説明

接続母線

【課題】部品点数が少なく、現地における組立作業の省力化を図り、さらに電気的性能の信頼性を向上させる。
【解決手段】接続母線は、それ自身の端末がブッシング1の受容口111に装着される接続母線2aであって、接続母線は、接続母線を構成する導体21aまたは絶縁体22aの端部外周に設けられ、受容口に装着されるストレスコーン24aと、ストレスコーンの外周に配置されそれ自身の外周縁側がブッシングの接続母線と対向する側の側壁112に固定される環状の固定金具3とを備える。固定金具の内周縁側は、ストレスコーンを構成する半導電ゴムと一体化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続母線に係り、特に、短い間隔で設置されたブッシング間を電気的に接続する場合に有用な接続母線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のブッシング間を電気的に接続するものとして、プレハブ形接続部が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このプレハブ形接続部は、電力ケーブルの端部を段剥処理することでそれぞれケーブル導体、ケーブル絶縁体およびケーブル外部半導電層等が露出されたケーブル接続端部を備えており、露出されたケーブル絶縁体上にはプレモールド絶縁体やストレスコーン圧縮装置等が配設されている。
【0004】
このようなプレモールド絶縁体やストレスコーン圧縮装置等が配設されたケーブル接続端部は、エポキシ樹脂等の硬質の絶縁体から成るブッシングの受容口に装着され、ストレスコーン圧縮装置によってプレモールド絶縁体を軸方向先端部に向けて押圧することでプレモールド絶縁体がブッシングの受容口に密着されるように構成されている。
このような構成のプレハブ形接続部によれば、工事の簡略化および組立て時のスキルレス化を図ることができるものの、次のような難点があった。
【0005】
第1に、現地において、接続すべき電力ケーブルを切断し、当該切断部を段剥処理してケーブル導体、ケーブル絶縁体およびケーブル外部半導電層等を露出させ、露出させたケーブル絶縁体上にプレモールド絶縁体やストレスコーン圧縮装置を装着し、当該ストレスコーン圧縮装置によってプレモールド絶縁体を軸方向先端部に向けて押圧しなければならないことから、現地での組み立て作業が必要になり、ひいては現地での組み立てに長時間を要するという難点がある。
【0006】
第2に、ケーブル絶縁体上にプレモールド絶縁体を挿入し、ケーブル絶縁体上をスライドさせるために、ケーブル絶縁体上またはプレモールド絶縁体の内周面にグリスまたはオイルを塗布しなければならないという難点がある。
【0007】
第3に、ケーブル接続部として、プレモールド絶縁体の絶縁部とブッシングの受容口との界面、およびプレモールド絶縁体の絶縁部とケーブル絶縁体との界面の、組み立てによる2つの絶縁界面が存在することから、ケーブル接続部における部分放電発生等の電気的性能の低下要因が存在する。
【0008】
第4に、プレモールド絶縁体を軸方向先端部に向けて押圧するストレスコーン圧縮装置等が必要になることから、部品点数が多くなり、全体的に材料費や加工費がコストアップになる。
【0009】
このため、ストレスコーン圧縮装置を必用としないプレハブ形接続部も開発されているが、このような構成のプレハブ形接続部においては、ストレスコーン圧縮装置によりプレモールド絶縁体を軸方向先端部に向けて押圧するため、押圧によりプレモールド絶縁体を構成するゴムが空隙に逃げるため、ブッシングの受容口との界面に適切な面圧を付与することができないという難点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−235147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、部品点数が少なく、現地における組立作業の省力化を図り、さらに電気的性能の信頼性を向上させることができる接続母線を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様である接続母線は、それ自身の端末がブッシングの受容口に装着される接続母線であって、接続母線は、接続母線を構成する導体または絶縁体の端部外周に設けられ、受容口に装着されるストレスコーンと、ストレスコーンの外周に配置されそれ自身の外周縁側がブッシングの接続母線と対向する側の側壁に固定される環状の固定金具とを備え、固定金具の内周縁側は、ストレスコーンを構成する半導電ゴムと一体化されているものである。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様である接続母線において、ストレスコーンはゴムによりモールド成型され、固定金具は固定金具に設けられたプライマー層を介してストレスコーンと一体化されているものである。
【0014】
発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様である接続母線において、ストレスコーンは、接続母線を構成する導体の端部または絶縁層の端部と一体化されているものである。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様である接続母線において、ストレスコーンを構成する絶縁ゴムおよび半導電ゴムのJIS−A硬度は、20〜45とされている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の接続母線によれば、次のような効果がある。
【0017】
第1に、ブッシングの側壁に取り付けられる固定金具が接続母線を構成するストレスコーンの半導電ゴム(ゴムストレスコーン部)と一体化されていることから、ブッシングの受容口に対する接続母線としてのゴム母線の端部の装着を迅速に行うことができ、ひいては現地における組立作業の省力化を図ることができる。
【0018】
第2に、接続母線をゴム母線で形成し、当該ゴム母線の端部をブッシングの受容口に装着した場合は、固定金具がストレスコーンの半導電ゴム(ゴムストレスコーン部)と一体化されていることから、ストレスコーンを構成するゴムが逃げなくなり、ひいてはブッシングの受容口との界面に適切な面圧を加えることができる。
【0019】
第3に、固定金具3の先端面の内周縁側に設けられた導電性接着剤から成るプライマー層を介して、ストレスコーンの半導電ゴム(ゴムストレスコーン部25a)と固定金具3とを確実に一体化することで、固定金具3により押圧されたゴムストレスコーン部40のゴムがゴムストレスコーン部の後端部側に逃げなくなるため、ブッシング本体1との界面により適切に面圧を付与することができる。
【0020】
第4に、接続母線をゴム母線で形成し、当該ゴム母線の端部を予めブッシングの受容口に装着し得るように一体に成型した場合は、従来のように現地においてケーブルの切断作業や端末処理をすることなく、そのままゴム母線の端部をブッシングの受容口に装着することができる。従って、接続母線としてこのようなゴム母線を使用した場合は、従来の現地におけるケーブルの切断作業やストレスコ−ン等の組立作業が不要となるため、現地における組立作業の省力化を図ることができる。
【0021】
第5に、接続母線をゴム母線で形成し、当該ゴム母線の端部を予めブッシングの受容口に装着し得るように一体に成型した場合は、従来のように現地においてケーブル絶縁体上に挿入していたプレモールド絶縁体の挿入作業が不要となることから、従来のプレモールド絶縁体の挿入時に塗布していたグリスまたはオイル等が不要となる。従って、接続母線としてこのようなゴム母線を使用した場合は、従来のグリスまたはオイル等の塗布作業がなくなり、材料も削減することができる。
【0022】
第6に、接続母線をゴム母線で形成し、当該ゴム母線の端部を予めブッシングの受容口に装着し得るように一体に成型した場合は、ストレスコ−ンの挿入作業が不要となることで、従来のストレスコーン圧縮装置も不要となり、ひいては、部品点数が少なくなる上、圧縮作業もなくなり、現地における組立作業の省力化を図ることができる。
【0023】
第7に、接続母線をゴム母線で形成し、当該ゴム母線の端部を予めブッシングの受容口に装着し得るように一体に成型した場合は、ゴム母線を構成するゴムブッシング装着部材がゴム絶縁層と一体的に設けられていることから、従来の組み立てによるプレモールド絶縁体/ケーブル絶縁体界面に相当する絶縁界面がなくなり、ひいては接続母線における電気的性能の信頼性を向上させることができる。
【0024】
第8に、ストレスコーンを硬度の小さいゴム(JIS−A硬度が20〜45のゴム)で形成した場合は、ストレスコーンが通常使用されるゴムよりも軟らかいため、ストレスコーンとブッシングの受容口との界面により適切な面圧を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施例における接続母線(ゴム母線)とブッシングとの接続部を示しており、分図(a)は、ブッシングの縦断面図、分図(b)は、接続母線(ゴム母線)の縦断面図、分図(c)は、ゴム母線とブッシングとの接続状況を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例における接続母線(ゴム母線)とブッシングとの接続部を示しており、分図(a)は、ブッシングの縦断面図、分図(b)は、接続母線(ゴム母線)の縦断面図、分図(c)は、接続母線(ゴム母線)とブッシングとの接続状況を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例における接続母線(ゴム母線)とブッシングとの接続部を示しており、分図(a)は、ブッシングの縦断面図、分図(b)は、接続母線(ゴム母線)の縦断面図、分図(c)は、ゴム母線とブッシングとの接続状況を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の接続母線を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施例においては、離間して設置される一対のブッシングおよび当該ブッシングに装着される接続母線(ゴム母線)の端末はそれぞれ同様の構成とされていることから、一方のブッシングおよび一方の接続母線(ゴム母線)の端末について説明する。また、接続母線(ゴム母線)および接続母線(ゴム母線)の構成部材(撚線導体、ゴム絶縁層、外部半導電層、ゴムブッシング装着部材およびゴムストレスコーン部等)の先端部側というときは当該接続母線(ゴム母線)の挿入方向側をいい、図中では右側方向に相当し、また、接続母線(ゴム母線)および接続母線(ゴム母線)の構成部材の後端部側というときは先端部側と反対側をいい、図中では左側方向に相当するものとして説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の接続母線としてのゴム母線を33kV級のガス絶縁開閉装置に適用したゴム母線の接続部を示している。
【0027】
最初に、機器ケースの外壁に1〜3m程度離間して設置されるブッシングについて説明する。
【0028】
図1(a)において、ブッシング1は、エポキシ樹脂等の硬質の絶縁体から成る円筒状のブッシング本体11を備えており、当該ブッシング本体11の内周側には円柱状の内部導体12がブッシング本体11と同心状に埋設され、ブッシング本体11の外周には導電塗料の塗布層13が設けられている。
【0029】
また、ブッシング本体11の後述する接続母線としてのゴム母線2aと対向する側の端部にはブッシング本体11の側壁112からブッシング本体11の中心部に向かって緩やかに縮径するラッパ状の受容口111が設けられ、内部導体12の後述するゴム母線2aの撚線導体21a(導体接続端子4)と対向する側の端部中心部には当該端部からブッシング本体11の中心部(図中右方向)に向かって軸方向に延びるように導体挿入孔121が設けられている。なお、導体挿入孔121の内周には環状の凹溝(不図示)が設けられ、当該凹溝にはマルチラムバンド等から成るテープ状の導体接続子(不図示)が嵌着されている。
【0030】
次に、ブッシング本体11の側壁112に取り付けられる固定金具について説明する。
【0031】
図1(b)において、固定金具3は環状の金属プレートで構成されており、固定金具3としての環状の金属プレートの外径はブッシング本体11の外径と略等しくされ、内径は後述するストレスコーンの中間部の外径と略等しくされている。
【0032】
次いで、それ自身の端末がブッシング1の受容口111に装着される接続母線としてのゴム母線2aについて説明する。
【0033】
図1(b)において、ゴム母線2aは、中心に配置される線状の撚線導体21aと、撚線導体21aの外周に撚線導体21aの端部を露出させて設けられる絶縁性のシリコーンゴム材料から成るゴム絶縁層22a(このゴム絶縁層22aは外部半導電層23aの内周に存在するため図には表れていない)と、ゴム絶縁層22aの外周に設けられる半導電性のシリコーンゴム材料から成る外部半導電層23aと、撚線導体21aの端部近傍の外周に撚線導体21aの端部を露出させた状態で撚線導体21aと一体的に設けられ、それ自身がブッシング1の受容口111に装着される絶縁性のシリコーンゴム材料から成るゴムブッシング装着部材24aと、ゴム半導電層23aの外周にゴム半導電層23aと一体的に設けられ、かつそれ自身の先端部側に設けられたラッパ状部251がゴムブッシング装着部材24aの後端部側に設けられたベルマウス部241と一体化される半導電性のシリコーンゴム材料から成るゴムストレスコーン部25aとを備えている。この実施例においては、ゴムブッシング装着部材24aおよびゴムストレスコーン部25aにより本発明におけるストレスコーンを構成している。
【0034】
ここで、ゴムブッシング装着部材24aは、従来のケーブル絶縁体に相当する部分と従来のプレモールド絶縁体の絶縁部に相当する部分を一体化したような形体とされている。具体的には、撚線導体21aの端部近傍の外周に直接配置されるゴムブッシング装着部材24aは、それ自身の外周面にブッシング1の受容口111の内周面と対応するテーパ部242を有し、後端部側に後端部側から先端部側に向かって拡径するベルマウス部241が設けられている。
【0035】
また、ゴムストレスコーン部25aは、従来のプレモールド絶縁体の半導電部に相当する形体とされている。具体的には、外部半導電層23aの外周に直接設けられるゴムストレスコーン部25aは、それ自身の先端部側にゴムブッシング装着部材24aのベルマウス部241の外周面と対応するようにラッパ状部251が設けられ、当該ラッパ状部251はベルマウス部241と当接するように配置されている。また、ゴムストレスコーン部25aの外周側には固定金具3としての環状の金属プレートの先端面の内周縁側が当接される段差壁252が設けられている。
【0036】
撚線導体21aの先端部には、ブッシング1の導体挿入孔121にプラグイン接続し得る導体接続端子4が圧縮接続されている。
【0037】
なお、図中、符号5は、ゴムストレスコーン部25aの小径の円筒状部253の外周とシース27aとの外周間に跨って設けられる収縮チューブ、Sは、接地線を示している。
【0038】
次に、本発明における接続母線としてのゴム母線2aの形成方法を第1の工程から第5の工程に分けて説明する。
【0039】
「第1の工程」
先ず、ゴムストレスコーン部25aと環状の金属プレートからなる固定金具3とを一体化したものを所望の個数若しくは大量にモールド成型しておくと共に、所定の成型用金型(不図示)を準備する。なお、固定金具の内周縁側の先端面にはモールド成型前に予め導電性接着剤から成るプライマー層(不図示)が形成されている。よって、モールド成型後、環状の金属プレートから成る固定金具3は、固定金具の内周縁側の先端面に設けられた導電性接着剤から成るプライマー層(不図示)を介してゴムストレスコーン部25aと一体化されている。
【0040】
「第2の工程」
導体接続端子4を取着した撚線導体21aおよび予めモールド成型した固定金具(3)一体型のゴムストレスコーン部25aを成型用金型の対応する位置にセットし、撚線導体21aとの間にシリコーンゴム材料などの絶縁ゴムを注入してゴム絶縁層22aおよびゴムブッシング装着部材24aを成型し、これを加硫することで、ゴム絶縁層22aおよびゴムブッシング装着部材24aが撚線導体21aと一体化され、更にゴムストレスコーン部25aとゴムブッシング装着部材24aが一体化される。これにより、第1の半製品が得られる。
「第3の工程」
第1の半製品を成型用金型の対応する位置にセットし、第1の半製品との間に半導電性のシリコーンゴム材料などの半導電ゴムを注入して外部半導電層23aを成型し、これを加硫することで、図1に示すように、ゴムストレスコーン部25aが外部半導電層23aと一体化される。これにより、第2の半製品が得られる。
「第4の工程」
第2の半製品としての外部半導電層23aの外周に多数本の軟銅線を螺旋状に横巻きすることで金属遮蔽層26aを設ける。これにより、第3の半製品が得られる。なお、金属遮蔽層26aはここでは、ワイヤーシールドの例を説明しているが、銅テープで形成してもよく、特に限定されない。
「第5の工程」
第3の半製品を成型用金型の対応する位置にセットし、第3の半製品との間にシリコーンゴム材料などの絶縁ゴムを注入してシース27aを成型し、これを加硫することで、図1に示すように、シース27aが金属遮蔽層26aと一体化される。これにより、それ自身の端末がブッシング1の受容口111に装着し得る完成品としてのゴム母線2aが得られる。
【0041】
なお、導体接続端子4はモールド後に取着してもよい。また、シース27aは上述の絶縁ゴムに代えて絶縁性のビニルシースで形成してもよい。また、上述では、ゴムストレスコーン部25を予めモールド成型して成型用金型にセットしたが、ゴムストレスコーン部25に相当する部分と外部半導電層23aを同時に一体でモールド成型してもよい。この場合も、固定金具の内周縁側の先端面にはモールド成型前に予め導電性接着剤から成るプライマー層(不図示)が形成されている。
【0042】
次に、ゴム母線2aとブッシング1との接続方法について説明する。
【0043】
図1(c)において、先ず、ゴム母線2aの端部をブッシング1の受容口111に挿入する。これにより導体接続端子4が導体挿入孔121にプラグイン接続されると共に、ゴムブッシング装着部材24aのテーパ部242がブッシング1の受容口111の内周面に当接される。
【0044】
次いで、固定金具3のフランジ32の先端面をブッシング1の側壁112に当接し、図示しないボルト等を介して取り付ける。これにより、ゴムストレスコーン部25aおよびゴムブッシング装着部材24aが軸方向先端部に向けて押圧されることになる。
【0045】
このようにして、ブッシング装着部材24aが受容口111に向けて押圧されることで、ブッシング装着部材24aのテーパ部242がブッシング1の受容口111の内周面に押し付けられ、ひいてはブッシング装着部材24aのテーパ部242とブッシング1の受容口111の内周面間の界面の絶縁性能が確保されることになる。
【0046】
以上のように、本発明のゴム母線2aによれば、次のような効果を奏する。
【0047】
第1に、ブッシング1の側壁112に取り付けられる固定金具3が接続母線を構成するストレスコーンの半導電ゴム(ゴムストレスコーン部25a)と一体化されていることから、ブッシング1の受容口111に対する接続母線としてのゴム母線2aの端部の装着を迅速に行うことができ、ひいては現地における組立作業の省力化を図ることができる。
【0048】
第2に、接続母線をゴム母線2aで形成し、当該ゴム母線2aの端部をブッシング1の受容口111に装着した場合は、固定金具3がストレスコーンの半導電ゴム(ゴムストレスコーン部25a)と一体化されていることから、ストレスコーンを構成するゴムが逃げなくなり、ひいてはブッシングの受容口との界面に適切な面圧を加えることができる。
【0049】
第3に、接続母線をゴム母線2aで形成し、当該ゴム母線2aの端部を予めブッシング1の受容口111に装着し得るように一体に成型した場合は、従来のように現地においてケーブルの切断作業や端末処理をすることなく、そのままゴム母線2aの端部をブッシング1の受容口111に装着することができる。従って、接続母線としてこのようなゴム母線2aを使用した場合は、従来の現地におけるケーブルの切断作業やストレスコ−ン等の組立作業が不要となるため、現地における組立作業の省力化を図ることができる。
【0050】
第4に、接続母線をゴム母線2aで形成し、当該ゴム母線2aの端部を予めブッシング1の受容口111に装着し得るように一体に成型した場合は、従来のように現地においてケーブル絶縁体上に挿入していたプレモールド絶縁体の挿入作業が不要となることから、従来のプレモールド絶縁体のケーブル絶縁体への挿入時に塗布していたグリスまたはオイル等が不要となる。従って、接続母線としてこのようなゴム母線2aを使用した場合は、従来のケーブル絶縁体への挿入分のグリスまたはオイル等の塗布作業がなくなり、材料も削減することができる。
【0051】
第5に、接続母線をゴム母線2aで形成し、当該ゴム母線2aの端部を予めブッシング1の受容口111に装着し得るように一体に成型した場合は、ストレスコ−ンの挿入作業が不要となることで、従来のスプリングを有するストレスコーン圧縮装置も不要となり、ひいては、部品点数が少なくなる上、圧縮作業もなくなり、現地における組立作業の省力化を図ることができる。
【0052】
第6に、接続母線をゴム母線2aで形成し、当該ゴム母線2aの端部を予めブッシング1の受容口111に装着し得るように一体に成型した場合は、ゴムブッシング装着部材24aとゴム絶縁層22aが一体的に設けられていることから、従来のプレモールド絶縁体/ケーブル絶縁体界面に相当する絶縁界面がなくなるため、従来のプレモールド絶縁体/ケーブル絶縁体界面およびプレモールド絶縁体/ブッシング界面の両方の界面に押圧する機能を持つストレスコーン圧縮装置が不要となり、固定金具3のブッシング1への取り付けによりゴムブッシング装着部材/ブッシング界面の面圧を適切に付与することができ、ひいては接続母線における電気的性能の信頼性を向上させることができる。
【0053】
第7に、接続母線をゴム母線2aで形成し、当該ゴム母線2aの端部を予めブッシング1の受容口111に装着し得るように一体に成型した場合は、ゴム母線2aを構成するゴムストレスコーン部25aが外部半導電層23aおよびゴムブッシング装着部材24aと一体的に設けられていることから、従来のプレモールド絶縁体の半導電部/ケーブル絶縁体界面に相当する界面がなくなる。これにより、電界が高くなる半導電部の立ち上がり部分に組み立てによる界面がなくなるため、ひいては接続部における電気的性能の信頼性をより向上させることができる。
【0054】
第8に、ゴムブッシング装着部材24aおよびゴムストレスコーン部25aのそれぞれのゴムをJIS−A硬度が20〜45のゴムで形成した場合は、ゴムが軟らかいため、ストレスコーンとブッシングの受容口との界面により適切な面圧を加えることができる。
【0055】
なお、JIS−A硬度が45より大きいと、ゴムが硬く、固定金具3で押圧しても適切な面圧をブッシング1との界面に付与することができない。また、JIS−A硬度が20より小さいと、ゴムが軟らかすぎて固定金具3で押圧しても面圧がブッシング1との界面に適切に付与されないおそれがある。
[実施例2]
図2は、本発明の第2の実施例におけるゴム母線2bの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
この実施例においては、図1に示す撚線導体21a、ゴム絶縁層22a、外部半導電層23a、金属遮蔽層26aおよびシース27aに代えて、ケーブル撚線導体21b上に順次ケーブルゴム絶縁層22b、ケーブル外部半導電層23b、ケーブル金属遮蔽層26bおよびケーブルシース27bを有するゴム絶縁ケーブルが用いられている。なお、ケーブル撚線導体21bとケーブルゴム絶縁層22bとの間には、図示しないケーブル内部半導電層が形成されている。
【0057】
そして、このような構成のゴム絶縁ケーブルの端部を段剥処理することでケーブル撚線導体21bの端部、ケーブルゴム絶縁層22bの端部、ケーブル外部半導電層23bおよびケーブル金属遮蔽層26bの端部がそれぞれ露出される。
【0058】
この実施例においては、第1の実施例における撚線導体21aがケーブル撚線導体21bに、ゴム絶縁層22aがケーブルゴム絶縁層22bに、外部半導電層23aがケーブル外部半導電層23bに、金属遮蔽層26aがケーブル金属遮蔽層26bに、シース27aがケーブルシース27bにそれぞれ相当している。なお、ここではケーブルシース27bは絶縁性のビニルシースにより形成されている。
【0059】
次に、第2の実施例におけるゴム母線2bの形成方法を第1の工程と第2の工程に分けて説明する。
【0060】
「第1の工程」
先ず、第1の実施例と同様に、固定金具3一体型のゴムストレスコーン部25aを所望の個数若しくは大量にモールド成型しておくと共に、所定の成型用金型(不図示)を準備する。
【0061】
「第2の工程」
ケーブル撚線導体21bの先端部に導体接続端子4を取着したゴム絶縁ケーブルの端末部Cおよび固定金具3一体型のゴムストレスコーン部25aを成型用金型の対応する位置にセットし、ゴム絶縁ケーブルの端部およびゴムストレスコーン部25a間にシリコーンゴム材料などの絶縁ゴムを注入してゴムブッシング装着部材24bを成型し、これを加硫することで、図3に示すように、ゴムブッシング装着部材24bがケーブルゴム絶縁層22bおよびゴムストレスコーン部25aと一体化される。これにより、完成品としてのゴム母線2cが得られる。
【0062】
以上のように、第2の実施例におけるゴム母線2bによれば、第1の実施例のゴム母線2aの効果のうち第1〜第6の効果および第8の効果(第7の効果を除く)に加え、ゴム絶縁ケーブルを使用することから、第1の実施例よりもモールド成型工程を減らすことができる。
[実施例3]
図3は、本発明の第3の実施例におけるゴム母線2cの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
この実施例においては、図1に示すゴムストレスコーン部25aおよび収縮チューブ5に代えて、長尺のゴムストレスコーン部40が用いられている。
【0064】
具体的には、長尺のゴムストレスコーン部40は、ゴムブッシング装着部材24aの外径より若干大径の外径を有する大径の円筒状部401と、当該円筒状部401の先端部側に円筒状部401と同心状に連接され、先端部側にゴムブッシング装着部材24aのベルマウス部241の外周面と対応するラッパ状部251を有する電界緩和部402と、円筒状部401の後端部側に円筒状部401と同心状に連接され、それ自身がゴムシース27aの外周に装着される小径の円筒状部403とを備えている。なお、大径の円筒状部401と小径の円筒状部403との連接部の外周部には後端部側から先端部側に向かって緩やかに拡径するコーン状部404が設けられている。
【0065】
このような長尺のゴムストレスコーン部40は、半導電性のゴム材料で一体的に形成することができる。なお、電界緩和部402を半導電性のゴム材料で形成し、大径の円筒状部401および小径の円筒状部403を絶縁性のゴム材料で形成してもよい。
【0066】
次に、固定金具3としての金属プレートは、図3に示すように、その内周縁側が長尺のゴムストレスコーン部40の電界緩和部402と大径の円筒状部401間の外周部に埋設されることで、長尺のゴムストレスコーン部40と一体化されている。
【0067】
図3においても、固定金具3の先端面の内周縁側に設けられた導電性接着剤から成るプライマー層を介して、ゴムストレスコーン部40と固定金具3とを確実に一体化することで、固定金具3により押圧されたゴムストレスコーン部40のゴムがゴムストレスコーン部の後端部側に逃げなくなるため、ブッシング本体1との界面により適切に面圧を付与することができる。
【0068】
以上のように、第3の実施例におけるゴム母線2cによれば、第1の実施例のゴム母線2aの効果に加え、第1の実施例のゴム母線2aよりも簡易に防食層を形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
【0070】
第1に、前述の実施例においては、ゴム絶縁層(ケーブルゴム絶縁層)、外部半導電層(ケーブル外部半導電層)、ゴムブッシング装着部材およびゴムストレスコーン部をシリコーンゴムで形成した場合について説明しているが、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)等で形成してもよい。また、前述の実施例においては、シース(ケーブルシース)をシリコーンゴムまたはビニルシースで形成した場合について説明しているが、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)等で形成してもよく、材料は限定されない。
【0071】
第2に、前述の実施例においては、撚線導体(ケーブル撚線導体)上に直接ゴム絶縁層(ケーブルゴム絶縁層)やゴムブッシング装着部材を設けた場合について説明しているが、撚線導体(ケーブル撚線導体)上に内部半導電ゴム層(不図示)を介してゴム絶縁層(ケーブルゴム絶縁層)やゴムブッシング装着部材を設けてもよい。
【0072】
第3に、前述の実施例においては、ブッシング装着部材の後端部側にゴムストレスコ−ン部を設けているが、当該ゴムストレスコ−ン部を設けずに、ブッシング装着部材のベルマウス部に半導電塗料の塗布層を形成してもよい。
【0073】
第4に、前述の実施例においては、軟銅線を螺旋巻きすることで金属遮蔽層(ケーブル金属遮蔽層)を形成しているが、軟銅線の編組や金属テープのラップ巻きにより金属遮蔽層を設けてもよい。
【0074】
第5に、前述の実施例においては、収縮チューブの内側は空間とした場合について述べているが、当該空間に装填部材を設けてもよい。
【0075】
第6に、前述の実施例においては、撚線導体(ケーブル撚線導体)またはゴム絶縁層(ケーブルゴム絶縁層)の外周にストレスコーンを一体的に形成した場合について説明しているが、当該ストレスコーンは、ケーブル絶縁層上に従来のストレスコーン(プレモールド絶縁体)と同様に当該ストレスコーンを挿入することで配置してもよい。この場合は、ケーブルとして、導体上に架橋ポリエチレンで絶縁したCVケーブル等を用いることができる。
【0076】
第7に、前述の実施例においては、定格電圧が33kVクラスのものについて説明しているが、当該定格電圧はこれより低い電圧でも高い電圧でもよい。
【0077】
第8に、前述の実施例においては、短い間隔で設置されたブッシング間を電気的に接続する場合について説明しているが、機器側ブッシングと電力ケーブルとの接続部に適用してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1a・・・ブッシング
111・・・受容口
2a〜2c・・・ゴム母線
21a・・・撚線導体
22a・・・ゴム絶縁層
23a・・・外部半導電層
24a、24b・・・ゴムブッシング装着部材
241・・・ベルマウス部
25a、25b、40・・・ゴムストレスコーン部
251・・・ラッパ状部
C・・・ゴム絶縁ケーブルの端末部
21b・・・ケーブル撚線導体
22b・・・ケーブルゴム絶縁層
23b・・・ケーブル外部半導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それ自身の端末がブッシングの受容口に装着される接続母線であって、
前記接続母線は、前記接続母線を構成する導体または絶縁体の端部外周に設けられ、前記受容口に装着されるストレスコーンと、前記ストレスコーンの外周に配置されそれ自身の外周縁側が前記ブッシングの前記接続母線と対向する側の側壁に固定される環状の固定金具とを備え、
前記固定金具の内周縁側は、前記ストレスコーンを構成する半導電ゴムと一体化されていることを特徴とする接続母線。
【請求項2】
前記ストレスコーンはゴムによりモールド成型され、前記固定金具は前記固定金具に設けられたプライマー層を介して前記ストレスコーンと一体化されていることを特徴とする請求項1記載の接続母線。
【請求項3】
前記ストレスコーンは、前記接続母線を構成する導体の端部または絶縁層の端部と一体化されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の接続母線。
【請求項4】
前記ストレスコーンを構成する絶縁ゴムおよび半導電ゴムのJIS−A硬度は、20〜45であることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載の接続母線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−143069(P2012−143069A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293700(P2010−293700)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Fターム(参考)】