説明

接続部検査装置

【課題】ワークを容易に一定位置に精度よく支持できるようにすること。
【解決手段】ワーク100にコネクタ接続部110,112が設けられ、このコネクタ接続部110に上側検査接続部40を接続して検査を行う。昇降自在に支持されたワークセット部10と、このワークセット部10が下降すると、このワークセット部10に載置支持されたワークセット部10を所定のセット位置に案内するワークガイド部30とを備える。昇降駆動部45の駆動により上側検査接続部40をコネクタ接続部110に接続する前の段階で、ワーク押え部50をワーク100に当接させて、ワーク100とワークセット部10とを下降させて、ワークガイド部30によりワーク100を所定のセット位置に案内させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ジャンクションブロック等のワークに設けられた接続部を検査するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等では、電気的な配線を集約し或は分岐させるためにジャンクションブロック(電気接続箱とも呼ばれる)が用いられている。
【0003】
このようなジャンクションブロックには、各種電気機器等との接続に供されるコネクタ接続部が複数設けられている。
【0004】
各コネクタ部における各コネクタ端子の導通検査を行うための装置としては、コネクタ端子を検査するためのプローブを、ジャンクションブロックの一主面に配設されたコネクタ端子のレイアウトに対応した配置で支持し、シリンダ等で、各プローブを各コネクタ端子に一括して脱着して検査できるようにしたものがある。
【0005】
なお、本願発明に関連する先行技術としては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0006】
【特許文献1】特開平2000−131370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、各プローブピンを対応する各コネクタ端子に精度よく脱着するためには、ジャンクションブロックを精度よく一定位置に固定する必要がある。
【0008】
そして、ジャンクションブロックを精度よく一定位置に支持するためには、所定のセット板において、例えば、シリンダ機構やカム機構、バネ機構を用いる等して、ジャンクションブロックを周囲から押さえつけるようにして支持する必要がある。
【0009】
このように、ジャンクションブロックの外周囲でシリンダ機構やカム機構、バネ機構等を動作させて位置決め作業を行う必要があると、ジャンクションブロックの位置決め支持作業が複雑化するという問題を生じる。
【0010】
また、ジャンクションブロックの上下それぞれにコネクタ接続部が設けられている場合には、ジャンクションブロックを一定位置に固定して、その上下両面側で一括して、各プローブピンを対応する各コネクタ端子に脱着する構成が想定される。
【0011】
この場合には、一定高さ位置に固定されたジャンクションブロックの上下両面側で各プローブピンを上下移動させて対応する各コネクタ端子に脱着する必要があり、上下それぞれにシリンダ等の昇降駆動機構が必要となり、コスト高を招くという問題を生じる。
【0012】
そこで、本発明の第1の課題は、ワークを容易に一定位置に精度よく支持できるようにすることであり、第2の課題は、ワークの一主面側及び他主面側のそれぞれに接続部がある場合でも、駆動源を減らして低コスト化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の態様は、ワークの一主面に設けられた接続部に、検査接続部を接続して検査を行う接続部検査装置であって、前記一主面を上方に向けた姿勢で前記ワークを載置状に支持し、セット高さ位置とそれよりも下方の位置決め高さ位置との間で昇降自在に支持されると共に、第1付勢手段により上方に付勢されたワークセット部と、下方に向けて内向き傾斜するガイド面を有し、前記ワークセット部が前記セット高さ位置から前記位置決め高さ位置へ下降するのに応じて、前記ガイド面を前記ワークの外周囲に摺接させて、前記ワークを予め設定されたセット位置に案内するワークガイド部と、前記ワークの一主面に設けられた接続部に接続可能な上側検査接続部と、前記上側検査接続部を前記ワークの一主面に設けられた接続部に向けて近接、離隔移動させる駆動手段と、前記駆動手段の駆動により前記上側検査接続部と共に下降し、前記上側検査接続部が前記駆動手段の下降駆動により前記接続部に接続されるのに先立って、前記ワークガイドにより前記ワークが前記セット位置に案内されるように、前記ワークを前記ワークセット部と共に前記第1付勢手段の付勢力に抗して下降させるワーク押え部と、を備えたものである。
【0014】
この場合に、ワーク押え部は、前記ワークの一主面に当接可能なワーク当接部を前記ワークの一主面に向けて進出退避自在に支持すると共に、第2付勢手段により進出方向に付勢する構成とされ、前記第2付勢手段の付勢力は、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記ワークを下降させることができ、かつ、前記ワークが前記ワークガイドにより前記セット位置に案内されるまで下降された状態で、前記ワーク当接部を退避させることができる程度の大きさに設定されていてもよい。
【0015】
また、ワークの一主面及び他主面のそれぞれに設けられた接続部に、検査接続部を接続して検査を行う場合においては、前記ワークセット部は、前記セット高さ位置と、前記位置決め高さ位置と、前記位置決め高さ位置よりもさらに下方の下方接続高さ位置との間で昇降自在に支持され、前記ワークガイドは、前記ワークを前記セット位置に案内した位置とそれよりも下方の位置との間で昇降自在で、かつ、ガイド付勢部材により上方に付勢されており、前記駆動手段の駆動により昇降し、前記駆動手段の下降駆動により前記上側検査接続部が前記ワークの一主面の接続部に接続された状態で、前記ワークセット部に当接して、前記ワークセット部を下降させるセット部押え部と、前記ワークセット部の下方に設けられ、前記セット部押え部により前記ワークセット部が前記下方接続高さ位置に下降されると、前記ワークセット部に支持されたワークの他主面に設けられた接続部に接続される下側検査接続部と、を備え、前記第2付勢手段の付勢力は、前記ガイド付勢部材の付勢力に抗して、前記ワークを下降させることができる程度の大きさに設定されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明の接続部検査装置によると、ワークをワークセット部上のおおよその位置に載置状にセットしておき、駆動手段の駆動により上側検査接続部を下降させると、上側検査接続部が接続部に接続されるのに先立って、ワーク押え部がワークを下降させる。これにより、ワークがワークガイドにより所定のセット位置に案内される。従って、ワークを容易に一定位置に精度よく支持できる。
【0017】
この場合に、ワーク押え部は、前記ワークの一主面に当接可能なワーク当接部を前記ワークの一主面に向けて進出退避自在に支持すると共に、第2付勢手段により進出方向に付勢する構成とされ、前記第2付勢手段の付勢力は、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記ワークを下降させることができ、かつ、前記ワークが前記ワークガイドにより前記セット位置に案内されるまで下降した状態で、前記ワーク当接部を退避させることができる程度の大きさに設定されていると、ワークを所定のセット位置に案内した後、ワークを一定高さ位置に支持して、上側検査接続部を接続部に接続できる。
【0018】
また、ワークの一主面及び他主面のそれぞれに設けられた接続部に、検査接続部を接続して検査を行う場合には、前記ワークセット部は、前記セット高さ位置と、前記位置決め高さ位置よりもさらに下方の下方接続高さ位置との間で昇降自在に支持され、前記ワークガイドは、前記ワークを前記セット位置に案内した位置とそれよりも下方の位置との間で昇降自在で、かつ、ガイド付勢部材により上方に付勢されており、前記駆動手段の駆動により昇降し、前記駆動手段の下降駆動により前記上側検査接続部が前記ワークの一主面の接続部に接続された状態で、前記ワークセット部に当接して、前記ワークセット部を下降させるセット部押え部と、前記ワークセット部の下方に設けられ、前記セット部押え部により前記ワークセット部が前記下方接続高さ位置に下降されると、前記ワークセット部に支持されたワークの他主面に設けられた接続部に接続される下側検査接続部と、を備え、前記第2付勢手段の付勢力は、前記ガイド付勢部材の付勢力に抗して、前記ワークを下降させることができる程度の大きさに設定された構成とすることで、単一の駆動手段の駆動により、まず、ワークを所定のセット位置に案内した後、ワークの一主面側の接続部に上側検査接続部を接続し、さらに、その後、ワークを押下げて、ワークの他主面側の接続部に下側検査接続部を接続できる。つまり、ワークの一主面側の接続部に上側検査接続部を接続した状態で、セット部押え部がワークセット部に当接して、該ワークセット部を下降させる。また、ワーク押え部は、ガイド付勢部材の付勢力に抗して、ワークを下降させる。これにより、ワークの他主面側の接続部に下側検査接続部が接続される。
【0019】
従って、単一の駆動手段によってワークの一主面側及び他主面側のそれぞれの接続部に検査接続部を接続することができ、駆動源を減らして低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態に係る接続部検査装置について説明する。
【0021】
図1は、接続部検査装置の全体構成を示す図である。この接続部検査装置は、ジャンクションブロック等のワーク100に設けられたコネクタ接続部110,112を検査するための装置である。
【0022】
すなわち、自動車等では、電気的な配線を集約したり、分岐したりするためにジャンクションブロックが用いられる。ジャンクションブロックは、樹脂等で形成されたハウジング内に、電線やバスバー等で構成される配線回路が収容配置された構成とされている。また、ジャンクションブロックには、端子部を有するコネクタ接続部が複数設けられており、このコネクタ接続部に、リレーやヒューズ、外部配線側のコネクタ等が接続されるようになっている。
【0023】
本実施形態では、ワーク100として、上記のようなジャンクションブロックを想定している。このワーク100は、略直方体形状を有しており、その一主面側(上面側)及びこれとは反対側の他主面側(下面側)のそれぞれに、接続部としてコネクタ接続部110,112が設けられている。そして、各コネクタ接続部110,112に後述する上側検査接続部40、下側検査接続部60を接続することで、各コネクタ接続部110,112の検査、例えば、各コネクタ接続部110,112における端子部110a,112aの導通検査等がなされる。
【0024】
この接続部検査装置は、ワーク100を支持する機構として、ワークセット部10及びセット部支持機構20を備え、ワーク100をガイドする機構としてワークガイド部30及びガイド支持機構35を備えている。また接続部検査装置は、ワーク100の一主面側(上面側)のコネクタ接続部110を検査するための上側検査接続部40を備えると共に、この上側検査接続部40を昇降させ、かつ、適宜タイミングにてワーク100及びワークセット部10を昇降させる機構として、昇降駆動部45及びワーク押え部50、セット部押え部58を備えている。さらに、本接続部検査装置は、ワーク100の他主面側(下面側)のコネクタ接続部112を検査するための下側検査接続部60を備えている。
【0025】
本接続部検査装置では、概略的には、上記昇降駆動部45の下降動作により、はじめに、ワーク100が下降して所定のセット位置へ案内される。そして、ワーク100が所定のセット位置に案内された状態で、上側検査接続部40がワーク100の一主面側のコネクタ接続部110に接続され、この後、下側検査接続部60がワーク100の他主面側のコネクタ接続部112に接続されるようになっている。
【0026】
各構成要素について、より詳細に説明する。
【0027】
図2はワークセット部10を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、ワークセット部10は、上記ワーク100の一主面を上方に向けた姿勢で、当該ワーク100を載置状に支持可能に構成されている。
【0028】
ここでは、ワークセット部10は、ワーク100よりも大きな略方形板状に形成されており、その略中央部にワーク100が載置されるように構成されている。また、このワークセット部10の略中央部には、ワーク100の他主面側の各コネクタ接続部112を下向きに露出させる開口部10hが形成されている。後述する各下側検査接続部60は、当該開口部10hを通じて各コネクタ接続部112に接続されるようになっている。
【0029】
また、ワークセット部10のうちワーク100を囲う位置に、後述する各ワークガイド部30に対応してガイド用孔部11hが形成されている。各ガイド用孔部11hは、後述するワークガイド部30を挿通可能な形状、ここでは、細長長方形状に形成されている。そして、ワークセット部10が下降すると、ワークガイド部30が本ガイド用孔部11hを通ってワークセット部10の上方に突出し、ワーク100を所定のセット位置にガイドする構成となっている(図7参照)。
【0030】
また、ワークセット部10の外周囲には、位置決めストッパ18が垂設されている。そして、ワークセット部10が後述する下方接続高さ位置L3まで下降した状態で、位置決めストッパ18が、基材80側のストッパ81に当接して、ワークセット部10の下降移動を規制する構成となっている(図5参照)。
【0031】
セット部支持機構20は、図1に示すように、ワークセット部10を昇降自在に支持すると共に、上方に付勢する構成とされている。すなわち、セット部支持機構20は、基材80に立設されたセット部支持柱部22と、このセット部支持柱部22に巻付けられた第1付勢手段としてのコイルバネ24とを備えている。
【0032】
セット部支持柱部22は、ワークセット部10の外周部にスライド自在に挿通されており、これにより、ワークセット部10が所定のセット高さ位置L1(図1参照)と、そのセット高さ位置L1よりも下方の位置決め高さ位置L2(図3及び図4参照)と、その位置決め高さ位置L2よりもさらに下方の下方接続高さ位置L3(図5参照)との間で昇降自在に支持されることとなる。なお、ワークセット部10を略水平姿勢で昇降自在に支持できるように、セット部支持柱部22は複数本設けられているが、図1等では、1本のみを図示している。
【0033】
また、コイルバネ24は、基材80とワークセット部10との間に圧縮状に介在配置されており、このコイルバネ24の弾性復元力により、ワークセット部10が上方に付勢されている。
【0034】
ワークガイド部30は、下方に向けて内向き傾斜するガイド面30aを有する部材に形成されている。そして、上記ワークセット部10がセット高さ位置L1から位置決め高さ位置L2へ下降するのに応じて、ガイド面30aをワーク100の外周囲に摺接させて、該ワーク100を予め設定されたセット位置、即ち、上側検査接続部40及び下側検査接続部60を接続するのに適した水平方向における所定のセット位置に案内する構成となっている。
【0035】
より具体的には、ワークガイド部30は、断面略L字状の長尺部材に形成されており、その内側の上向き面がワーク100の底面の各辺部分を支承するワーク受面30bに形成されている。また、ワークガイド部30の内側の側面が、ワーク100の各側面に対向すると共に、下方に向けて内向き傾斜するガイド面30aに形成されている。
【0036】
そして、ワーク100が下降することで、ワーク100の側面がガイド面30aに摺接しつつ、所定のセット位置に向けて案内される。最終的には、ワーク100がガイド面30aにより4方を囲まれて所定のセット位置に案内された状態で、ワーク受面30b上に載置されることになる。
【0037】
なお、本実施形態では、ワークガイド部30は、ワーク100の4辺をガイドしてセット位置に導く構成としているが、ワーク100の所定の対辺や、少なくとも2つのコーナー部等をガイドして、セット位置に導く構成とされていてもよい。
【0038】
また、ガイド支持機構35は、ワークガイド部30を、ガイド上位置M1とガイド下位置M2との間で昇降自在に支持すると共に、ワークガイド部30を上方に付勢する構成とされている。
【0039】
すなわち、ガイド支持機構35は、基材80上に固設された基台82に立設されたガイド支持柱部36と、このガイド支持柱部36に巻付けられたガイド付勢手段としてのコイルバネ37とを備えている。
【0040】
ガイド支持柱部36は、基台82から上方に向けて進出退避移動自在に設けられており、このガイド支持柱部36の上端部にワークガイド部30が取付けられている。これにより、ワークガイド部30は、ワークセット部10が位置決め高さ位置L2に位置する状態で、ワーク100の位置決めガイドを行うガイド上位置M1(図3及び図4参照)と、ワークセット部10が下方接続高さ位置L3まで下降した状態で、ワーク100の位置決めを行うガイド下位置M2との間で、昇降自在に支持されることとなる。
【0041】
また、コイルバネ37は、基台82とワークガイド部30との間に圧縮介在配置されており、このコイルバネ37の弾性復元力により、ワークガイド部30が上方に付勢されている。
【0042】
また、上記基材80上に、支柱83を介して上方支持ブラケット84が支持されており、この上方支持ブラケット84に、周知のスライド支持機構85を介して昇降自在に、可動ブラケット86が支持されている。
【0043】
この可動ブラケット86に、上側検査接続部40が取付けられている。上側検査接続部40は、ワークガイド部30の上側のコネクタ接続部110に接続可能に構成されている。
【0044】
より具体的には、ワーク100の主面に設けられた各コネクタ接続部110に対応して複数の上側検査接続部40が設けられている。各上側検査接続部40は、対応する各コネクタ接続部110に一括して接続可能な位置及び姿勢で、可動ブラケット86に垂下状に固定されている。
【0045】
また、各上側検査接続部40は、コネクタ接続部110の各端子部110aに接続可能なプローブピン40aを備えている。そして、各上側検査接続部40を対応するコネクタ接続部110に接続することで、各プローブピン40aが対応する各端子部110aに電気的に接続され、これにより、接続部の検査、例えば、導通検査回路による各端子部110aの導通検査がなされるようになっている。
【0046】
また、上方支持ブラケット84に、上側検査接続部40をワーク100の一主面のコネクタ接続部110に向けて近接、離隔移動させる駆動手段として、昇降駆動部45が設けられている。
【0047】
より具体的には、昇降駆動部45は、エアシリンダ等により構成されており、その進退ロッド45aの進出退避駆動によって、上記可動ブラケット86を昇降駆動させる構成となっている。そして、昇降駆動部45の駆動により、可動ブラケット86を下降させると、各上側検査接続部40が下降して対応する各コネクタ接続部110に接続される(図4参照)。
【0048】
また、ワーク押え部50は、昇降駆動部45の駆動により上側検査接続部40と共に下降し、上側検査接続部40がコネクタ接続部110に接続されるのに先立って、ワーク100がワークガイド部30により前記セット位置に案内されるように、ワーク100をワークガイド部30と共に下降させるように構成されている。
【0049】
より具体的には、ワーク押え部50は、可動ブラケット86に垂下状に設けられたワーク押え支持機構55と、このワーク押え支持機構55の先端部に設けられたワーク当接部51とを有している。
【0050】
そして、可動ブラケット86の下降により、ワーク当接部51がワーク100の一主面であってコネクタ接続部110が配設されていない箇所に当接して、該ワーク100を下方に向けて押込む構成となっている。
【0051】
また、ワーク押え支持機構55は、可動ブラケット86から垂下するように、進出退避自在とされたワーク押え支持柱部56と、ワーク当接部51を進出方向(下方向)に向けて付勢する第2付勢手段として、コイルバネ57とを備えている。
【0052】
上記ワーク押え支持柱部56の下端部には、ワーク当接部51が取付けられており、ワーク押え部50は、所定の進出量N1で進出した状態と所定の退避量N2に退避した状態との間で進出退避自在とされている。そして、ワーク押え部50が所定の進出量N1で進出した状態では、上側検査接続部40がコネクタ接続部110に接続される前の状態でワーク当接部51がワーク100の一主面に当接する(図3参照)。また、ワーク押え部50が所定の退避量N2に退避した状態で、上側検査接続部40がコネクタ接続部110に接続される状態となる(図4及び図5参照)。
【0053】
また、コイルバネ57は、可動ブラケット86とワーク当接部51との間に圧縮介在配置されており、このコイルバネ57の弾性復元力により、ワーク当接部51が進出方向に付勢されている。
【0054】
そして、可動ブラケット86の下降により、ワーク当接部51がワーク100の一主面(上面)に当接すると、コイルバネ24の付勢力に抗してワーク100を下降させることができるようになっている。また、ワーク100がワークガイド部30によりセット位置に案内されるまで下降された状態、即ち、ワークセット部10が位置決め高さ位置L2まで下降して、ワーク100がワークガイド部30のワーク受面30b上に載置された状態から、さらに、可動ブラケット86を下降させると、両コイルバネ24,37の付勢力に屈してワーク押え部50が退避するように構成されている。さらに、上側検査接続部40がコネクタ接続部110に接続されて、セット部押え部58がワークセット部10に当接してこれを下降させる状態では、コイルバネ37による付勢力に抗して、ワーク100を下降させることができるように構成されている。
【0055】
すなわち、コイルバネ57による付勢力は、各コイルバネ24、コイルバネ37による個々の付勢力よりも大きく、かつ、両コイルバネ24,37の付勢力の合力よりは小さくなるように設定されている。
【0056】
また、可動ブラケット86には、セット部押え部58が垂設されている。セット部押え部58は、長尺棒状に形成されており、上側検査接続部40がワーク100のコネクタ接続部110に接続された状態で、ワークセット部10に当接する程度の長さ寸法に形成されている。そして、昇降駆動部45の下降駆動により、上側検査接続部40がワーク100のコネクタ接続部110に接続された後、さらに、可動ブラケット86を下降させると、セット部押え部58がワークセット部10を下方に押してこれを下降させるように構成されている。
【0057】
また、下側検査接続部60は、ワークセット部10の下方に設けられ、セット部押え部58によりワークセット部10が下方接続高さ位置L3に下降されると、ワークセット部10に支持されたワーク100の他主面に設けられたコネクタ接続部112に接続されるように構成されている。
【0058】
ここでは、下側検査接続部60は、ワーク100の他主面(下面)に設けられた各コネクタ接続部112に対応して複数設けられている。各下側検査接続部60は、対応する各コネクタ接続部112に一括して接続可能な位置及び姿勢で、基台82上に固定されている。
【0059】
各下側検査接続部60は、上記上側検査接続部40と同様構成にて、接続部の検査、例えば、導通検査回路による各端子部112aの導通検査を行う。
【0060】
このように構成された接続部検査装置による検査動作について説明する。
【0061】
まず、初期状態では、図1に示すように、昇降駆動部45の進退ロッド45aは退避しており、従って、ワークセット部10は上方のセット高さ位置L1に、ワークガイド部30も上方のガイド上位置M1に位置しており、また、ワーク押え部50は所定の進出量N1に進出した状態となっている。
【0062】
この状態で、コネクタ接続部110を上方に向けた姿勢で、ワーク100をワークセット部10上に載置する。この際、図6(a)及び図6(b)に示すように、ワーク100をワークセット部10上であってガイド用孔部11hで囲まれたおおよその位置に載置するだけでよく、正確な一定位置に載置する必要はない。
【0063】
この後、図3に示すように、昇降駆動部45の駆動により可動ブラケット86を下降させると、まず、最初に、ワーク押え部50の先端部のワーク当接部51がワーク100の一主面(上面)に当接する。これにより、コイルバネ24による付勢力に抗して、ワーク100がワークガイド部30のワーク受面30b上に載置されるまで下降すると共に、ワークセット部10が位置決め高さ位置L2まで下降する。この際、ワーク100の外周囲がワークガイド部30のガイド面30aに摺接することで、図3及び図7(a)及び図7(b)に示すように、ワーク100が所定のセット位置に向けて案内されることになる。
【0064】
昇降駆動部45の駆動により、ワーク100がワークガイド部30のワーク受面30b上に載置されるまで下降すると、コイルバネ57による付勢力がコイルバネ24,37による付勢力に屈するようになる。これにより、図4に示すように、ワーク押え部50が退避量N2まで退避しつつ、上側検査接続部40が下降する。つまり、ワーク100を一定の高さ位置に配設した状態で、上側検査接続部40が下降し、各上側検査接続部40が対応する各コネクタ接続部110に接続されることになる。
【0065】
そして、各上側検査接続部40が対応する各コネクタ接続部110に正規に接続された状態で、セット部押え部58がワークセット部10に当接するようになる。
【0066】
この状態から、さらに昇降駆動部45の駆動により可動ブラケット86を下降させると、セット部押え部58がコイルバネ24の付勢力に抗してワークセット部10を下降させる。これに合わせて、ワーク押え部50がワーク100を押圧して、コイルバネ37の付勢力に抗してワーク100を下降させる。
【0067】
この際、ワーク100は、ワークセット部10及びワークガイド部30と共に下降するので、水平面内におけるセット位置に配設されたままで下降する。
【0068】
そして、図5に示すように、ワークセット部10が下方接続高さ位置L3まで下降すると共に、ワークガイド部30がガイド下位置M2に下降したときに、ワーク100の他面側(下面側)のコネクタ接続部112に、下側検査接続部60が接続されることになる。
【0069】
この接続状態で、位置決めストッパ18がストッパ81に当接して、ワークセット部10のそれ以上の下降移動が規制される。
【0070】
上記のようにして、ワーク100の一主面側(上面側)のコネクタ接続部110に上側検査接続部40が接続されると共に、ワーク100の他主面側(下主面側)のコネクタ接続部112に下側検査接続部60が接続されることで、各コネクタ接続部110,112の検査、例えば、各端子部110a,112aの導通検査等がなされることになる。
【0071】
以上のように構成された接続部検査装置によると、ワーク100をワークセット部10上のおおよその適当な位置に載置状にセットしておき、昇降駆動部45の駆動により上側検査接続部40を下降させると、上側検査接続部40が上側のコネクタ接続部110に接続されるのに先立って、ワーク押え部50がワーク100を下降させる。ワーク100が下降されることにより、該ワーク100がワークガイド部30により所定のセット位置に案内される。このように、ワーク100をワークセット部10上のおおよその位置にセットすることで、該ワーク100が所定のセット位置に案内されることになり、ワーク100を容易に一定位置に精度よく支持できる。
【0072】
この場合に、ワーク押え部50を進出方向に付勢するコイルバネ57による付勢力は、コイルバネ37の付勢力に抗してワーク100を下降させることができ、かつ、ワーク100がワークガイド部30によりセット位置に案内されるまで下降した状態で、ワーク当接部51を退避させることができる程度の大きさに設定されているため、ワーク100を所定のセット位置に案内した後、ワーク100を一定高さ位置に支持でき、また、この安定した状態で、上側検査接続部40を上側のコネクタ接続部110により正確に接続できる。
【0073】
しかも、コイルバネ57による付勢力は、コイルバネ37の付勢力に抗してワーク100を下降させることができる程度の大きさに設定され、上側検査接続部40がワーク100の一主面のコネクタ接続部110に接続された状態で、ワークセット部10に当接して、該ワークセット部10を下降させるセット部押え部58を備えているので、ワーク100の一主面側のコネクタ接続部110に上側検査接続部40を接続すると、セット部押え部58がワークセット部10に当接して、該ワークセット部10を下降させる。また、ワーク押え部50は、コイルバネ37の付勢力に抗して、ワーク100を下降させる。これにより、ワーク100の他主面側のコネクタ接続部112に下側検査接続部60が接続される。
【0074】
従って、単一の昇降駆動部45の駆動により、まず、ワーク100を所定のセット位置に案内した後、ワーク100の一主面側のコネクタ接続部110に上側検査接続部40を接続し、さらに、その後、ワーク100を押下げて、ワーク100の他主面側のコネクタ接続部112に下側検査接続部60を接続できる。
【0075】
よって、単一の駆動手段である昇降駆動部45によってワーク100の一主面側及び他主面側のそれぞれのコネクタ接続部110,112に順次検査接続部40,60を接続することができ、駆動源を減らして低コスト化を図ることができる。
【0076】
{変形例}
図8〜図9は、変形例に係る接続部検査装置及びその動作を示す図である。
【0077】
この接続部検査装置が、上記実施形態に係る接続部検査装置と異なる部分を説明する。
【0078】
この接続部検査装置は、上記実施形態における上側検査接続部40及び下側検査接続部60の代りに、上側アライメントゲージ140及び下側アライメントゲージ160を備えている。
【0079】
上側アライメントゲージ140は、ワーク100の一主面側(上面側)の各コネクタ接続部110に対応して複数設けられている。各上側アライメントゲージ140は、図12に示すように、略直方体状の本体部140aに、コネクタ接続部110側の端子部110aを挿入可能な凹部140hが形成された構成とされている。そして、図13に示すように、各上側アライメントゲージ140は、対応する各コネクタ接続部110であって正常形態のものには機械的に嵌合可能に構成されている。また、図14に示すように、各上側アライメントゲージ140は、各コネクタ接続部110内の端子部110aの位置が所定位置よりずれていたり、或は、曲っていたりする等、不良形態の各コネクタ接続部110には嵌合できないように構成されている。
【0080】
また、各上側アライメントゲージ140は、支持棒145により、可動ブラケット86から下方に向けて進出退避移動自在に支持されると共に、付勢手段であるコイルバネ146により進出方向に付勢されている。
【0081】
さらに、支持棒145の基端側には、該支持棒145の退避状態を検出する近接センサ等の検知手段145aが設けられている。
【0082】
そして、図8及び図9に示すように、上記実施形態と同様にして可動ブラケット86を下降させる。すると、図10に示すように、正常形態のコネクタ接続部110に対しては、対応する上側アライメントゲージ140を嵌合できる(図13参照)。一方、不良形態のコネクタ接続部110に対しては、対応する上側アライメントゲージ140を嵌合できず(図10で左から2番目のコネクタ接続部110、図14参照)、上側アライメントゲージ140が退避する。この所定の上側アライメントゲージ140の退避状態が、上記検知手段145aによって検知され、対応するコネクタ接続部110の不良が検出される。
【0083】
また、下側アライメントゲージ160は、ワーク100の他主面側(下面側)の各コネクタ接続部112に対応して複数設けられている。また、各下側アライメントゲージ160は、上記上側アライメントゲージ140と同様に、正常形態の各コネクタ接続部112に対しては嵌合可能であり、不良形態のコネクタ接続部112に対しては嵌合できないように構成されている。
【0084】
また、各下側アライメントゲージ160は、支持棒165により、基台82から上方に向けて進出退避移動自在に支持されると共に、付勢手段であるコイルバネ166により進出方向に付勢されている。
【0085】
また、支持棒165の基端側には、該支持棒165の退避状態を検出する近接センサ等の検知手段165aが設けられている。
【0086】
そして、上記実施形態と同様に、ワーク100を下降させて、各下側アライメントゲージ160を対応する各コネクタ接続部112に嵌合させる。この際、図11に示すように、正常形態のコネクタ接続部112に対しては、対応する下側アライメントゲージ160を嵌合できる。一方、不良形態のコネクタ接続部112に対しては、対応する下側アライメントゲージ160を嵌合できず(図11で左から2番目のコネクタ接続部112参照)、下側アライメントゲージ160が退避する。この所定の下側アライメントゲージ160の退避状態が、上記検知手段165aによって検知され、対応するコネクタ接続部112の不良が検出される。
【0087】
なお、本変形例の他の構成は、上記実施形態で説明したものと同様である。
【0088】
このように、本接続部検査装置は、実施形態で説明したように、端子部の導通検査を行う他、変形例のように、アライメント等の配置、形状に関する検査についても適用できる。要するに、所定のワークの接続部に、検査用の接続部を接続(電気的な接続、機械的な嵌合による接続を含む)して検査を行う、種々の検査に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】接続部検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】ワークセット部を示す斜視図である。
【図3】接続部検査装置の動作のうちワークがセット位置に案内される状態を示す図である。
【図4】接続部検査装置の動作のうち上側のコネクタ接続部に検査接続部が接続される状態を示す図である。
【図5】接続部検査装置の動作のうち下側のコネクタ接続部に検査接続部が接続される状態を示す図である。
【図6】図6(a)はワークセット部にワークを載置状にセットした状態を示す平面図であり、図6(b)は図6(a)のVIB−VIB線断面図である。
【図7】図7(a)はワークが所定のセット位置に案内された状態を示す平面図であり、図7(b)は図7(a)のVIIB−VIIB線断面図である。
【図8】変形例に係る接続部検査装置の初期状態を示す図である。
【図9】同上の接続部検査装置の動作のうちワークがセット位置に案内される状態を示す図である。
【図10】同上の接続部検査装置の動作のうち上側のコネクタ接続部にアライメントゲージが嵌合される状態を示す図である。
【図11】同上の接続部検査装置の動作のうち下側のコネクタ接続部にアライメントゲージが嵌合される状態を示す図である。
【図12】アライメントゲージを示す斜視図である。
【図13】アライメントゲージと正常形態のコネクタ接続部との関係を示す図である。
【図14】アライメントゲージと不良形態のコネクタ接続部との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
10 ワークセット部
20 セット部支持機構
24 コイルバネ
30 ワークガイド部
30a ガイド面
30b ワーク受面
35 ガイド支持機構
37 コイルバネ
40 上側検査接続部
45 昇降駆動部
50 ワーク押え部
55 ワーク押え支持機構
57 コイルバネ
58 セット部押え部
60 下側検査接続部
85 スライド支持機構
86 可動ブラケット
100 ワーク
110,112 コネクタ接続部
140 上側アライメントゲージ
160 下側アライメントゲージ
L1 セット高さ位置
L2 位置決め高さ位置
L3 下方接続高さ位置
M1 ガイド上位置
M2 ガイド下位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの一主面に設けられた接続部に、検査接続部を接続して検査を行う接続部検査装置であって、
前記一主面を上方に向けた姿勢で前記ワークを載置状に支持し、セット高さ位置とそれよりも下方の位置決め高さ位置との間で昇降自在に支持されると共に、第1付勢手段により上方に付勢されたワークセット部と、
下方に向けて内向き傾斜するガイド面を有し、前記ワークセット部が前記セット高さ位置から前記位置決め高さ位置へ下降するのに応じて、前記ガイド面を前記ワークの外周囲に摺接させて、前記ワークを予め設定されたセット位置に案内するワークガイド部と、
前記ワークの一主面に設けられた接続部に接続可能な上側検査接続部と、
前記上側検査接続部を前記ワークの一主面に設けられた接続部に向けて近接、離隔移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動により前記上側検査接続部と共に下降し、前記上側検査接続部が前記駆動手段の下降駆動により前記接続部に接続されるのに先立って、前記ワークガイドにより前記ワークが前記セット位置に案内されるように、前記ワークを前記ワークセット部と共に前記第1付勢手段の付勢力に抗して下降させるワーク押え部と、
を備えた接続部検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の接続部検査装置であって、
ワーク押え部は、
前記ワークの一主面に当接可能なワーク当接部を前記ワークの一主面に向けて進出退避自在に支持すると共に、第2付勢手段により進出方向に付勢する構成とされ、
前記第2付勢手段の付勢力は、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記ワークを下降させることができ、かつ、前記ワークが前記ワークガイドにより前記セット位置に案内されるまで下降された状態で、前記ワーク当接部を退避させることができる程度の大きさに設定されている、接続部検査装置。
【請求項3】
ワークの一主面及び他主面のそれぞれに設けられた接続部に、検査接続部を接続して検査を行う請求項1又は請求項2記載の接続部検査装置であって、
前記ワークセット部は、前記セット高さ位置と、前記位置決め高さ位置と、前記位置決め高さ位置よりもさらに下方の下方接続高さ位置との間で昇降自在に支持され、
前記ワークガイドは、前記ワークを前記セット位置に案内した位置とそれよりも下方の位置との間で昇降自在で、かつ、ガイド付勢部材により上方に付勢されており、
前記駆動手段の駆動により昇降し、前記駆動手段の下降駆動により前記上側検査接続部が前記ワークの一主面の接続部に接続された状態で、前記ワークセット部に当接して、前記ワークセット部を下降させるセット部押え部と、
前記ワークセット部の下方に設けられ、前記セット部押え部により前記ワークセット部が前記下方接続高さ位置に下降されると、前記ワークセット部に支持されたワークの他主面に設けられた接続部に接続される下側検査接続部と、
を備え、
前記第2付勢手段の付勢力は、前記ガイド付勢部材の付勢力に抗して、前記ワークを下降させることができる程度の大きさに設定されている、接続部検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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