説明

接触位置センサおよび表示装置

【課題】接触位置の検出精度の高い接触位置センサおよび表示装置を提供する。
【解決手段】マトリクス状に配置された複数の表示画素からなる表示部を備えた表示パネルPNLと、透明絶縁性基板と、透明絶縁性基板上に配置された透明電極群EXYと、透明電極群EXYに流れる電流を検出する電流検出手段と、を備えた接触位置センサSSと、を備え、透明電極群EXYは、第1方向D1に延びる複数の第1電極EXと、複数の第1電極EXと絶縁層を介して交差配置された第2方向D2に延びる複数の第2電極EYとを備え、第1電極EXは、第1方向D1に延びる第1軸電極部10と、第1軸電極部10から延びる第1枝電極部12とを備え、隣接して配置された第1電極EXの第1枝電極部12は、共通する検出領域に配置されている表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接触位置センサおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、接触位置センサが搭載された表示装置が広く知られている。接触位置センサは、例えば指先等の接触体が接触した接触位置を検出するように構成されている。
【0003】
接触位置センサは、その動作原理によって、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式、及び電磁誘導方式等に分類される。その中でも、静電容量方式の接触位置センサは、表示装置の光学特性を比較的損ない難いため、表示装置に好適である。
【0004】
静電容量方式の接触位置センサは、一般に、表示パネルを覆うように設けられる位置検出用透明電極と、位置検出用透明電極の周縁部分に設けられた複数の電極端子と、電極端子を流れる電流を検出する電流検出回路とを有している。
【0005】
使用者が接触位置センサに接触すると、位置検出用透明電極は、接触された地点で位置検出用透明電極の静電容量や電荷量に変化が生じる。この変化が電流検出回路によって検出されることにより、利用者が接触した位置を検出している。
【0006】
上記のような接触位置センサが表示装置に搭載される場合、表示装置の表示画面内の領域での接触位置の検出制度を向上させるために、X方向に延びる複数の行配線と、Y方向に延びる複数の列配線とを配置し、行配線と列配線との配線間距離で規定される検出領域に、静電容量の変化量を増大するように、行配線に接続された検出行配線と、列配線に接続された検出列配線とが設けられた静電容量センサが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−30840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のように行電極と列電極とを配置すると、縦横の検出配線群で接触位置の座標検出する場合、配線本数に応じたピッチでしか分解能が無い。単純に分解能をあげようとすると検出配線群本数を増やす必要があるが、その場合には、検出ICの接続本数が増える(コストUP)など制約があり、製造コストを低減させることが困難であった。
【0009】
例えば、第1方向に延びる第1電極と、第2方向に延びる第2電極とが配置されている場合に、利用者が第1方向および第2方向と交差する方向に接触すると、第1電極と第2電極との配線本数に応じたピッチでしか接触位置を検出することができず、検出精度を上げることが困難であった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであって、接触位置の検出精度の高い接触位置センサおよび表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様による表示装置は、マトリクス状に配置された複数の表示画素からなる表示部を備えた表示パネルと、透明絶縁性基板と、前記透明絶縁性基板上に配置された透明電極群と、前記透明電極群に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備えた接触位置センサと、を備え、前記透明電極群は、第1方向に延びる複数の第1電極と、前記複数の第1電極と絶縁層を介して交差配置された第2方向に延びる複数の第2電極とを備え、前記第1電極は、第1軸電極部と、前記第1軸電極部から延びる第1枝電極部とを備え、前記第2電極は、前記第1軸電極部と対向して配置された第2軸電極部と、前記第1枝電極部と対向して配置された第2枝電極部と、を備え、隣接して配置された前記第1電極の前記第1枝電極部は、共通する検出領域に配置されている表示装置である。
【0012】
本発明の第2態様による表示装置は、マトリクス状に配置された複数の表示画素からなる表示部を備えた表示パネルと、透明絶縁性基板と、前記透明絶縁性基板上に配置された透明電極群と、前記透明電極群に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備えた接触位置センサと、を備え、前記透明電極群は、第1方向に延びる複数の第1電極と、前記複数の第1電極と絶縁層を介して交差配置された第2方向に延びる複数の第2電極とを備え、前記第1電極は、第1軸電極部と、前記第1軸電極部から延びる第1枝電極部とを備え、前記第2電極は、第2軸電極部と、前記第2軸電極部から延びる第2枝電極部とを備え、隣接して配置された前記第1電極の前記第1枝電極部は、共通する検出領域に配置され、隣接して配置された前記第2電極の前記第2枝電極部は、共通する検出領域に配置されている表示装置である。
【0013】
本発明の第3態様による接触位置センサは、透明絶縁性基板と、前記透明絶縁性基板上に配置された透明電極群と、前記透明電極群に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備え、前記透明電極群は、第1方向に延びる複数の第1電極と、前記複数の第1電極と絶縁層を介して交差配置された第2方向に延びる複数の第2電極とを備え、前記第1電極は、第1軸電極部と、前記第1軸電極部から延びる第1枝電極部とを備え、前記第2電極は、前記第1軸電極部と対向して配置された第2軸電極部と、前記第1枝電極部と対向して配置された第2枝電極部と、を備え、隣接して配置された前記第1電極の前記第1枝電極部は、共通する検出領域に配置されている接触位置センサである。
【0014】
本発明の第4態様による接触位置センサは、透明絶縁性基板と、前記透明絶縁性基板上に配置された透明電極群と、前記透明電極群に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備え、前記透明電極群は、第1方向に延びる複数の第1電極と、前記複数の第1電極と絶縁層を介して交差配置された第2方向に延びる複数の第2電極とを備え、前記第1電極は、第1軸電極部と、前記第1軸電極部から延びる第1枝電極部とを備え、前記第2電極は、第2軸電極部と、前記第2軸電極部から延びる第2枝電極部とを備え、隣接して配置された前記第1電極の前記第1枝電極部は、共通する検出領域に配置され、隣接して配置された前記第2電極の前記第2枝電極部は、共通する検出領域に配置されている接触位置センサである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接触位置の検出精度の高い接触位置センサおよび表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る接触位置センサを備える表示装置の構成例を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る接触位置センサの透明電極群の一構成例を説明するための図である。
【図3】図2に示す透明電極群の第1電極の一構成例を説明するための図である。
【図4】図2に示す透明電極群の第2電極の一構成例を説明するための図である。
【図5】図3に示す第1電極と図4に示す第2電極との配置の一例について説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る接触位置センサの透明電極群の一構成例を説明するための図である。
【図7】図6に示す透明電極群の第1電極の一構成例を説明するための図である。
【図8】図6に示す透明電極群の第2電極の一構成例を説明するための図である。
【図9】図7に示す第1電極と図8に示す第2電極との配置の一例について説明するための図である。
【図10】第1比較例に係る接触位置センサの透明電極群の一構成例を説明するための図である。
【図11】図10に示す接触位置センサの断面の一例を説明するための図である。
【図12】第2比較例に係る接触一戦さの透明電極群の一構成例を説明するための図である。
【図13】第1比較例に係る接触位置センサの検出結果の一例を説明するための図である。
【図14】第2比較例に係る接触位置センサの検出結果の一例を説明するための図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る接触位置センサの検出結果の一例を説明するための図である。
【図16】第1比較例に係る接触位置センサの検出結果の他の例を説明するための図である。
【図17】第2比較例に係る接触位置センサの検出結果の他の例を説明するための図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係る接触位置センサの検出結果の他の例を説明するための図である。
【図19】本発明の第3実施形態に係る接触位置センサの第1電極の一構成例を説明するための図である。
【図20】本発明の第3実施形態に係る接触位置センサの第2電極の一構成例を説明するための図である。
【図21】図19に示す第1電極と図20に示す第2電極との配置の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る表示装置は、表示パネルPNLと、接触位置センサSSとを備えている。表示パネルPNLは、マトリクス状に配置された複数の表示画素(図示せず)からなる表示部DYPを備えている。表示パネルPNLの一端には、表示パネルPNLに信号を供給するための回路基板C1が接続されている。表示パネルPNLは、例えば、一対の基板と、この一対の基板間に挟持された液晶層とを備えた表示パネルPNLである。
【0018】
接触位置センサSSは、表示パネルPNLの表示部DYPと対向するように配置されている。接触位置センサSSは、透明絶縁性基板と、マトリクス状に配置された検出領域を構成するように配置された透明電極群EXYとを備えている。透明電極群EXYは、表示パネルPNLの表示部DYPを覆うように配置されている。接触位置センサSSの一端には、接触位置センサSSの透明電極群EXYから信号を取り出す回路基板C2が接続されている。
【0019】
接触位置センサSSは、図2に示すような透明電極群EXYを備えている。接触位置センサSSの検出領域は、例えば図2の点線で囲む枠内の領域である。透明電極群EXYは、第1方向D1に延びる複数の第1電極EX(EX1、EX2、EX3…)と、第2方向D2に延びる複数の第2電極EY(EY1、EY2、EY3…)とを備えている。第1方向D1と第2方向D2とは略直交する方向である。第1電極EXと第2電極EYとは、透明絶縁性基板間において、絶縁層を介して配置されている。
【0020】
第1電極EXは、透明絶縁性基板の端部に配置された第1電極端子(図示せず)に電気的に接続されている。第2電極EYは、透明絶縁性基板の端部に配置された第2電極端子(図示せず)に電気的に接続されている。
【0021】
図3に示すように、第1電極EXは、第1方向D1に延びる第1軸電極部10と、第1軸電極部10から第2方向D2に延びる第1枝電極EXAを含む枝電極部12とを備えている。第1軸電極部10は、第1方向D1に延びる第1軸電極EXBと、第1軸電極EXBから渦巻き状に延びる第1渦巻き電極EXCとを備えている。第1枝電極EXAは第1渦巻き電極EXCから延びている。
【0022】
枝電極部12が配置される検出領域は、隣接する第1電極EXの枝電極部12が配置される検出領域と重複し、第1枝電極EXAは、隣接する第1電極EXの第1枝電極EAXと間隔を置いて厚さ方向D3において重ならないように配置される。
【0023】
図4に示すように、第2電極EYは、第2方向D2に延びる第2軸電極EYBと、第2軸電極EYBから延びる第2枝電極EYAと、渦巻き状に延びる第2渦巻き電極EYCとを備えている。
【0024】
第2渦巻き電極EYCは、図5に示すように、第1軸電極部10の第1渦巻き電極EXCが配置される検出領域において、第1渦巻き電極EXCと厚さ方向D3において重ならないように配置される。第2枝電極EYAは、厚さ方向D3において第1枝電極EXAと重ならないように、蛇行して延びている。
【0025】
上記の接触位置センサSSで、利用者の指先等が接触した位置を検出する場合、第1電極EX、および第2電極EYにより利用者の指先等が接触した位置の座標を検出する。すなわち、指先等が接触することによって、接触された地点で透明電極と人体(指先)との間に介在された絶縁体(透明絶縁性基板)の静電容量を介して接続される。
【0026】
接触される位置によって、第1電極端子および第2電極端子と接地点との間の電荷量に変化が生じる。この電荷量の変化が、第1電極端子および第2電極端子を介して外部に接続された電流検出回路(図示せず)によって検出され、利用者が接触した位置を検出する。
【0027】
図5に示すように、例えば、第1電極EXn、EXn+1と、第2電極EYnとが配置されている場合、第1電極EXnの第1軸電極部10と第2電極EYnの第2軸電極部20とが配置されている検出領域のアドレスを(n、n)とする。
【0028】
第1電極EXn+1の第1軸電極部10と第2電極EYnの第2軸電極部20とが配置されている検出領域のアドレスは(n+1、n)となる。さらに、第1電極EXn、EXn+1の第1枝電極部12と第2電極EYnの第2枝電極部22とが配置されている検出領域のアドレスは(n+0.5、n)となる。
【0029】
すなわち、本実施形態に係る接触位置センサSSおよび表示装置では、隣接する第1電極EXの第1枝電極部12が配置される検出領域が重複していることにより、利用者が隣接する第1電極EXの第1軸電極部10の間の領域に接触した場合であっても、接触位置を検出することができる。
【0030】
例えば、利用者が第1電極EXnの第1軸電極部10と第1電極EXn+1の第1軸電極部10との間の検出領域に接触した場合には、第1電極EXnと第1電極EXn+1との両方の近傍に接触位置があることが検出される。
【0031】
上記のように、本実施形態に係る接触位置センサSSおよび表示装置によれば、接触位置の検出精度の高い接触位置センサおよび表示装置を提供することができる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態に係る接触位置センサおよび表示装置について図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態に係る接触位置センサおよび表示装置と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施形態に係る表示装置は、表示パネルPNLと、接触位置センサSSとを備えている。接触位置センサSSは、表示パネルPNLの表示部DYPと対向するように配置されている。接触位置センサSSは、透明絶縁性基板と、マトリクス状に配置された検出領域を構成するように配置された透明電極群EXYとを備えている。接触位置センサSSの一端には、接触位置センサSSの透明電極群EXYから信号を取り出す回路基板C2が接続されている。
【0034】
接触位置センサSSは、図6に示すような透明電極群EXYを備えている。透明電極群EXYは、第1方向D1に延びる複数の第1電極EX(EX1、EX2、EX3…)と、第2方向D2に延びる複数の第2電極EY(EY1、EY2、EY3…)とを備えている。第1方向D1と第2方向D2とは略直交する方向である。第1電極EXと第2電極EYとは、透明絶縁性基板間上で、絶縁層を介して交差配置されている。
【0035】
第1電極EXは、透明絶縁性基板の端部に配置された第1電極端子(図示せず)に電気的に接続されている。第2電極EYは、透明絶縁性基板の端部に配置された第2電極端子(図示せず)に電気的に接続されている。
【0036】
図7に示すように、第1電極EXは、第1軸電極部10と第1軸電極部10から延びる第1枝電極部12とを備えている。第1軸電極部10は、第1方向D1に延びる第1軸電極EXBと、第1軸電極EXBから渦巻き状に延びる第1渦巻き電極EXCと、第1軸電極EXBから蛇行して延びる第1蛇行電極EXDと、を備えている。第1方向D1において、第1渦巻き電極EXCと第1蛇行電極EXDとは交互に配置されている。
【0037】
第1枝電極部12は、第2方向D2に延びる第1枝電極EXAと、第1軸電極部10から渦巻き状に延びる第2渦巻き電極EXEとを備えている。第1枝電極EXAは、第2方向D2において第1渦巻き電極EXCと並んで配置されている。第2渦巻き電極EXEは、第2方向D2において、第1蛇行電極EXDと並んで配置されている。
【0038】
図8に示すように、第2電極EYは、第2軸電極部24と第2軸電極部24から延びる第2枝電極部26とを備えている。第2軸電極部24は、第2方向D2に延びる第2軸電極EYBと、第2軸電極EYBから渦巻き状に延びる第3渦巻き電極EYCと、第2軸電極EYBから蛇行して延びる第2蛇行電極EYDと、を備えている。第2方向D2において、第2渦巻き電極EYCと第2蛇行電極EYDとは交互に配置されている。
【0039】
第2枝電極部26は、第1方向D1に延びる第2枝電極EYAと、第2軸電極部24から渦巻き状に延びる第3渦巻き電極EYEとを備えている。第2枝電極EYAは、第1方向D1において第3渦巻き電極EXCと並んで配置されている。第4渦巻き電極EYEは、第1方向D1において、第2蛇行電極EYDと並んで配置されている。
【0040】
図9に示すように、第1電極EXの第1枝電極部12が配置される領域は、隣接する第1電極EXの第1枝電極部12が配置される領域と重複している。第2電極EYの第2枝電極部26が配置される領域は、隣接する第2電極EYの第2枝電極部26が配置される領域と重複している。
【0041】
第1渦巻き電極EXCが配置される領域は、第3渦巻き電極EYCが配置される領域と重複している。第1渦巻き電極EXCと第3渦巻き電極EYCとは間隔を置いて重ならないように配置されている。
【0042】
第1枝電極EXAが配置される領域は、第2蛇行電極EYDが配置される領域と重複している。この領域には、隣接する第1電極EXの第1枝電極EXAと、第2蛇行電極EYDとの3種類の電極が、間隔を置いて配置されている。
【0043】
第1蛇行電極EXDが配置される領域は、第2枝電極EYAが配置される領域と重複している。この領域には、隣接する第2電極EYの第2枝電極EYAと、第1蛇行電極EXDとの3種類の電極が、間隔を置いて配置されている。
【0044】
第2渦巻き電極EXEが配置される領域は、第4渦巻き電極EYEが配置される領域と重複している。この領域には、隣接する第1電極EXの第2渦巻き電極EXEと、隣接する第2電極EYの第4渦巻き電極EYEとの4種類の電極が、間隔を置いて配置されている。
【0045】
図9に示すように、例えば、第1電極EXn、EXn+1と、第2電極EYn、EYn+1とが配置されている場合、第1電極EXnの第1軸電極部10と第2電極EYnの第2軸電極部24とが配置されている検出領域のアドレスを(n、n)とする。
【0046】
第1電極EXn+1の第1軸電極部10と第2電極EYnの第2軸電極部24とが配置されている検出領域のアドレスは(n+1、n)となる。さらに、第1電極EXn、EXn+1の第1枝電極部12と第2電極EYnの第2枝電極部26とが配置されている検出領域のアドレスは(n+0.5、n+0.5)となる。
【0047】
すなわち、隣接する第1電極EXの第1枝電極部12が配置される領域が重複するとともに、隣接する第2電極EYの第2枝電極部26が配置される領域が重複していることにより、利用者が第1電極EXの第1軸電極部10間の領域、あるいは、第2電極EYの第2軸電極部24間の領域に接触した場合であっても、接触位置を検出することができる。
【0048】
本実施形態に係る接触位置センサおよび表示装置によれば、接触位置の検出精度の高い接触位置センサおよび表示装置を提供することができる。
【0049】
以下、上記の第2実施形態に係る接触センサおよび比較例に係る接触センサの検出結果について図13乃至図18を参照して説明する。なお、図13乃至図18には、5つの第1電極と5つの第2電極とにより、接触位置を検出した場合を示している。図13乃至図18には、検出された接触位置Pを示している。
【0050】
上記第2実施形態に係る接触センサ上において、第2方向D2に対して時計回りに略15度回転した方向に、指先で略直線状に接触したときの検出結果を図15に示す。第2方向D2に対して時計回りに略30度回転した方向に、指先で略直線状に接触したときの検出結果を図18に示す。
【0051】
図15に示すように、第2実施形態に係る接触位置センサの検出領域は、例えば、第1電極EX1と第2電極EY1との交差位置がアドレス(1、1)の検出領域で、第1電極EX2と第2電極EY1との交差位置がアドレス(2、1)の検出領域であって、アドレス(1、1)の検出領域とアドレス(2、1)の検出領域との間がアドレス(1.5、1)の検出領域となるように配置されている。図18に示す検出結果についても同様に第1電極EXと第2電極EYの位置に対応して検出領域が配置されている。
【0052】
第1比較例に係る接触センサは、図10に示すように、第1方向D1に延びる複数の第1電極X(X1〜X5)と第2方向D2に延びる複数の第2電極Y(Y1〜Y5)とを備えている。図11に示すように、第1電極Xと第2電極Yとは、一対の基板間に絶縁層L1を介して配置されている。第1電極Xおよび第2電極Yは、略ひし形状の検出電極を備えている。
【0053】
第2方向D2に対して時計回りに略15度回転した方向に、この第1比較例に係る接触センサ上を指先で略直線状に接触したときの検出結果を図13に示す。第2方向D2に対して時計回りに略30度回転した方向に、第1比較例に係る接触センサ上を指先で略直線状に接触したときの検出結果を図16に示す。
【0054】
第2比較例に係る接触センサは、図12に示すような第1電極X(X1〜X5)と第2電極Y(Y1〜Y5)とを備えている。第1電極Xは、第1方向D1に延びる軸電極と、この軸電極から第2方向D2に延びる枝電極とを備えている。第2電極Yは、第2方向D2に延びる軸電極と、この軸電極から第1方向D1に延びる第1枝電極と、さらにこの第1枝電極から第2方向D2に延びる第2枝電極とを備えている。
【0055】
第2方向D2に対して時計回りに略15度回転した方向に、この第2比較例に係る接触センサ上を指先で略直線状に接触したときの検出結果を図14に示す。第2方向D2に対して時計回りに略30度回転した方向に、第2比較例に係る接触センサ上を指先で略直線状に接触したときの検出結果を図17に示す。
【0056】
まず、図13乃至図15に示す検出結果を比較する。図13に示す検出結果では、第1電極X間の領域と第2電極Y間の領域との接触位置Pを検出することができなかった。また、図13に示すように、第1比較例に係る接触位置センサでは、第2電極Y3に沿って第2方向D2と略平行な方向に接触位置Pが検出され、第2方向D2に対して傾いた方向に接触位置があることを検出することが困難であった。
【0057】
図14に示す検出結果では、第1電極X間の領域と、第2電極Y間の領域との接触位置Pを検出することができた。しかし、第1比較例に係る接触位置センサの場合と同様に、第2電極Y3に沿って第2方向D2と略平行な方向に接触位置Pが検出され、第2方向D2に対して傾いた方向に接触位置Pがあることを検出することが困難であった。
【0058】
これに対し、図15に示す検出結果では、第1電極EX間の領域と、第2電極EY間の領域との接触位置Pが検出されているとともに、第1方向D1において、第2電極EY2と第2電極EY3との間の領域、第2電極EY3上の領域、第2電極EY3と第2電極EY4との間の領域の順に接触位置Pが検出されている。
【0059】
すなわち、同数の第1電極と第2電極とが配置されている場合に、第2実施形態に係る接触位置センサSSおよび表示装置によれば、第1比較例および第2比較例に係る接触位置センサよりも、高い検出精度で接触位置Pを検出することができる。
【0060】
次に、図16乃至図18に示す検出結果を比較する。図16に示す検出結果では、第1電極X間の領域と、第2電極Y間の領域との接触位置Pを検出することができなかった。また、図16に示すように、第2電極Y3および第2電極Y4に沿って第2方向D2に略平行な方向に接触位置Pが検出され、第2方向D2に対して傾いた方向に接触位置Pがあることを検出することが困難であった。
【0061】
図17に示す検出結果では、第1電極X間の領域と、第2電極Y間の領域との接触位置Pを検出するができた。しかし、図16に示す場合と同様に、第2電極Y3および第2電極Y4に沿って第2方向D2に略平行な方向に接触位置Pが検出され、第2方向D2に対して傾いた方向に接触位置Pがあることを検出することが困難であった。
【0062】
これに対し、図18に示す検出結果では、第1電極EX間の領域と、第2電極EY間の領域との接触位置Pが検出されているとともに、第2方向D2に対して傾いた方向に連続して接触位置Pが検出されている。
【0063】
すなわち、同数の第1電極と第2電極とが配置されている場合に、第2実施形態に係る接触位置センサSSおよび表示装置によれば、第1比較例および第2比較例に係る接触位置センサSSよりも高い検出精度で接触位置Pを検出することができる。
【0064】
次に、本発明の第3実施形態に係る接触位置センサおよび表示装置について図面を参照して以下に簡単に説明する。なお、以下の説明において上述の第1および第2実施形態に係る接触位置センサおよび表示装置と同様の構成については詳しい説明は省略する。
【0065】
本実施形態に係る表示装置は、表示パネルPNLと、接触位置センサSSとを備えている。接触位置センサSSは、表示パネルPNLの表示部DYPと対向するように配置されている。接触位置センサSSは、透明絶縁性基板と、マトリクス状に配置された検出領域を構成するように配置された透明電極群EXYとを備えている。接触位置センサSSの一端には、接触位置センサSSの透明電極群EXYから信号を取り出す回路基板C2が接続されている。
【0066】
接触位置センサSSは、透明電極群EXYを備えている。透明電極群EXYは、第1方向D1に延びる複数の第1電極EX(EX1、EX2、EX3…)と、第2方向D2に延びる複数の第2電極EY(EY1、EY2、EY3…)とを備えている。
【0067】
それぞれの第1電極EXと第2電極EYとは、小さな四角形検出電極が接続された形をしている。第1方向D1と第2方向D2とは略直交する方向である。第1電極EXと第2電極EYとは、透明絶縁性基板間上で、絶縁層を介して交差配置されている。
【0068】
図19に示すように、第1電極EXは、第1軸電極部10と第1軸電極部10から突き出した第1枝電極部12とを備えている。この時、第1電極部10の中の四角形検出電極の面積は第1枝電極部12の中の四角形検出電極面積の概ね倍となるよう設定した。また図20に示すように、第2電極EYは、第2軸電極部24と第2軸電極部24から延びる第2枝電極部26とを備えている。
【0069】
図21に示すように、第1電極EXの第1枝電極部12が配置される領域は、隣接する第1電極EXの第1枝電極部12が配置される領域と重複している。第2電極EYの第2枝電極部26が配置される領域は、隣接する第2電極EYの第2枝電極部26が配置される領域と重複している。なお、図21では、第1電極EX同士、第2電極EY同士であっても隣に配置される電極とは異なるハッチングをすることにより、電極の区別を容易にしている。
【0070】
図21に示すように、例えば、第1電極EX1〜EX3と、第2電極EY1〜EY3とが配置されている場合、第1電極EX2の第1軸電極部10と第2電極EY2の第2軸電極部24とが配置されている検出領域のアドレスを(2、2)とすると、その周りには第2実施形態と同様に周囲に(1.5、2)、(2、2.5)、(2、1.5)、(2.5、2)なるアドレスを想定できるようになる。
【0071】
すなわち、隣接する第1電極EXの第1枝電極部12が配置される領域が重複するとともに、隣接する第2電極EYの第2枝電極部26が配置される領域が重複していることにより、利用者が第1電極EXの第1軸電極部10間の領域、あるいは、第2電極EYの第2軸電極部24間の領域に接触した場合であっても、接触位置を検出することができる。
【0072】
本実施形態に係る接触位置センサおよび表示装置によれば、接触位置の検出精度の高い接触位置センサおよび表示装置を提供することができる。
【0073】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨(隣接する検出電極間にそれぞれがオーバーラップする領域(12や26)を設定する)を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0074】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0075】
そして、上記説明のために検出座標位置を0.5刻みに飛び飛びの値で表現したが、実使用では容量変化をアナログ的にとらえて連続したアドレスの検出を実施する場合もある。
【符号の説明】
【0076】
SS…接触位置センサ、DYP…表示部、PNL…表示パネル、EXY…透明電極群、EX…第1電極、EY…第2電極、10…第1軸電極部、12…第1枝電極部、D1…第1方向、D2…第2方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の表示画素からなる表示部を備えた表示パネルと、
透明絶縁性基板と、マトリクス状に配置された検出領域を構成するように前記透明絶縁性基板上に配置された透明電極群と、前記透明電極群に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備えた接触位置センサと、を備え、
前記透明電極群は、第1方向に延びる複数の第1電極と、前記複数の第1電極と絶縁層を介して交差配置された第2方向に延びる複数の第2電極とを備え、
前記第1電極は、前記第1方向に延びる第1軸電極部と、前記第1軸電極部から延びる第1枝電極部とを備え、
隣接して配置された前記第1電極の前記第1枝電極部は、共通する検出領域に配置されている表示装置。
【請求項2】
前記第1軸電極部は、前記第1方向に延びる第1軸電極と、前記第1軸電極から渦巻き状に延びる第1渦巻き電極と、を備え、
前記第1枝電極部は、前記第1渦巻き電極から前記第2方向に延びる第1枝電極を備え、
前記第2電極は、前記第2方向に延びる第2軸電極を備え、
前記第2軸電極部は、前記第2軸電極から延びる第2渦巻き電極を備え、
前記第2枝電極部は、前記第2軸電極から蛇行するように延びる第2枝電極を備え、
前記第1渦巻き電極と前記第2渦巻き電極とが共通する検出領域に配置され、前記第1枝電極と前記第2枝電極とが共通する検出領域に配置されている請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
マトリクス状に配置された複数の表示画素からなる表示部を備えた表示パネルと、
透明絶縁性基板と、前記透明絶縁性基板上に配置された透明電極群と、前記透明電極群に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備えた接触位置センサと、を備え、
前記透明電極群は、第1方向に延びる複数の第1電極と、前記複数の第1電極と絶縁層を介して交差配置された第2方向に延びる複数の第2電極とを備え、
前記第1電極は、第1軸電極部と、前記第1軸電極部から延びる第1枝電極部とを備え、
前記第2電極は、第2軸電極部と、前記第2軸電極部から延びる第2枝電極部とを備え、
隣接して配置された前記第1電極の前記第1枝電極部は、共通する検出領域に配置され、
隣接して配置された前記第2電極の前記第2枝電極部は、共通する検出領域に配置されている表示装置。
【請求項4】
前記第1軸電極部は、前記第1方向に延びる第1軸電極と、前記第1軸電極から延びる第1渦巻き電極と、前記第1軸電極から蛇行するように延びる第1蛇行電極と、を備え、
前記第1枝電極部は、前記第1蛇行電極部から延びる第2渦巻き電極と、前記第1蛇行電極又は前記第1渦巻き電極から延びる第1枝電極と、を備え、
前記第2軸電極部は、前記第2方向に延びる第2軸電極と、前記第2軸電極から延びる第3渦巻き電極と、前記第2軸電極から蛇行するように延びる第2蛇行電極と、を備え、
前記第2枝電極部は、前記第2蛇行電極部から延びる第3渦巻き電極と、前記第2蛇行電極又は前記第3渦巻き電極から延びる第2枝電極と、を備え、
前記第1渦巻き電極と前記第3渦巻き電極とが共通する検出領域に配置され、前記第1蛇行電極と前記第2枝電極とが共通する検出領域に配置され、前記第2渦巻き電極と前記第4渦巻き電極とが共通する検出領域に配置され、前記第1枝電極と前記第2蛇行電極とが共通する検出領域に配置されている請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
透明絶縁性基板と、マトリクス状に配置された検出領域を構成するように前記透明絶縁性基板上に配置された透明電極群と、前記透明電極群に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備え、
前記透明電極群は、第1方向に延びる複数の第1電極と、前記複数の第1電極と絶縁層を介して交差配置された第2方向に延びる複数の第2電極とを備え、
前記第1電極は、前記第1方向に延びる第1軸電極部と、前記第1軸電極部から延びる第1枝電極部とを備え、
隣接して配置された前記第1電極の前記第1枝電極部は、共通する検出領域に配置されている接触位置センサ。
【請求項6】
前記第1軸電極部は、前記第1方向に延びる第1軸電極と、前記第1軸電極から渦巻き状に延びる第1渦巻き電極と、を備え、
前記第1枝電極部は、前記第1渦巻き電極から前記第2方向に延びる第1枝電極を備え、
前記第2電極は、前記第2方向に延びる第2軸電極を備え、
前記第2軸電極部は、前記第2軸電極から延びる第2渦巻き電極を備え、
前記第2枝電極部は、前記第2軸電極から蛇行するように延びる第2枝電極を備え、
前記第1渦巻き電極と前記第2渦巻き電極とが共通する検出領域に配置され、前記第1枝電極と前記第2枝電極とが共通する検出領域に配置されている請求項5記載の接触位置センサ。
【請求項7】
透明絶縁性基板と、前記透明絶縁性基板上に配置された透明電極群と、前記透明電極群に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備え、
前記透明電極群は、第1方向に延びる複数の第1電極と、前記複数の第1電極と絶縁層を介して交差配置された第2方向に延びる複数の第2電極とを備え、
前記第1電極は、第1軸電極部と、前記第1軸電極部から延びる第1枝電極部とを備え、
前記第2電極は、第2軸電極部と、前記第2軸電極部から延びる第2枝電極部とを備え、
隣接して配置された前記第1電極の前記第1枝電極部は、共通する検出領域に配置され、
隣接して配置された前記第2電極の前記第2枝電極部は、共通する検出領域に配置されている接触位置センサ。
【請求項8】
前記第1軸電極部は、前記第1方向に延びる第1軸電極と、前記第1軸電極から延びる第1渦巻き電極と、前記第1軸電極から蛇行するように延びる第1蛇行電極と、を備え、
前記第1枝電極部は、前記第1蛇行電極部から延びる第2渦巻き電極と、前記第1蛇行電極又は前記第1渦巻き電極から延びる第1枝電極と、を備え、
前記第2軸電極部は、前記第2方向に延びる第2軸電極と、前記第2軸電極から延びる第3渦巻き電極と、前記第2軸電極から蛇行するように延びる第2蛇行電極と、を備え、
前記第2枝電極部は、前記第2蛇行電極部から延びる第3渦巻き電極と、前記第2蛇行電極又は前記第3渦巻き電極から延びる第2枝電極と、を備え、
前記第1渦巻き電極と前記第3渦巻き電極とが共通する検出領域に配置され、前記第1蛇行電極と前記第2枝電極とが共通する検出領域に配置され、前記第2渦巻き電極と前記第4渦巻き電極とが共通する検出領域に配置され、前記第1枝電極と前記第2蛇行電極とが共通する検出領域に配置されている請求項7記載の接触位置センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−249695(P2010−249695A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100150(P2009−100150)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】