説明

接合体の製造方法

【課題】接合体1を製造するための設備を簡素化すると共に、ランニングコストの低減を図る。
【解決手段】各金属部品3,5の接合面3f,5fにブラストメディアを吹付けることにより、各金属部品3,5の接合面3f,5fに対してブラスト処理を行うブラスト工程と、ブラスト工程の終了後に、一対の金属部品3,5の接合面3f,5fの間に溶融したロウ材Rを充填することにより、一対の金属部品3,5に対してロウ付け処理を行うロウ付け工程と、を具備し、ブラストメディアは、鉄系のカットワイヤ又はNi−Cr−Fe系の粉末であって、ブラストメディアの吹付け圧力は、250KPa以上であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の金属部品を接合してなる接合体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばニッケル合金から構成された一対の金属部品をロウ付けによって接合する場合、換言すれば、一対の金属部品を接合してなる接合体を製造する場合には、真空炉又は大気炉を用い、一対の金属部品の接合面の間に溶融したロウ材を充填することにより、一対の金属部品に対してロウ付け処理を行う。また、ロウ材の濡れ性を向上させて、一対の金属部品の接合強度(接合体の接合強度)を十分に確保するために、通常、一対の金属部品に対してロウ付け処理を行う前に、ニッケルめっき装置を用い、各金属部品の接合面に対してニッケルメッキ処理を行う。
【0003】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−229819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、金属部品の接合面に対してニッケルめっき処理を行うと、ニッケルを含むニッケル廃液が生じ、環境保全の要請からニッケル廃液の廃水処理(廃液処理)が必要になる。そのため、接合体を製造するための設備が大掛かりになると共に、ランニングコストが増大するとういう問題がある。
【0006】
なお、近年、各金属部品の接合面に対してニッケルめっき処理を行う代わりに、Ni−Cr−Fe系の粉末を吹付けて、各金属部品の接合面に対してブラスト処理を行うことによって、ロウ材の濡れ性を高める開発がなされているが(特許文献1参照)、ブラストメディアとロウ材の濡れ性の関係については十分な検討がなされてない。
【0007】
そこで、本発明は、ブラストメディアとロウ材の濡れ性の関係について十分に検討した上で、前述の問題を解決することができる、新規な構成の接合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、前述の課題を解決するために、ロウ材の濡れ性試験及び接合強度試験を行った結果、一対の金属部品に対してロウ付け処理を行う前に、ブラストメディア(研削材)としてCCW(コンディションドカットワイヤ)等の鉄系のカットワイヤ又はNICRO粉末等(NICROはWALL COLMONOY社の商品で、Ni:35.0重量%、Cr:15.0重量%、残余がFeの粉末)のNi−Cr−Fe系の粉末を選定し、選定したブラストメディアを250KPa以上の吹付け圧力下で各金属部品の接合面に吹付けて、各金属部品の接合面に対してブラスト処理を行うことにより、ロウ材の濡れ性を高いレベルまで向上させて、一対の金属部品の接合強度(剪断強さ)を十分に確保することができるという、新規な知見を得ることができ、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の特徴は、一対の金属部品を接合してなる接合体を製造する方法において、各金属部品の接合面にブラストメディア(研削材)を吹付けることにより、各金属部品の接合面に対してブラスト処理を行い、各金属部品の接合面を清浄化するブラスト工程と、前記ブラスト工程の終了後に、一対の前記金属部品の接合面の間に溶融したロウ材を充填することにより、一対の前記金属部品に対してロウ付け処理を行い、一対の前記金属部品を接合するロウ付け工程と、を具備し、前記ブラストメディアは、鉄系のカットワイヤ又はNi−Cr−Fe系の粉末であって、前記ブラストメディアの吹付け圧力(圧縮空気の吹付け圧力)は、250KPa以上であること要旨とする。
【0010】
ここで、鉄系のカットワイヤとは、鋼系のカットワイヤを含む意である。
【0011】
本発明の特徴によると、前記ブラストメディアが鉄系のカットワイヤ又はNi−Cr−Fe系の粉末であって、前記ブラストメディアの吹付け圧力が250KPa以上であるため、前述の新規な知見を適用すると、各金属部品の接合面に対してニッケルめっき処理を行うことなく、前記ロウ材の濡れ性を高いレベルまで向上させて、一対の前記金属部品の接合強度(前記接合体の接合強度)を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各金属部品の接合面に対してニッケルめっき処理を行うことなく、前記ロウ材の濡れ性を高いレベルまで向上させて、一対の前記金属部品の接合強度(剪断強さ)を十分に確保できるため、前記接合体を製造するための設備を簡素化することができると共に、ランニングコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は、本発明の実施形態に係る接合体を示す図、図1(b)は、本発明の実施形態に係る接合体の製造方法におけるブラスト工程を説明する図、図1(c)は、本発明の実施形態に係る接合体の製造方法におけるロウ付け工程を説明する図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施例に係るニッケルロウ材の濡れ性試験に使用する薄板試験片にニッケルロウ材をセットした状態を示す平面図、図2(b)は、加熱後における図2(a)のB-B線に沿った拡大図、図2(c)は、前処理と前処理の終了後から10時間後にロウ付けした場合のニッケルロウ材の濡れ角との関係、及び前処理と前処理の終了後から10日後にロウ付けした場合のニッケルロウ材の濡れ角との関係を示す図表、図2(d)は、CCWの吹付け圧力とニッケルロウ材の濡れ角との関係を示す図表である。
【図3】図3(a)は、AL2O3粉末のブラスト終了後から10時間後にロウ付けしたWaspaloyの薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図、図3(b)は、SiC粉末のブラスト終了後から10時間後にロウ付けしたWaspaloyの薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図、図3(c)は、NICRO粉末ブラスト終了後から10時間後にロウ付けしたWaspaloyの薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図である。
【図4】図4(a)は、CCWのブラスト終了後から10時間後にロウ付けしたWaspaloyの薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図、図4(b)は、ニッケルめっき終了後から10時間後にロウ付けしたWaspaloyの薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図である。
【図5】図5(a)は、NICRO粉末ブラスト終了後から10日後にロウ付けしたWaspaloyの薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図、図5(b)は、CCWのブラスト終了後から10日後にロウ付けしたWaspaloyの薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図、図5(c)は、ニッケルめっきの処理後から10日後にロウ付けしたWaspaloyの薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図である。
【図6】図6(a)は、CCWの吹付け圧力200KPaのブラスト後にロウ付けしたInco718の薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図、図6(b)は、CCWの吹付け圧力250KPaのブラスト後にロウ付けしたInco718の薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図、図6(c)は、CCWの吹付け圧力300KPaのブラスト後にロウ付けしたInco718の薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図である。
【図7】図7(a)は、CCWの吹付け圧力350KPaのブラスト後にロウ付けしたInco718の薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図、図7(b)は、CCWの吹付け圧力400KPaのブラスト後にロウ付けしたInco718の薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図、図7(c)は、CCWの吹付け圧力500KPaのブラスト後にロウ付けしたInco718の薄板試験片の一部を示す電子顕微鏡写真図である。
【図8】図8(a)は、本発明の実施例に係る接合強度試験に使用するラップシェア試験片の平面図、図8(b)は、ラップシェア試験片の正面図、図8(c)は、前処理とInco718のラップシェア試験片の接合強度との関係、及び前処理とWaspaloyのラップシェア試験片の接合強度との関係を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
本発明の実施形態に係る接合体及び本発明の実施形態に係る接合体の製造方法等について図1(a)(b)(c)を参照して説明する。
【0015】
図1(a)に示すように、本発明の実施形態に係る接合体1は、一対の金属部品3,5を接合してなるものであって、各金属部品3,5は、例えばWaspaloy又はInco718等のニッケル合金から構成されている。また、一方の金属部品3の接合面3fと他方の金属部品5の接合面5fとの間には、ロウ付け接合部7が介在されており、このロウ付け接合部7は、ロウ材の1つであるニッケルロウ材R(図1(c)参照)から構成されている。
【0016】
本発明の実施形態に係る接合部の製造方法は、接合体1を製造する方法であって、ブラスト工程とロウ付け工程とを具備している。そして、各工程の具体的な内容は、次のようになる。
【0017】
ブラスト工程
まず、各金属部品3,5の接合面3f,5fに対して脱脂処理を行う。そして図1(b)に示すように、ブラスト装置におけるノズル9(ブラスト装置の大部分は図示省略)から圧縮空気に乗せて各金属部品3,5の接合面3f,5fにブラストメディア(研削材)Mを吹付けることにより、各金属部品3,5の接合面3f,5fに対してブラスト処理を行って、各金属部品3,5の接合面3f,5fを清浄化することができる。
【0018】
ここで、ブラスト処理に使用するブラストメディアMは、CCW(コンディションドカットワイヤ)等のカットワイヤ又はNICRO粉末等のNi−Cr−Fe系の粉末である。ブラストメディアMをカットワイヤ又はNi−Cr−Fe系の粉末に限定したのは、ニッケルロウ材の濡れ性を高いレベルまで向上させると共に、金属部品3,5の接合面3f,5fのブラスト処理の終了時からある程度日数(10日程度)を経過するまで常温環境下で放置しても、ニッケルロウ材Rの濡れ性が劣化しないためである(後述の実施例参照)。
【0019】
ためである。
【0020】
また、ブラストメディアMの吹付け圧力(圧縮空気の吹付け圧力)は、250KPa以上、好ましくは300〜500KPaである。ブラストメディアMの吹付け圧力を250KPaとしたのは、ブラストメディアMの吹付け圧力が250KPaに満たないと、ニッケルロウ材Rの濡れ性を高いレベルまで向上させることが困難になるからである(後述の実施例参照)。一方、ブラストメディアMの吹付け圧力を500KPa以下としたのは、ブラストメディアMの吹付け圧力を500KPaを越えると、高性能のブラスト装置が必要になり、接合体1を製造するための設備が大掛かりになる可能性があるからである。
【0021】
ロウ付け工程
ブラスト工程の終了後に、一対の金属部品3,5の接合面3f,5fを対向させかつ一対の金属部品3,5の接合面3f,5fの間にニッケルロウ材Rをセットした状態で、一対の金属部品3,5を真空炉における加熱室11(真空炉の大部分は図示省略)内に搬入する。そして、真空炉における加熱室11内を所定の真空雰囲気に保持しつつ、AMS4777に規定された加熱サイクルに基づいて真空炉における加熱室11内を加熱して、ニッケルロウ材Rの融点以上の温度を所定時間保持することにより、一対の金属部品3,5の接合面3f,5fの間に溶融したニッケルロウ材Rを充填することができる。更に、一対の金属部品3,5を真空炉における加熱室11内から冷却室13内に搬送して、真空炉における冷却室13内にアルゴンガス等の不活性ガスを攪拌させることにより、一対の金属部品3,5等を常温まで冷却する。これにより、一対の金属部品3,5に対してロウ付け処理を行って、一対の金属部品3,5をロウ付け接合部7を介して接合することができる。
【0022】
なお、フラックスを利用する場合には、真空炉の代わりに大気炉(図示省略)を用いて、一対の金属部品3,5に対してロウ付け処理を行うようにしても構わない。
【0023】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0024】
ブラストメディアMが鉄系のカットワイヤ又はNi−Cr−Fe系の粉末であって、ブラストメディアMの吹付け圧力が250KPa以上であるため、前述の新規な知見を適用すると、各金属部品3,5の接合面3f,5fに対してニッケルめっき処理を行うことなく、ニッケルロウ材Rの濡れ性を高いレベルまで向上させて、一対の金属部品3,5の接合強度(接合体1の接合強度)を十分に確保することができる。
【0025】
また、同じ理由により、ブラスト工程の終了後からロウ付け工程の開始まである程度日数を経過するまで常温環境下で放置しても、ニッケルロウ材Rの濡れ性を高いレベルで維持することができる。
【0026】
従って、本発明の実施形態によれば、各金属部品3,5の接合面3f,5fに対してニッケルめっき処理を行うことなく、ニッケルロウ材Rの濡れ性を高いレベルまで向上させて、一対の金属部品3,5の接合強度(剪断強さ)を十分に確保できるため、接合体1を製造するための設備を簡素化することができると共に、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0027】
また、ブラスト工程の終了後からロウ付け工程の開始まである程度日数が経過しても、ニッケルロウ材Rの濡れ性を高いレベルで維持することができるため、接合体1の製造に関して時間的な自由度が拡がり、接合体1の製造作業の能率を高めることができる。
【0028】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【0029】
[実施例]
本発明の実施例について図2から図8を参照して説明する。
【0030】
(1)ニッケルロウ材の濡れ性試験I
Waspaloyの薄板試験片の表面に対して脱脂処理を行った。次に、ブラスト装置におけるノズルから圧縮空気に乗せてWaspaloyの薄板試験片の表面に各種ブラストメディアを吹付けることにより、Waspaloyの薄板試験片の表面に対して前処理としてのブラスト処理を行った。ここで、ブラストメディアの吹付け圧力は、4.0kgf/cm2(≒392KPa)であって、ブラスト装置におけるノズルとWaspaloyの薄板試験片との距離は、100mm程度である。更に、ブラスト処理の終了時から10時間又は10日間経過するまで、常温環境下でWaspaloyの薄板試験片を放置した。そして、図2(a)に示すように、Waspaloyの薄板試験片の表面にニッケルロウ材(幅1.5mm、長さ30mm)をセットして、前述の加熱サイクルに基づいてWaspaloyの薄板試験片等に加熱処理を行い、ニッケルロウ材の濡れ角(図1(b)参照)を測定した。なお、比較のために、ブラスト処理に代えて前処理としてニッケルめっき処理を行った場合、前処理を行わなかった場合についても、同様の加熱処理を行い、ニッケルロウ材の濡れ角の測定をした。
【0031】
ニッケルロウ材の濡れ性試験Iの結果をまとめると、図2(c)に示すようになる。即ち、NICRO粉末のブラスト処理、CCWのブラスト処理を前処理として行った場合には、ニッケルめっき処理を前処理として行った場合に比べて、ニッケルロウ材の濡れ角を小さくして、ニッケルロウ材の濡れ性を高いレベルまで向上させることが判明した。また、NICRO粉末のブラスト処理、CCWのブラスト処理を前処理として行った場合には、ブラスト処理の終了時からある程度日数(10日程度)を経過するまで常温環境下で放置しても、ニッケルロウ材の濡れ性が劣化しないことが判明した。一方、AL2O3粉末のブラスト処理、SiC粉末のブラスト処理を行った場合には、ニッケルめっき処理を前処理として行った場合に比べて、ニッケルロウ材の濡れ角が大きくなってニッケルロウ材の濡れ性が低下することが判明した。なお、図3から図5は、前処理後にロウ付けしたWaspaloyの薄板試験片の状態を各前処理毎に示してある。
【0032】
(2)ニッケルロウ材の濡れ性試験II
Inco718の薄板試験片の表面に対して脱脂処理を行った。次に、CCWの吹付け圧力(圧縮空気の吹付け圧力)を変更しつつ、ブラスト装置におけるノズルから圧縮空気に乗せてInco718の薄板試験片の表面にCCWを吹付けることにより、Inco718の薄板試験片の表面に対して前処理としてのCCWのブラスト処理を行った。ここで、ブラスト処理時におけるCCWの吹付け圧力は、200KPa、250KPa、300KPa、350KPa、400KPa、500KPaであって、ブラスト装置におけるノズルとInco718の薄板試験片との距離は、100mm程度である。そして、図2(a)に示すように、Inco718の薄板試験片の表面にニッケルロウ材(幅1.5mm、長さ30mm)をセットして、前述の加熱サイクルに基づいてInco718の薄板試験片等に加熱処理を行い、ニッケルロウ材の濡れ角(図1(b)参照)を測定した。
【0033】
ニッケルロウ材の濡れ性試験IIの結果をまとめると、図2(d)に示すようになる。即ち、CCWの吹付け圧力が250KPa以上になると、ニッケルロウ材の濡れ角を小さくして、ニッケルロウ材の濡れ性を高いレベルまで向上させることが判明した。なお、図6及び図7は、前処理後にロウ付けしたInco718の薄板試験片の状態を各CCWの吹付け圧力毎に示してある。
【0034】
(3)接合強度試験
NICRO粉末のブラスト処理、CCWのブラスト処理、又はニッケルめっき処理を行い、続いて、前述の加熱サイクルに基づいてロウ付け処理を行うことにより、図8(a)(b)に示すようなInco718及びWaspaloyのラップシェア試験片を製作する。なお、ブラスト処理時におけるNICRO粉末の吹付け圧力及びCCWの吹付け圧力は、300KPaである。そして、各種のラップシェア試験片について接合強度試験(引張試験)を行い、接合強度(剪断強さ)を測定した。
【0035】
接合強度試験の結果をまとめると、図8(c)に示すようになる。即ち、NICRO粉末のブラスト処理及びCCWのブラスト処理の前処理を行った場合におけるInco718及びWaspaloyのラップシェア試験片の接合強度は、ニッケルめっき処理を前処理を行った場合におけるInco718及びWaspaloyのラップシェア試験片の接合強度と同等以上の接合強度を確保できることが確認できた。なお、図示は省略するが、ブラスト処理時におけるNICRO粉末の吹付け圧力及びCCWの吹付け圧力が300KPa以外であっても、250KPa以上であれば同様の結果を得られることが確認できた。
【符号の説明】
【0036】
M ブラストメディア
R ニッケルロウ材
1 接合体
3 金属部品
3f 接合面
5 金属部品
5f 接合面
7 接合部
9 ブラスト装置におけるノズル
11 真空炉における加熱室
13 真空炉における冷却室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の金属部品を接合してなる接合体を製造する方法において、
各金属部品の接合面にブラストメディアを吹付けることにより、各金属部品の接合面に対してブラスト処理を行い、各金属部品の接合面を清浄化するブラスト工程と、
前記ブラスト工程の終了後に、一対の前記金属部品の接合面の間に溶融したロウ材を充填することにより、一対の前記金属部品に対してロウ付け処理を行い、一対の前記金属部品を接合するロウ付け工程と、を具備し、
前記ブラストメディアは、鉄系のカットワイヤ又はNi−Cr−Fe系の粉末であって、
前記ブラストメディアの吹付け圧力は、250KPa以上であること特徴とする接合体の製造方法。
【請求項2】
前記ブラストメディアの吹付け圧力は、300〜500KPaであることを特徴とする請求項1に記載の接合体の製造方法。
【請求項3】
前記金属部品は、ニッケル合金から構成されあって、前記ロウ材は、ニッケルロウ材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−143441(P2011−143441A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5828(P2010−5828)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】