説明

接着剤検出方法

封筒など、蛍光物質を含むセルロース系基体を接着するのに有用な接着剤組成物を、ポリビニルアセテートの水性エマルジョンなどの接着性ポリマーと、接着剤で被覆された基体表面の領域において基体が発する蛍光の強度を低下させることができる1種以上の化合物とを使用して調製することができる。短波長光を照射した場合、接着剤の被覆を有する表面領域は、接着剤のない表面領域よりも暗く見え、それによって、接着剤の塗布に関係する品質管理問題を容易に監視し、是正することが可能になる。しかし、同時に、この接着剤は、蛍光を低下させる化合物が、通常の昼光下で見たときに、接着剤の被覆の外観を変えないように調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤の被覆剤が基体表面に塗布された場所の検出方法、および、そのような方法を実施するのに有用な接着剤に関する。これらの方法および接着剤は、特に、紙包装材料のようなセルロース系基体の接着に関して有用である。
【背景技術】
【0002】
様々な接着性ポリマーのエマルジョンをベースとする接着剤が長年知られており、紙を接着する目的で一般的に使用されている。例えば、ポリビニルアセテート接着剤は、製本、ボール箱の封止、ボール紙の製造、バッグの縫合、チューブの巻き取り、カップ接着剤や、ラベル、切手および封筒の再湿型接着剤に使用され、また、様々なフィルムをセルロース系材料に接着するのに使用されている。
【0003】
そのような接着剤を基体表面に制御して塗布するのを助けるために、蛍光化合物を接着剤に混合することが知られている。蛍光化合物は、短波長紫外線を照射したときに可視波長域の光を発する物質である。理想的には、蛍光化合物を含有する接着剤は、白色または無色の基体の表面に層またはコーティングの状態で塗布した場合、通常の照明(昼光)下では無色、またはほぼ無色である。すなわち、そのような層が可視光線に曝されたときに、人間の観察者は接着剤の層を容易に見ることができない。しかしながら、この接着剤の層に短波長紫外線を照射した場合、この蛍光化合物は蛍光を発し、色(例えば、黄色、緑色、青色)が生じ、白色または無色の基体と対照をなすので、人間の観察者は容易に検知することができる。例えば、封筒の製造業者は、封筒の組立中に、封筒に接着剤を塗布するときに作られるゴムのラインの品質を容易に監視することができるように、蛍光化合物を含有する接着剤を使用することができる。例えば、塗布された接着剤の一部が所望の重なり部を越えて広がった場合(例えば、封筒用紙を折り重ねて封筒を形成する場合など、封筒の一部分をこの封筒の別の一部分に接着する場合)、封筒を短波長光に曝し、蛍光化合物を含有する接着剤に起因して外観がより明るい(すなわち、蛍光発光度がより高い)領域をチェックすることによって、この接着剤ゴムのラインを容易に視覚化することができる。
【0004】
しかしながら、最近、短波長光を照射した場合、それ自体が蛍光発光を示す紙(特に、青色の蛍光を発する封筒用紙)を使用する傾向がある。例えば、蛍光増白剤は、長波長紫外線領域(約350〜400nm)の励起で青みがかった光を発することによって機能する。この発光は、ある紙製品に固有の黄色度を相殺することができる。そのような紙と組み合わせて使用される接着剤をより容易に検出するために、接着剤中の蛍光化合物の濃度が著しく増加されている。しかしながら、このことは、接着剤を使用して紙の一部分を別の一部分に固定するとき、接着剤がこの紙を通して目に見えてしまうという問題をもたらした。すなわち、この接着剤組成物は、蛍光化合物の濃度が低い接着剤と比較して、可視光線で見たときに、色強度が大きい。従って、二層の紙の層の間に配置され、この二層の紙の層を互いに接着する接着剤の層は「にじみ(bleed through)」を示し、すなわち、周辺光下で接着剤の層の色が、特にそのような紙の層が比較的薄い場合、紙の層を通して見える傾向がある。さらに、二層の紙の層の間の重なり領域以外の領域で基体表面に(例えば、不注意で)塗布される接着剤も、すべて、好ましくない目に見える色強度を示す。製造業者も、最終消費者も、通常の使用状態でそのような目に見える着色を示さない製品を非常に好むので、それによって、組み立てられた品物(例えば、封筒)の知覚品質に悪影響が及ぶ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、蛍光を発する基体表面に接着剤を塗布した場所を視覚化するための方法であって、蛍光化合物を接着剤中に混合しないようにし、接着剤の性能や、昼光下での塗布した接着剤の被覆の外観に悪影響を及ぼさない新しい方法を開発することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、紫外線に曝されたときに蛍光を発する基体表面上の接着剤の被覆の存在を検出する方法であって、
a)この基体表面に接着剤を塗布して、基体表面の少なくとも一部に接着剤の被覆を形成することと、
b)基体表面を紫外線放射源に曝しながら、表面上に接着剤の被覆を有する基体表面を観察することと
を含み、
表面上に接着剤の被覆を有する基体表面の少なくとも一部において基体が発する蛍光の強度を低下させる効果がある少なくとも1種の化合物とともに、前記接着剤が与えられる方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、基体上の接着剤の被覆域を検出する方法であって、
a)少なくとも1種の蛍光化合物を含む基体を選択することと、
b)この基体の表面を、少なくとも1種の接着性ポリマーと少なくとも1種の紫外線吸収剤とを含む接着剤で被覆することと、
c)この接着剤で被覆された基体の表面を、前記少なくとも1種の蛍光化合物を励起することができる紫外線に曝すことと、
d)表面全域にわたって蛍光の有無、または強度を検出して、接着剤による表面被覆域の範囲を求めることと
を含む方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
接着剤の被覆剤が塗布された基体表面の部分の蛍光が低下することで、観察者は、基体表面の所望の領域にのみ接着剤が存在するかどうか、何か是正措置をとらなければならないかどうかを容易に決定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載された方法は、ホットメルト接着剤、溶液型接着剤、反応性接着剤、放射線硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、触圧接着剤、感圧接着剤、1液型接着剤、および2液型接着剤など、公知のいずれのタイプの接着剤を用いても実施することができるが、本発明の特に好ましい実施形態では、この接着剤は水性接着剤である。特に、そのような接着剤は、1種以上の接着性ポリマーの水性エマルジョン、1種以上の接着性ポリマーの水溶液、または可溶化した接着性ポリマーとエマルジョン化した接着性ポリマーの両方を含有する水性混合物を含むことができる。
【0010】
本発明で使用するのに適した接着性ポリマーとしては、水性媒体中に分散して、細かく分離した粒子の安定なエマルジョンを形成でき、基体表面に塗布したときに、水の放出(すなわち、乾燥)によって固化し、ポリマー粒子(一般に、乾燥時に合着する)のフィルムを与える、接着剤の分野では公知の水に不溶性のポリマー物質いずれもが挙げられる。このポリマーフィルムは、基体表面と、塗布された接着剤の被覆に接触させた第2の基体表面との間で接着結合を作る。従って、このポリマーは、水性接着剤で従来使用されている樹脂物質、熱可塑性物質、熱硬化性物質、またはゴム状(エラストマー)物質のいずれであってもよい。合成ポリマーおよび天然ポリマー(例えば、多糖類)が使用するのに適している。
【0011】
ビニルエステル単独重合体および/または共重合体のエマルジョンは、本発明の接着剤において特に有用である。そのような単独重合体または共重合体の製造において利用されるビニルエステルのモノマーは、1個〜約12個の炭素原子を含有するアルカン酸のエステルであってもよい。典型的な例としては、ビニルホルメート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルバレレート、ビニル2−エチル−ヘキサノエート、ビニルイソオクタノエート、ビニルノナノエート、ビニルデカノエート、ビニルピバレート、ビニルバーサテート等、さらに長鎖脂肪酸のビニルエステル類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、ビニルアセテートが、容易に入手でき、かつ安価であるので、一般的に好ましい。
【0012】
ビニルエステルのモノマーは、ホモ重合またはビニルエステルのモノマー以外の1種以上のモノマーと共重合することができる。適当なコモノマーとしては、例えば、エチレンなどのαオレフィン、アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸などのエチレン系不飽和モノカルボン酸、アクリロニトリルなどのエチレン系不飽和モノカルボン酸のニトリル、マレイン酸、フマル酸などのエチレン系不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸などのエチレン系不飽和ジカルボン酸の無水物、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などの少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有するモノカルボン酸およびジカルボン酸のC−Cエステルが挙げられる。後者のタイプの適当なコモノマーの例としては、2−エチルヘキシルアクリレートおよびジブチルマレエートが挙げられる。また、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのビニルモノマーを使用することができ、同様に、N−メチロールアクリルアミドなどのN−メチロールコモノマーを使用することもできる。
【0013】
本発明の接着剤組成物において使用するのに適したビニルエステル単独重合体および共重合体の両方のエマルジョンは、当該技術分野において周知の方法で調製することができる。例えば、上記のモノマーの重合は、ラジカル開始剤によって重合を開始することで実施することができる。この重合では、モノマーをアゾビスイソブチロニトリルまたはベンゾイルパーオキサイドなどラジカル開始剤の存在下で加熱する。この重合は、一般的に、モノマーがエマルジョン化されている水性媒体中で実施する。多くの場合、ポリビニルアルコールまたはヒドロキシアルキル化多糖類などの乳化剤および/または保護コロイドが使用される。一般的には、それにより得られるビニルアセテートポリマーのエマルジョンの固形分は、約50重量%〜約80重量%である。
【0014】
接着剤の調製において使用するのに適したビニルエステル単独重合体および共重合体の水性エマルジョンを調製する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、下記の米国特許(これらの各々は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれている。)に記載された乳化重合技術を利用することができる:第2,595,952号、第2,588,543号、第3,778,399号、第4,396,739号、第4,575,525号、第4,678,824号、第5,571,860号、第5,939,505号、第6,667,352号、および第6,716,941号明細書。
【0015】
また、本発明の成分として使用できる適当なビニルエステル単独重合体および共重合体のエマルジョンは、商業的供給源から入手可能である。
【0016】
また、ポリアクリレート単独重合体および共重合体、ならびにスチレン共重合体(例えば、スチレン/無水マレイン酸共重合体)も、本発明の組成物の接着性ポリマーとして使用することができる。適当なポリアクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のC1−C12アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C12アルキルエステル、C1−C8アルキルで置換されたアクリルアミドおよびメタクリルアミドなどのアクリルモノマー1種以上を重合することによって調製される重合体および共重合体が挙げられる。
【0017】
接着性ポリマーは、また、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ネオプレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、またはアクリレート−ブタジエンゴムなどのジエン重合体または共重合体のエマルジョン(ラテックス)とすることもできる。
【0018】
接着性ポリマーは、また、例えば、デンプンまたはデキストリン、あるいはこれらの化学的に変性させた誘導体(例えば、架橋させた、または疎水性に変性させたデンプン)などの多糖類または他の天然ポリマーであってもよい。a)ポリビニルアルコールおよび/またはエチレンビニルアセテート共重合体と、b)デンプンおよび/またはデキストリンとの混合物は、接着性ポリマー成分として使用するのに特に適している。
【0019】
接着性ポリマーは、任意に、接着剤を架橋することを可能にする反応性基を含有していてもよく、これは接着剤組成物から形成された接着層の耐水性を改善するのに役立つことがある。
【0020】
一般的には、接着性ポリマーのエマルジョンは、本発明の方法で使用される接着剤組成物の重量の大部分を占める。この接着性ポリマーのエマルジョンの濃度は、特に重要であるとは考えられないが、一般的に、エマルジョンは、全接着剤組成物100重量部当たり、約50重量部〜約90重量部含むことができる。
【0021】
本発明の接着剤組成物は、さらに、この接着剤組成物が塗布された基体が発する蛍光の強度を低下させる効果がある1種以上の化合物を含む。一般的に、そのような化合物は紫外線吸収剤であり、従って、本明細書では「UV光吸収剤」と呼ぶ場合がある。本発明の目的に適したUV光吸収剤としては、ベンゾフェノン(例えば、ヒドロキシ置換ベンゾフェノン)、ベンゾトリアゾール(例えば、ヒドロキシ置換ベンゾトリアゾール)、トリアジン(例えば、ヒドロキシ置換トリアジン)、ベンゾオキサジノン(例えば、非ヒドロキシ置換ベンゾオキサジノン)、ヒンダードベンゾエート(例えば、ヒドロキシ置換ヒンダードベンゾエート)、p−メトキシベンジリデンマロネートエステル、非ヒドロキシ置換オキサニリド、およびヒンダードアミンが挙げられる。種々のUV光吸収剤の組み合わせは、所望により、使用することができる。特に好ましい実施形態では、UV光吸収剤は、置換o−ヒドロキシベンゾフェノン、置換o−ヒドロキシフェニルサリチレート、および/または、置換2−(o−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾールである。接着剤が水性接着剤の場合、UV光吸収剤は、水溶性であるか、または、水に分散または乳化されている微粒子状であることが一般的には好ましい。さらに、このUV光吸収剤は、接着剤組成物を(昼光中で)目に見える色にしないように、および/または、接着剤組成物の特性に悪影響を及ぼさないように選択することが好ましい。適当なUV光吸収剤は、Ciba Specialty Chemicals(商品名「Tinuvin」および「Chimmasorb」)、およびCytec Industries(商品名「Cyasorb」)など、多くの商業的供給源から入手可能である。特に好ましいUV光吸収剤の例としては、N−(エトキシカルボニルフェニル)−N’−メチル−N’−フェニルホルムアミジン(CAS57834−33−0;Ciba Specialty Chemicalsから商品名「Tinuvin101」で市販されている)である。
【0022】
接着剤組成物に含まれるUV光吸収剤の量は、接着剤が塗布される基体の蛍光活性、基体表面に形成される接着剤の被覆の厚み、紫外線の照射後、接着剤で被覆された基体の蛍光発光を見る、または測定する方法、UV光吸収剤の紫外線を吸収する際の有効性、さらには他のファクターに応じて変えることができる。しかし、この量は、一般的に、接着剤層に紫外線を照射した後、基体表面に塗布された接着剤を人間の観察者、または蛍光強度測定装置によって容易に検出するのに有効な量である。一般的には、UV光吸収剤は、全接着剤組成物の全重量を基準として、約0.01重量%〜約1重量%の範囲の量で存在する。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、接着剤(基体表面に被覆として塗布されたとき)は、可視光線に曝されたときに(例えば、昼光下で観察したときに)、無色または透明であり、あるいは無色かつ透明である。接着剤組成物の外観を変えるために、1種以上の透明剤(透明化剤)を添加することが好ましい場合がある。そのような任意の透明剤は、接着剤組成物をより透明に、または明るくする(すなわち、不透明さを低下させる)のに役立ち、それにより、接着剤を、通常の昼光下で人間の観察者にさらに見えにくくしている。適当な透明剤としては、例えば、エチレングリコールオリゴマー(例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、およびこれらの混合物)などのグリコールオリゴマーが挙げられる。ある実施形態では、本発明の接着剤組成物は、接着剤組成物100重量部当たり、5重量部まで(例えば、0.5重量部〜5重量部)の透明剤を含むことができる。
【0024】
上記の成分に加えて、本発明で使用される接着剤は、さらに、1種以上の安定剤、湿潤剤、粘着剤、充填剤、保護コロイド(例えば、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン)、乳化剤、界面活性剤、非反応性希釈剤(溶媒、特に水溶性溶媒、ただし、好ましい実施形態では、接着剤は有機溶媒を含まないか、または実質的に含まない。)、定着剤、架橋剤、消泡剤、増粘剤、チキソトロープ剤、可塑剤、酸化防止剤、防腐剤、殺虫剤などを含んでいてもよい。そのような追加の、かつ任意の添加剤は、水性接着剤の分野で公知の物質のいずれであってもよい。また、所望の粘度を達成するために、または接着剤に他の特性を付与するために、(接着性ポリマーの水性エマルジョンおよび他の水を含有する成分の添加によってすでに供給されている水の量を越えて)接着剤組成物に水を添加することもできる。
【0025】
本発明の接着剤組成物は、ポリビニルアルコールおよびポリビニルアセテートの部分加水分解生成物のような水溶性ポリマーを、一般的には全接着剤組成物100重量部を基準として、0.1重量部〜10重量部、または0.5重量部〜5重量部の濃度で含むことができる。
【0026】
所望により、接着剤組成物中に、水性接着剤で従来使用されている1種以上の可塑剤が存在していてもよい。代表的な可塑剤としては、アセチルトリブチルシトレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジエチルフタレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールジベンゾエート、エチルフタリルエチルグリコレート、エチル−p−トルエンスルホンアミド、ヘキシレングリコール、メチルフタリルエチルグリコレート、ポリオキシエチレンアリールエーテル、トリブトキシエチルフタレート、ならびに安息香酸およびフタル酸のトリエチレングリコールポリエステルなどのフタレート、グリコレート、ブチレート、2−エチルヘキソエート、およびホスフェート可塑剤が挙げられる。この可塑剤は、一般的には、接着剤組成物100重量部当たり、2重量部〜20重量部、例えば、3重量部〜15重量部含まれる。
所望により、1種以上の粘着剤が、接着剤組成物中に、一般的に、約20重量部まで、例えば、2重量部〜10重量部(全接着剤組成物100重量部当たり)の濃度で含有されていてもよい。
【0027】
所望により、1種以上の粘着剤が、任意で、接着剤組成物中に、全接着剤組成物100重量部当たり、一般的に、約20重量部まで、例えば、2重量部〜10重量部の濃度で含有されていてもよい。代表的な粘着剤としては、クマロン−インデン、エステルガム、ガムロジン、炭化水素樹脂、水素化ロジン、フェノール変性炭化水素樹脂、ロジンエステル、タル油ロジン、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、トルエン−スルホンアミド・ホルムアルデヒド樹脂、ウッドロジン、ホウ砂、ホウ酸、およびクエン酸が挙げられる。
【0028】
有用な増粘剤としては、オリジネート、ベントナイト、カゼイン、ヒュームドシリカ、ガーゴム、トラガカントゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ローカストビーンガム、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩(例えば、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびデンプンが挙げられ、これらの増粘剤が存在する場合、全接着剤組成物100重量部当たり、一般的に、5重量部までの量で使用される。
【0029】
適当な充填剤としては、ベントナイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、マイカ、堅果殻粉末、シリカ、タルク、非加熱デンプン、および木粉が挙げられ、これらの充填剤が存在する場合、全接着剤組成物100重量部当たり、一般的に、20重量部まで含まれる。
【0030】
使用するのに適した湿潤剤としては、塩化カルシウム、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、塩化マグネシウム、硝酸ナトリウム、ソルビトール、スクロース、および尿素が挙げられ、これらの湿潤剤が存在する場合、接着剤組成物100重量部当たり、20重量部まで含まれることができる。
【0031】
ある実施形態では、接着剤は、下記の成分からなる(記載の量は、接着剤の全重量を100重量部として、重量部で表わしている)。

(配合物I) 重量部
エチレンビニルアセテート共重合体のエマルジョン
および/または
ポリビニルアセテート単独重合体のエマルジョン 20−99.99
ポリビニルアルコール溶液 0−20
可塑剤 0−20
湿潤剤 0−25
溶媒 0−15
UV光吸収剤 0.01−1.0
消泡剤および/または防腐剤 0.1−1.5
pH調整剤 0−1
増粘剤 0−3
追加する水 0−9

(配合物II) 重量部
水 0−20
デンプンおよび/またはデキストリン 1−40
湿潤剤 0−30
PVAおよび/またはEVA樹脂のエマルジョン
(好ましくは相溶性のためにデキストリン乳化物) 0−99.99
粘着剤 0−5
UV光吸収剤 0.01−1.0
消泡剤および/または防腐剤 0.1−1.5
pH調整剤 0−1.0
追加する水 0−3

(配合物III) 重量部
ビニルエステル単独重合体または共重合体の水性エマルジョン
50−90
ポリビニルアルコール水溶液
(例えば、20−60重量%固形分) 0−20
可塑剤 0−20
湿潤剤 0−25
透明剤 0.5−5
UV光吸収剤 0.01−1
鉱酸 0.5−1.5
消泡剤および/または防腐剤 0.3−1.5
追加する水 1−10
【0032】
本発明で使用される接着剤組成物は、所望の用途に適した粘度特性を有するように調製しなければならない。一般的には、基体表面のウェッティングを容易にするように、粘度を、接着剤を基体に塗布する温度において比較的低粘度になるように調整することが好ましい。接着剤組成物を封筒の製造において利用する場合、例えば、塗布温度は、一般的には、約35℃〜約45℃であり、25℃での接着剤の粘度は、一般的には、約500cps〜約25,000cps(例えば、約900cps〜約3000cps)である。
【0033】
本発明の接着剤検出方法は、封筒および包装紙の製造で使用するのに特に適しているが、この方法は、また、多くの種々の基体を用いて、例えば、包装およびボトルのラベル付け、箱およびボール箱の作製および封止、チューブの巻き取り、バッグの製造、紙およびフレキシブルフィルムの積層などの様々な他の接着または接合用途で使用することができる。適当な基体としては、紙(印刷された紙および/またはコーティングされた紙を含む)、板紙、厚紙、削片板、木および他のセルロース系基体、ならびに布地、皮革、プラスチックシートおよびフィルム、金属化プラスチックフィルム、ガラス、ゴム、金属シートおよび金属箔が挙げられる。
【0034】
前述のように、接着剤組成物が塗布される基体は、紫外線を照射したとき、基体の表面(接着剤組成物が存在しない)が蛍光を発するのに有効な量で、1種以上の蛍光化合物を含んでいなければならない。そのような蛍光化合物、および、そのような化合物をそのような基体に含有させる方法は、当該技術分野において周知であり、「蛍光増白剤」または「増白剤」と呼ばれる場合がある。適当な蛍光化合物としては、紫外線スペクトルの放射線を吸収し、可視スペクトルの光を発する染料および顔料が挙げられ、例えば、炭素環化合物類(例えば、トリアジニルアミノスチルベン、ジビニルスチルベン)、ベンゾオキサゾール、フラン、ベンゾ[b]フラン、ベンズイミダゾール、1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン、クマリン、ナフタルイミド、および1,3,5−トリアジン−2−イル誘導体が挙げられる。昼光蛍光顔料は特に有用である。蛍光化合物と基体とを組み合わせる従来の方法いずれをも使用することができ、例えば、コーティング、浸染などがある。例えば、基体が紙の場合、蛍光化合物は、パルプ中など、製紙の様々な段階で、および/または、紙の表面に被覆剤を塗布する間に、紙の表面に添加することができる。
【0035】
一般的に、従来のコーティング技術いずれによっても、接着剤を基体に塗布することができる。例えば、接着剤が水性接着剤である場合、機械的コーティング、ブラッシング、スプレーなどの水性接着剤に一般的に用いられる塗布方法いずれをも使用して、接着剤を塗布することができる。塗布された接着剤の層を有する基体は、次いで、第2の基体に向かい合わせに接触させることができる。この第2の基体は、塗布された接着剤の層を有していても、有していなくてもよい。第2の基体に接着する前に、接着剤の被覆を乾燥し、次いで、この第2の基体に接触させる前に、接着剤の被覆を短時間、再湿化することもできる。2つの基体を互いにしっかりと接触させるために圧力を加えてもよい。
【0036】
例えば、封筒を製造するとき、従来の封筒製造装置のいずれかを使用して、所望の範囲または領域において、封筒の本体を含む材料(一般的には、紙または他のセルロース系基体)に接着剤組成物を容易に塗布することができる。一般的には、乾燥させた接着剤層の厚さが約0.1ミル〜約2ミルになるのに十分であるように、接着剤層の被覆重量を調整する。
【0037】
一般に、接着剤組成物の乾燥は、室温近くで、例えば、約20℃〜約35℃で行うが、接着剤の被覆または層に熱を加えることによって、および/または、接着剤の被覆または層の上方に空気を循環/吹きつけることによって乾燥を加速することができる。
【0038】
基体表面に塗布された接着剤組成物の層を乾燥する前、または後のいずれかにおいて、この基体表面を、基体表面の中または上に存在する1種以上の蛍光化合物を励起することができる放射線に曝し、発せられた蛍光によって、基体表面上の接着剤組成物の有無、位置または量を検出、測定または観察することができる。すなわち、蛍光の有無、および相対強度から、基体表面上の接着剤組成物の存在に関する情報が得られる。基体表面の中または上に存在する蛍光化合物が適当な放射線(すなわち、蛍光化合物によって吸収され、その蛍光化合物に可視スペクトルの光を発せさせる放射線)によって励起されたときに、接着剤組成物が存在しない場所、または時は、基体表面は蛍光を十分に発する。蛍光の有無は人間の観察者にも見え、これによって、観察者が、基体表面の接着剤の不存在、基体表面の接着剤の存在、基体表面の接着剤の位置(例えば、接着剤の被覆が基体表面の所望の領域に塗布されたかどうか)、基体表面の接着剤の量、基体表面の接着剤の被覆の均一性などの基体表面に関する情報を決定することが可能になっている。次いで、この情報を用いて、例えば、接着剤を基体表面に塗布する方法を変更するなど、どのような調整を行なわなければならないかを決めることができる。自動封筒組立プロセスでは、例えば、基体表面の中または上の蛍光物質が紫外線によって励起され、可視光を発する条件下でゴムラインを観察することで、観察者は、封筒を形成するために使用される紙の所望の領域のみにゴムラインが作製されるために何か是正措置をとらなければならないかどうかを知ることができる。ゴムラインは、一般的に、接着剤が存在しない紙または他の基体の領域の蛍光発光によって生じる、より蛍光を発する背景に対して、黒い、または薄黒い帯として目に見える。現在商業的に使用されている蛍光紙は、一般的には、例えば、紫外線を照射したときに、明るい青色の蛍光を発する。
【0039】
蛍光シグナルの強度を用いて、基体表面上の接着剤の量および/または位置を監視することができる。この蛍光の強度は、人間の観察者が目で見るか(直接、またはカメラや他のモニター装置などの遠隔手段によって)、または、蛍光の強度を検出できる装置を使用して測定することができる。そのような装置としては、例えば、蛍光分光計および放射計が挙げられる。蛍光化合物を励起する目的に有用な放射線源としては、例えば、ブラックライト装置のような紫外(短波長)光を発する光源すべてが挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)紫外線に曝されたときに蛍光を発する基体表面を準備することと、
b)この基体表面に接着剤を塗布して、基体表面の少なくとも一部に接着剤の被覆を形成することと、
c)基体表面を紫外線放射源に曝しながら、表面上に接着剤の被覆を有する基体表面を観察することと
を含み、
表面上に接着剤の被覆を有する基体表面の少なくとも一部において基体が発する蛍光の強度を低下させる効果がある少なくとも1種の化合物とともに、前記接着剤が与えられる方法。
【請求項2】
前記基体表面がセルロース系基体表面である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着剤が水性接着剤である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤がホットメルト接着剤である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤が、1種以上の接着性ポリマーのエマルジョンからなる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記被覆が昼光中で無色である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記被覆が透明である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤が水性接着剤であり、接着剤100重量部当たり、約50重量部〜約90重量部の1種以上の接着性ポリマーのエマルジョンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤が、ビニルエステル単独重合体または共重合体の水性エマルジョンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種の化合物が、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾオキサジノン、ヒンダードベンゾエート、p−メトキシベンジリデンマロネートエステル、非ヒドロキシ置換オキサニリド、およびヒンダードアミンからなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の化合物が、N−(エトキシカルボニルフェニル)−N’−メチル−N’−フェニルホルムアミジンである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の化合物が、置換o−ヒドロキシベンゾフェノン、置換o−ヒドロキシフェニルサリチレート、および置換2−(o−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾールからなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記接着剤が、0.01重量%〜1重量%の前記少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記観察が、人間によって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記接着剤が、ビニルアセテート単独重合体またはエチレン−ビニルアセテート共重合体の水性エマルジョンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
基体上の接着剤の被覆域を検出する方法であって、
a)少なくとも1種の蛍光化合物を含む基体を選択することと、
b)この基体の表面を、少なくとも1種の接着性ポリマーと少なくとも1種の紫外線吸収剤とを含む接着剤で被覆することと、
c)この接着剤で被覆された基体の表面を、前記少なくとも1種の蛍光化合物を励起することができる紫外線に曝すことと、
d)表面全域にわたって蛍光の有無、または強度を検出して、接着剤による表面被覆域の範囲を求めることと
を含む方法。
【請求項17】
前記照射する紫外線が200nm〜400nmの波長を有する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記蛍光化合物が可視光を発する請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記蛍光化合物が、400nm〜750nmの波長を有する放射線を発する請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記検出が、蛍光の有無、または強度を目視観察することを含む請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記基体がセルロース系基体である請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記基体が紙である請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記基体が封筒である請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記接着剤が水性接着剤である請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1種の紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾオキサジノン、ヒンダードベンゾエート、p−メトキシベンジリデンマロネートエステル、非ヒドロキシ置換オキサニリド、およびヒンダードアミンからなる群より選択される請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1種の紫外線吸収剤が、N−(エトキシカルボニルフェニル)−N’−メチル−N’−フェニルホルムアミジンである請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種の紫外線吸収剤が、置換o−ヒドロキシベンゾフェノン、置換o−ヒドロキシフェニルサリチレート、および置換2−(o−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾールからなる群より選択される請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記接着剤が、0.01重量%〜1重量%の前記少なくとも1種の紫外線吸収剤を含む請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記検出が、機器を使用して行われる請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2010−530060(P2010−530060A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510287(P2010−510287)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/006132
【国際公開番号】WO2008/153659
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】