説明

接続管及びこの接続管と共に用いられる補助具

【課題】 本発明は、輸送管にダメージが与えられることを防止することにより、輸送管の漏れによる作業現場の汚染や作業効率の低下、及び短期間での輸送管の交換によるコスト高などの問題を解消できる接続管及びこの接続管と共に用いられる補助具を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 流体輸送用の輸送管を接続するための接続管であって、この接続管は、中空状の本体、及び前記輸送管が接続されると共に、前記中空状の本体内部と連通する接続部を有し、特に、前記中空状の本体につき、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過しても変形しない程度の物理的強度を有することを特徴とする接続管及びこの接続管と共に用いられる補助具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体輸送用の輸送管を接続するための接続管及びこの接続管と共に用いられる補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
水などの液体や空気などの気体、土や砂などの粉状物や粒状物などの固体、或いは砂や石などの個体と水などの液体との混合物であるスラリーや土砂などは、変形に対する自由度が高く、流動性が高いことから、その搬送につき、ホースやパイプなどの輸送管を通して行われることが多い。
【0003】
これらの輸送管のうち、特に、ゴムや布或いは高分子シートなどの柔軟な素材を用いて作られたものは、巻き取って小さくまとめることができる上、作業場の都合に応じて、自由に湾曲させて用いることができることから、浄水場における濾過材の逆洗・再生処理、トンネル工事やダム工事などにおける土砂の運搬や池の水の汲み上げ等、屋内外での作業現場における臨時的な輸送管として広範に用いられている。
【0004】
ところが、屋内外の作業現場にあっては、ダンプカー、タンクローリー、ブルドーザ、或いはフォークリフトなどの作業車を使用することがほとんどであり、設置した輸送管上を当該作業車が通過しなければ作業に支障が生じる場合がある。
【0005】
又、作業現場近くの一般道路を跨いで輸送管を設置しなければならないこともあり、この場合においては、交通を遮断するよりも、当該輸送管上を自動車などが頻繁に通過することを是認しなければならないことが多い。
【0006】
しかしながら、ゴムや布或いは高分子シートなどの柔軟な素材を用いて作られた輸送管は、自動車や作業車などが乗り上げると、その重量により扁平して輸送管内壁が閉塞し、流体の輸送が阻害されるため、当害輸送管上を自動車などが頻繁に通過するところにおいては、流体の迅速な輸送が妨げられる場合がある。
【0007】
又、輸送管が、自動車や作業車などの乗り上げに繰り返し晒されると、たちまち柔軟性の低下や破損などの疲弊が生じ、漏れによる作業現場の汚染や作業効率の低下、更に、短期間での当該輸送管の交換によるコスト高などの問題が生じる。
【0008】
このため、道路横断部等に敷設した際に、車両の通行による障害を受けないような排水用ホースが開発されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0009】
【特許文献1】特開平8−159346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この排水用ホースは、車両の乗り上げによる輸送管の閉塞の問題のみを解決したものであり、自動車や作業車などの車両の乗り上げに繰り返し晒された場合、やはり、短期間で柔軟性の低下や破損などの疲弊が生じるものであった。
【0011】
そこで、本発明者は、このような問題を解決すべく鋭意・検討を重ねた結果、流体輸送用の輸送管を接続するための接続管であって、この接続管は、中空状の本体、及び前記輸送管が接続されると共に、前記中空状の本体内部と連通する接続部を有し、特に、前記中空状の本体につき、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過しても変形しない程度の物理的強度を有することを特徴とする本発明の接続管を開発するに至ったのである。
【0012】
即ち、本発明者は、作業現場などにおいて、輸送管を配置する際、作業車や自動車などの車両が頻繁に通過する箇所につき、比較的強度の高い接続管で輸送管を接続すれば、前記車両は当該接続管上を通過することになるため、輸送管にダメージが与えられることを防止することが可能になり、結果として、輸送管の漏れによる作業現場の汚染や作業効率の低下、及び短期間での輸送管の交換によるコスト高などの問題を解消できるとの知見を得たのである。
【0013】
本発明は、前記知見に基づき完成されたものであり、輸送管にダメージが与えられることを防止することにより、輸送管の漏れによる作業現場の汚染や作業効率の低下、及び短期間での輸送管の交換によるコスト高などの問題を解消できる接続管及びこの接続管と共に用いられる補助具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決する手段である本発明に係る接続管は、流体輸送用の輸送管を接続するための接続管であって、この接続管は、中空状の本体、及び前記輸送管が接続されると共に、前記中空状の本体内部と連通する接続部を有し、特に、前記中空状の本体につき、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過しても変形しない程度の物理的強度を有することを特徴とするものである。
【0015】
又、本発明に係る補助具においては、前記本発明の接続管と共に用いられる補助具であって、該補助具は、前記接続管における本体の長さ方向に沿って備えられることにより、当該接続管における本体頂上部に向かって緩やかな傾斜を形成し得る断面形状を有することを特徴とするものである。
以下、まず、本発明の接続管について詳細に説明し、追って、本発明の補助具を詳細に説明する。
【0016】
本発明に係る接続管においては、流体輸送用の輸送管を接続するための接続管であり、接続対象である輸送管としては、中空で、水などの液体や空気などの気体、土や砂などの粉状物や粒状物などの固体、或いは砂や石などの個体と水などの液体との混合物であるスラリーや土砂などの変形に対する自由度が高く、流動性が高い流体を輸送し得るものであれば、特に限定されるものではなく、具体的に例えば、ゴムや布或いは高分子シートなどの柔軟な素材を用いて作られたホースなどの輸送管を挙げることができる。
【0017】
そして、本発明における接続管は、中空状の「本体」、及び前記輸送管が接続されると共に、前記中空状の本体内部と連通する「接続部」からなる。
【0018】
即ち、本発明における接続管は、接続部に適宜輸送管が接続されて、輸送管による流体の輸送経路の中継地点となるものであり、作業現場などにおいて輸送管を配置する際に、この接続管を作業車や自動車などの車両が頻繁に通過する箇所に配置すれば、当該車両の通過により輸送管にダメージが与えられることを防止することが可能になり、結果として、輸送管の漏れによる作業現場の汚染や作業効率の低下、及び短期間での輸送管の交換によるコスト高などの問題を解消できるのである。
【0019】
特に、本発明においては、前記中空状の「本体」につき、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過しても変形しない程度の物理的強度を付与した点にもっとも大きな特徴を有し、このように接続管における前記本体に対し、一定以上の強度を付与しているから、作業車や自動車が当該接続管上を通過しても、当該接続管は扁平化することが無く、その形状を維持することから流体の輸送状態を維持することができるのである。
【0020】
又、本発明の接続管には、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過しても変形しない程度の物理的強度を付与しているから、当該車両の乗り上げに繰り返し晒されても破損などが生じることが無くなるのである。
【0021】
ここで、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過しても変形しない程度の物理的強度とは、作業現場などで使用される作業車の種類などに応じて適宜決定すれば良く、特に限定されるものではないが、一般的には、1t程度の質量のものが乗り上げても変形しない程度の物理的強度とすることが好ましく、更に、5t程度以上の質量のものが乗り上げても変形しない程度の物理的強度とすることがより好ましく、特に、10t程度の質量のものが乗り上げても変形しない程度の物理的強度とすることが一層好ましい。
【0022】
なお、1t以上とは、通常の乗用車の質量が1t程度であることから決定される基準であり、5tや10t以上とすることは、作業車の重量サイズに応じて決定される基準である。
【0023】
又、本発明に係る接続管において、その本体に対し、このような物理的強度を付与し得る素材としては、強度の高い高分子材料(例えば、FRPや熱硬化性樹脂など)や、ステンレスなどの金属、或いはセラミックなどをあげることができる。
【0024】
更に、本発明に係る接続管における本体内部については、その長さ方向に沿って、不連続的ないしは連続的に補強リブを設けることが好ましく、このような補強リブを設けることにより、一層の強度向上を図ることができるので、接続管における素材の厚みを薄くして当該接続管の軽量化を図ったり、中空断面積の拡大を図ることができるのである。
【0025】
ところで、本発明に係る接続管においてその形状は、特に限定されるものではないが、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過することを前提としていることから、中空状の本体における長さ方向に対して直角方向の断面形状が、ある程度偏平した形状として、乗り上げのショックを緩和することが好ましい。
【0026】
又、自動車や作業車などの車両の乗り上げに対して、ガタついたり、ずれたりしないように構成するために、中空状の本体における底面が、地面又は床面に対して水平ないし略水平になるように形成することが好ましい。
【0027】
特に、本発明においては、中空状の本体における長さ方向に対して直角方向の断面形状が、底辺縁部から頂上部に向かって緩やかな傾斜を設けることが好ましく、このような断面形状とすれば、より一層、乗り上げのショックを緩和することができる上、接続管に与えられる衝撃を小さくし、その耐久性を一層向上することもできるのである。
【0028】
一方、本発明の接続管において、その長さ方向の形状、即ち、「長さ」については、特に限定されるものではないが、一般的には、自動車や作業車などの車両のタイヤの幅に応じて設定する場合と、自動車や作業車などの車両の車幅に応じて設定する場合がある。
【0029】
自動車や作業車などの車両のタイヤの幅に応じて設定する場合においては、30〜100cm程度の長さにすれば良く、一方、自動車や作業車の車幅に応じて設定する場合においては、2m〜7.5m程度の長さとすれば良いのである。
【0030】
次に、本発明の補助具を説明する。
【0031】
本発明の補助具は、本発明の接続管と共に用いられる補助具であって、該補助具は、前記接続管における本体の長さ方向に沿って備えられることにより、当該接続管における本体頂上部に向かって緩やかな傾斜を形成し得る断面形状を有することを特徴とするものである。
【0032】
即ち、本発明の補助具は、接続管における本体の長さ方向に沿って備えられることにより、当該接続管における本体頂上部に向かって緩やかな傾斜を形成するものであり、自動車や作業車などの車両の乗り上げの際のショックを緩和するためのものである。
【0033】
なお、この補助具は、接続管における自動車や作業車の乗り上げる方向の片側サイドのみに備えれば、乗り上げの際のショックを十分に緩和することができるのであるが、両サイドに備えれば、乗り降りの際に発生するショックも緩和することができるのである。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、前記構成を有し、輸送管にダメージが与えられることを防止することにより、輸送管の漏れによる作業現場の汚染や作業効率の低下、及び短期間での輸送管の交換によるコスト高などの問題を解消できる新規な接続管及びこの接続管と共に用いられる補助具である。
【0035】
即ち、本発明の接続管は、作業現場などにおいて輸送管を配置する際、作業車や自動車などの車両が頻繁に通過する箇所において輸送管を接続するものであり、該車両が前記接続管上を通過することになるため、輸送管にダメージが与えられることを防止することが可能になり、結果として、輸送管の漏れによる作業現場の汚染や作業効率の低下、及び短期間での輸送管の交換によるコスト高などの問題を解消できるのである。
【0036】
又、本発明の接続管における本体には、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過しても変形しない程度の物理的強度が付与されているから、当該車両が乗り上げ、乗り下ろしを繰り返し晒されても破損などが生じることが無いのである。
【0037】
一方、本発明の補助具は、接続管における本体の長さ方向に沿って備えられることにより、当該接続管における本体頂上部に向かって緩やかな傾斜を形成するものであり、自動車や作業車などの車両の乗り上げ、乗り下げの際のショックを緩和することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0039】
図1は、実施例1に係る本発明の接続管1を示す斜視図であり、この接続管1は、中空状の本体2、及び輸送管4が接続されると共に、前記中空状の本体2内部と連通する二つの接続部3a、3bを有する。
【0040】
そして、図2(a)に示すように、本実施例に係る接続管1は、接続部3a、3bを介して輸送管4a、4bに接続されて、当該輸送管4a、4bによる流体の輸送経路の中継地点となるものであり、作業現場などにおいて輸送管4a、4bを配置する際に、この接続管1を作業車や自動車などの車両が頻繁に通過する箇所に配置すれば、当該車両の通過により輸送管4a、4bにダメージが与えられることを防止することが可能になり、結果として、輸送管4a、4bの漏れによる作業現場の汚染や作業効率の低下、及び短期間で当該輸送管4a、4bの交換によるコスト高などの問題を解消できるのである。
【0041】
特に、前記中空状の本体2につき、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過しても変形しない程度の物理的強度を付与しているから、作業車や自動車などの車両が当該接続管1上を通過しても、当該接続管1は扁平化することが無く、その形状を維持しつつ、流体の輸送状態を維持することができるのであり、自動車や作業車などの車両の乗り上げに繰り返し晒されても破損などが生じることがないのである。
【0042】
図2(b)は、本実施例に係る接続管1の中空状の本体2における長さ方向に対する直角方向の断面形状を示す断面図である。
【0043】
この断面図から分かるように、本実施例に係る接続管1における中空状の本体の底面は、地面または床面に対して水平となるように形成されており、これより、自動車や作業車などの車両の乗り上げ(図中矢印で示す。)に対して、ガタついたり、ずれたりすることを極力防止しているのである。
【0044】
又、本実施例に係る接続管1の中空状の本体2内部には、その長さ方向に沿って、連続的に補強リブ5が設けられており、中空状の本体2内部にこのような補強リブ5を設けることにより、一層の強度向上を図ることができるのである。
【0045】
なお、この図2(b)の断面図における矢印は、自動車や作業車などの車両が、接続管1を乗り上げて通過する状態を簡略的に図示したものである。
【実施例2】
【0046】
図3(a)は、実施例2に係る本発明の接続管1に輸送管4a、4bを接続した状態を示す模式図であり、この接続管1は、中空状の本体2、及び輸送管4a、4bが接続されると共に、前記中空状の本体2内部と連通する二つの接続部3a、3bを有する。
【0047】
図3(b)の断面図に示すように、本実施例に係る接続管1においては、特に、中空状の本体2における長さ方向に対して直角方向の断面形状につき、底辺縁部から頂上部に向かって緩やかな傾斜を設けており、このような断面形状としているから、自動車や作業車などの車両の乗り上げ時のショックを緩和することができる上、接続管1に与えられる衝撃を極力小さくし、その耐久性を著しく向上することができるのである。
【0048】
その余は、前記実施例1とほぼ同様であることから、繰り返しを避けるためここでは説明を省略する。
【実施例3】
【0049】
図4(a)は、実施例3に係る本発明の接続管1及びこの接続管1と共に用いられる補助具6a、6bの輸送管4a、4bと接続した状態を示す斜視図であり、この接続管1は、中空状の本体2、及び輸送管4a、4bが接続されると共に、前記中空状の本体2内部と連通する二つの接続部3a、3bを有し、一方、補助具6a、6bは、前記接続管1における本体2の長さ方向に沿って備えられることにより、当該接続管1における本体2の頂上部に向かって緩やかな傾斜を形成することができる断面形状を有する。
【0050】
即ち、図4(b)の断面図に示すように、本実施例においては、接続管1と共に、当該接続管1における本体2の頂上部に向かって緩やかな傾斜を形成する補助具6a、6bを用いているから、自動車や作業車などの車両の乗り上げ時のショックを緩和することができる上、接続管1に与えられる衝撃を極力小さくし、その耐久性を著しく向上することができるのである。
【0051】
その余は、前記実施例1とほぼ同様であることから、繰り返しを避けるためここでは説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、実施例1に係る本発明の接続管を示す斜視図である。
【図2】図2において、(a)図は実施例1に係る本発明の接続管に輸送管を接続した状態を示す要部斜視図であり、又、(b)図は実施例1に係る接続管の中空状本体における長さ方向に対する直角方向の断面形状を示す断面図である。
【図3】図3において、(a)図は実施例2に係る本発明の接続管に輸送管を接続した状態を示す要部斜視図であり、又、(b)図は実施例2に係る接続管の中空状本体における長さ方向に対する直角方向の断面形状を示す断面図である。
【図4】図4において、(a)図は実施例3に係る本発明の接続管に輸送管を接続し、しかもこの接続管と共に、当該接続管における本体の頂上部に向かって緩やかな傾斜を形成するための補助具を用いた状態を示す要部斜視図であり、又、(b)図はその長さ方向に対する直角方向の断面形状を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 接続管
2 本体
3a、3b 接続部
4a、4b 輸送管
5 補強リブ
6a、6b 補助具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体輸送用の輸送管を接続するための接続管であって、この接続管は、中空状の本体、及び前記輸送管が接続されると共に、前記中空状の本体内部と連通する接続部を有し、特に、前記中空状の本体につき、自動車や作業車などの車両が乗り上げて通過しても変形しない程度の物理的強度を有することを特徴とする接続管。
【請求項2】
中空状の本体内部には、その長さ方向に沿って、不連続的ないしは連続的に補強リブが設けられてなる請求項1に記載の接続管。
【請求項3】
中空状の本体における底面が、地面又は床面に対して水平ないし略水平に形成されている請求項1又は2に記載の接続管。
【請求項4】
中空状の本体における長さ方向に対して直角方向の断面形状が、底辺縁部から頂上部に向かって緩やかな傾斜を設けてなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の接続管。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の接続管と共に用いられる補助具であって、該補助具は、前記接続管における本体の長さ方向に沿って備えられることにより、当該接続管における本体頂上部に向かって緩やかな傾斜を形成し得る断面形状を有することを特徴とする補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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