説明

接写ユニットおよび接写装置

【課題】光学式ファインダを通して被写体の正立像を見ることができ、デジタルカメラを使用する場合、液晶モニタ、各種メニューボタンを通常の姿勢で正面から観察し操作することができる接写ユニットおよび接写装置を得る。
【解決手段】接写装置への取り付け面52、入射面54、カメラ装着部材取り付け面53を有するユニット本体5と、ユニット本体に装着されるカメラ装着部材7と、ユニット本体に内蔵され入射面61から入射する光をカメラ装着部材7に装着されるカメラの撮影レンズに導く反射部材6を備える接写ユニット。反射部材6は、ユニット本体5の入射面から入射する光を偶数回反射して斜め上方に出射し、カメラ装着部材7は、カメラの撮影レンズ光軸を反射部材で反射され出射される光の中心軸線と一致させてカメラを装着するカメラ装着部71を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体載置台に載せられた標本その他の被写体をカメラによって撮影するための接写ユニットおよび接写装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被写体載置台、支柱、支柱によって支持された雲台などを備え、雲台に取り付けたカメラで被写体載置台上に載せられている標本その他の被写体を撮影する装置がある。この装置は、接写装置、標本撮影装置、コピースタンド、その他さまざまな名称で呼ばれている。雲台はカメラを保持したまま支柱に沿って上下動可能であり、カメラを上下動させることによって被写体の大きさに応じたフレーミングが可能になっている。被写体載置台の左右両側上方には照明器が取り付けられていて、照明器から照射される拡散光によって被写体が照明される。被写体を無影撮影しようとするときは、被写体載置台上に透過光照明器を載せ、この透過光照明器の上に被写体を載せて撮影する。被写体として、スライド標本、レントゲンフィルムなどのフィルム類があり、このような被写体の場合は、透過光照明のみで撮影することもできる。
【0003】
図6は、従来のこの種の接写装置の例を示す。図6において、平板状の被写体載置台101には、奥側の端部近くの左右方向中央部に支柱102が立てられている。支柱102には、この支柱102に沿って上下方向にスライド可能で、適宜の高さ位置で固定することができるスライダー103が取り付けられている。スライダー103は水平辺と垂直辺からなるL字状の部材で、垂直辺は支柱102の前方において支柱102と平行に垂下している。この垂直辺が雲台となっていて、カメラ108の底部に形成されている三脚孔に上記雲台の締結ねじ131がねじ込まれることにより、カメラ108がその撮影光軸を垂直方向に向けて取り付けられている。カメラ108の撮影レンズ182は下向きになっていて被写体載置台101上の被写体を向き、カメラ108のファインダの接眼部181は上方に向いている。このような接写装置は、特許文献1に従来技術の例として記載されている。特許文献1記載の発明は、このような従来の接写装置において、撮影時に、カメラの角度を容易に調節することができるようにして、カメラ設定の作業性を改善することを目的としているが、解決課題および課題を解決するための手段が本発明とは異なる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−154260号公報
【0005】
図6に示すような従来のこの種の接写装置には以下に述べるような不具合がある。図6からも分かるように、カメラ108の底部に形成されている三脚孔に雲台の締結ねじ131がねじ込まれることによってカメラ108が取り付けられるため、カメラ108は、被写体載置台101上の被写体を見下ろすように下向きに取り付けられる。この取り付け態様は、使用者から見れば、カメラ108の底面が奥側で、カメラ108の頭部が手前側になる。したがって、上方を向いているファインダの接眼部181から被写体を観察すると、180度反転した被写体像を見ることになる。加えて、使用者は上記接眼部181を上方から覗き込みながら画像のフレーミングや焦点合わせをすることになるので、使用者はほぼ90度近く首を曲げてファインダを覗かなければならない。このような姿勢は、使用者に身体的な負担を掛けることになり、人間工学的な見地から理にかなっているとはいえない。使用者の身体的な負担をいくらかでも和らげようとして、カメラの高さ位置をもっとも楽な位置に調節することができるようにしたものもあるが、ファインダを上から覗き込むものであることに変わりはない。
【0006】
近年、銀塩式のフィルムカメラに代わってデジタルカメラが普及し、標本複写などの用途でもデジタルカメラ多用されている。ところが、前述の従来の接写装置によれば、カメラがデジタルカメラであるために、前述の問題点に加えて、新たな問題点が生じている。すなわち、デジタルカメラは、撮影条件の設定に使用するメニューボタンの数が多く、撮影時または撮影後の画像を確認するための液晶モニタを備えている。これらのメニューボタン、液晶モニタおよび上記光学式ファインダの接眼部はカメラ本体の背面に集中して配置されている。したがって、デジタルカメラを図6に示すような従来の接写装置に装着すると、上記メニューボタン、液晶モニタ、ファインダを全て逆向きに見ることになるとともに、逆向きに操作しなければならず、操作性が劣化する。
【0007】
カメラがデジタルカメラである場合に、従来の接写装置による上記のような問題点のうち、液晶モニタを逆向きに見ることになる、という問題は、カメラの撮像素子から出力される画像信号をパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)に入力し、パソコンでの表示を180度反転させることによって解決することができる。しかし、パソコン上でこのような画像処理工程を経ることによって画像が劣化する難点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上説明したような従来技術の問題点を解消することを目的とする。すなわち、本発明は、通常のカメラによる写真撮影姿勢と変わりのない姿勢で撮影することができるようにすることにより、光学式ファインダを通して被写体の正立像を見ることができ、デジタルカメラを使用する場合、液晶モニタを通常の姿勢で正面から観察することができ、さらに、各種メニューボタンも正面から見て正面から操作することができる接写ユニットおよび接写装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、デジタルカメラを装着して使用し、撮像素子から出力される画像信号をパソコンに入力してパソコンで画像表示する場合でも、画像を180度反転させる処理を不要にし、手間の軽減と、画像を処理することによる画像の劣化を回避することができる接写ユニットおよび接写装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる接写ユニットは、接写装置への取り付け面、入射面およびカメラ装着部材取り付け面を有するユニット本体と、ユニット本体の上記カメラ装着部材取り付け面に装着されるカメラ装着部材と、ユニット本体に内蔵され上記入射面から入射する光を上記カメラ装着部材に装着されるカメラの撮影レンズに導く反射部材を備えている接写ユニットであって、上記反射部材は、上記ユニット本体の入射面から入射する光を偶数回反射して斜め上方に出射するように構成され、カメラ装着部材は、カメラの撮影レンズ光軸を上記反射部材で反射され出射される光の中心軸線と一致させてカメラを装着するカメラ装着部を有することを最も主要な特徴とする。
【0010】
本発明にかかる接写ユニットはまた、接写装置への取り付け面、入射面およびカメラ装着部材取り付け面を有するユニット本体と、ユニット本体の上記カメラ装着部材取り付け面に装着されるカメラ装着部材と、ユニット本体に内蔵され上記入射面から入射する光を上記カメラ装着部に装着されるカメラの撮影レンズに導く反射部材を備えている接写ユニットであって、ユニット本体は、上記入射面が水平の姿勢にあるとき上記カメラ装着部材取り付け面が斜め上方を向くように構成され、上記反射部材は、上記ユニット本体の入射面から入射する光を偶数回反射して上記ユニット本体のカメラ装着部材取り付け面に対して直交する斜め上方に出射するように構成され、カメラ装着部材は、カメラの撮影レンズ光軸を上記反射部材の出射面から出射される光の中心軸線と一致させてカメラを装着するカメラ装着部を有することを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる接写装置は、被写体載置台と、支柱と、支柱に取り付けられたカメラ装着部材を有し、カメラ装着部材に装着されるカメラによって被写体載置台上の被写体を上方から撮影する接写装置であって、上記カメラ装着部材に、本発明にかかる接写ユニットが装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる接写ユニットまたは接写装置を使用すると、カメラをその撮影レンズが斜め下方を向き、かつ、使用者から見てカメラが前方を向く姿勢でカメラ装着部に装着すると、接写ユニットの下方に置かれた被写体の画像をカメラで撮影することができる。したがって、使用者は、カメラを通常の使用態様と同様に、カメラの背面側の接眼部から、視認性を犠牲にすることなくファインダを覗くことができる。これに加えて、ファインダを介して観察する被写体像は正立像であるから、違和感なく観察することができ、また、使用者は自然な姿勢でファインダを観察することができる。
カメラがデジタルカメラの場合、各種操作ボタンが背面に集中して配置され、液晶モニタも背面に配置されているが、本発明にかかる接写ユニットまたは接写装置を使用することにより、使用者はこれら各種操作ボタンと液晶モニタに正対することができるので、操作性を犠牲にすることなく操作ボタンを操作することができ、視認性を犠牲にすることなく液晶モニタを視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかる接写ユニットおよび接写装置の実施例について、図1ないし図5を参照しながら説明する。
図1において、符号1は被写体載置台を、2は支柱を示している。被写体載置台1は平板状の部材で、この上面に被写体、例えば、標本や複写しようとするフィルムなどが載置される。支柱2の下端近くに上記被写体載置台1の後端(図1において右端)中央部が結合されている。支柱2には、スライダー3が支柱2に沿って上下動可能に取り付けられている。支柱2の前面側には上下方向にラック21が形成され、このラック21に、スライダー3内の図示されないピニオンが噛み合っている。このピニオンは外部からの手動操作により、またはスライダー3に内蔵され外部から回転が制御されるモータにより回転駆動され、これによってスライダー3が上下動するようになっている。被写体載置台1、支柱2、スライダー3によって、既に知られている接写装置が構成されていて、スライダー3の前端面に、図6について説明した接写装置の例のように、カメラの底面の三脚孔を利用してカメラを下向きに装着することができる。すなわち、スライダー3の前端部は雲台を構成していて、この雲台に、カメラの三脚孔にねじ込んでカメラを装着する締結ねじ31が取り付けられている。
【0014】
本発明にかかる接写装置は、上記スライダー3の雲台に相当する部分に装着して使用する接写ユニット5を備えている点に特徴がある。接写ユニット5は、ユニット本体51と、ユニット本体51に内蔵されている反射部材としてのプリズム6、ユニット本体51に装着されているカメラ装着部材7を主体として構成されている。上記ユニット本体51は、上記スライダー3の雲台に相当する位置に上記締結ねじ31を締め付けることによって装着することができる接写装置への取り付け面52を有する。また、上記ユニット本体51は、接写装置への取り付け面52と直交し、ユニット本体51を上記スライダー3の雲台に相当する位置に装着した態様で水平面をなし、被写体載置台1にその上方で対向する入射面54を有する。さらに、ユニット本体51は、ユニット本体51を上記スライダー3の雲台に相当する位置に装着した態様で前方斜め上に向くカメラ装着部材取り付け面53を有する。このようにして、ユニット本体51は、側面から見て、カメラ装着部材取り付け面53のみが傾斜する台形状に形成されている。
【0015】
上記プリズム6は、ユニット本体51の底部に配置されていて、図2にも示すように、入射および第2反射面61、第1反射面62、出射面63を有する屋根型のプリズムである。プリズム6は、入射および第2反射面61がユニット本体51の入射面54と平行になる姿勢でユニット本体51に取り付けられている。プリズム6の入射および第2反射面61には、反射膜の類はなんら形成されておらず、被写体載置台1に載せられる被写体からの反射光をほぼ直交する方向に透過させ、第1反射面62で反射されて斜めに入射する光を出射面63の方に向かって反射するようになっている。すなわち、第1反射面62で反射され、入射および第2反射面61に入射する光の入射角度が臨界角度以上になるように各面の相対角度が設定されている。プリズム6の出射面63は、入射および第2反射面61による反射光が直交する方向に出射するように角度が設定されている。このように、プリズム6は、被写体載置台1の上面からの反射光を2回反射して斜め上方に出射する反射部材として機能する。
【0016】
前記カメラ装着部材7は、L字状に直角に折り曲げた形の例えば金属素材からなり、L字の一辺はカメラ装着部71、もう一辺はユニット本体への取り付け部72となっている。このユニット本体への取り付け部72は、上記ユニット本体51のカメラ装着部材取り付け面53に、この取り付け面53に沿って摺動可能に取り付けられている。したがって、カメラ装着部材7は上記取り付け面53の傾斜にしたがって傾斜した姿勢でユニット本体51に取り付けられている。カメラ装着部材7のユニット本体への取り付け部72には回転操作つまみ73が設けられていて、このつまみ73と一体の図示されないピニオンがユニット本体5の上記取り付け面53に形成されている図示されないラックに噛み合っている。したがって、回転操作つまみ73を回転させることにより、カメラ装着部材7が上記取り付け面53に沿って摺動するようになっている。また、カメラ装着部材7は適宜の摺動位置で固定できるように、固定手段が設けられている。
【0017】
カメラ装着部材7のカメラ装着部71は、プリズム62の出射面63から出射する光の中心軸線と平行に斜め上方向に、かつ、使用者側に向かって延びている。上記カメラ装着部71には雲台76が設けられていて、雲台76にカメラ8のボデー81の底面を載せることができ、上記カメラ装着部71と雲台76を貫通して配置された締結ねじ75をカメラ8の三脚ねじにねじ込んで締め付けることができるように構成されている。雲台76は上記カメラ装着部71に沿って移動させることができ、適宜の位置で締結ねじ75を締め付けることにより、カメラ8を雲台76に固定することができる。このようにしてカメラ装着部材7に装着されたカメラ8は、撮影レンズ82の光軸がプリズム62の出射面63から出射する光の中心軸線と平行をなす姿勢で装着される。
【0018】
上記回転操作つまみ73を操作することにより、カメラ8を装着したカメラ装着部材7をユニット本体51のカメラ装着部材取り付け面53に沿って移動させ、カメラ8の撮影光軸をプリズム62の出射面63から出射する光の中心軸線と一致させることができるようになっている。カメラ装着部材7のユニット本体への取り付け部72には、プリズム62から出射する光をカメラ8の撮影レンズ82に導くための窓孔74が形成されている。
【0019】
以上説明した接写ユニットを使用し、これを接写装置のスライダー3の雲台に相当する部分に装着することにより、図1に示すように、カメラ8をその撮影光軸が斜め上方を向く姿勢で装着することができ、この姿勢で、水平面をなす被写体載置台1上の被写体を撮影することができる。カメラ8は上記の姿勢をとることにより、背面および光学式ファインダの接眼部83が斜め上方を向くため、使用者は自然な姿勢で接眼部83からファインダを覗くことができ、無理な体勢をとる必要はない。また、被写体載置台1上の被写体からの反射光はプリズム6によって2回すなわち偶数回反射されて撮影レンズ82に入射するため、光学式ファインダで観察することができる被写体像は成立像であり、使用者はなんら違和感なくファインダ像を観察することができる。
【0020】
カメラ8がデジタルカメラの場合、一般的にカメラボデー81の背面に操作ボタンが集中して配置され、画像を表示する液晶モニタもカメラボデー81の背面に配置されている。本発明にかかる接写ユニットまたは接写装置を使用すると、カメラボデー81の背面が斜め上方を向くため、カメラ8がデジタルカメラであっても、カメラボデー81の背面の操作ボタンをなんら支障なく操作することができるとともに、液晶モニタを自然な姿勢で観察することができる。
【0021】
カメラボデー81の上面にもシャッターボタンその他の操作ボタンが配置され、動作モードなどを表示するディスプレイが配置されているカメラが多い。かかるカメラを本発明にかかる接写ユニットまたは接写装置に装着して使用すると、カメラの上面が、使用者から見て斜め上方後ろ側に向くことになり、カメラ上面の操作ボタンおよびディスプレイの視認性が損なわれる。そこで、図1に示すように、カメラ8の上面に設けられているアクセサリーシュー85に装着することができるミラー9を用意すると便利である。ミラー9は、例えば横方向に長い長方形状になっていて、その長手方向中央部の下部背面にアングル材91の一端部を固着し、アングル材91の他端部をアクセサリーシュー85に挿入して装着することができるように構成されている。そして、ミラー9をカメラ8に装着した状態で、カメラ8の上面からの反射光がミラー9の反射面で反射されて、使用者の目に向かうようにアングル材91の曲げ角度が設定されている。ミラー9を介して使用者が観察することができるカメラ8の上面の画像は上下が反転した画像になるが、使用者は自然な姿勢でミラー9を介してカメラ上面を見ることができるので、操作性の向上に役立てることができる。
【0022】
図1に示す実施例では、被写体からの反射光をカメラに導く反射部材として屋根型のプリズム6を用いている。本発明における反射部材の役割は、被写体からの反射光を偶数回反射させてカメラに導くことにより、カメラのファインダに被写体の正立像を表示することと、使用者が無理のない自然な姿勢でカメラのファインダを観察することができるようにすることである。このような役割を持つ反射部材は屋根型のプリズムに限られない。図3に示すような5角形のプリズム12であってもよいし、図4に示すような2枚のミラーを用いたものであってもよい。
【0023】
図3に示す5角形のプリズム12は、下方にある被写体からの反射光を透過させる入射面121と、入射面121に直交する方向から入射する光を斜め下後方に反射する第1反射面122と、第1反射面122で反射される光を上記入射光と直交する方向に反射する第2反射面123と、第2反射面123で反射された光を出射させる出射面124を有する。入射面121と出射面124とのなす角度は90度になっていて、出射面124から光が水平方向に出射するようになっている。したがって、前述のカメラ装着部材7に装着されるカメラは、撮影光軸が水平方向に向き、使用者は視線を水平方向に向けてカメラのファインダを観察しカメラを操作することになる。第1反射面122または第2反射面123の角度を変えて、光が斜め上方に出射するようにしてもよい。
【0024】
図4に示す反射部材は、下方にある被写体からの反射光を斜め下後方に反射する第1ミラー14と、第1ミラー14で反射される光を、入射光と直交する方向に反射させて前方に出射させる第2ミラー15を備えてなる。入射光と出射光のなす角度は90度になっていて、前述のカメラ装着部材7に装着されるカメラは、撮影光軸が水平方向に向き、使用者は視線を水平方向に向けてカメラのファインダを観察しカメラを操作することになる。第1ミラー14または第2ミラー15の角度を変えて、光が斜め上方に出射するようにしてもよい。
【0025】
図1に示す実施例に用いられている屋根型プリズム6は、入射および第2反射面61と第1反射面62とがなす角度θが重要である。入射および第2反射面61は、被写体からの反射光を余すことなく取り入れて第1反射面62に導くだけの面積が必要であるとともに、第1反射面62によって反射された光を余すことなく反射する必要がある。第1反射面62には反射膜が形成されているのに対し、入射および第2反射面61には、上記のように被写体からの反射光を取り入れるために反射膜の類は形成されていない。第1反射面62による反射光が入射および第2反射面61に対して臨界角以上の角度で入射することにより、入射および第2反射面61で全反射させるものである。第1反射面62で反射される被写体からの反射光は、中心部と周辺部とでは入射および第2反射面61に入射する角度が異なり、入射光の全てを全反射させなければ、画像の周辺部が欠けた画像になってしまう。例えば、図5に示す屋根型プリズム6は、上記角度θが比較的小さくなっていて、下方の被写体から入射した光が第1反射面62で反射されて入射および第2反射面61に入射する角度(法線に対する角度)が小さくなっている。かかるプリズムでは、第1反射面62で反射された光が入射および第2反射面61に臨界角以下の角度になり、入射および第2反射面61を素通りする。全ての光が素通りしなくても、周辺部の光が素通りすることもあり、周辺部が欠けた画像になることがある。そこで、上記角度θは、第1反射面62で反射される被写体からの反射光が、入射および第2反射面61に対して臨界角以上の角度で入射するような角度に設定する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明にかかる接写ユニットは、既存の接写装置に付加するアタッチメントとして製造し販売することができる。あるいは、いわゆる接写スタンドに本発明にかかる接写ユニットを組み合わせた接写装置として製造し販売することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる接写ユニットおよび接写装置の実施例を示す側面図である。
【図2】上記実施例中の反射部材である屋根型プリズムを示す側面図である。
【図3】本発明に使用可能な反射部材の別の例を示す側面図である。
【図4】本発明に使用可能な反射部材のさらに別の例を示す側面図である。
【図5】本発明に反射部材として使用する屋根型プリズムに要求される条件を説明するための側面図である。
【図6】従来の接写装置の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 被写体載置台
2 支柱
3 スライダー
5 接写ユニット
6 反射部材としてのプリズム
7 カメラ装着部材
8 カメラ
9 観察ミラー
12 反射部材としてのプリズム
14 ミラー
15 ミラー
51 ユニット本体
52 接写装置への取り付け面
53 カメラ装着部材取り付け面
54 入射面
61 入射および第2反射面
62 第1反射面
63 出射面
71 カメラ装着部
72 ユニット本体への取り付け部
74 窓孔
82 撮影レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接写装置への取り付け面、入射面およびカメラ装着部材取り付け面を有するユニット本体と、ユニット本体の上記カメラ装着部材取り付け面に装着されるカメラ装着部材と、ユニット本体に内蔵され上記入射面から入射する光を上記カメラ装着部材に装着されるカメラの撮影レンズに導く反射部材を備えている接写ユニットであって、
上記反射部材は、上記ユニット本体の入射面から入射する光を偶数回反射して斜め上方に出射するように構成され、
カメラ装着部材は、カメラの撮影レンズ光軸を上記反射部材で反射され出射される光の中心軸線と一致させてカメラを装着するカメラ装着部を有する接写ユニット。
【請求項2】
接写装置への取り付け面、入射面およびカメラ装着部材取り付け面を有するユニット本体と、ユニット本体の上記カメラ装着部材取り付け面に装着されるカメラ装着部材と、ユニット本体に内蔵され上記入射面から入射する光を上記カメラ装着部に装着されるカメラの撮影レンズに導く反射部材を備えている接写ユニットであって、
ユニット本体は、上記入射面が水平の姿勢にあるとき上記カメラ装着部材取り付け面が斜め上方を向くように構成され、
上記反射部材は、上記ユニット本体の入射面から入射する光を偶数回反射して上記ユニット本体のカメラ装着部材取り付け面に対して直交する斜め上方に出射するように構成され、
カメラ装着部材は、カメラの撮影レンズ光軸を上記反射部材の出射面から出射される光の中心軸線と一致させてカメラを装着するカメラ装着部を有する接写ユニット。
【請求項3】
反射部材は、ユニット本体の入射面と平行な入射および第2反射面と、この入射および第2反射面からの入射光を反射し上記入射および第2反射面側に対し斜め方向に入射させることにより上記入射および第2反射面で反射させる第1反射面と、上記入射および第2反射面で反射される光を出射させる出射面を有するプリズムからなる請求項1または2記載の接写ユニット。
【請求項4】
反射部材は、入射面と、入射面に直交する方向から入射する光を斜めに反射する第1反射面と、第1反射面で反射される光を反射する第2反射面と、第2反射面で反射された光を出射させる出射面を有するプリズムからなる請求項1または2記載の接写ユニット。
【請求項5】
反射部材は、入射光を斜めに反射する第1ミラーと、第1ミラーで反射される光を、入射光と直交する方向に反射させて出射させる第2ミラーを備えてなる請求項1または2記載の接写ユニット。
【請求項6】
カメラ装着部材は、ユニット本体への取り付け部が、ユニット本体のカメラ装着部材取り付け面にスライド可能に取り付けられている請求項2記載の接写ユニット。
【請求項7】
カメラ装着部材のユニット本体への取り付け部に、反射部材の出射面から出射される光をカメラに導くための窓孔が形成されている、請求項2または6記載の接写ユニット。
【請求項8】
被写体載置台と、支柱と、支柱に取り付けられたカメラ装着部材を有し、カメラ装着部材に装着されるカメラによって被写体載置台上の被写体を上方から撮影する接写装置であって、上記カメラ装着部材に、請求項1ないし7のいずれかに記載されている接写ユニットが装着されている接写装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−96505(P2008−96505A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275147(P2006−275147)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(594183141)株式会社杉浦研究所 (4)
【Fターム(参考)】