接続部の構造、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法
【課題】天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物用のバラ積み貨物荷役装置等の接続部において、気密機能と分離／接続機能を比較的簡単な構成で確保することができる接続部、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法を提供する。
【解決手段】接続上部３ａと接続下部２０ａを接続及び分離する接続部において、接続上部３ａに設けた仕切り部３ａｄを、接続下部２０ａに設けた液溜まり部２０ｂｄに挿入し、前記液溜まり部２０ｂｄを内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆに分けると共に、前記内周側室２０ｂｅと前記外周側室２０ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部２０ｂｄに入れた液体Ｂによって、内周側室２０ｂｅの上部と外周側室２０ｂｆの上部との間を液封により気密にする。
【解決手段】接続上部３ａと接続下部２０ａを接続及び分離する接続部において、接続上部３ａに設けた仕切り部３ａｄを、接続下部２０ａに設けた液溜まり部２０ｂｄに挿入し、前記液溜まり部２０ｂｄを内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆに分けると共に、前記内周側室２０ｂｅと前記外周側室２０ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部２０ｂｄに入れた液体Ｂによって、内周側室２０ｂｅの上部と外周側室２０ｂｆの上部との間を液封により気密にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、必要に応じて切り離すことが求められる２つの搬送経路等を繋ぐ接続部において、接続及び切り離しが容易で、しかも、接続状態で気密を確保できる接続部の構造、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、天然ガスをハイドレート化して、この固体状の天然ガスハイドレート（ＮＧＨ）をバラ積み貨物として輸送することが考えられている。この天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生する固形貨物をバラ積み貨物としてバラ積み貨物船で運搬する際には、これらの可燃性ガスを発生する固形物を陸上の基地とバラ積み貨物船との間で荷役を行うための専用のバラ積み貨物荷役装置が必要となる。
【０００３】
このようなバラ積み貨物荷役装置に関して、メタンガスハイドレートをドライの状態で揚げ荷役する装置として、メタンガスハイドレートペレットを、フレキシブルな吸入管からメタンガスを排気ポンプで排気することにより吸引すると共に、排気口の手前のノズル部で加速されたメタンガスハイドレートペレットを、開閉自在隔膜を通過したところで、搬送用メタンガス噴出ノズルから高圧のメタンガスを噴出して、管内搬送することにより、不凍液や低温液化ガス等の液体冷媒を使用しないで、運搬船や貯蔵タンクからドライの状態で荷揚げ及び搬送するメタンガスハイドレートペレット荷揚げ装置が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００４】
しかしながら、この装置は、メタンガスの気流によりメタンガスハイドレートを吸引及び搬送するものであり、管内固気混合輸送であるため、船倉内の集荷等の非常に短い距離の搬送には適しているが、比較的長い距離の搬送には、使用するメタンガス量が多くなり、適しているとは言えない。
【０００５】
また、洋上オフローディング装置を、第１洋上浮体側から固形物を受ける垂直コンベアと、この垂直コンベアで上昇された固形物を受け入れ部で受けて先端部に移送する水平コンベアと、この水平コンベアの先端部近傍に配置され、固形物を落下させながら第２洋上浮体に導くシューターとから構成すると共に、シューターを第１洋上浮体と第２洋上浮体の間の相対変位を吸収する伸縮性を備えた蛇腹構造で形成して、天然ガスハイドレートペレットなどの固体物を、洋上生産設備や輸送船等の複数の洋上浮体間で、海象によって生じる洋上浮体間における相対変位を吸収しながら、移送することも提案されている（例えば、特許文献２参照。）。
【０００６】
しかしながら、この装置は、複数の洋上浮体の間における荷役のように比較的大きな相対変位を行う場合には適しているが、荷役装置が大規模化するため、荷役用の岸壁に着岸した貨物船と陸上の基地との間における荷役のように、比較的小さな相対変位しか生じない場合に必ずしも最適なものとは言えない。
【０００７】
そこで、本発明者らは、このバラ積み貨物荷役装置に関して、陸上の搬送用基地と貨物船との間のバラ積み貨物荷役装置として、図９及び図１０に示すような装置を考えた。このバラ積み貨物荷役装置１は、陸上４の搬送用基地３からバラ積み貨物船２の船倉２ａに天然ガスハイドレートＡを積み荷役する際には、荷役対象の船倉２ａまで陸上４のレール４ａ上を走行する支持台車１０で移動する。その後、最寄の搬送用基地３の接続上部３ａに、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０の接続下部２０ａを接続し、天然ガスハイドレートＡを搬送用基地３から上部搬送部２０、垂直搬送部４０、下部搬送部３０、垂直伸縮搬送部５０を経由して船倉２ａに搬送する。この積み荷役の場合、上部搬送部２０と下部搬送部３０の水平移動は水平コンベア等を使用し、垂直搬送部４０と垂直伸縮搬送部５０の下方向移動は自然落下や垂直コンベア等を使用する。また、この時、船倉２ａに平面的に均等に積み込むために、垂直搬送部４０を回転軸にして下部搬送部３０を水平面内で図１０の矢印方向に旋回させる。
【０００８】
そして、その船倉２ａが搭載量に達したら、荷役対象を次の船倉２ａにする。この次の船倉２ａが上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回範囲内にある場合は、搬送用基地３を変えず、そのまま、上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回のみで、船倉２ａを変更して積み荷役を行う。次の船倉２ａが上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回範囲内にない場合は、搬送用基地３の接続上部３ａから上部搬送部２０の接続下部２０ａを離脱し、次の船倉２ａまで台車１０をレール４ａ上を走行させて、最寄の搬送用基地３に、改めて上部搬送部２０を接続して、同様な積み荷役を行う。また、揚げ荷役では、天然ガスハイドレートＡを船倉２ａから陸上へ搬送するために、積み荷役同様に水平搬送部と垂直搬送部を適当に組み合わせた装置によって行われる。
【０００９】
このように天然ガスハイドレートをバラ積み貨物として扱うと、天然ガスハイドレートから可燃性ガスが発生するので、バラ積み貨物荷役装置１の搬送経路全体において気密を保持して、可燃性ガスの外部への漏出や内部への空気の流入を防止する必要がある。特に、搬送用基地３の接続上部３ａと、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０の接続下部２０ａとの接続に関しては、必要に応じて適宜切り離すことが求められるため、簡便な分離（切り離し）及び接続と、接続状態における気密の確保が必要となる。
【００１０】
しかしながら、この開口部が小さな開口であれば、気密機能と分離及び接続機能とを並立させることも比較的容易であるが、バラ積み貨物荷役装置１の接続部２０ａの天然ガスハイドレートが上下方向に通過する部分の直径を約１ｍ以上に想定しているため、この大径となる接続部において気密性を確保することが困難となるという問題がある。
【特許文献１】特開２００４−１３１２７２号公報
【特許文献２】特開２００６−１５９１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物用のバラ積み貨物荷役装置等の接続部において、気密機能と分離／接続機能を比較的簡単な構成で確保することができる接続部の構造、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記の目的を達成するための本発明の接続部の構造は、接続上部と接続下部を接続及び分離する接続部であって、該接続部に液封による気密構造を設けて構成される。なお、この液封とは液体を封じ込めることではなく、液体による気体封入、言い換えれば、液溜まり部に溜まった液体により気密性を保つことを意味する。
【００１３】
この構成によれば、液封であるため、比較的簡単な構造で、接続上部と接続下部の接続に際して、簡便かつ容易に、気密性を維持できるので、小さな開口部だけでなく、大きな開口部であっても、接続状態では気密性を定常的に確保することができる。また、液封部分が接続上部と接続下部との接続部分の外周側の部分のみで収まるので、構造を単純化することができる。また、切り離し及び接続に際しての上下移動における気密のための抵抗も液体の粘性による抵抗であるため、上下移動速度が遅い場合には非常に小さくすることができる。
【００１４】
上記の接続部の構造で、前記接続部において、接続上部に設けた仕切り部を、接続下部に設けた液溜まり部に挿入し、前記液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にするように構成すると、比較的簡単な構成で液封による気密を構成することができる。
【００１５】
なお、この接続上部の仕切り部が、接続下部の液溜まり部に挿入できる構成であればよく、仕切り部と液溜まり部の断面形状は、相互の回転移動を許す場合には円形とするが、回転移動を考慮しなくてもよい場合は、円形に限らず、楕円、多角形等、任意の形状であってもよい。また、液体を用いるため、切り離し及び接続のための移動方向は鉛直方向（上下方向）であることが好ましいが、液溜まり部の形状や仕切り部の形状を工夫することにより、鉛直方向からある程度傾斜した方向に対して伸縮する場合にも適用することができる。
【００１６】
また、この構成では、接続下部に設けられる液溜まり部は二重管と底部との構造によって容易に形成でき、接続上部の仕切り部は、筒状体の壁面の下端側等で容易に形成できる。そして、この接続下部の二重管で形成された液溜まり部に、接続上部の仕切り部が挿入され、この液溜まり部に液体が入れられると、この液溜まり部で形成される液体のＵ字管効果により気体の封入を行うことができる。
【００１７】
また、上記の接続部の構造で、前記接続上部又は前記接続下部において、筒状体を２個以上設けた伸縮部を設け、上方の筒状体に設けた仕切り部を、下方の筒状体の液溜まり部に挿入し、前記下方の筒状体の液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記下方の筒状体の液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすると共に、前記仕切り部の前記下方の筒状体の液溜まり部への挿入深さを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さを変化させるように構成すると、２個以上の筒状体で形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部と接続下部との切り離し及び接続を容易に行うことができる。しかも、上下伸縮のための構造と気密保持の構造とを兼用することができ、接続上部と接続下部の距離を容易に調整できる。
【００１８】
また、上記の接続部の構造で、前記伸縮部において、上方の筒状体の液溜まり部で、下方の筒状体の液溜まり部に挿入される仕切り部を兼用すると、構造をより単純化することができる。
【００１９】
更に、上記の接続部の構造で、前記接続下部に前記伸縮部を設けた場合において、前記接続下部の最上方の筒状体に下部フランジ部を設け、該下部フランジ部及び前記最上方の筒状体を上下移動するアクチュエータを設けると共に、前記接続上部に上部フランジ部を設けて、接続時には、前記アクチュエータを伸ばして前記上部フランジ部に前記下部フランジ部を当接させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記最上方の筒状体に設けた液溜まり部に挿入して、前記接続下部を前記接続上部に接続し、分離時には、前記アクチュエータを縮めて前記上部フランジ部から前記下部フランジ部を分離させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記最上方の筒状体の上部に設けた液溜まり部から抜き出して、前記接続下部を前記接続上部から分離するように構成すると、油圧シリンダ等のアクチュエータの伸縮により、仕切り部が液溜まり部の液体からに抜け出るまでは気密を維持しながら、上部フランジ部と下部フランジ部とを当接したり、切り離したりすることが容易にできる。
【００２０】
あるいは、上記の接続部の構造で、前記接続上部に前記伸縮部を設けた場合において、前記接続上部の最下方の筒状体に上部フランジ部を設け、該上部フランジ部及び前記最下方の筒状体を上下移動するアクチュエータを設けると共に、前記接続下部に下部フランジ部を設けて、接続時には、前記アクチュエータを伸ばして前記下部フランジ部に前記上部フランジ部を当接させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部に挿入して、前記接続上部を前記接続下部に接続し、分離時には、前記アクチュエータを縮めて前記下部フランジ部から前記上部フランジ部を分離させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部から抜き出して、前記接続下部を前記接続上部から分離するように構成すると、油圧シリンダ等のアクチュエータの伸縮により、仕切り部が液溜まり部の液体からに抜け出るまでは気密を維持しながら、上部フランジ部と下部フランジ部とを当接したり、切り離したりすることが容易にできる。
【００２１】
また、上記の接続部の構造において、前記液溜まり部に前記接続上部を通る被搬送物が入らないように、前記内周側室を覆うカバーを設けると、液溜まり部に、天然ガスハイドレートペレット等の被搬送物が入って、気密機能を担う部分や切り離しや接続時における可動部分に被搬送物が挟まる等の不具合の発生を非常に簡単な構造で防止できる。つまり、複雑な構造や制御を有しない簡単なカバーによって、接続状態では気密を常時保つことが可能となる。
【００２２】
そして、液溜まり部に入れる液封用の液体としては、不凍液や海水や水等が考えられる。なお、海水又は水を使用すると、簡便に利用できる上、万一、液封用の液体が漏れ出しても、海域や水域の汚染を回避することができ、また、液封用液体を確保するためのタンクが不要となるので、環境汚染の問題や液封用液体の貯蔵の問題も回避できる。
【００２３】
通常は、伸縮部の伸縮量による液溜まり部への仕切り部の挿入量の変化による液溜まり部の容積の変化分と、液封用の液体の蒸発や漏れ等による減少分とを自動的に補うため、液体補充タンクを液溜まり部に外からパイプで接続し、液体の液面高さをモニターしながら液体を補充する。これにより、液溜まり部内の液体量を常に適切に保つと共に、液体の液面高さの異常な上昇又は異常な下降の検知で内部圧力の異常を検知する。
【００２４】
また、内圧と外圧（大気圧）との圧力差が大きい場合には、比重の大きい液体を用いることが好ましく、内圧の圧力変動が大きい場合には粘性の大きな液体を用いて、液位の変動を小さくすることが好ましい。また、火災時に液封用の液体が蒸発、燃焼することは好ましくないため、蒸発し難い液体を用いたり、不燃性の液体を用いたり、液体表面に蒸発や燃焼を防ぐ別種の液体を注入するなど、液体を多層に設けてもよい。
【００２５】
また、上記の接続部の構造において、前記液溜まり部に入れた液封用の液体を循環させると、天然ガスハイドレート等の低温の貨物の場合であっても、液封用の液体が凍ることを防止できる。この循環においては、循環用配管と循環ポンプとにより、新たな液体を供給して循環させてもよく、液溜まり部と液溜まり部の外部に当たる熱交換部との間を再循環させてもよい。なお、この再循環では、循環用配管が熱交換部を兼用してもよい。
【００２６】
また、上記の接続部の構造において、前記接続下部を、前記接続上部に対して旋回可能に構成すると、容易に気密を保持しながら、旋回することができる。
【００２７】
そして、上記の目的を達成するための本発明のバラ積み貨物荷役装置は、上記の接続部の構造を備えて構成される。この構成により、バラ積み貨物荷役装置の接続部の気密性を確保できると共に、容易に切り離し及び接続できる。そのため、接続状態においては、可燃性ガス等が発生しても、バラ積み貨物荷役装置の外部に漏出することが無く、また、逆に外気がバラ積み貨物荷役装置の内部に入ることも無い。従って、このバラ積み貨物荷役装置で、天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物を搬送する場合に、外気と遮断しながら、安全に搬送することができる。
【００２８】
なお、上記の本発明の接続部の構造は、天然ガスハイドレートペレット等のバラ積み貨物を搬送する場合に使用するバラ積み貨物荷役装置に最適な構造であるが、それ以外の装置等であってもよく、接続部で気密を要するような部分に適用できるものである。
【００２９】
そして、上記の目的を達成するための本発明の接続部の気密保持方法は、接続上部と接続下部を接続及び分離する接続部において、前記接続上部に設けた仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部に挿入し、前記液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にする方法である。この方法によれば、液封であるため、接続上部と接続下部との切り離し及び接続が容易となる上に、接続状態では、気密性を確保でき、大きな開口部であっても、気密性を定常的に確保することができる。
【００３０】
また、上記の接続部の気密保持方法で、前記接続上部又は前記接続下部において、伸縮部を筒状体を２個以上設けて構成し、上方の筒状体の仕切り部の下方の筒状体の液溜まり部への挿入深さを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さを変化させると共に、前記上方の筒状体の仕切り部を、前記下方の筒状体の液溜まり部に挿入して、前記下方の筒状体の液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて、前記下方の筒状体の液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすると、２個以上の筒状体で形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部と接続下部との切り離し（分離）及び接続を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【００３１】
本発明の接続部の構造、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法によれば、非常に簡単な構成で接続部における気密性と伸縮性を確保することができる。これらの構成では、液封による気密構造を採用しているので、静的な装置となるため、緻密な制御や複雑なメンテナンス等が不要となる。更に、液封部分を接続部の外周近傍のみに収めることができ、また、気密のための構造を分離用の伸縮のための構造と兼用することができるので、接続部の構造を著しく単純化することができる。
【００３２】
従って、天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物用のバラ積み貨物荷役装置等の接続部において、気密機能と分離及び接続機能を比較的簡単な構成で確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３３】
以下、図面を参照して本発明に係る接続部の構造、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法の実施の形態について説明する。図１〜図４に、本発明の第１の実施の形態の接続部３ａ、２０ａの気密及び伸縮構造を示し、図５〜図８に、第２の実施の形態の接続部３Ａａ、２０Ａａの気密及び伸縮構造を示す。また、図９及び図１０に、本発明の実施の形態のバラ積み貨物荷役装置１を示し、図１１及び図１２に旋回部５を有する垂直搬送部４０を示し、図１３及び図１４に、垂直伸縮搬送部５０を示す。
【００３４】
最初に、本発明の実施の形態のバラ積み貨物荷役装置１について説明する。図９及び図１０に示すように、このバラ積み貨物荷役装置１は、天然ガスハイドレート（ＮＧＨ）等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物Ａを、陸上４の搬送用基地３とバラ積み貨物船２の船倉２ａとの間で、積み荷役と揚げ荷役等の荷役するための装置である。
【００３５】
このバラ積み貨物荷役装置１では、積み荷役の際には、荷役対象の船倉２ａまで陸上４のレール４ａ上を車輪１１で走行する支持台車１０で移動する。その後、最寄の搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａに、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０の接続下部２０ａ、２０Ａａを接続し、天然ガスハイドレートＡを、搬送用基地３から接続上部３ａ、３Ａａ、接続下部２０ａ、２０Ａａ、上部搬送部２０、垂直搬送部４０、下部搬送部３０、垂直伸縮搬送部５０を経由して船倉２ａに搬送する。
【００３６】
この積み荷役の場合、上部搬送部２０と下部搬送部３０の水平移動は、図１１に示すように、上部搬送部２０の第１の搬送装置（水平コンベア）２１や、下部搬送部３０の第２の搬送装置（水平コンベア）３１等を使用し、垂直搬送部４０と垂直伸縮搬送部５０の下方向移動は自然落下や垂直コンベア等を利用する。この時、垂直搬送部４０を回転軸にして下部搬送部３０を水平面内で旋回させて、船倉２ａに平面的に均等に積み込む。
【００３７】
この船倉２ａが搭載量に達したら、荷役対象を次の船倉２ａにする。この次の船倉２ａが上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回範囲内にある場合は、搬送用基地３を変えず、そのまま、上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回のみで、船倉２ａを変更して積み荷役を行う。次の船倉２ａが上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回範囲内にない場合は、搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａから上部搬送部２０の接続下部２０ａ、２０Ａａを離脱し、次の船倉２ａまで支持台車１０を車輪１１によりレール４ａ上を走行させて、最寄の搬送用基地３に、改めて上部搬送部２０を接続して、同様な積み荷役を行う。
【００３８】
また、揚げ荷役では、天然ガスハイドレートＡを船倉２ａから陸上へ搬送するために、積み荷役同様に水平搬送部と垂直搬送部を適当に組み合わせた装置によって行われる。
【００３９】
次に、バラ積み貨物荷役装置１の構成について説明する。このバラ積み貨物荷役装置１は、上部搬送部２０と下部搬送部３０と、この上部搬送部２０と下部搬送部３０を連結する垂直搬送部４０と、下部搬送部３０から下に降りている垂直伸縮搬送部５０とを有して構成される。
【００４０】
上部搬送部２０は、陸上側の上側では、接続下部２０ａ、２０Ａａが、搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａと着脱可能に接続できるように構成され、海上側の下側では、垂直搬送部４０を介して下部搬送部３０に接続して構成される。この上部搬送部２０には水平ベルトコンベア等で形成される第１の搬送装置２１が配設される。また、下部搬送部３０は、陸上側の上側では垂直搬送部４０に接続し、海上側の下側では垂直伸縮搬送部５０に接続する。この下部搬送部３０には水平ベルトコンベアなどで形成される第２の搬送装置３１が配設される。更に、搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａに対して、接続下部２０ａ、２０Ａａが、接続状態で旋回可能に構成される。つまり、上部搬送部２０より先の部分が一体となって旋回できるように構成される。
【００４１】
次に本発明の第１の実施の形態の接続部３ａ、２０ａについて説明する。図１及び図２に示すように、搬送用基地３の接続上部３ａと、上部搬送部２０の接続下部２０ａは次にように構成される。
【００４２】
接続上部３ａは、搬送用基地３の下面側に突出する筒状体３ａａに上部フランジ部３ａｂを設けて構成され、搬送用基地３に固定されている。この筒状体３ａａの内周側に、カバー３ａｃを設けると共に、上部フランジ部３ａｂより下側に筒状体３ａａを延長して仕切り部３ａｄを設ける。このカバー３ａｃは、接続上部３ａを通る天然ガスハイドレートペレット等の被搬送物Ａが、後述する液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄに入らないように、内周側室２０ｂｅ、２０ｃｅを覆うように、下側が狭くなる円錐形状に形成したり、布状のカバーで形成したりして設ける。これにより、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄに被搬送物Ａが入って、気密機能を担う部分や切り離しや接続時における可動部分に被搬送物が挟まる等の不具合の発生を非常に簡単な構造で防止できる。
【００４３】
一方、接続下部２０ａは、上方の筒状体２０ｂと下方の筒状体２０ｃと油圧シリンダ（アクチュエータ）２０ｄとから構成され、この下方の筒状体２０ｃと油圧シリンダ２０ｄは、上部搬送部２０のケーシングに固定されている。
【００４４】
上方の筒状体２０ｂの上端に下部フランジ部２０ａａを設け、その内周側に液溜まり部２０ｂｄを設ける。この下部フランジ部２０ａａは油圧シリンダ２０ｄの上端側に固定され、油圧シリンダ２０ｄの伸縮により上下移動する。この液溜まり部２０ｂｄは、外周壁２０ｂａと内周壁２０ｂｂとで構成される二重壁構造とその底部２０ｂｃとからなる。この液溜まり部２０ｂｄに液封用の液体Ｂを供給するために、液体補充タンク２０ｂｇが配管２０ｂｈにより液溜まり部２０ｂｄに接続される。なお、この液溜まり部２０ｂｄは、下方の液溜まり部２０ｃｄに対しては仕切り部としての役割を果たす。
【００４５】
下方の筒状体２０ｃは、外周壁２０ｃａと内周壁２０ｃｂとで構成される二重壁構造とその底部２０ｃｃとからなる液溜まり部２０ｃｄを有して構成される。この底部２０ｃｃは図１及び図２の構成では、上部搬送部２０のケーシングの一部で構成される。この液溜まり部２０ｃｄに液封用の液体Ｂを供給するために、液体補充タンク２０ｃｇが配管２０ｃｈにより液溜まり部２０ｃｄに接続される。
【００４６】
そして、下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄに、上方の筒状体２０ｂの液溜まり部２０ｂｄで兼用される仕切り部２０ｂｄが挿入される。言い換えれば、これらの複数の筒状体２０ｂ、２０ｃを一部重複させて上下方向に連続して配置する。これらの筒状体２０ｂ、２０ｃの相互の重複部分の長さＬｂｃ、言い換えれば、挿入深さＬｂｃを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さＬａを変化させる。この上下方向の長さＬａの変化は油圧シリンダ２０ｄの伸縮により行う。
【００４７】
そして、上部フランジ部３ａｂと下部フランジ部２０ａａとの接続部分と、２つの筒状体２０ｂ、２０ｃの重複部分において、次のような液封による気密構造が設けられる。
【００４８】
この接続部分においては、接続上部３ａに設けた仕切り部３ａｄを、接続下部２０ａの上方の筒状体２０ｂに設けた液溜まり部２０ｂｄに挿入し、この液溜まり部２０ｂｄを内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆに分けると共に、内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成する。これにより、液溜まり部２０ｂｄに入れた液体ＢのＵ字管効果によって、内周側室２０ｂｅの上部と外周側室２０ｂｆの上部との間を液封により気密にする。
【００４９】
また、２つの筒状体２０ｂ、２０ｃの重複部分においては、上方の筒状体２０ｂの液溜まり部２０ｂｄを兼用する仕切り部２０ｂｄを、下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄに挿入し、この液溜まり部２０ｃｄを内周側室２０ｃｅと外周側室２０ｃｆに分けると共に、内周側室２０ｃｅと外周側室２０ｃｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成し、この液溜まり部２０ｃｄに入れた液体Ｂによって、内周側室２０ｃｅの上部と外周側室２０ｃｆの上部との間を液封により気密にする。この構成により、２つの筒状体２０ｂ、２０ｃで形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部３ａと接続下部２０ａとの切り離し及び接続を容易に行うことができる。
【００５０】
なお、この筒状体の重複は、３つ以上の筒状体においても同様に形成することができるが、上方側の筒状体の仕切り部が下方側の液溜まり部から抜け出すことが無いように、重複量の最大値を規制するようにチェーン等の規制部材を設ける。
【００５１】
また、筒状体の数が増加し、仕切り部を液溜まり部で兼用していくと、仕切り部の幅が増加していくので、図３及び図４の他の例で示すように、液溜まり部２０ｂｄで仕切り部を兼用せずに、液溜まり部２０ｂｄの下側に内周壁２０ｂｂの延長の仕切り板等で形成される仕切り部２０ｂｂａを設けることにより、仕切り部の幅を狭くすることができる。この場合は、液溜まり部２０ｂｄが浅くなり、伸展時の重複部分Ｌｂｃが小さくなり易いので、内圧と外圧との差が小さく、また、圧力変動も小さい場合に適している。
【００５２】
また、接続上部３ａと接続下部２０ａの形状は、接続上部３ａの仕切り部３ａｄが、接続下部２０ａの液溜まり部２０ｂｄに挿入できる構成であればよく、仕切り部３ａｄと液溜まり部２０ｂｄの水平断面形状は、相互の回転移動である旋回を許す場合には円形とする。なお、回転移動を考慮しなくてもよい場合は、円形に限らず、楕円、多角形等、任意の形状であってもよい。また、液体Ｂを用いるため、切り離し及び接続のための移動方向は鉛直方向（上下方向）であることが好ましいが、液溜まり部２０ｂｄの形状や仕切り部３ａｄの形状を工夫することにより、鉛直方向からある程度傾斜した方向に対して伸縮する場合にも適用することができるようになる。
【００５３】
そして、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄに入れる液封用の液体Ｂとしては、比重の大きい液体の利用が考えられるが、天然ガスハイドレートの荷役等で、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄが低温となる場合は、不凍液を使用したり、あるいは、海水や水を循環させたりする。海水又は水を使用すると、簡便に利用できる上、万一、液封用の液体Ｂが漏れ出しても、海域や水域の汚染を回避することができ、また、液封用液体Ｂを確保するためのタンクが不要となるので、環境汚染の問題や液封用液体の貯蔵の問題も回避できる。
【００５４】
更に、伸縮部の伸縮量Ｌｂｃによる液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄへの仕切り部３ａｄ、２０ｂｄの挿入よる液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄの容積の変化分と、液封用の液体Ｂの蒸発や漏れ等による減少を自動的に補うため、液体補充タンク２０ｂｇ、２０ｃｇから液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄに液封用の液体Ｂを供給する。
【００５５】
この液体Ｂの供給に際しては、液体補充タンク２０ｂｇ、２０ｃｇを適当な高さに設置することで、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄ内の液面高さをモニターし、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄ内の液量を適切な量として液位を適切な高さに維持するとともに、液体の液面高さの異常な上昇や異常な下降の検知で内部圧力の異常を検知する。
【００５６】
また、内圧と外圧（大気圧）との圧力差が大きい場合には、比重の大きい液体を用いることが好ましく、内圧の圧力変動が大きい場合には粘性の大きな液体を用いて、液位の変動を小さくすることが好ましい。また、火災時に液封用の液体が蒸発、燃焼することは好ましくないため、蒸発し難い液体を用いたり、不燃性の液体を用いたり、液体表面に蒸発や燃焼を防ぐ別種の液体を注入するなど、液体を多層に設けてもよい。
【００５７】
そして、更に、接続状態で、搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａに対して、接続下部２０ａ、２０Ａａが、つまり、上部搬送部２０より先の部分の全体が旋回できるように構成される。この構成については、例えば、図９に示すように、支持台車１０の上面に、接続上部３ａ、３Ａａと接続下部２０ａ、２０Ａａの軸心２２を中心とする円弧状のレール１２を敷き、このレール１２上を上部搬送部２０を走行させることで旋回又は揺動させる。この旋回の動力としては、車輪２３を駆動する場合には油圧モータ等を使用でき、揺動の場合には、支持台車１０側と上部搬送部２０を連結する油圧シリンダ等を使用することができる。
【００５８】
次に、この接続部３ａ、２０ａにおける分離（切り離し）と接続について説明する。図１又は図３に示すような接続状態では、仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄに挿入され、液溜まり部２０ｂｄで兼用される仕切り部２０ｂｄが液溜まり部２０ｃｄに挿入され、２ヶ所で液封による気密保持が行われている。
【００５９】
この図１又は図３の状態から図２又は図４の状態に移行するには、搬送用基地３側において、図示しない気密扉を閉鎖して、搬送用基地３側の気密を保持し、搬送用基地３側から接続上部３ａに可燃性ガスなどが流出しないようにして、接続上部３ａを大気開放にしてもよい状態にする。また、上部搬送部２０側において、図示しない気密扉を閉鎖して、上部搬送部２０の気密を保持し、上部搬送部２０側から接続下部２０ａに可燃性ガスなどが流出しないようにして、接続下部２０ａを大気開放にしてもよい状態にする。
【００６０】
この状態になったら、必要に応じて、接続上部３ａと接続下部２０ａとの間の固定、例えば、上部フランジ部３ａｂと下部フランジ部２０ａａとの間の締結等を解除してから、油圧シリンダ２０ｄを短縮し、下部フランジ部２０ａａを引き下げて、上部フランジ部３ａｂから切り離す。この下部フランジ部２０ａａの引き下げにより、仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄから抜き出され、その一方で、液溜まり部２０ｂｄを兼用する仕切り部２０ｂｄ（又は、液溜まり部２０ｂｄの下部の仕切り板２０ｂｂａ）が液溜まり部２０ｃｄに挿入される深さＬｂｃが増加する。仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂから完全に抜き出されると、内部と外部との気密が解除され、接続上部３ａと接続下部２０ａとは分離し、大気開放状態となる。そして、更に、下部フランジ部２０ａａを引き下げて、下部フランジ部２０ａａ及び内周壁２０ｂｂが仕切り部３ａｄの下端より低くなった時点で、下部フランジ部２０ａａの引き下げを停止する。
【００６１】
この状態で、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０は、搬送用基地３から切り離された状態になる。そして、荷役対象の船倉２ａ側も必要に応じて気密を保持しながら、垂直伸縮搬送部５０と船倉２ａとを切り離す。この切り離し状態では、バラ積み貨物荷役装置１は支持台車１０で陸上４のレール４ａ上を走行して移動することができるので、この状態で、次の荷役対象となっている船倉２ａ又は搬送用基地３まで移動する。そして、荷役対象の搬送用基地３の接続上部３ａに対向する位置まで、上部搬送部２０の接続下部２０ａを移動させる。
【００６２】
なお、接続上部３ａに対して接続下部２０ａを旋回可能とする場合には、上部フランジ部３ａｂの一部乃至全部、又は下部フランジ２０ａａの一部乃至全部を、二重フランジ構造とし、間にベアリングを配置する等して、この二重フランジ構造の一方が他方に対して旋回可能にしておくことで容易に旋回可能な構造を形成できる。
【００６３】
次に、図２又は図４の状態から図１又は図３の状態に移行するには、搬送用基地３側の気密を保持したままで、油圧シリンダ２０ｄを伸展し、下部フランジ部２０ａａを引き上げる。この下部フランジ部２０ａａの引き上げにより、仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄに挿入され、その一方で、液溜まり部２０ｂｄを兼用する仕切り部２０ｂｄ（又は、仕切り板２０ｂｂａ）が液溜まり部２０ｃｄに挿入される深さＬｂｃが減少する。仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂに挿入されると、内部と外部との気密が保持された状態となる。そして、更に、下部フランジ部２０ａａを引き上げて、下部フランジ部２０ａａを上部フランジ部３ａｂに当接させた時点で、下部フランジ部２０ａａの引き上げを停止する。必要に応じて、接続上部３ａと接続下部２０ａとを固定する作業、例えば、下部フランジ部２０ａａと上部フランジ部３ａｂとの締結作業を行う。なお、この固定作業を行わなくても、仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂに挿入されて気密性を保持しているので、作業性を考えて、簡単な固定作業で済ましたり、旋回可能とする場合等では固定しないで荷役作業を行う。
【００６４】
この状態では、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０は、搬送用基地３と気密状態を維持しながら接続された状態になっている。そして、垂直伸縮搬送部５０を荷役対象の船倉２ａ側に接続し、この部分でも気密を保持する。搬送用基地３側及び上部搬送部２０側の気密扉に挟まれた接続部内部の空気を不活性ガスによって置換した後、搬送用基地３側及び上部搬送部２０側の気密扉を開放し、また、必要に応じて、船倉２ａ〜上部搬送部２０の間において気密扉を開放することにより、搬送用基地３、接続上部３ａ、接続下部２０ａ、上部搬送部２０、垂直搬送部４０、下部搬送部３０、垂直伸縮搬送部５０、船倉２ａが気密状態を保持しながら連通することになる。
【００６５】
次に、本発明の第２の実施の形態の接続部３Ａａ、２０Ａａについて説明する。図５及び図６に示すように、搬送用基地３の接続上部３Ａａと、上部搬送部２０の接続下部２０Ａａは、次のように構成される。
【００６６】
接続上部３Ａａは、上方の筒状体３ａａと下方の筒状体３ｂと油圧シリンダ（アクチュエータ）３ｃａとから構成され、この上方の筒状体３ａａと油圧シリンダ６３ｃａは、搬送用基地３に固定されている。つまり、上方の筒状体３ａａは搬送用基地３の下面側に突出して設けられる。また、この筒状体３ａａの内周側にカバー３ａｃを設け、筒状体３ａａの壁面の下部で仕切り部３ａｄを形成する。
【００６７】
下方の筒状体３ｂは、外周壁３ｂａと内周壁３ｂｂとで構成される二重壁構造とその底部３ｂｃと、底部２０ｂｃより上方で外周壁３ｂａに設けられた上部フランジ部３ｂｉとからなる。この二重壁構造とその底部２０ｂｃにより、上部フランジ部３ｂｉの内周側に液溜まり部３ｂｄを設ける。この上部フランジ部３ｂｉは、油圧シリンダ３ｃａの下端側に固定され、油圧シリンダ３ｃａの伸縮により上下移動する。この液溜まり部３ｂｄに液封用の液体Ｂを供給するために、液体補充タンク３ｂｇが配管３ｂｈにより液溜まり部３ｂｄに接続される。なお、この液溜まり部３ｂｄは、接続下部２０Ａａの液溜まり部２０ｂｄに対しては仕切り部としての役割を果たす。
【００６８】
そして、下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄに、上方の筒状体３ａａの仕切り部３ａｄが挿入される。言い換えれば、これらの複数の筒状体３ａａ、３ｂを一部重複させて上下方向に連続して配置する。これらの筒状体３ａａ、３ｂの相互の重複部分の長さＬａｂ、言い換えれば、挿入深さＬａｂを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さＬＡａを変化させる。この上下方向の長さＬＡａの変化は油圧シリンダ３ｃａの伸縮により行う。
【００６９】
一方、接続下部２０Ａａは、外周壁２０ｂａと内周壁２０ｂｂとで構成される二重壁構造とその底部２０ｂｃとからなる液溜まり部２０ｂｄを有した筒状体２０ｂで構成され、この筒状体２０ｂは、その上端には下部フランジ部２０ａａが設けられ、その下端は上部搬送部２０のケーシングに固定されている。図５及び図６の構成では、底部２０ｂｃは上部搬送部２０のケーシングの一部で構成される。この液溜まり部２０ｂｄに液封用の液体Ｂを供給するために、液体補充タンク２０ｂｇが配管２０ｂｈにより液溜まり部２０ｂｄに接続される。
【００７０】
そして、２つの筒状体３ａａ、３ｂｃの重複部分と、上部フランジ部３ｂｉと下部フランジ部２０ａａとの接続部分において、次のような液封による気密構造が設けられる。
【００７１】
２つの筒状体３ａａ、３ｂの重複部分においては、上方の筒状体３ａａの仕切り部３ａｄを、下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄに挿入し、この液溜まり部３ｂｄを内周側室３ｂｅと外周側室３ｂｆに分けると共に、内周側室３ｂｅと外周側室３ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成し、この液溜まり部３ｂｄに入れた液体Ｂによって、内周側室３ｂｅの上部と外周側室３ｂｆの上部との間を液封により気密にする。この構成により、２つの筒状体３ａａ、３ｂで形成した伸縮部において、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとの切り離し及び接続を容易に行うことができる。
【００７２】
なお、この筒状体の重複は、３つ以上の筒状体においても同様に形成することができるが、上方側の筒状体の仕切り部が下方側の液溜まり部から抜け出すことが無いように、重複量の最大値を規制するようにチェーン等の規制部材を設ける。
【００７３】
また、筒状体の数が増加し、仕切り部を液溜まり部で兼用していくと、仕切り部の幅が増加していくので、図７及び図８の他の例で示すように、液溜まり部３ｂｄで仕切り部を兼用せずに、液溜まり部３ｂｄの下側に内周壁３ｂｂの延長の仕切り板等で形成される仕切り部３ｂｂａを設けることにより、仕切り部の幅を狭くすることができる。この場合は、液溜まり部３ｂｄが浅くなるので、伸展時の重複部分Ｌａｂが小さくなり易いので、内圧と外圧との差が小さく、また、圧力変動も小さい場合に適している。
【００７４】
この接続部分においては、接続上部３Ａａに設けた液溜まり部３ｂｄで兼用される仕切り部３ｂｄ、又は、液溜まり部３ｂｄの下側に設けられた仕切り部３ｂｂを、接続下部２０Ａａの筒状体２０ｂに設けた液溜まり部２０ｂｄに挿入し、この液溜まり部２０ｂｄを内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆに分けると共に、内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成する。これにより、液溜まり部２０ｂｄに入れた液体ＢのＵ字管効果によって、内周側室２０ｂｅの上部と外周側室２０ｂｆの上部との間を液封により気密にする。
【００７５】
なお、接続上部３ａと接続下部２０ａの形状や、移動方向や、液封用の液体Ｂや、旋回機構等は、第１の実施の形態と同様である。
【００７６】
次に、この接続部３Ａａ、２０Ａａにおける切り離しと接続について説明する。図５又は図７に示すような接続状態では、仕切り部３ａｄが液溜まり部３ｂｄに挿入され、液溜まり部３ｂｄで兼用される仕切り部３ｂｄが液溜まり部２０ｂｄに挿入され、２ヶ所で液封による気密保持が行われている。
【００７７】
この図５又は図７の状態から図６又は図８の状態に移行するには、第１の実施の形態と同様にして、接続上部３Ａａと、接続下部２０Ａａとを大気開放にしてよい状態にする。この状態になったら、必要に応じて、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとの間の固定を解除してから、油圧シリンダ３ｃａを短縮し、上部フランジ部３ｂｉを引き上げて、下部フランジ部２０ａａから切り離す。この上部フランジ部３ｂｉの引き上げにより、液溜まり部３ｂｄを兼用する仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄから抜き出され、その一方で、仕切り部３ａｄが液溜まり部３ｂｄに挿入される深さＬａｂが減少する。仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂから抜き出されると、内部と外部との気密が解除され、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとは分離し、大気開放状態となる。そして、更に、上部フランジ部３ｂｉを引き上げて、仕切り部３ｂｄが下部フランジ部２０ａａ及び内周壁２０ｂｂの上端より高くなった時点で、上部フランジ部３ｂｉの引き上げを停止する。
【００７８】
この状態では、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０は、搬送用基地３から切り離された状態になっている。そして、上部搬送部２０側において、図示しない気密扉を閉鎖して、上部搬送部２０の気密を保持し、上部搬送部２０側から接続下部２０ａに可燃性ガスなどが流出しないようにして、垂直伸縮搬送部５０と船倉２ａとを切り離す。この切り離し状態で、次の荷役対象となっている船倉２ａ又は搬送用基地３まで移動する。
【００７９】
次に、図６又は図８の状態から図５又は図７の状態に移行するには、荷役対象の搬送用基地３の接続上部３Ａａに対向する位置まで、上部搬送部２０の接続下部２０Ａａを移動させる。その後、搬送用基地３側の気密を保持したままで、油圧シリンダ３ｃａを縮小し、上部フランジ部３ｂｉを引き下げる。この上部フランジ部３ｂｉの引き下げにより、液溜まり部３ｂｄを兼用する仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄに挿入され、その一方で、仕切り部３ａｄが液溜まり部３ｂｄに挿入される深さＬａｂが増加する。仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂに挿入されると、内部と外部との気密が保持された状態となる。そして、更に、上部フランジ部３ｂｉを引き下げて、上部フランジ部３ｂｉを下部フランジ部２０ａａに当接させた時点で、上部フランジ部３ｂｉの引き下げを停止する。必要に応じて、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとを固定する作業を行う。なお、この固定作業を行わなくても、仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂに挿入されて気密性を保持しているので、作業性を考えて、簡単な固定作業で済ましたり、旋回可能とする場合等、全く固定しないことも考えられる。
【００８０】
この状態では、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０は、搬送用基地３と気密状態を維持しながら接続された状態になっている。そして、垂直伸縮搬送部５０を荷役対象の船倉２ａ側に接続し、この部分でも気密を保持する。搬送用基地３側及び上部搬送部２０側の気密扉に挟まれた接続部内部の空気を不活性ガスによって置換した後、搬送用基地３側及び上部搬送部２０側の気密扉を開放し、また、必要に応じて、船倉２ａ〜上部搬送部２０の間において気密扉を開放することにより、搬送用基地３、接続上部３Ａａ、接続下部２０Ａａ、上部搬送部２０、旋回部を有する垂直搬送部４０、下部搬送部３０、垂直伸縮搬送部５０、船倉２ａが気密状態を保持しながら連通することになる。
【００８１】
次に、バラ積み貨物荷役装置１を構成する垂直搬送部４０と垂直伸縮搬送部５０について、少し詳細に説明しておく。
【００８２】
垂直搬送部４０は、図１１及び図１２に示すように、旋回上部４１と旋回下部４２とで構成され、旋回上部４１の下に旋回下部４２を旋回可能に接続した旋回部に、液封による気密構造を設けて構成される。この液封による気密構造も、接続上部３ａ、３Ａａと接続下部２０ａ、２０Ａａと同様な気密構造であり、旋回上部４１は円筒壁４１ａを有して形成され、その中間部には、フランジ部４１ｂが設けられ、その下端側には、円筒等で形成される仕切り部４１ｃが設けられる。一方、旋回下部４２は、円筒形状の外周壁４２ａと内周壁４２ｂとこの二重壁の間の底部４２ｃとで形成される液溜まり部４２ｄを有して構成される。更に、バラ積み貨物Ａが、次に述べる旋回下部４２の内周側室４２ｅに入ることを防ぐために、円筒壁４１ａの内側の適当な位置に、下側が狭くなる円錐形状等に形成されるカバー４１ｄや布状のカバー等が設けられる。
【００８３】
また、この液溜まり部４２ｄに、仕切り部４１ｃを挿入し、内周側室４２ｅと外周側室４２ｆに分ける。それと共に、内周側室４２ｅと外周側室４２ｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。そして、この液溜まり部４２ｄに入れた液体Ｂによって、内周側室４２ｅの上部と外周側室４２ｆの上部との間を液体ＢのＵ字管効果で液封により気密にする。
【００８４】
更に、液封用の液体Ｂの蒸発や漏れ等による減少を自動的に補うため、液体補充タンク４２ｈと配管４２ｉにより液溜まり部４２ｄに液封用の液体Ｂを供給できるように構成する。この液体Ｂや液体Ｂの供給や液溜まり部４２ｄ内の液面高さのモニター等は垂直伸縮搬送部５０と略同様である。
【００８５】
この旋回部５の気密構造により、液封による気密構造を設けているので、旋回上部４１と旋回下部４２とが相対的に旋回しても、容易に、気密性を維持でき、小さな開口部だけでなく、大きな開口部であっても、気密性を定常的に確保することができる。
【００８６】
そして、外周側室４２ｆの液面より上方の空間に、窒素ガス等の不活性ガス（イナートガス）Ｃを入れておくことにより、万一、可燃性ガスが漏れた場合でも、この空間部分やこの空間に繋がる近傍部分が、爆発雰囲気になるのを防止することができるので、より安全性を増すことができる。
【００８７】
なお、二重壁の間の底部４２ｃは、気密性を保つのに充分な深さを液溜まり部４２ｄで確保できればよく、必ずしも、図示しているように下部搬送部３０のケース（筐体）と同じレベルにする必要はない。
【００８８】
また、旋回するための旋回部５の機構としては、例えば、旋回上部４１の上部フランジ部４１ｂと、旋回下部４２の下部フランジ部４２ｇとの間にベアリング４３を配置し、図示しないモータとギヤ等の機構により、旋回下部４２に対して旋回力を与える。なお、下部搬送部３０の重量は、図示しない構成により支持台車１０で支持したり、上部搬送部２０から吊り下げて支持したりすることができる。この支持は周知の技術により容易に行うことができる。この構成により、図１１及び図１２に示す旋回面４３ａを境にして、矢印より下、即ち、下部フランジ部４２ｂ以下の部分が、旋回面４３ａより上の上部フランジ部４１ｂとの間で矢印で示すように相対的に旋回可能となる。
【００８９】
垂直伸縮搬送部５０は、図１３及び図１４に示すように、複数（図１３及び図１４では３個）の筒状体５１、５２、５３から構成され、これらの複数の筒状体５１、５２、５３を一部重複させて上下方向に連続して配置する。これらの筒状体５１、５２、５３の相互の重複部分の長さＬ１２、Ｌ２３、言い換えれば、仕切り部５１ａの液溜まり部５２ｂへの挿入深さＬ１２、Ｌ２３を変化させることにより、筒状体の全体としての垂直伸縮搬送部５０の上下方向の長さＬｔを変化させる。この垂直伸縮搬送部５０の上端は、最上方の筒状体５１に設けられたフランジ部５１ｂとなっており、図９に示す下部搬送部３０に接続される。一方、垂直伸縮搬送部５０の下端は、最下方の筒状体５３に設けられたフランジ部５３ｆとなっており、船倉２ａ側に接続される。
【００９０】
この重複部分においても、接続上部３ａと接続下部２０ａと同様な液封による気密構造を設ける。最上方の筒状体５１と中間の筒状体５２との接続部言い換えれば重複部分において、最上方の筒状体５１の下端側の仕切り部５１ａを、中間の筒状体５２に設けた液溜まり部５２ｂに挿入し、この液溜まり部５２ｂを内周側室５２ｂａと外周側室５２ｂｂに分ける。それと共に、内周側室５２ｂａと外周側室５２ｂｂの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。この液溜まり部５２ｂに入れた液体Ｂによって、内周側室５２ｂａの上部と外周側室５２ｂｂの上部との間を液封により気密にする。
【００９１】
この最上方の筒状体５１の下端側の仕切り部５１ａは、筒状体５１の壁面５１ａの下部と兼用する。また、中間の筒状体５２の液溜まり部５２ｂは外周壁５２ａａと内周壁５２ａｂと底部５２ａｃとで形成される二重管構造によって構成する。そして、この中間の筒状体５２の二重管構造で構成された液溜まり部５２ｂに、最上方の筒状体５１の下端側の仕切り部５１ａが挿入され、この液溜まり部５２ｂに液体Ｂが入れられると、この液溜まり部５２ｂで形成される液体ＢのＵ字管効果により気体の封入を行う。
【００９２】
また、中間の筒状体５２と最下方の筒状体５３との重複部分では、中間の筒状体５２の液溜まり５２ｂ部を仕切り部５２ａとしても兼用し、この中間の筒状体５２の液溜まり部兼用の仕切り部５２ａを、最下方の筒状体５３の液溜まり部５３ｃに挿入し、最下方の筒状体５３の液溜まり部５３ｃを内周側室５３ｃａと外周側室５３ｃｂに分ける。それと共に、内周側室５３ｃａと外周側室５３ｃｂの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。この最下方の筒状体５３の液溜まり部５３ｃに入れた液体Ｂによって、内周側室５３ｃａの上部と外周側室５３ｃｂの上部との間を液封により気密にする。
【００９３】
なお、これらの筒状体５１、５２、５３は上方の仕切り部５１ａ、５２ａが下方の筒状体の液溜まり部５２ｂ、５３ｃに挿入できる構成であればよく、筒状体５１、５２、５３の断面形状は円形に限らず、楕円、多角形等であってもよい。また、この図１３及び図１４では３個の筒状体で構成される垂直伸縮搬送部５０について説明したが、２個の場合も、３個以上の場合も同様にして構成することができる。また、筒状体の数が増加し、仕切り部を液溜まり部で兼用していくと、仕切り部の幅が増加していくので、液溜まり部の下側に仕切り板等で形成される仕切り部を設けることにより、仕切り部の幅を狭く重複部分を適宜設けることが好ましい。
【００９４】
この構成によれば、液封であるため、上方の筒状体５１（又は５２）と下方の筒状体５２（又は５３）とが相対的に上下移動しても、容易に、気密性を維持できるので、小さな開口部だけでなく、大きな開口部であっても、気密性を定常的に確保することができる。また、液封部分が上方の筒状体５１（又は５２）と下方の筒状体５２（又は５３）の接続部分の外周側の部分のみで収まるので、構造を単純化することができる。しかも、上下伸縮のための構造と兼用することができる。また、上下移動による伸縮部分における気密のための抵抗も液体の粘性による抵抗であるため、伸縮の上下速度が遅い場合には非常に小さくすることができる。更に、この重複部分Ｌ１２、Ｌ２３の幅方向の隙間を余裕を持たせることにより、波による船舶の横や前後方向の揺れ（ロール）や移動（スエイ、ヨウ）の動揺に対しても小さいものであれば吸収することができる。
【００９５】
また、液溜まり部５２ｂ、５３ｃに筒状体５１、５２、５３の内部を通過する天然ガスハイドレートペレット等の被搬送物Ａが入らないように、内周側室５２ｂａ、５３ｃａを覆うカバー５１ｃ、５２ｅを設けて、液溜まり部５２ｂ、５３ｃに、天然ガスハイドレートペレット等の被搬送物Ａが入って、気密機能を担う部分等に被搬送物Ａが挟まる等の不具合の発生を非常に簡単な構造で防止する。
【００９６】
更に、垂直伸縮搬送部５０の伸縮量による液溜まり部５２ｂ、５３ｃへの仕切り部５１ａ、５２ａの挿入量Ｌ１２、Ｌ２３の変化による液溜まり部５２ｂ、５３ｃの容積の変化分と、液封用の液体Ｂの蒸発や漏れ等による減少を自動的に補うため、液体補充タンク５２ｃ、５３ｄと配管５２ｄ、５３ｅにより、液溜まり部５２ｂ、５３ｃに液封用の液体Ｂを供給できるように構成する。この液体Ｂや液体Ｂの供給や液溜まり部５２ｂ、５３ｃ内の液面高さのモニター等は、接続上部３ａと接続下部２０ａと略同様である。
【００９７】
そして、上記のバラ積み貨物荷役装置１は、上記の接続部３ａ、２０ａ（又は、３Ａａ、２０Ａａ）を備えて構成されるので、バラ積み貨物荷役装置１の接続部３ａ、２０ａ（又は、３Ａａ、２０Ａａ）の気密性を確保できる。そのため、可燃性ガス等が発生しても、バラ積み貨物荷役装置１の外部に漏出することが無く、また、逆に外気がバラ積み貨物荷役装置１の内部に入ることも無い。従って、天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物Ａを搬送する場合に、外気と遮断しながら安全に搬送することができる。
【００９８】
また、上記の接続部３ａ、２０ａ（又は、３Ａａ、２０Ａａ）の気密保持方法について説明する。この気密保持方法では、接続上部３ａと接続下部２０ａを接続及び分離する接続部において、接続上部３ａ（又は３Ａａ）に設けた仕切り部３ａｄ（又は３ｂｄ、３ｂｂａ）を、接続下部２０ａ（又は２０Ａａ）に設けた液溜まり部２０ｂｄに挿入し、液溜まり部２０ｂｄを内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆに分けると共に、内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成する。そして、この液溜まり部２０ｂｄに入れた液体Ｂによって、内周側室２０ｂｅの上部と外周側室２０ｂｆの上部との間を液封により気密にする。そのため、接続上部３ａ（又は３Ａａ）と接続下部２０ａ（又は２０Ａａ）との切り離し及び接続が容易となる上に、接続状態では、気密性を確保でき、大きな開口部であっても、気密性を定常的に確保することができる。
【００９９】
更に、第１の実施の形態の接続下部２０ａにおいて、伸縮部を筒状体２０ｂ、２０ｃを２個以上設けて構成し、上方の筒状体２０ｂの上部に液溜まり部２０ｂｄを設けて、この液溜まり部２０ｂｄと下方の液溜まり部２０ｃｄに挿入される仕切り部２０ｂｄを兼用する。この仕切り部２０ｂｄの下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄへの挿入深さＬｂｃを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さＬａを変化させる。また、それと共に、この仕切り部２０ｂｄ（又は２０ｂｂａ）を、下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄに挿入して、この液溜まり部２０ｃｄを内周側室２０ｃｅと外周側室２０ｃｆに分けると共に、内周側室２０ｃｅと外周側室２０ｃｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。これにより、下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄに入れた液体Ｂによって、内周側室２０ｃｅの上部と外周側室２０ｃｆの上部との間を液封により気密にする。従って、２個以上の筒状体で形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部３ａと接続下部２０ａとの切り離し及び接続を容易に行うことができる。
【０１００】
あるいは、第２の実施の形態の接続上部３Ａａにおいて、伸縮部を筒状体３ａａ、３ｂを２個以上設けて構成し、上方の筒状体３ａａに仕切り部３ａｄを設け、この仕切り部３ａｄの下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄへの挿入深さＬａｂを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さＬＡａを変化させる。また、それと共に、この仕切り部３ａｄを、下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄに挿入して、この液溜まり部３ｂｄを内周側室３ｂｅと外周側室３ｂｆに分けると共に、内周側室３ｂｅと外周側室３ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。これにより、下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄに入れた液体Ｂによって、内周側室３ｂｅの上部と外周側室３ｂｆの上部との間を液封により気密にする。従って、２個以上の筒状体で形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとの切り離し及び接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【０１０１】
【図１】本発明に係る第１の実施の形態の接続部の気密及び伸縮構造の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図２】図１の接続部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【図３】本発明に係る第１の実施の形態の接続部の気密及び伸縮構造の他の例の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図４】図３の接続部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【図５】本発明に係る第２の実施の形態の接続部の気密及び伸縮構造の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図６】図５の接続部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【図７】本発明に係る第２の実施の形態の接続部の気密及び伸縮構造の他の例の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図８】図７の接続部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【図９】バラ積み貨物荷役装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図１０】バラ積み貨物荷役装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図１１】気密構造の旋回部を有する垂直搬送部の構造を模式的に示す側断面図である。
【図１２】図１１の旋回部の構造を模式的に示す側断面図である。
【図１３】垂直伸縮搬送部の気密及び伸縮構造の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図１４】図１３の垂直伸縮搬送部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【符号の説明】
【０１０２】
１ バラ積み貨物荷役装置
２ バラ積み貨物船
３ 搬送用基地
３ａ、３Ａａ 接続上部（接続部）
３ａａ 上方の筒状体
３ａｂ、３ｂｉ 上部フランジ部
３ａｃ カバー
３ａｄ 仕切り部
３ｂ 下方の筒状体
３ｂｄ 仕切り部（液溜まり部と兼用）
３ｃａ 油圧シリンダ（アクチュエータ）
５ 旋回部
２０ 上部搬送部
２０ａ、２０Ａａ 接続下部（接続部）
２０ａａ 下部フランジ部
２０ｂ 上方の筒状体
２０ｂｄ 液溜まり部（仕切り部と兼用）
２０ｃ 下方の筒状体
２０ｃｄ 液溜まり部
２０ｄ 油圧シリンダ（アクチュエータ）
３０ 下部搬送部
４０ 垂直搬送部
５０ 垂直伸縮搬送部
Ａ バラ積み貨物
Ｂ 液体
Ｌａ、ＬＡａ 上下方向の長さ
Ｌａｂ、Ｌｂｃ 挿入深さ（重複部分の長さ）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、必要に応じて切り離すことが求められる２つの搬送経路等を繋ぐ接続部において、接続及び切り離しが容易で、しかも、接続状態で気密を確保できる接続部の構造、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、天然ガスをハイドレート化して、この固体状の天然ガスハイドレート（ＮＧＨ）をバラ積み貨物として輸送することが考えられている。この天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生する固形貨物をバラ積み貨物としてバラ積み貨物船で運搬する際には、これらの可燃性ガスを発生する固形物を陸上の基地とバラ積み貨物船との間で荷役を行うための専用のバラ積み貨物荷役装置が必要となる。
【０００３】
このようなバラ積み貨物荷役装置に関して、メタンガスハイドレートをドライの状態で揚げ荷役する装置として、メタンガスハイドレートペレットを、フレキシブルな吸入管からメタンガスを排気ポンプで排気することにより吸引すると共に、排気口の手前のノズル部で加速されたメタンガスハイドレートペレットを、開閉自在隔膜を通過したところで、搬送用メタンガス噴出ノズルから高圧のメタンガスを噴出して、管内搬送することにより、不凍液や低温液化ガス等の液体冷媒を使用しないで、運搬船や貯蔵タンクからドライの状態で荷揚げ及び搬送するメタンガスハイドレートペレット荷揚げ装置が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００４】
しかしながら、この装置は、メタンガスの気流によりメタンガスハイドレートを吸引及び搬送するものであり、管内固気混合輸送であるため、船倉内の集荷等の非常に短い距離の搬送には適しているが、比較的長い距離の搬送には、使用するメタンガス量が多くなり、適しているとは言えない。
【０００５】
また、洋上オフローディング装置を、第１洋上浮体側から固形物を受ける垂直コンベアと、この垂直コンベアで上昇された固形物を受け入れ部で受けて先端部に移送する水平コンベアと、この水平コンベアの先端部近傍に配置され、固形物を落下させながら第２洋上浮体に導くシューターとから構成すると共に、シューターを第１洋上浮体と第２洋上浮体の間の相対変位を吸収する伸縮性を備えた蛇腹構造で形成して、天然ガスハイドレートペレットなどの固体物を、洋上生産設備や輸送船等の複数の洋上浮体間で、海象によって生じる洋上浮体間における相対変位を吸収しながら、移送することも提案されている（例えば、特許文献２参照。）。
【０００６】
しかしながら、この装置は、複数の洋上浮体の間における荷役のように比較的大きな相対変位を行う場合には適しているが、荷役装置が大規模化するため、荷役用の岸壁に着岸した貨物船と陸上の基地との間における荷役のように、比較的小さな相対変位しか生じない場合に必ずしも最適なものとは言えない。
【０００７】
そこで、本発明者らは、このバラ積み貨物荷役装置に関して、陸上の搬送用基地と貨物船との間のバラ積み貨物荷役装置として、図９及び図１０に示すような装置を考えた。このバラ積み貨物荷役装置１は、陸上４の搬送用基地３からバラ積み貨物船２の船倉２ａに天然ガスハイドレートＡを積み荷役する際には、荷役対象の船倉２ａまで陸上４のレール４ａ上を走行する支持台車１０で移動する。その後、最寄の搬送用基地３の接続上部３ａに、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０の接続下部２０ａを接続し、天然ガスハイドレートＡを搬送用基地３から上部搬送部２０、垂直搬送部４０、下部搬送部３０、垂直伸縮搬送部５０を経由して船倉２ａに搬送する。この積み荷役の場合、上部搬送部２０と下部搬送部３０の水平移動は水平コンベア等を使用し、垂直搬送部４０と垂直伸縮搬送部５０の下方向移動は自然落下や垂直コンベア等を使用する。また、この時、船倉２ａに平面的に均等に積み込むために、垂直搬送部４０を回転軸にして下部搬送部３０を水平面内で図１０の矢印方向に旋回させる。
【０００８】
そして、その船倉２ａが搭載量に達したら、荷役対象を次の船倉２ａにする。この次の船倉２ａが上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回範囲内にある場合は、搬送用基地３を変えず、そのまま、上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回のみで、船倉２ａを変更して積み荷役を行う。次の船倉２ａが上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回範囲内にない場合は、搬送用基地３の接続上部３ａから上部搬送部２０の接続下部２０ａを離脱し、次の船倉２ａまで台車１０をレール４ａ上を走行させて、最寄の搬送用基地３に、改めて上部搬送部２０を接続して、同様な積み荷役を行う。また、揚げ荷役では、天然ガスハイドレートＡを船倉２ａから陸上へ搬送するために、積み荷役同様に水平搬送部と垂直搬送部を適当に組み合わせた装置によって行われる。
【０００９】
このように天然ガスハイドレートをバラ積み貨物として扱うと、天然ガスハイドレートから可燃性ガスが発生するので、バラ積み貨物荷役装置１の搬送経路全体において気密を保持して、可燃性ガスの外部への漏出や内部への空気の流入を防止する必要がある。特に、搬送用基地３の接続上部３ａと、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０の接続下部２０ａとの接続に関しては、必要に応じて適宜切り離すことが求められるため、簡便な分離（切り離し）及び接続と、接続状態における気密の確保が必要となる。
【００１０】
しかしながら、この開口部が小さな開口であれば、気密機能と分離及び接続機能とを並立させることも比較的容易であるが、バラ積み貨物荷役装置１の接続部２０ａの天然ガスハイドレートが上下方向に通過する部分の直径を約１ｍ以上に想定しているため、この大径となる接続部において気密性を確保することが困難となるという問題がある。
【特許文献１】特開２００４−１３１２７２号公報
【特許文献２】特開２００６−１５９１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物用のバラ積み貨物荷役装置等の接続部において、気密機能と分離／接続機能を比較的簡単な構成で確保することができる接続部の構造、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記の目的を達成するための本発明の接続部の構造は、接続上部と接続下部を接続及び分離する接続部であって、該接続部に液封による気密構造を設けて構成される。なお、この液封とは液体を封じ込めることではなく、液体による気体封入、言い換えれば、液溜まり部に溜まった液体により気密性を保つことを意味する。
【００１３】
この構成によれば、液封であるため、比較的簡単な構造で、接続上部と接続下部の接続に際して、簡便かつ容易に、気密性を維持できるので、小さな開口部だけでなく、大きな開口部であっても、接続状態では気密性を定常的に確保することができる。また、液封部分が接続上部と接続下部との接続部分の外周側の部分のみで収まるので、構造を単純化することができる。また、切り離し及び接続に際しての上下移動における気密のための抵抗も液体の粘性による抵抗であるため、上下移動速度が遅い場合には非常に小さくすることができる。
【００１４】
上記の接続部の構造で、前記接続部において、接続上部に設けた仕切り部を、接続下部に設けた液溜まり部に挿入し、前記液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にするように構成すると、比較的簡単な構成で液封による気密を構成することができる。
【００１５】
なお、この接続上部の仕切り部が、接続下部の液溜まり部に挿入できる構成であればよく、仕切り部と液溜まり部の断面形状は、相互の回転移動を許す場合には円形とするが、回転移動を考慮しなくてもよい場合は、円形に限らず、楕円、多角形等、任意の形状であってもよい。また、液体を用いるため、切り離し及び接続のための移動方向は鉛直方向（上下方向）であることが好ましいが、液溜まり部の形状や仕切り部の形状を工夫することにより、鉛直方向からある程度傾斜した方向に対して伸縮する場合にも適用することができる。
【００１６】
また、この構成では、接続下部に設けられる液溜まり部は二重管と底部との構造によって容易に形成でき、接続上部の仕切り部は、筒状体の壁面の下端側等で容易に形成できる。そして、この接続下部の二重管で形成された液溜まり部に、接続上部の仕切り部が挿入され、この液溜まり部に液体が入れられると、この液溜まり部で形成される液体のＵ字管効果により気体の封入を行うことができる。
【００１７】
また、上記の接続部の構造で、前記接続上部又は前記接続下部において、筒状体を２個以上設けた伸縮部を設け、上方の筒状体に設けた仕切り部を、下方の筒状体の液溜まり部に挿入し、前記下方の筒状体の液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記下方の筒状体の液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすると共に、前記仕切り部の前記下方の筒状体の液溜まり部への挿入深さを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さを変化させるように構成すると、２個以上の筒状体で形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部と接続下部との切り離し及び接続を容易に行うことができる。しかも、上下伸縮のための構造と気密保持の構造とを兼用することができ、接続上部と接続下部の距離を容易に調整できる。
【００１８】
また、上記の接続部の構造で、前記伸縮部において、上方の筒状体の液溜まり部で、下方の筒状体の液溜まり部に挿入される仕切り部を兼用すると、構造をより単純化することができる。
【００１９】
更に、上記の接続部の構造で、前記接続下部に前記伸縮部を設けた場合において、前記接続下部の最上方の筒状体に下部フランジ部を設け、該下部フランジ部及び前記最上方の筒状体を上下移動するアクチュエータを設けると共に、前記接続上部に上部フランジ部を設けて、接続時には、前記アクチュエータを伸ばして前記上部フランジ部に前記下部フランジ部を当接させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記最上方の筒状体に設けた液溜まり部に挿入して、前記接続下部を前記接続上部に接続し、分離時には、前記アクチュエータを縮めて前記上部フランジ部から前記下部フランジ部を分離させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記最上方の筒状体の上部に設けた液溜まり部から抜き出して、前記接続下部を前記接続上部から分離するように構成すると、油圧シリンダ等のアクチュエータの伸縮により、仕切り部が液溜まり部の液体からに抜け出るまでは気密を維持しながら、上部フランジ部と下部フランジ部とを当接したり、切り離したりすることが容易にできる。
【００２０】
あるいは、上記の接続部の構造で、前記接続上部に前記伸縮部を設けた場合において、前記接続上部の最下方の筒状体に上部フランジ部を設け、該上部フランジ部及び前記最下方の筒状体を上下移動するアクチュエータを設けると共に、前記接続下部に下部フランジ部を設けて、接続時には、前記アクチュエータを伸ばして前記下部フランジ部に前記上部フランジ部を当接させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部に挿入して、前記接続上部を前記接続下部に接続し、分離時には、前記アクチュエータを縮めて前記下部フランジ部から前記上部フランジ部を分離させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部から抜き出して、前記接続下部を前記接続上部から分離するように構成すると、油圧シリンダ等のアクチュエータの伸縮により、仕切り部が液溜まり部の液体からに抜け出るまでは気密を維持しながら、上部フランジ部と下部フランジ部とを当接したり、切り離したりすることが容易にできる。
【００２１】
また、上記の接続部の構造において、前記液溜まり部に前記接続上部を通る被搬送物が入らないように、前記内周側室を覆うカバーを設けると、液溜まり部に、天然ガスハイドレートペレット等の被搬送物が入って、気密機能を担う部分や切り離しや接続時における可動部分に被搬送物が挟まる等の不具合の発生を非常に簡単な構造で防止できる。つまり、複雑な構造や制御を有しない簡単なカバーによって、接続状態では気密を常時保つことが可能となる。
【００２２】
そして、液溜まり部に入れる液封用の液体としては、不凍液や海水や水等が考えられる。なお、海水又は水を使用すると、簡便に利用できる上、万一、液封用の液体が漏れ出しても、海域や水域の汚染を回避することができ、また、液封用液体を確保するためのタンクが不要となるので、環境汚染の問題や液封用液体の貯蔵の問題も回避できる。
【００２３】
通常は、伸縮部の伸縮量による液溜まり部への仕切り部の挿入量の変化による液溜まり部の容積の変化分と、液封用の液体の蒸発や漏れ等による減少分とを自動的に補うため、液体補充タンクを液溜まり部に外からパイプで接続し、液体の液面高さをモニターしながら液体を補充する。これにより、液溜まり部内の液体量を常に適切に保つと共に、液体の液面高さの異常な上昇又は異常な下降の検知で内部圧力の異常を検知する。
【００２４】
また、内圧と外圧（大気圧）との圧力差が大きい場合には、比重の大きい液体を用いることが好ましく、内圧の圧力変動が大きい場合には粘性の大きな液体を用いて、液位の変動を小さくすることが好ましい。また、火災時に液封用の液体が蒸発、燃焼することは好ましくないため、蒸発し難い液体を用いたり、不燃性の液体を用いたり、液体表面に蒸発や燃焼を防ぐ別種の液体を注入するなど、液体を多層に設けてもよい。
【００２５】
また、上記の接続部の構造において、前記液溜まり部に入れた液封用の液体を循環させると、天然ガスハイドレート等の低温の貨物の場合であっても、液封用の液体が凍ることを防止できる。この循環においては、循環用配管と循環ポンプとにより、新たな液体を供給して循環させてもよく、液溜まり部と液溜まり部の外部に当たる熱交換部との間を再循環させてもよい。なお、この再循環では、循環用配管が熱交換部を兼用してもよい。
【００２６】
また、上記の接続部の構造において、前記接続下部を、前記接続上部に対して旋回可能に構成すると、容易に気密を保持しながら、旋回することができる。
【００２７】
そして、上記の目的を達成するための本発明のバラ積み貨物荷役装置は、上記の接続部の構造を備えて構成される。この構成により、バラ積み貨物荷役装置の接続部の気密性を確保できると共に、容易に切り離し及び接続できる。そのため、接続状態においては、可燃性ガス等が発生しても、バラ積み貨物荷役装置の外部に漏出することが無く、また、逆に外気がバラ積み貨物荷役装置の内部に入ることも無い。従って、このバラ積み貨物荷役装置で、天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物を搬送する場合に、外気と遮断しながら、安全に搬送することができる。
【００２８】
なお、上記の本発明の接続部の構造は、天然ガスハイドレートペレット等のバラ積み貨物を搬送する場合に使用するバラ積み貨物荷役装置に最適な構造であるが、それ以外の装置等であってもよく、接続部で気密を要するような部分に適用できるものである。
【００２９】
そして、上記の目的を達成するための本発明の接続部の気密保持方法は、接続上部と接続下部を接続及び分離する接続部において、前記接続上部に設けた仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部に挿入し、前記液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にする方法である。この方法によれば、液封であるため、接続上部と接続下部との切り離し及び接続が容易となる上に、接続状態では、気密性を確保でき、大きな開口部であっても、気密性を定常的に確保することができる。
【００３０】
また、上記の接続部の気密保持方法で、前記接続上部又は前記接続下部において、伸縮部を筒状体を２個以上設けて構成し、上方の筒状体の仕切り部の下方の筒状体の液溜まり部への挿入深さを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さを変化させると共に、前記上方の筒状体の仕切り部を、前記下方の筒状体の液溜まり部に挿入して、前記下方の筒状体の液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて、前記下方の筒状体の液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすると、２個以上の筒状体で形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部と接続下部との切り離し（分離）及び接続を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【００３１】
本発明の接続部の構造、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法によれば、非常に簡単な構成で接続部における気密性と伸縮性を確保することができる。これらの構成では、液封による気密構造を採用しているので、静的な装置となるため、緻密な制御や複雑なメンテナンス等が不要となる。更に、液封部分を接続部の外周近傍のみに収めることができ、また、気密のための構造を分離用の伸縮のための構造と兼用することができるので、接続部の構造を著しく単純化することができる。
【００３２】
従って、天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物用のバラ積み貨物荷役装置等の接続部において、気密機能と分離及び接続機能を比較的簡単な構成で確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３３】
以下、図面を参照して本発明に係る接続部の構造、バラ積み貨物荷役装置及び接続部の気密保持方法の実施の形態について説明する。図１〜図４に、本発明の第１の実施の形態の接続部３ａ、２０ａの気密及び伸縮構造を示し、図５〜図８に、第２の実施の形態の接続部３Ａａ、２０Ａａの気密及び伸縮構造を示す。また、図９及び図１０に、本発明の実施の形態のバラ積み貨物荷役装置１を示し、図１１及び図１２に旋回部５を有する垂直搬送部４０を示し、図１３及び図１４に、垂直伸縮搬送部５０を示す。
【００３４】
最初に、本発明の実施の形態のバラ積み貨物荷役装置１について説明する。図９及び図１０に示すように、このバラ積み貨物荷役装置１は、天然ガスハイドレート（ＮＧＨ）等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物Ａを、陸上４の搬送用基地３とバラ積み貨物船２の船倉２ａとの間で、積み荷役と揚げ荷役等の荷役するための装置である。
【００３５】
このバラ積み貨物荷役装置１では、積み荷役の際には、荷役対象の船倉２ａまで陸上４のレール４ａ上を車輪１１で走行する支持台車１０で移動する。その後、最寄の搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａに、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０の接続下部２０ａ、２０Ａａを接続し、天然ガスハイドレートＡを、搬送用基地３から接続上部３ａ、３Ａａ、接続下部２０ａ、２０Ａａ、上部搬送部２０、垂直搬送部４０、下部搬送部３０、垂直伸縮搬送部５０を経由して船倉２ａに搬送する。
【００３６】
この積み荷役の場合、上部搬送部２０と下部搬送部３０の水平移動は、図１１に示すように、上部搬送部２０の第１の搬送装置（水平コンベア）２１や、下部搬送部３０の第２の搬送装置（水平コンベア）３１等を使用し、垂直搬送部４０と垂直伸縮搬送部５０の下方向移動は自然落下や垂直コンベア等を利用する。この時、垂直搬送部４０を回転軸にして下部搬送部３０を水平面内で旋回させて、船倉２ａに平面的に均等に積み込む。
【００３７】
この船倉２ａが搭載量に達したら、荷役対象を次の船倉２ａにする。この次の船倉２ａが上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回範囲内にある場合は、搬送用基地３を変えず、そのまま、上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回のみで、船倉２ａを変更して積み荷役を行う。次の船倉２ａが上部搬送部２０と下部搬送部３０の旋回範囲内にない場合は、搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａから上部搬送部２０の接続下部２０ａ、２０Ａａを離脱し、次の船倉２ａまで支持台車１０を車輪１１によりレール４ａ上を走行させて、最寄の搬送用基地３に、改めて上部搬送部２０を接続して、同様な積み荷役を行う。
【００３８】
また、揚げ荷役では、天然ガスハイドレートＡを船倉２ａから陸上へ搬送するために、積み荷役同様に水平搬送部と垂直搬送部を適当に組み合わせた装置によって行われる。
【００３９】
次に、バラ積み貨物荷役装置１の構成について説明する。このバラ積み貨物荷役装置１は、上部搬送部２０と下部搬送部３０と、この上部搬送部２０と下部搬送部３０を連結する垂直搬送部４０と、下部搬送部３０から下に降りている垂直伸縮搬送部５０とを有して構成される。
【００４０】
上部搬送部２０は、陸上側の上側では、接続下部２０ａ、２０Ａａが、搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａと着脱可能に接続できるように構成され、海上側の下側では、垂直搬送部４０を介して下部搬送部３０に接続して構成される。この上部搬送部２０には水平ベルトコンベア等で形成される第１の搬送装置２１が配設される。また、下部搬送部３０は、陸上側の上側では垂直搬送部４０に接続し、海上側の下側では垂直伸縮搬送部５０に接続する。この下部搬送部３０には水平ベルトコンベアなどで形成される第２の搬送装置３１が配設される。更に、搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａに対して、接続下部２０ａ、２０Ａａが、接続状態で旋回可能に構成される。つまり、上部搬送部２０より先の部分が一体となって旋回できるように構成される。
【００４１】
次に本発明の第１の実施の形態の接続部３ａ、２０ａについて説明する。図１及び図２に示すように、搬送用基地３の接続上部３ａと、上部搬送部２０の接続下部２０ａは次にように構成される。
【００４２】
接続上部３ａは、搬送用基地３の下面側に突出する筒状体３ａａに上部フランジ部３ａｂを設けて構成され、搬送用基地３に固定されている。この筒状体３ａａの内周側に、カバー３ａｃを設けると共に、上部フランジ部３ａｂより下側に筒状体３ａａを延長して仕切り部３ａｄを設ける。このカバー３ａｃは、接続上部３ａを通る天然ガスハイドレートペレット等の被搬送物Ａが、後述する液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄに入らないように、内周側室２０ｂｅ、２０ｃｅを覆うように、下側が狭くなる円錐形状に形成したり、布状のカバーで形成したりして設ける。これにより、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄに被搬送物Ａが入って、気密機能を担う部分や切り離しや接続時における可動部分に被搬送物が挟まる等の不具合の発生を非常に簡単な構造で防止できる。
【００４３】
一方、接続下部２０ａは、上方の筒状体２０ｂと下方の筒状体２０ｃと油圧シリンダ（アクチュエータ）２０ｄとから構成され、この下方の筒状体２０ｃと油圧シリンダ２０ｄは、上部搬送部２０のケーシングに固定されている。
【００４４】
上方の筒状体２０ｂの上端に下部フランジ部２０ａａを設け、その内周側に液溜まり部２０ｂｄを設ける。この下部フランジ部２０ａａは油圧シリンダ２０ｄの上端側に固定され、油圧シリンダ２０ｄの伸縮により上下移動する。この液溜まり部２０ｂｄは、外周壁２０ｂａと内周壁２０ｂｂとで構成される二重壁構造とその底部２０ｂｃとからなる。この液溜まり部２０ｂｄに液封用の液体Ｂを供給するために、液体補充タンク２０ｂｇが配管２０ｂｈにより液溜まり部２０ｂｄに接続される。なお、この液溜まり部２０ｂｄは、下方の液溜まり部２０ｃｄに対しては仕切り部としての役割を果たす。
【００４５】
下方の筒状体２０ｃは、外周壁２０ｃａと内周壁２０ｃｂとで構成される二重壁構造とその底部２０ｃｃとからなる液溜まり部２０ｃｄを有して構成される。この底部２０ｃｃは図１及び図２の構成では、上部搬送部２０のケーシングの一部で構成される。この液溜まり部２０ｃｄに液封用の液体Ｂを供給するために、液体補充タンク２０ｃｇが配管２０ｃｈにより液溜まり部２０ｃｄに接続される。
【００４６】
そして、下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄに、上方の筒状体２０ｂの液溜まり部２０ｂｄで兼用される仕切り部２０ｂｄが挿入される。言い換えれば、これらの複数の筒状体２０ｂ、２０ｃを一部重複させて上下方向に連続して配置する。これらの筒状体２０ｂ、２０ｃの相互の重複部分の長さＬｂｃ、言い換えれば、挿入深さＬｂｃを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さＬａを変化させる。この上下方向の長さＬａの変化は油圧シリンダ２０ｄの伸縮により行う。
【００４７】
そして、上部フランジ部３ａｂと下部フランジ部２０ａａとの接続部分と、２つの筒状体２０ｂ、２０ｃの重複部分において、次のような液封による気密構造が設けられる。
【００４８】
この接続部分においては、接続上部３ａに設けた仕切り部３ａｄを、接続下部２０ａの上方の筒状体２０ｂに設けた液溜まり部２０ｂｄに挿入し、この液溜まり部２０ｂｄを内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆに分けると共に、内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成する。これにより、液溜まり部２０ｂｄに入れた液体ＢのＵ字管効果によって、内周側室２０ｂｅの上部と外周側室２０ｂｆの上部との間を液封により気密にする。
【００４９】
また、２つの筒状体２０ｂ、２０ｃの重複部分においては、上方の筒状体２０ｂの液溜まり部２０ｂｄを兼用する仕切り部２０ｂｄを、下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄに挿入し、この液溜まり部２０ｃｄを内周側室２０ｃｅと外周側室２０ｃｆに分けると共に、内周側室２０ｃｅと外周側室２０ｃｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成し、この液溜まり部２０ｃｄに入れた液体Ｂによって、内周側室２０ｃｅの上部と外周側室２０ｃｆの上部との間を液封により気密にする。この構成により、２つの筒状体２０ｂ、２０ｃで形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部３ａと接続下部２０ａとの切り離し及び接続を容易に行うことができる。
【００５０】
なお、この筒状体の重複は、３つ以上の筒状体においても同様に形成することができるが、上方側の筒状体の仕切り部が下方側の液溜まり部から抜け出すことが無いように、重複量の最大値を規制するようにチェーン等の規制部材を設ける。
【００５１】
また、筒状体の数が増加し、仕切り部を液溜まり部で兼用していくと、仕切り部の幅が増加していくので、図３及び図４の他の例で示すように、液溜まり部２０ｂｄで仕切り部を兼用せずに、液溜まり部２０ｂｄの下側に内周壁２０ｂｂの延長の仕切り板等で形成される仕切り部２０ｂｂａを設けることにより、仕切り部の幅を狭くすることができる。この場合は、液溜まり部２０ｂｄが浅くなり、伸展時の重複部分Ｌｂｃが小さくなり易いので、内圧と外圧との差が小さく、また、圧力変動も小さい場合に適している。
【００５２】
また、接続上部３ａと接続下部２０ａの形状は、接続上部３ａの仕切り部３ａｄが、接続下部２０ａの液溜まり部２０ｂｄに挿入できる構成であればよく、仕切り部３ａｄと液溜まり部２０ｂｄの水平断面形状は、相互の回転移動である旋回を許す場合には円形とする。なお、回転移動を考慮しなくてもよい場合は、円形に限らず、楕円、多角形等、任意の形状であってもよい。また、液体Ｂを用いるため、切り離し及び接続のための移動方向は鉛直方向（上下方向）であることが好ましいが、液溜まり部２０ｂｄの形状や仕切り部３ａｄの形状を工夫することにより、鉛直方向からある程度傾斜した方向に対して伸縮する場合にも適用することができるようになる。
【００５３】
そして、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄに入れる液封用の液体Ｂとしては、比重の大きい液体の利用が考えられるが、天然ガスハイドレートの荷役等で、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄが低温となる場合は、不凍液を使用したり、あるいは、海水や水を循環させたりする。海水又は水を使用すると、簡便に利用できる上、万一、液封用の液体Ｂが漏れ出しても、海域や水域の汚染を回避することができ、また、液封用液体Ｂを確保するためのタンクが不要となるので、環境汚染の問題や液封用液体の貯蔵の問題も回避できる。
【００５４】
更に、伸縮部の伸縮量Ｌｂｃによる液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄへの仕切り部３ａｄ、２０ｂｄの挿入よる液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄの容積の変化分と、液封用の液体Ｂの蒸発や漏れ等による減少を自動的に補うため、液体補充タンク２０ｂｇ、２０ｃｇから液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄに液封用の液体Ｂを供給する。
【００５５】
この液体Ｂの供給に際しては、液体補充タンク２０ｂｇ、２０ｃｇを適当な高さに設置することで、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄ内の液面高さをモニターし、液溜まり部２０ｂｄ、２０ｃｄ内の液量を適切な量として液位を適切な高さに維持するとともに、液体の液面高さの異常な上昇や異常な下降の検知で内部圧力の異常を検知する。
【００５６】
また、内圧と外圧（大気圧）との圧力差が大きい場合には、比重の大きい液体を用いることが好ましく、内圧の圧力変動が大きい場合には粘性の大きな液体を用いて、液位の変動を小さくすることが好ましい。また、火災時に液封用の液体が蒸発、燃焼することは好ましくないため、蒸発し難い液体を用いたり、不燃性の液体を用いたり、液体表面に蒸発や燃焼を防ぐ別種の液体を注入するなど、液体を多層に設けてもよい。
【００５７】
そして、更に、接続状態で、搬送用基地３の接続上部３ａ、３Ａａに対して、接続下部２０ａ、２０Ａａが、つまり、上部搬送部２０より先の部分の全体が旋回できるように構成される。この構成については、例えば、図９に示すように、支持台車１０の上面に、接続上部３ａ、３Ａａと接続下部２０ａ、２０Ａａの軸心２２を中心とする円弧状のレール１２を敷き、このレール１２上を上部搬送部２０を走行させることで旋回又は揺動させる。この旋回の動力としては、車輪２３を駆動する場合には油圧モータ等を使用でき、揺動の場合には、支持台車１０側と上部搬送部２０を連結する油圧シリンダ等を使用することができる。
【００５８】
次に、この接続部３ａ、２０ａにおける分離（切り離し）と接続について説明する。図１又は図３に示すような接続状態では、仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄに挿入され、液溜まり部２０ｂｄで兼用される仕切り部２０ｂｄが液溜まり部２０ｃｄに挿入され、２ヶ所で液封による気密保持が行われている。
【００５９】
この図１又は図３の状態から図２又は図４の状態に移行するには、搬送用基地３側において、図示しない気密扉を閉鎖して、搬送用基地３側の気密を保持し、搬送用基地３側から接続上部３ａに可燃性ガスなどが流出しないようにして、接続上部３ａを大気開放にしてもよい状態にする。また、上部搬送部２０側において、図示しない気密扉を閉鎖して、上部搬送部２０の気密を保持し、上部搬送部２０側から接続下部２０ａに可燃性ガスなどが流出しないようにして、接続下部２０ａを大気開放にしてもよい状態にする。
【００６０】
この状態になったら、必要に応じて、接続上部３ａと接続下部２０ａとの間の固定、例えば、上部フランジ部３ａｂと下部フランジ部２０ａａとの間の締結等を解除してから、油圧シリンダ２０ｄを短縮し、下部フランジ部２０ａａを引き下げて、上部フランジ部３ａｂから切り離す。この下部フランジ部２０ａａの引き下げにより、仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄから抜き出され、その一方で、液溜まり部２０ｂｄを兼用する仕切り部２０ｂｄ（又は、液溜まり部２０ｂｄの下部の仕切り板２０ｂｂａ）が液溜まり部２０ｃｄに挿入される深さＬｂｃが増加する。仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂから完全に抜き出されると、内部と外部との気密が解除され、接続上部３ａと接続下部２０ａとは分離し、大気開放状態となる。そして、更に、下部フランジ部２０ａａを引き下げて、下部フランジ部２０ａａ及び内周壁２０ｂｂが仕切り部３ａｄの下端より低くなった時点で、下部フランジ部２０ａａの引き下げを停止する。
【００６１】
この状態で、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０は、搬送用基地３から切り離された状態になる。そして、荷役対象の船倉２ａ側も必要に応じて気密を保持しながら、垂直伸縮搬送部５０と船倉２ａとを切り離す。この切り離し状態では、バラ積み貨物荷役装置１は支持台車１０で陸上４のレール４ａ上を走行して移動することができるので、この状態で、次の荷役対象となっている船倉２ａ又は搬送用基地３まで移動する。そして、荷役対象の搬送用基地３の接続上部３ａに対向する位置まで、上部搬送部２０の接続下部２０ａを移動させる。
【００６２】
なお、接続上部３ａに対して接続下部２０ａを旋回可能とする場合には、上部フランジ部３ａｂの一部乃至全部、又は下部フランジ２０ａａの一部乃至全部を、二重フランジ構造とし、間にベアリングを配置する等して、この二重フランジ構造の一方が他方に対して旋回可能にしておくことで容易に旋回可能な構造を形成できる。
【００６３】
次に、図２又は図４の状態から図１又は図３の状態に移行するには、搬送用基地３側の気密を保持したままで、油圧シリンダ２０ｄを伸展し、下部フランジ部２０ａａを引き上げる。この下部フランジ部２０ａａの引き上げにより、仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄに挿入され、その一方で、液溜まり部２０ｂｄを兼用する仕切り部２０ｂｄ（又は、仕切り板２０ｂｂａ）が液溜まり部２０ｃｄに挿入される深さＬｂｃが減少する。仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂに挿入されると、内部と外部との気密が保持された状態となる。そして、更に、下部フランジ部２０ａａを引き上げて、下部フランジ部２０ａａを上部フランジ部３ａｂに当接させた時点で、下部フランジ部２０ａａの引き上げを停止する。必要に応じて、接続上部３ａと接続下部２０ａとを固定する作業、例えば、下部フランジ部２０ａａと上部フランジ部３ａｂとの締結作業を行う。なお、この固定作業を行わなくても、仕切り部３ａｄが液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂに挿入されて気密性を保持しているので、作業性を考えて、簡単な固定作業で済ましたり、旋回可能とする場合等では固定しないで荷役作業を行う。
【００６４】
この状態では、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０は、搬送用基地３と気密状態を維持しながら接続された状態になっている。そして、垂直伸縮搬送部５０を荷役対象の船倉２ａ側に接続し、この部分でも気密を保持する。搬送用基地３側及び上部搬送部２０側の気密扉に挟まれた接続部内部の空気を不活性ガスによって置換した後、搬送用基地３側及び上部搬送部２０側の気密扉を開放し、また、必要に応じて、船倉２ａ〜上部搬送部２０の間において気密扉を開放することにより、搬送用基地３、接続上部３ａ、接続下部２０ａ、上部搬送部２０、垂直搬送部４０、下部搬送部３０、垂直伸縮搬送部５０、船倉２ａが気密状態を保持しながら連通することになる。
【００６５】
次に、本発明の第２の実施の形態の接続部３Ａａ、２０Ａａについて説明する。図５及び図６に示すように、搬送用基地３の接続上部３Ａａと、上部搬送部２０の接続下部２０Ａａは、次のように構成される。
【００６６】
接続上部３Ａａは、上方の筒状体３ａａと下方の筒状体３ｂと油圧シリンダ（アクチュエータ）３ｃａとから構成され、この上方の筒状体３ａａと油圧シリンダ６３ｃａは、搬送用基地３に固定されている。つまり、上方の筒状体３ａａは搬送用基地３の下面側に突出して設けられる。また、この筒状体３ａａの内周側にカバー３ａｃを設け、筒状体３ａａの壁面の下部で仕切り部３ａｄを形成する。
【００６７】
下方の筒状体３ｂは、外周壁３ｂａと内周壁３ｂｂとで構成される二重壁構造とその底部３ｂｃと、底部２０ｂｃより上方で外周壁３ｂａに設けられた上部フランジ部３ｂｉとからなる。この二重壁構造とその底部２０ｂｃにより、上部フランジ部３ｂｉの内周側に液溜まり部３ｂｄを設ける。この上部フランジ部３ｂｉは、油圧シリンダ３ｃａの下端側に固定され、油圧シリンダ３ｃａの伸縮により上下移動する。この液溜まり部３ｂｄに液封用の液体Ｂを供給するために、液体補充タンク３ｂｇが配管３ｂｈにより液溜まり部３ｂｄに接続される。なお、この液溜まり部３ｂｄは、接続下部２０Ａａの液溜まり部２０ｂｄに対しては仕切り部としての役割を果たす。
【００６８】
そして、下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄに、上方の筒状体３ａａの仕切り部３ａｄが挿入される。言い換えれば、これらの複数の筒状体３ａａ、３ｂを一部重複させて上下方向に連続して配置する。これらの筒状体３ａａ、３ｂの相互の重複部分の長さＬａｂ、言い換えれば、挿入深さＬａｂを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さＬＡａを変化させる。この上下方向の長さＬＡａの変化は油圧シリンダ３ｃａの伸縮により行う。
【００６９】
一方、接続下部２０Ａａは、外周壁２０ｂａと内周壁２０ｂｂとで構成される二重壁構造とその底部２０ｂｃとからなる液溜まり部２０ｂｄを有した筒状体２０ｂで構成され、この筒状体２０ｂは、その上端には下部フランジ部２０ａａが設けられ、その下端は上部搬送部２０のケーシングに固定されている。図５及び図６の構成では、底部２０ｂｃは上部搬送部２０のケーシングの一部で構成される。この液溜まり部２０ｂｄに液封用の液体Ｂを供給するために、液体補充タンク２０ｂｇが配管２０ｂｈにより液溜まり部２０ｂｄに接続される。
【００７０】
そして、２つの筒状体３ａａ、３ｂｃの重複部分と、上部フランジ部３ｂｉと下部フランジ部２０ａａとの接続部分において、次のような液封による気密構造が設けられる。
【００７１】
２つの筒状体３ａａ、３ｂの重複部分においては、上方の筒状体３ａａの仕切り部３ａｄを、下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄに挿入し、この液溜まり部３ｂｄを内周側室３ｂｅと外周側室３ｂｆに分けると共に、内周側室３ｂｅと外周側室３ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成し、この液溜まり部３ｂｄに入れた液体Ｂによって、内周側室３ｂｅの上部と外周側室３ｂｆの上部との間を液封により気密にする。この構成により、２つの筒状体３ａａ、３ｂで形成した伸縮部において、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとの切り離し及び接続を容易に行うことができる。
【００７２】
なお、この筒状体の重複は、３つ以上の筒状体においても同様に形成することができるが、上方側の筒状体の仕切り部が下方側の液溜まり部から抜け出すことが無いように、重複量の最大値を規制するようにチェーン等の規制部材を設ける。
【００７３】
また、筒状体の数が増加し、仕切り部を液溜まり部で兼用していくと、仕切り部の幅が増加していくので、図７及び図８の他の例で示すように、液溜まり部３ｂｄで仕切り部を兼用せずに、液溜まり部３ｂｄの下側に内周壁３ｂｂの延長の仕切り板等で形成される仕切り部３ｂｂａを設けることにより、仕切り部の幅を狭くすることができる。この場合は、液溜まり部３ｂｄが浅くなるので、伸展時の重複部分Ｌａｂが小さくなり易いので、内圧と外圧との差が小さく、また、圧力変動も小さい場合に適している。
【００７４】
この接続部分においては、接続上部３Ａａに設けた液溜まり部３ｂｄで兼用される仕切り部３ｂｄ、又は、液溜まり部３ｂｄの下側に設けられた仕切り部３ｂｂを、接続下部２０Ａａの筒状体２０ｂに設けた液溜まり部２０ｂｄに挿入し、この液溜まり部２０ｂｄを内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆに分けると共に、内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成する。これにより、液溜まり部２０ｂｄに入れた液体ＢのＵ字管効果によって、内周側室２０ｂｅの上部と外周側室２０ｂｆの上部との間を液封により気密にする。
【００７５】
なお、接続上部３ａと接続下部２０ａの形状や、移動方向や、液封用の液体Ｂや、旋回機構等は、第１の実施の形態と同様である。
【００７６】
次に、この接続部３Ａａ、２０Ａａにおける切り離しと接続について説明する。図５又は図７に示すような接続状態では、仕切り部３ａｄが液溜まり部３ｂｄに挿入され、液溜まり部３ｂｄで兼用される仕切り部３ｂｄが液溜まり部２０ｂｄに挿入され、２ヶ所で液封による気密保持が行われている。
【００７７】
この図５又は図７の状態から図６又は図８の状態に移行するには、第１の実施の形態と同様にして、接続上部３Ａａと、接続下部２０Ａａとを大気開放にしてよい状態にする。この状態になったら、必要に応じて、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとの間の固定を解除してから、油圧シリンダ３ｃａを短縮し、上部フランジ部３ｂｉを引き上げて、下部フランジ部２０ａａから切り離す。この上部フランジ部３ｂｉの引き上げにより、液溜まり部３ｂｄを兼用する仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄから抜き出され、その一方で、仕切り部３ａｄが液溜まり部３ｂｄに挿入される深さＬａｂが減少する。仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂから抜き出されると、内部と外部との気密が解除され、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとは分離し、大気開放状態となる。そして、更に、上部フランジ部３ｂｉを引き上げて、仕切り部３ｂｄが下部フランジ部２０ａａ及び内周壁２０ｂｂの上端より高くなった時点で、上部フランジ部３ｂｉの引き上げを停止する。
【００７８】
この状態では、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０は、搬送用基地３から切り離された状態になっている。そして、上部搬送部２０側において、図示しない気密扉を閉鎖して、上部搬送部２０の気密を保持し、上部搬送部２０側から接続下部２０ａに可燃性ガスなどが流出しないようにして、垂直伸縮搬送部５０と船倉２ａとを切り離す。この切り離し状態で、次の荷役対象となっている船倉２ａ又は搬送用基地３まで移動する。
【００７９】
次に、図６又は図８の状態から図５又は図７の状態に移行するには、荷役対象の搬送用基地３の接続上部３Ａａに対向する位置まで、上部搬送部２０の接続下部２０Ａａを移動させる。その後、搬送用基地３側の気密を保持したままで、油圧シリンダ３ｃａを縮小し、上部フランジ部３ｂｉを引き下げる。この上部フランジ部３ｂｉの引き下げにより、液溜まり部３ｂｄを兼用する仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄに挿入され、その一方で、仕切り部３ａｄが液溜まり部３ｂｄに挿入される深さＬａｂが増加する。仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂに挿入されると、内部と外部との気密が保持された状態となる。そして、更に、上部フランジ部３ｂｉを引き下げて、上部フランジ部３ｂｉを下部フランジ部２０ａａに当接させた時点で、上部フランジ部３ｂｉの引き下げを停止する。必要に応じて、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとを固定する作業を行う。なお、この固定作業を行わなくても、仕切り部３ｂｄ（又は仕切り部３ｂｂａ）が液溜まり部２０ｂｄの液体Ｂに挿入されて気密性を保持しているので、作業性を考えて、簡単な固定作業で済ましたり、旋回可能とする場合等、全く固定しないことも考えられる。
【００８０】
この状態では、バラ積み貨物荷役装置１の上部搬送部２０は、搬送用基地３と気密状態を維持しながら接続された状態になっている。そして、垂直伸縮搬送部５０を荷役対象の船倉２ａ側に接続し、この部分でも気密を保持する。搬送用基地３側及び上部搬送部２０側の気密扉に挟まれた接続部内部の空気を不活性ガスによって置換した後、搬送用基地３側及び上部搬送部２０側の気密扉を開放し、また、必要に応じて、船倉２ａ〜上部搬送部２０の間において気密扉を開放することにより、搬送用基地３、接続上部３Ａａ、接続下部２０Ａａ、上部搬送部２０、旋回部を有する垂直搬送部４０、下部搬送部３０、垂直伸縮搬送部５０、船倉２ａが気密状態を保持しながら連通することになる。
【００８１】
次に、バラ積み貨物荷役装置１を構成する垂直搬送部４０と垂直伸縮搬送部５０について、少し詳細に説明しておく。
【００８２】
垂直搬送部４０は、図１１及び図１２に示すように、旋回上部４１と旋回下部４２とで構成され、旋回上部４１の下に旋回下部４２を旋回可能に接続した旋回部に、液封による気密構造を設けて構成される。この液封による気密構造も、接続上部３ａ、３Ａａと接続下部２０ａ、２０Ａａと同様な気密構造であり、旋回上部４１は円筒壁４１ａを有して形成され、その中間部には、フランジ部４１ｂが設けられ、その下端側には、円筒等で形成される仕切り部４１ｃが設けられる。一方、旋回下部４２は、円筒形状の外周壁４２ａと内周壁４２ｂとこの二重壁の間の底部４２ｃとで形成される液溜まり部４２ｄを有して構成される。更に、バラ積み貨物Ａが、次に述べる旋回下部４２の内周側室４２ｅに入ることを防ぐために、円筒壁４１ａの内側の適当な位置に、下側が狭くなる円錐形状等に形成されるカバー４１ｄや布状のカバー等が設けられる。
【００８３】
また、この液溜まり部４２ｄに、仕切り部４１ｃを挿入し、内周側室４２ｅと外周側室４２ｆに分ける。それと共に、内周側室４２ｅと外周側室４２ｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。そして、この液溜まり部４２ｄに入れた液体Ｂによって、内周側室４２ｅの上部と外周側室４２ｆの上部との間を液体ＢのＵ字管効果で液封により気密にする。
【００８４】
更に、液封用の液体Ｂの蒸発や漏れ等による減少を自動的に補うため、液体補充タンク４２ｈと配管４２ｉにより液溜まり部４２ｄに液封用の液体Ｂを供給できるように構成する。この液体Ｂや液体Ｂの供給や液溜まり部４２ｄ内の液面高さのモニター等は垂直伸縮搬送部５０と略同様である。
【００８５】
この旋回部５の気密構造により、液封による気密構造を設けているので、旋回上部４１と旋回下部４２とが相対的に旋回しても、容易に、気密性を維持でき、小さな開口部だけでなく、大きな開口部であっても、気密性を定常的に確保することができる。
【００８６】
そして、外周側室４２ｆの液面より上方の空間に、窒素ガス等の不活性ガス（イナートガス）Ｃを入れておくことにより、万一、可燃性ガスが漏れた場合でも、この空間部分やこの空間に繋がる近傍部分が、爆発雰囲気になるのを防止することができるので、より安全性を増すことができる。
【００８７】
なお、二重壁の間の底部４２ｃは、気密性を保つのに充分な深さを液溜まり部４２ｄで確保できればよく、必ずしも、図示しているように下部搬送部３０のケース（筐体）と同じレベルにする必要はない。
【００８８】
また、旋回するための旋回部５の機構としては、例えば、旋回上部４１の上部フランジ部４１ｂと、旋回下部４２の下部フランジ部４２ｇとの間にベアリング４３を配置し、図示しないモータとギヤ等の機構により、旋回下部４２に対して旋回力を与える。なお、下部搬送部３０の重量は、図示しない構成により支持台車１０で支持したり、上部搬送部２０から吊り下げて支持したりすることができる。この支持は周知の技術により容易に行うことができる。この構成により、図１１及び図１２に示す旋回面４３ａを境にして、矢印より下、即ち、下部フランジ部４２ｂ以下の部分が、旋回面４３ａより上の上部フランジ部４１ｂとの間で矢印で示すように相対的に旋回可能となる。
【００８９】
垂直伸縮搬送部５０は、図１３及び図１４に示すように、複数（図１３及び図１４では３個）の筒状体５１、５２、５３から構成され、これらの複数の筒状体５１、５２、５３を一部重複させて上下方向に連続して配置する。これらの筒状体５１、５２、５３の相互の重複部分の長さＬ１２、Ｌ２３、言い換えれば、仕切り部５１ａの液溜まり部５２ｂへの挿入深さＬ１２、Ｌ２３を変化させることにより、筒状体の全体としての垂直伸縮搬送部５０の上下方向の長さＬｔを変化させる。この垂直伸縮搬送部５０の上端は、最上方の筒状体５１に設けられたフランジ部５１ｂとなっており、図９に示す下部搬送部３０に接続される。一方、垂直伸縮搬送部５０の下端は、最下方の筒状体５３に設けられたフランジ部５３ｆとなっており、船倉２ａ側に接続される。
【００９０】
この重複部分においても、接続上部３ａと接続下部２０ａと同様な液封による気密構造を設ける。最上方の筒状体５１と中間の筒状体５２との接続部言い換えれば重複部分において、最上方の筒状体５１の下端側の仕切り部５１ａを、中間の筒状体５２に設けた液溜まり部５２ｂに挿入し、この液溜まり部５２ｂを内周側室５２ｂａと外周側室５２ｂｂに分ける。それと共に、内周側室５２ｂａと外周側室５２ｂｂの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。この液溜まり部５２ｂに入れた液体Ｂによって、内周側室５２ｂａの上部と外周側室５２ｂｂの上部との間を液封により気密にする。
【００９１】
この最上方の筒状体５１の下端側の仕切り部５１ａは、筒状体５１の壁面５１ａの下部と兼用する。また、中間の筒状体５２の液溜まり部５２ｂは外周壁５２ａａと内周壁５２ａｂと底部５２ａｃとで形成される二重管構造によって構成する。そして、この中間の筒状体５２の二重管構造で構成された液溜まり部５２ｂに、最上方の筒状体５１の下端側の仕切り部５１ａが挿入され、この液溜まり部５２ｂに液体Ｂが入れられると、この液溜まり部５２ｂで形成される液体ＢのＵ字管効果により気体の封入を行う。
【００９２】
また、中間の筒状体５２と最下方の筒状体５３との重複部分では、中間の筒状体５２の液溜まり５２ｂ部を仕切り部５２ａとしても兼用し、この中間の筒状体５２の液溜まり部兼用の仕切り部５２ａを、最下方の筒状体５３の液溜まり部５３ｃに挿入し、最下方の筒状体５３の液溜まり部５３ｃを内周側室５３ｃａと外周側室５３ｃｂに分ける。それと共に、内周側室５３ｃａと外周側室５３ｃｂの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。この最下方の筒状体５３の液溜まり部５３ｃに入れた液体Ｂによって、内周側室５３ｃａの上部と外周側室５３ｃｂの上部との間を液封により気密にする。
【００９３】
なお、これらの筒状体５１、５２、５３は上方の仕切り部５１ａ、５２ａが下方の筒状体の液溜まり部５２ｂ、５３ｃに挿入できる構成であればよく、筒状体５１、５２、５３の断面形状は円形に限らず、楕円、多角形等であってもよい。また、この図１３及び図１４では３個の筒状体で構成される垂直伸縮搬送部５０について説明したが、２個の場合も、３個以上の場合も同様にして構成することができる。また、筒状体の数が増加し、仕切り部を液溜まり部で兼用していくと、仕切り部の幅が増加していくので、液溜まり部の下側に仕切り板等で形成される仕切り部を設けることにより、仕切り部の幅を狭く重複部分を適宜設けることが好ましい。
【００９４】
この構成によれば、液封であるため、上方の筒状体５１（又は５２）と下方の筒状体５２（又は５３）とが相対的に上下移動しても、容易に、気密性を維持できるので、小さな開口部だけでなく、大きな開口部であっても、気密性を定常的に確保することができる。また、液封部分が上方の筒状体５１（又は５２）と下方の筒状体５２（又は５３）の接続部分の外周側の部分のみで収まるので、構造を単純化することができる。しかも、上下伸縮のための構造と兼用することができる。また、上下移動による伸縮部分における気密のための抵抗も液体の粘性による抵抗であるため、伸縮の上下速度が遅い場合には非常に小さくすることができる。更に、この重複部分Ｌ１２、Ｌ２３の幅方向の隙間を余裕を持たせることにより、波による船舶の横や前後方向の揺れ（ロール）や移動（スエイ、ヨウ）の動揺に対しても小さいものであれば吸収することができる。
【００９５】
また、液溜まり部５２ｂ、５３ｃに筒状体５１、５２、５３の内部を通過する天然ガスハイドレートペレット等の被搬送物Ａが入らないように、内周側室５２ｂａ、５３ｃａを覆うカバー５１ｃ、５２ｅを設けて、液溜まり部５２ｂ、５３ｃに、天然ガスハイドレートペレット等の被搬送物Ａが入って、気密機能を担う部分等に被搬送物Ａが挟まる等の不具合の発生を非常に簡単な構造で防止する。
【００９６】
更に、垂直伸縮搬送部５０の伸縮量による液溜まり部５２ｂ、５３ｃへの仕切り部５１ａ、５２ａの挿入量Ｌ１２、Ｌ２３の変化による液溜まり部５２ｂ、５３ｃの容積の変化分と、液封用の液体Ｂの蒸発や漏れ等による減少を自動的に補うため、液体補充タンク５２ｃ、５３ｄと配管５２ｄ、５３ｅにより、液溜まり部５２ｂ、５３ｃに液封用の液体Ｂを供給できるように構成する。この液体Ｂや液体Ｂの供給や液溜まり部５２ｂ、５３ｃ内の液面高さのモニター等は、接続上部３ａと接続下部２０ａと略同様である。
【００９７】
そして、上記のバラ積み貨物荷役装置１は、上記の接続部３ａ、２０ａ（又は、３Ａａ、２０Ａａ）を備えて構成されるので、バラ積み貨物荷役装置１の接続部３ａ、２０ａ（又は、３Ａａ、２０Ａａ）の気密性を確保できる。そのため、可燃性ガス等が発生しても、バラ積み貨物荷役装置１の外部に漏出することが無く、また、逆に外気がバラ積み貨物荷役装置１の内部に入ることも無い。従って、天然ガスハイドレート等の可燃性ガスを発生するバラ積み貨物Ａを搬送する場合に、外気と遮断しながら安全に搬送することができる。
【００９８】
また、上記の接続部３ａ、２０ａ（又は、３Ａａ、２０Ａａ）の気密保持方法について説明する。この気密保持方法では、接続上部３ａと接続下部２０ａを接続及び分離する接続部において、接続上部３ａ（又は３Ａａ）に設けた仕切り部３ａｄ（又は３ｂｄ、３ｂｂａ）を、接続下部２０ａ（又は２０Ａａ）に設けた液溜まり部２０ｂｄに挿入し、液溜まり部２０ｂｄを内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆに分けると共に、内周側室２０ｂｅと外周側室２０ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させて構成する。そして、この液溜まり部２０ｂｄに入れた液体Ｂによって、内周側室２０ｂｅの上部と外周側室２０ｂｆの上部との間を液封により気密にする。そのため、接続上部３ａ（又は３Ａａ）と接続下部２０ａ（又は２０Ａａ）との切り離し及び接続が容易となる上に、接続状態では、気密性を確保でき、大きな開口部であっても、気密性を定常的に確保することができる。
【００９９】
更に、第１の実施の形態の接続下部２０ａにおいて、伸縮部を筒状体２０ｂ、２０ｃを２個以上設けて構成し、上方の筒状体２０ｂの上部に液溜まり部２０ｂｄを設けて、この液溜まり部２０ｂｄと下方の液溜まり部２０ｃｄに挿入される仕切り部２０ｂｄを兼用する。この仕切り部２０ｂｄの下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄへの挿入深さＬｂｃを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さＬａを変化させる。また、それと共に、この仕切り部２０ｂｄ（又は２０ｂｂａ）を、下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄに挿入して、この液溜まり部２０ｃｄを内周側室２０ｃｅと外周側室２０ｃｆに分けると共に、内周側室２０ｃｅと外周側室２０ｃｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。これにより、下方の筒状体２０ｃの液溜まり部２０ｃｄに入れた液体Ｂによって、内周側室２０ｃｅの上部と外周側室２０ｃｆの上部との間を液封により気密にする。従って、２個以上の筒状体で形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部３ａと接続下部２０ａとの切り離し及び接続を容易に行うことができる。
【０１００】
あるいは、第２の実施の形態の接続上部３Ａａにおいて、伸縮部を筒状体３ａａ、３ｂを２個以上設けて構成し、上方の筒状体３ａａに仕切り部３ａｄを設け、この仕切り部３ａｄの下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄへの挿入深さＬａｂを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さＬＡａを変化させる。また、それと共に、この仕切り部３ａｄを、下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄに挿入して、この液溜まり部３ｂｄを内周側室３ｂｅと外周側室３ｂｆに分けると共に、内周側室３ｂｅと外周側室３ｂｆの下部では液体Ｂが流通するように連通させる。これにより、下方の筒状体３ｂの液溜まり部３ｂｄに入れた液体Ｂによって、内周側室３ｂｅの上部と外周側室３ｂｆの上部との間を液封により気密にする。従って、２個以上の筒状体で形成した伸縮部においても、容易に気密性と伸縮性を確保できるので、接続上部３Ａａと接続下部２０Ａａとの切り離し及び接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【０１０１】
【図１】本発明に係る第１の実施の形態の接続部の気密及び伸縮構造の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図２】図１の接続部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【図３】本発明に係る第１の実施の形態の接続部の気密及び伸縮構造の他の例の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図４】図３の接続部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【図５】本発明に係る第２の実施の形態の接続部の気密及び伸縮構造の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図６】図５の接続部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【図７】本発明に係る第２の実施の形態の接続部の気密及び伸縮構造の他の例の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図８】図７の接続部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【図９】バラ積み貨物荷役装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図１０】バラ積み貨物荷役装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図１１】気密構造の旋回部を有する垂直搬送部の構造を模式的に示す側断面図である。
【図１２】図１１の旋回部の構造を模式的に示す側断面図である。
【図１３】垂直伸縮搬送部の気密及び伸縮構造の短縮した状態を模式的に示す側断面図である。
【図１４】図１３の垂直伸縮搬送部の気密及び伸縮構造の伸長した状態を模式的に示す側断面図である。
【符号の説明】
【０１０２】
１ バラ積み貨物荷役装置
２ バラ積み貨物船
３ 搬送用基地
３ａ、３Ａａ 接続上部（接続部）
３ａａ 上方の筒状体
３ａｂ、３ｂｉ 上部フランジ部
３ａｃ カバー
３ａｄ 仕切り部
３ｂ 下方の筒状体
３ｂｄ 仕切り部（液溜まり部と兼用）
３ｃａ 油圧シリンダ（アクチュエータ）
５ 旋回部
２０ 上部搬送部
２０ａ、２０Ａａ 接続下部（接続部）
２０ａａ 下部フランジ部
２０ｂ 上方の筒状体
２０ｂｄ 液溜まり部（仕切り部と兼用）
２０ｃ 下方の筒状体
２０ｃｄ 液溜まり部
２０ｄ 油圧シリンダ（アクチュエータ）
３０ 下部搬送部
４０ 垂直搬送部
５０ 垂直伸縮搬送部
Ａ バラ積み貨物
Ｂ 液体
Ｌａ、ＬＡａ 上下方向の長さ
Ｌａｂ、Ｌｂｃ 挿入深さ（重複部分の長さ）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
接続上部と接続下部を接続及び分離する接続部であって、該接続部に液封による気密構造を設けたことを特徴とする接続部の構造。
【請求項２】
前記接続部において、接続上部に設けた仕切り部を、接続下部に設けた液溜まり部に挿入し、前記液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすることを特徴とする請求項１記載の接続部の構造。
【請求項３】
前記接続上部又は前記接続下部において、筒状体を２個以上設けた伸縮部を設け、上方の筒状体に設けた仕切り部を、下方の筒状体の液溜まり部に挿入し、前記下方の筒状体の液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記下方の筒状体の液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすると共に、前記仕切り部の前記下方の筒状体の液溜まり部への挿入深さを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さを変化させることを特徴とする請求項１又は２記載の接続部の構造。
【請求項４】
前記伸縮部において、上方の筒状体の液溜まり部で、下方の筒状体の液溜まり部に挿入される仕切り部を兼用することを特徴とする請求項３記載の接続部の構造。
【請求項５】
前記接続下部に前記伸縮部を設けた場合において、前記接続下部の最上方の筒状体に下部フランジ部を設け、該下部フランジ部及び前記最上方の筒状体を上下移動するアクチュエータを設けると共に、前記接続上部に上部フランジ部を設けて、接続時には、前記アクチュエータを伸ばして前記上部フランジ部に前記下部フランジ部を当接させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記最上方の筒状体に設けた液溜まり部に挿入して、前記接続下部を前記接続上部に接続し、分離時には、前記アクチュエータを縮めて前記上部フランジ部から前記下部フランジ部を分離させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記最上方の筒状体の上部に設けた液溜まり部から抜き出して、前記接続下部を前記接続上部から分離することを特徴とする請求項３又は４記載の接続部の構造。
【請求項６】
前記接続上部に前記伸縮部を設けた場合において、前記接続上部の最下方の筒状体に上部フランジ部を設け、該上部フランジ部及び前記最下方の筒状体を上下移動するアクチュエータを設けると共に、前記接続下部に下部フランジ部を設けて、接続時には、前記アクチュエータを伸ばして前記下部フランジ部に前記上部フランジ部を当接させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部に挿入して、前記接続上部を前記接続下部に接続し、分離時には、前記アクチュエータを縮めて前記下部フランジ部から前記上部フランジ部を分離させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部から抜き出して、前記接続下部を前記接続上部から分離することを特徴とする請求項３又は４記載の接続部の構造。
【請求項７】
前記液溜まり部に前記接続上部を通る被搬送物が入らないように、前記内周側室を覆うカバーを設けたことを特徴とする請求項２、３、４、５又は６記載の接続部の構造。
【請求項８】
前記液溜まり部に入れた液封用の液体を循環させることを特徴とする請求項２、３、４、５、６又は７記載の接続部の構造。
【請求項９】
前記接続下部を、前記接続上部に対して旋回可能に構成することを特徴とする請求項２、３、４、５、６、７又は８記載の接続部の構造。
【請求項１０】
請求項１、２、３、４、５、６、７、８又は９記載の接続部の構造を備えたことを特徴とするバラ積み貨物荷役装置。
【請求項１１】
接続上部と接続下部を接続及び分離する接続部において、前記接続上部に設けた仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部に挿入し、前記液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすることを特徴とする接続部の気密保持方法。
【請求項１２】
前記接続上部又は前記接続下部において、伸縮部を筒状体を２個以上設けて構成し、
上方の筒状体の仕切り部の下方の筒状体の液溜まり部への挿入深さを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さを変化させると共に、
前記上方の筒状体の仕切り部を、前記下方の筒状体の液溜まり部に挿入して、前記下方の筒状体の液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて、前記下方の筒状体の液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすることを特徴とすることを特徴とする請求項１１記載の接続部の気密保持方法。
【請求項１】
接続上部と接続下部を接続及び分離する接続部であって、該接続部に液封による気密構造を設けたことを特徴とする接続部の構造。
【請求項２】
前記接続部において、接続上部に設けた仕切り部を、接続下部に設けた液溜まり部に挿入し、前記液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすることを特徴とする請求項１記載の接続部の構造。
【請求項３】
前記接続上部又は前記接続下部において、筒状体を２個以上設けた伸縮部を設け、上方の筒状体に設けた仕切り部を、下方の筒状体の液溜まり部に挿入し、前記下方の筒状体の液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記下方の筒状体の液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすると共に、前記仕切り部の前記下方の筒状体の液溜まり部への挿入深さを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さを変化させることを特徴とする請求項１又は２記載の接続部の構造。
【請求項４】
前記伸縮部において、上方の筒状体の液溜まり部で、下方の筒状体の液溜まり部に挿入される仕切り部を兼用することを特徴とする請求項３記載の接続部の構造。
【請求項５】
前記接続下部に前記伸縮部を設けた場合において、前記接続下部の最上方の筒状体に下部フランジ部を設け、該下部フランジ部及び前記最上方の筒状体を上下移動するアクチュエータを設けると共に、前記接続上部に上部フランジ部を設けて、接続時には、前記アクチュエータを伸ばして前記上部フランジ部に前記下部フランジ部を当接させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記最上方の筒状体に設けた液溜まり部に挿入して、前記接続下部を前記接続上部に接続し、分離時には、前記アクチュエータを縮めて前記上部フランジ部から前記下部フランジ部を分離させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記最上方の筒状体の上部に設けた液溜まり部から抜き出して、前記接続下部を前記接続上部から分離することを特徴とする請求項３又は４記載の接続部の構造。
【請求項６】
前記接続上部に前記伸縮部を設けた場合において、前記接続上部の最下方の筒状体に上部フランジ部を設け、該上部フランジ部及び前記最下方の筒状体を上下移動するアクチュエータを設けると共に、前記接続下部に下部フランジ部を設けて、接続時には、前記アクチュエータを伸ばして前記下部フランジ部に前記上部フランジ部を当接させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部に挿入して、前記接続上部を前記接続下部に接続し、分離時には、前記アクチュエータを縮めて前記下部フランジ部から前記上部フランジ部を分離させると共に、前記上部フランジ部より下方に延びる仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部から抜き出して、前記接続下部を前記接続上部から分離することを特徴とする請求項３又は４記載の接続部の構造。
【請求項７】
前記液溜まり部に前記接続上部を通る被搬送物が入らないように、前記内周側室を覆うカバーを設けたことを特徴とする請求項２、３、４、５又は６記載の接続部の構造。
【請求項８】
前記液溜まり部に入れた液封用の液体を循環させることを特徴とする請求項２、３、４、５、６又は７記載の接続部の構造。
【請求項９】
前記接続下部を、前記接続上部に対して旋回可能に構成することを特徴とする請求項２、３、４、５、６、７又は８記載の接続部の構造。
【請求項１０】
請求項１、２、３、４、５、６、７、８又は９記載の接続部の構造を備えたことを特徴とするバラ積み貨物荷役装置。
【請求項１１】
接続上部と接続下部を接続及び分離する接続部において、前記接続上部に設けた仕切り部を、前記接続下部に設けた液溜まり部に挿入し、前記液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて構成し、前記液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすることを特徴とする接続部の気密保持方法。
【請求項１２】
前記接続上部又は前記接続下部において、伸縮部を筒状体を２個以上設けて構成し、
上方の筒状体の仕切り部の下方の筒状体の液溜まり部への挿入深さを変化させることにより、筒状体の全体としての上下方向の長さを変化させると共に、
前記上方の筒状体の仕切り部を、前記下方の筒状体の液溜まり部に挿入して、前記下方の筒状体の液溜まり部を内周側室と外周側室に分けると共に、前記内周側室と前記外周側室の下部では液体が流通するように連通させて、前記下方の筒状体の液溜まり部に入れた液体によって、前記内周側室の上部と前記外周側室の上部との間を液封により気密にすることを特徴とすることを特徴とする請求項１１記載の接続部の気密保持方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【公開番号】特開２００９−２３７４９（Ｐ２００９−２３７４９Ａ）
【公開日】平成２１年２月５日（２００９．２．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１８６１３４（Ｐ２００７−１８６１３４）
【出願日】平成１９年７月１７日（２００７．７．１７）
【出願人】（０００００５９０２）三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】（５０５３０２９４８）財団法人日本船舶技術研究協会 (13)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年２月５日（２００９．２．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年７月１７日（２００７．７．１７）
【出願人】（０００００５９０２）三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】（５０５３０２９４８）財団法人日本船舶技術研究協会 (13)
【Ｆターム（参考）】
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