報に対応付けて設定されている検査依頼情報をモニタ32に表示する。採血作業者は、その検査依頼情報を見て採血管を選択する。採血作業者は、バーコードリーダ33によって選択した採血管の採血管情報を読み取らせる。病院サーバ装置40のCPU41は、採血が無事終了すると、採血管情報に対応付けて、被採血者情報および検査依頼情報をHD装置42に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被採血者に関する被採血者情報などの採血に関連する情報を効率良く確実に管理する採血管理システムおよびそのシステムに用いられる採取血液収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院その他の医療機関では、患者が訴える症状に基づき所定の血液検査を行い、その検査結果に基づき患者の診断を確定することがよく行われる。例えば病院の採血室で患者から採取された血液は、採血管と呼ばれる容器に収納される。そして、血液検査を行うために、行うべき検査内容を記載した検査依頼書が採血管とともに、院内の検査部門または院外の検査センターなどの検査機関に送られる。そして、検査機関は、送られてきた採血管と検査依頼書とを照合し、その採血管内の血液について検査依頼書で指示されている所定の血液検査を行い、その検査結果を病院側に報告するようにしている。したがって、患者と採血管と検査依頼書とが確実に対応付けられている必要があり、これらの間での対応に一部でも誤りがあると、採血のやり直しが必要となって患者の負担を増大したり、最悪の場合には患者の誤診を招いてしまうこととなる。そこで、従来、患者と採血管と検査依頼書との間での対応ミスを未然に防止するようにしたものが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。この特許文献1には、予め採血管に貼り付けられている同一コードを含む2枚のラベルのうち1枚を剥離して検査依頼書の所定欄に貼り付け、これらのラベルを読み取ることにより採血管と検査依頼書との一致を照合するようにした点が記載されている。また、特許文献2には、少なくとも容器種類および管理番号などをコード化したバーコードを透明体により形成したラベルが貼り付けられた採血管が記載されており、この採血管と検査依頼書との対応付けは、両者にバーコードを付することによって行い得る旨が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特許3226750号公報(段落0030〜0033)
【特許文献2】特開平9−34361号公報(段落0016,0020)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の特許文献1,2に記載のシステムでは、採血管に貼り付けられているラベルを剥離して検査依頼書の所定欄に貼り付けたり、採血管と同一のバーコードを検査依頼書に付するなどの作業が必要となっている。しかしながら、このような作業を必要とするシステムでは、特に大病院では作業件数が膨大なものになるため、作業者の錯誤による人為的なミスが生じることは避けられない。その結果、採血のやり直しや患者の誤診を招くこととなってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、検査依頼書へのラベルなどの貼付作業を不要にして人為的なミスが生じる虞をなくすことにより、患者と採血管と検査依頼書との対応付けを確実に行うことが可能な採血管理システムおよびそのシステムに用いられる採取血液収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる採血管理システムは、複数種類の情報を含む採血管情報が読取可能に形成された複数の採血管と、前記採血管情報を読み取る採血管情報読取手段と、被採血者に関する被採血者情報を記録した情報記録体を作成する作成手段と、前記被採血者情報に対応して必要な血液検査項目からなる検査依頼情報を設定する設定手段と、当該被採血者の前記被採血者情報及びこれに対応して設定された前記検査依頼情報を取得し、採血作業者により選択された前記採血管の前記採血管情報が、採血に際して前記採血管情報読取手段により読み取られたときに、読み取られた前記採血管情報を基に、取得した当該被採血者の前記被採血者情報と前記検査依頼情報とを一元管理する管理手段とを備えることを特徴としている(請求項1)。
【0007】
また、当該被採血者の前記情報記録体に記録された前記被採血者情報を読み取る情報記録体読取手段と、前記情報記録体読取手段により読み取られた前記被採血者情報に対応して設定された前記検査依頼情報を報知する報知手段とをさらに備え、前記報知手段により報知される前記検査依頼情報に基づき、採血作業者により前記採血管が選択されるとしてもよい(請求項2)。
【0008】
また、前記採血管情報読取手段により読み取られた採血済みの前記採血管の前記採血管情報に対応する前記検査依頼情報を前記管理手段より取得し、取得した前記検査依頼情報にしたがって前記採血管内の血液に対する血液検査を行って、その結果を表す検査結果情報を形成する検査手段をさらに備え、前記管理手段は、前記採血管情報を基に、当該検査依頼情報に対応した前記検査結果情報をさらに一元管理するとしてもよい(請求項3)。
【0009】
また、第1のサーバ装置に対して複数の第1の端末装置がネットワークを介して接続されたシステムであって、前記第1のサーバ装置が、前記管理手段を備え、前記第1の端末装置として、前記採血管情報読取手段と前記作成手段と前記設定手段とが、それぞれネットワークを介して前記第1のサーバ装置に接続されているとしてもよい(請求項4)。
【0010】
また、前記第1の端末装置として、さらに、当該被採血者の前記情報記録体に記録された前記被採血者情報を読み取る情報記録体読取手段と、前記情報記録体読取手段により読み取られた前記被採血者情報に対応して設定された前記検査依頼情報を報知する報知手段とが、それぞれネットワークを介して前記第1のサーバ装置に接続されており、前記報知手段により報知される前記検査依頼情報に基づき、採血作業者により前記採血管が選択されるとしてもよい(請求項5)。
【0011】
また、前記第1の端末装置として、さらに、前記採血管情報読取手段により読み取られた採血済みの前記採血管の前記採血管情報に対応する前記検査依頼情報を前記管理手段より取得し、取得した前記検査依頼情報にしたがって前記採血管内の血液に対する血液検査を行って、その結果を表す検査結果情報を形成する検査手段が、ネットワークを介して前記第1のサーバ装置に接続されており、前記管理手段は、前記採血管情報を基に、当該検査依頼情報に対応した前記検査結果情報をさらに一元管理するとしてもよい(請求項6)。
【0012】
また、第2のサーバ装置に対して複数の第2の端末装置がネットワークを介して接続されるとともに、前記第1のサーバ装置と前記第2のサーバ装置とが通信回線を介して接続可能に構成されたシステムであって、前記第2の端末装置として、前記採血管の前記採血管情報を読み取る院外読取手段と、前記院外読取手段により読み取られた採血済みの前記採血管の前記採血管情報に対応する前記検査依頼情報を前記管理手段より取得可能で、取得した前記検査依頼情報にしたがって前記採血管内の血液に対する血液検査を行って、その結果を表す検査結果情報を形成する院外検査手段とが、それぞれネットワークを介して前記第2のサーバ装置に接続されており、前記院外検査手段は、前記第2のサーバ装置を介して前記第1のサーバ装置から前記検査依頼情報を取得し、前記管理手段は、前記第2のサーバ装置を介して前記院外検査手段から前記検査結果情報を取得するとしてもよい(請求項7)。
【0013】
また、前記採血管情報は、各々の前記採血管を相互に識別するための識別情報と、各々の前記採血管を使用する医療機関を相互に識別するための医療機関情報とを含むとしてもよい(請求項8)。
【0014】
また、前記採血管情報は、各々の前記採血管を相互に識別するための識別情報と、当該採血管の種別を表す種別情報と、当該採血管の有効期限を表す期限情報とを含むとしてもよい(請求項9)。
【0015】
また、前記採血管情報は、前記採血管の表面または内周面にバーコードとして表示されているとしてもよい(請求項10)。
【0016】
また、前記バーコードの周囲の所定領域が所定の色に着色されているとしてもよい(請求項11)。
【0017】
また、前記採血管情報は、記憶内容が外部から読み取り可能な記憶手段に記憶されているとしてもよい(請求項12)。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明にかかる採取血液収納容器は、請求項1ないし12のいずれかに記載の採血管理システムに用いられる採取血液収納容器であって、管本体と、該管本体の開口を封止する封止体とを備え、複数種類の情報を含む容器情報が外部から読取可能に形成されることを特徴としている(請求項13)。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、採血作業者により選択された採血管の採血管情報が、採血に際して採血管情報読取手段により読み取られたときに、読み取られた採血管情報を基に、取得した当該被採血者の被採血者情報と検査依頼情報とを一元管理しているため、ラベル貼付などの人手による作業を必要としないことから、採血管と被採血者情報と検査依頼情報との対応付けを確実に行うことができる。
【0020】
また、請求項2の発明によれば、当該被採血者の情報記録体に記録された被採血者情報を読み取り、読み取られた被採血者情報に対応して設定された検査依頼情報を報知し、報知される検査依頼情報に基づき、採血作業者により採血管が選択されるため、採血管の適正な選択を確実に行うことができる。
【0021】
また、請求項3の発明によれば、採血管情報を基に、検査依頼情報に対応した検査結果情報をさらに一元管理するため、採血管と被採血者情報と検査依頼情報と検査結果情報との対応付けを確実に行うことができる。
【0022】
また、請求項4の発明によれば、第1のサーバ装置が、管理手段を備え、第1の端末装置として、採血管情報読取手段と作成手段と設定手段とが、それぞれネットワークを介して第1のサーバ装置に接続されているため、管理手段は、採血管情報読取手段と作成手段と設定手段とから離れた位置に設けられていても、採血管情報読取手段が読み取った採血管情報をネットワークを介して取得できるとともに、その採血管情報を基に、作成手段が作成した情報記録体に記録された被採血者情報と、設定手段が設定した検査依頼情報とをネットワークを介して取得することができる。
【0023】
また、請求項5の発明によれば、第1の端末装置として、さらに、情報記録体読取手段と報知手段とが、それぞれネットワークを介して第1のサーバ装置に接続されており、報知手段により報知される検査依頼情報に基づき、採血作業者により採血管が選択されるため、情報記録体読取手段と報知手段とが管理手段から離れた位置に設けられていても、採血管の適正な選択を確実に行うことができる。
【0024】
また、請求項6の発明によれば、第1の端末装置として、さらに、検査手段が、ネットワークを介して第1のサーバ装置に接続されており、管理手段は、採血管情報を基に、当該検査依頼情報に対応した検査結果情報をさらに一元管理するため、検査手段が管理手段から離れた位置に設けられていても、採血管と被採血者情報と検査依頼情報と検査結果情報との対応付けを確実に行うことができる。
【0025】
また、請求項7の発明によれば、第2の端末装置として、院外読取手段と院外検査手段とが、それぞれネットワークを介して第2のサーバ装置に接続されており、管理手段は第2のサーバ装置を介して院外検査手段から検査結果情報を取得するため、院外の検査機関で得られた検査結果情報を通信回線を介して確実に取得し、その取得した検査結果情報を採血管情報を基に一元管理することで、採血管と被採血者情報と検査依頼情報と検査結果情報との対応付けを確実に行うことができる。
【0026】
また、請求項8の発明によれば、採血管情報は、各々の採血管を相互に識別するための識別情報と、各々の採血管を使用する医療機関を相互に識別するための医療機関情報とを含むため、院外読取手段により採血管情報を読み取ることにより、各々の採血管を確実に識別するとともに、その採血管を使用する医療機関を確実に識別することができる。
【0027】
また、請求項9の発明によれば、採血管情報は、各々の採血管を相互に識別するための識別情報と、当該採血管の種別を表す種別情報と、当該採血管の有効期限を表す期限情報とを含むため、採血管情報を読み取ることにより、各々の採血管を確実に識別するとともに、その採血管の種別が適正か否かを判定し、有効期限内のものであるか否かを判定することができる。
【0028】
また、請求項10の発明によれば、採血管情報は、採血管の表面または内周面にバーコードとして表示されているため、バーコードリーダにより採血管情報を簡単かつ確実に読み取ることができる。
【0029】
また、請求項11の発明によれば、バーコードの周囲の所定領域が所定の色に着色されているため、採血作業者に注意を促すことができる。
【0030】
また、請求項12の発明によれば、採血管情報は、記憶内容が外部から読み取り可能な記憶手段に記憶されているため、当該記憶手段の記憶内容を非接触で読み取る読取手段を備えることにより、採血管情報を簡単かつ確実に読み取ることができる。
【0031】
また、請求項13の発明によれば、管本体と、該管本体の開口を封止する封止体とを備え、複数種類の情報を含む容器情報が外部から読取可能に形成されているため、請求項1ないし12のいずれかに記載の採血管理システムに好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
<第1実施形態>
図1は本発明にかかる採血管理システムの第1実施形態である電子カルテシステムを示すブロック図、図2は患者カードの模式図、図3は本発明にかかる採取血液収納容器の一実施形態である採血管を示す図である。この図1は、病院の電子カルテシステム1を示しており、外来患者の受付を行う受付カウンタに設けられた受付部10と、診療科に対応して患者の診察を行う診察室に設けられた診察部20と、患者から採血を行う採血室に設けられた採血部30と、血液検査を行う検査部70と、システム全体を統括する病院サーバ装置40とを備えている。受付部10、診察部20、採血部30、検査部70と、病院サーバ装置40とは、互いに無線または有線のネットワーク2を介して接続されている。
【0033】
なお、診察部20は診療科に対応して設けられるもので、図1では1つの診察部20のみを図示しているが、1つに限られず、例えば内科や外科などの複数の診療科がある場合には、各診療科に対応してそれぞれ設けられるものである。また、図1では1つの受付部10のみを図示しているが、これも同様であり、例えば受付カウンタに複数の受付部10を設けるようにしてもよい。また、検査部70の詳細については後述する。
【0034】
病院サーバ装置40は、電子カルテシステム1の各部の制御を行うCPU41と、種々のデータを保存するためのハードディスク(HD)装置42と、CPU41の動作を制御する制御プログラムが格納されたROM43とを備えている。CPU41の機能については後述する。
【0035】
受付部10は、初診や再診の外来患者の受付を行うためのものである。受付担当者は、外来患者が初診の場合には、モニタ11を見ながらキーボード12を操作して、当該初診の外来患者の氏名、性別、住所、生年月日などを含む患者特定情報を作成するとともに、患者の希望する診療科を入力し、その患者特定情報が記録された患者カード16を作成する。この患者特定情報は、本発明の「被採血者情報」に相当するものであり、以下「被採血者情報」という。患者カード16は、この実施形態では例えば図2に示すようにICチップ17が組み込まれたメモリカードで、ICカードリーダライタ13により被採血者情報をICチップ17に書き込むことで、その外来患者専用の患者カード16が作成される。また、受付担当者は、外来患者が再診の場合には、その外来患者が所持する患者カード16の被採血者情報をICカードリーダライタ13により読み取って当該患者の電子カルテをモニタ11に表示し、キーボード12を操作して、当該患者が希望する診療科を電子カルテに記入することによって、再診の外来患者の受付を行う。この電子カルテシステム1では、病院内を移動する患者は常に患者カード16を携帯するようになっている。
【0036】
そして、病院サーバ装置40のCPU41は、受付部10において受付が行われた患者の被採血者情報に基づき、初診の外来患者の電子カルテを作成してHD装置42に保存する。また、病院サーバ装置40のCPU41は、受付部10において受付が行われた初診または再診の外来患者の電子カルテを、当該患者が希望する診療科に対応する診察部(ここでは診察部20とする)に送る。
【0037】
診察部20では、担当医師が、モニタ21を見ながらキーボード22を操作し、順番に患者の電子カルテをモニタ21に表示させて患者の氏名を呼び出す。呼ばれて入室した患者の患者カード16がICカードリーダ23により読み取られ、同姓同名の異なる患者ではないことが確認される。担当医師は、患者の診察を行い、血液検査が必要と判断したときは、キーボード22を操作して必要な検査項目(例えば脂質検査や肝機能検査など)からなる検査依頼情報を電子カルテに書き込む。これによって、検査依頼情報が、被採血者情報と対応付けられて設定されることとなる。そして、病院サーバ装置40のCPU41は、検査依頼情報が書き込まれた電子カルテをHD装置42に保存する。血液検査が指示された患者は、診察部20が設けられた診察室から採血部30が設けられた採血室に移動する。
【0038】
患者が採血室に到着すると、まず、その患者の携帯する患者カード16が採血部30のICカードリーダ31により読み取られて当該患者の被採血者情報が取得され、病院サーバ装置40のCPU41は、その被採血者情報に対応付けて設定されている検査依頼情報をモニタ32に表示する。採血作業者は、その検査依頼情報を見て必要な種別の採血管50を必要な個数だけ選択する。
【0039】
採血管50は、図3に示すように、管本体51と、管本体51の開口を封止する封止体としての蓋52とを備えており、この実施形態では、採血管50は特定の検査機関から配布されたものが用いられる。採血管50の管本体51の表面には、ラベル53が貼り付けられており、このラベル53には、採血管50ごとに異なる採血管情報60が予め印刷されている。この採血管情報60は、この実施形態では例えばEAN−128規格のバーコードで表されており、採血管50の配布先である各医療機関を相互に識別するための医療機関情報61と、各々の採血管50を相互に識別するための固有の識別情報62と、当該採血管50の種別を表す種別情報63と、当該採血管50の有効期限を表す期限情報64とを含んでいる。
【0040】
医療機関情報61は、採血管50の配布先である各医療機関を相互に識別するためのもので、この実施形態では、上記検査機関が取引のある病院や診療所その他の医療機関ごとに特定のコードを予め設定している。識別情報62は、各々の採血管50を相互に識別するためのもので、この実施形態では、医療機関情報61ごとに通し番号で設定している。なお、識別情報62に用いる通し番号が最大値に達したときは、再び“1”から繰り返して用いればよい。このため、通し番号の最大値は、識別情報62として通し番号が重複して使用されるおそれがないような大きい値に設定しておく必要がある。種別情報63は、当該採血管50の種別を表すものである。すなわち、採血管には血液検査項目によって様々な種別があり、この実施形態では、上記検査機関がそれらの種別ごとに特定のコードを予め設定している。この種別情報63を表示しておくことにより、使用する採血管50の種別の誤認を未然に防止できる。期限情報64は、当該採血管50の有効期限を表すものである。すなわち、特定の血液検査項目に用いる採血管50には薬剤が封入されているため、その薬剤の有効期限が設定されている。また、薬剤が封入されていなくても、あまりに古い採血管を用いるのは好ましくない。そこで、この期限情報64を表示しておくことにより、期限切れの採血管50を使用するのを未然に防止できる。
【0041】
そして、採血作業者は、バーコードリーダ33によって、選択した採血管50の採血管情報60を読み取らせる。病院サーバ装置40のCPU41は、バーコードリーダ33により読み取られた採血管情報60を取得し、現在の日時と期限情報64の有効期限とを比較して、その採血管50が有効期限内か否かを判定し、その判定結果をモニタ32に表示する。すなわち有効期限内であれば例えば「○」マークの有効表示を行うとともに、その採血管情報60をHD装置42に保存し、期限切れであれば例えば「×」マークの警告表示を行う。警告表示が行われると、採血作業者は、その採血管50と同一種別の異なる採血管50を改めて選択し、バーコードリーダ33によって、その改めて選択した採血管50の採血管情報60を読み取らせる。そして、全ての採血管50が例えば「○」マークの有効表示が行われると患者から採血を行い、採血が無事終了して、その旨をキーボード34から入力すると、病院サーバ装置40のCPU41は、例えば図4に示すように、採血管情報60に対応付けて、被採血者情報および検査依頼情報をHD装置42に記憶する。
【0042】
図4はHD装置42に記憶される情報記憶内容の一例を示す図である。図4の例では、被採血者情報B1の患者に対して、1本の採血管50を必要とする検査依頼情報C1と、2本の採血管50を必要とする検査依頼情報C2との2種類の検査依頼情報が設定されており、採血管情報A1〜A3を有する合計3本の採血管50が用いられる。また、被採血者情報B2の患者に対して、それぞれ1本の採血管50を必要とする検査依頼情報C1,C3の2種類の検査依頼情報が設定されており、採血管情報A4、A5を有する2本の採血管50が用いられる。また、被採血者情報B3の患者に対して、1本の採血管50を必要とする検査依頼情報C1の1種類の検査依頼情報が設定されており、採血管情報A6を有する1本の採血管50が用いられる。また、被採血者情報B4の患者に対して、1本の採血管50を必要とする検査依頼情報C3の1種類の検査依頼情報が設定されており、採血管情報A7を有する1本の採血管50が用いられる。そして、図4に示すように、HD装置42には、採血管情報A1に被採血者情報B1および検査依頼情報C1が対応付けられて記憶され、採血管情報A2,A3に、それぞれ被採血者情報B1および検査依頼情報C2が対応付けられて記憶される。また、採血管情報A4に被採血者情報B2および検査依頼情報C1が対応付けられて記憶され、採血管情報A5に被採血者情報B2および検査依頼情報C3が対応付けられて記憶される。また、採血管情報A6に被採血者情報B3および検査依頼情報C1が対応付けられて記憶され、採血管情報A7に被採血者情報B4および検査依頼情報C3が対応付けられて記憶される。
【0043】
このように、この第1実施形態では、バーコードリーダ33が本発明の「採血管情報読取手段」に相当し、受付部10が本発明の「作成手段」に相当し、診察部20が本発明の「設定手段」に相当し、病院サーバ装置40のCPU41が本発明の「管理手段」に相当し、患者カード16が本発明の「情報記録体」に相当し、ICカードリーダ31が本発明の「情報記録体読取手段」に相当し、モニタ32が本発明の「報知手段」に相当する。また、病院サーバ装置40が本発明の「第1のサーバ装置」に相当し、受付部10、診察部20、バーコードリーダ33が本発明の「第1の端末装置」に相当する。
【0044】
図5は受付処理の手順の一例を示すフローチャート、図6は診察処理の手順の一例を示すフローチャート、図7は採血処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0045】
図5に示すように、受付カウンタにおける受付処理では、まず、外来患者が初診の場合には(ステップ#10でYES)、被採血者情報が作成され(ステップ#11)、さらに患者の希望する診療科が入力されて(ステップ#12)、電子カルテが作成されてHD装置42に記憶される(ステップ#13)。また、ICカードリーダライタ13により被採血者情報がICチップ17に書き込まれて患者カード16が作成される(ステップ#14)。そして、患者が希望する診療科の診察部20に向けて病院サーバ装置40のCPU41により電子カルテが送信される(ステップ#15)。一方、外来患者が再診の場合には(ステップ#10でNO)、その外来患者が所持する患者カード16の被採血者情報をICカードリーダライタ13により読み取り(ステップ#16)、当該患者が希望する診療科が電子カルテに記入され(ステップ#17)、その診療科の診察部20に向けて病院サーバ装置40のCPU41により電子カルテが送信される(ステップ#15)。
【0046】
図6に示すように、診察室における診察処理では、まず、担当医師によりモニタ21に順番に患者の電子カルテが表示されて患者の氏名が呼び出され(ステップ#20)、入室した患者の患者カード16がICカードリーダ23により読み取られて同姓同名の異なる患者ではないことが確認されて(ステップ#21)、患者の診察が開始される(ステップ#22)。そして、血液検査が必要と判断したときは検査依頼情報が電子カルテに書き込まれて(ステップ#23)、その患者の診察が終了する。
【0047】
図7に示すように、採血室における採血処理では、まず、採血室に到着した患者の携帯する患者カード16が採血部30のICカードリーダ31により読み取られ、その読み取られた当該患者の被採血者情報をCPU41が取得する(ステップ#30)。そして、その被採血者情報に対応する電子カルテをCPU41がモニタ32に表示することにより、設定されている検査依頼情報が表示される(ステップ#31)。そして、採血作業者は、その検査依頼情報を見て必要な種別の採血管50を必要な個数だけ選択し(ステップ#32)、それらの採血管50の採血管情報60をバーコードリーダ33によってそれぞれ読み取らせる(ステップ#33)。次いで、読み取った採血管情報60に基づき、その採血管50が有効期限内か否かが判定され(ステップ#34)、期限切れのものがあれば(ステップ#34でNO)、その採血管50に対してモニタ32に警告表示が行われる(ステップ#35)。そして、ステップ#32に戻り、採血作業者によりその期限切れの採血管50と同一種別の異なる採血管50が改めて選択され、バーコードリーダ33により、その改めて選択された採血管50の採血管情報60が読み取られる(ステップ#33)。そして、採血管50が有効期限内であれば(ステップ#34でYES)、その採血管50に対して患者から採血が行われ(ステップ#36)、採血が終了した旨が採血作業者によりキーボード34から入力されると(ステップ#37)、病院サーバ装置40のCPU41により、採血管情報60に対応付けられて、被採血者情報および検査依頼情報がHD装置42に記憶される(ステップ#38)。
【0048】
図8ないし図11は図1に示す電子カルテシステム1を有する同一病院内の血液検査部門の構成・動作を独立して表わしている。図8では、図1と同一構成のものには同一符号を付している。すなわち、受付部10、診察部20および採血部30は、それぞれ図1と同一構成で同一機能を果たし、内部の機能ブロックは図示を省略している。そして、上述したように、採血部30が設けられた採血室において患者から採取された血液が封入された採血管50は、例えば自走式ロボットや運搬作業者などによって、採血室から検査部門の受入口まで運搬される。
【0049】
検査部70は、採血管50を搬送する搬送装置71と、採血管50の採血管情報60を読み取るバーコードリーダ72と、種々の検査項目の血液検査を行う分析装置73,74,75とを備えている。なお、図8では、3つの分析装置73〜75を備えているが、これに限られず、患者の診察に要求される検査項目の血液検査が可能な個数の分析装置を備えるようにすればよい。
【0050】
検査部70の搬送装置71は、受入口まで運搬されてきた採血管50をバーコードリーダ72に向けて搬送し、バーコードリーダ72は、搬送されてきた採血管50の採血管情報60を読み取る。病院サーバ装置40のCPU41は、バーコードリーダ72により読み取られた採血管情報60を取得し、その採血管情報60に対応付けられてHD装置42に記憶されている検査依頼情報を検索する。CPU41は、搬送装置71を制御して、分析装置73,74,75のうち検査依頼情報に対応する分析装置に向けて採血管50を搬送する。そして、分析装置73,74,75は、それぞれ、採血管50から必要な分量の血液を取り出し、検査を行う。CPU41は、その結果を検査結果情報として取得し、その検査結果情報を、例えば図9に示すように、採血管情報60に対応付けて、HD装置42に記憶する。そして、CPU41は、被採血者情報と、検査依頼情報と、検査結果情報とを、例えば図10に示すように、採血管情報60に対応付けて、HD装置42に記憶する。
【0051】
図9および図10はHD装置42に記憶される情報記憶内容の一例を示す図である。図9では、採血管情報A1を有する1本の採血管50に対して、7個の検査結果情報D1〜D7が得られ、採血管情報A2を有する1本の採血管50に対して、4個の検査結果情報D8〜D11が得られている。例えば、図4の検査依頼情報C1が「肝機能検査」である場合に、図9の検査結果情報D1〜D7が「総蛋白」や「γ−GTP」などに対応するものである。また、図10では、採血管情報A1に対応付けて、被採血者情報B1と、検査依頼情報C1と、検査結果情報D1〜D7とが記憶されており、採血管情報A2に対応付けて、被採血者情報B1と、検査依頼情報C2と、検査結果情報D8〜D11とが記憶されている。
【0052】
このように、この第1実施形態では、バーコードリーダ72が本発明の「採血管情報読取手段」に相当し、分析装置73〜75が本発明の「検査手段」に相当し、病院サーバ装置40のCPU41が本発明の「管理手段」に相当する。また、病院サーバ装置40が本発明の「第1のサーバ装置」に相当し、受付部10、診察部20、バーコードリーダ72が本発明の「第1の端末装置」に相当する。
【0053】
図11は第1実施形態における検査処理の手順の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、検査部70における検査処理では、まず、検査部門の受入口まで運搬されてきた採血管50が搬送装置71によりバーコードリーダ72まで搬送され、バーコードリーダ72により、その採血管50の採血管情報60が読み取られる(ステップ#40)。次いで、その読み取られた採血管情報60に対応付けられてHD装置42に記憶されている検査依頼情報が検索され(ステップ#42)、分析装置73,74,75のうちその検査依頼情報に対応する分析装置に向けて搬送装置71により採血管50が搬送される(ステップ#43)。そして、その採血管50内の血液に対する検査が行われ(ステップ#44)、病院サーバ装置40のCPU41が検査結果情報を取得する(ステップ#45)。そして、病院サーバ装置40のCPU41は、採血管情報60を基に、被採血者情報、検査依頼情報および検査結果情報の全ての情報を一元的にHD装置42に記憶する(ステップ#46)。
【0054】
以上説明したように、この第1実施形態によれば、採血管情報60を印刷したラベル53が貼り付けられた採血管50を用いて採血を行い、その採血管情報60に対応付けて被採血者情報および検査依頼情報をHD装置42に記憶しているため、採血管情報60を基に被採血者情報および検査依頼情報を一元管理することができる。これによって、電子カルテシステム1における採血に関する情報管理を簡素化することができる。
【0055】
また、この第1実施形態によれば、採血室に到着した患者の携帯する患者カード16が採血部30のICカードリーダ31により読み取られて当該患者の被採血者情報が取得され、病院サーバ装置40のCPU41は、その被採血者情報に対応付けて設定されている検査依頼情報をモニタ32に表示し、採血作業者は、その検査依頼情報を見て必要な種別の採血管50を必要な個数だけ選択するようにしているため、採血管50の適正な選択を確実に行うことができる。
【0056】
また、この第1実施形態によれば、採血管情報60をEAN−128規格のバーコードで表しているため、医療機関情報61と識別情報62と種別情報63と期限情報64とを含む複数の情報を簡単かつ確実に表示することができる。
【0057】
また、患者の被採血者情報が予め貼り付けられた採血管を用いて当該患者の採血を行うシステムでは、診察が終了して採血室に到着した患者は、自分の被採血者情報が貼り付けられた採血管の準備が完了するまで採血室で待機することになる。例えば被採血者情報の貼付作業の都合で採血管の準備完了まで時間を要したり、診察が短時間で済んだために患者の採血室への到着が早くなった場合には、採血室での待機時間が長くなるため、ただでさえ体調の良くない患者にとって多大な苦痛となる。これに対して、この第1実施形態によれば、採血管50には患者の被採血者情報が貼り付けられておらず、採血管50の採血管情報60を基に被採血者情報および検査依頼情報を一元管理しているため、採血室への患者の到着順に採血作業を行うことができる。これによって、患者の採血室での待機時間を可能な限り短縮でき、患者に対するサービスを向上することができる。
【0058】
また、この第1実施形態によれば、採血管情報60に対応付けてさらに検査結果情報をHD装置42に記憶しているため、採血管情報60を基に被採血者情報と検査依頼情報と検査結果情報とを一元的に管理することができる。これによって、電子カルテシステム1における採血に関する情報管理を簡素化することができる。
【0059】
<第2実施形態>
図12は本発明にかかる採血管理システムの第2実施形態であるネットワークシステムを示すブロック図である。この図12は、院内に検査部門を持たない病院における電子カルテシステム1と、院外の検査センターに設けられた検査システム4とが、WWW(World Wide Web)5を介して接続可能に構成されたネットワークシステム6を示している。図12では、第1実施形態と同一構成のものには同一符号を付している。すなわち、受付部10、診察部20および採血部30は、それぞれ第1実施形態と同一構成で同一機能を果たし、内部の機能ブロックの図示を省略しており、検査部70は第1実施形態と同一構成で同一機能を果たしている。また、図12では受付部10および診察部20をそれぞれ1つのみ図示しているが、それぞれ複数設けるようにしてもよい点は、第1実施形態と同様である。また、図12では3つの分析装置73〜75を備えているが、患者の診察に要求される検査項目の血液検査が可能な個数の分析装置を備えるようにすればよい点は、第1実施形態と同様である。
【0060】
この第2実施形態のネットワークシステム6でも、第1実施形態と同様に、図3に示す採血管50が用いられており、患者から採取された血液が封入された採血管50は、病院から検査センターの受入口まで運搬される。検査センターは、図12に示すように、検査部70と検査サーバ装置80とを備えており、これらは無線または有線のネットワーク7を介して互いに接続されている。
【0061】
病院サーバ装置40は、通信を行う通信部44をさらに備えている。検査サーバ装置80は、検査システム4の全体を統括するもので、検査部70の制御および病院サーバ装置40との通信制御を行うCPU81と、種々のデータを保存するためのHD装置82と、CPU81の制御プログラムが格納されたROM83と、病院サーバ装置40の通信部44との間でWWW5を介して通信を行う通信部84とを備えている。なお、この実施形態では、病院サーバ装置40と検査サーバ装置80とはWWW5を介してデータの送受信を行っているが、これに限られず、専用回線を介して送受信を行うようにしてもよい。
【0062】
病院サーバ装置40は、検査依頼のために採血管50を検査センターに発送するのに合わせて、採血管情報60を基に検査依頼情報を検査サーバ装置80に向けて送信する。検査サーバ装置80のCPU81は、送信された検査依頼情報を受信して、HD装置82に記憶する。検査部70の搬送装置71は、受入口まで運搬されてきた採血管50をバーコードリーダ72まで搬送し、バーコードリーダ72は、採血管50の採血管情報60を読み取る。検査サーバ装置80のCPU81は、読み取られた採血管情報60を取得し、その採血管情報60に対応付けてHD装置82に記憶されている検査依頼情報を検索し、搬送装置71により、分析装置73,74,75のうち検索した検査依頼情報に対応する分析装置に向けて採血管50を搬送する。そして、分析装置73,74,75は、それぞれ、採血管50から必要な分量の血液を取り出し、検査を行い、その結果を検査結果情報として検査サーバ装置80のHD装置82に一旦格納する。検査サーバ装置80は、その検査結果情報を、例えば図9に示すように、採血管情報60に対応付けてHD装置82に記憶する。そして、検査サーバ装置80のCPU81は、HD装置82に記憶された検査結果情報を、所定のタイミングで、病院サーバ装置40に送信する。そして、病院サーバ装置40のCPU41は、HD装置42に、例えば図10に示すように、採血管情報60を基に、被採血者情報と検査依頼情報と検査結果情報とを一元的に記憶する。
【0063】
このように、この第2実施形態では、バーコードリーダ72が本発明の「院外読取手段」に相当し、分析装置73〜75が本発明の「院外検査手段」に相当し、病院サーバ装置40のCPU41が本発明の「管理手段」に相当する。また、病院サーバ装置40が本発明の「第1のサーバ装置」に相当し、受付部10、診察部20が本発明の「第1の端末装置」に相当し、検査サーバ装置80が本発明の「第2のサーバ装置」に相当し、バーコードリーダ72、分析装置73〜75が本発明の「第2の端末装置」に相当する。
【0064】
図13は第2実施形態における検査処理の手順の一例を示すフローチャートである。図13では、説明の便宜上、病院の電子カルテシステム1で実行される病院側処理と、検査センターの検査システム4で実行される検査側処理とを左右に並べて示している。
【0065】
まず、病院側において、採血管情報60を基にHD装置42に記憶されている検査依頼情報が病院サーバ装置40から検査サーバ装置80に送信されるとともに(ステップ#50)、採取された血液が封入された採血管50が検査センターに向けて発送される(ステップ#51)。
【0066】
一方、検査センター側において、その送信された検査依頼情報を検査サーバ装置80が受信し、採血管情報60を基にHD装置82に記憶する(ステップ#60)。そして、検査センターの受入口まで採血管50が運搬されてくると、搬送装置71によりバーコードリーダ72まで搬送され(ステップ#61)、バーコードリーダ72により、その採血管50の採血管情報60が読み取られる(ステップ#62)。次いで、その読み取られた採血管情報60に対応付けられてHD装置82に記憶されている検査依頼情報を検査サーバ装置80のCPU81が検索し(ステップ#63)、分析装置73,74,75のうち検索した検査依頼情報に対応する分析装置に向けて搬送装置71により採血管50が搬送される(ステップ#64)。そして、その採血管50内の血液に対する検査が行われ(ステップ#65)、その検査結果情報が採血管情報60を基にHD装置82に一時的に記憶される(ステップ#66)。次いで、検査依頼情報に対応する全ての検査結果情報がHD装置82に記憶されると、検査サーバ装置80から病院サーバ装置40に向けて、採血管情報60を基に検査結果情報が一括して送信される(ステップ#67)。
【0067】
一方、病院側において、その送信された検査結果情報を病院サーバ装置40が受信し(ステップ#52)、その検査結果情報と被採血者情報と検査依頼情報との全ての情報を、採血管情報60を基に一元的にHD装置42に記憶する(ステップ#53)。
【0068】
図14は図13と異なる検査処理の手順例を示すフローチャートである。図14でも図13と同様に、病院の電子カルテシステム1で実行される病院側処理と、検査センターの検査システム4で実行される検査側処理とを左右に並べて示している。
【0069】
まず、病院側において、採取された血液が封入された採血管50が検査センターに向けて発送される(ステップ#70)。一方、検査センター側において、病院からの採血管50が受け入れられ(ステップ#80)、検査部70の搬送装置71により採血管50がバーコードリーダ72まで搬送され、バーコードリーダ72により採血管50の採血管情報60が読み取られる(ステップ#81)。検査サーバ装置80は、その読み取られた採血管情報60を取得し、その採血管情報60に対応付けられた検査依頼情報の送信を病院サーバ装置40に要求する(ステップ#82)。なお、この要求は、病院から受け入れた採血管50のロットに含まれる全ての採血管情報60を一括して送信すればよい。
【0070】
病院側の病院サーバ装置40は、その要求を受信し(ステップ#71)、その採血管情報60に対応付けてHD装置42に記憶されている検査依頼情報を検索し、その検索した検査依頼情報を検査サーバ装置80に向けて送信する(ステップ#72)。検査センター側の検査サーバ装置80は、その送信された検査依頼情報を受信してHD装置82に記憶する(ステップ#83)。そして、分析装置73,74,75のうち受信した検査依頼情報に対応する分析装置に向けて採血管50が搬送装置71により搬送される(ステップ#84)。
【0071】
以下、検査センター側のステップ#85〜#87は図13のステップ#65〜#67と同一であり、病院側のステップ#73,#74は図13のステップ#52,#53と同一であるので説明を省略する。
【0072】
以上説明したように、この第2実施形態によれば、検査サーバ装置80から送信された検査結果情報を採血管情報60に対応付けてHD装置42に記憶しているため、第1実施形態と同様に、採血管情報60を基に被採血者情報と検査依頼情報と検査結果情報とを一元的に管理することができる。これによって、電子カルテシステム1における採血に関する情報管理を簡素化することができる。
【0073】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を加えることが可能である。
【0074】
例えば、上記第1実施形態の図7では、外来患者の採血処理について説明しているが、入院患者の場合でも、ほぼ同様の手順で採血処理を行うことができる。すなわち、採血管情報60が設けられた採血管50を各病棟ごとに予め準備しておく。そして、採血作業者は、主治医からの血液検査の指示の有無を例えばナースステーションに設けられたモニタで確認し、その検査依頼情報に基づき、必要な採血管を選択し、有効期限内のものを携行して患者の病室へ行く。そして、採血時に、各入院患者の携帯する患者カード16の被採血者情報と、採血管50の採血管情報60とを読み取って、採血管情報60に対応付けて被採血者情報をHD装置42に記憶すればよい。この場合、入院患者が、患者カード16に代えて例えば被採血者情報が記録された患者ベルトを手首に巻いている場合には、その患者ベルトの被採血者情報を読み取るようにすればよい。
【0075】
また、上記第1実施形態では、患者が採血室に到着すると、その患者の携帯する患者カード16が採血部30のICカードリーダ31により読み取られると、その被採血者情報に対応付けて設定されている検査依頼情報がモニタ32に表示されて、採血作業者は、その検査依頼情報を見て必要な種別の採血管50を必要な個数だけ選択するようにしているが、これに限られない。例えば、採血室に到着した患者の携帯する患者カード16が採血部30のICカードリーダ31により読み取られると、その被採血者情報に対応付けてHD装置42に記憶されている検査依頼情報に基づき、必要な種別の採血管50を必要な個数だけ抽出する採血管自動準備装置を備えるようにしてもよい。この場合には、採血管50が自動的に選択されるので、作業者による選択ミスなどの人為的なミスを確実に防止するとともに、採血処理の作業性を向上することができる。この場合には、その採血管自動準備装置がバーコードリーダ33を備えるようにして、抽出した採血管50の採血管情報60を読み取った上で取出口から取出可能にすると、さらに作業性を向上することが可能になる。
【0076】
また、上記各実施形態では、ラベル53における採血管情報60の周囲の余白部分を白地としているが、これに限られず、白地のほかに例えば黄色などに着色したものも備えるようにしてもよい。この形態によれば、例えば特定の患者には着色したラベル53の採血管50を用いることにより、採血作業者に対して注意を促すことが可能になる。
【0077】
また、上記各実施形態では、採血管情報60が印刷されたラベル53を管本体51の外周面に貼り付けた採血管50を用いているが、これに限られない。例えばラベル53を感本体51の内周面に貼り付けたり、例えば採血管情報60を管本体51の内周面または外周面に直接印刷してもよい。また、上記各実施形態では、採血管情報60をEAN−128規格のバーコードで表示しているが、これに限られず、他の規格のバーコードで表示してもよい。さらにまた、バーコードに限られず、2次元コードなどの他のコードで表示してもよく、その場合には、バーコードリーダに代えて、当該コードを読み取る読取手段を備えるようにすればよい。これらの形態でも、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、採血管情報60をコードで表示するのに代えて、例えば採血管情報60が記憶されたICタグを管本体51の内部に設けてもよい。このICタグは、血液や薬剤で影響が及ぼされないように例えば防護膜などで被覆しておくのが好ましい。この場合には、バーコードリーダ33,72に代えて、ICタグに記憶されている採血管情報60を非接触で読取可能なICメモリリーダを備えればよい。このように、この形態によれば、ICタグが本発明の「記憶手段」に相当し、ICメモリリーダが本発明の「採血管情報読取手段」および「院外読取手段」に相当する。この形態でも、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明にかかる採血管理システムの第1実施形態である電子カルテシステムを示すブロック図である。
【図2】患者カードの模式図である。
【図3】本発明にかかる採取血液収納容器の一実施形態である採血管を示す図である。
【図4】HD装置に記憶される情報記憶内容の一例を示す図である。
【図5】受付処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】診察処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】採血処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明にかかる採血管理システムの第1実施形態である電子カルテシステムを示すブロック図である。
【図9】HD装置に記憶される情報記憶内容の一例を示す図である。
【図10】HD装置に記憶される情報記憶内容の一例を示す図である。
【図11】第1実施形態における検査処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明にかかる採血管理システムの第2実施形態であるネットワークシステムを示すブロック図である。
【図13】第2実施形態における検査処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】図13と異なる検査処理の手順例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
1…電子カルテシステム、4…検査システム、5…WWW(通信回線)、10…受付部(作成手段、第1の端末装置)、16…患者カード(情報記録体)、20…診察部(設定手段、第1の端末装置)、31…ICカードリーダ(情報記録体読取手段)、32…モニタ(報知手段)、33…バーコードリーダ(採血管情報読取手段、第1の端末装置)、40…病院サーバ装置(第1のサーバ装置)、41…CPU(管理手段)、50…採血管、51…管本体、52…蓋(封止体)、53…ラベル、60…採血管情報(容器情報)、72…バーコードリーダ(採血管情報読取手段、第1の端末装置、院外読取手段、第2の端末装置)、73〜75…分析装置(検査手段、院外検査手段、第2の端末装置)、80…検査サーバ装置(第2のサーバ装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の情報を含む採血管情報が読取可能に形成された複数の採血管と、
前記採血管情報を読み取る採血管情報読取手段と、
被採血者に関する被採血者情報を記録した情報記録体を作成する作成手段と、
前記被採血者情報に対応して必要な血液検査項目からなる検査依頼情報を設定する設定手段と、
当該被採血者の前記被採血者情報及びこれに対応して設定された前記検査依頼情報を取得し、採血作業者により選択された前記採血管の前記採血管情報が、採血に際して前記採血管情報読取手段により読み取られたときに、読み取られた前記採血管情報を基に、取得した当該被採血者の前記被採血者情報と前記検査依頼情報とを一元管理する管理手段と
を備えることを特徴とする採血管理システム。
【請求項2】
当該被採血者の前記情報記録体に記録された前記被採血者情報を読み取る情報記録体読取手段と、
前記情報記録体読取手段により読み取られた前記被採血者情報に対応して設定された前記検査依頼情報を報知する報知手段とをさらに備え、
前記報知手段により報知される前記検査依頼情報に基づき、採血作業者により前記採血管が選択されることを特徴とする請求項1に記載の採血管理システム。
【請求項3】
前記採血管情報読取手段により読み取られた採血済みの前記採血管の前記採血管情報に対応する前記検査依頼情報を前記管理手段より取得し、取得した前記検査依頼情報にしたがって前記採血管内の血液に対する血液検査を行って、その結果を表す検査結果情報を形成する検査手段をさらに備え、
前記管理手段は、前記採血管情報を基に、当該検査依頼情報に対応した前記検査結果情報をさらに一元管理することを特徴とする請求項1または2に記載の採血管理システム。
【請求項4】
第1のサーバ装置に対して複数の第1の端末装置がネットワークを介して接続されたシステムであって、
前記第1のサーバ装置が、前記管理手段を備え、
前記第1の端末装置として、前記採血管情報読取手段と前記作成手段と前記設定手段とが、それぞれネットワークを介して前記第1のサーバ装置に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の採血管理システム。
【請求項5】
前記第1の端末装置として、さらに、
当該被採血者の前記情報記録体に記録された前記被採血者情報を読み取る情報記録体読取手段と、
前記情報記録体読取手段により読み取られた前記被採血者情報に対応して設定された前記検査依頼情報を報知する報知手段とが、
それぞれネットワークを介して前記第1のサーバ装置に接続されており、
前記報知手段により報知される前記検査依頼情報に基づき、採血作業者により前記採血管が選択されることを特徴とする請求項4に記載の採血管理システム。
【請求項6】
前記第1の端末装置として、さらに、
前記採血管情報読取手段により読み取られた採血済みの前記採血管の前記採血管情報に対応する前記検査依頼情報を前記管理手段より取得し、取得した前記検査依頼情報にしたがって前記採血管内の血液に対する血液検査を行って、その結果を表す検査結果情報を形成する検査手段が、ネットワークを介して前記第1のサーバ装置に接続されており、
前記管理手段は、前記採血管情報を基に、当該検査依頼情報に対応した前記検査結果情報をさらに一元管理することを特徴とする請求項4または5に記載の採血管理システム。
【請求項7】
第2のサーバ装置に対して複数の第2の端末装置がネットワークを介して接続されるとともに、前記第1のサーバ装置と前記第2のサーバ装置とが通信回線を介して接続可能に構成されたシステムであって、
前記第2の端末装置として、
前記採血管の前記採血管情報を読み取る院外読取手段と、
前記院外読取手段により読み取られた採血済みの前記採血管の前記採血管情報に対応する前記検査依頼情報を前記管理手段より取得可能で、取得した前記検査依頼情報にしたがって前記採血管内の血液に対する血液検査を行って、その結果を表す検査結果情報を形成する院外検査手段とが、
それぞれネットワークを介して前記第2のサーバ装置に接続されており、
前記院外検査手段は、前記第2のサーバ装置を介して前記第1のサーバ装置から前記検査依頼情報を取得し、
前記管理手段は、前記第2のサーバ装置を介して前記院外検査手段から前記検査結果情報を取得することを特徴とする請求項4または5に記載の採血管理システム。
【請求項8】
前記採血管情報は、各々の前記採血管を相互に識別するための識別情報と、各々の前記採血管を使用する医療機関を相互に識別するための医療機関情報とを含むことを特徴とする請求項7に記載の採血管理システム。
【請求項9】
前記採血管情報は、各々の前記採血管を相互に識別するための識別情報と、当該採血管の種別を表す種別情報と、当該採血管の有効期限を表す期限情報とを含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の採血管理システム。
【請求項10】
前記採血管情報は、前記採血管の表面または内周面にバーコードとして表示されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の採血管理システム。
【請求項11】
前記バーコードの周囲の所定領域が所定の色に着色されていることを特徴とする請求項10に記載の採血管理システム。
【請求項12】
前記採血管情報は、記憶内容が外部から読み取り可能な記憶手段に記憶されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の採血管理システム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の採血管理システムに用いられる採取血液収納容器であって、
管本体と、該管本体の開口を封止する封止体とを備え、複数種類の情報を含む容器情報が外部から読取可能に形成されることを特徴とする採取血液収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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