説明

接合部材の製造装置及び接合部材の製造方法

【課題】2枚の基板を貼り合わせて接合部材を製造する場合に、一方の基板が薄い場合でも、基板間の相対的なずれの発生を防止し、表面の歪の発生を防止し、膜厚を均一にする。
【解決手段】第1の基板11と第2の基板12とを接合する接合部材の製造装置10であって、第1の基板11上に液体状態の樹脂膜13を形成する樹脂膜形成手段20と、樹脂膜形成手段20で形成された樹脂膜13の外周端部14を未硬化状態に維持し、外周端部14で囲まれた内周部15を半硬化状態に硬化させる半硬化手段30と、第2の基板12を、外周端部14が未硬化状態で内周部15が半硬化状態の樹脂膜13に、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように接触させ、第1の基板11と第2の基板12とを貼り合わせる基板貼り合わせ手段40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接合部材の製造装置及び接合部材の製造方法に関する。詳しくは、樹脂膜の硬化の状態を調整して接合部材としての2枚の基板を接合する接合部材の製造装置及び接合部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接合部材の製造、特に液晶パネルのように基板が円形状ではない光学デバイスの製造においては、いわゆる、フィッシュボーンのような形状に樹脂を塗布して貼り合わせていた。すなわち、一方の基板の中心付近に主要部となる樹脂を塗布し、その主要部から基板の外周に向かって複数の誘導部を塗布した後に、他方の基板と向かい合わせて、双方の間隔を徐々に近づけながら塗布した樹脂を基板全体に広げるように貼り合わせを行っていた。(特許文献1,2参照)
【0003】
図18に従来の接合方法を模式的に示す。比較的厚みのある基板11E,12E同士の貼り合わせについては、一方の基板12Eを保持手段41Eにより保持した状態で、保持手段41Eの四隅の切り落とし部17Eから紫外線照射手段31Eで紫外線を照射して仮付けすることで、接合後に保持状態を解除しても、重ね合わせた2枚の基板11E,12Eの初期状態を維持することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2011−22508号公報
【特許文献2】特開平2011−67802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2枚の基板のうちの1つ以上が薄い基板の場合には、貼り合わせ後の膜厚を均一に保つことが困難であった。例えば、保持手段の保持面の形状や、吸着穴の存在によって、フィルム状の基板の表面に歪みが発生し、膜厚の均一性に大きく影響する。
【0006】
従来の保持手段によりフィルム状の薄い基板を保持手段41Eに保持した状態で、保持手段41Eの四隅の切り落とし部17Eから紫外線照射手段31Eで紫外線を照射して仮付けした場合には、次のような問題が生じる。つまり、保持手段41Eの端部と基板11Eとの間から基板内部に入射する光が保持手段41Eと基板11との間で散乱したり、紫外線が遮断されている領域と紫外線が照射されている領域が発生することにより、紫外線の照射量に差異が発生し、樹脂膜13Eに硬化ムラが発生する。そのため、フィルム状の基板の表面に歪み(うねり)が発生し膜厚を均一に保つことができないという問題があった。
【0007】
ここで、貼り合わせ後の樹脂膜の硬化工程において、フィルム状の基板を保持している保持手段41Eを外して、フィルム状の基板を保持せずに硬化を行うことができれば、保持手段41Eが障害とならずに樹脂膜13Eを均一に硬化できる。しかし、フィルム状の基板から保持手段41Eを外すと、基板11E上の最適な位置に重ね合わせたフィルム状の基板がずれてしまうという問題があった。
【0008】
なお、基板間に相対的なずれが存在したり、フィルム状の基板の表面に歪み(うねり)が発生して膜厚が不均一になると、視認性を著しく低下させるとともに外観を損なう。さらに、フィルム状の基板としてタッチパネルを基板に貼り合わせる場合には、タッチセンサの感度が不均一になってしまう。
【0009】
本発明は、2枚の基板を貼り合わせて接合部材を製造する場合に、一方の基板が薄い基板の場合でも、基板間の相対的なずれの発生を防止するとともに、薄い基板の表面に歪(うねり)が発生することを防止して、膜厚を均一にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る接合部材の製造装置10は、例えば図1に示すように(各部については図3参照)、第1の基板11と第2の基板12とを接合する接合部材の製造装置10であって、第1の基板11上に液体状態の樹脂膜13を形成する樹脂膜形成手段20と、樹脂膜形成手段20で形成された樹脂膜13の外周端部14を未硬化状態に維持し、外周端部14で囲まれた内周部15を半硬化状態に硬化させる半硬化手段30と、第2の基板12を、外周端部14が未硬化状態で内周部15が半硬化状態の樹脂膜13に、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように接触させ、第1の基板11と第2の基板12とを貼り合わせる基板貼り合わせ手段40とを備える。
【0011】
ここにおいて、接合部材とは2以上の部材が接合剤(接着剤)により貼り合わせられて製造されたものをいう。したがって、接合部材の製造装置とは、2以上の部材を接合剤を用いて貼り合わせる装置をいう。本明細書では第1の基板11と第2の基板12とを貼り合わせる場合を取扱う。第1の基板11と第2の基板12として任意の基板を選択可能であるが、典型例として、第1の基板11が液晶パネル等の光学デバイス用の基板、第2の基板12として、保護フィルム等の透明な薄い基板の例を取扱う。基板の形状は、典型的には長方形平板状であるが、長方形に限られず円形、ハート形等任意の形状が可能であり、平板状に限られず多少の湾曲、凹凸、厚さの変化があっても良く、フレキシブルな材料で構成されていても良い。樹脂膜13の外周端部14とは、第1の基板11に塗布された樹脂膜13を、第1の基板11の法線方向から見た時の外周から所定の幅内の領域をいう。所定の幅は適宜定めることができるが、ここでは、液体状態の樹脂の塗布時に、外周に他の部分に比して盛り上がった部分ができるので、このような盛り上がりができる幅とおよそ一致するか、それを少し超えれば(例えば前記幅の1〜2倍)良いものとする。内周部15とは塗布された樹脂膜13のうち、外周端部14に囲まれた領域をいう。
【0012】
また、樹脂膜13の硬化状態について、製品として十分な硬さを有する状態を完全硬化状態といい、半硬化状態とは、完全硬化状態よりも硬化度が低く、第2の基板12に対する接着性が残っている状態をいう。また、弾性係数(応力/ひずみ)が完全硬化状態よりも小さい状態をいう。未硬化状態とは硬化処理(紫外線照射)されていないか、硬化処理がされたとしても十分ではなく、液体状態が維持されている状態、すなわち流動性を維持している状態をいう。
【0013】
本態様のように構成すると2枚の基板を貼り合わせて接合部材を製造する場合に、一方の基板が薄い基板の場合でも、(1)樹脂膜13の内周部15が半硬化していることで樹脂が増粘され、一方の基板を他方の基板に貼り合わせる際に、一方の基板が他方の基板に仮付けされるので、基板間の相対的なずれの発生を防止し、(2)薄い基板の表面に歪(うねり)が発生することを防止して、膜厚を均一にする接合部材の製造装置10を提供することができる。
【0014】
また、本発明の第2の態様に係る接合部材の製造装置10は、例えば図1及び図3に示すように、第1の態様において、半硬化手段30は、樹脂膜13を硬化する紫外線を照射する紫外線照射手段31と、樹脂膜形成手段20で形成された樹脂膜13の外周端部14を、紫外線照射手段31による紫外線の照射から遮蔽する遮蔽手段32とを有する。
【0015】
このように構成すると、遮蔽手段32を用いて紫外線照射を行うことにより、第1の基板11に形成された樹脂膜13に対して、確実に、外周端部14を未硬化状態に維持し、内周部15を半硬化状態に硬化させることができる。また、例えば、紫外線照射時間又は紫外線の強度を制御することにより半硬化状態を適切に調整できる。
【0016】
また、本発明の第3の態様に係る接合部材の製造装置10は、例えば図5に示すように、第1又は第2の態様において、第2の基板12が透明性の高分子フィルムであり、基板貼り合わせ手段40は、第1の基板11を搭載する搭載手段21と、第2の基板12を第1の基板11側に押圧しながら、外周端部14の一方の端部側から他方の端部側に転がすことにより、第2の基板12を第1の基板11に貼り合わせるローラー手段42とを有する。
【0017】
ここにおいて、第2の基板12としての高分子フィルムには、透明性が求められるが、第1の基板11を構成する光学デバイスに応じて様々な特性が要求される。高分子フィルムは、第1の基板11が液晶パネルのような光デバイスの場合には、透明性と液晶パネルの表面を汚染から保護する保護機能を有する。その他に、携帯電話に用いる場合には、光学補償に使用されるポリカーボネート(PC)系フィルムが好ましく、タッチパネルに用いる場合には、シンクロオレフィン(COP)系フィルムが好ましい。また、本明細書では、第1の基板11を搭載するものを搭載手段21、第2の基板12を保持するものを保持手段41(第4の態様参照)として区別することとするが、搭載手段21でも保持用の真空吸着孔や爪を有して保持機能を有しても良く、保持手段41でも単に搭載するだけのものでも良い。
【0018】
このように構成すると、第2の基板12を第1の基板11上に塗布された樹脂膜13に貼り合わせる際に、内周部15を半硬化状態にした樹脂膜13に対してローラー手段42を使用するので、基板間の相対的なずれの発生を防止できるとともに、貼り合わせ後の基板の表面に歪(うねり)が発生するのを防止し、平滑に、膜厚を均一にできる。また、第2の基板12と樹脂膜13の間に気泡が入りにくいという利点がある。
【0019】
また、本発明の第4の態様に係る接合部材の製造装置10Aは、例えば図8及び図9に示すように、第1又は第2の態様において、基板貼り合わせ手段40Aは、第1の基板11を搭載する搭載手段21と、第2の基板12を保持する保持手段41と、保持手段41と連結されて保持手段41を回動させる回動手段43とを有し、搭載手段21と保持手段41の間隔を制御し、かつ、保持手段41に保持された第2の基板12を、外周端部14が未硬化状態に維持され内周部15が半硬化状態に硬化された樹脂膜13に、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動しながら接触するように回動手段43を制御する制御手段50を備える。
【0020】
このように構成すると、第2の基板12を保持手段41で保持し、回動させて第1の基板11上の樹脂膜に接触させるので、基板貼り合わせ工程を自動化し易い。また、基板貼り合わせ工程のプログラム処理も可能であり、この場合、搭載手段21と保持手段41の間隔を調整しながら、回動手段43を制御するので、既接触部分と未接触部分の境界線を一方向的に移動させることができる。
【0021】
また、本発明の第5の態様に係る接合部材の製造装置10Dは、例えば図16及び図17に示すように、第4の態様において、基板貼り合わせ手段40は、さらに、基板厚み測定手段70を備え、基板厚み測定手段70による少なくとも第1の基板11又は第2の基板12のいずれかの厚みデータに基づいて、搭載手段21と保持手段41の間隔を調整する。
【0022】
このように構成すると、基板厚み測定手段70を用いて、事前に第1の基板又は第2の基板の厚さがわかるので、基板貼り合わせ時の搭載手段21又は保持手段41の高さを調整可能である。
【0023】
また、本発明の第6の態様に係る接合部材の製造装置10Cは、例えば図14及び図15に示すように、第1又は第2の態様において、樹脂膜形成手段20は、第1の基板11面に平行な樹脂供給用スリットから液体状態の樹脂を供給し、樹脂供給用スリットに対して垂直かつ第1の基板11面に平行に移動可能な、第1の基板11上に液体状態の樹脂膜13を塗布するスリットコータ22を有し、半硬化手段30は、樹脂膜形成手段20で第1の基板11上に形成された液体状態の樹脂膜13に紫外線を照射する紫外線照射手段20であって、スリットコータ22と一体的に構成され、樹脂供給用スリットに平行な方向に紫外線照射用スリットを有し、紫外線照射用スリットは長手方向の両端部において、樹脂供給用スリットの長手方向に比して所定の長さ短く形成された紫外線照射手段31を有する。
【0024】
ここにおいて、所定の長さは典型的には片側の端部で外周端部14の幅であり、両側を合計すると外周端部14の幅の2倍である。本態様のように構成すると、スリットコータ22と紫外線照射手段31とが一体的に形成されているので、液体状態の樹脂13を滴下した一定時間経過に自動的に紫外線照射がなされる。また、紫外線照射用スリットは長手方向の両端部において樹脂供給用スリットの長手方向に比して短く形成されているので、遮蔽手段を用いずに、自動的に外周端部14に、未照射領域すなわち未硬化領域が形成される。典型的には、一定時間は樹脂供給用スリットと紫外線照射用スリットの間隔を走査速度で除した値である。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の第7の態様に係る接合部材の製造方法は、例えば図2に示すように(各部の構成については図3参照)、第1の基板11と第2の基板12とを接合する接合部材の製造方法であって、第1の基板11上に液体状態の樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程(Step2)と、樹脂膜形成工程(Step2)で形成された樹脂膜13の外周端部14を未硬化状態に維持し、外周端部14で囲まれた内周部15を半硬化状態に硬化させる半硬化工程(Step4)と、第2の基板12を、外周端部14が未硬化状態で内周部15が半硬化状態の樹脂膜13に、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように接触させ、第1の基板11と第2の基板12とを貼り合わせる基板貼り合わせ工程(Step6)とを備える。
【0026】
このように構成すると、2枚の基板を貼り合わせて接合部材を製造する場合に、一方の基板が薄い基板の場合でも、(1)樹脂膜13の内周部15が半硬化していることで樹脂が増粘され、一方の基板を他方の基板に貼り合わせる際に、一方の基板が他方の基板に仮付けされるので、基板間の相対的なずれの発生を防止できる、(2)薄い基板の表面に歪(うねり)が発生することを防止して、膜厚を均一にする接合部材の製造方法を提供することができる。
【0027】
また、本発明の第8の態様に係る接合部材の製造方法は、例えば図2及び図3に示すように、第7の態様において、半硬化工程(Step4)は、樹脂膜13を硬化する紫外線を照射する紫外線照射工程(Step4)と、樹脂膜形成工程(Step2)で形成された樹脂膜13の外周端部14を、紫外線照射工程(Step4)による紫外線の照射から遮蔽する遮蔽工程(Step3)を有する。
【0028】
このように構成すると、遮蔽手段32を用いて紫外線照射を行うことにより、第1の基板11に形成された樹脂膜13に対して、確実に、外周端部14を未硬化状態に維持し、内周部15を半硬化状態に硬化させることができる。また、紫外線照射時間又は紫外線の強度を制御することにより半硬化状態を適切に調整できる。
【0029】
また、本発明の第9の態様に係る接合部材の製造方法は、例えば図5に示すように、第7又は第8の態様において、第2の基板12が透明性の高分子フィルムであり、基板貼り合わせ工程(Step6)において、ローラー手段42で第2の基板12を第1の基板11側に押圧しながら、外周端部14の一方の端部側から他方の端部14側に転がすことにより、第1の基板11と第2の基板12とを貼り合わせる。
【0030】
このように構成すると、第2の基板12を第1の基板11上に塗布された樹脂膜13に貼り合わせる際に、内周部15を半硬化状態にした樹脂膜13に対してローラー手段42ローラー手段42を使用するので、基板間の相対的なずれの発生を防止できるとともに、貼り合わせ後の基板の表面に歪(うねり)が発生するのを防止し、平滑に、膜厚を均一にできる。また、第2の基板12と樹脂膜13の間に気泡が入りにくいという利点がある。
【0031】
また、本発明の第10の態様に係る接合部材の製造方法は、例えば図9に示すように、第7ないし第9のいずれかの態様において、基板貼り合わせ工程(Step6)は、第1の基板11を搭載する搭載手段21と、第2の基板12を保持する保持手段41と、保持手段41と連結されて保持手段41を回動させる回動手段43とを用いて搭載手段21と保持手段41の間隔を制御し、かつ保持手段41に保持された第2の基板12を、外周端部14が未硬化状態に維持され内周部15が半硬化状態に硬化された樹脂膜13に、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動しながら接触するように回動手段43を制御して、第2の基板12を第1の基板11に貼り合わせる。
【0032】
このように構成すると、第2の基板12を保持手段41で保持し、回動させて第1の基板11上の樹脂膜13に接触させるので、基板貼り合わせ工程(Step6)を自動化し易い。また、基板貼り合わせ工程(Step6)のプログラム処理も可能であり、この場合、搭載手段21と保持手段41の間隔を調整しながら、回動手段43を制御するので、既接触部分と未接触部分の境界線を一方向的に移動させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、2枚の基板を貼り合わせて接合部材を製造する場合に、一方の基板が薄い基板の場合でも、基板間の相対的なずれの発生を防止することができるとともに、薄い基板の表面に歪(うねり)が発生することを防止して、膜厚を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1における接合部材の製造装置の構成例を示す図である。
【図2】実施例1における接合部材の製造方法の処理フロー例を示す図である。
【図3】実施例1における接合部材の製造装置の各部の処理を示す図である。
【図4】樹脂膜形成工程で形成された液体状態の樹脂膜の膜厚分布を模式的に示す図である。
【図5】実施例1における接合部材の基板貼り合わせ工程の例を示す図である。
【図6】実施例1における保持手段の例を示す図である。
【図7】実施例2における基板貼り合わせ手段を模式的に示す図である。
【図8】実施例3における接合部材の製造装置の構成例を示す図である。
【図9】実施例3における基板貼り合わせ工程の例を説明する図である。
【図10】フィルムが樹脂膜に接触した時の様子を示す図である。
【図11】保持手段が第2の基板を曲面状に保持する例を示す図である。
【図12】実施例5における接合部材の製造装置の構成例を示す図である。
【図13】第1の基板と第2の基板間に電界を印加する例を示す図である。
【図14】実施例6における接合部材の製造装置の構成例を示す図である。
【図15】塗布手段としてのスリットコータと紫外線照射手段が一体的に形成されている例を示す図である。
【図16】実施例7における接合部材の製造装置の構成例を示す図である。
【図17】第1の基板の厚みを測定する例を示す図である。
【図18】従来の接合方法を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において、互いに同一又は相当する部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【実施例1】
【0036】
実施例1では、紫外線遮蔽手段を用いて、樹脂膜の外周端部を未硬化状態に維持し、内周部を半硬化状態に硬化させる例で、第1の基板を搭載手段に搭載し、ローラー手段を用いて第2の基板を、第1の基板側に押圧しながら、外周端部の一方の端部側から他方の端部側に転がすことにより、第2の基板を第1の基板に貼り合わせる例を説明する。
【0037】
図1に実施例1における接合部材の製造装置10の構成例を示す。接合部材の製造装置10の各部については図3、図5を参照されたい。図1において、接合部材の製造装置10は、第1の基板11と第2の基板12とを接合する装置である。接合部材の製造装置10は、第1の基板11上に液体状態の樹脂膜13を形成する樹脂膜形成手段20と、樹脂膜形成手段20で形成された樹脂膜13の外周端部14を未硬化状態に維持し、外周端部14で囲まれた内周部15を半硬化状態に硬化させる半硬化手段30と、外周端部14が未硬化状態で内周部15が半硬化状態の樹脂膜13に第2の基板12を接触させ、押圧をかけながら第1の基板11と第2の基板12とを貼り合わせる基板貼り合わせ手段40とを備える。貼り合わせる際には、例えば、樹脂膜13の外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように接触させ、第2の基板を第1の基板に貼り合わせることが可能である。
【0038】
第1の基板11が液晶等の光学デバイス、第2の基板12がフィルム状の薄い基板の例を示す。第2の基板12は透明で光学デバイスを汚染から保護するフィルムであれば良いが、例えば携帯電話に使用する場合には、光学補償に使用されるポリカーボネート(PC)系フィルムが好ましく、タッチパネルに使用する場合には、シンクロオレフィン(COP)系フィルムが好ましい。樹脂膜13は第1の基板11と第2の基板を接合する接合剤(接着剤)として使用される。樹脂膜13には、透明で、粘着性がある紫外線硬化性の高分子樹脂を使用可能であるが、例えばエポキシ、ポリエステル又はウレタンを主鎖とする変性アクリレートを使用できる。樹脂膜13(接合剤)は塗布時には液体状態で、紫外線照射により硬化し、流動性がなくなる。
【0039】
樹脂膜13の硬化状態について、製品として十分な硬さを有する状態を完全硬化状態といい、半硬化状態とは、完全硬化状態よりも硬化度が低く、第2の基板12に対する接着性が残っている状態をいう。また、弾性係数(応力/ひずみ)が完全硬化状態よりも小さい状態をいう。未硬化状態とは硬化処理(紫外線照射)されていないか、硬化処理がされたとしても十分ではなく、液体状態が維持されている状態、すなわち流動性を維持しており、半硬化状態と比較して粘度が低い状態をいう。
【0040】
樹脂膜形成手段20は、第1の基板11を搭載する搭載手段21と、接合剤13としての樹脂を第1の基板11に塗布する塗布手段22と、搭載手段21に対して塗布手段22を走査する走査手段23を有する。本実施例では搭載手段21として載置台を使用し、載置台21に第1の基板11の接合面を上に向けて水平に保持する例を説明するが、基板の接合面の方位は水平に限られず、任意の方位に向けて良く、下に向けても良い(図7参照)。また、本実施例では真空吸引して保持するが、真空吸引に代えて基板の端部を爪で掴むように把持しても良く、静電気や接着力が比較的弱い接着剤で保持しても良い。
【0041】
また、本実施例では塗布手段22として、第1の基板11面に平行な樹脂供給用スリットから液体状態の樹脂を供給するスリットコータを用い、走査手段23の走査方向を第1の基板11面に平行で樹脂供給用スリットに垂直な方向とする。スリットコータ22から第1の基板11の直下の線状領域への液体状態の樹脂の滴下と走査手段23によるスリットコータ22の走査によって、第1の基板11の表面に液体状態の樹脂膜13が形成される。樹脂膜13の膜厚は例えば50〜200μm程度である。樹脂膜13は内周部15に比して外周端部14で盛り上がる傾向にある。かかる現象は樹脂膜13の流動性と表面張力の作用によると考えられる。スリットコータ22にはスリットコータ22の上方に設けられた図示しない樹脂容器から適宜樹脂が供給される。なお、スリットコータ22に代えて、ノズル(マルチノズルを含む)から液体状態の樹脂を滴下し、走査手段23による走査方向を第1の基板11面に平行で、互いに垂直な2方向としても良い。ただし、スリットコータ22を用いると早く薄膜状に塗布できるという利点がある。
【0042】
半硬化手段30は、樹脂膜13を硬化する紫外線を照射する紫外線照射手段31と、樹脂膜形成手段20で形成された樹脂膜13の外周端部14を、紫外線照射手段31による紫外線の照射から遮蔽する遮蔽手段32とを有する。
【0043】
紫外線照射手段31として、例えば第1の基板11全面を照射可能な紫外線(UV)ランプや紫外線発光ダイオード(UVLED)ランプを使用できる。また、遮蔽手段32として、枠内では紫外線を透過させ、枠の部分で紫外線を遮断するようにした枠状の遮断板を使用できる。例えば、中抜きの金属枠を用いても良く、酸化亜鉛等を含む紫外線フィルタで枠を形成したガラス板を用いても良い。枠の部分で紫外線を紫外線照射手段31から遮ることにより、樹脂膜形成手段20で形成された樹脂膜13の外周端部14を未硬化状態に維持し、外周端部14で囲まれた内周部15を半硬化状態に硬化させることができる。
【0044】
この状態では、内周部15は半硬化状態になるために流動性はなくなるが、粘着性は残り、第2の基板12に接触すれば第2の基板12と接着可能である。また、内周部15は表面が平坦な液体状態から硬化するので、表面の平坦性と膜厚の均一性を維持した状態で半硬化状態になる。このため、第1の基板11に形成された樹脂膜13の内周部15の粘度が増加し、第2の基板12を第1の基板11に貼り合わせる際に、第2の基板12が第1の基板11に固定されて第2の基板12の第1の基板に対する相対的位置が変動することなく仮付けされる。また、第2の基板12が第1の基板11に仮付けされることで、保持手段41又はローラー手段42による押圧を取り除いた後でも、第2の基板12が第1の基板11からずれることがない。このため、第2の基板12を保持しておく必要がないため、紫外線照射の障害となる手段がなく、均一に紫外線を樹脂膜13の内周部15に照射することができるため、第2の基板12の表面に歪(うねり)が発生するのを防止できる。なお、樹脂膜13の外周端部14は依然として未硬化状態である。
【0045】
基板貼り合わせ手段40は、第1の基板11を搭載する搭載手段21と、第2の基板12を第1の基板11側に押圧しながら、外周端部14の一方の端部側から他方の端部側に転がすことにより、第2の基板12を第1の基板11に貼り合わせるローラー手段42を有する。ローラー手段42使用時に第1の基板11を搭載する搭載手段には樹脂膜形成手段20の搭載手段21と共用できる。ローラー手段42に対して載置台21を水平面内でローラー手段42の軸に垂直方向に移動可能に構成し、移動することによりローラー手段42が回転する。
【0046】
ローラー手段42で第2の基板12を外周端部14の一方の端部側に接触させると、外周端部14の樹脂が盛り上がった部分に接触し、接触部分が外側から内側に広がっていく。そして、盛り上がった未硬化部分が内周部15側に移動し、やがて第2の基板12に押し付けられ、外周端部14と内周部15で樹脂膜の厚さが同じになる。このようにして、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、第2の基板12に押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように第1の基板11上の樹脂膜13に接触させていく。樹脂膜13の接触部分が次第に広がり、やがて起点16の反対側の外周端部に到る。この部分では樹脂は未硬化状態なので、一部は流動するが、ここでも、第2の基板12が樹脂膜13を介して第1の基板11に一様に押圧され平坦になる。ローラー手段42が第2の基板12の上を一方の端部から他方の端部まで通過すると、第2の基板12は樹脂膜13を介して第1の基板11に接合されて第1の基板11側に残る。そして、第2の基板12が第1の基板11に固定されて第2の基板12の第1の基板に対する相対的位置が変動することなく仮付けされる。また、第2の基板12と樹脂膜13の間に平坦な界面が形成され、第2の基板12表面に歪(うねり)のない又は非常に少ない接合部材が形成される。
【0047】
制御手段50は接合部材の製造装置10の全体と各部を制御し、接合部材の製造装置10としての機能を発揮させる。
【0048】
図2に接合部材の製造方法の処理フロー例を示す。また、図3に接合部材の製造装置10(以下、単に「製造装置」という。)の各部の処理を処理フローと関連付けて示す。
まず、第1の基板11を製造装置10の搭載手段21に搭載する(基板搭載工程:(a)、Step1)。第1の基板11は、例えば、液晶パネルである(以下、第1の基板11を単に「基板」と称する)。基板11の厚みは、0.3〜2mm程度である。次に、塗布手段22により、基板11に液状樹脂を塗布し、基板11上に液体状態の樹脂膜13を形成する(樹脂膜形成工程:(b)、Step2)。本実施例では、塗布手段22としてスリットコータを用いて、所定の膜厚になるように樹脂膜13を形成する。所定の膜厚は、50〜200μmである。スリットコータに代えて他の塗布手段22も使用可能である。例えば吐出ノズルにより線状に塗布した液状樹脂を、ハケ等により所定の膜厚になるようにならして樹脂膜を形成することも可能である。
【0049】
図4に樹脂膜形成工程(Step1)で形成された液体状態の樹脂膜13の膜厚分布を模式的に示す。図4(a)は、第1の基板11への樹脂膜13の塗布の方向を、図4(b)及び図4(c)はそれぞれX方向、Y方向の樹脂膜13の膜厚分布を示す。図4(b)及び図4(c)に示すように、四辺の外周端部14が内周部15に比して盛り上がる傾向にある。したがって、この状態でフィルム状の第2の基板12(以下、第2の基板を「フィルム」と称する)を貼り合わせた場合には、膜厚を均一にすることができず、また貼り合わせる過程で気泡が混入する恐れがある。そこで、この実施形態では、以下に示す手段及び工程を取り入れている。
【0050】
ここで図2及び図3に戻る。先ず、基板11に形成した樹脂膜13の四辺の外周端部14を覆う遮蔽部材32を樹脂膜13上に配置する((c)、Step3)。基板11に形成した樹脂膜13の四辺の外周端部14を遮蔽手段32で覆い、その上部から紫外線照射手段31により紫外線を照射する(半硬化工程:(d)、Step4)。樹脂膜13の四辺の外周端部14は、遮蔽手段32で遮蔽されるので、紫外線が照射されず、未硬化の液体状態を維持し、遮蔽手段32で遮蔽されない内周部15は、半硬化される。
【0051】
次に、フィルム12を保持手段41に保持する(第2の基板保持工程;(e)、Step5)。フィルム12は、例えば、液晶パネル11の表示面を保護するための保護フィルムである。フィルム12の厚みは、0.05〜0.2mm程度である。例えば、フレキシブルで下側に突状の湾曲面を有する保持手段41でフィルム12を保持し、基板貼り合せ手段40は、保持手段41の一端を基板11に対し所定の距離上側、すなわち、樹脂膜13に接触するような高さに保持する。
【0052】
次に、外周端部14が未硬化状態で内周部15が半硬化状態の樹脂膜13において、未硬化の外周端部14を起点16として、フィルム12を樹脂膜13に接触させて、押圧を加え、基板11とフィルム12とを重ね合わせて貼り合わせる。本実施例ではローラー手段42を用いて、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように接触させ、基板11とフィルム12とを貼り合わせる(基板貼り合わせ工程:(f)、Step6)。
【0053】
図5に、実施例1における接合部材の貼り合わせ工程(Step6)の例を示す。載置台21上に、外周端部14が未硬化状態で内周部15が半硬化状態の樹脂膜13が形成されている基板11が載置されている。樹脂膜13の四辺の外周端部14は未硬化で液体状態であり、内周部15は半硬化状態で液体状態に比して増粘している。本実施例では、基板11、樹脂膜13及びフィルム12を載置台21及びローラー手段42との間に挟み込み、ローラー手段42をフィルム12上で回転させることで、フィルム12を樹脂膜13を介して基板11に貼り合わせる。
【0054】
図6に実施例1における保持手段の例を示す。フィルム12の両端は、ローラー手段42による押圧前は、真空吸着、静電気吸着、接着力の弱い接着剤若しくは機械的な把持(例えば保持クリップ)による保持手段41B1及び41B2によって保持されている。基板11の上部に搬送されたフィルム12は、先ず、保持手段41B1によって、フィルム12の一方の端部を樹脂膜13の未硬化部である貼り合わせの起点16に接液させる。次に、保持手段41B1を元の待避位置に待避させ、ローラー手段42を用いて、フィルム12を樹脂膜13に、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように接触させ、基板11とフィルム12とを貼り合わせる。このとき、フィルム12の他方の端部は、フィルム12の他方の端部が、基板11上の樹脂膜13の未硬化の反対側の端部に貼り合わされるまで、保持手段41B2によって保持されている。
【0055】
ここで図5に戻る。ローラー手段42がフィルム12上を一方の端部から反対側の端部に移動するにつれてフィルム12が基板11に貼り付けられていく(a〜e)。すなわち、フィルム12はローラー手段42により基板11に押圧後は、樹脂膜13に密着して基板11に貼り合わされ、ローラー手段42が通過後、接合部材が得られる。
【0056】
ローラー手段42でフィルム12を外周端部14の一方の端部側に接触させると、その部分の樹脂が盛り上がった部分に接触し、接触部分が外周側から内周側に広がっていく。そして、盛り上がった未硬化部分が内周側に移動し、やがてフィルム12に押し付けられ、外周端部14と内周部13で樹脂膜13の厚さが同じになる。このようにして、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、フィルム12に押圧をかけながら一方向的に位置を変えて第1の基板11上の樹脂膜13に接触させていく。樹脂膜13の接触部分が次第に広がり、やがて起点16の反対側の外周端部14に到る。この部分では未硬化状態の部分があるので、一部は流動するが、ここでも、第2の基板12が樹脂膜13を介して第1の基板11に一様に押圧され、平坦になる。ローラー手段42が通過後、接合部財全体においては、第2の基板12と樹脂膜13の間に平坦な界面が形成される。そして、基板間の相対的なずれがなく、第2の基板12表面に歪(うねり)のない又は非常に少ない接合部材が形成される。
【0057】
次に、貼り合わせた基板11とフィルム12との間に介在する樹脂膜13全体を紫外線照射手段31により完全硬化させる((g)、Step7)。これにより、基板11とフィルム12を接合剤13で貼り合わせた接合部材が完成する。例えば、第1の基板11としての液晶パネルの表示部が第2の基板12としてのフィルムにより保護される。
なお、完全硬化させる手段については樹脂膜形成工程から基板貼り合わせ工程までを行なう接合装置とは別個の装置(例えば紫外線照射装置)を使用しても良い。
【0058】
以上により、本実施例によれば、2枚の基板を貼り合わせて接合部材を製造する場合に、一方の基板が薄い基板の場合でも、基板間の相対的なずれの発生を防止し、薄い基板の表面に歪(うねり)が発生することを防止して、膜厚を均一にすることができる。
すなわち、フィルム状基板のように薄い基板の場合でも、次の効果を得ることができる。(1)樹脂膜13の四辺の外周端部14を除く内周部15を所定の膜厚で半硬化させることで、樹脂13が増粘され、フィルム12を貼り合わせる際に、フィルム12が基板11に仮付けされる。そのため、フィルム12を保持する保持手段41を取り除いても、フィルム12を基板11に貼り合わせた状態が維持されてフィルム12が基板11からずれることがない。(2)その後の製造工程において膜厚の変動がなくなり一定に保つことができるため、フィルム12を貼り合わせた後に、フィルム12の表面に歪み(うねり)が発生しない。また、うねりが生じたとしても非常に少ない。(3)また、樹脂膜13の四辺の外周端部14を未硬化の状態とし、樹脂膜13の外周端部14を貼り合わせの起点16とすることで、フィルム12が樹脂膜13の液膜に接触する瞬間に気泡が混入され難くなる。(4)樹脂膜13の四辺の外周端部14を未硬化の状態でフィルム12を貼り合わせることで、外周端部14の盛り上がりが平坦化され、全体の膜厚を均一化できる。
【実施例2】
【0059】
実施例1では、基板11の上方から樹脂膜13を介してフィルム12を重ね合わせて貼り合わせる例を説明したが、実施例2では、基板11の樹脂膜13が形成されている面を下側にして、下方からフィルムを貼り合わせる例を説明する。実施例1に比して第1の基板11と第2の基板1の上下関係が異なるが、その他の構成は同じである。主として実施例と異なる点について説明する。
【0060】
図7に実施例2における基板貼り合わせ手段を模式的に示す。第1の基板(基板)11上に、外周端部14が未硬化状態で内周部15が半硬化状態の樹脂膜13を形成し、上下反転して、載置台21Aに樹脂膜13が形成された基板11を例えば真空吸引により保持する。樹脂膜13の外周端部14は未硬化状態なので流動性を有するが、表面張力が働いて滴下しない。フレキシブルな第2の基板(フィルム)12の貼り合せの起点となる一端を図6と同様な保持手段41B1によりに挟んで保持する(図7では保持手段を省略して示す)。保持手段41B1の高さをフィルム12を水平に保持したときにフィルム12が樹脂膜13に接触するように調整する。フィルム12はフレキシブルで上側に突状な湾曲面を有するように保持手段41B1に挟まれて保持される。本実施例では、フィルム12の他端は重力によって自然と垂れ下がっているため、このフィルム12の他端を保持しなくても良い。また、上述のような保持手段41B2によってフィルム12の他端を保持し、ローラー手段42の回動に連動させて、保持手段41B2を移動させてもよい。
【0061】
フィルム12の下からローラー手段42を押し当てる。フィルム12はフレキシブルであるため、上記一端で樹脂膜13に接触するが、他の部分では接触せずに、下側に撓む。ローラー手段22を、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら移動する。この時、ローラー手段22の移動につれて、フィルム12は既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動しながら接触していく。このようにして、基板11とフィルム12とが貼り合わせられる。
その他の構成及び処理フローは第1の実施例と同様であり、同様の効果を奏する。
【実施例3】
【0062】
実施例3では、紫外線遮蔽手段を用いて、樹脂膜の外周端部を未硬化状態に維持し、内周部を半硬化状態に硬化させる例で、第1の基板(基板)を搭載手段(載置台)に載置し、第2の基板(フィルム)を保持手段に保持して、第1の基板側に少しずつ近づけながら押圧して、第2の基板を第1の基板に貼り合わせる例を説明する。
【0063】
図8に実施例2における接合部材の製造装置10Aの構成例を示す。実施例1に比して基板貼り合わせ手段40Aの内容が異なるが、その他の構成は同じである。主として実施例と異なる点について説明する。基板貼り合わせ手段40Aの処理については図9を参照されたい。基板貼り合わせ手段40Aは、基板11を載置する載置台21(樹脂膜形成手段20の載置台と共有する)と、フィルム12を保持する保持手段41と、載置台21と連結されて保持手段41を回動軸43Bの回りに回動させる回動手段43と、載置台21に対する回動軸43Bの位置を調整する回動軸位置調整手段44とを有する。
【0064】
制御手段50は、外周端部14が未硬化状態に維持され内周部15が半硬化状態に硬化された樹脂膜13に、フィルム12を、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動しながら接触するように回動手段43と回動軸位置調整手段44とを制御して、フィルム12を第1の基板11に貼り合わせる。
【0065】
回動手段43は回動軸としての回動軸43Bと、回動軸43Bの回動を駆動する駆動部43Cと回動軸43Bに連結された保持手段41と搭載手段21を開放側に付勢するヒンジ部43Aを有する。保持手段41は例えば真空吸着によりフィルム12を保持する。回動軸位置調整手段44は、回動軸43Bの位置を、回動軸43Bを搭載台21の表面に対して平行に保ちながら、垂直方向に微小距離だけ移動可能としている。制御手段50は、搭載手段21と保持手段41の間隔を制御すると共に回動手段43を制御する。これらの制御は、例えば、回動手段43の駆動部43Cによる保持手段41の回転角度の制御、回動位置調整手段44による回動軸43Bの位置の制御及び搭載手段21の位置の制御により行なわれる。フィルム12を、外周端部14が未硬化状態で内周部15が半硬化状態の樹脂膜13に、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動しながら接触するように、駆動部43Cと回動軸位置調整手段44を制御する。
【0066】
基板貼り合わせ手段40Aは、保持手段41でフィルム12を保持する。制御手段50は、駆動部43Cを制御して保持手段41の基板11の水平面とのなす角度を小さくしていき、外周端部14の一方の端部側に接触させる、さらに、回動軸位置調整手段44を制御して回動軸43Bの位置を少しずつ高くしていく。接触の際は、外周端部14の樹脂が盛り上がった部分に接触し、接触部分が外周側から内周側に広がっていく。そして、盛り上がった未硬化部分が内周側に移動し、やがてフィルムに押し付けられ、外周端部14と内周部13で樹脂膜の厚さが同じになる。
【0067】
このようにして、外周端部14の一方の端部を起点16として、起点16から反対側の端部まで、フィルム12に押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように第1の基板11上の樹脂膜13に接触させていく。樹脂膜13の既接触部分が次第に広がり、やがて起点16の反対側の外周端部14に到る。ここでは未硬化状態の部分があるので、樹脂は一部流動するが、最終的には、フィルム12が樹脂膜13を介して基板11に一様に押圧され、フィルム12と樹脂膜13の間に平坦な界面が形成される。制御手段50は、フィルム12の全面が接触後、押し付ける際には回動軸位置調整手段44を制御して回動軸43Bの位置を少しずつ低くしていく。保持手段41を解除すると、フィルム12を樹脂膜13を介して基板11に接合した接合部材が得られる。そして、基板間に相対的なずれがなく、フィルム12表面に歪(うねり)のない又は非常に少ない接合部材が形成される。
【0068】
実施例3における処理フローは、図2を適用できる。基板貼り合わせ工程の内容が異なるが、その他の工程は同じである。
【0069】
図9に、実施例3における基板貼り合わせ手段40Aの例を示す。載置台21には、樹脂膜13が形成されている基板11が載置されている。樹脂膜13の四辺の外周端部14は未硬化の液体状態であり、内周部15は半硬化して増粘している。フィルム12を保持手段41によって保持する(a)。基板貼り合わせ手段40Aにはヒンジ部43A、回動軸43B及び駆動部43Cからなる回動手段43が設けられている。また、フィルム12と基板11上に形成された樹脂膜13との貼り合わせの際の間隔を調整するため、回動軸位置調整手段44を駆動部43Cに直結して設け、保持手段41を回動するための回動軸43Bの載置台21に対する垂直位置を調整している。
【0070】
制御手段50は、駆動部43Cと回動軸位置調整手段44を制御し、これにより、保持手段41の昇降位置(回動の角度と回動軸43Bの高さ)を制御する。駆動部43Cによって回動軸43Bを回転することでヒンジ部43Aを介して保持手段41を回転させ、保持手段41と載置台11との角度を180°開いた状態から徐々に小さくする(b)。基板11上に形成した樹脂膜13の未硬化領域である外周部14を起点16として、フィルム12を樹脂膜13に接触させて基板11とフィルム12とを重ね合わせて貼り合わせる(c)(d)。
【0071】
図10にフィルム12が樹脂膜13に接触した時の様子を示す。基板11上の樹脂膜13の四辺の外周端部14は未硬化の液状状態である。フィルム12を基板11上の樹脂膜13の未硬化領域である外周端部14の起点16に接触させて、載置台11に対する保持手段41の角度を徐々に小さくすると、フィルム12と樹脂膜13の接触面積が徐々に大きくなる。基板11上の樹脂膜13の外周端部14は未硬化の液状状態であるため、フィルム12が樹脂膜13の液膜に接液する瞬間に気泡が巻き込まれにくくなり、さらに、徐々にフィルム12を樹脂膜13の上に接液させていくため、全体的に、フィルム12と樹脂膜13との間に気泡を混入させないでフィルム12を基板11に貼り合わせることができる。
【0072】
ここで、図9に戻る。貼り合わせが完了すると、保持手段41を元の位置に戻す(e)。
なお、回動軸位置調整手段44が無くても良いが、回動軸位置調整手段44を有すれば、フィルム12と基板11との間隔の調整がし易くなる。また、上記のように保持手段41の高さを制御する代わりに、載置台21に位置調整手段を設けて、載置台21の垂直位置を制御してもよい。
【0073】
また、回動軸位置調整手段44を設ける代わりに、回動軸43Bの軸受部に遊びを与えたり、バネで保持手段41の回動軸付近の位置が可変になるようにして載置台21側に付勢しても良い。軸受部に遊びがある場合は保持手段41の自重で載置台21側に付勢しても良い。
その他の構成及び処理フローは第1の実施例と同様であり、同様の効果を奏する。
【実施例4】
【0074】
実施例3では保持手段41が平面の場合を説明したが、実施例4では保持手段41が突状の曲面を有する例を説明する。保持手段41が曲面になっているのでローラー手段42と同様に、第2の基板(フィルム)を樹脂膜13の外周端部14の起点16から順次樹脂膜13に接触させることができる。これはローラー手段の直径が実施例1(図5参照)に比して大きい場合ということができる。ローラー手段の直径が基板に対して十分大きい場合には、例えば円弧の一部を切り出して保持手段としても良い(すなわち、保持手段がローラー手段を兼用する)。また、ローラー面は円弧でなく、他の突状曲面であっても良い。その他の装置構成及び処理フローは実施例3と同様であり、同様の効果を奏する。
【0075】
図11に保持手段41がフィルム12を曲面状に保持する例を示す。保持手段41は、曲面状(凸面)の保持部41Aにフィルム12を保持する。保持手段41は、保持部41Aに対して基板11と反対側に保持部支持板41Bを有する。保持部支持板41Bは回動可能に回動軸43Bに連結され、回動軸43Bの回動に従って基板11とのなす開き角度が変化する。先ず、フィルム12は、外周端部14の一方の端部を起点16として、樹脂膜13に接液する(a)。次に、回動軸43Bを回転させながら、紙面右方向に移動させて、フィルム12を樹脂膜13に徐々に接液させる(b)。さらに、回動軸43Bを回転させながら、紙面右方向に移動させていくことで、フィルム12を樹脂膜13の外周端部14の他方の端部に接液させて、フィルム12を樹脂膜13を介して基板11に貼り合わせる(c)。
【0076】
このように、起点16から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように接触させることで、基板間に相対的なずれがなく、フィルム12の表面に歪(うねり)のない又は非常に少ない接合部材が形成され、フィルム12と樹脂膜13の間に平坦な界面が形成される。
その他の構成及び処理フローは第3の実施例と同様であり、同様の効果を奏する。
【実施例5】
【0077】
実施例5では、実施例3における保持手段41に電圧を印加する例を説明する。実施例5では、実施例3(図7参照)の接合部材の製造装置10Aに電圧印加手段60が追加される。電圧は搭載手段(載置台)21と保持手段41の間に印加される。その他の構成は実施例3と同様である。
【0078】
図12に実施例5における接合部材の製造装置10Bの構成例を示す。また、図13に第1の基板(基板)11と第2の基板(フィルム)12間に電界を印加する例を示す。保持手段41に直流電源60を接続し、載置台21をグランドに接続する。基板11とフィルム12との間に電界を形成すると、基板11上の樹脂膜13の先端がフィルム12に引き付けられるため、フィルム12を小さな接触面積で樹脂膜13に接触させることができる。そのため、フィルム12を樹脂膜13に接触させる際に、気泡が混入され難くなる。なお、直流電源61の代わりに交流電源又はパルス状の電圧源を接続しても構わない。
その他の構成及び処理フローは実施例3と同様であり、同様の効果を奏する。
【実施例6】
【0079】
実施例1では紫外線の遮蔽手段を用いて、樹脂膜の外周端部を未硬化状態に維持し、内周部を半硬化状態に硬化させる例を説明したが、実施例6ではスリットコータと一体的に構成された紫外線照射用スリットを有する紫外線照射手段を用いて、樹脂膜の外周端部を未硬化状態に維持し、内周部を半硬化状態に硬化させる例を説明する。実施例1とは、紫外線照射手段とスリットコータが一体的に構成されている点が異なる。
【0080】
図14に実施例6における接合部材の製造装置10Cの構成例を示す。また、図15に、塗布手段22としてのスリットコータと紫外線照射手段31Aが一体的に形成されている例を示す。塗布手段22としてのスリットコータの樹脂供給用スリットに平行な紫外線照射用スリットを有する紫外線照射手段31Cが設けられており、液状樹脂の塗布を行うと共に、連動して液状樹脂に紫外線を照射して樹脂膜13を半硬化させる。スリットコータ22の樹脂供給用スリットに対して紫外線照射用スリットは、長手方向の両端部において、樹脂供給用スリットの長手方向に比して所定の長さ短く形成されている。所定の長さは典型的には片側の端部で外周端部14の幅であり、両側を合計すると外周端部14の幅の2倍である。そして、走査手段33は水平面内で両スリットの長手方向に垂直方向に、一体化されたスリットコータ22と紫外線照射装置31Aとを走査する。この走査により、第1の基板(基板)11面では、スリットコータ22により樹脂供給用スリットから液体状態の樹脂膜13が線状に塗布された後、一定の時間後に紫外線照射用スリットから線状に紫外線照射が行なわれる。一定の時間は樹脂供給用スリットと紫外線照射用スリットの間隔を走査速度で除した時間である。
【0081】
この時、樹脂供給用スリットに対して紫外線照射用スリットは、長手方向の両端部において短いので、樹脂膜13の長手方向両端部(外周端部14となる)では紫外線照射されない。したがって、樹脂膜13は、長手方向(走査方向と垂直方向)両端部は未硬化状態に、両端部の内側(内周部15となる)で半硬化状態に形成される。走査方向と平行な方向については、紫外線照射用スリットが塗布領域の端から所定距離になった時に紫外線照射を開始及び終了することによって、樹脂膜13の両端部に未硬化状態の領域を形成できる。所定距離は典型的には外周端部の幅である。つまり、樹脂膜の半硬化は、塗布された樹脂膜の四辺の外周端部14を除く内周部15のみに紫外線照射して行うこととなる。この実施例では、紫外線の遮蔽手段32を設けないでも、外周端部14を除く内周部15のみを半硬化させることが可能となる。
その他の構成と処理フローは実施例1と同様であり、同様の効果を奏する。
【実施例7】
【0082】
実施例7では実施例3において、さらに、スリットコータによる基板11への樹脂膜13を形成する前に第1の基板(基板)11の厚みを測定する例を説明する。
【0083】
図16に実施例7における接合部材の製造装置10Dの構成例を示す。また、図17に、基板11の厚みを測定する例を示す。基板厚み測定手段70としてのレーザ変位形によって、基板11の厚み、即ち、搭載手段(載置台)21から基板11表面までの高さを測定し、その測定結果である基板11の厚み情報を制御手段50に入力する。制御手段50は、塗布手段22、基板貼り合わせ手段40D又は/及び載置台21の昇降を制御する制御信号を出力する。これにより、基板11の表面に対するスリットコータ22の樹脂供給用スリットの高さ、基板貼り合わせ手段40Cの保持手段41の高さを調整する。すなわち、塗布手段22においては、塗布手段としてのスリットコータ22の先端と基板との間隔を調整するためにスリットコータ22又は載置台21を昇降する。塗布すべき樹脂膜13の膜厚に応じてスリットコータ22の先端と基板11との間隔を調整する。また、基板貼り合わせ手段40Dにおいては、基板11とフィルム12の間隔を調整するために、フィルム12を保持する保持手段41又は基板11を載置する載置台21を昇降する。また、樹脂膜13の膜厚に応じて基板11とフィルム12の間隔、すなわち保持手段41と載置台21の間隔を調整する。
【0084】
なお、基板貼り合わせ手段40Dにおいては、基板11以外にも、フィルム12の厚みも測定し、基板11及びフィルム12の厚みデータにもとづいて、基板11とフィルム12の間隔を調整することで、より最適な間隔の調整が可能となる。第2の基板の厚みも、例えば、載置台21上で測定しても良い。なお、実施例1及び実施例2のように、ローラー手段42を用いてフィルム12と基板11とを貼り合わせる際にも、厚み測定手段70によるフィルム12及び基板11の厚みの情報を利用することができることは言うまでもない。
その他の構成及び処理フローは実施例3と同様であり、同様の効果を奏する。
【0085】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は以上の実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施の形態に種々の変更を加えられることは明白である。
【0086】
例えば、以上の実施例では、第2の基板がフィルム状の薄い基板の例を説明したが、薄い基板はフィルム状に限られず、平板状の基板でもよい。また、第2の基板は薄い基板に限られず、厚い基板に対しても本発明は適用可能である。また、第1の基板及び第2の基板は任意の基板で良く、両者を交換して適用しても良い。液体状態の樹脂の塗布手段21としてスリットコータを用いる例を説明したが、単一ノズルを搭載手段の搭載面内2方向に走査しながら塗布しても良く、マルチノズルを用いて、上記走査範囲を小さくしても良い。また、紫外線照射手段31として、第1の基板11全体に照射する例と紫外線照射用スリットを走査する例を説明したが、円形スポットを有する紫外線ランプを搭載面内2方向に走査して照射しても良い。
【0087】
また、ライン状の紫外線照射手段を天井に配置したベーク炉内を、樹脂膜13を塗布した第1の基板11と遮蔽手段32を搭載したトレイをベルトコンベアに載せて通過させても良い。また、実施例3における、基板貼り合わせ手段40が保持手段41を回動させる例を、塗布手段22が単独のスリットコータで紫外線照射手段31と遮蔽手段32とを組み合わせて第1の基板11に照射する例と組み合わせて説明したが、スリットコータと紫外線照射手段とを一体的に形成した実施例5と組み合わせても良い。また、実施例5における、基板間に電圧を印加する例についても同様に、スリットコータと紫外線照射手段とを一体的に形成した実施例5と組み合わせても良い。また、実施例7において、第1の基板11の厚さを事前に図る例を、基板貼り合わせ手段40が保持手段41を回動させる例と組み合わせて説明したが、基板貼り合わせ手段40がローラー手段42を用いる例と組み合わせ、樹脂供給用スリットの高さと共に、ローラーの高さの調整に使用しても良い。その他、液状樹脂の粘度、紫外線照射時間・強度、貼り合わせ時のローラーの押圧等は適宜選択可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、接合部材の製造に利用される。
【符号の説明】
【0089】
10,10A〜10D 接合部材の製造装置
11,11E 第1の基板(液晶パネル)
12,12E 第2の基板(フィルム)
13,13E 樹脂膜(接合剤)
14 外周端部
15 内周部
16 起点
17E 切り落とし部
20 樹脂膜形成手段
21 搭載手段(載置台)
22 塗布手段(スリットコート)
23 走査手段
30 半硬化手段
31,31E 紫外線照射手段
32 遮蔽手段
40,40A〜40D 基板貼り合わせ手段
41,41B1,41B2,41E 保持手段
41A 保持部
41B 保持部支持板
42 ローラー手段
43 回動手段
43A ヒンジ部
43B 軸部
43C 駆動部
44 回動軸位置調整手段
50 制御手段
51 塗布手段駆動部
60 直流電源
70 基板厚み測定手段(レーザ変位計)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板とを接合する接合部材の製造装置であって;
前記第1の基板上に液体状態の樹脂膜を形成する樹脂膜形成手段と;
前記樹脂膜形成手段で形成された樹脂膜の外周端部を未硬化状態に維持し、前記外周端部で囲まれた内周部を半硬化状態に硬化させる半硬化手段と;
前記第2の基板を、前記外周端部が未硬化状態で前記内周部が半硬化状態の樹脂膜に、前記外周端部の一方の端部を起点として、前記起点から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように接触させ、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる基板貼り合わせ手段とを備える;
接合部材の製造装置。
【請求項2】
前記半硬化手段は、前記樹脂膜を硬化する紫外線を照射する紫外線照射手段と、前記樹脂膜形成手段で形成された樹脂膜の外周端部を、前記紫外線照射手段による紫外線の照射から遮蔽する遮蔽手段とを有する;
請求項1に記載の接合部材の製造装置。
【請求項3】
前記第2の基板が透明性の高分子フィルムであり;
前記基板貼り合わせ手段は、前記第1の基板を搭載する搭載手段と、前記第2の基板を前記第1の基板側に押圧しながら、前記外周端部の一方の端部側から他方の端部側に転がすことにより、前記第2の基板を前記第1の基板に貼り合わせるローラー手段とを有する;
請求項1又は請求項2に記載の接合部材の製造装置。
【請求項4】
前記基板貼り合わせ手段は、前記第1の基板を搭載する搭載手段と、前記第2の基板を保持する保持手段と、前記保持手段と連結されて前記保持手段を回動させる回動手段とを有し;
前記搭載手段と前記保持手段の間隔を制御し、かつ、前記保持手段に保持された第2の基板を、前記外周端部が未硬化状態に維持され前記内周部が半硬化状態に硬化された樹脂膜に、前記外周端部の一方の端部を起点として、前記起点から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動しながら接触するように前記回動手段を制御する制御手段を備える;
請求項1又は請求項2に記載の接合部材の製造装置。
【請求項5】
前記基板貼り合わせ手段は、さらに、基板厚み測定手段を備え、
前記基板厚み測定手段による少なくとも前記第1の基板又は前記第2の基板のいずれかの厚みデータに基づいて、前記搭載手段と前記保持手段の間隔を調整する;
請求項4に記載の接合部材の製造装置。
【請求項6】
前記樹脂膜形成手段は、前記第1の基板面に平行な樹脂供給用スリットから前記液体状態の樹脂を供給し、前記樹脂供給用スリットに対して垂直かつ前記第1の基板面に平行に移動可能な、前記第1の基板上に液体状態の樹脂膜を塗布するスリットコータを有し、
前記半硬化手段は、前記樹脂膜形成手段で前記第1の基板上に形成された液体状態の樹脂膜に紫外線を照射する紫外線照射手段であって、前記スリットコータと一体的に構成され、前記樹脂供給用スリットに平行な方向に紫外線照射用スリットを有し、前記紫外線照射用スリットは長手方向の両端部において、前記樹脂供給用スリットの長手方向に比して所定の長さ短く形成された紫外線照射手段を有する;
請求項1又は請求項2に記載の接合部材の製造装置。
【請求項7】
第1の基板と第2の基板とを接合する接合部材の製造方法であって;
前記第1の基板上に液体状態の樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と;
前記樹脂膜形成工程で形成された樹脂膜の外周端部を未硬化状態に維持し、前記外周端部で囲まれた内周部を半硬化状態に硬化させる半硬化工程と;
前記第2の基板を、前記外周端部が未硬化状態で前記内周部が半硬化状態の樹脂膜に、前記外周端部の一方の端部を起点として、前記起点から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動するように接触させ、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる基板貼り合わせ工程とを備える;
接合部材の製造方法。
【請求項8】
前記半硬化工程は、前記樹脂膜を硬化する紫外線を照射する紫外線照射工程と、前記樹脂膜形成工程で形成された樹脂膜の外周端部を、前記紫外線照射工程による紫外線の照射から遮蔽する遮蔽工程を有する;
請求項7に記載の接合部材の製造方法。
【請求項9】
前記第2の基板が透明性の高分子フィルムであり;
前記基板貼り合わせ工程において、ローラー手段で前記第2の基板を前記第1の基板側に押圧しながら、前記外周端部の一方の端部側から他方の端部側に転がすことにより、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる;
請求項7又は請求項8に記載の接合部材の製造方法。
【請求項10】
前記基板貼り合わせ工程は、前記第1の基板を搭載する搭載手段と、前記第2の基板を保持する保持手段と、前記保持手段と連結されて前記保持手段を回動させる回動手段とを用いて;
前記搭載手段と前記保持手段の間隔を制御し、かつ前記保持手段に保持された第2の基板を、前記外周端部が未硬化状態に維持され前記内周部が半硬化状態に硬化された樹脂膜に、前記外周端部の一方の端部を起点として、前記起点から反対側の端部まで、押圧をかけながら既接触部分と未接触部分の境界線が一方向的に移動しながら接触するように前記回動手段を制御して、前記第2の基板を前記第1の基板に貼り合わせる;
請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の接合部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−78860(P2013−78860A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218643(P2011−218643)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】