説明

接着方法

【課題】接着しようとする部品間の最適な位置を保持することができる接着方法を提供する。
【解決手段】接着しようとする第一部品と第二部品及び接着剤を提供するステップ31と、前記接着剤を前記第一部品と前記第二部品との間に設置して、前記接着剤を前記第一部品と前記第二部品とに接触させるステップ32と、少なくとも1つの集光器を配置するステップ33と、光源を配置して、前記光源の少なくとも一部の光線が前記集光器と前記第一部品とを順次に通過して、前記接着剤に照射されて当該接着剤を硬化させることによって、前記第一部品と前記第二部品とを接着するステップ34。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着方法にかかり、特に集光器を利用した接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接着技術は工程が簡単で、処理温度が低く且つ利用できる材料の種類が多いため、工業的に広く利用されている。近年、エネルギー硬化型接着剤の性能と安定性が大幅に高まり、高度な光通信モジュールの実装にも利用され始めている。光通信モジュールの実装において、接着剤の1つの重要な点は、製品の製造から寿命まで、その部品が最適に機能する光学位置を保持することである。つまり、いわゆる位置合わせ(alignment)が重要であり、被接着部品の間に許容される位置ずれは、通常はわずか数ミクロンである。
【0003】
接着剤を利用した光通信モジュールの実装において、機械的な安定性に対する要求はとても強い。そのため、接着剤の硬化過程で部品間の位置合わせ状況をモニタリングすることで、接着工程が終わった後に、部品間で最適な位置合わせの精度を維持する必要がある。
【0004】
ここで、接着剤は、例えば、熱硬化型接着剤と、光硬化型接着剤と、光熱硬化型接着剤の3種類に分けられる。
【0005】
図1aは、熱硬化型接着剤を利用して2つの部品を接着する従来の接着方法を示す概略図である。図1aに示すように、第一部品101aと第二部品102aを位置合わせした後、第二部品102aに対して加熱する。すると、熱(図面の矢印で示すように)が、第一部品101aと第二部品102aの間の熱硬化型接着剤103aに伝わり、かかる熱で熱硬化型接着材103aを硬化させることで、第一部品101aと第二部品102aを接着する。ところが、第一部品101aと第二部品102aの熱膨張指数は違う場合には、一定の温度まで加熱した場合に、異なる程度の変形が起こりうる。つまり、第一部品101aと第二部品102aの外部輪郭が、図1aに示すように実線から点線に変わり、これによって、第一部品101aと第二部品102aを位置合わせした後に、位置の変位が起こり、その性能に影響を与える。
【0006】
図1bは、光硬化型接着剤を利用して2つの部品を接着する従来の接着方法を示す概略図である。図1bに示すように、第一部品101aと第二部品102aを位置合わせした後、第一部品101bに対して光照射を行う。すると、光線104は、第一部品101bを通過して第一部品101bと第二部品102bとの間に配置された光硬化型接着剤103bに伝わり、当該光硬化型接着剤103bを硬化させる。これにより、第一部品101bと第二部品102bとを接着する。しかし、上記の場合では、例えば、部品が樹脂や半導体であると、光が照射された部品の表面に近い部分は、より多くの光エネルギーを吸収する。従って、第一部品101bにおいて照射表面に近い部分の温度がより高くなり、温度が不均一となり、第一部品101bの変形を引き起こす。すると、図1bの点線で示すような状態となり、第一部品101bと第二部品102bの位置合わせに影響を与え、製品の性能を下げる。
【0007】
ここで、図2では、x軸に接着剤の硬化時間を示し、y軸に接着剤の接着強度を示す。この図の曲線T1に示すように、接着剤の硬化時間が長いほど、接着剤の接着性が高くなるため、接着しようとする部品をより安定的に接着することができる。一方で、接着剤103cの硬化時間が不十分で且つ強度も足りない場合には、接着剤103cはまだ十分に硬化しておらず、その接着性は高くない。かかる場合には、図1cに示すように、第一部品101cが第二部品102cに対して徐々に移動する可能性があり、位置合わせした後に第二部品102cに対する第一部品101cの位置に変位を引き起こし、接着後の製品性能を下げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のことから、接着しようとする部品を位置合わせした後、迅速に位置決め、あるいは、固定することで、最適な位置からの変位を減少させることができる接着方法が期待されている。
【0009】
このため、本発明の目的は、迅速に位置決めあるいは固定することで、接着しようとする部品間の最適な位置を保持することができる接着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一形態である接着方法は、
接着しようとする第一部品と第二部品及び接着剤を提供するステップと、
前記接着剤を前記第一部品と前記第二部品との間に設置して、前記接着剤を前記第一部品と前記第二部品とに接触させるステップと、
少なくとも1つの集光器を配置するステップと、
光源を配置して、前記光源の少なくとも一部の光線が前記集光器と前記第一部品とを順次に通過して、前記接着剤に照射されて当該接着剤を硬化させることによって、前記第一部品と前記第二部品とを接着するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0011】
具体的に、前記第一部品は、例えば、ガラス又はプラスチックであってもよく、前記第二部品は、PCB基板(Printed circuit board、プリント基板)、回路基板(substrate)、チップ(chip)、又は、リードフレーム(leadframe)であってもよい。
【0012】
また、本発明の接着方法では、前記集光器は、例えば、レンズ又は集束拡大レンズである。また、前記集光器は、例えば、球面レンズ、円柱状レンズ、多角形柱状レンズ、非球面円柱状レンズ、又は、回折面(回折レンズ面)を有するレンズ、である、という構成をとる。
【0013】
また、本発明の接着方法では、前記少なくとも1つの集光器を配置するステップは、前記第一部品に前記集光器を一体的に形成して配置する、あるいは、前記第一部品内に前記集光器を嵌め込んで設置する、という構成をとる。
【0014】
また、本発明の接着方法では、前記少なくとも1つの集光器を提供するステップは、前記第一部品の上方に前記集光器を設置する、という構成をとる。
【0015】
また、本発明の接着方法では、さらに、前記第一部品と前記第二部品を光学的に位置合わせするステップを含む、という構成をとる。また、本発明の接着方法では、さらに、前記第一部品と第二部品の位置合わせ状況をモニタリングし、部品間の位置合わせの精度を更に確保し、製品の高性能を保証するステップを含む。
【0016】
また、本発明の他の形態である板状接着部品は、
接着剤によって板状部品に装着されている板状装着部品であって、
前記板状部品に接着された前記接着剤と接触する第一表面と、
前記第一表面とは反対側に位置する第二表面と、を有し、
前記第二表面には、前記接着剤の位置に対応して前記集光器が設置されている、
という構成をとる。
【0017】
また、本発明の板状装着部品は、例えば、光ファイバートランシーバ(FOT(Fiber Optic Transceiver)であり、前記板状部品は、プリント基板、回路基板、チップ又はリードフレームである、という構成をとる。
【0018】
また、本発明の板状接着部品では、前記集光器は、前記第二表面に一体成形されている、又は、独立な部品として前記第二表面内に嵌め込められている、という構成をとる。そして、前記集光器は、レンズ又は集束拡大レンズであり、また、前記レンズは、例えば、球面レンズ、多角形柱状レンズ、又は、円柱状レンズであり、さらには、前記集光器は、集光用の回折面を有する、という構成をとる。
【発明の効果】
【0019】
従来の接着方法と比較して、本発明の接着方法は集光器を採用し、光線を接着剤の一部に集中し、当該部分の接着剤を早く硬化させるため、接着剤が短時間で部品の接着に足りる接着性を生じる。これにより、接着剤が長時間の硬化過程において接着しようとする部品間で合わせた位置が変位することを防ぐことができ、部品を接着した後の製品性能の向上を図ることができる。特に、本発明の接着方法では、接着剤の硬化を、高速硬化部と低速硬化部に分け、高速硬化部では迅速に接着剤が十分な接着強度に達し、位置合わせの精度を増加し、低速硬化部では接着剤が更に硬化することで、機械的な連接の安定性を保証している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施例又は従来技術をより明確に説明するため、以下では実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。なお、以下の説明に係る図面は、本発明の一部の実施例に過ぎない。
【0021】
【図1a】熱硬化型接着剤を利用して部品を接着する従来の接着方法を示す概略図である。
【図1b】光硬化型接着剤を利用して部品を接着する従来の接着方法を示す概略図である。
【図1c】従来の接着方法を利用して部品を接着する方法を示す概略図である。
【図2】光硬化型接着剤の接着性と硬化時間の関係を示す曲線図である。
【図3a】本発明の接着方法に係る第一実施例のフローチャートである。
【図3b】図3aに示す接着方法を利用したときの様子を示す概略図である。
【図4a】本発明の接着方法を利用したときの様子を示す第二実施例の概略図である。
【図4b】図4aの断面図である。
【図4c】本発明の接着方法に係る第二実施例のフローチャートである。
【図5a】本発明の接着方法を利用したときの様子を示す概略図である。
【図5b】図5aの断面図である。
【図6】本発明の接着方法を利用したときの様子を示す第四実施例の概略図である。
【図7】本発明の接着方法を利用したときの様子を示す第五実施例の概略図である。
【図8a】本発明の接着方法を利用したときの様子を示す第六実施例の概略図である。
【図8b】本発明の接着方法を利用したときの様子を示す第六実施例の概略図である。
【図9】従来の接着方法と本発明の接着方法を採用して部品を接着し、接着剤が硬化した後に部品間の位置の変位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例における技術を説明する。なお、以下の説明に係る実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。また、本発明の実施例に基づき、本技術領域の従業者が容易に得た他のすべての実施例は、本発明の保護の範囲に属する。
【0023】
<実施形態1>
以下、図3a及び図3bを参照して、本発明の接着方法の第一実施例を詳細に説明する。図3aに示すように、本発明の接着方法の第一実施例は、以下のステップを含む。
【0024】
ステップ31:接着しようとする第一部品301と第二部品302とを提供する。なお、第一部品301は、後述する光を透過させる部材であり、部品自体の全部または一部に、透明あるいは半透明の部分を有する。例えば、上記第一部品301は、ガラスあるいはプラスチック等の材料から作られたものであってもよい。また、上記第二部品302は、PCB(polychlorinated biphenyl)基板、回路基板、チップ、又は、リードフレームであってもよい。
【0025】
ステップ32:上記接着剤303を、上記第一部品301と第二部品302との間に配置して、かつ、上記接着剤303を上記第一部品301と上記第二部品302とに接触させる。
【0026】
ステップ33:少なくとも1つの集光器305を用意して配置し、当該集光器305を上記第一部品301の上方に位置させる。ここで、集光器305は、例えば、レンズ又は集束拡大レンズであってもよい。なお、少なくとも1つの集光器305を配置する工程は、どのタイミングで実行されてもよく、上記ステップ31,32の前後に実行されてもよい。
【0027】
ステップ34:光源(図示せず)を用意して配置し、上記光源の少なくとも一部の光線304が、上記集光器305と上記第一部品301を順次に通過(透過)して、上記接着剤303に照射される。そして、光線304の照射によって接着剤303を硬化し、上記第一部品301と第二部品302とを接着する。
【0028】
具体的に、上記ステップ34による接着剤303の硬化工程は、2つの段階に分けられる。第一の段階では、接着剤303の一部を早く硬化し、第二の段階では、接着剤303を全面的に硬化する。まず、第一の段階では、図3bに示すように、光線304は、集光器305を通過することで、接着剤303の一部つまり高速硬化部303aに集中して照射され、当該高速硬化部303a内の照射強度が増加し、当該高速硬化部303a内の接着剤303が早く硬化する。これにより、短時間内で十分な接着性に達し、第二部品302に対して第一部品301が徐々に移動することによる位置の変位を防ぎ、部品の位置合わせの精度を確保する。なお、高速硬化部303a以外の接着剤303は、照射強度が比較的に低いため、すべての接着剤303を硬化させることで上記第一部品301と第二部品302を更に接着し機械的な連結の安定性を保証すべく、更なる照射あるいは熱処理を行う必要がある。
【0029】
また、上述した第一の段階により、高速硬化部303aの接着剤は短時間内に硬化し、第一部品301と第二部品302の相対位置を保持することに足りるため、接着剤の硬化時間を短縮させ、光照射から生じる温度による変形を減少させることができ、部品間において変形による合わせ位置の変位を更に減少させる。すなわち、本発明の接着方法を採用することで、製品の製造過程において接着部品間の合わせ位置の変位問題を著しく改善し、部品間の最適性能位置を保証し、これによって、位置合わせの精度を向上させることにより、製品の性能を向上させる。
【0030】
<実施形態2>
図4a〜4bは、本発明の接着方法の第二実施例を利用して部品を接着することを示す概略図であり、図4cは本発明の接着方法に係る第二実施例のフローチャートである。図4a〜図4cに示すように、本発明の接着方法の第二実施例は、以下のステップを含む。
【0031】
ステップ41:接着しようとする第一部品401と第二部品402及び接着剤403を提供する。上記第一部品401は、ガラス又はプラスチック等の材料から作られた光透過体であってもよい。また、上記第二部品402は、PCB基板、回路基板、チップ、又は、リードフレームであってもよい。さらに、上記接着剤403は、光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、又は、光熱硬化型接着剤であってもよい。
【0032】
ステップ42:上記接着剤403を、前記第一部品401と第二部品402との間に配置して、かつ、上記接着剤403を上記第一部品401と上記第二部品402とに接触させる。
【0033】
ステップ43:上記第一部品401と上記第二部品402とを光学的に位置合わせし、つまり、上記第一部品401と第二部品402とが、最適な性能を発揮できる相対位置に配置させる。
【0034】
ステップ44:少なくとも1つの集光器405を配置する。具体的に、本実施形態では、上記第一部品401に上記集光器405が一体的に構成されており、あるいは、上記第一部位401内に集光器405を嵌め込んで設置する。なお、集光器405は、レンズあるいは集束拡大レンズであってもよく、例えば、本実施例における集光器405は、上記第一部品401において一体成形している球面レンズである。
【0035】
なお、上記集光器405は1つに限らず、必要に応じて、複数設置してもよい。つまり、後述するように、接着剤の複数個所を高速硬化部として、当該複数個所に集光器405にて集光した光線を照射してかかる複数個所を硬化してもよい。
【0036】
ステップ45:光源(図示せず)を配置して、上記光源の少なくとも一部の光線404を上記集光器405と上記第一部品401を順次に透過させて、上記接着剤403に照射する。そして、接着剤の照射個所を硬化することによって、上記第一部品401と第二部品402を接着する。
【0037】
そして、上述同様に、上記ステップ45における接着剤403の硬化工程は、2つの段階に分けられる。第一の段階では、接着剤403の一部を早く硬化させ、第二の段階は接着剤403を全面的に硬化させる。図4bに示すように、光線404が集光器405を通った後、接着剤403の一部、つまり高速硬化部403aに集中して照射され、当該高速硬化部403a内の照射強度が増加し、当該高速硬化部403a内の接着剤403を早く硬化させる。これにより、接着剤403の高速硬化部403aが短時間内で十分な接着性に達し、第二部品402に対する第一部品401の移動を防ぎ、部品の位置合わせの精度を確保する。なお、高速硬化部403a以外の接着剤403は照射強度が比較的に低いため、すべての接着剤403を硬化させることで上記第一部品401と第二部品402を更に接着して機械的接合の安定性を保証するには、更なる照射あるいは熱処理を行う必要がある。
【0038】
また、上記高速硬化部403aの接着剤は、短時間内に硬化し、第一部品401と第二部品402の相対位置を保持しうる。これにより、接着剤の硬化時間を短縮させることができ、光照射から生じる部品の温度による変形を減少させることができ、各部品の変形による部品間の合わせ位置の変位を更に減少させることができる。すなわち、本発明の接着方法を採用することで、製品の製造過程において接着部品間の合わせ位置の変位問題を著しく改善し、部品間の最適性能位置を保証し、これによって、位置合わせの精度を向上させることにより、製品の性能を向上させる。
【0039】
ここで、上記高速硬化部403aの照射強度は、元の照射強度の5〜10倍であってもよい。照射強度は光線の入射角を調整することや、レンズの形状あるいは屈折率を変えることで実現でき、これらの技術は、本技術領域の従業者が熟知しており、ここで更なる説明は行わない。
【0040】
なお、本実施例の接着方法では、好ましくは、上記第一部品401と第二部品402の位置合わせ状況をモニタリングすることで、被接着部品間の位置合わせの精度を保証し、製品の高性能を確保するステップを更に含む。
【0041】
<実施形態3>
図5a〜5bは、本発明の接着方法の第三実施例を利用して、部品を接着するときの様子を示す概略図である。図5a〜5bに示すように、本実施例と第二実施例の区別は、本実施例の集光器505は、多角形柱状レンズであるため、接着剤の高速硬化部503aの形状は、上記の場合と比較して、細長い形状(長方形状、帯状、スリット状)であることにある。
【0042】
<実施形態4>
図6は、本発明の接着方法の第四実施例を利用して、部品を接着するときの様子を示す概略図である。図6に示すように、本実施例と前記第二実施例の区別は、本実施例の集光器605は円柱状レンズであるため、接着剤の高速硬化部503aの形状は、上記の場合と比較して、細長い形状(長方形状、帯状、スリット状)であることにある。
【0043】
<実施形態5>
図7は、本発明の接着方法の第五実施例を利用して、部品を接着するときの様子を示す概略図である。図7に示すように、本実施例と第二実施例の区別は、本実施例の集光器705は、回折面(回折レンズ面)を有するレンズである。従って、光線704は、集光器705を通った後に接着剤の一部、つまり高速硬化部703aに集まることで、当該部分の接着剤を早く硬化させることができる。
【0044】
<実施形態6>
図8は、本発明の接着方法の第六実施例を利用するときの様子を示す概略図であり、本発明における接着方法を、光通信モジュールの実装領域に利用したときの様子を示している。
【0045】
本実施例中の第一部品801は、光通信器、例えばFOT(Fiber Optic Transceiver、光ファイバートランシーバ)であり、第二部品802は、PCB基板であり、その上には電気回路図形807と上記第一部品801と第二部品802を光学的合わせ位置に位置させることに用いる光検出装置806がある。また、第一部品801と第二部品802との間には、接着剤が配置される。なお、上記第一部品801は、光ファイバートランシーバであることに限定されず、例えば、OUSB(Opt Universal Serial Bus、光学USB)等であってもよい。また、上記第二部品802は、PCB基板に限定されず、回路基板、チップ、又は、リードフレームであってもよい。
【0046】
図8a〜8bに示すように、第一部品801には、1対の集光器805が一体的に形成されている。そして、光検出装置806を用いて、第一部品801と第二部品802を光学的に位置合わせした後、光源から光線を、集光器805を透過させて図8aの点線で示す部分803内に照射する。これにより、かかる部分803内に配置された接着剤を早く硬化させることができ、上記第一部品801と第二部品802とが迅速に接着し、第一部品801を第二部品802にしっかり接合させることができる。また、同時に、接着剤の硬化時間を減少させることができ、第一部品801の変形を抑制して位置合わせの変位を防ぐことができ、光通信部品の性能を向上させる。
【0047】
なお、本発明の接着方法において集光器として利用するレンズは、上述した円柱形等の形状だけではなく、集光できる任意の形状のレンズあるいはレンズセットを利用することができ、例えば非球面の柱状レンズが挙げられ、その数量も必要に応じて変化することもできる。
【0048】
図9は、従来の接着方法と本発明の接着方法を採用して部品を接着し、接着剤が硬化した後における部品間の位置の変位を示している。線分901aは、熱硬化型接着剤を用いた従来の接着方法で部品を接着した後における、部品間の位置の変位(ずれ)を示しており、線分901bは、本発明の接着方法を利用した場合の変位を示している。また、線分902aと903aは、低強度の紫外線と高強度の紫外線で照射した場合、従来の接着方法で部品を接着した後における部品間の位置の偏移をそれぞれ示しており、線分902b、903bは、本発明の接着方法を利用した場合の変位を示している。この図9によると、本発明の接着方法を利用すれば、つまり集光器を利用すれば、接着される部品間の位置の変位が明らかに減少し、線分901b、902b、903bに示すように、低強度の紫外線で照射する場合は特に明らかである。
【0049】
また、表1と表2は、従来の接着方法と本発明の接着方法の第二実施例及び第四実施例を利用し、違う照射時間の場合における効果の比較図をそれぞれ示している。上記の3つの方法は、それぞれ同じ金型セットを接着することに用いられ、表一は、金型セットをそれぞれ0.15wの紫外線で3秒照射し、それを傾斜させた後の位置の変位状況を示し、表二は金型セットをそれぞれ0.15wの紫外線で7秒照射し、それを傾斜させた後の位置の変位状況を示している。表一と表二から分かるように、集光器を使っていない金型セット1、つまり従来の接着方法を利用した金型セットは、接着剤がまだ硬化していないため、位置の変位が比較的に大きいが、集光器として球面レンズと円柱形レンズを用いた金型セット2と3、つまり本発明の接着方法を利用した金型セットは、集光部分の接着剤がすでに硬化し、その接着性によって金型セットの相対位置を保持することに足りるため、位置の変位は小さく、これによって、本発明の接着方法は接着後の位置合わせ精度を高めることで、製品の性能を向上させることができる。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
以上は最適な実施例を参考して本発明の説明を行ったが、本発明は以上に掲げる実施例に限定されず、本発明の本質に基づいた各種の改良、及び、同等効果を発揮する構成の組み合わせを含む。
【符号の説明】
【0053】
101a 第一部品
102a 第二部品
103a 加熱硬化型接着剤
104 光線
101b 第一部品
102b 第二部品
103b 光硬化型接着剤
101c 第一部品
102c 第二部品
103c 接着剤
301 第一部品
302 第二部品
303 接着剤
303a 高速硬化部
304 光線
305 集光器
401 第一部品
402 第二部品
403 接着剤
403a 高速硬化部
404 光線
405 集光器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着しようとする第一部品と第二部品及び接着剤を提供するステップと、
前記接着剤を前記第一部品と前記第二部品との間に設置して、前記接着剤を前記第一部品と前記第二部品とに接触させるステップと、
少なくとも1つの集光器を配置するステップと、
光源を配置して、前記光源の少なくとも一部の光線が前記集光器と前記第一部品とを順次に通過して、前記接着剤に照射されて当該接着剤を硬化させることによって、前記第一部品と前記第二部品とを接着するステップと、
を含むことを特徴とする接着方法。
【請求項2】
前記集光器は、レンズ又は集束拡大レンズであることを特徴とする請求項1に記載の接着方法。
【請求項3】
前記レンズは球面レンズ、多角形柱状レンズ、円柱状レンズ、又は、非球面柱状レンズであることを特徴とする請求項2に記載の接着方法。
【請求項4】
前記集光器は、集光用の回折面を有することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の接着方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの集光器を配置するステップは、前記第一部品に前記集光器を一体的に形成して配置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの集光器を提供するステップは、前記第一部品内に前記集光器を嵌め込んで設置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの集光器を提供するステップは、前記第一部品の上方に前記集光器を設置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項8】
前記第一部品と前記第二部品を光学的に位置合わせするステップを更に含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項9】
前記第一部品と第二部品の位置合わせ状況をモニタリングするステップを更に含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項10】
接着剤によって板状部品に装着されている板状装着部品であって、
前記板状部品に接着された前記接着剤と接触する第一表面と、
前記第一表面とは反対側に位置する第二表面と、を有し、
前記第二表面には、前記接着剤の位置に対応して前記集光器が設置されていることを特徴とする板状装着部品。
【請求項11】
前記板状装着部品は、光ファイバートランシーバであり、前記板状部品は、プリント基板、回路基板、チップ又はリードフレームであることを特徴とする請求項10に記載の板状装着部品。
【請求項12】
前記集光器は、前記第二表面に一体成形されている、又は、独立な部品として前記第二表面内に嵌め込められていることを特徴とする請求項10又は11に記載の板状装着部品。
【請求項13】
前記集光器は、レンズ又は集束拡大レンズであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の板状装着部品。
【請求項14】
前記レンズは、球面レンズ、多角形柱状レンズ、又は、円柱状レンズであることを特徴とする請求項13に記載の板状装着部品。
【請求項15】
前記集光器は、集光用の回折面を有することを特徴とする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の板状装着部品。


【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−180404(P2010−180404A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24540(P2010−24540)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(500393893)新科實業有限公司 (361)
【氏名又は名称原語表記】SAE Magnetics(H.K.)Ltd.
【住所又は居所原語表記】SAE Technology Centre, 6 Science Park East Avenue, Hong Kong Science Park, Shatin, N.T., Hong Kong
【Fターム(参考)】