説明

接触式コネクタ

【課題】 広い給電可能空間を有する接触式コネクタを提供する。
【解決手段】 接触式コネクタ1は、板状電極組立体10と、軸方向に進退可能に付勢されている棒状電極組立体50とを有する。板状電極組立体10は、進退方向と直交する方向の広がりを有する接触板11と、接触板11を保持するとともに並列方向に連結可能なブロック15とを有する。棒状電極組立体50は、端子ピン51と、端子ピン51を支持するとともに並列方向に連結可能なブロック55と、端子ピン51を軸方向の前方に付勢するスプリング37とを有する。板状電極組立体10と棒状電極組立体50とは、接触板11の表面の広がりの範囲内、かつ、棒状電極の進退範囲内の空間領域において給電が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決めの精度があまり高くない二つの構造体間で、給電線を導通させる接触式のコネクタに関する。特には、駐車中に電気自動車に充電できる立体駐車場を実現すべく、電気自動車を搭載したパレットと、自動車格納室(アドレス)に配置された電源との間で給電するための接触式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の蓄電池に充電する方法としては、一般に、家庭用の電源(8〜15A)から充電する普通充電と、充電設備(約130A)(ガソリンスタンド等に設置されている)から充電する急速充電の方法がある。急速充電用の装置としては、ガソリンスタンドの給油に使用されるノズルに似た形状のプラグを自動車のレセプタクルに接続するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。普通充電には通常8時間程度が必要であるが、急速充電の場合は30分程度で済む。
【0003】
一方、電気自動車専用の立体駐車場を設けて、駐車中に充電する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような立体駐車場について図8を参照して説明する。図8に示すように、立体駐車場はエレベータ式の駐車場であり、自動車Vが載せられるパレット100を備える。パレット100は上下方向かつ左右方向に移動可能であり、その上下移動経路の左右両側に多階に渡って格納室(アドレス)が設けられている。パレット100には、受電用接点101が設けられており、各格納室には、受電用接点101に直接あるいは非接触で接続する給電用接点103が設けられている。パレット100が所定の格納室に案内されると、受電用接点101と給電用接点103とが直接あるいは非接触で通電し、充電が開始される。
【0004】
パレット100の受電用接点101と各格納室の給電用接点103との直接接続には、プラグとレセプタクルを有する電気コネクタが使用される場合がある。このような立体駐車場はかなり大きい構造物であり、パレット100の各格納室への位置決め精度は高くない。また、乗せられる車の車種及び重量等によってもパレット100の位置や高さが変わる場合がある。そこで、プラグとレセプタクルとの間には、プラグとレセプタクルとの装着方向(Z軸方向)及び同方向と直交する方向(X軸方向及びY軸方向)にある程度の許容範囲(20〜30mm)(偏芯距離)を有することが必要となる。現在まで、このような条件を満足するコネクタは提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−288386号公報
【特許文献2】特開2001−359203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、広い給電可能空間を有する接触式コネクタを提供することを目的とする。特には、電気自動車の充電が可能な立体駐車場などのような位置決め精度のあまり高くない構造物間で、給電線を自動的に導通させる接触式のコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の接触式コネクタは、 所望の広がりを有する接触板からなる板状電極と、 前記接触板の表面に先端が押し当てられる、軸方向に進退自由に付勢されている棒状電極と、を備え、 前記接触板表面の広がりの範囲内、かつ、前記棒状電極の進退範囲内の空間領域において、前記板状電極と前記棒状電極とが接触して両者間で給電が可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、給電可能な空間が、面積が接触板の表面で、高さが棒状電極の進退可能距離である空間領域となり、比較的広い空間内で給電可能となる。このため、位置決めの精度があまり高くない二つの構造体間で給電可能となる。例えば、自動立体駐車場の車載パレットの受電部と自動車格納室(アドレス)の給電部との間などに本コネクタを適用できる。
【0009】
本発明においては、 前記棒状電極を進退可能に案内する、絶縁体からなるガイドブロックを備え、 複数の前記ガイドブロックが並列に連結されて、多線コネクタが構成されていることが好ましい。
本発明によれば、コネクタ(プラグ側など)の構成部品であるブロックの形状を標準化できるので、任意の線数のコネクタを迅速・安価に提供することができる。
【0010】
本発明においては、 前記ガイドブロックが、 前記棒状電極が挿通される貫通孔と、 該貫通孔内に配置された、前記棒状電極を前記板状電極方向に付勢するスプリングと、を備えることが好ましい。
【0011】
前記ガイドブロックの具体的な態様として、前記棒状電極の進退方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸方向又はY軸方向)における両側面から、それぞれ反対方向に延びる並列連結部を備え、 複数の該ガイドブロックを並列したときに、隣接する該ガイドブロックの連結部同士が該並列方向と直交する方向に重ね合わされて連結されることが好ましい。
なお、並列方向とは、左右方向(横方向)と上下方向(縦方向)を含む。
【0012】
本発明においては、 前記板状電極を保持する、絶縁体からなる電極保持ブロックを備え、 複数の前記電極保持ブロックが並列に連結されて、多線コネクタが構成されていることが好ましい。
本発明によれば、コネクタ(レセプタクル側など)の構成部品であるブロックの形状を標準化できるので、任意の線数のコネクタを迅速・安価に提供することができる。
【0013】
本発明においては、 前記電極保持ブロックが、 前記棒状電極の進退方向(Z軸方向)において二つ割りされた前後のブロック片からなり、 複数の前記電極保持ブロックを並列したときに、隣接する前記ブロック間において、一方のブロックの前ブロック片ともう一方のブロックの後ブロック片とが前記進退方向において連結されることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、複数の電極保持ブロックを並列する際に、隣接するブロック間において、一方のブロックの前ブロック片ともう一方のブロックの後ブロック片とを連結するので、前後のブロック片の連結と、隣接するブロックの連結とを同時に行うことができる。つまり、前後のブロック片を連結する機構と、隣接するブロックを連結する機構とを共通とできるので、連結作業をシンプルにできるとともに、部品点数を少なくできる。
【0015】
前記前後のブロック片の具体的な態様として、 該前後のブロック片が、前記棒状電極の進退方向(Z軸方向)に直交する面(XY平面)を拡がる矩形状であり、 該前後ブロック片の、前記並列方向(X軸方向又はY軸方向)における両側面の、該前後ブロック片の前面(XY平面)の中心に対して点対称な位置に、それぞれ連結部が形成されているとともに、 前記前ブロック片の各連結部と後ブロック片の各連結部とは、前記前面(XY平面)において鏡像関係に形成されていることとできる。
【0016】
本発明によれば、電極保持ブロックを並列したときに、ある電極保持ブロックの前ブロック片の各連結部が、隣接する電極保持ブロックの後ブロック片の各連結部と、進退方向(Z軸方向)に重なる。そこで、重なった連結部同士を固定することにより、前後ブロック片が前後方向(Z軸方向)に連結されるとともに、隣接する電極保持ブロックが並列方向(X軸方向又はY軸方向)に連結される。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、本発明の接触式コネクタは、板状電極の接触板表面の広がりの範囲内、かつ、棒状電極の進退範囲内の空間領域が給電可能空間となるので、比較的広い空間内で給電可能となる。したがって、位置決めの精度があまり高くない二つの構造体間で自動的に給電可能となり、自動立体駐車場の車載パレットの受電部と自動車格納室(アドレス)の給電部との間などに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る接触式コネクタを説明する図であり、図1(A)は棒状電極が最も前進した状態、図1(B)は棒状電極が最も後退した状態を示す。
【図2】図1の接触式コネクタの板状電極を示す図であり、図2(A)は分解斜視図、図2(B)は全体の斜視図である。
【図3】図1の接触式コネクタの棒状電極を示す図であり、図3(A)は斜視図、図3(B)は正面図である。
【図4】立体駐車場用コネクタを示す平面図である。
【図5】図4のコネクタの受電部の分解斜視図である。
【図6】図4のコネクタの給電部の分解斜視図である。
【図7】図4のコネクタを立体駐車場のパレットと格納室とに設置した状態を示す平面図である。
【図8】立体駐車場の構造の一例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る接触式コネクタを説明する。
この接触式コネクタ1は、板状電極組立体10と、軸方向に進退自由に付勢される棒状電極組立体50とを有する。棒状電極組立体50の進退方向をZ軸方向(前後方向ともいう)、Z軸に直交する方向をX方向(横方向、左右方向ともいう)及びY方向(縦方向、上下方向ともいう)とする。
この接触式コネクタ1を図8に示した電気自動車用の立体駐車場に適用する場合、この例では、板状電極組立体10を車載パレット100の受電用接点101の側に、棒状電極組立体50を格納室の給電用接点103の側に使用している。詳細は後述するが、板状電極組立体10には、受電用ノズルから延びる受電ケーブルの端末が接続される。棒状電極組立体50には、給電用電源から延びる給電ケーブルの各線の端末が接続される。
【0020】
図2を参照して板状電極組立体10を説明する。
板状電極組立体10は、接触板11と、接触板11を支持するブロック(電極保持ブロック)15を有する。接触板11は導電性材料(一例で黄銅)で作製されており、図2(A)に示すように側断面形状がコの字型で、XY平面上を拡がる横長の長方形状の前面11a(寸法例:41mm×27mm)と、前面11aの上縁及び下縁から後方(Z軸方向)にほぼ直角に折れ曲がった上面11b及び下面11cと、下面11cのほぼ中央から下方に延びる延長部11dとを有する。延長部11dには、受電ケーブルの端末を接続するためのビスが螺合するネジ孔12が開けられている。
【0021】
ブロック15は絶縁性材料(一例でPOM樹脂)で作製されており、図2(A)に示すように、前後方向(Z軸方向)に配置される前ブロック片16と後ブロック片26とからなる。ブロック15は、横方向(X軸方向)に並列して連結可能な構造となっている。
【0022】
前ブロック片16は、一定の厚さの、Z軸方向に平たい直方体状の形状であり、両側面(X軸方向における側面)には、それぞれ反対方向に突き出た上下の連結部17、18が形成されている。前ブロック片16の前面の中央には、板状電極11の前面11aの寸法よりも一回り小さい寸法(寸法例:35mm×25mm)の横長の長方形状の窓19が開けられている。さらに、前ブロック片16の裏面には、窓19に連通する凹部20が形成されている。凹部20の寸法は、接触板11の前面11aの寸法とほぼ同じである。また、前ブロック片16の下面には、受電ケーブルの端末が通される切り欠き21が形成されている。
【0023】
上下連結部17、18は、前ブロック片16の並列方向(X軸方向)の両側面に、前ブロック片16の前面(XY平面)の中心に対して点対称な位置にそれぞれ形成されている。すなわち、上連結部17は、前ブロック片16の一方(この例では−X軸方向)の側面の上半分から側方に延びるように形成されており、下連結部18は、もう一方(この例では+X軸方向)の側面の下半分から側方に延びるように形成されている。各連結部17、18の寸法は等しい。各連結部17、18には、前後方向(Z軸方向)に貫通する段付の貫通孔22が開けられている。この貫通孔22には、隣接するブロック15の後ブロック片26(又は端部アタッチメント40(詳細後述))を連結するビスが通される。
【0024】
後ブロック片26も、前ブロック片16と同じ厚さの、Z軸方向に平たい直方体状の形状であり、両側面(X軸方向における側面)には、それぞれ反対方向に延びる上下の連結部27、28が形成されている。後ブロック片26の前面の中央には、横長の直方体状の台座29が形成されている。台座29の前面の寸法は、接触板11の前面11aの寸法とほぼ等しく、高さ(厚さ)は接触板11の下面11cの高さ(Z軸方向長さ)とほぼ等しい。後部ブロック片26の下部には、受電ケーブル端末接続用のビスが嵌り込む穴30が開けられている。
【0025】
上下連結部27、28も、後ブロック片26の並列方向(X軸方向)の両側面に、後ブロック片26の前面(XY平面)の中心に対して点対称な位置にそれぞれ形成されている。ただし、後ブロック片26は、XY平面において前ブロック片16の鏡像の関係(対称な形状)となっている。すなわち、上連結部27は、後ブロック片26の一方(この例では+X軸方向)の側面の上半分から側方に延びるように形成されており、下連結部28は、もう一方(この例では−X軸方向)の側面の下半分から側方に延びるように形成されている。各連結部27、28の寸法は、前ブロック片16の各連結部17、18の寸法と等しい。
【0026】
各連結部27、28には、前後方向(Z軸方向)に貫通するネジ孔31が開けられている。このネジ孔31には、隣接するブロック15の前ブロック片16(あるいは端部アタッチメント40)を連結するためのビスが螺合する。
【0027】
図2(B)を参照して前後ブロック片16、26を組み立てた状態を説明する。
接触板11は、後ブロック片26の台座29に被せられるように載置されている。接触板11の延長部11dの開口12と、後ブロック片26の穴30とは縦方向に並んでいる。この状態で、前ブロック片16を後ブロック片26に重ねると、後ブロック片26の台座29に載置された接触板11が、前ブロック片16の凹部20にはめ込まれて、前ブロック片16の窓19から接触板11の前面11aが露出する。
【0028】
前後ブロック片16、26は、端部アタッチメント40によって前後方向(Z軸方向)に固定される。また、端部アタッチメント40により、連結されたブロック15が取り付け部(パレット100の取り付け部など)に取り付けられる。この端部アタッチメント40は、ブロック15の左右のいずれの側にも共通して使用できる。
【0029】
端部アタッチメント40は、図2(A)に示すように、前後のブロック片16、26の連結部が連結される前後の連結部41、42と、パレット100の取り付け部に取り付けられる固定部43とを有する。前後連結部41、42は、前後方向(Z軸方向)に配置されるとともに、縦方向(Y軸方向)にずれて配置されている。前連結部41には、後ブロック片26を連結するビスが貫通する段付貫通孔44が開けられており、後連結部42には前ブロック片16を連結するビスが螺合するネジ穴45が開けられている。固定部43には、ブロック15を取り付け部に固定するためのビスが貫通する貫通孔46が開けられている。
【0030】
図2(B)を参照して、端部アタッチメント40で前後ブロック片16、26を連結した状態を説明する。
組み立てられた前後ブロック片16、26の左右両側に端部アタッチメント40を並べると、前ブロック片16の各連結部17、18が端部アタッチメント40の後連結部42と前後方向(Z軸方向)に重なり、後ブロック片26の各連結部27、28が端部アタッチメント40の前連結部41と前後方向(Z軸方向)に重なる。そして、前ブロック片16の各連結部17、18に形成された貫通孔22と、各端部アタッチメント40の後連結部42に形成されたネジ孔45が同軸上に並ぶ。また各端部アタッチメント40の前連結部41に形成された貫通孔44と、後ブロック片26の各連結部27、28に形成されたネジ孔31とが同軸上に並ぶ。そして、貫通孔22、44からビスを挿入してネジ孔45、31に螺合させることにより、両ブロック片16、26が端部アタッチメント40に連結されて、前後のブロック片16、26が前後方向に固定される。こうして組み立てられた板状電極組立体10を取り付け部に取り付ける際は、端部アタッチメント40の固定部43をビスで固定する。
このブロック15及び端部アタッチメント40により、前後のブロック片16、26の連結と、ブロック15の取り付けとを行うことができる。ブロック15を並列して連結する方法については後述する。
【0031】
次に、図1、図3を参照して棒状電極組立体50を説明する。
棒状電極組立体50は、端子ピン51と、端子ピン51をZ軸方向に進退可能に支持するブロック(ガイドブロック)55とを備える。
端子ピン51は導電性材料(例えば黄銅)で作製され、図1に示すように、前半部51a及び後半部51bと、両部の間に形成されたフランジ部52を有する。前半部51aの長さは後半部51bの長さの1/3程度である。フランジ部52は外方向に拡がるように形成されており、その径は前半部51aと後半部51bの径よりも大きい。前半部51aの先端には、電気接点53(例えば銀製、金製及びプラチナ製)が形成されている。後半部51bの後端には給電ケーブルCの端末が接続している。
【0032】
ブロック55は絶縁性材料(一例でPOM樹脂)で作製されており、図3に示すようにZ軸方向に長い直方体状で、両側面にはそれぞれ反対方向に延びる上下の連結部56、57が形成されている。ブロック55は横方向(X軸方向)に並列して連結可能な構造となっている。
【0033】
ブロック55のZ軸方向における中心軸上には、貫通孔59が開けられている。貫通孔59の径は、端子ピン51のフランジ部52の径とほぼ同じである。貫通孔59の、板状電極組立体10に対向する側の端部には、内方向に突き出た段部61が形成されている。この段部61における貫通孔59の径は端子ピン51の前半部51aの径とほぼ同じである。
【0034】
図3に示すように、上下連結部56、57は、ブロック55の並列方向(X軸方向)の両側面に、ブロック55の前面(XY平面)の中心に対して点対称な位置にそれぞれ形成されている。すなわち、上連結部56は、ブロック55の一方(この例では+X軸方向)の側面の上半分から側方に延びるように形成されており、下連結部57は、もう一方(この例では−X軸方向)の側面の下半分から側方に延びるように形成されている。各連結部56、57のX軸方向及びY軸方向の寸法は等しい。上連結部56には、縦方向(Y軸方向)に貫通する段付の貫通孔63が開けられている。この貫通孔63には、隣接するブロック55(あるいは端部アタッチメントA(詳細後述))を連結するビスが通される。下連結部57には、縦方向(Y軸方向)に貫通するネジ孔64が開けられている。このネジ孔64には、前述のビスが螺合する。
【0035】
ブロック55の、板状電極組立体10と反対側の端部にはカバープレート65が取り付けられている。カバープレート65は絶縁性材料(一例でPOM樹脂)で作製されており、ブロック55の端面形状と同じ形状である。カバープレート65には、ブロック55の貫通孔59と同軸上に貫通孔66が開けられている。この貫通孔66の径は、端子ピン51の後半部51bの径とほぼ等しい。
【0036】
図1に示すように、端子ピン51はブロック55の貫通孔59に挿入されて、フランジ部52が段部61に当接し、前半部51aが貫通孔59から突き出している。端子ピン51の後半部51bにはスプリング67が外嵌されている。スプリング67は、フランジ部52とカバープレート65との間に配置されて、フランジ部52を前方に付勢している。これにより、端子ピン51は、前半部51aがブロック55から前方に突き出す姿勢に維持されている。突き出た部分の長さが、端子ピン51のZ軸方向の許容範囲となる。この距離は一例で36mmである。
【0037】
端子ピン51の先端の電気接点53が板状電極組立体10の接触板11に接触すると、両電極間が導通し、コネクタ1を介して給電ケーブルと受電ケーブルが導通する。棒状電極組立体50と板状電極組立体10との間隔が所定の間隔よりも短くなった場合は、図1(B)に示すように、棒状電極組立体50の端子ピン51が板状電極組立体10に押されて相対的に後退する。しかし、端子ピン51はスプリング67により前方に付勢されているので、端子ピン51の先端の接点53は常に板状電極組立体10の接触板11に押し付けられており、両電極間の導電は維持される。
【0038】
また、棒状電極組立体50の端子ピン51の先端の金属接点53は、板状電極組立体10のブロック15の窓19から露出した接触板11の前面11a内のどの位置に接触しても両電極間の導通が得られる。
したがって、この例では導通空間の許容範囲は、Z軸方向に36mm、X軸方向に35mm、Y軸方向に25mmである。
【0039】
図3に示すように、ブロック55は、端部アタッチメントA70、B80とによって取り付け部に取り付けられる。
端部アタッチメントA70、B80は、ブロック55を取り付け部に取り付けるとともに、隣接するブロック同士を連結するためのものである(連結方法については後述する)。アタッチメントは、ブロック55の並列方向(X軸方向)における一方(この例では+X軸方向)の側面に配置される端部アタッチメントA70と、もう一方(この例では−X軸方向)の側面に配置される端部アタッチメントB70とを有する。
【0040】
図3(A)に示すように、端部アタッチメントA70は、正面形状がL字型の形状で、ブロック55を取り付け部に取り付けるための固定部71と、ブロック55の上連結部56が固定される下連結部72と、を有する。固定部71は、ブロック55の厚さ(Y軸方向高さ)と同じ高さであり、縦方向(Y軸方向)に延びる段付の貫通孔73が開けられている。この貫通孔73には、ブロック55を取り付け部に取り付けるためのビスが貫通する。下連結部72は、固定部71の半分の厚さであり、固定部71の側面(−X軸方向)の下半分から側方(−X軸方向)に延びている。下連結部72には、縦方向(Y軸方向)に貫通するネジ孔74が開けられている。このネジ孔74には、ブロック55を取り付けるためのビスが螺合する。
【0041】
端部アタッチメントB80も正面形状がL字型の形状で、ブロック55を取り付け部に取り付けるための固定部81と、ブロック55の下連結部57が連結される上連結部82と、を有する。固定部81は、ブロック55の厚さ(Y軸方向高さ)と同じ高さであり、縦方向(Y軸方向)に貫通する段付の貫通孔83が開けられている。この貫通孔83には、ブロック55を取り付け部に取り付けるためのビスが貫通する。上連結部82は、固定部の半分の厚さであり、固定部81の側面(+X軸方向)の上半分から側方(+X軸方向)に延びている。上連結部82には、縦方向(Y軸方向)に貫通する段付の貫通孔84が開けられている。この貫通孔84には、ブロック55が取り付けられるためのビスが貫通する。
【0042】
図3(B)を参照して、ブロック55を各アタッチメント70、80に取り付けた状態を説明する。
ブロック55の一方の側面(+X軸方向の側面)に端部アタッチメントA70を噛み合わせると、ブロック55の上連結部56が端部アタッチメントA70の下連結部72と上下方向(Y軸方向)に重なり、上連結部56の貫通孔63と下連結部72のネジ孔74が同軸上に並ぶ。また、ブロック55のもう一方の側面(−X軸方向の側面)に端部アタッチメントB80を噛み合わせると、ブロック55の下連結部57が端部アタッチメントB80の上連結部82と上下方向(Y軸方向)に重なり、上連結部82の貫通孔84と下連結部57のネジ孔64とが同軸上に並ぶ。そして、貫通孔63、84からビスを挿入してネジ孔74、64に螺合させることにより、ブロック55が各アタッチメント70、80に固定される。さらに、各アタッチメント70、80の固定部71、81の貫通孔73、83にビスを通して、両アタッチメント70、80を取り付け部に固定する。
【0043】
次に、図8で説明した電気自動車専用の立体駐車場のコネクタに、この接触式コネクタを適用する例を、図4〜図7を参照して説明する。
図8のような電気自動車用の立体駐車場においては、給電用の電源には一般に単相二線式又は単相三線式の電源が使用される場合がある。本例では単相三線式の場合を示す。立体駐車場用コネクタ90は、3個の接触式コネクタ1を並列したものとなる。つまり、図4に示すように、立体駐車場用コネクタ90の受電部91は、板状電極組立体10を支持するブロック15を3個並列して構成され、給電部93は、棒状電極組立体50を支持するブロック55を3個並列して構成される。
【0044】
図5を参照して受電部91を説明する。
受電部91は、板状電極組立体10をX軸方向に3個並列したものである。前後ブロック片16、26(図2参照)をそれぞれX軸方向に並列すると、1個の前ブロック片16の各連結部17、18が、両側に隣接するブロックの後ブロック片26の各連結部27、28と前後方向(Z軸方向)に重なる。そして、前後方向に重なった各連結部の貫通孔22とネジ孔31とが同軸上に並び、この孔にビスを螺合させることにより、3個のブロック15を並列に連結することができる。
そして、3個並列して連結されたブロック15の左右方向(X軸方向)の両側に端部アタッチメント40を配置し、左右両側のブロック15を端部アタッチメント40に連結する。
【0045】
その後、この端部アタッチメント40の固定部43を、図7に示すように、パレット100の両側に設けられた取り付け部に取り付ける。そして、受電部91に、先端に充電用の専用コネクタNが取り付けられた充電用ケーブルCの端末を接続する。
【0046】
図6を参照して給電部93を説明する。
給電部93は、棒状電極組立体50をX軸方向に3個並列したものである。3個のブロック55をX軸方向に並列すると、1個のブロック55の上連結部56が隣接するブロック55の下連結部57と縦方向(Y軸方向)に重なる。そして、上連結部56の貫通孔63と下連結部57のネジ孔64とが同軸上に並び、この孔にビスを螺合させることにより、3個のブロック55を並列に連結することができる。
そして、3個並列して連結されたブロック55を端部アタッチメントA70及び端部アタッチメントB80に連結する。
【0047】
その後、これらのアタッチメント70、80の固定部71、81を、図7に示すように、各格納室に設けられた取り付け部に取り付ける。そして、給電部93に、給電用ケーブルの端末を接続する。
【0048】
パレット100が所定の格納室に案内されると、パレット100の受電部91と格納室の給電部93とが接近し、やがて受電部91の板状電極組立体10と給電部93の棒状電極組立体50とが自動的に接続する。この際、板状電極組立体10と棒状電極組立体50との給電可能空間の許容範囲は、前述のようにZ軸方向に36mm、X軸方向に35mm、Y軸方向に25mmであるので、パレット100が格納室に対して所定の位置に案内されない場合であっても、両電極が前述の空間内に入っていれば両電極間の導通が可能となる。
【0049】
そして、パレット100上において受電部91から充電用ケーブルCと専用コネクタNを介して自動車Vに充電される。このような構造とすることにより様々な車種へ充電が可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 接触式コネクタ
10 板状電極組立体 11 接触板
12 ネジ孔 15 ブロック(電極保持ブロック)
16 前ブロック片 17、18 連結部
19 窓 20 凹部
21 切り欠き 22 貫通孔
26 後ブロック片 27、28 連結部
29 台座 30 穴
31 ネジ孔
40 端部アタッチメント 41、42 連結部
43 固定部 44 貫通孔
45 ネジ穴 46 貫通孔
50 棒状電極組立体 51 端子ピン
52 フランジ部 53 電気接点
55 ブロック(ガイドブロック) 56、57 連結部
59 貫通孔 61 段部
63 貫通孔 64 ネジ孔
65 カバープレート 66 貫通孔
67 スプリング
70 端部アタッチメントA 71 固定部
72 下連結部 73 貫通孔
74 ネジ孔
80 端部アタッチメントB 81 固定部
82 上連結部 83 貫通孔
84 貫通孔
90 立体駐車場用コネクタ 91 充電部
93 給電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の広がりを有する接触板からなる板状電極と、
前記接触板の表面に先端が押し当てられる、軸方向に進退自由に付勢されている棒状電極と、
を備え、
前記接触板表面の広がりの範囲内、かつ、前記棒状電極の進退範囲内の空間領域において、前記板状電極と前記棒状電極とが接触して両者間で給電が可能であることを特徴とする接触式コネクタ。
【請求項2】
前記棒状電極を進退可能に案内する、絶縁体からなるガイドブロックを備え、
複数の前記ガイドブロックが並列に連結されて、多線コネクタが構成されていることを特徴とする請求項1に記載の接触式コネクタ。
【請求項3】
前記ガイドブロックが、
前記棒状電極が挿通される貫通孔と、
該貫通孔内に配置された、前記棒状電極を前記板状電極方向に付勢するスプリングと、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の接触式コネクタ。
【請求項4】
前記ガイドブロックが、前記棒状電極の進退方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸方向又はY軸方向)における両側面から、それぞれ反対方向に延びる並列連結部を備え、
複数の該ガイドブロックを並列したときに、隣接する該ガイドブロックの連結部同士が該並列方向と直交する方向に重ね合わされて連結されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の接触式コネクタ。
【請求項5】
前記板状電極を保持する、絶縁体からなる電極保持ブロックを備え、
複数の前記電極保持ブロックが並列に連結されて、多線コネクタが構成されていることを特徴とする請求項1に記載の接触式コネクタ。
【請求項6】
前記電極保持ブロックが、前記棒状電極の進退方向(Z軸方向)において二つ割りされた前後のブロック片からなり、
複数の前記電極保持ブロックを並列したときに、隣接する前記ブロック間において、一方のブロックの前ブロック片ともう一方のブロックの後ブロック片とが前記進退方向において連結されることを特徴とする請求項5に記載の接触式コネクタ。
【請求項7】
前記前後のブロック片が、前記棒状電極の進退方向(Z軸方向)に直交する面(XY平面)を拡がる矩形状であり、
該前後ブロック片の、前記並列方向(X軸方向又はY軸方向)における両側面の、該前後ブロック片の前面(XY平面)の中心に対して点対称な位置に、それぞれ連結部が形成されているとともに、
前記前ブロック片の各連結部と後ブロック片の各連結部とは、前記前面(XY平面)において鏡像関係に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の接触式コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−16350(P2013−16350A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148244(P2011−148244)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000145183)株式会社七星科学研究所 (14)
【出願人】(305058313)三菱重工パーキング株式会社 (32)
【Fターム(参考)】