説明

接着促進性組成物および塗膜と基材間の接着促進方法

ポリオール、ポリイソシアナートおよび/またはポリアミンを含むポリマーおよびクロレンデート基を含む化合物の反応生成物を含む組成物が開示される。本発明の接着促進組成物を基材に塗布することによって、コーティング組成物と基材との間の接着を促進する方法もまた開示される。ポリオールにはエポキシポリオール、アクリル酸ポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリブタジエンポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリオール、ポリイソシアナートおよび/またはポリアミンを含んだポリマーの反応生成物及びクロレンデート基を含む化合物を含有した組成物に関し、これらの組成物を用いた塗膜と基材の接着の促進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属やプラスチックのような色々な基材に適切に接着し得るコーティング組成物を処方することは難しくあり得、特に基材に既存の塗膜層がある場合は難しくあり得る。ある環境下では塗膜と基材の接着力を増大させるために、ある基材にはプライマーを塗布できるが、種々の基材に対して一層のプライマーでは普通は効果的ではない。
【0003】
自動車塗装の分野ではコーティング組成物と基材の接着を改善するために、化成被覆を基材に塗布できる。マイクロオーダーの薄膜を形成し、基材と反応する化成被覆には二つのタイプがある。第一の最も一般的なタイプは酸性度の強い鉱酸の水溶液であり、「エッチング」と呼ばれるプロセスで金属基材と化学的に反応して接着力を増大させる。化成被覆の第二のタイプは有機溶媒中に分散させたディスパージョンである。最適な性質のためにこの種の化成被覆には、クロム酸ストロンチウムのような重金属の顔料が添加されている。
【0004】
他の分野ではコーティングは可撓性の基材に塗布され得る。塗膜とこの種の基材、特に熱可塑性および熱硬化性ポリマー材料で作製した基材との間には、接着に関する問題がしばしば起こる。このようなコーティングを一度塗布すると、経時劣化、化学的暴露や機械的ストレス等により、剥がれたり、クラックが発生したり、そして/または、さもなければ基材から除去されることがある。
【0005】
そういう理由で塗膜組成物と基材との接着力を増大させる組成物が要望されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は接着促進性の組成物に関し、ポリマーとクロレンド酸基を含有した化合物との反応生成物を含む。ここでポリマーにはポリオール、ポリイソシアナートおよび/またはポリアミンが挙げられ、ポリオールにはエポキシポリオール、アクリル酸ポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリブタジエンポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0007】
更に本発明は、本発明の接着促進性組成物を基材に塗布することにより、塗膜と基材間の接着を改善する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
特に明記しない限り、本明細書で使用されている全ての数字、例えば値、範囲、量あるいは百分率を表現する数字は、例え本文中に明白に現れなくても、「約」という言葉で、前置きされていると考えてもらいたい。本明細書中に述べられている如何なる数字の範囲には、全て副レンジを含めていることを意味している。複数形の語は単数形の語を包含し、逆もまた同じである。例えばこの点について引用例として「a」クロレンド酸基、「a」ポリオール、「a」ポリイソシアナート、「a」ポリアミンが挙げられるが、これらの成分の一つ以上が本発明の実施で使用され得る。本明細書で使用される場合、「ポリマー」という言葉はプレポリマー、オリゴマーおよびホモポリマーとコポリマーの両方を意味し、「ポリ」という接頭語は2以上を意味する。
【0009】
本発明は一般的に塗膜と基材間および/または塗膜層間の接着を促進するのに使用できる組成物に関する。本発明の接着促進性組成物(時々明細書では「接着促進剤」、「接着促進組成物」等で表現されている。)には、ポリマーとクロレンド酸基との反応生成物が含まれる。(ここでは時々反応生成物と表現されている。)本明細書で用いられる「ポリマー」という言葉は、ポリオール、ポリイソシアナートおよび/またはポリアミンを含む一群の化合物を意味している。クロレンド酸基は次式で表される化合物を意味する。
【0010】
【化1】

ここでR1および/またはR2はポリオールと反応してエステル結合を形成でき、そして/あるいはポリイソシアナートおよび/またはポリアミンと反応してアミド結合を形成できる。R1そして/あるいはR2は互いに環構造を形成できる。クロレンド酸基を有する適切な化合物として、例えばクロレンド酸および/または、クロレンド酸無水物、塩素化多環ジカルボン酸およびジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0011】
本発明に用いられる適切なポリオールとして、アクリル酸ポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオールおよび/またはこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態ではポリオールはアクリル酸ポリオールである。別の実施形態では水酸基価が6〜1000の範囲内のアクリル酸ポリオールであり得る。別の実施形態では水酸基価は10〜280である。別の実施形態では水酸基価が25〜140であり得る。本明細書中で使用される場合、「水酸基価」は固体樹脂1グラム当たりの水酸基含有量に匹敵する水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。(mgKOH/g)。
【0012】
本発明に用いられる適切なアクリル酸ポリオールは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと1種以上の他の重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーから調製でき、例えば(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソボロニルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びスチレン、αーメチルスチレン、ビニールトルエン等のビニール芳香族化合物が挙げられる。本明細書中で使用される場合、「(メタ)アクリレート」および同様な表現は、アクリレートとメタクリレートの両方を含むことを意味する。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、ポリオールはエチレン性不飽和モノマーに由来するものであり得る。例えばこれらのモノマーには水酸基を有するビニールモノマーあるいはアクリルモノマーが挙げられ得る。水酸基を有するビニールモノマーの一例としてビニールアルコールが挙げられる。水酸基含有アクリルモノマーの適切な例として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、TONE M100およびTONE M201という商品名でDow Chemical社から市販されているヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレートモノマーおよびCognis社から入手でき、BISOMERという商品名で市販されているヒドロキシポリアルコキシモノマーが挙げられる。他の水酸基含有アクリルモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレートとモノカルボン酸の反応生成物が挙げられ、モノカルボン酸の例としてベルサチック酸(versatic acid)、分枝カルボン酸のモノグリシジルエステルのような(メタ)アクリル酸とモノエポキシ化合物の反応生成物が挙げられるが、この化合物はCARDURA E10という商品名で市販されており、Shell Chemical社から市販されている。
【0014】
先述した適切なポリオールの例は多くの特許および出版物に見られ得る。例えば水酸基を含有する(メタ)アクリル酸ポリオールは米国特許第6,316,119号公報の第2欄の51〜61行に開示されている。エポキシポリオールに由来する適切な水酸基含有ポリオールは米国特許第4,913,972号公報の第17欄の38〜61行に開示されている。適切なポリウレタンポリオールは米国特許第4,913,972号公報の第17欄の62行〜第18欄の4行に開示されている。先に述べた引用文献の一部はこれまでの引用文献に参照されている。適切なポリブタジエンポリオールはポリBDという商品名でSartomer Company社から市販されており、POLYTAIL H樹脂は三菱化学社で市販されている。
【0015】
本発明で使用される適切なポリイソシアナートの例は、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートやトルエンジイソシアナートのような芳香族ジイソシアナートが挙げられる。適切な脂肪族ジイソシアナートには、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートのような直鎖状脂肪族ジイソシアナートが挙げられる。また,脂環式ジイソシアナートも使用でき、例えばイソホロンジイソシアナートや4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアナート)が挙げられる。本発明の使用に適した他のポリイソシアナートには、例えば1,2,4−ベンゼントリイソシアナートとポリメチレンポリフェニルイソシアナートが挙げられる。過剰のイソシアナートとポリオールを反応させて調製したイソシアナート官能性ポリウレタンおよび/または過剰のイソシアナートとポリアミンを反応させて調製したポリ尿素あるいはこれらの混合物を本発明で使用することができる。
【0016】
本発明での使用に適したポリアミンの例として、t−ブチルアミノエチルメタクリレートおよび/またはm−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルアミン等の(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル並びに(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等の1種以上の他の重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーから調製されるアクリル酸ポリアミンポリマーが挙げられ、他の重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニールトルエン等のビニール芳香族化合物が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。ポリオキシアルキルアミンも用いることができる。ポリオキシアルキルアミンの適切な例として、Huntsman Corporation社からJEFFAMINEという商品名で市販されている。
【0017】
1つの実施形態において本発明の接着促進剤には、アクリル酸ポリオールとクロレンド酸基を含有した化合物の反応生成物が含まれ得る。例えばクロレンド酸無水物および/またはクロレンド酸のようなクロレンド酸基を含有するモノマーと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニールモノマーおよび/またはアクリル酸モノマーをまず反応させ、クロレンド酸基を含有するビニールおよび/またはアクリル酸ヒドロキシモノマーを合成し、次にクロレンド酸基を含有したビニールおよび/またはアクリル酸ヒドロキシモノマーでアクリルポリマーを形成することにより合成することができる。
【0018】
本発明のある実施形態では、接着促進剤にはポリオール、ポリイソシアナートおよび/またはポリアミンポリオールの種々の混合物ならびにクロレンド酸基を含有した化合物の種々の混合物を含む反応生成物が含まれ得る。
【0019】
本発明の反応生成物は紫外線硬化装置内で形成した反応生成物とは差異があると理解される。
【0020】
本発明の反応生成物は、反応生成物の全重量に対して5〜47%の理論的塩素含有量を有し得る。ある実施形態では反応生成物の全重量に対して、塩素含有量は8〜35%の範囲にあり得る。しかし他の実施形態では、塩素含有量は反応生成物の全重量に対して10〜25%の範囲にある。
【0021】
本発明に関する反応生成物の酸価は0〜135の範囲にある。ある実施形態では酸価は0〜100の範囲にある。他の実施形態では酸価は0〜65の範囲にあり得る。本明細書中で使用される酸価という言葉は、固体樹脂1g当たりの酸基を中和するのに必要とされる水酸化カリウムのmg数と定義される。(mgKOH/g)。
【0022】
ある実施形態ではクロレンド酸基と水酸基の反応が完結すると、過剰の水酸基が残存し得る。他の実施形態ではクロレンド酸基と水酸基の反応が完結すると、過剰の酸基が残存し得る。更に他の実施形態ではクロレンド酸基と水酸基の反応が完結すると、過剰の水酸基も過剰の酸基も残存しない。過剰のフリーな酸基が残存する実施形態では、これらの酸基は他の反応基と部分的にあるいは完全に反応し得る。適切な反応基は例えばエポキシ化合物、アミンおよび水酸基含有化合物が挙げられる。
【0023】
ある実施形態では本発明に関する接着促進組成物には、更に塩素化ポリオレフィンが含まれ得る。本発明で用いられる塩素化ポリオレフィンには、例えば無水マレイン酸のような酸無水物で変性した塩素化ポリオレフィンが含まれる。ある実施形態では反応生成物はまず、塩素化ポリオレフィンの存在下でモノマーを重合し、ポリマー/塩素化ポリオレフィン生成物を製造することによって、本明細書中で使用されるポリマーを塩素化ポリオレフィンに結合し、次にクロレンド酸基を含有した化合物とポリマー/塩素化ポリオレフィン生成物と反応させることによって塩素化ポリオレフィンに反応生成物が結合され得る。他の実施形態ではアクリル酸ポリオールを塩素化ポリオレフィンと反応させ、アクリル酸ポリオール/塩素化ポリオレフィン生成物を製造し、次にクロレンド酸および/またはクロレンド酸無水物のようなクロレンド酸基を含有した化合物と反応させる。ある実施形態では塩素化ポリオレフィンの含有量は,反応生成物と塩素化ポリオレフィンを含む分子の全重量に対して、5〜60%の範囲で存在する。他の実施形態では塩素化ポリオレフィンは、反応生成物および塩素化ポリオレフィンを含む分子の全重量に対して、15〜40%の範囲で存在する。
【0024】
本発明の他の実施形態では塩素化ポリオレフィンは、塩素化ポリオレフィンと反応生成物をブレンドあるいはミキシングすることにより、接着促進組成物中に添加することができる。ある実施形態では接着促進組成物中には、塩素化ポリオレフィンは接着促進組成物全重量に対して、5〜95%の範囲の量で組成物中に存在する。ある実施形態では塩素化ポリオレフィンは接着促進組成物全重量に対して、40〜60%の範囲の量で組成物中に存在する。他の実施形態では塩素化ポリオレフィンは接着促進組成物全重量に対して、40〜50%の範囲の量で組成物中に存在する。
【0025】
本発明の接着促進組成物は、組成物の全重量に基づいて、1〜75%の固形含有量を有して作製され得る。いくつかの実施形態において、本発明の接着促進組成物は、「低い固形物」含有量で調製され得る。このような実施形態において、接着促進組成物は、接着促進組成物の全重量に基づいて、1〜20%の範囲の固形含有量を有し得る。別の実施形態において、固形含有量は、組成物の全重量に基づいて、1〜10%であり、他の実施形態において、固形含有量は、組成物の全重量に基づいて、3〜7%である。
【0026】
本発明の接着促進組成物は更に溶剤を含有し得る。本組成物に用いられている適切な溶剤として、水および/またはトルエン、キシレン、芳香族混合物等の芳香族石油蒸留物、シクロヘキサン、ナフサ油等の脂肪族溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類、エチルアルコール、プロピルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエチレングリコールやジエチレングリコールのモノおよびジアルキルエーテル類、n−ブチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート等の酢酸エステル類、メチルベンゼン、2−ブタノンおよびこれらの混合物のような有機溶剤が挙げられる。
【0027】
本発明の接着促進組成物はまた着色剤が含まれ得る。本明細書中で用いられる場合、「着色剤」という言葉は組成物に色および/または不透明度および/または視覚効果を与える全ての物質を意味する。着色剤は分散粒子、ディスパージョン、溶液および/または薄片等の色々な適切な形体で接着促進組成物に添加できる。本発明の接着促進組成物には、1種類の着色剤あるいは2種類以上の着色剤の混合物が使用できる。
【0028】
例示的な着色剤には顔料、染料およびチント(tint)が挙げられ、これらの着色剤は塗料工業で使用されているものおよび/または、ドライカラー工業協会(DCMA)に登録されているもの、ならびに特殊な効果を有する組成物などである。着色剤には例えば、使用条件下では不溶であるが湿潤性の微粒子状固体粉末が含まれ得る。着色剤は有機化合物でも無機化合物でも良く、凝集性でも非凝集性でもよい。着色剤は当業者にその使用が良く知られているアクリル研磨材のような研磨材(grind vehicle)を用いることにより、接着促進組成物に添加することができる。
【0029】
例示的な顔料および/または顔料組成物には、これらに限定されるものではないが、カルバゾールジオキサジン粗顔料、アゾ顔料、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、ナフトールAS、塩顔料(レーキ)、ベンゾイミダゾロン、縮合物、金属錯塩、イソインドリノン、イソインドリン、多環フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダンスロン、アンスラピリミジン、フラバンスロン、ピランスロン、アンスアンスロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(DPPBOレッド)、二酸化チタン、カーボンブラックおよびこれらの混合物が挙げられる。「顔料」および「着色充填剤」という言葉はどちらも用いることができる。
【0030】
例示的な染料としては、これらに限定されるものではないが、フタログリーン、フタロブルー、酸化鉄、バナジン酸ビスマス、アントラキノン、ペリレン、アルミニウムおよびキナクリドン等の溶剤性および/または水性のものが挙げられる。
【0031】
代表的なチントとしては、これらに限定されるものではないが、Degussa Inc社から市販されているAQUA−CHEM896、Eastman Chemical Inc社のAccurate Dispersions事業部から市販されているCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTSのように水または水と混和性のある媒体に分散させた顔料が挙げられる。
【0032】
先述したように着色剤はこの限りではないが、ナノ粒子ディスパージョンを含めたディスパージョンという形体であり得る。ナノ粒子ディスパージョンには希望する色彩および/または不透明度および/または視覚効果が得られる1種以上の高度に分散したナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子を添加できる。ナノ粒子ディスパージョンには粒径が150nm未満、70nm未満あるいは30nm未満の顔料や染料等の着色剤を添加することができる。ナノ粒子は原料の有機顔料や無機顔料を粒径が0.5mm未満の粉砕媒体で微粉砕することにより製造することができる。例示的なナノ粒子ディスパージョンおよびそれらの製造方法は米国特許第6,875,800号B2に開示されており、本明細書中において参考として引用される。ナノ粒子ディスパージョンは晶析法、沈殿法、気相濃縮法および化学的アトリッション法(すなわち部分溶解法)によっても製造することができる。接着促進組成物中のナノ粒子の再凝集を最小にするために、樹脂コートナノ粒子のディスパージョンを用いることができる。本明細書中で用いる場合、「樹脂コートナノ粒子ディスパージョン」は連続した相を意味し、この相中に「複合したマイクロ粒子」が分散しており、ナノ粒子とナノ粒子上にコートした樹脂が含まれる。例示的な樹脂コートナノ粒子ディスパージョンおよびこれらの製造方法は、2004年6月24日に出願された米国特許出願第10/876,315号に開示されており、この特許出願は本明細書中において参考として引用され、2004年6月24日に出願された米国特許出願第10/876,031号にも開示され、本明細書中に参考として引用されている。
【0033】
本発明の接着促進組成物に用いられ得る特殊な効果を有する例示的な組成物には,レフレクタンス、真珠光沢、金属光沢、燐光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズムおよび/または色変化等の一つ以上の外観的効果を生じる充填剤及び/または組成物が挙げられる。更に特殊な効果のある組成物は不透明度や生目等のその他の知覚できる特性を提供し得る。非限定的な実施形態において、特殊な効果のある組成物はカラーシフトを起こし、コーティングの色はコーティングを色々な角度で眺めた場合に変化する。例示的なカラー効果のある組成物は米国特許第6,894,086B2に開示されており、本明細書で参考として引用されている。更にカラー効果のある組成物には透明なコートマイカおよび/または合成マイカ、コートシリカ、コートアルミナ、透明な液晶顔料、液晶コーティングおよび/または材料間の屈折率の差異により干渉が起こり、材料表面と空気間の屈折率の差異により干渉が起こらない任意の組成物が含まれ得る。
【0034】
ある非限定的な実施形態において、1種以上の光源に暴露された場合に可逆的に変化する感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は本発明の組成物に用いることができる。フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は特定の波長の放射線に暴露することにより活性化することができる。組成物が励起されると分子構造が変化し、変化した構造は組成物の原色とは異なる新しい色を示す。放射線の暴露が終わるとフォトクロミック組成物および/または感光性組成物は休止状態に戻り、組成物の色は元の色に戻る。一つの非限定的な実施形態に対して、フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は非励起状態では無色になり得、励起状態の色を示し得る。フルカラーの変化が、例えば20秒から60秒間、ミリ秒〜数分間現われ得る。例示的なフォトクロミック組成物および/または感光性組成物にはフォトクロミック染料が含まれる。
【0035】
ある非限定的な実施形態において、感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、高分子材料および/または重合可能な成分の重合性材料と共役結合等により関係し得、そして/または少なくとも部分的に結合し得る。感光性組成物が塗膜の外に移動し、基材中で結晶化し得るある種のコーティング組成物とは対照的に、本発明に従えば、高分子および/または重合可能な成分に関係し、そして/または少なくても部分的に結合する感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は塗膜の外に最小の移動をする。例示的な感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物およびこれらの製造方法は、2004年7月16日に出願された米国特許出願番号10/892,919号に開示されており、本明細書において参考として引用されている。
【0036】
一般に着色剤は希望する視覚効果および/または着色効果を与えるのに十分な量で、コーティング組成物に存在することができる。着色剤は使用された場合、組成物の全重量に対して、本発明の組成物の1〜65重量%、例えば3〜40重量%、または5〜35重量%添加することができる。
【0037】
本発明の接着促進組成物は、例えばレオロジー調整剤、充填剤、反応性稀釈剤、架橋剤、その他のフイルム形成樹脂および可塑剤等の他のコーティング添加剤を任意に含み得る。いくつかの実施形態において本発明の接着促進組成物は、実質的にあるいは完全にシラン含有化合物を含まない。本明細書中で用いる場合、「実質的に含まない」という言葉は、議論されている物質はもしあるとしても偶然の不純物として存在していることを意味する。言い換えると、この材料は組成物の特性に影響しない。本明細書中で用いる場合、「完全に含まない」という言葉は、材料は組成物中には全く存在しないことを意味する。
【0038】
本発明は、また基材と塗膜間の接着の促進方法に関し、先述した任意の接着促進組成物を基材に適用することを含む。下記に述べるように、後でコーティングを装飾、保護および/または機能的な目的で添加することができる。本発明の方法はEVAフォーム(エチレン/ビニルアセテート)、ポリウレタン、ガラス繊維強化プラスチック、当該分野で公知および以下に記載される熱可塑性プラスチックおよび/または熱硬化性プラスチックを含むプラスチックおよび/または金属等の接着を促進するのに特に効果的である。これらの基材の多くは可撓性の基材であることを認識される。本明細書中で用いられる場合、「可撓性基材」や同様な言葉は、著しい不可逆的な変化をすることなく、曲げまたは伸縮等の機械的な応力を受けることができる基材を意味する。ある実施形態において、可撓性基材は圧縮できる基材である。「圧縮できる基材」および同様な言葉は圧縮変形を受けた場合、一度圧縮変形が終わると実質的に元の形状に戻る基材を意味する。「圧縮変形」という言葉は、少なくとも一時的に少なくとも1つの方向で基材の体積を減ずる機械的応力を意味する。「EVAフォーム」にはオープン セル フォームおよび/またはクロウズド セル フォームが含まれ得る。「オープン セル フォーム」はフォームが複数の相互接続した空気室を含むことを意味し、「クロウズド セル フォーム」はフォームに独立気泡が含まれることを意味する。EVAフォームには、平らなシート、平板あるいは靴のミッドソールのようなモールド成型したEVAフォームが含まれ得る。EVAフォームの種類により表面の気孔率が異なる。モールド成型したEVAには高密度の表面あるいはスキンが含まれ、平らなシートあるいは平板には多孔性の表面が含まれる。本発明によればポリウレタン基材には芳香族、脂肪族およびハイブリッドポリエステルあるいはポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン(ハイブリッドの例としてシリコーンポリエーテルあるいはポリエステルウレタンおよびカーボネートウレタンが挙げられる)「プラスチック」という表現は任意の熱可塑性あるいは熱硬化性合成物質を意味し、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらの混合物、熱可塑性ウレタン、ポリカーボネート、シートモールディングコンパウンド、反応−インジェクションモールディングコンパウンド、アクリロニトリルベースの材料、ナイロン等の熱可塑性オレフィン(TPO)が含まれる。TPOは特定のプラスチックとして、ポリプロピレンおよびEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)が含まれる。「金属」にはスチール、電解スチール、冷間圧延スチール、マグネシウム、アルミニウムおよびチタン等が含まれる。
【0039】
基材の全てあるいは一部は接着促進組成物を用いて塗装でき、当該分野において公知の技術を適用することができる。適切な応用技術例として、これらに限定されるものではないが、ブラッシング、ワイピング、スプレー、ディッピングあるいはフローコーティングが挙げられる。接着促進剤は基材と塗布した如何なるコーティング層間の接着を改善するために任意の量で使用できる。
【0040】
ユーザーのニーズおよび関連する特定の基材により、接着促進組成物を塗布する前に、基材は前処理され得る。このような前処理には例えば、プラズマ処理、火炎処理、砂研磨、紫外線照射および/または溶剤クリーニング等の化学的クリーニングが含まれ得る。
【0041】
本明細書中で述べてきたように接着促進コーティング組成物は基材に塗布でき、少なくとも既存のコーティングで部分的に塗装した基材に適用できるか、または多層コーティングシステムの連続した層間に使用できる。
【0042】
接着促進組成物を塗布した後に、室温下でのフラッシング等により硬化され得、その後任意に焼成され得る。ある実施形態では、例えば、焼成作業を100°F〜120°Fの温度範囲で5分〜25分行うことができる。また他の実施形態では、硬化温度は著しく高い場合がある。特に接着促進剤が塗布される基材を考慮に入れながら、適切な硬化条件を決めることは当業者の範囲内に十分にある。接着促進剤の乾燥フイルムの厚さは0.01〜1.0ミルの範囲にあり得、普通は0.1〜0.4ミルである。ある場合は接着促進剤は0.05〜0.20ミルに塗布され得る。1つの実施形態において、接着促進剤は、0.05〜0.1ミルで塗布される。
【0043】
代表的に、接着促進組成物と異なるプライマーおよび/またはベースコート組成物は、本明細書中で記載した接着促進剤に上に後から塗布できる。プライマーおよび/またはベースコートは各々、顔料が添加されていても添加されていなくても良い。クリアーコーティング組成物は任意にベースコートに塗布できる。接着促進組成物のフイルムを焼成した後に、プライマーおよび/またはベースコートおよび/またはクリアーコートを塗布でき、あるいは焼成作業の前に「ウエット オン ウエット」の配置で塗布できる。つまり接着促進剤は後のコーティング層の適用前に、硬化することもでき、未硬化のままにすることもできる。任意の適切なプライマーおよび/またはベースコートおよび/またはクリアーコートはユーザーのニーズ、特定の基材および基材の特定の用途に応じて使用することができる。後のコーティング層(すなわち、プライマー、ベースコートおよび/またはクリアーコート)の接着は、本明細書中に記載した接着促進剤を使用しないで塗布した基材に比較して強化されている。いくつかの実施形態において、本明細書中で記載した接着促進組成物は別々の層として使用される。他の実施形態において、本明細書中に記載した接着促進剤は、これらのコーティングの接着促進特性を改善するために、添加剤として他のコーティングに添加することができる。例えば本発明の接着促進組成物は、プライマーと基材の接着の改善、および/またはプライマーの上に塗布したコーティングの接着を改善するためにプライマーに添加することができる。他の実施形態において、接着促進組成物は、ダイレクトグロストップコートとして用いられたコーティングに添加することができる。例えば接着促進剤は、基材またはプライマー処理した基材に直接塗布されるダイレクトグロストップコートとして2成分系ポリウレタンに添加され得る。本発明の接着促進組成物は固体樹脂の重量に基づいて1〜30重量%の範囲で他のコーティングに添加剤として添加することができる。別の実施形態において、接着促進剤は、固体樹脂の重量に基づいて2〜10重量%の範囲で、あるいは固体樹脂の重量に基づいて5〜10重量%の範囲で添加することができる。
【実施例】
【0044】
次の実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に述べる限りではない。実施例中の全ての部および百分率は、明細書本文と同様に特に断りがない限り重量部を表す。
【0045】
実施例1〜7は本発明に関するクロレンデート基を含むポリマーの調製を示す。実施例2、3、5、6および8は更に塩素化ポリオレフィンを含む。実施例7はクロレンド酸無水物の一部をポリイソブテンと無水マレイン酸との反応物で置き換えた例を示す。最後に実施例8は無水クロレンド酸を完全に置き換えた組成物を示す。
【0046】
(実施例1)
反応フラスコに攪拌機、熱電対、窒素供給口及び冷却器を備え付けた。反応フラスコへのチャージを下記の表1に示す。チャージAを添加し、窒素雰囲気中で還流温度の135℃〜142℃まで加熱しながら攪拌した。還流しているチャージAにチャージB及びCを2時間かけて同時に添加した。反応混合物を1時間還流状態に保持し、90℃まで冷却した。その後チャージDを添加し、反応混合物を90℃に205分間保持し、次に30℃に冷却した。
【0047】
(実施例2)
反応フラスコに攪拌機、熱電対、窒素供給口及び冷却器を備え付けた。反応フラスコへのチャージを下記の表1に示す。チャージAを添加し、窒素雰囲気中で110℃の温度まで加熱しながら攪拌した。チャージB及びCを各々2時間および3時間かけて同時に添加した。チャージCの添加が完了したら、反応混合物を110℃に1時間保持し、次に90℃まで冷却した。チャージDを添加し100℃まで加熱した。反応混合物を100℃に208分間保持し、その後30℃まで冷却した。
【0048】
(実施例3)
反応フラスコに攪拌機、熱電対、窒素供給口及び冷却器を備え付けた。反応フラスコへのチャージを下記の表1に示す。チャージAを添加し、窒素雰囲気中で135℃〜142℃の還流温度まで加熱しながら攪拌した。還流しているチャージAへチャージB及びCを2時間かけて同時に添加した。反応混合物を1時間還流温度に保持し、90℃まで冷却した。チャージDを添加し、反応混合物を90℃に385分間保持し、その後30℃まで冷却した。
【0049】
(実施例4)
反応フラスコに攪拌機、熱電対、窒素供給口及び冷却器を備え付けた。チャージAを反応フラスコに添加し、窒素雰囲気中で135℃〜142℃の温度まで加熱攪拌した。チャージを還流させた。チャージB及びCを3時間かけて反応フラスコに同時に添加した。反応混合物を1時間還流状態に保持し、その後80℃まで冷却した。次にチャージDを添加した。反応混合物を90℃に150分間保持し、その後30℃まで冷却した。
【0050】
(実施例5)
反応フラスコに攪拌機、熱電対、窒素供給口及び冷却器を備え付けた。チャージAを反応フラスコに添加し、窒素雰囲気中で135℃〜142℃の還流温度まで加熱攪拌した。チャージB及びチャージCを2時間かけて反応フラスコに同時に添加した。反応混合物を1時間還流状態に保持し、その後90℃まで冷却した。次にチャージDを添加した。反応混合物を100℃に300分間保持し、その後30℃まで冷却した。
【0051】
(実施例6)
反応フラスコに攪拌機、熱電対、窒素供給口及び冷却器を備え付けた。チャージAを反応フラスコに添加し、窒素雰囲気中で135℃〜142℃の還流温度まで加熱攪拌した。チャージB及びチャージCを2時間かけて反応フラスコに同時に添加した。反応混合物を1時間還流状態に保持し、その後90℃まで冷却した。次にチャージDを添加した。反応混合物を90℃に195分間保持し、その後30℃まで冷却した。
【0052】
(実施例7)
反応フラスコに攪拌機、熱電対、窒素供給口及び冷却器を備え付けた。チャージAを反応フラスコに添加し、窒素雰囲気中で135℃の温度まで加熱攪拌した。チャージを還流させた。チャージB及びチャージCを3時間かけて反応フラスコに同時に添加した。反応混合物を2時間還流状態に保持し、その後90℃まで冷却した。次にチャージDを10分かけて添加した。反応混合物を136℃に240分間保持し、その後30℃まで冷却した。
【0053】
(実施例8)
反応フラスコに攪拌機、熱電対、窒素供給口及び冷却器を備え付けた。チャージAを反応フラスコに添加し、窒素雰囲気中で135℃の温度まで加熱攪拌した。チャージAを還流させた。チャージB及びチャージCを3時間かけて反応フラスコに同時に添加した。反応混合物を1時間還流状態に保持し、その後80℃まで冷却した。次にチャージDを添加した。反応混合物を100℃に155分間保持し、その後30℃まで冷却した。
【0054】
【表1】


* 全ての重量の単位はg
1 CP343−1は塩素化ポリオレフィン(固形分100%)でEastman chemicalsから市販されている
2 LUPEROX26はt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートでArkema Inc社から市販されている
3 ポリイソブテンと無水マレイン酸の反応生成物で、BASF社からGLISSOPAL SAという商品名で市販されている
4 ポリマーのキシレン溶液。
【0055】
以下に接着促進性組成物を試料10〜26として表に示すことにより接着促進性組成物について説明する。
【0056】
表2の組成物には試料10〜15が含まれる。試料10〜13は示されるとおり実施例1〜3の生成物を用いたものである。試料15は比較のための組成物であり、キシレンで希釈した市販の塩素化ポリオレフィンである。塩素化ポリオレフィンはCP343−1(100%固体)と明示されており、Eastman Chemicals社から市販されている。試料14もまた比較のための組成物であり、PPG Industries社からONE CHOICEという名前で市販されており、アクリル変性塩素化ポリオレフィンが添加されており、アクリル酸にはクロレンデート基が含まれていない。
【0057】
【表2】

以下に述べるように表3に試料10〜15の試験特性を示す。示されるように接着促進剤に用いる前に、研磨した基材と未研磨の基材の接着力を比較するために、3M社の研磨剤SCOTCHBRITEパッドで基材を研磨した。スプレーガンを用いて接着促進性組成物を乾燥したフイルムの上に厚さが0.05〜0.15ミルの範囲で塗布した。組成物は室温下で10分間フラッシュさせた。それからアクリルラッカーベースコートを塗布した。用いたベースコートはPPG Industries社から市販されており、D9700の名称で販売されている。ベースコートを10分間フラッシュさせ、その上にPPG Industries社で市販されているアクリルウレタンクリアーコートD893を塗布した。この塗装物を試験前に室温で1週間で硬化させた。光沢をASTM0427に準拠して60°で測定した。像の鮮明度(DOI)はASTM0743に準拠して、C−ボックスを用いて測定した。「接着力」にはASTM0625に準拠して測定したクロスハッチテーププル試験が含まれた。接着試験の結果は接着力の百分率で報告されている。「湿気試験」はASTM0880に準拠して100°F、100%相対湿度のキャビネット中に10日間暴露した後の接着力を表す。湿気試験の結果は接着力の百分率で報告されている。実施例1〜3の生成物を用いた試料10〜13は、表3に示すように比較例の試料14〜15に比べて,良い、ある場合においてはより良い接着力を示す。
【0058】
【表3】


試料16〜18は示す通り、実施例4及び実施例5の生成物を用いている。試料19は市販の塩素化ポリオレフィンCP343−1であり、比較のために含まれている。接着促進剤は基材に適用され、次に示すようにコーティング組成物と一緒に塗装される。
表4に試験した試料の組成物の組成を示す。
【0059】
【表4】

試料16〜19をプレコートメタル基材にスプレー塗装し、次に示すサンドされていないOE上塗り(オリジナル エクワイプメント)の一つで、これらの全てはPPG Industries社で市販されている。
コーティング1:メラミンバインダーを用いたアクリルカルバメートおよび/またはポリエステルカルバメート。コーティングはDCT8000という商品名で市販されている。
コーティング2:アクリルポリオール及びメラミン樹脂バインダー。コーティングはDCT1002Bという商品名で市販されている。
コーティング3:ポリエステル酸およびエポキシバインダー。コーティングはDCT5000という商品名で市販されている。
コーティング4:ポリイソシアナートバインダー添加ポリオール。コーティングはWTKR2000という商品名で市販されている。
コーティング5:ポリ尿素電着プライマーコート。コーティングはED6060という商品名で市販されている。
【0060】
試料16〜19を各々の基材に塗装し、30分空気乾燥し、その後、PPG Industries社から入手でき、GLOBAL D9700という商品名で市販されている黒色のベースコーティングをスプレー塗装した。ベースコーティングは15分間空気乾燥し、その後,PPG Industries社から入手でき、CONCEPT DCU2042という商品名で市販されている2成分系ウレタンクリアーコートをスプレー塗装した。基材は湿気試験を行う前に、周囲温度、周囲湿度下で1週間乾燥し硬化させた。各々のパネルを100°F,100%相対湿度の部屋に10日間放置した。暴露後即座にASTM0880に準拠して、各々の試験パネルに碁盤目試験用の100個の四角のマス目を刻んだ。このマス目の塗膜にテープを押し付けて、テープを貼り付けた。3M社から入手でき、SCOTCH898という商品名で市販されているテープをマス目から力強く剥がした。試験結果を下記の表5に示す。表5の値は接着試験後の各々の塗膜の百分率(%)で表した残率を示す。試料17及び試料18は、コントロール(試料19)と同等あるいは優る接着力を有していた。
【0061】
【表5】

次の試料20〜24を調製し、可撓性の基材の上で試験した。この基材は運動靴のミッドソールに最も良く使用されているエチレン酢酸ビニールフォームであった。試料20〜26の組成物は表6に示す実施例6〜8の接着促進剤から調製した。ミッドソールは混合溶剤で洗浄し,空気乾燥させた。接着促進剤は表6に示すようにはけ塗りかワイピングにより基材に塗布した。接着促進剤は10分間空気乾燥するか,又は100°F〜120°Fで1時間強制乾燥した。次にメチルジイソシアナート架橋剤で架橋したポリオールを含有したベースコートを塗布した。このようなベースコートはPPG Industries 社から入手でき,XPM61423Sという商品名で市販されている。24時間後にASTM D3359に準拠してクロスハッチ接着力を調べた。明らかなように本発明の接着促進剤を用いれば本発明の組成物で処理しなかった基材よりも優れた接着力が得られた。
【0062】
【表6】


* 接着力の等級 5=ピックオフしない、0=100%ピックオフする。
** 100%溶液を調製するために溶剤混合物を添加した。溶剤混合物は50/50のメチルシクロヘキサンと酢酸n−ブチルの混合物。
*** ND−行わなかった

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、以下:
a)ポリマーとクロレンデート基を含む化合物との反応生成物であって、該ポリマーにはポリオール、ポリイソシアナートおよび/またはポリアミンが含まれ、該ポリオールにはエポキシポリオール、アクリル酸ポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリブタジエンポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールが含まれる反応生成物
を含む、組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、前記クロレンデート基はクロレンド酸および/またはクロレンド酸無水物に由来する、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、前記ポリオールにはアクリル酸ポリオールが含まれる、組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であって、前記ポリマーにはポリイソシアナートが含まれる、組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物であって、前記ポリマーにはポリアミンが含まれる、組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物であって、更に塩素化ポリオレフィンが含まれる、組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物であって、前記塩素化ポリオレフィンは接着促進組成物に混合されている、組成物。
【請求項8】
請求項6に記載の組成物であって、前記塩素化ポリオレフィンは反応生成物と結合している、組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物であって、前記反応生成物には過剰の水酸基または過剰の酸基が含まれる、組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物であって、前記反応生成物には反応生成物の全重量当たり、5〜47重量%の範囲の割合の塩素が含まれる、組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物であって、前記反応生成物の酸価は0〜135mgKOH/固体樹脂1gである、組成物。
【請求項12】
接着促進組成物であって、以下:
a)アクリル酸ポリオールを含むポリマーと、クロレンド酸および/またはクロレンド酸無水物との反応生成物
を含む、組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の組成物であって、更に塩素化ポリオレフィンが含まれる、組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の組成物であって、前記塩素化ポリオレフィンは接着促進組成物に混合されている、組成物。
【請求項15】
請求項13に記載の組成物であって、前記塩素化ポリオレフィンは反応生成物と結合している、組成物。
【請求項16】
請求項12に記載の組成物であって、前記反応生成物には過剰の水酸基あるいは過剰の酸基が含まれる、組成物。
【請求項17】
コーティング組成物と基材間の接着を改善する方法としては、少なくとも基材の一部に請求項1に記載の組成物を塗布する工程を包含する、方法。
【請求項18】
コーティング組成物と基材間の接着を改善する方法であって、少なくとも基材の一部に請求項12に記載の組成物を塗布する工程を包含する、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、前記クロレンデート基はクロレンド酸および/またはクロレンド酸無水物に由来する、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、前記ポリオールはアクリル酸ポリオールである、方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、前記接着促進組成物には更に塩素化ポリオレフィンが含まれる、方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法であって、少なくとも基材の一部には既存の塗膜が含まれる、方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法であって、前記接着促進コーティング組成物は、乾燥したフイルムの厚さが0.01〜1.0ミルになるように基材に塗布される、方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法であって、前記基材には金属が含まれる、方法。
【請求項25】
請求項17に記載の方法であって、前記基材にはプラスチックが含まれる、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記プラスチックにはポリプロピレンおよび任意のEPDMが含まれる、方法。
【請求項27】
請求項17に記載の方法であって、前記基材は可撓性である、方法。
【請求項28】
請求項17に記載の方法であって、前記基材はEVAフォームである、方法。
【請求項29】
請求項17に記載の方法であって、組成物は前記基材に塗布される前にコーティング組成物に添加される、方法。

【公表番号】特表2009−533524(P2009−533524A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505382(P2009−505382)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/007835
【国際公開番号】WO2007/123642
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ インコーポレーテツド (267)
【Fターム(参考)】