説明

接続ユニットおよび蓄電装置

【課題】 2つの電極端子を電気的に接続する接続部材を、電極端子に対して一方向だけから押し付けると、電極端子が変形してしまうことがある。
【解決手段】 2つの蓄電素子(10)のうち、一方の蓄電素子における第1の電極端子(13)および他方の蓄電素子における第2の電極端子(14)を電気的に接続するための接続ユニット(20)であって、第1および第2の電極端子の間に配置され、各電極端子と接触する接触部材(21)と、接触部材とともに各電極端子を囲み、第1および第2の電極端子が互いに近づく方向に各電極端子を付勢するバンド(24,25)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子を電気的に接続するための接続ユニットと、この接続ユニットを用いて複数の蓄電素子を電気的に接続した蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の接続装置では、2つのバッテリ端子を取り巻く形状に形成された接続部材を用いており、接続部材を弾性変形させることにより、接続部材を2つのバッテリ端子に密接させている。これにより、2つのバッテリ端子は、接続部材を介して電気的に接続される。
【0003】
特許文献2に記載の端子接続構造では、平板状に形成されたバスバーを用いており、バスバーのうち、端子の外周面に沿って形成された開口部を端子の外周面に接触させている。これにより、2つの端子は、バスバーを介して電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−007656号公報(段落0017,図1)
【特許文献2】特開2009−277393号公報(図6)
【特許文献3】特開平08−203586号公報
【特許文献4】特開2008−034388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、特許文献2に記載のバスバーを用いた場合に比べて、端子との接触面積を確保しやすくなる。しかし、特許文献1では、2つの端子を取り巻く位置に接続部材が配置されているだけであるため、接続部材を2つの端子に押し付けたときには、所定方向(押し付け方向)の負荷だけが各端子に作用してしまう。そして、接続部材の押し付け力によっては、端子が変形してしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、2つの蓄電素子のうち、一方の蓄電素子における第1の電極端子および他方の蓄電素子における第2の電極端子を電気的に接続するための接続ユニットであって、第1および第2の電極端子の間に配置され、各電極端子と接触する接触部材と、接触部材とともに各電極端子を囲み、第1および第2の電極端子が互いに近づく方向に各電極端子を付勢するバンドと、を有する。
【0007】
バンドは、第1および第2のバンドで構成することができる。第1のバンドは、一端が接触部材に固定されているとともに、他端の移動に応じて、第1の電極端子を接触部材の側に付勢する。第2のバンドは、一端が接触部材に固定されているとともに、他端の移動に応じて、第2の電極端子を接触部材の側に付勢する。
【0008】
ここで、第1および第2のバンドにおける他端を回転部材に固定しておき、回転部材を回転させることにより、第1および第2のバンドにおける他端を移動させることができる。これにより、回転部材を回転させるだけで、2つのバンドにおける他端を同時に移動させることができる。また、回転部材の回転を規制するストッパを、接触部材に設けておくことができる。これにより、回転部材を回転させた後の位置に保持させることができる。
【0009】
一方、バンドは、両端が接触部材に固定され、第1および第2の電極端子をそれぞれ囲む2つのバンドで構成することができる。ここで、各バンドを弾性変形させることにより、接触部材を第1および第2の電極端子に密接させることができる。すなわち、接触部材および各バンドで囲まれたスペースに、各電極端子を挿入するときに、各バンドを弾性変形させれば、接触部材および各バンドによって、各電極端子を締め付けることができる。これにより、接続ユニットおよび電極端子の接続性能を向上させることができる。
【0010】
接触部材のうち、各電極端子と接触する面を、傾斜面で構成することができる。この傾斜面は、接触部材および各バンドで囲まれたスペースに対して、各電極端子が挿入される側に面している。傾斜面を用いることにより、接触部材を各電極端子に接触させやすくしたり、接触面積を増加させたりすることができる。
【0011】
接触部材のうち、各電極端子と接触する面は、各電極端子の外周面に沿った形状に形成することができる。これにより、接触部材および各電極端子の接触面積を増加させることができる。
【0012】
本発明の接続ユニットを用いて、複数の蓄電素子を電気的に接続することにより、蓄電装置を構成することができる。また、電極端子に対して、バンドの抜けを防止するためのストッパを設けることができる。ストッパとしては、バンドと接触して、バンドが電極端子から外れてしまうのを阻止することができればよく、例えば、ストッパを、凸状に形成したり、凹状に形成したりすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、接触部材およびバンドが、各電極端子を挟んだ状態で各電極端子に接触しているため、各電極端子に対して特定方向の力だけが作用するのを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1における電池パックの構成を示す概略図である。
【図2A】実施例1の接続ユニットを構成するブロック部材の上面図である。
【図2B】実施例1におけるブロック部材の側面図である。
【図3A】実施例1の接続ユニットを構成する回転体の上面図である。
【図3B】実施例1における回転体の側面図である。
【図4A】実施例1の接続ユニットを構成する操作部材の上面図である。
【図4B】実施例1における操作部材の側面図である。
【図5A】実施例1において、接続ユニットを電極端子に固定する前の状態を示す上面図である。
【図5B】実施例1において、接続ユニットを電極端子に固定する前の状態を示す側面図である。
【図6A】実施例1において、接続ユニットを電極端子に固定した状態を示す上面図である。
【図6B】実施例1において、接続ユニットを電極端子に固定した状態を示す側面図である。
【図7】実施例1の変形例である回転体の構成を示す上面図である。
【図8A】本発明の実施例2の接続ユニットを構成するブロック部材の上面図である。
【図8B】実施例2におけるブロック部材の側面図である。
【図9A】実施例2の接続ユニットの上面図である。
【図9B】実施例2の接続ユニットの側面図である。
【図10A】実施例2において、接続ユニットを電極端子に固定した状態を示す上面図である。
【図10B】実施例2において、接続ユニットを電極端子に固定した状態を示す側面図である。
【図11】本発明の実施例3である接続ユニットを電極端子に固定した状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1における電池パック(蓄電装置)について、図1を用いて説明する。本実施例の電池パック1は、複数の単電池(蓄電素子)10を有しており、複数の単電池10は、後述する接続ユニットによって電気的に直列に接続されている。具体的には、複数の単電池10が一方向に並んで配置されており、配列方向で隣り合う2つの単電池10が電気的に直列に接続されている。なお、図1では、接続ユニットを省略して示している。
【0017】
電池パック1には、電気的に並列に接続された単電池10が含まれていてもよい。また、電池パック1を構成する単電池10の数は、電池パック1の要求出力等に基づいて、適宜設定することができる。
【0018】
単電池10は、発電要素11と、発電要素11を収容する電池ケース12とを有している。発電要素11は、充放電を行うことができる要素であり、具体的には、正極素子と、負極素子と、正極素子および負極素子の間に配置されるセパレータ(電解液を含む)とで構成されている。正極素子は、集電板の表面に、正極活物質等を含む層が形成された素子であり、負極素子は、集電板の表面に、負極活物質等を含む層が形成された素子である。
【0019】
単電池10としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(蓄電素子)を用いることができる。ここで、単電池10の種類に応じて、発電要素11を構成する材料を選択すればよい。
【0020】
電池ケース12の上面には、正極端子(電極端子ともいう)13および負極端子(電極端子ともいう)14が設けられており、各電極端子13,14は、円柱状に形成されている。正極端子13は、発電要素11の正極素子と電気的および機械的に接続されており、負極端子14は、発電要素11の負極素子と電気的および機械的に接続されている。本実施例では、電池ケース12の上面に、正極端子13および負極端子14を設けているが、これに限るものではなく、正極端子13および負極端子14を設ける位置は適宜設定することができる。例えば、電池ケース12のうち、他の電池ケース12と対向していない側面に対して、正極端子13や負極端子14を設けることができる。
【0021】
また、本実施例では、複数の単電池10を一方向に並べて配置しているが、これに限るものではない。例えば、複数の単電池を用いて、1つの電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを一方向に並べて配置することにより、電池パックを構成することもできる。この場合には、配列方向で隣り合う2つの電池モジュールが、本実施例で説明する接続ユニットによって電気的に接続されることになる。また、電池モジュールは、本発明における蓄電素子に相当する。
【0022】
次に、本実施例における接続ユニットの構成について、具体的に説明する。接続ユニットは、図2Aおよび図2Bに示すブロック部材(接触部材)21と、図3Aおよび図3Bに示す回転体22と、図4Aおよび図4Bに示す操作部材23とを有している。本実施例において、ブロック部材21、回転体22および操作部材23は、例えば、銅といった金属で形成されている。
【0023】
図2Aは、ブロック部材21の上面図であり、図2Bは、図2Aの矢印D1で示す方向から見たときのブロック部材21の側面図である。図3Aは、回転体22の上面図であり、図3Bは、図3Aの矢印D2で示す方向から見たときの回転体22の側面図である。図4Aは、操作部材23の上面図であり、図4Bは、図4Aの矢印D3で示す方向から見たときの操作部材23の側面図である。
【0024】
図2Bに示すように、ブロック部材21には、貫通孔211が形成されており、貫通孔211には、回転体22が収容される。回転体22は、貫通孔211の内側で回転可能に配置される。回転体22は、図3Aおよび図3Bに示すように、円柱状に形成されており、中央部には、貫通孔220が形成されている。貫通孔220は、第1領域221および2つの第2領域222で構成されており、2つの第2領域222は、第1領域221を挟む位置に配置されている。貫通孔220の第1領域221には、操作部材23の軸部233が挿入され、第2領域222には、操作部材23の連結部232が挿入される。
【0025】
また、ブロック部材21の上面には、第1溝部212および第2溝部213が形成されている。第1溝部212は、ブロック部材21の幅方向(図2Aの上下方向)に延びており、ブロック部材21の中央に形成された第2溝部213と接続されている。第1溝部212は、後述するように、操作部材23の操作部231(図4A,4B参照)と係合して、操作部231を所定位置にロックさせるために用いられる。
【0026】
第2溝部213には、操作部材23の連結部232(図4A,4B参照)が挿入され、第2溝部213は、後述するように、連結部232の回転を許容する。また、第2溝部213は、貫通孔211と繋がっている。ブロック部材21の下部には、第3溝部214が形成されており、第3溝部214は、貫通孔211と繋がっている。第3溝部214には、操作部材23の軸部233が挿入される。
【0027】
一方、ブロック部材21の長手方向における両端には、第1接触部215および第2接触部216が形成されている。第1接触部215は、円柱状に形成された正極端子13の外周面に沿った曲面で構成されており、正極端子13の外周面(側面)に接触する。第2接触部216は、円柱状に形成された負極端子14の外周面に沿った曲面で構成されており、負極端子14の外周面(側面)に接触する。ここで、第1接触部215および第2接触部216の間隔、言い換えれば、ブロック部材21の長さは、電気的に接続される正極端子13および負極端子14の間隔と略等しい値に設定されている。
【0028】
なお、本実施例では、電極端子13,14を円柱状に形成しているが、他の形状に形成することもできる。この場合において、第1接触部215や第2接触部216は、電極端子13,14の外面に沿った形状に形成されていればよい。例えば、本実施例では、電極端子13,14の長手方向と直交する断面の形状が円形に形成されているが、断面形状を矩形状に形成することができる。この場合には、第1接触部215や第2接触部216を平坦面で構成することができる。
【0029】
次に、上述したブロック部材21、回転体22および操作部材23の組立方法について説明する。
【0030】
まず、ブロック部材21の貫通孔211に回転体22を収容し、ブロック部材21の第2溝部213に対して、操作部材23を挿入する。このとき、操作部材23における連結部232および軸部233は、第2溝部213を貫通する。また、軸部233は、回転体22における貫通孔220の第1領域221を貫通するとともに、ブロック部材21の第3溝部214を貫通する。さらに、連結部232は、回転体22における貫通孔220の第2領域222に挿入される。操作部材23の連結部232および軸部233を、回転体22の貫通孔220に挿入することにより、回転体22がブロック部材21の貫通孔211から外れてしまうのを阻止することができる。
【0031】
本実施例では、操作部材23の軸部233が第3溝部214を貫通して、ブロック部材21の外側に突出しているが(図5B参照)、軸部233の先端を第3溝部214の内側に位置させることもできる。すなわち、軸部233の先端を、ブロック部材21から突出させなくてもよい。
【0032】
貫通孔220の第2領域222は、操作部材23の連結部232に沿った形状に形成されており、連結部232と係合する。これにより、軸部233を回転軸として操作部材23を回転させると、回転体22を回転させることができる。ここで、第2溝部213は、操作部材23の回転に伴う連結部232の移動軌跡と重ならない位置に形成されており、連結部232と衝突しないようになっている。
【0033】
一方、ブロック部材21および回転体22には、図5Aおよび図5Bに示すように、拘束バンド24,25が取り付けられている。図5Aは、接続ユニット20を電極端子13,14に取り付ける前の状態を示す上面図であり、図5Bは、図5Aの矢印D4で示す方向から見たときの図である。拘束バンド24,25は、例えば、銅といった金属で形成することができる。
【0034】
拘束バンド24の一端は、位置P1において、ブロック部材21に固定されており、拘束バンド24の他端は、位置P2において、回転体22に固定されている。拘束バンド24の固定方法としては、例えば、溶接がある。回転体22のうち、拘束バンド24が固定される部分は、ブロック部材21の貫通孔211から突出している。また、拘束バンド24は、正極端子13の外周に沿って配置されており、ブロック部材21(第1接触部215)および拘束バンド24によって、正極端子13が挟まれている。
【0035】
図5Aに示す状態では、拘束バンド24が弛んでおり、正極端子13の外周面から離れている。これにより、ブロック部材21(第1接触部215)および拘束バンド24の間に形成されたスペースに、正極端子13を容易に挿入することができる。
【0036】
正極端子13の外周面には、凸状に形成されたストッパ13aが設けられている。ストッパ13aを設けることにより、拘束バンド24が正極端子13から外れてしまうのを阻止することができる。ストッパ13aを設ける位置は、適宜設定することができる。具体的には、正極端子13の外周面のうち、第1接触部215と接触していない領域にストッパ13aを設ければよい。
【0037】
拘束バンド25の一端は、位置P3において、ブロック部材21に固定されており、拘束バンド25の他端は、位置P4において、回転体22に固定されている。拘束バンド25の固定方法としては、例えば、溶接がある。回転体22のうち、拘束バンド25が固定される部分は、ブロック部材21の貫通孔211から突出している。また、拘束バンド25は、負極端子14の外周に沿って配置されており、ブロック部材21(第2接触部216)および拘束バンド25によって、負極端子14が挟まれている。
【0038】
図5Aに示す状態では、拘束バンド25が弛んでおり、負極端子14の外周面から離れている。これにより、ブロック部材21(第2接触部216)および拘束バンド25の間に形成されたスペースに、負極端子14を容易に挿入することができる。
【0039】
負極端子14の外周面には、凸状に形成されたストッパ14aが設けられている。ストッパ14aを設けることにより、拘束バンド25が負極端子14から外れてしまうのを阻止することができる。ストッパ14aを設ける位置は、適宜設定することができる。具体的には、負極端子14の外周面のうち、第2接触部216と接触していない領域にストッパ14aを設ければよい。
【0040】
図5Aに示す状態において、操作部材23の操作部231は、ブロック部材21の第1溝部212と交差する位置にある。図5Aに示す状態において、操作部231を矢印R1の方向に回転させれば、図6Aに示す状態とすることができる。図6Aに示す状態は、接続ユニット20が電極端子13,14に固定された状態である。ここで、図6Aは、図5Aに対応した図であり、図6Bは、図6Aの矢印D5で示す方向から見たときの図である。
【0041】
操作部231を矢印R1の方向に回転させると、操作部材23の回転に応じて、回転体22が矢印R1の方向に回転する。回転体22の回転に応じて、位置P2,P4が回転体22の回転方向に移動する。すなわち、各拘束バンド24,25の他端は、回転体22によって引っ張られ、各拘束バンド24,25の一部は、ブロック部材21の貫通孔211に進入する。ここで、位置P1,P3は、変化しない。
【0042】
各拘束バンド24,25の他端が引っ張られることにより、拘束バンド24,25は、電極端子13,14の外周面に密接する。また、拘束バンド24,25およびブロック部材21(接触部215,216)の間隔が狭まることにより、接触部215,216が電極端子13,14に密接する。ブロック部材21や拘束バンド24,25を電極端子13,14に密接させることにより、これらの接触部分における導通性を確保することができる。
【0043】
図6Aに示す位置まで操作部231を回転させると、操作部231およびブロック部材21の第1溝部212が互いに重なることになる。そして、操作部231を第1溝部212に挿入すれば、操作部231を位置決めすることができる。すなわち、操作部231が矢印R1の方向とは逆方向に回転して、図5Aに示す状態に戻ってしまうのを阻止することができる。
【0044】
拘束バンド24が正極端子13に密接している状態において、拘束バンド24は、ストッパ13aよりも下方に位置している。言い換えれば、拘束バンド24は、電池ケース12の上面とストッパ13aとの間に位置している。これにより、拘束バンド24が正極端子13から外れてしまうのを阻止することができる。同様に、拘束バンド25が負極端子14に密接している状態において、拘束バンド25は、ストッパ14aよりも下方に位置している。これにより、拘束バンド25が負極端子14から外れてしまうのを阻止することができる。
【0045】
本実施例によれば、操作部231を回転させるだけで、接続ユニット20を電極端子13,14に固定することができる。また、操作部231および第1溝部212の係合を解除するだけで、接続ユニット20を電極端子13,14から取り外すことができる。このため、電極端子13,14に対する接続ユニット20の着脱を容易に行うことができる。
【0046】
また、本実施例によれば、ブロック部材21(第1接触部215)および拘束バンド24が正極端子13を挟んでいるため、正極端子13に対して特定方向の負荷だけが作用するのを防止することができる。同様に、ブロック部材21(第2接触部216)および拘束バンド25が負極端子14を挟んでいるため、負極端子14に対して特定方向の負荷だけが作用するのを防止することができる。これにより、過度の負荷により、電極端子13,14が変形してしまうのを防止することができる。
【0047】
さらに、本実施例では、各拘束バンド24,25における幅広の面を電極端子13,14の外周面に接触させることにより、接続ユニット20および電極端子13,14の接触面積(言い換えれば、導通面積)を確保することができる。ここで、拘束バンド24,25の幅(図6Bの上下方向の長さ)は、適宜設定することができ、拘束バンド24,25の幅を広げれば、電極端子13,14との接触面積を増加させることができる。
【0048】
なお、本実施例では、正極端子13および負極端子14に対して、凸状に形成されたストッパ13a,14aを形成しているが、これに限るものではない。すなわち、拘束バンド24が正極端子13から外れたり、拘束バンド25が負極端子14から外れたりしなければよい。
【0049】
例えば、拘束バンド24,25を電極端子13,14に密接させるだけでもよい。この場合には、拘束バンド24,25の拘束力を用いて、拘束バンド24,25が電極端子13,14から外れないようにすればよい。一方、電極端子13,14に対して、拘束バンド24,25と係合する凹部を形成することもできる。拘束バンド24,25を凹部と係合させれば、拘束バンド24,25が電極端子13,14から外れてしまうのを阻止することができる。
【0050】
本実施例では、図5Aに示す初期状態から図6Aに示す固定状態に変化させるときに、操作部231を略90度だけ回転させるようにしているが、操作部231の回転角度は、適宜設定することができる。例えば、本実施例では、操作部231と係合する第1溝部212がブロック部材21の長手方向(図5Aの左右方向)と略直交しているが、ブロック部材21の長手方向に対して傾斜するように、第1溝部212を形成することもできる。すなわち、操作部231の回転操作によって、拘束バンド24,25を電極端子13,14に密接させることができればよい。
【0051】
本実施例では、接続ユニット20を構成する、すべての部材を金属で形成しているが、これに限るものではない。すなわち、接続ユニット20の少なくとも一部において、正極端子13および負極端子14を電気的に接続するための導電経路が設けられていればよい。例えば、ブロック部材21だけを金属で形成し、他の部材を樹脂等で形成することができる。この場合には、ブロック部材21だけが導電経路を形成することになる。一方、拘束バンド24,25および回転体22だけを金属で形成し、導電経路を形成することができる。
【0052】
本実施例では、操作部231を第1溝部212に係合させることにより、回転体22の回転を阻止しているが、これに限るものではない。例えば、図7に示すように、回転体22の外周面に複数の爪部22aを設けるとともに、貫通孔211に弾性変形が可能なストッパ211aを設けることができる。図7は、ブロック部材21の貫通孔211に、本実施例の変形例である回転体22を収容した状態を示す上面図である。図7において、本実施例で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。
【0053】
図7に示す構成において、回転体22を矢印R1の方向に回転させると、各爪部22aがストッパ211aを押し込んで、ストッパ211aを弾性変形させる。これにより、回転体22を矢印R1の方向に回転させることができる。回転体22の回転を停止させたときには、爪部22aがストッパ211aに接触することにより、回転体22が矢印R1の方向とは逆方向に回転してしまうのを阻止することができる。すなわち、回転体22に固定された拘束バンド24,25が弛んでしまうのを防止することができる。
【0054】
図7に示す構成では、回転体22の回転角度を調節することができ、拘束バンド24,25が電極端子13,14に与える拘束力を調節することができる。
【0055】
また、本実施例では、回転体22の回転動作によって、拘束バンド24,25の他端を同時に引っ張るようにしているが、これに限るものではない。すなわち、拘束バンド24,25の他端を、別々に引っ張ることもできる。各拘束バンド24,25の他端を引っ張ることができれば、いかなる構成であってもよい。例えば、本実施例で説明した回転体22を、各拘束バンド24,25に対応させて2つ用意しておき、各回転体22を回転させることにより、各拘束バンド24,25を引っ張ることができる。
【0056】
さらに、本実施例では、2つの拘束バンド24,25を用いているが、これに限るものではなく、例えば、1つの拘束バンドを用いることもできる。この場合には、正極端子13および負極端子14を囲むように拘束バンドを配置し、拘束バンドを弛めたり、締めたりすればよい。ここで、正極端子13および負極端子14の間には、正極端子13および負極端子14に接触するブロック部材が配置される。また、拘束バンドを弛めたり、締めたりする構成は、公知の構成を利用することができる。例えば、拘束バンドの両端部に、互いに係合する部分を設け、係合位置を変化させることにより、拘束バンドを弛めたり、締めたりすることができる。
【実施例2】
【0057】
次に、本発明の実施例2における電池パックについて説明する。ここで、実施例1で説明した部材と同一の部材については、同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、本実施例における特徴部分について、主に説明する。
【0058】
本実施例の接続ユニット30は、図8Aおよび図8Bに示すブロック部材31と、図9Aおよび図9Bに示すように、ブロック部材31に固定される拘束バンド32,33とを有している。図8Aは、ブロック部材31の上面図であり、図8Bは、図8Aの矢印D6で示す方向から見たときのブロック部材31の側面図である。図9Aは、接続ユニット30の上面図であり、図9Bは、図9Aの矢印D7で示す方向から見たときの接続ユニット30の側面図である。ここで、ブロック部材31および拘束バンド32,33は、例えば、銅といった金属で形成することができる。
【0059】
図8Aおよび図8Bに示すように、ブロック部材31の両端部には、下方に面する傾斜面31a,31bが形成されている。また、拘束バンド32の両端は、位置P5,P6において、ブロック部材31に固定されており、拘束バンド33の両端は、位置P7,P8において、ブロック部材31に固定されている。拘束バンド32,33の固定方法としては、例えば、溶接がある。
【0060】
一方、接続ユニット30が取り付けられる正極端子13は、図10Bに示すように、ブロック部材31の傾斜面31aに沿った形状に形成された傾斜面13bを有している。同様に、負極端子14は、ブロック部材31の傾斜面31bに沿った形状に形成された傾斜面14bを有している。正極端子13の傾斜面13bおよび負極端子14の傾斜面14bは、互いに向かい合う側に面している。ここで、図10Aは、接続ユニット30を正極端子13および負極端子14に固定した状態を示す上面図であり、図10Bは、図10Aの矢印D8で示す方向から見たときの側面図である。
【0061】
次に、接続ユニット30を、正極端子13および負極端子14に取り付けるときの動作について説明する。
【0062】
まず、拘束バンド32およびブロック部材31で囲まれたスペースに、正極端子13を挿入するとともに、拘束バンド33およびブロック部材31で囲まれたスペースに、負極端子14を挿入する。このとき、ブロック部材31の傾斜面31aは、正極端子13の傾斜面13bと接触し、ブロック部材31の傾斜面31bは、負極端子14の傾斜面14bと接触する。傾斜面31aおよび傾斜面13b,14bを用いることにより、ブロック部材31を電極端子13,14に対して容易に接触させることができる。
【0063】
ブロック部材31の傾斜面31aを、正極端子13の傾斜面13bに密接させたときに、拘束バンド32は、正極端子13のストッパ13aよりも下方に位置するようになっている。ここで、拘束バンド32は、弾性変形することにより、ストッパ13aを通過することになる。正極端子13の外周面に凸状に形成されたストッパ13aは、拘束バンド32を所定位置に保持させることにより、ブロック部材31の傾斜面31aを正極端子13の傾斜面13bに密接させた状態に維持させることができる。
【0064】
同様に、ブロック部材31の傾斜面31bを、負極端子14の傾斜面14bに密接させたときに、拘束バンド33は、負極端子14のストッパ14aよりも下方に位置するようになっている。ここで、拘束バンド33は、弾性変形することにより、ストッパ14aを通過することになる。負極端子14の外周面に凸状に形成されたストッパ14aは、拘束バンド33を所定位置に保持させることにより、ブロック部材31の傾斜面31bを負極端子14の傾斜面14bに密接させた状態に維持させることができる。
【0065】
本実施例によれば、拘束バンド32,33がストッパ13a,14aよりも下方に位置するように、電極端子13,14に対して接続ユニット30を押し込むだけで、接続ユニット30を電極端子13,14に固定することができる。また、実施例1と同様に、各電極端子13,14は、各拘束バンド32,33およびブロック部材31によって挟まれているため、各電極端子13,14に対して、一方向だけの負荷がかかることはない。これにより、電極端子13,14の変形を防止することができる。
【0066】
なお、本実施例では、ブロック部材31に傾斜面31aを設け、電極端子13,14に傾斜面13b,14bを設けているが、傾斜面31aや傾斜面13b,14bを省略することもできる。すなわち、ブロック部材31および拘束バンド32によって、正極端子13を挟む構成であれば、拘束バンド32を弾性変形させるだけで、正極端子13をブロック部材31および拘束バンド32に密接させることができる。負極端子14についても同様である。
【実施例3】
【0067】
次に、本発明の実施例3における電池パックについて説明する。ここで、実施例1で説明した部材と同一の部材については、同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、本実施例における特徴部分について、主に説明する。
【0068】
本実施例は、実施例1で説明した接続ユニット30を変形したものである。本実施例における接続ユニット20の構成を図11に示す。本実施例では、拘束バンド24の一端が位置P1において、正極端子13に固定され、拘束バンド25の一端が位置P3において、負極端子14に固定されている。電極端子13,14の固定方法としては、例えば、溶接や接着を行うことができる。
【0069】
実施例1と同様に、操作部231を矢印R1の方向に回転させれば、拘束バンド24が正極端子13を引っ張ることにより、正極端子13をブロック部材21に接触させることができる。また、拘束バンド25が負極端子14を引っ張ることにより、負極端子14をブロック部材21に接触させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1:電池パック(蓄電装置) 10:単電池(蓄電素子)
11:発電要素 12:電池ケース
13:正極端子(電極端子) 14:負極端子(電極端子)
20:接続ユニット 21:ブロック部材(接触部材)
211:貫通孔 212:第1溝部
213:第2溝部 214:第3溝部
215:第1接触部 216:第2接触部
22:回転体(回転部材) 220:貫通孔
23:操作部材(回転部材) 231:操作部
232:連結部 233:軸部
24,25:拘束バンド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの蓄電素子のうち、一方の前記蓄電素子における第1の電極端子および他方の前記蓄電素子における第2の電極端子を電気的に接続するための接続ユニットであって、
前記第1および第2の電極端子の間に配置され、前記各電極端子と接触する接触部材と、
前記接触部材とともに前記各電極端子を囲み、前記第1および第2の電極端子が互いに近づく方向に前記各電極端子を付勢するバンドと、
を有することを特徴とする接続ユニット。
【請求項2】
前記バンドは、
一端が前記接触部材に固定されているとともに、他端の移動に応じて、前記第1の電極端子を前記接触部材の側に付勢する第1のバンドと、
一端が前記接触部材に固定されているとともに、他端の移動に応じて、前記第2の電極端子を前記接触部材の側に付勢する第2のバンドと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項3】
前記第1および第2のバンドにおける前記他端が固定され、回転動作によって前記第1および第2のバンドにおける前記他端を移動させる回転部材を有することを特徴とする請求項2に記載の接続ユニット。
【請求項4】
前記接触部材は、前記回転部材の回転を規制するストッパを有することを特徴とする請求項3に記載の接続ユニット。
【請求項5】
前記バンドは、両端が前記接触部材に固定され、前記第1および第2の電極端子をそれぞれ囲む2つのバンドを含んでおり、
前記各バンドは、弾性変形によって、前記接触部材を前記第1および第2の電極端子に密接させることを特徴とする請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項6】
前記接触部材は、前記各バンドとともに囲まれたスペースに前記各電極端子を挿入する側に面し、前記各電極端子と接触する傾斜面を有することを特徴とする請求項5に記載の接続ユニット。
【請求項7】
前記接触部材のうち、前記各電極端子と接触する面は、前記各電極端子の外周面に沿った形状に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の接続ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の接続ユニットと、
前記接続ユニットによって電気的に接続される前記蓄電素子と、
を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項9】
前記第1および第2の電極端子のうち、少なくとも一方は、前記バンドの抜けを防止するストッパを有することを特徴とする請求項8に記載の蓄電装置。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−233367(P2011−233367A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102631(P2010−102631)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】