説明

接着剤で被覆されたステントおよび挿入器具

【課題】吻合部位を支持するために吻合部位内に位置決めするための支持構造を提供し、組織セクションの治癒を促進する、吻合部位内での使用のための展開カートリッジを提供する。
【解決手段】中空のプッシャー74、およびその中空のプッシャー内で支持されるステント10、を備え、このステントは、外側面上に形成された被覆を有するワイヤメッシュケージとして形成され、1つの実施形態では、外側被覆は組織封止剤を含み、代替の実施形態では、外側被覆は組織接着剤を含み、さらなる実施形態では、上記ステントは内側被覆を含み、このステントを通る材料の通過を促進する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、解剖学的部位を支持するための接着剤で被覆されたステントの使用に関する。より詳細には、本開示は、接着剤で被覆されたステントを、管状組織セクション間の接続部に形成された解剖学的部位中に挿入するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の背景)
種々の外科的手順の間に、2つ以上の管状組織セクションの遊離端部を連結または接続することがしばしば必要である。このプロセスは、吻合を形成すると称され、そして得られる管状組織セクション間の接続部は、吻合部位と称される。このような手順は、血管手術では一般的であり、ここでは、バイパス操作などの間に血管組織セクションを接続することがしばしば必要である。吻合の形成はまた、結腸直腸手術の間で一般的であり、ここでは、結腸の疾患部分が切除され、そして得られるセクションが再接続されて吻合部位を形成する。
【0003】
吻合または吻合部位の形成は、しばしば、組織セクションの遊離端部を半径方向の内方に折り畳み、そしてそれらを一緒に固定することにより達成される。得られる吻合接続部は、代表的には、接続された中空組織構造の制限されて狭くなっている狭窄部を生じる。例えば、特定の結腸直腸手順では、円形ステープル留め装置が、これら中空の組織セクションを接続するために利用される。これら組織セクションの遊離端部は、半径方向の内方にめくり返され、そしてステープルがこのめくり返ったエッジを通過する。ステープル留めの後、接続された組織のこれら半径方向の内方に向いたエッジは、この管状組織セクションを通る流体またはその他の物質の自由流れを一時的に阻害する狭窄部を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、吻合部位を支持するために吻合部位内に位置決めするための支持構造を提供し、そして組織セクションの治癒を促進することが所望される。
【0005】
ステントの接着剤被覆を提供し、組織へのこのステントの接着を容易にし、この組織の治癒を促進することがさらに所望される。
【0006】
吻合部位の封止を支援し、そして治癒の間の漏れを防ぐための組織封止剤の被覆を有するステントを提供することがなおさらに所望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)吻合部位内での使用のための展開カートリッジであって:
中空のプッシャー;および
その中空のプッシャー内で支持されるステント、を備える展開カートリッジ。
(項目2)上記ステントが、ワイヤーメッシュケージとして形成される、項目1に記載の展開カートリッジ。
(項目3)上記ステントが、外側被覆を含む、項目2に記載の展開カートリッジ。
(項目4)上記外側被覆が、組織封止剤を含む、項目3に記載の展開カートリッジ。
(項目5)上記外側被覆が、組織接着剤を含む、項目3に記載の展開カートリッジ。
(項目6)上記ステントが内側被覆を含み、それを通る材料の通過を容易にする、項目2に記載の展開カートリッジ。
(項目7)上記プッシャーが、上記ステントと係合可能な支持構造物を含む、項目1に記載の展開カートリッジ。
(項目8)上記支持構造物が、上記ステントの支持のための少なくとも1つの半径方向の内方に向いた突出部を含む、項目7に記載の展開カートリッジ。
(項目9)上記プッシャーが、鋭い遠位先端部を含む、項目1に記載の展開カートリッジ。
(項目10)吻合部位内でステントを位置決めする使用のための挿入器具であって:
ハンドル;
そのハンドルから遠位方向に延びる細長い部材;
その細長い部材から遠位方向に延びるヘッド;および
そのヘッド内に配置される展開カートリッジであって、ステントを保持するための形態である展開カートリッジ、を備える、挿入器具。
(項目11)上記展開カートリッジが、プッシャーおよびそのプッシャー内に含まれるステントを含む、項目10に記載の挿入器具。
(項目12)上記ハンドルが、上記ヘッドから上記展開カートリッジを進行するように作動可能なアクチュエーターを含む、項目11に記載の挿入器具。
(項目13)上記挿入器具が、上記ヘッドと係合可能なアンビル部材をさらに含む、項目10に記載の挿入器具。
(項目14)上記ハンドル部材が、上記ステントの遠位端を係合するような形態の接合面を含む、項目13に記載の挿入器具。
(項目15)上記ハンドルが、上記ヘッドに対して上記アンビルを接近するような形態の接近ノブを含む、項目13に記載の挿入器具。
(項目16)上記ヘッドがポケットを含む複数のステープルを含み、そして上記ハンドルが複数のアンビルポケットを含む、項目13に記載の挿入器具。
(項目17)患者の消化管中の吻合部位を支持する方法であって:
プッシャーおよびステントを含む展開カートリッジを有する挿入器具を提供する工程;
その挿入器具を第1の管状組織セクション内に位置決めする工程;
その第1の管状セクションに隣接して第2の管状組織セクションを接近する工程;
その展開カートリッジを、その第1の管状組織セクションと第2の管状組織セクションとの間に形成された接続部中に進行する工程;および
その挿入器具内で、そのステントがその第1の管状組織セクションと第2の管状組織セクションとの間に形成された接続部内で展開されて残るようにそのプッシャーを退却する工程、を包含する方法。
(項目18)上記ステントの外側面が、上記第1の管状組織セクションと第2の管状組織セクションとの間に形成された接続部内の挿入の前に被覆される、項目17に記載の方法。
(項目19)上記ステントの外側面が、組織封止剤で被覆される、項目18に記載の方法。
(項目20)上記ステントの外側面が、組織接着剤で被覆される、項目18に記載の方法。
(項目21)患者の腸における吻合を支持するステントであって、ほぼ管状構造物のメッシュ材料およびその外側面上に配置された接着剤材料を含む、ステント。
(項目22)上記管状構造物が第1の部分および第2の部分を有し、その第1の部分がその第2の部分より剛直である、項目21に記載のステント。
(項目23)上記管状構造物が第3の部分を有し、上記第2の部分が上記第1の部分とその第3の部分との間に配置され、そしてその第3の部分がその第2の部分より剛直である、項目22に記載のステント。
(項目24)患者の腸における吻合部位にステントを位置決めする挿入器具であって:
アンビル部材および管状部材を有する環状の外科用ステープル留めデバイスであって、そのアンビル部材がキャップおよびシャフトを有し、その環状部材が環状の形態にある複数の外科用ステープルを保持するヘッド部分で終わり、そのアンビル部材のシャフトがその外科用ステープルの半径方向の内方でその管状部材に連結可能であり、そのヘッド部分がその中に窪みを有し;そしてヘッド部分の窪み中に配置されるステントを備える、器具。
(項目25)上記ヘッド部分の窪み中に上記ステントを保持するプッシャーを有する展開カートリッジを備える、項目24に記載の器具。
(項目26)上記展開カートリッジが、上記ステントを支持するための少なくとも1つの支持部材を含む、項目25に記載の器具。
(項目27)上記展開カートリッジが、鋭いエッジを含む、項目25に記載の器具。
(項目28)上記展開カートリッジが、ほぼ管状のカートリッジである、項目25に記載の器具。
(項目29)上記ステントが、ほぼ管状のメッシュ材料の構造物である、項目24に記載の器具。
(項目30)上記ステントが、その外面に配置された接着剤材料を有する、項目29に記載の器具。
【0008】
(要旨)
吻合部位を支持し、そしてこの吻合部位での組織の治癒および接続を促進するために、吻合部位中にステントを挿入することにおける使用のための展開カートリッジが開示される。この展開カートリッジは、一般に、中空のプッシャーおよびこの中空のプッシャー内に完全に支持されるステントを含む。このステントは、外側面上に形成された被覆を有するワイヤメッシュケージとして形成される。1つの実施形態では、その外側被覆は組織封止剤を含む。代替の実施形態では、この外側被覆は組織接着剤を含む。さらなる実施形態では、上記ステントは内側被覆を含み、このステントを通る材料の通過を促進する。
【0009】
上記プッシャーは、このプッシャー内で上記ステントを指示するために上記ステントと係合可能な支持構造物を含む。1つの実施形態では、この支持構造物は、上記ステントの近位端と係合可能な少なくとも1つの半径方向の内方に向いた突出部を含む。このプッシャーは、組織を切断するような形態の鋭い遠位先端部を備えて形成される。
【0010】
吻合部位内でステントを位置決めする使用のための挿入器具がまた開示される。この挿入器具は、一般に、ハンドルから遠位方向に延びる細長い部材を有するハンドル、およびこの細長い部材から遠位方向に延びるヘッドを含む。展開カートリッジは、このヘッド内に、上記展開カートリッジが上記ヘッドから延び得るように配置される。この展開カートリッジは、一般に、プッシャーおよびこのプッシャー内に含まれるステントを含む。上記ハンドルは、上記ヘッドから上記展開カートリッジを進行するように作動可能であるアクチュエーターを含む。
【0011】
この挿入器具は、上記ヘッドと係合可能なアンビル部材をさらに含む。このアンビル部材は、上記プッシャーが上記ヘッド中に戻って退却されるとき、上記ステントを吻合部位内の位置に保持するためにこのステントの遠位端を係合するような形態である接合面を有する。上記ハンドルは、上記アンビルを上記ヘッドに対して接近するような形態の接近ノブをさらに含む。
【0012】
1つの実施形態では、上記挿入器具は、複数のステープルを含むヘッドを有する外科用ステープル留め装置であり、そして上記アンビルは、複数のアンビルポケットを含む。
【0013】
吻合部位をステントで支持する方法もまた開示される。この方法は、一般に、プッシャーおよびステントを含む展開カートリッジを有する挿入器具を提供する工程を含む。この挿入器具は、第1の管状組織セクション内に位置決めされ、そして第2の管状組織セクションが、上記第1の管状セクションに隣接して接近される。上記展開カートリッジが、上記第1の管状組織セクションと第2の管状組織セクションとの間に形成された接続部中に進行され、そして上記展開カートリッジが、この接続部中に進行される。
【0014】
上記ステントの外側面には、上記第1の組織セクションと第2の組織セクションとの間に形成された接続部内でのステントの挿入の前に被覆が提供される。1つの実施形態では、このステントの外側面は組織封止剤で被覆され、その一方、代替の実施形態では、このステントの外側面は組織接着剤で被覆される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって、吻合部位を支持するために吻合部位内に位置決めするための支持構造が提供され、そして組織セクションの治癒が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書で開示される接着剤で被覆されたステントおよび挿入器具の実施形態は、図面を参照して本明細書中に開示される。
【図1】図1は、接着剤で被覆されたステントの斜視図である。
【図2】図2は、接着剤で被覆されたステントの側面図である。
【図3】図3は、接着剤で被覆されたステントの端面図である。
【図4】図4は、接着剤被覆を示す図3の詳細の拡大された領域である。
【図5】図5は、局在化された圧縮力を受ける接着剤で被覆されたステントの側面図である。
【図6】図6は、接着剤で被覆されたステントの送達のための挿入器具の斜視図である。
【図7】図7は、接着剤で被覆されたステントを含む挿入器具の遠位端の拡大された斜視図である。
【図8】図8は、接着剤で被覆されたステントを含む挿入器具のプッシャー部材の斜視図である。
【図9】図9は、組織中に位置決めされた挿入器具の遠位端の部分的に断面で示される斜視図である。
【図10】図10は、組織中に接着剤で被覆されたステントを挿入する挿入器具の、断面および透視図で部分的に示される斜視図である。
【図11】図11は、ステープル留めされた吻合部位を支持する接着剤で被覆されたステントの、断面で部分的に示される斜視図である。
【図12】図12は、別の吻合部位を支持する接着剤で被覆されたステントの、断面で部分的に示される斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態の詳細な説明)
本明細書で開示される接着剤で被覆されたステントおよび挿入器具の実施形態は、ここで図面を参照して詳細に説明され、図面においては、いくつかの図面の各々で、同様の参照番号は同一または対応する要素を指定する。当該技術分野で共通であるように、用語「近位」は、使用者または操作者、すなわち外科医または医師により近い部分または構成要素をいい、その一方、用語「遠位」は、使用者からより遠く離れた部分または構成要素をいう。
【0018】
図1〜3は、本明細書で開示される接着剤で被覆されたステント10の実施形態を示す。接着剤で被覆されたステント10は、ワイヤメッシュケージ12を通って延びる複数の開口部またはポア14を有するほぼ円筒形のワイヤメッシュケージ12として形成される。ワイヤメッシュケージ12は、血管の血管形成手術における使用のためのステントを形成するために代表的に用いられる様式と類似の様式で構築される。ワイヤメッシュケージ12は、例えば、プラスチック、セラミック、またはチタン、ステンレス鋼などのような金属のような種々の適切な材料のいずれかから形成され得る。ポア14の寸法は、例えば、血管、結腸などのような種々の外科的手順におけるワイヤメッシュケージ12の意図された使用を基に選択される。
【0019】
ワイヤメッシュケージ12は、ケージ12の近位端18から遠位端20までケージ12を通って延びる貫通ボア16を規定する。貫通ボア16は、ワイヤメッシュケージ12によって支持される組織を通る流体およびその他の物質の流れのための道を提供する。ワイヤメッシュケージ12は、連続的円筒形部材として示されているけれども、ワイヤメッシュケージ12は、ワイヤメッシュケージ12がそれ自体の上に内方に巻かれ得、その外径を減少し、組織中への挿入を容易にするように、長軸方向に分割された部分を備えて形成され得ることに注目すべきである。一旦、所望の組織に挿入されると、ワイヤメッシュケージ12は、挿入器具からの放出の後、その通常の外径に再拡大し得る。
【0020】
ここで、図4を参照して、接着剤で被覆されたステント10は、外側被覆22を含む。外側被覆22は、ワイヤメッシュケージ12の外側面24に付与された組織接着剤または封止剤からなる。この組織封止剤は、組織が、フィブリン接着剤などのような材料を含む、それ自体で接着することを可能にするよう特に設計された種々の組成物を含み得る。被覆22は、例えば、浸漬、噴霧、静的またはその他の堆積方法などのような種々の公知の手順によって、被覆22をワイヤメッシュケージ12の外側面24中に取り込むことより、ワイヤメッシュケージ12の外側面24に付与され得、接着剤で被覆されたステント10は、接着剤で被覆されたステント10が配置される管状組織セクションの内側面を封止および/または接着するよう特に適合されている。
【0021】
詳細には示されていないけれども、ワイヤメッシュケージ12の内側面26はまた、種々の材料で処理または被覆され得る。ワイヤメッシュケージ12の内側面26を被覆するために用いられる材料は、例えば、Teflonなどのような種々の非接着性または比較的なめらかな物質を含み得、接着剤で被覆されたステント10の貫通ボア16を通る流体およびその他の材料の流れを容易にする。
【0022】
図5に最も良く示されるように、接着剤で被覆されたステント10は、接着剤で被覆されたステント10が接続される組織セクションの種々の領域に一致することを可能にするように相対的に異なる強度の種々の領域で形成され得る。接着剤で被覆されたステント10は、一般に、比較的弱い中央領域28、ならびにワイヤメッシュケージ12の近位端18および遠位端20に向かって中央領域28からそれぞれ延びる比較的剛直な近位領域30および遠位領域32を含む。示されるように、外部周縁の力Aを受けるとき、中央領域28は内方に曲がり得、内方に向かう周縁窪み34を形成する。ワイヤメッシュケージ12、そして特に中央領域28は、周縁窪み34が、接続された組織セクションの治癒の間に力Aの減少に起因してゆっくりと消失するように十分に可撓性であり得る。
【0023】
ここで図6を参照して、2つの管状組織セクションの間に形成された吻合部位内の接着剤で被覆されたステント10の挿入のために特に適する挿入器具36が開示される。挿入器具36は、一般に、ハンドル38から遠位方向に延びる細長い管状部材40を有するハンドル38を含む。ヘッド部分42は、細長い部材40から遠位方向に延びる。挿入器具36は、キャップ46を有するアンビル部材44、およびキャップ46から近位方向に延びるシャフト48をさらに含む。キャップ46は、近位面50を含む。シャフト48は、管状組織セクションの圧縮された領域を貫通することにおける使用のための近位の組織貫通先端部52を含む。アンビル44を挿入器具36のヘッド部分42に連結するために、ヘッド部分42は、シャフト48の受容のための中央ボア54を含む。ハンドル38は、接近ノブ56を含み、これは、作動されるとき、ボア54内でシャフト48を、種々の一般に公知の外科用ステープル留めまたはその他のファスナータイプ装置について用いられるのと類似の様式でアンビル44をヘッド部分42に対して接近するように進行および退却するために供される。1つのこのようなデバイスは、EEAもしくは端と端とをつなぐ吻合器具として知られ、米国特許第6,959,851号に開示され、その全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0024】
挿入器具36は、展開カートリッジ60の受容のためのヘッド部分42中に形成される周縁窪み58を含む。本明細書で以下により詳細に論議されるように、展開カートリッジ60は、接着剤で被覆されたステント10、および管状組織セクション内で、接着剤で被覆されたステント10を進行するような形態のプッシャー部材を含む。ハンドル38には、アクチュエーター62が提供され、ヘッド部分42中に形成された周縁窪み58から展開カートリッジ60を進行する。キャップ48の下面50は、展開カートリッジ60との、特に接着剤で被覆されたステント10との係合のための接合面64を含み、本明細書で以下にいくらか説明される接着剤で被覆されたステント10を保持し、そしてプッシャー部材からの分離を支援する。
【0025】
挿入器具36は、管状組織セクション内の手術の間で代表的に用いられる種々の外科用器具の任意の形態をとり得る。本明細書で開示されるように、挿入器具36は、端と端との吻合手順を実施するために代表的に用いられるタイプの外科用ステープル留め装置の形態である。この実施形態では、挿入器具36は、周縁窪み58の半径方向の外方および内方にそれぞれ位置する、ステープルポケット66の外側リングおよびステープルポケット68の内側リングを含む。同様に、アンビルポケット70の外側リング、およびアンビルポケット72の内側リングは、アンビル部材44中の接合面64の半径方向の外方および内方にそれぞれ形成される。それ故、挿入器具36は、例えば、ステープルのようにファスナーを、ステープルポケット66および68からアンビルポケット70および72中に射出し得、それによって、ステープルは、組織セクションをそれらの間に一緒に捕捉する。
【0026】
ここで、図7および図8を参照して、展開カートリッジ60がここで説明される。本明細書で上記に注記したように、展開カートリッジ60は、接着剤で被覆されたステント10、および接着剤で被覆されたステント10を支持し、そして接着剤で被覆されたステント10を挿入器具36から、そして管状組織セクション間に形成された吻合部位中に進行するために提供されるプッシャー74を含む。ここで特に図8を参照して、プッシャー74は、プッシャー74の近位端78から遠位端80まで延びる貫通ボア76を含む。接着剤で被覆されたステント10は、プッシャー74の貫通ボア76内に完全に配置される。示されるように、プッシャー74は、近位端78に隣接して形成され、そして貫通ボア76内で半径方向の内方に向く1つ以上の支持部材82を含み、接着剤で被覆されたステント10の近位端18を係合かつ支持する。1つの実施形態では、プッシャー74は、プッシャー74の遠位端80上に形成された鋭いエッジまたは鋭い先端部84を有する円形の円筒状ナイフである。鋭い先端部84は、上記管状組織セクションが一緒にステープル留めされた後、管状組織セクションの部分を通って切断するために提供される。
【0027】
接着剤で被覆されたステント10を管状組織セクション内に挿入するための挿入器具36の使用がここで説明される。図9〜11を、そして最初に図9を参照して、吻合タイプの外科的手順において、管状組織の疾患セクションは切除されて、接続されるべき第1の健常な管状組織セクションBおよび第2の健常な管状組織セクションCを残す。第1の健常な管状組織セクションBは、遊離端部Dを有し、その一方、第2の健常な管状組織セクションCは遊離端部Eを有し、これらは、吻合を形成するために一緒に接続される。
【0028】
最初に、アンビル部材44が、第1の健常な管状組織セクションB内に、シャフト48が遊離端部Dから延びるように位置決めされる。遊離端部Dは、遊離端部Dをシャフト48に連結している縫合糸または結紮糸86(これは「巾着ひも」の形態であり得る)によってシャフト48に固定される。同様に、挿入器具36のヘッド42は、遊離端部Eに隣接する第2の健常な管状組織セクションC内に位置決めされる。最初の部分において、展開カートリッジ60は、ヘッド部分42内に完全に含まれる。一旦、適正に配置されると、シャフト48は、挿入器具36のヘッド42中に形成された窪み54内に挿入される。その後、遊離端部Eは、縫合糸または結紮糸88によってシャフト48の周りに固定される。その後、接近ノブ56が作動されてアンビル部材44をヘッド42に向かって一緒に引き、第1の健常な管状組織セクションBおよび第2の健常な管状組織セクションCを接近させる。
【0029】
ここで、図10を参照して、一旦、接近されると、挿入器具36のアクチュエーター62は作動されてステープル90を個々のステープルポケット66および68から、組織BおよびCを通ってアンビルポケット70および72中に打ち込み、それによって、遊離端部DおよびEを一緒にステープル留めし、組織セクションBとCとの間に吻合を形成する。アクチュエーター62の連続する起動は、プッシャー74および接着剤で被覆されたステント10を含む展開カートリッジ60をヘッド42から、そして本明細書の上記で注記されたように、組織セクションBとCとの間に形成された吻合を横切って駆動し、プッシャー74は、鋭い遠位先端部84を含み、これは、過剰の組織を通って切断し、そして接着剤で被覆されたステントがアンビル部材44の接合面64に向かって進行されることを可能にする。接合面64は、それに対して鋭い遠位先端部84が係合し得る面として供され得る。接合面64は、接着剤で被覆されたステント10の遠位端20(図5)と一時的に接触し、そしてそれと係合するような面を、挿入器具36のヘッド42内でプッシャー74の戻る引き抜きの際に、接着剤で被覆されたステント10が組織セクションBおよびC内でその場に残るようにさらに形成する。
【0030】
ここで、図11を参照して、接着剤で被覆されたステント10は、組織セクションBとCとの間で形成される吻合内に位置決めされて示される。本明細書で上記に注記されたように、接着剤で被覆されたステント10は、曲がって内方に向いた周縁窪み34を形成し、組織セクションBおよびCが一緒に治癒するときステープル90によって接続される遊離端部DおよびEを含み、そして支持する中央の弱くなった領域28を含む。一旦、位置決めされると、接着剤被覆22は、組織セクションBおよびCに接着し、接着剤で被覆されたステントをその場に維持する。さらに、被覆22が接着剤または封止剤を含む場合、この接着剤または封止剤は、吻合部位で形成された狭窄部を通る漏れの予防を促進し、そしてこれら組織セクションが適正に一緒に治癒する時間を可能にする。
【0031】
本明細書で上記に注記されたように、挿入器具36は、ステープル留め以外の状況で用いられ得、接着剤で被覆されたステントを吻合部位を横切って位置決めし、ともに組織の治癒を促進する。示されるように、接着剤で被覆されたステント10は、セクションGとHとの間で形成される吻合部位Fで位置決めされ、吻合部位Fの支持および治癒を促進する。
【0032】
採用され得る接着剤の例は、タンパク質由来接着材料、アルデヒドを基礎にした接着材料を含み、例えば、BioGlueTMの商標名の下、Cryolife,Inc.によって販売される市販され利用可能なアルブミン/グルタルアルデヒド材料、およびTyco Healthcare Group,LPおよびEthicon Endosurgery,Inc.によってそれぞれ商標名IndermilTMおよびDerma BondTMの下で販売されるシアノアクリレートを基礎にした材料がある。採用され得る封止剤の例は、フィブリン封止剤、およびコラーゲンを基礎にした組織封止剤、および合成ポリマーを基礎にした組織封止剤を含む。市販され入手可能な封止剤の例は、Cohesion TechnologiesおよびBaxter International,Inc.によって商標名CoSealTMの下で販売される合成のポリエチレングリコールを基礎にしたヒドロゲル材料である。採用され得る止血材料の例として、フィブリンを基礎にした、コラーゲンを基礎にした、酸化再生セルロースを基礎にした、およびゼラチンを基礎にした局所止血剤が挙げられる。市販され利用可能な止血剤材料の例は、Tyco Healthcare Group,LPによって商標名CoStasisTM、そしてBaxter International,Inc.によってTisseelTMの下で販売されるフィブリノーゲン−トロンビン組み合わせ材料である。本明細書における止血剤は、収斂剤、例えば、硫酸アンモニウム、および凝固剤を含む。
【0033】
特定の好ましい実施形態では、創傷処置材料は封止剤を含む。このような封止剤は、望ましくは、PEGを基礎にした材料である。封止剤および/または接着剤として有用な材料のクラスの例は、生体適合性光開始剤の存在下のアクリレートまたはメタクリレート官能性ヒドロゲル、アルキル−シアノアクリレート、アミン官能性マクロマーありまたはなしのイソシアネート官能性マクロマー、アミンまたはスルフヒドリル官能性マクロマーをもつスクシンイミジルエステル官能性マクロマー、アミン官能性マクロマーをもつエポキシ官能性マクロマー、アルデヒド架橋剤の存在下のタンパク質またはポリペプチドの混合物、Genipin、または水溶性カルボジイミド、多価カチオンの存在下のアニオン性多糖類などを含む。
【0034】
利用され得るいくつかの特定材料は、米国特許番号第6,702、731号および同第6,296,607号および米国公開特許出願番号第2004/0068078号に開示のものを含む有機ポリイソシアネートおよびオキシエチレンを基礎にしたジオールまたはポリオール由来のイソシアネート末端の親水性ウレタンプレポリマー;米国特許第6,565,840号に開示のものを含むα−シアノアクリレートを基礎にした接着剤;米国特許番号第6,620,846号に開示のものを含むアルキルエステルを基礎にしたシアノアクリレート接着剤;米国特許番号第6,566,406号に開示されるものを含むインサイチュで反応および架橋し得る親電子基および親核基を有する水溶性前駆体から形成される生体適合性架橋ポリマーを基礎にした接着剤;生物吸収性ジアミン化合物と組み合わせた1つ以上のイソシアネート基で置換されたポリアルケン酸化物骨格、またはその内容が本明細書中に参考として援用される米国公開特許出願番号第2003/0032734号に開示されるような生物吸収性ジイソシアネート化合物と組み合わせた1つ以上のアミン基で置換されたポリアルケン酸化物骨格を基礎にしたものを含む2部分接着剤系;および、その内容が本明細書中に参考として援用される米国公開特許出願番号第2004/0115229号に開示されるような芳香族ジイソシアネートおよびポリオール由来のイソシアネート末端親水性ウレタンプレポリマーを含む。
【0035】
採用され得る接着剤の例は、タンパク質由来のアルデヒドを基礎にした接着剤材料、例えば、Cryolife,Inc.によって商標名BioGlueTMの下で販売される市販され入手可能なアルブミン/グルタルアルデヒド材料、およびTyco Healthcare Group,LPおよびEthicon Endosurgery,Inc.によって商標名IndermilTMおよびDerma BondTMの下でそれぞれ販売されるシアノアクリレートを基礎にした材料を含む。採用され得る封止剤の例は、フィブリン封止剤およびコラーゲンを基礎にした組織封止剤および合成ポリマーを基礎にした組織封止剤を含む。市販され入手可能な封止剤の例は、Cohesion TechnologiesおよびBaxter International,Inc.によって商標名CoSealTMの下で販売される合成のポリエチレングリコールを基礎にしたヒドロゲル材料である。
【0036】
特定の好ましい実施形態では、創傷処置材料「W」は、望ましくはPEGを基礎にした材料である封止剤を含む。封止剤および/または接着剤として有用な材料のクラスの例は、生体適合性光開始剤の存在下のアクリレートまたはメタクリレート官能性ヒドロゲル、アルキル−シアノアクリレート、アミン官能性マクロマーありまたはなしのイソシアネート官能性マクロマー、アミンまたはスルフヒドリル(sulffiydryl)官能性マクロマーをもつスクシンイミジルエステル官能性マクロマー、アミン官能性マクロマーをもつエポキシ官能性マクロマー、アルデヒド架橋剤の存在下のタンパク質またはポリペプチドの混合物、Genipin、または水溶性カルボジイミド、多価カチオン存在下のアニオン性多糖類などを含む。採用され得る封止剤の例は、フィブリン封止剤およびコラーゲンを基礎にした組織封止剤および合成のポリマーを基礎にした組織封止剤を含む。市販され入手可能な封止剤の例は、Cohesion TechnologiesおよびBaxter International,Inc.によって商標名CoSealTMの下で販売される合成のポリエチレングリコールを基礎にしたヒドロゲル材料である。
【0037】
本開示に従って用いられ得る外科用生体適合性創傷処置材料「W」は、その機能が器官、組織または構造物を付着または保持することである接着剤を含む。採用され得る接着剤の例は、タンパク質由来のアルデヒドを基礎にした接着剤材料、例えば、市販され入手可能な、Cryolife,Inc.によって商標名BioGlueTMの下で販売されるアルブミン/グルタルアルデヒド材料、およびTyco Healthcare Group,LPおよびEthicon Endosurgery,Inc.によって商標名IndermilTMおよびDerma BondTMの下でそれぞれ販売されるシアノアクリレートを基礎にした材料を含む。
【0038】
接着剤として利用され得るいくつかの特定の材料は、米国特許番号第6,702,731号および同第6,296,607号および米国公開特許出願番号第2004/0068078号に開示されるものを含む有機ポリイソシアネートおよびオキシエチレンを基礎にしたジオールまたはポリオール由来のイソシアネート末端親水性ウレタンプレポリマー;米国特許番号第6,565,840号に開示されるものを含むα−シアノアクリレートを基礎にした接着剤;米国特許番号第6,620,846号に開示のものを含むアルキルエステルを基礎にしたシアノアクリレート接着剤;米国特許番号第6,566,406号に開示されるものを含むインサイチュで反応および架橋し得る親電子基および親核基を有する水溶性前駆体から形成される生体適合性架橋ポリマーを基礎にした接着剤;生物吸収性ジアミン化合物と組み合わせた1つ以上のイソシアネート基で置換されたポリアルケン酸化物骨格、またはその内容が本明細書中に参考として援用される米国公開特許出願番号第2003/0032734号に開示されるような生物吸収性ジイソシアネート化合物と組み合わせた1つ以上のアミン基で置換されたポリアルケン酸化物骨格を基礎にしたものを含む2部分接着剤系;および、その内容が本明細書中に参考として援用される米国公開特許出願番号第2004/0115229号に開示されるような芳香族ジイソシアネートおよびポリオール由来のイソシアネート末端親水性ウレタンプレポリマーを含む。任意の公知の適切な接着剤が使用され得ることが企図される。
【0039】
上記ステントは、吸収性または再吸収性ポリマー、ステンレス鋼、チタン、またはその他の生体適合性材料であり得る。
【0040】
種々の改変が本明細書中に開示される実施形態になされ得ることが理解される。例えば、種々のその他の支持構造物がプッシャー上に提供され得、挿入器具から接着剤で被覆されたステントを係合、支持、および進行する。さらに、本明細書上記に注記されるように、プッシャーおよび接着剤で被覆されたステントを含む上記の開示された展開カートリッジは、ステープル留め器具以外の挿入器具で利用され得る。従って、上記の記載は制限すると解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された請求項の範囲および思想内でその他の改変を想定する。
【0041】
(要約)
展開カートリッジが、管状の組織セクションの間に形成された接続部中に被覆されたステントを挿入するために提供される。この展開カートリッジは、プッシャーおよびこのプッシャー内に含まれる被覆されたステントを含む。このプッシャーは、ステントとの係合のための支持構造物を含む。このステントは、組織封止剤または組織接着剤で被覆される。挿入器具がまた、2つの管状組織セクション間に形成された接続部中に上記展開カートリッジを進行するために開示される。管状組織セクション間に形成された接続部での支持および治癒を被覆されたステントで促進する方法もまた開示される。
【符号の説明】
【0042】
10 ステント
12 ワイヤメッシュケージ
14 ポア
16 貫通ボア
22 外側被覆
36 挿入器具
38 ハンドル
40 管状部材
42 ヘッド部分
44 アンビル部材
46 キャップ
48 シャフト
60 展開カートリッジ
62 アクチュエーター
74 プッシャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−254325(P2012−254325A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183986(P2012−183986)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2007−303771(P2007−303771)の分割
【原出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】